JP3638225B2 - 乗員検知センサの取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は乗員検知センサの取付構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
乗員検知センサの取付け構造として、例えば、特開平5−215863号公報「座席モニター」が知られている。
上記技術は、同公報の図1によれば、ポリフッ化ビニリデン等の高分子材料を薄膜状に形成し、この高分子材料の両面に可撓性の電極膜を付着させて形成した圧電素子1(符号は同公報に記載された符号を流用した)を座席7に取付けたものである。
従来は、圧電素子1を座席7に取付けるために、クロロプレーンゴム系溶剤型接着剤を使用するのが一般的であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、クロロプレーンゴム系溶剤型接着剤では車両室内における高温多湿又は低温という過酷な環境下において、高温多湿では接着力が低下して圧電素子1が剥がれる虞れがあり、低温では接着が脆化して割れやすくなる虞れがある。
また、クロロプレーンゴム系溶剤型接着剤で圧電素子1を座席7に取付ける場合には、クロロプレーンゴム系溶剤型接着剤は溶剤を用いるので、作業環境を整備する必要があり、生産設備にコストがかかるということもある。
【0004】
そこで、本発明の目的は、高温多湿又は低温という環境下にあっても耐久性があり、一般的な作業環境でも作業のできる乗員検知センサの取付構造を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、絶縁シート上に導電体被膜を形成し、この導電体被膜に端子を取付け、この端子に保護シートを被せた乗員検知センサを、導電体被膜を被接着面として車両用シートのクッションパッドに接着剤を介して取付けた乗員検知センサの取付構造において、接着剤が低温脆化温度が−50℃より低温であり、ビカット軟化点温度が絶縁シートの熱変形温度に対応する温度を上限とし、70℃を下限とし、この上・下限値の間にあるホットメルト系接着剤であることを特徴とする。
【0006】
絶縁シート上に導電体被膜を形成し、この導電体被膜に端子を取付け、この端子に保護シートを被せた乗員検知センサを、導電体被膜を被接着面として車両用シートのクッションパッドにホットメルト系接着剤を介して取付ける。
ホットメルト系接着剤を用いることで接着の作業性の改善を図る。例えば、クロロプレーンゴム系溶剤型接着剤を用いるときには溶剤を使用するので、作業環境を整備する必要があり、作業環境を選ぶ。しかし、ホットメルト系接着剤は溶剤を使用する必要はないので一般的な作業環境で作業ができる。
【0007】
また、低温脆化温度が−50℃より低い特性を有するホットメルト系接着剤を用いることで、車両室内における低温という環境下でも接着力を維持させる。
そして、ビカット軟化点温度が絶縁シートの熱変形温度に対応する温度を上限とし、70℃を下限とし、この上・下限値の間にあるホットメルト系接着剤を用いることで、車両室内における高温多湿という環境下でも接着力を維持させると共に乗員検知センサに熱的影響を及ぼさないように接着するようにする。
【0008】
すなわち、低温での使用を考えたときに、低温脆化温度は−50℃は必要である。これより高温であれば、寒冷地において脆化する虞れがあるからである。
高温雰囲気での使用を考えたときに、ビカット軟化温度70℃を超える必要がある。これより低温であれば、炎天化などで過度に温度上昇したときに軟化して接着強度が著しく低下する虞れがある。
接着対象(ここでは乗員検知センサ)の耐熱性を考えるときに、接着対象の絶縁シートの熱変形温度(例えば、180℃)を超えることはできない。絶縁シートが熱変形するからであり、接着剤の溶融温度を上記熱変形温度(180℃)未満に抑制する必要がある。これをビカット軟化温度に換算するとビカット軟化温度125℃なり、例えば、絶縁シートに一般的なポリエステル系樹脂フィルムを使用したときのビカット軟化温度に相当する。
【0009】
請求項2は、絶縁シートが熱変形温度が185℃から195℃までの範囲のポリエステル系樹脂フィルムであることを特徴とする。
絶縁シートに熱変形温度が185℃から195℃までの範囲のポリエステル系樹脂フィルムを用いることで、乗員検知センサのコストの高騰を抑える。
【0010】
請求項3は、端子とクッションパッドとの間に接着剤を介在させぬようにすることで、接着剤層のエッジから絶縁シートの一部をはみ出した形態としたときに、端子に被せた保護シートを延長し、接着剤層のエッジを超えて、クッションパッドと接着剤層との間に介在させることで、保護シートの延長部で絶縁シートの曲折防止ステーの役割をさせたことをさせたことを特徴とする。
【0011】
端子とクッションパッドとの間に接着剤を介在させぬようにすることで、接着剤層のエッジから絶縁シートの一部をはみ出した形態としたとする。そして、端子に被せた保護シートを延長し、接着剤層のエッジを超えて、クッションパッドと接着剤層との間に介在させるようにする。
すなわち、保護シートの延長部をクッションパッドと接着剤層との間に差し込んで絶縁シートの曲折防止ステーの役割をさせ、乗員検知センサの導電体被膜の割れを防止する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
図1は本発明に係る第1実施例の乗員検知センサを取付けた車両用シートの斜視図である。
車両用シート10は、シートクッション11にシートバック12をリクライニング可能に取付けたものである。
シートクッション11は、フレーム14にクッション材15を取付け、このクッション材15に表皮16を被せたものである。
シートバック12は、フレーム18にクッションパッド19を取付け、このクッションパッド19に乗員検知センサ・ユニット20を介して表皮22を被せたものである。なお、シートバック12はピロー23を備える。クッションパッド19は、ウレタンフォームが好適である。
【0013】
乗員検知センサ・ユニット20は、クッションパッド19に複数の乗員検知センサ30・・・(・・・は複数個を示す。以下同じ)を取付け、これらの検知センサ30・・・からの情報を判断するCPU(central processor unit)24をフレーム18に取付けたものである。25・・・は複数の検知センサ30・・・とCPU24とを電気的に接続するワイヤである。
すなわち、車両用シート10は、例えば、エアバッグなどを作動させるときに、乗員の大きさや姿勢を把握し、乗員に最も適合するようにエアバッグを作動させるための情報をアウトプットできる次世代型のシートである。
【0014】
図2は図1の2−2線断面図であり、第1実施例の乗員検知センサ30の縦断面を示す。図3は図1の3−3線断面図であり、第1実施例の乗員検知センサ30の横断面を示す。
乗員検知センサ30の取付構造は、絶縁シート31上に導電体被膜32を形成し、この導電体被膜32に図3に示す端子33を取付け、この端子33に保護シート34を被せた乗員検知センサ30を用意し、この乗員検知センサ30を導電体被膜32を被接着面として車両用シート10のクッションパッド19に接着剤35を介して取付けたものである。
【0015】
絶縁シート31は、熱変形温度が185℃から195℃までの範囲のポリエステル系樹脂フィルムが好適である。
絶縁シート31に熱変形温度が185℃から195℃までの範囲のポリエステル系樹脂フィルムを用いることで、乗員検知センサ30のコストの高騰を抑えることができる。例えば、ポリイミド系樹脂フィルムなどの熱変形温度の高いフィルムを使用しなくてはならないとすれば、乗員検知センサ30のコストの高騰を招く。
【0016】
導電体被膜32は、絶縁シート31にC(カーボン)ペイントインクで第1の導電体被膜32aを形成し、この第1の導電体被膜32aにAg(銀)ペーストインクで第2の導電体被膜32bを形成したものであって、導電体被膜32に人(誘電体)が接近すると静電容量が変化するものである。図1に示す乗員検知センサ・ユニット20は、この静電容量の変化をCPU24(図1参照)で判断するようにしたものである。
【0017】
接着剤35は、導電体被膜32とクッションパッド19との間に介在させるものであり、高温多湿又は低温という環境下にあっても耐久性がある信頼性の高いものを使用する必要があり、後述するように、低温脆化温度が−50℃より低温であり、ビカット軟化点温度が絶縁シート31の熱変形温度(185℃から195℃)に対応する温度未満を上限値とし、70℃を以上を下限値とし、この上・下限値の間にあるホットメルト系接着剤である。
【0018】
以上に述べた乗員検知センサ30の取付構造の作用を次に説明する。
図4(a)〜(d)は本発明に係る第1実施例の乗員検知センサの取付構造の作用説明図である。
(a)において、乗員検知センサ30と車両用シート10のクッションパッド19を用意する。
(b)において、乗員検知センサ30の導電体被膜32側に固まった状態にある接着剤35を載せる。なお、この接着剤35は、あらかじめフィルム状に30μm〜250μmに押出したものである。
【0019】
(c)において、接着剤35は、後述するように、ビカット軟化点温度が絶縁シート31の熱変形温度(185℃から195℃)に対応する温度未満を上限値とし、70℃以上を下限値とし、この上・下限値の間にあるホットメルト系接着剤である。従って、乗員検知センサ30及び接着剤35を、120℃から180℃までの範囲の温度で加熱接着する。
絶縁シート31は、熱変形温度が185℃から195℃までの範囲のポリエステル系樹脂フィルムなので、120℃から180℃までの範囲の温度では熱変形を起こす虞れはない。すなわち、車両室内における高温多湿という環境下でも接着力の維持ができると共に乗員検知センサ30に熱的影響を及ぼさないように接着できる。また、低温脆化温度が−50℃より低い特性を有するホットメルト系接着剤を用いることで、車両室内における低温という環境下でも接着力を維持することができる。
【0020】
(d)において、車両用シート10のクッションパッド19に乗員検知センサ30を矢印▲1▼の如く押し当て、接着剤35が冷えるのを待って接着を完了する。接着剤35はホットメルト系接着剤であり、ホットメルト系接着剤を用いることで接着の作業性の改善を図ることができる。例えば、クロロプレーンゴム系溶剤型接着剤を用いるときには溶剤を使用するので、作業環境を整備する必要があり、作業環境を選ぶ。しかし、ホットメルト系接着剤は溶剤を使用する必要はないので一般的な作業環境で作業ができる。
【0021】
【実施例】
本発明に係る実験例を次に説明する。
【0022】
【表1】
【0023】
表1は接着剤の低温脆化温度を示す。
ここで、低温脆化温度は、JIS K7311に準じた測定であって、接着剤のテストピースの環境温度を5℃毎に下げて所定のハンマーでたたき、テストピースが割れる温度(℃)である。
ここで、低温脆化温度が−50℃より低いホットメルト系接着剤を使用可とした。すなわち、低温での使用を考えたときに、低温脆化温度は−50℃は必要である。これより高温であれば、寒冷地において脆化する虞れがあるからである。なお、低温脆化温度測定は−70℃で限界である。
【0024】
サンプル1は、ポリカーボネート系ウレタン樹脂(大日精化工業製 レザミンP890相当品)であって、低温脆化温度は−70℃以下であり、判定は使用可である。
サンプル2は、ポリカーボネート系ウレタン樹脂(大日精化工業製 レザミンP897相当品)であって、低温脆化温度は−70℃以下であり、判定は使用可である。
サンプル3は、ポリカーボネート系ウレタン樹脂(大日精化工業製 レザミンP880相当品)であって、低温脆化温度は−70℃以下であり、判定は使用可である。
【0025】
サンプル4は、ポリエステル系ウレタン樹脂(日本マタイ UH203相当品)であって、低温脆化温度は−65℃であり、判定は使用可である。
サンプル5は、ポリエステル系ウレタン樹脂(日本マタイ UH604相当品)であって、低温脆化温度は−45℃であり、判定は使用不可である。
サンプル6は、ポリアミド樹脂(ダイセル化学工業 ダイアミド相当品)であって、低温脆化温度は−25℃であり、判定は使用不可である。
サンプル7は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)系樹脂(ダイセル化学工業 サーモライト2810相当品)であって、低温脆化温度は−25℃であり、判定は使用不可である。
すなわち、サンプル1〜4を使用可、サンプル5〜7を使用不可と判断した。
【0026】
【表2】
【0027】
表2は接着剤のビカット軟化点温度を示す。
ここで、ビカット軟化点温度は、JIS K7206に準じた測定であって、上端に所定の重りを載せた針の先端を接着剤のテストピースに当て、このテストピースを加熱し、所定の深さまで針の先端が達した温度(℃)である。
高温雰囲気での使用を考えたときに、ビカット軟化温度70℃を超える必要がある。これより低温であれば、炎天化などで過度に温度上昇したときに軟化して接着強度が著しく低下する虞れがある。
【0028】
接着対象である図2及び図3に示す乗員検知センサ30の耐熱性を考えるときに、接着対象の絶縁シート31の熱変形温度(例えば180℃)を超えることはできない。絶縁シート31が熱変形するからであり、接着剤35の溶融温度を上記熱変形温度(180℃)未満に抑制する必要がある。これをビカット軟化温度に換算するとビカット軟化温度125℃になる。
そこで、ビカット軟化温度70℃以上でビカット軟化温度125℃未満のホットメルト系接着剤を使用可とした。なお、サンプル1〜サンプル7は表1に示すものと同一のサンプルである。
【0029】
サンプル1は、ビカット軟化温度が136℃であり、図2及び図3に示す絶縁シート31を熱変形させる虞れがあるので、判定は使用不可である。
サンプル2は、ビカット軟化温度が140℃であり、絶縁シート31を熱変形させる虞れがあるので、判定は使用不可である。
サンプル3は、ビカット軟化温度が95℃であり、絶縁シート31を熱変形させることはないので、判定は使用可である。
【0030】
サンプル4は、ビカット軟化温度が64℃であり、絶縁シート31を熱変形させることはない。しかし、高温雰囲気での使用を考えたときに、軟化して接着強度が著しく低下する虞れがあるので、判定は使用不可である。
サンプル5は、ビカット軟化温度が55℃であり、絶縁シート31を熱変形させることはない。しかし、高温雰囲気での使用を考えたときに、軟化して接着強度が著しく低下する虞れがあるので、判定は使用不可である。
サンプル6及びサンプル7も、サンプル5と同様の理由で判定は使用不可である。
すなわち、サンプル3のみ使用可、サンプル1〜7は使用不可と判断した。
【0031】
表1及び表2から接着剤の低温脆化温度が−50℃より低温であり、ビカット軟化点温度が絶縁シート31(図2及び図3参照)の熱変形温度に対応する温度を上限とし、70℃を下限とし、この上・下限値の間にあるホットメルト系接着剤は、サンプル3のポリカーボネート系ウレタン樹脂(大日精化工業製 レザミンP880相当品)であることが判明した。
【0032】
【表3】
【0033】
表3は接着剤の総合評価であり、ここでは簡単に結果のみを示す。なお、サンプル1〜サンプル7は表1及び表2に示すものと同一サンプルであり、サンプル8にアクリル系粘着テープの検討結果を加えたものである。
熱間接着強度は、25mm幅の帯状接着剤シートをウレタンフォーム(図1に示すクッションパッド19の材質)に接着し、80℃の雰囲気中で200mm/minの速度で一端を他端の方に向かって、即ち、180°曲げて剥がす。このとき、剥がす力を2N(ニュートン)以上で相手側のウレタンフォーム自体が破壊するものを「○」とし、2N未満で接着剤自体が破断するもの又は接着剤−ウレタンフォーム間の境界面が凝縮破壊するものを「×」としたものである。
サンプル1〜5までが「○」、サンプル7〜8が「×」であった。
【0034】
熱間クリープは、25mm幅の帯状接着剤シートをウレタンフォーム(図1に示すクッションパッドの材質)に接着し、80℃の雰囲気中で帯状接着剤シートの一端に50gの重りを吊るし、24時間放置し、下方のズレが5mm未満であれば「○」とし、下方のズレが5mm以上であれば「×」としたものである。
サンプル1〜3が「○」、サンプル4〜8が「×」であった。
【0035】
低温屈曲割れ(−40℃)は、センサに帯状接着剤シートを接着し、この積層体を−40℃でφ2mmの鉄線にU字状に巻き付け、接着剤に割れが発生しなければ「○」とし、接着剤に割れが発生すれば「×」としたものである。
サンプル1〜4が「○」、サンプル5〜8が「×」であった。
【0036】
センサ変形は、センサに帯状接着剤シートを接着し、この積層体を50℃及び湿度95%の雰囲気中に24時間放置後、更に、常温で24時間放置し、目視で変形が認められなければ「○」とし、目視で変形が認められれば「×」としたものである。
サンプル3〜5及びサンプル7,8が「○」、サンプル1,2,6が「×」であった。
ここで、サンプル1,2は表2に示すビカット軟化温度が125℃より高いため絶縁シートを熱変形させたものであり、サンプル6は、接着剤がポリアミド系樹脂であるため吸湿で変形したものである。接着する際に、変形を戻し(平坦にし)仮止めする必要があるので作業性に難がある。
【0037】
すなわち、熱間接着強度、熱間クリープ、低温屈曲割れ(−40℃)及びセンサ変形の測定結果から、すべて「○」なのは、サンプル3のポリカーボネート系ウレタン樹脂であると言える。
【0038】
図5は本発明に係る第2実施例の乗員検知センサの横断面図であり、第1実施例の乗員検知センサ30と同一部品は同一符号を使用し、詳細な説明は省略するする。19はクッションパッド、31は絶縁シート、32は導電体被膜、33は端子、35は接着剤であり、乗員検知センサ40は、端子33とクッションパッド19との間に接着剤35を介在させぬようにすることで、接着剤35層のエッジ41から絶縁シート31の一部をはみ出した形態としたとする。そして、端子33に被せた保護シート44を延長し、接着剤35層のエッジ41を超えて、クッションパッド19と接着剤35層との間に介在させることで、保護シート44の延長部44aで絶縁シート31の曲折防止ステーの役割をさせたものである。
【0039】
すなわち、保護シート44の延長部44aをクッションパッド19と接着剤35層との間に差し込んで絶縁シート31の曲折防止ステーの役割をさせたので、乗員検知センサ40の導電体被膜32の割れを防止することができる。
【0040】
尚、第1実施例では、図4に示すように乗員検知センサ30側に接着剤35をあらかじめフィルム状に30μm〜250μmに押出したものを載せ、乗員検知センサ30をクッションパッド19に加熱接着するように説明したが、これに限定するものではなく、クッションパッド19側に接着剤35を塗布するようにして、接着するものであってもよい。
【0041】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1は、絶縁シート上に導電体被膜を形成し、この導電体被膜に端子を取付け、この端子に保護シートを被せた乗員検知センサを、導電体被膜を被接着面として車両用シートのクッションパッドにホットメルト系接着剤を介して取付けるようにした。このときに、ホットメルト系接着剤を用いたので、接着の作業性の改善を図ることができる。例えば、クロロプレーンゴム系溶剤型接着剤を用いるときには溶剤を使用するので、作業環境を整備する必要があり、作業環境を選ぶ。しかし、ホットメルト系接着剤は溶剤を使用する必要はないので一般的な作業環境で作業ができる。
【0042】
また、低温脆化温度が−50℃より低い特性を有するホットメルト系接着剤を用いることで、車両室内における低温という環境下でも接着力を維持することができる。
そして、ビカット軟化点温度が絶縁シートの熱変形温度に対応する温度を上限とし、70℃を下限とし、この上・下限値の間にあるホットメルト系接着剤を用いたので、車両室内における高温多湿という環境下でも接着力を維持できると共に乗員検知センサに熱的影響を及ぼさないように接着することができる。
【0043】
請求項2は、絶縁シートに熱変形温度が185℃から195℃までの範囲のポリエステル系樹脂フィルムを用いたので、乗員検知センサのコストの高騰を抑えることができる。
【0044】
請求項3は、端子とクッションパッドとの間に接着剤を介在させぬようにすることで、接着剤層のエッジから絶縁シートの一部をはみ出した形態としたとする。そして、端子に被せた保護シートを延長し、接着剤層のエッジを超えて、クッションパッドと接着剤層との間に介在させることで、保護シートの延長部で絶縁シートの曲折防止ステーの役割をさせたので、乗員検知センサの導電体被膜の割れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施例の乗員検知センサを取付けた車両用シートの斜視図
【図2】図1の2−2線断面図
【図3】図1の3−3線断面図
【図4】本発明に係る第1実施例の乗員検知センサの取付構造の作用説明図
【図5】本発明に係る第2実施例の乗員検知センサの横断面図
【符号の説明】
10…車両用シート、19…クッションパッド、30,40…乗員検知センサ、31…絶縁シート、32…導電体被膜、33…端子、34,44…保護シート、35…接着剤、41…エッジ、44a…延長部。
Claims (3)
- 絶縁シート上に導電体被膜を形成し、この導電体被膜に端子を取付けた乗員検知センサを、前記導電体被膜を被接着面として車両用シートのクッションパッドに接着剤を介して取付けた乗員検知センサの取付構造において、
前記接着剤は、低温脆化温度が−50℃より低温であり、ビカット軟化点温度が前記絶縁シートの熱変形温度に対応する温度を上限とし、70℃を下限とし、この上・下限値の間にあるホットメルト系接着剤であることを特徴とする乗員検知センサの取付構造。 - 前記絶縁シートは、熱変形温度が185℃から195℃までの範囲のポリエステル系樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1記載の乗員検知センサの取付構造。
- 端子とクッションパッドとの間に接着剤を介在させぬようにすることで、接着剤層のエッジから絶縁シートの一部をはみ出した形態としたときに、端子に被せた保護シートを延長し、前記接着剤層のエッジを超えて、クッションパッドと接着剤層との間に介在させることで、保護シートの延長部で絶縁シートの曲折防止ステーの役割をさせたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の乗員検知センサの取付構造。
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