JP3638107B2 - スペクトル拡散信号復調装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スペクトル拡散信号復調装置に関し、特に、セルラー通信システム、構内無線通信システム、あるいは無線LANシステム等に用いられ、干渉除去能力を向上させたスペクトル拡散信号復調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
スペクトル拡散信号による通信では、送信しようとする変調シンボルに対して高速な拡散符号でさらに変調をかけ(これを2次変調という)、情報帯域幅以上のスペクトル幅を有する信号として情報を伝送する。受信側においては、受信信号に対して逆拡散を行い変調シンボルを抽出する。ここで逆拡散とは、1変調シンボルに割り当てられた拡散符号の共役複素数と受信信号の畳込み積分を行う処理のことである。この結果得られるシンボル相関値が復調シンボルであり、従来技術ではこの1シンボル分の相関値をそのまま復調シンボルとして送信情報抽出の対象としている。
【0003】
変調シンボルは、送信情報がそのまま変調されている場合や、送信情報に対して誤り訂正のための符号化が施されたあとで変調されている場合がある。受信方法としては復調シンボルから送信情報を直接抽出する方法や、あるいは干渉局の復調シンボルから干渉成分を複製しこれを受信信号から減じた後で目的とする送信情報を抽出する方法などがある。
【0004】
後者の受信方法、すなわち干渉除去による受信方法において、パイロットシンボルの有無にかかわらず適用できる方法の一例を、図10を参照して説明する。受信信号1は、シンボル相関検出手段11と減算器13に入力する。シンボル相関検出手段11は1シンボル分の相関値を求め、干渉信号複製手段12に出力する。干渉信号複製手段12は、入力してきた相関値をそれぞれの送信シンボルのタイミングに合わせて拡散符号で再度拡散することにより、受信信号に含まれる個々のスペクトル拡散信号の複製を作成する。減算器13は、受信信号1から複製信号を除去し、シンボル相関検出手段14は該複製信号除去後の受信信号と該受信信号に含まれる個々のスペクトル拡散信号に割り当てられた拡散符号との相関値を求める。情報復調手段15は該相関値を復調し、復調情報として出力する。
【0005】
次に、パイロットシンボルが有る伝送方式にのみ適用できる方法を、図11を参照して説明する。なお、図10と同一の符号は同一または同等の機能を有しているので、説明を省略する。伝送路推定手段16は、シンボル相関検出手段11で検出されたパイロットシンボルから伝送路状態を推定し、シンボル判定手段17は1シンボル分の相関値からシンボルを仮判定する。干渉信号複製手段12は、該仮判定結果に対してその伝送路推定値を乗じて、これを干渉成分の複製とする。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記した従来の干渉除去による受信方法は、いずれも、1シンボル分の相関値から個々の復調シンボルを決定するために、1シンボル分の相関値に含まれる雑音成分が複製干渉信号の品質を劣化させ、干渉除去の精度を低下させるという問題があった。
【0007】
本発明は、前記従来技術の問題点を除去し、個々の復調シンボルに含まれる雑音成分を低減し、干渉除去の効果をより大きくしたスペクトル拡散信号復調装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は、スペクトル拡散信号を入力とするスペクトル拡散信号復調装置において、スペクトル拡散信号に割り当てられた拡散符号と受信信号とのシンボル相関値を検出するシンボル相関検出手段と、該シンボル相関検出手段で検出されたシンボル相関値に基づいて送信シンボルを判定するシンボル判定手段と、該シンボル判定手段によって判定されたシンボル判定結果に基づいてシンボル相関値を修正する相関値修正手段とを具備し、前記相関値修正手段は、1シンボル相関値をnシンボル(nは2以上の整数)遅延する第1のシンボル遅延器と、前記シンボル判定結果をnシンボル遅延する第2のシンボル遅延器と、前記1シンボル相関値と前記シンボル判定結果の共役複素数の積を求める第1の乗算手段と、前記第1のシンボル遅延器で遅延された1シンボル相関値と前記第2のシンボル遅延器で遅延されたシンボル判定結果の積を求める第2の乗算手段と、前記第1、第2の乗算手段の各出力、および前記第1のシンボル遅延器でmシンボル(mはnより小さい整数)遅延された1シンボル相関値の平均値を求める手段を具備するようにした点に第1の特徴がある。
【0009】
また、本発明は、スペクトル拡散信号に割り当てられた拡散符号と受信信号とのシンボル相関値を検出するシンボル相関検出手段と、該シンボル相関検出手段で検出されたシンボル相関値に基づいて送信シンボルを判定すると共に、シンボル判定結果の信頼度を出力する信頼度付きシンボル判定手段と、該信頼度付きシンボル判定手段によって判定されたシンボル判定結果に基づいてシンボル相関値を修正する相関値修正手段とを具備し、前記相関値修正手段は、1シンボル相関値をnシンボル(nは2以上の整数)遅延する第1のシンボル遅延器と、前記シンボル判定結果をnシンボル遅延する第2のシンボル遅延器と、
前記1シンボル相関値と前記シンボル判定結果の共役複素数の積を求める第1の乗算手段と、前記第1のシンボル遅延器で遅延された1シンボル相関値と前記第2のシンボル遅延器で遅延されたシンボル判定結果の積を求める第2の乗算手段と、前記第1、第2の乗算手段の各出力、および前記第1のシンボル遅延器でmシンボル(mはnより小さい整数)遅延された1シンボル相関値の平均値を求める手段を具備するようにした点に第2の特徴がある。
【0010】
本発明の第1、第2の特徴によれば、従来の軟判定基準による複製信号除去方式の特徴であるパイロットシンボルフリー(パイロットシンボルなどチャネル状態を推定するための既知の情報が伝送されない方式でも適用できること)を維持しつつ、干渉除去能力を向上させることができる。また、パイロットシンボルがある伝送方式に適用した場合でも、干渉除去能力を同様に向上させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態のスペクトル拡散信号復調装置の構成を示すブロック図である。この実施形態は、パイロットシンボルがある伝送方式に適用できることは勿論、パイロットシンボルが無い伝送方式にも適用可能である。
【0012】
シンボル相関検出手段111〜11Kは、除去するスペクトル拡散信号に割り当てられた拡散符号と受信信号との相関を検出するものであり、相関器あるいは整合フィルタあるいはこれらに準ずるもので実現される。
【0013】
図2は、整合フィルタを用いて該シンボル相関検出手段111を構成した一具体例のブロック図である。なお、シンボル相関検出手段112〜11Kはシンボル相関検出手段111と同構成であるので、説明を省略する。整合フィルタ21は受信信号1と拡散符号との瞬時相関値aを求める。パス検出器22はその結果から目的とする信号の存在を検出する。フィンガ捕捉器23は、検出されたパス情報(ある種のタイミング情報)に基づいて瞬時相関値aを捕捉し、これを1シンボル相関値b1 として出力する。
【0014】
シンボル判定手段121は、1または複数の1シンボル相関値b1 〜bk を同相で合成して、すなわちダイバシチ合成をして、シンボル判定するものである。シンボル判定は符号だけを出力する硬判定、またはシンボル判定結果の信頼度を出力する信頼度付きシンボル判定、例えば、符号と合成信号強度を出力する軟判定を用いることができる。なお、前記信頼度付きシンボル判定は、より確からしい判定結果には大きな値を出力し、確からしさの小さい判定結果には小さな値を出力する、つまり判定結果の確からしさに重み付けをして判定するものである。伝送路に反射物などがある場合あるいは受信系統が複数ある場合には、同一の送信信号が複数のパスを通って受信されるので、複数の1シンボル相関値b1 〜bk を同相合成することは有意義である。
【0015】
シンボル判定手段121の一具体例を図3に示す。それぞれの1シンボル相関値b1 〜bk に対して、これらの直前のシンボル相関値がシンボル遅延器31〜3Kに記憶されており、その共役複素数値が共役演算器41〜4Kより出力される。乗算器51〜5Kは、前記1シンボル相関値b1 〜bk と共役演算器41〜4Kの出力とを乗算して出力する。この結果、伝送路で受ける位相回転が取り除かれ、合成器32においてK個の1シンボル相関値を同相合成することができる。シンボル判定器33は、合成された1シンボル相関値から復調シンボルを判定する。
【0016】
相関値修正手段131〜13Kは、本発明によって新規に提案される手段であり、シンボル相関検出手段111〜11Kから出力される1シンボル相関値b1 〜bk とシンボル判定手段121が出力するシンボル判定結果を入力として、シンボル相関値b1 〜bk の修正を行う。
【0017】
図4に、連続する3シンボルの相関値に基づいて相関値を修正する相関値修正手段131の一具体例を示す。なお、他の相関値修正手段132〜13Kも同構成である。入力された1シンボル相関値b1 は、2つのシンボル遅延器61、62によって、2シンボル前までが記憶される。シンボル判定結果cはシンボル遅延器63によってシンボル前までが記憶される。現在のシンボル判定結果cは共役演算器64によって共役値が計算されて、現在の1シンボル相関値b1 と乗算器65にて乗じられる。一方、2シンボル前の入力については、シンボル前のシンボル判定結果c' と2シンボル前の1シンボル相関値b1'が乗算器66で乗じられる。これら2つの乗算結果と1シンボル前の1シンボル相関値は加算器67で加算され、この加算値(合計値)を除算器68において“3”で除し、その結果を修正したシンボル相関値d1 とする。
【0018】
図1の相関値修正手段131〜13K以後のブロックは、従来技術で用いられているものと同等である。すなわち、干渉信号複製手段141〜14Kは、干渉信号のシンボル相関値d1 〜dk を該当する拡散符号でスペクトル拡散し、場合によってはこのスペクトル拡散信号に対して波形整形や信号強度の抑圧を施し、これを干渉信号の複製e1 〜ek として出力する。
【0019】
図5は干渉信号複製手段141の一具体例である。なお、他の干渉信号複製手段142〜14Kも同構成である。入力されたシンボル相関値d1 は、乗算器71で抑圧係数(通常1以下)と乗じられ、その強度が弱められる。次に再拡散器72によって所定の拡散符号で再拡散された後に、波形整形器73で拡散信号の帯域が制限された信号波形を干渉信号の複製e1 として出力する。
【0020】
減算信号151は、受信信号1から干渉信号複製手段141〜14Kが出力する複製e1 〜ek を減じ、これを干渉除去後の受信信号として出力する。シンボル相関検出手段161は、復調の対象となるスペクトル拡散信号に割り当てられた拡散符号と干渉除去後の受信信号との相関を検出する。情報復調手段171は、目的とする復調シンボルに基づいて送信情報の復元を行うものであり、誤り訂正符号化などが施されていない伝送方式であれば、シンボル判定手段121と同様の操作を行う。一方、誤り訂正符号化などが施されていれば、それら符号化法に対応した復号操作を行う。
【0021】
次に、本実施形態の効果を数式を用いて説明する。除去するスペクトル拡散信号のチャネル状態をa、時刻tに対応する送信シンボルをd、シンボル相関検出手段111が出力する時刻に対応する1シンボルの相関値をs、sに含まれる雑音成分をnとすると、シンボル相関検出手段111の出力は下記の(1) 式で表される。
=a・d+n …(1)
なお、全ての記号は複素数とする。また、説明を簡単にするために|d|=1とする。
【0022】
シンボル判定手段121が出力する、時刻tに対応する差動シンボル判定結果をΔ^dとする。もし、この判定結果が正しければ(2) 式の関係となる。ここで、xはxの共役複素数である。
Δ^d=d・d t−1 …(2)
相関値修正手段131が出力する、時刻tに対応する修正相関値^sは、図4より、下記の(3) 式となる。
^s=1/3(st−1 ・Δ^d+s+st+1 ・Δ^d t+1 ) …(3) (1) 式と(2) 式を、(3) 式に代入すれば、下記の(4) 式となる。
【0023】
^s=1/3(st−1 ・Δ^d+s+st+1 ・Δ^d t+1
=1/3[(adt−1 +nt−1 )d・d t−1 +(ad+n)+(adt+1 +nt+1 )d t+1 ・d
=a・d+1/3(n' t−1 +n+n' t+1 ) …(4)
ここで、n' t−1 =nt−1 ・d・d t−1 、n' t+1 =nt+1 ・d t+1 ・dである。|d|=1であるから、n' の分散値はnの分散値と同じである。
【0024】
よって、相関値修正手段131が出力する復調シンボルに含まれる目的信号電力はa、雑音電力はnの分散をNとして、3N/3=N/3となる。一方、前記(1) 式より、1シンボル相関検出手段111が出力する復調シンボルに含まれる目的信号電力はaであるものの雑音電力はNである。すなわち,本実施形態の効果として、復調シンボルに含まれる雑音電力を1/3倍に低減できる。
【0025】
シンボル判定手段121が出力するシンボル判定結果Δ^dに誤りがある場合には、1/3倍より大きい雑音電力になるが、シンボル判定誤り率が実用的なレベル(10%程度以下)であれば改善効果を得ることができる。
【0026】
次に、本発明の第2実施形態について、図6を参照して説明する。図6は本実施形態の構成を示すブロック図である。この実施形態は、パイロットシンボルを有する伝送方式に適用可能である。
【0027】
シンボル相関検出手段211〜21Kは、第1実施形態のシンボル相関検出手段111〜11Kと同一または同等の構成であるので、説明を省略する。
【0028】
伝送路推定手段231〜23Kは、復調シンボルの中からパイロットシンボルを抽出し、その抽出されたパイロットシンボルと本来送信されるはずのパイロットシンボルパターンとを比較することにより、伝送路の状態を推定するものである。
【0029】
シンボル判定手段221は、1または複数の1シンボル相関値f1 〜fk をそれら伝送路状態に基づいて同相で合成して、すなわちダイバシチ合成して、シンボル判定するものである。シンボル判定は、符号だけを出力する硬判定、またはシンボル判定結果の信頼度を出力する信頼度付きシンボル判定、例えば、符号と合成信号強度を出力する軟判定を用いることができる。伝送路に反射物などがある場合あるいは受信系統が複数ある場合には、同一の送信信号が複数のパスを通って受信されるので、通常は複数の1シンボル相関値を同相合成する。
【0030】
シンボル判定手段221の一具体例を図7に示す。シンボル判定手段221には、それぞれの1 シンボル相関値f1 〜fk とそれらに対応する伝送路推定値g1 〜gk が入力される。伝送路推定値g1 〜gk は共役演算器81〜8Kを通して共役複素数に変換された後、乗算器91〜9Kにより1シンボル相関値f1 〜fk に乗じられ、伝送路で受ける位相回転が取り除かれる。この結果、合成器101において、複数の1シンボル相関値f1 〜fk を同相合成することができる。シンボル判定器102は、合成された1シンボル相関値から復調シンボルを判定し、シンボル判定結果hを出力する。
【0031】
相関値修正手段241〜24Kは、本発明によって新規に提案される手段であり、シンボル相関検出手段211〜21Kから出力される1シンボル相関値f1 〜fk と、シンボル判定手段221が出力するシンボル判定結果hを入力として、シンボル相関値f1 〜fk の修正を行う。
【0032】
図8に、相関値修正手段241の一具体例を示す。なお、他の相関値修正手段242〜24Kも、同一または同等の構成である。入力されたシンボル判定結果hは、共役演算器103によって共役複素数が取られ、乗算器104にて入力された1シンボル相関値f1 と掛け合わされる。平均値演算器105は、この乗算結果に対して複数のシンボルにわたって平均値を求める処理を行う。一方、遅延器106は平均値演算器105の処理に要する時間だけシンボル判定結果hを記憶する。乗算器107は、シンボル相関値f1 とシンボル判定結果hの共役複素数との積を平均値演算器105で平均した結果と、シンボル判定結果hの記憶値を掛け合わせて出力するものである。
【0033】
相関値修正手段241〜24K以後の構成、すなわち干渉信号複製手段251〜25K、減算器261、シンボル相関検出手段271、および情報復調手段281は、前記第1実施形態の対応する手段と同一または同等であるので、説明を省略する。なお、本実施形態の干渉信号複製手段251〜25Kには、相関値修正手段241〜24Kから出力されたシンボル相関値i1 〜ik が入力するが、図11に示した従来の干渉信号複製手段12には、シンボル相関値の入力はなく、伝送路推定値(伝送路推定手段17の出力)とシンボル判定結果(シンボル判定手段17の出力)の2種類の信号が入力する。このため、本実施形態の干渉信号複製手段251〜25Kと従来の干渉信号複製手段12とは、異なるものである。 次に、この第2実施形態による効果について数式を用いて説明する。ここで用いる記号は、第1実施形態で用いたものと同じ意味を有している。
【0034】
シンボル判定手段221が出力する、時刻tに対応するシンボル判定結果を^dとする。もし、この判定結果が正しければ下記(5) 式の関係となる。
^d=d …(5)
相関値修正手段241の平均値演算器105(図8参照)において求める平均値をSとする。例として、平均をとる区間を連続するmシンボル時間(mは、正の整数)とすると、Sは図9の(6) 式で与えられる。
【0035】
次に、相関値修正手段241の出力i1 (=^s)は次の(7) 式のようになる。
^s=S・^d (ただし、j+1≦t≦j+m)…(7)
次に、(6) 式に(1) 式を代入すると、図9の(8) 式が得られ、(7) 式に(5) および(8) 式を代入すると、図9の(9) 式が得られる。
【0036】
よって、修正された相関値^sに含まれる目的信号電力はa、雑音電力はnの分散をNとして、mN/m=N/mとなる。すなわち,本発明の第2実施形態の効果として、復調シンボルに含まれる雑音電力を1/m倍に低減できる。
【0037】
シンボル判定手段221が出力するシンボル判定結果^dに誤りがある場合には、1/m倍より大きい雑音電力になるが、シンボル判定誤り率が実用的なレベル(10%程度以下)であれば改善効果を得ることができる。
【0038】
一例を挙げれば、dをBPSK信号としてそのビット誤り率が8%のとき、受信シンボル電力とシンボル相関値に含まれる熱雑音電力が等しい場合(a=N)でも、m=2で0.3dB(0.92倍)、m=4で0.9dB(0.82倍)、m=8で1.4dB(0.73倍)程度の改善(雑音電力の減少)がある。しかも平均区間シンボル長であるmは自由に設定することができるので、必要な分だけ特性を改善することが可能である。
【0039】
一方、図11に示した従来のスペクトル拡散信号復調装置では、仮にシンボル判定誤りが無いとしても、複製干渉信号の精度はパイロットに含まれる受信電力でほぼ決まるので、受信側だけの処理では品質改善が難しい。また、シンボル判定に誤りがある場合には、シンボル判定結果を直接再拡散するので、複製干渉信号の精度劣化が本第2実施形態に比べて大きい。
【0040】
以上示したように本発明によれば、干渉信号のシンボル相関値を修正することにより、精度良く干渉除去を行うことが可能である。
【0041】
なお、上記した第1、第2実施形態は一例であり、加減乗除の順序性や相関値平均区間の選び方などに無関係で、複数のシンボル相関値とシンボル仮判定結果に基づいて一つ以上のシンボル相関値を修正するもの一切を本発明は含んでいる。
【0042】
また、シンボル相関値の信号対雑音電力比(SNR)と修正シンボル相関値のSNRの関係が、前記(1) 式、(4) 式または(9) 式で示したSNRの関係と同一になるものは、前記実施形態と等価である。
【0043】
シンボル判定とは通常、送信シンボルが取りうる値を最終的に判定する前に判定することを意味する。しかし、シンボル判定結果の取りうる値が送信シンボルの取りうる値以外のものであっても、本実施形態と同様の効果を得ることができる。一例としては、送信シンボルが取りうる値に一定量のオフセットを与えた判定であっても、ここで示した実施形態と同じ効果が得られる。あるいは、シンボル判定結果の取りうる値の総数が、送信シンボルが取りうる値の総数と異なっていても、その取りうる値の選び方によっては本実施形態と同様の効果が得られる可能性がある。
【0044】
すなわち、本発明の主要部分は、時刻の異なる複数のシンボル相関値に対して複素重み付け平均値(実数重み付けも含む。重み付け係数の大きさが全て1の場合も含む)を求めてシンボル相関値を修正する点にあり、その平均の仕方やシンボルの判定方法を変更することによって、本発明の範囲から逸脱できるものではない。
【0045】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、シンボル判定手段によって判定された受信シンボルの判定結果に基づいてシンボル相関値を修正するようにしたので、雑音レベルが小さい干渉信号を複製できるようになる。また、このため、このようにして得られた雑音レベルが小さい複製信号を受信信号あるいはすでに一部の干渉成分が除去された後の受信信号から減じることで、干渉除去能力を向上させることができるようになる。また、本発明は、パイロットシンボルを用いない伝送方式においても柔軟に適応できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】 本実施形態のシンボル相関検出手段の一具体例を示すブロック図である。
【図3】 本実施形態のシンボル判定手段の一具体例を示すブロック図である。
【図4】 本実施形態の相関値修正手段の一具体例を示すブロック図である。
【図5】 本実施形態の干渉信号複製手段の一具体例を示すブロック図である。
【図6】 本発明の第2実施形態の構成を示すブロック図である。
【図7】 本実施形態のシンボル判定手段の一具体例を示すブロック図である。
【図8】 本実施形態の相関値修正手段の一具体例を示すブロック図である。
【図9】 数式の説明図である。
【図10】 従来装置の一例を示すブロック図である。
【図11】 従来装置の他の例を示すブロック図である。
【符号の説明】
111〜11K,211〜21K…シンボル相関検出手段、121,221…シンボル判定手段、131〜13K,241〜24K…相関値修正手段、141〜14K,251〜25K…干渉信号複製手段、151,261…減算器、161,271…シンボル相関検出手段、171,281…情報復調手段。

Claims (4)

  1. スペクトル拡散信号を入力とするスペクトル拡散信号復調装置において、
    スペクトル拡散信号に割り当てられた拡散符号と受信信号とのシンボル相関値を検出するシンボル相関検出手段と、
    該シンボル相関検出手段で検出されたシンボル相関値に基づいて送信シンボルを判定するシンボル判定手段と、
    該シンボル判定手段によって判定されたシンボル判定結果に基づいてシンボル相関値を修正する相関値修正手段とを具備し、
    前記相関値修正手段は、
    1シンボル相関値をnシンボル(nは2以上の整数)遅延する第1のシンボル遅延器と、
    前記シンボル判定結果をnシンボル遅延する第2のシンボル遅延器と、
    前記1シンボル相関値と前記シンボル判定結果の共役複素数の積を求める第1の乗算手段と、
    前記第1のシンボル遅延器で遅延された1シンボル相関値と前記第2のシンボル遅延器で遅延されたシンボル判定結果の積を求める第2の乗算手段と、
    前記第1、第2の乗算手段の各出力、および前記第1のシンボル遅延器でmシンボル(mはnより小さい整数)遅延された1シンボル相関値の平均値を求める手段を具備することを特徴とするスペクトル拡散信号復調装置。
  2. スペクトル拡散信号を入力とするスペクトル拡散信号復調装置において、
    スペクトル拡散信号に割り当てられた拡散符号と受信信号とのシンボル相関値を検出するシンボル相関検出手段と、
    該シンボル相関検出手段で検出されたシンボル相関値に基づいて送信シンボルを判定するシンボル判定手段と、
    該シンボル判定手段によって判定されたシンボル判定結果に基づいてシンボル相関値を修正する相関値修正手段とを具備し、
    前記相関値修正手段は、
    前記シンボル判定結果の共役複素数を求める共役演算手段と、
    該共役演算手段で求められた共役複素数を、1シンボル相関値に乗ずる第1の乗算手段と、
    該第1の乗算手段の乗算結果を1より大きいシンボルにわたって平均する平均化手段と、
    シンボル判定結果を遅延する遅延手段と、
    前記平均化手段と遅延手段の出力を乗ずる第2の乗算手段とを具備することを特徴とするスペクトル拡散信号復調装置。
  3. スペクトル拡散信号を入力とするスペクトル拡散信号復調装置において、
    スペクトル拡散信号に割り当てられた拡散符号と受信信号とのシンボル相関値を検出するシンボル相関検出手段と、
    該シンボル相関検出手段で検出されたシンボル相関値に基づいて送信シンボルを判定すると共に、シンボル判定結果の信頼度を出力する信頼度付きシンボル判定手段と、
    該信頼度付きシンボル判定手段によって判定されたシンボル判定結果に基づいてシンボル相関値を修正する相関値修正手段とを具備し、
    前記相関値修正手段は、
    1シンボル相関値をnシンボル(nは2以上の整数)遅延する第1のシンボル遅延器と、
    前記シンボル判定結果をnシンボル遅延する第2のシンボル遅延器と、
    前記1シンボル相関値と前記シンボル判定結果の共役複素数の積を求める第1の乗算手段と、
    前記第1のシンボル遅延器で遅延された1シンボル相関値と前記第2のシンボル遅延器で遅延されたシンボル判定結果の積を求める第2の乗算手段と、
    前記第1、第2の乗算手段の各出力、および前記第1のシンボル遅延器でmシンボル(mはnより小さい整数)遅延された1シンボル相関値の平均値を求める手段を具備することを特徴とするスペクトル拡散信号復調装置。
  4. スペクトル拡散信号を入力とするスペクトル拡散信号復調装置において、
    スペクトル拡散信号に割り当てられた拡散符号と受信信号とのシンボル相関値を検出するシンボル相関検出手段と、
    該シンボル相関検出手段で検出されたシンボル相関値に基づいて送信シンボルを判定すると共に、シンボル判定結果の信頼度を出力する信頼度付きシンボル判定手段と、
    該信頼度付きシンボル判定手段によって判定されたシンボル判定結果に基づいてシンボル相関値を修正する相関値修正手段とを具備し、
    前記相関値修正手段は、
    前記シンボル判定結果の共役複素数を求める共役演算手段と、
    該共役演算手段で求められた共役複素数を、1シンボル相関値に乗ずる第1の乗算手段と、
    該第1の乗算手段の乗算結果を1より大きいシンボルにわたって平均する平均化手段と、
    シンボル判定結果を遅延する遅延手段と、
    前記平均化手段と遅延手段の出力を乗ずる第2の乗算手段とを具備することを特徴とするスペクトル拡散信号復調装置。
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