JP3637974B2 - ピロリジン誘導体 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、医薬として有用なピロリジン誘導体またはその薬理学的に許容できる塩に関する。更に詳しくは、降圧作用を有するピロリジン誘導体およびその薬理学的に許容される塩に関する。
【0002】
【発明の背景及び従来技術】
高血圧症は、日本人の約20%が罹患しているといわれているほど、患者数の多い疾患であるが、その病態・原因は実に多種多様である。とりわけ、原因においては、はっきりしないというものが多く、高血圧症と診断された患者のうち、原因をはっきり限定し得ないいわゆる本態性高血圧の患者は、7割にものぼると言われている。高血圧症から脳内出血などの各種脳疾患、心不全などの心疾患等、重篤な疾患に移行するケースや、重篤な合併症を持つケースが多く、その早期の適切な治療が今重要な問題となっている。
【0003】
現在、高血圧症の薬物治療としては、降圧利尿剤、β遮断剤、カルシウム拮抗剤、ACE阻害剤など様々な作用機序の薬剤が実際に臨床上用いられているが、上述の通り高血圧症の病態・原因は究めて多種多様であるため、あらゆるタイプの高血圧を優位にコントロールすることは現段階では困難である。また、安全性の面から言えば、例えば、β遮断剤には心抑制や、気管支れん縮、利尿薬には、高尿酸血症、電解質異常、糖質代謝異常等が、カルシウム拮抗剤には房室ブロックや一過性心停止などが見られることもあり、更に、ACE阻害剤には空咳等が見られる。よって、特に、合併症を持つ患者に対する薬剤の選択は、かなり困難であり、細心の注意を払う必要がある。
【0004】
このような状況から、更に違ったタイプの異なった作用機序を持つ薬剤が今尚渇望されている。
【0005】
そこで本発明者等は、新しいタイプの降圧剤、特に腎血流増加作用を有する降圧剤を開発するため、特にドパミン作用物質について、長期にわたって鋭意研究を重ねてきたが、以下に示すピロリジン誘導体が優れた作用を有することを見いだした。
【0006】
米国特許第2852526号は、ピロリジン誘導体が開示されているが、本発明化合物とは構造を異にしている上、気管支拡張作用、抗ヒスタミン作用、抗コリン作用を有しているという記載があるのみで本発明化合物の薬効とは著しく異なる。
【0007】
また、腎血管拡張作用を有する化合物としてフェノールドパムが提案されているが、この化合物はベンズアゼピン系化合物であり、本発明化合物とはその構造を異にする。
【0008】
また更に、特開平2−288855号および特開平3−118361号にも腎血流増加作用を有する降圧剤として、ピロリジン誘導体が開示されているが、本発明化合物は、これら化合物と構造を異にする。
【0009】
【発明の構成】
本発明は、以下の一般式(I)に示すピロリジン誘導体及びその薬理学的に許容できる塩である。
【0010】
【化3】
Figure 0003637974
【0011】
[式中Yは、式−NH−で示される基、−(CH2n −(式中nは0、1、2の整数を意味する。)で示される基、式
【0012】
【化4】
Figure 0003637974
【0013】
(式中pは0、1、2の整数を意味する。)で示される基を意味する。
1 、R2 は、同一または相異なる水素原子、水酸基、式−SO2 NR34 (式中R3 、R4 は水素原子、低級アルキル基またはアシル基を意味する。更にR3 及びR4 は、結合している窒素原子と一緒になって環を形成していてもよい。)で示される基または式−NR56 (式中R5 、R6 は同一または相異なる水素原子、アルキルスルホニル基またはアシル基を意味する。ただし、R5 、R6 ともに水素原子である場合は除くものとする。また、R5 、R6 は結合している窒素原子と一緒になって環を形成していてもよい。)で示される基を意味する。
ただし、R1 、R2 がともに水素原子または水酸基である場合、及びR1 とR2 のいずれか一方が水素原子、残りの他方が水酸基の時は除くものとする。]
【0014】
3 、R4 の定義に見られる低級アルキル基とは、炭素数1〜6の直鎖状または分枝状のアルキル基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソプロピル、イソブチル、1−メチルプロピル、tert−ブチル、n−ペンチル、1−エチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシルなどを意味するが、最も好ましい例としては、メチル基、エチル基を挙げることができる。
【0015】
更に、上記低級アルキル基は、トリフルオロメチルなどのようにハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0016】
3 、R4 の定義に見られる「R3 とR4 が結合している窒素原子と一緒になって環を形成していてもよい。」とは、ピロリジニル基やピペリジニル基などを一例としてあげることができる。
【0017】
5 、R6 の定義に見られるアルキルスルホニル基において、アルキルとは、上記低級アルキル基と同様の意味を有する。
また、「R5 とR6 が結合している窒素原子と一緒になって環を形成していてもよい」とは、ピロリジニル基やピペリジニル基などを一例としてあげることができる。
【0018】
本発明において、薬理学的に許容できる塩とは、例えば、塩酸塩、硫酸塩、臭化水素酸塩、りん酸塩などの無機酸塩、蟻酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩などの有機酸塩を挙げることができる。
化合物によっては、水和物を形成する場合もあるが、それらが本発明の範囲に属することは言うまでもない。
【0019】
また、本発明化合物は、その化学構造式から明らかなように、各種異性体が存在し得る。すなわち、シス・トランスの立体異性体のほかに、d体、l体などの光学異性体が存在する。これらの異性体が本発明の範囲に属することは言うまでもない。
【0020】
次に本発明化合物の主な製造方法を示す。
【0021】
製造方法1
本発明化合物は、上述のようにシス体とトランス体が存在する。トランス体の製造方法を述べれば以下のとおりである。
(第1工程)
【0022】
【化5】
Figure 0003637974
【0023】
(一連の式において、Y、R及びRは前記と同様の意味を有する。)
一般式(II)で表される化合物と一般式(III)で表されるβ−ニトロアリールエテン誘導体とを反応せしめて、一般式(IV)で表される化合物を製造する工程である。
本反応は常法によるが、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジグリムなどのエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエンなどに炭化水素系溶媒、N,N´−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイドなどの溶媒を用い、塩基の存在下で反応を行う。具体的に好ましい一例を挙げれば、テトラヒドロフラン中低温下にn−ブチルリチウムとジイソプロピルアミンによりリチウムジイソプロピルアミドを調整させ、これに一般式(II)で表される化合物のテトラヒドロフラン溶液を加え、次いで、一般式(III)で表される化合物のテトラヒドロフラン溶液を作用させて反応を行う。一般式(II)及び(IV)において、R 及びR 11は、水酸基の保護基を意味する。水酸基を保護し得る基であれば、いかなる基でもよいが、代表的なものとしては、メチル、エチル、プロピル、ブチルなどの低級アルキル基、ベンジル、フェネチルなどのアラルキル基、アセチル、プロピオニル、ブチロイル、ピバロイルなどのアシル基、テトラヒドロピラニル基、更に2つのRが一緒になってメチレン基などのアルキレン基を形成しても良い。これらのうち最も好ましいものは、メチル基、エチル基などの低級アルキル基、あるいは、2つのRが一緒になってメチレン基を形成する、すなわち、2つのRが一緒になって、メチレンジオキシを形成する場合を挙げることができる。また、一般式(II)及び(IV)において、Rは、カルボキシル基の保護基を意味する。カルボキシル基を保護し得る基であれば、いかなる基でもよいが、代表的なものとしては、メチル、エチル、プロピル、ブチルなどの低級アルキル基、ベンジル、フェネチルなどのアラルキル基などを挙げることができる。
(第2工程)
【0024】
【化6】
Figure 0003637974
【0025】
(式中、Y、R、R、R、R及び 11は前記の意味を有する。)
一般式(IV)で表されるニトロ化合物を金属・金属塩を用いた還元あるいは接触還元により、一般式(V)で示されるアミノ化合物を得る工程である。用いる金属・金属塩としては、亜鉛、鉄、塩化第1スズなどが、接触還元に用いる触媒としては、パラジウム・炭素、酸化白金、ラネーニッケルなどが用いられる。
(第三工程)
【0026】
【化7】
Figure 0003637974
【0027】
(一連の式中、Y、R 、R及び 11 は前記の意味を有する。)
一般式(V)で表される化合物を無溶媒あるいは、通常の有機溶媒中、加熱若しくは加温することにより閉環し一般式(VI)で示される5員環ラクタムを得る工程である。本反応は、通常、メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ジブロモエタン、ジクロロエタンなどのハロゲン化アルキル系溶媒、テトラヒドロフラン、ジグリムなどのエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイドなどの溶媒中で行われる。なお、高温下、あるいはオートクレーブ中高温下に第2工程のニトロ基の還元反応を行えば、化合物(V)を単離することなく閉環体(VI)を得ることができる。
(第4工程)
【0028】
【化8】
Figure 0003637974
【0029】
(一連の式中、Y、R 、R及び 11 は前記の意味を有する。)
一般式(VI)で示されるシス、トランスの5員ラクタムの混合物を塩基の存在あるいは非存在に有機溶媒中に加温することにより含まれるシス体を異性化し、一般式(VII)で示されるトランス体のみを得る工程である。
具体的に好ましい例を挙げると、カリウム t−ブトキシドの存在エタノールあるいは、エタノール−キシレンの混合溶媒中、あるいは、カリウムトリメチルシラノエイトの存在キシレン中で加熱して反応を行う。
【0030】
【化9】
Figure 0003637974
【0031】
(一連の式中、R 、R 11 及びYは前記の意味を有する。)
一般式(VII)で示されるトランス5員環ラクタムをジボラン、金属水素錯化合物により還元し、一般式(VIII)で示されるピロリジン誘導体を製造する工程である。金属水素化合物としては、水素化アルミニウムリチウム、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムが好ましく、エーテル、テトラヒドロフラン、ジグリム等のエーテル系溶媒、あるいは、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒中で行われる。
(第6工程)
【0032】
【化10】
Figure 0003637974
【0033】
(一連の式中、R 、R 11 及びYは前記の意味を有する。)
一般式(VIII)で示される化合物を三臭化ホウ素、三塩化ホウ素、臭化水素酸、ヨウ化水素酸または他のエーテル開裂剤で処理して保護基を除去し、一般式(IX)で示される化合物を製造する工程である。
【0034】
製造方法2
【0035】
一般式(I)の化合物は、シス、トランスの位置異性体の他にd体、l体の光学異性体を含む。光学異性体分割は、通常の方法によるが、例えばキラルカラムなどの光学異性体分離用カラムに付す方法、(+)−酒石酸、(+)−しょうのう酸、(+)−ジベンゾイル酒石酸、(+)−10−しょうのうスルホン酸、(+)−マンデル酸などの光学活性酸との塩を適当な溶媒から分別結晶する方法などが挙げられる。また、一般式(VIII)で表される化合物の段階またはその誘導体で、上記と同様な方法で光学分割し、第6工程に付して一般式(I)で表される化合物の光学活性体を得ることができる。
【0036】
製造方法3
一般式(I)において、Yが式−CH2 −で示される基、すなわちn=1の時、例えば、以下の方法によっても製造することができる。
(第1工程)
【0037】
【化11】
Figure 0003637974
【0038】
(一連の式中、X、R1 、R2 、R7 は、前記と同様の意味を有し、Gは、アミドの窒素原子の保護基である。)
一般式(X) で示される化合物のアミドの窒素原子を保護する工程である。アミドの窒素原子の保護基としては、例えば、置換基を有してもよいベンジル基、アシル基、アルコキシアルキル基などを挙げることができる。これらのうち好ましい基としては、ベンジル基、3、4−ジメトキシベンジル基、3−メトキシメチル基を挙げることができる。
本工程は、通常の方法によるが、好ましくは、例えば、上記の置換基を有してもよいベンジル基、アシル基などのハロゲン化物を化合物(X) と反応せしめることにより、化合物を得ることができる。本反応は、塩基の存在化に行うことが好ましい。塩基としては、例えば水酸化テトラブチルアンモニウムなどの水酸化アルキルアンモニウム、3級アミン、水素化ナトリウムなどの水素化金属などが用いられる。この際溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、エーテル、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが好ましく用いられる。
(第2工程)
【0039】
【化12】
Figure 0003637974
【0040】
(一連の式中、R 11 及びGは前記の意味を有する。)
一般式(XI)で示される化合物のカルボニル基のα位に置換基を導入する工程である。具体的に好ましい例を挙げると、テトラヒドラフラン中リチウムジイソプロピルアミドや水素化ナトリウムの存在下、一般式(XI)で示される化合物に一般式
Figure 0003637974
式中R 、R 及びR 11 は前記の意味を有する。Zはハロゲン、トルエンスルホニルオキシ基などの脱離基を意味する。)で表される化合物を加えて反応を行う。
(第3工程)
【0041】
【化13】
Figure 0003637974
【0042】
(一連の式中、R 11 及びGは前記の意味を有する。)
製造方法1で詳述した第4工程の方法に準じて反応を行う。すなわち、一般式(XII)で示されるシス、トランスの5員環ラクタムの混合物を、塩基の存在下あるいは非存在下に有機溶媒中に加温することにより含まれるシス体を異性化し、一般式(XIII)で示されるトランス体のみを得る工程である。具体的に好ましい例を挙げると、カリウム t−ブトキシドの存在下エタノールあるいはエタノールキシレンの混合溶媒中、あるいは、カリウムトリメチルシラノレイトの存在下キシレン中で加熱して反応を行う。
(第4工程)
【0043】
【化14】
Figure 0003637974
【0044】
(一連の式中、R 11 及びGは前記の意味を有する。)
製造方法1で詳述した第5工程の方法に準じて反応を行う。すなわち、一般式(XIII)で示される、トランス5員環ラクタムをジボラン、金属水素錯化合物により還元し、一般式(XIV)で示されるピロリジン誘導体を製造する工程である。金属錯化合物としては、水素化アルミニウムリチウム、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムが好ましく、エーテル、テトラヒドロフラン、ジグリムなどのエーテル系溶媒、あるいはベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒中で行われる。
(第5工程)
【0045】
【化15】
Figure 0003637974
【0046】
(一連の式中、R 11 及びGは前記の意味を有する。)
第一工程で導入した保護基を除去する工程である。第一工程で用いた反応試剤により、内容は異なるが、例えば第1工程でハロゲン化ベンジルを用いた場合は、パラジウム・炭素、
ラネーニッケル等の金属触媒下水素添加を行う。また、この工程は場合によっては、次の第6工程と共に同時に行うことができる。
(第6工程)
【0047】
【化16】
Figure 0003637974
【0048】
(一連の式中、R 及びR 11 は前記の意味を有する。)
製造方法1で詳述した第6工程の方法に準じて反応を行う。すなわち、一般式(XV)で示される化合物を、三臭化ホウ素、三塩化ホウ素、臭化水素酸、ヨウ化水素酸または他のエーテル開裂剤で処理して保護基を除去し、一般式(XVI)で示される化合物を製造する工程である。
【0049】
製造方法4
一般式(I)の化合物の光学活性体を得る方法として、製造方法2に示す如く目的化合物のラセミ体を最後の工程で光学分割する方法も用いられるが、以下に示すように中間体の時点で光学分割し、所望の光学活性体を得ることのできる中間体を用いて目的化合物を得る方法も有効である。
(第一工程)
【0050】
【化17】
Figure 0003637974
【0051】
(式中R9 は、カルボン酸の保護基を意味する。)
すなわち、一般式(XVIII) で表される化合物を一般式(XX)で示されるマロン酸エステル誘導体とを反応せしめて、一般式(XIX) で示される化合物を製造する工程である。
本反応は常法によるが、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジグライムなどのエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素系溶媒、N,N’−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイドなどの溶媒を用い、塩基の存在下で反応を行う。
具体的に好ましい一例を挙げれば、テトラヒドロフラン中低温下に水素化ナトリウムに一般式(XXI)で表される化合物のテトラヒドロフラン溶液を作用させ、次いで、一般式(XXII)で表される化合物のテトラヒドロフラン溶液を作用させて反応を行う。
【0052】
一般式(XXII)で示される化合物において、R9 は、カルボン酸の保護基を意味する。水酸基を保護し得る基であれば、いかなる基でもよいが、代表的なものとしては、メチル、エチル、プロピル、ブチルなどの低級アルキル基、ベンジル、フェネチルなどのアラルキル基、アセチル、プロピオニル、ブチロイル、ピバロイルなどのアシル基、テトラヒドロピラニル基、更に2つのR9 が一緒になってメチレン基などのアルキレン基を形成しても良い。 これらのうち最も好ましものは、メチル基、エチル基などの低級アルキル基、あるいは、2つのR9 が一緒になってメチレン基を形成する、すなわち、2つのR9 が一緒になって、メチレンジオキシを形成する場合を挙げることができる。
【0053】
(第二工程)
【0054】
【化18】
Figure 0003637974
【0055】
(一連の式中、R9 は前記の意味を有する。)
一般式(XIX) で表されるニトロエステルを還元環化させることによって、3位置換ピロリドンを合成する反応である。
反応は、常法によって行われる。例えば、一般式(XIX) で表されるニトロエステルを高温下、あるいは、オートクレーブ中高温下に、金属若しくは金属塩を用いた還元または接触還元を行うことにより、3位置換−ピロリドンを得る方法である。
用いる金属若しくは金属塩としては、亜鉛、鉄、塩化第一スズなどが好ましく、接触還元に用いる触媒としては、パラジウム・炭素、酸化白金、ラネーニッケルなどが用いられる。
【0056】
反応は、無溶媒でも進行するが、反応溶媒を用いる場合はメタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ジブロモエタン、ジクロロエタンなどのハロゲン化アルキル系溶媒、テトラヒドロフラン、ジグライムなどのエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイドなどを用いることができる。
(第三工程)
【0057】
【化19】
Figure 0003637974
【0058】
(一連の式中、R9 は、前記の意味を有する。)
すなわち、第二工程で得られた化合物(XXI) のカルボン酸を脱保護する反応である。
カルボン酸の保護基R9 によって、反応は異なるが、通常用いられる方法、例えば、加水分解や水素添加などを行うことによって目的を達成することができる。
加水分解は、水酸化ナトリウム等の塩基水溶液の他、塩酸などの酸を用いることができる。
置換ベンジル型の保護基であった場合は特に、種々の溶媒中、パラジウム・炭素、酸化白金などの触媒の存在下での水素添加が有用である。
また、保護基の変換を行った後、除去する等の手法も有効である。
(第四工程)
【0059】
【化20】
Figure 0003637974
【0060】
すなわち、第三工程で得られた化合物(XXII)を光学活性な塩基を用いて光学分割する工程である。
分割剤としては、光学活性なα−フェネチルアミン、ブルシン、シンコニン、シンコニジン、エフェドリンなど、特に限定はされないが、好ましくは、(−)または(+)のアミノジフェニルエタノールを含水エタノール中で作用させることを挙げることができる。
(第五工程)
【0061】
【化21】
Figure 0003637974
【0062】
第四工程で分割した光学活性な化合物(XXIII) をエステル化することによって、3−アルコキシカルボニルピロリドンを合成する工程である。
10は、カルボン酸の保護基を意味するが、メチル、エチル、プロピルなどの低級炭化水素の他、置換ベンジルなどの基が好ましく、これらに対応するアルコールと、化合物(XXIII) をDCC法やDPC法などの一般的方法により脱水縮合して、エステルを合成するものである。
(第六工程)
【0063】
【化22】
Figure 0003637974
【0064】
第五工程で得られた化合物(XXIII) に式
【0065】
【化23】
Figure 0003637974
【0066】
(式中Qは、脱離基を意味する。R、R及び 11 は前記の意味を有する。)で示されるアラルキル基を導入する工程である。反応は、塩基存在下に行うことができるが、好ましい塩基としては、反応に関与しないあらゆる有機塩基、例えば、水素化ナトリウムなどの水素化アルカリ金属、ナトリウムメチラー、カリウム t−ブトキシドなどの金属アルコラート、三級アミン、リチウムジイソプロピルアミドなどの他、反応に関与しないあらゆる無機塩基、例えば、炭酸カリウムなどを用いることができる。
反応溶媒としては、反応に関与しないあらゆる有機溶媒が用いられるが、例を挙げれば、ジメチルホルムアミド、DMSO、テトラヒドロフラン、ジオキサン及びエチルエーテルなどを挙げることができる。
(第7工程)
【0067】
【化24】
Figure 0003637974
【0068】
(一連の式中、R1 、R2 、R10、R11は、前記の意味を有する。)
第六工程で得られたピロリドン誘導体のアルコキシカルボニル基を、通常の方法により除去する工程である。
水酸化ナトリウム水溶液で加水分解した後酸処理し、脱炭酸することによる方法や、酢酸−硫酸中で加熱する方法あるいはR10が置換ベンジル基の場合に限れば、水素添加した後酸処理する方法などを挙げることができる。
(第八工程)
【0069】
【化25】
Figure 0003637974
【0070】
(一連の式中、R11は、前記の意味を有する。)
製造方法1で詳述した第四工程の方法に準じて反応を行う。
すなわち、一般式(XVII)で示される五員環ラクタムの混合物を塩基の存在下あるいは非存在下に有機溶媒中に加温することにより含まれるシス体を異性化し、一般式(XXIX)で示されるトランス体のみを得る工程である。具体的に好ましい例を挙げると、カリウム t−ブトキシドの存在下エタノールあるいはエタノール−キシレンの混合溶媒中加熱して反応を行うか、カリウムトリメチルシラノエイトの存在下キシレン中で加熱して反応を行うか、あるいはメタノール中水酸化ナトリウムの存在下加熱して行う。
(第九工程)
【0071】
【化26】
Figure 0003637974
【0072】
(一連の式中、R1 、R2 、R11は、前記の意味を有する。)
製造方法1で詳述した第五工程の方法に準じて反応を行うことができる。
すなわち、一般式(XXIX)で示されるトランス五員環ラクタ厶をジボラン、金属水素錯化合物により還元し、一般式(XXX) で示されるピロリジン誘導体を製造する工程である。金属水素錯化合物としては、水素化アルミニウムリチウム、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムが好ましく、エーテル、テトラヒドロフラン、ジグライムなどのエーテル系溶媒、あるいは、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒中で行われる。
(第十工程)
【0073】
【化27】
Figure 0003637974
【0074】
(一連の式中、R1 、R2 、R11は、前記の意味を有する。)
製造方法1で詳述した第六工程の方法に準じて反応を行うことができる。
すなわち、一般式(XXX) で示される化合物を三臭化ホウ素、三塩化ホウ素、臭化水素酸、ヨウ化水素酸またはその他のエーテル開裂剤で処理して、保護基を除去し、一般式(XXXI)で示される目的化合物を製造する工程である。
【0075】
次に、本発明の効果を示すために、薬理実験例を掲げる。
薬理実験例
実験例1 ラット脳線状体におけるD1、D2受容体結合試験
【0076】
1.実験方法
ラット脳線状体を摘出し0.05M トリス バッファー(Tris Buffer)でホモジナイズした後、20000×gで遠心分離してシナプトゾーム画分を分取した。この沈渣を0.25Mトリス バッファー(120mM NaCl,5mM KCl,2mM CaCl2 ,1mM MgCl2 を含む)に溶解し、分注して−80℃で凍結保存した。D1では 3H−Sch23390(最終濃度 0.2nM)を検体と共に加えて37℃15分インキュベーションし、ワットマンGF/Bフィルターでろ過し、液体シンチレーションカウンターで測定した。非特異結合の測定には、SKF−82526とSpiperoneをそれぞれ使用した。
IC50は特異的な量、すなわち放射性同位元素により標識されたSch23390、Spiperoneとそれぞれ50%置き換えられる試験物質の濃度として決定した。
【0077】
なお、試験物質は、以下のものを用いた。
化合物A:(−)−トランス−3−(3−アミノスルホニル−2,6−ジヒドロキシフェニル)メチル−4−(3,4−ジヒドロキシフェニル)ピロリジン 塩酸塩
化合物B:(−)−トランス−3−(5−アミノスルホニル−2−ヒドロキシフェニル)−メチル−4−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−ピロリジン 塩酸塩
化合物C:トランス−3−(5−アミノスルホニル−2−ヒドロキシフェニル)メチル−4−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−ピロリジン 臭化水素酸塩
化合物D:トランス−3−(3−アミノスルホニル−2,6−ジヒドロキシフェニル)メチル−4−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−ピロリジン 臭化水素酸塩
化合物E:トランス−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル−5−メタンスルホニルアミノ)メチル−ピロリジン 臭化水素酸塩
化合物F:トランス−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル−5−メチルアミノスルホニル)メチル ピロリジン 臭化水素酸塩
【0078】
【表1】
Figure 0003637974
【0079】
実験例2 麻酔犬における循環動態に対する作用
1.実験方法
体重10kg前後の雑種をチオペンタールナトリウム20mg/kg(i.v.)により麻酔導入後、期間内チューブを挿入し、酸素−笑気−エンフルランで人工呼吸及び麻酔の維持を行った。(Acoma人工呼吸器 ARF−850E、Acoma anesthesia apparatus EM−A)。
大動脈圧及び左心室内圧は、大体動脈から挿入したカテ先型圧トランスデューサー(MPC−500、Miller)により測定した。腎血流は、側腹切開により、腎動脈を露出し、電磁血流計(MFV−2100、日本光電)のプローブを装着し測定した。以上の測定値はいずれもポリグラフシステム(RM−60000,日本光電)を用いて記録した。
検体は、0.9%生理食塩水に溶解し、肘動脈に挿入したカテーテルから投与した。また十二指腸内投与の実験においては、腹部正中切開により十二指腸を露出し、微小な切開を加え、挿入したカテーテルから検体を投与した。
【0080】
2.実験結果
以下の表2に、本発明化合物からなる試験化合物の投与前対照に対する腎血流の増加、または平均血圧の減少を変化率にて示す。また、表中の化合物は、上記実験例1で用いたものと同様の意味を有する。
【0081】
【表2】
Figure 0003637974
【0082】
上記の薬理実験例の結果より、本発明化合物は、ドーパミンI受容体への高い親和性を有し、ドーパミンI受容体を刺激し、明確な降圧作用、腎血流増加作用心不全改善作用を示すことが明らかとなった。
本発明化合物は、抗高血圧剤として望ましく、血管拡張作用に基づく降圧作用、腎血流増加作用、利尿作用を有し、更に毒性も低く安全性が高いので、降圧剤または心不全治療剤として好ましい化合物であるといえる。
従って本発明化合物は、本態性高血圧症、腎性高血圧症などの各種高血圧症の予防・治療剤、更には、心不全の予防・治療剤として有用である。
【0083】
本発明をこれらの医薬として使用する場合は、経口投与若しくは非経口投与により投与することができる。投与量は、患者の症状およびその程度、患者の年齢、性別、体重、薬剤に対する感受性差、投与方法、投与の時期、投与の間隔、医薬製剤の種類および性質、同時に投与する他剤の種類などにより特に限定されない。一例として挙げると、経口投与の場合、通常成人1日当たり約1〜1000mgを一日1〜数回に分けて投与する。注射の場合は、通常約0.3μg/kg〜100μg/kgである。
【0084】
製剤化の際は、通常の製剤単体を用い、常法により製造する。すなわち、経口用固形製剤を調製する場合は、主薬の賦形剤、更に必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤などを加えた後、常法により錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤などとする。
【0085】
賦形剤としては、例えば乳糖、コーンスターチ、白糖、ぶどう糖、ソルビット、結晶セルロース、二酸化ケイ素等が、結合剤としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、エチルセルロース、メチルセルロース、アラビアゴム、トラガント、ゼラチン、シェラック、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、クエン酸カルシウム、デキストリン、ペクチン等が、滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ、硬化植物油等が、着色剤としては、医薬品に添加することが許可されているものが、矯味矯臭剤としては、ココア末、ハッカ脳、芳香酸、ハッカ油、龍脳、ケイヒ末等が用いられる、これらの錠剤、顆粒剤には、糖衣、ゼラチン衣、その他必要により適宜コーティングすることはもちろんさしつかえない。注射剤を調整する場合には、主薬に必要によりpH調整剤、 緩衝剤、 安定化剤、 可溶化剤などを添加し、常法により皮下、 筋肉内、 静脈内用注射剤とする。
【0086】
【実施例】
以下に本発明の理解を容易にするため、実施例を掲げるが、本発明は、これらに限定されないことは言うまでもない。また実施例に先んじて、本発明化合物の原料化合物の製造例を示す。
【0087】
製造例1
2−メトキシフェニルプロペン酸エチル
【0088】
【化28】
Figure 0003637974
【0089】
60%水素化ナトリウム18.53gをテトラヒドロフラン200mlに懸濁し、0〜10℃でカルボキシメチルホスホン酸トリエチルエステルをテトラヒドロフラン400mlを用いてゆっくり加えた。室温で30分攪拌し、2−メトキシベンズアルデヒド100g をテトラヒドロフラン400mlに溶かして加えた。そのまま室温で1時間攪拌し、反応液を濃縮した。水、ジクロロメタンを加え、ジクロロメタン層に目的化合物を抽出し、食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥後濃縮した。残渣を減圧蒸留することによって、標題化合物144.1g を得た。
【0090】
・収率 95%
・b.p. 172〜174℃
【0091】
・NMR(400MHz、CDCl3 )δ;
1.33(3H,t,J=1.8Hz) 3.86(3H,s) 4.25(2H,q,J=7.1,14.3Hz)
6.52(1H,d,J=16.1Hz) 6.89(1H,dd,J=0.7,8.4Hz)
6.94(1H,ddd,J=1.1,7.6,7.6Hz) 7.32(1H,ddd,J=1.8,8.4,8.4Hz)
7.49(1H,dd,J=1.8,7.6Hz)
【0092】
製造例2
2−メトキシフェニルプロペン酸エチル
【0093】
【化29】
Figure 0003637974
【0094】
製造例1で得られた2−メトキシフェニルプロペン酸エチル144.1g をメタノール1リットルに溶解し、パラジウム−炭素(含水)10g を加えて、常温常圧下水添した。4時間後、触媒を除き、反応液を濃縮後、減圧蒸留により、2−メトキシフェニルプロピオン酸エチル143.6g を得た。
【0095】
・収率 99%
・b.p. 149〜151℃
【0096】
・NMR(CDCl3 )δ;
1.23(3H,t,J=7.1Hz) 2.60(2H,t,J=7.8Hz) 2.94(2H,t,J=7.8Hz)
3.82(3H,s) 4.12(2H,dd,J=7.1,14.3Hz) 6.84(1Hz,dd,J=1.1,8.1Hz)
6.87(1H,ddd,J=1.1,7.3,7.3Hz) 7.14(1Hz,dd,J=1.7,7.3Hz)
7.19(1H,ddd,J=1.7,8.1,8.1Hz)
【0097】
製造例3
5−クロロスルホニル−2−メトキシフェニルプロピオン酸エチル
【0098】
【化30】
Figure 0003637974
【0099】
製造例2で得られた2−メトキシフェニルプロピオン酸エチル102.2g をクロロホルム500mlに溶かし、0〜5℃でクロロスルホン酸127.75mlを加えた。室温で3時間攪拌後、氷水中にあけ、クロロホルム層を分離した。水層は、エチルエーテルで抽出し、クロロホルム層は、濃縮後、水、エチルエーテルを加え、エチルエーテル層を分取した。エーテル層を水、炭酸水素ナトリウム、飽和食塩水で順次洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し、標題化合物139.0g を得た。
【0100】
・収率 99%
【0101】
・NMR(CDCl3 )δ;
1.25(3H,t,J=7.1Hz) 2.64(2H,t,J=7.7Hz) 3.01(2H,t,J=7.7Hz)
3.96(3H,s) 4.13(2H,q,J=7.1,14.3Hz) 6.98(1H,d,J=8.8Hz)
7.83(1H,d,J=2.6Hz) 7.91(1H,dd,J=2.6,8.8Hz)
【0102】
製造例4
5−アミノスルホニル−2−メトキシフェニルプロピオン酸エチル
【0103】
【化31】
Figure 0003637974
【0104】
製造例3で得られた5−クロロスルホニル−2−メトキシフェニルプロピオン酸エチル139g をジオキサン100mlに溶かし、アンモニア水500mlに加えた。外温60℃で30分攪拌後、反応液を濃縮した。水、ジクロロメタンを加え、ジクロロメタンに目的化合物を抽出した。ジクロロメタン層を分取し、水、塩化ナトリウムで順次洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。ジクロロメタン層は、濃縮後、シリカゲルクロマトグラフィーで精製し、標題化合物113.7g を得た。
【0105】
・収率 82%
【0106】
・NMR(CDCl3 )δ;
1.23(3H,t,J=7.1Hz) 2.59(2H,t,J=7.5Hz) 2.94(2H,t,J=7.5Hz)
3.89(3H,s) 4.11(2H,q,J=7.1,14.3Hz) 5.25(2H,s)
6.90(1H,d,J=8.8Hz) 7.72(1Hz,d,J=2.4Hz) 7.78(1H,dd,J=2.4,8.8Hz)
【0107】
製造例5
3−(5−アミノスルホニル−2−メトキシフェニルメチル)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)−4−ニトロブチレイト
【0108】
【化32】
Figure 0003637974
【0109】
ジイソプロピルアミン85.4mlをテトラヒドロフラン300mlに加え、2.5モルn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液224.4mlを窒素ガス通気下、−70℃で加えた。同温で30分攪拌後、HMPA181mlを加え、同温で20分攪拌した。−70℃で製造例4で得られた5−アミノスルホニル−2−メトキシフェニルプロピオン酸エチル46g をテトラヒドロフラン300mlに溶かして加え、同温で1時間攪拌した後、2−(3,4−ジメトキシフェニル)ニトロエテン33.5g をテトラヒドロフラン500mlを用いて−70〜−50℃で加え、その後室温で1時間攪拌した。濃塩酸を用いて酸性として、反応を停止した後、濃縮した。酢酸エチル、水を加え、酢酸エチル層に目的化合物を抽出した後3回水洗後、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィーで精製して、標題化合物51.6g を得た。
【0110】
・収率 65%
【0111】
製造例6
3−(5−アミノスルホニル−2−メトキシフェニル)メチル−4−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−ピロリドン
【0112】
【化33】
Figure 0003637974
【0113】
製造例5で得られた3−(5−アミノスルホニル−2−メトキシフェニルメチル)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)−4−にトロブチレイト75g をエタノール600mlに溶解し、濃塩酸250mlを加えた後、亜鉛85.2g を水素の発生と発熱に注意しながら加えた。2時間半加熱還流し、室温に放冷後、亜鉛を濾過した。反応液を濃縮し、希水酸化ナトリウムでアルカリ性とすると、大量の水酸化亜鉛が析出してくるので、これをセライト濾過し、濾液をpH9〜10に調節した。反応液が白濁した時点で、酢酸エチル抽出し、水、飽和食塩水で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮した。これにキシレン1リットルを加え、更に外温140〜160℃で6時間加温した後、室温に放冷、濃塩酸で酸性とした。反応液を濃縮し、酢酸エチル、水を加えて、酢酸エチル層を分取後、水、飽和食塩水洗浄後、硫酸ナトリウム乾燥し、濃縮後、シリカゲルクロマトグラフィーで精製した。標題化合物30.0g を得た。
【0114】
・収率 49%
【0115】
・NMR(CDCl3 )δ;
2.68(1H,dd,J=8.6Hz,16.1Hz) 3.07 〜3.33(4H,m) 3.50 〜3.57(1H,m)
3.70(3H,s) 3,80(3H,s) 3.81(3H,s) 5.19(2H,s) 6.19(1H,s)
6.52(1H,dd,J=2.5Hz) 6.59(1H,dd,J=2.5,8.6Hz) 6.64(1H,d,J=9.2Hz)
6.67(1H,d,J=8.6Hz) 7.62(1H,dd,J=2.7,9.2Hz) 7.65(1H,d,J=2.7Hz)
【0116】
製造例7
3−(5−アミノスルホニル−2−メトキシフェニル)メチル−4−(3,4−ジメトキシフェニル)ピロリジン
【0117】
【化34】
Figure 0003637974
【0118】
製造例6で得られた3−(5−アミノスルホニル−2−メトキシフェニル)メチル−4−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−ピロリドン1.1g をテトラヒドロフラン58.7mlに溶解し、1規定水素化ホウ素/テトラヒドロフラン溶液58.7mlを加えて窒素ガス通気下4時間加熱還流した。水素の発生に注意しながら6規定塩酸水120mlを加え、1時間加熱還流した。反応液を濃縮し、希水酸化ナトリウム水を加えていくとpH1で白くくもったので、ジクロロメタンで抽出した。更に水酸化ナトリウム水を加えていくと、pH9〜10で白濁するので、ジクロロメタンで抽出し、この抽出液のみを飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮すると、標題化合物2.6g を得た。
【0119】
・収率 67%
【0120】
・NMR(CDCl3 )δ;
2.60〜2.90(4H,m) 3.25(1H,m) 3.14(1H,m) 3.56〜3.70(2H,m)
3.77(3H,s) 3.83(3H,s) 3.84(3H,s) 6.68(1H,d,J=1.7Hz)
6.72〜6.77(3H,m) 7.62(1H,d,J=2.6Hz) 7.67(1H,dd,J=2.6,8.6Hz)
【0121】
実施例1
(±)−トランス−3−(5−アミノスルホニル−2−ヒドロキシフェニル)メチル−4−(3,4−ジヒドロキシフェニル)ピロリジン・臭化水素酸塩
【0122】
【化35】
Figure 0003637974
【0123】
製造例7で得られた3−(5−アミノスルホニル−2−メトキシフェニル)メチル−4−(3,4−ジメトキシフェニル)ピロリジン2.55g を少量のジクロロメタンに溶解し、1規定三臭化ホウ素/ジクロロメタン200mlを加えた。窒素ガス通気下室温で終夜攪拌後、メタノール中にゆっくりあけ、反応を停止した。反応液を濃縮後、ODSカラムクロマトグラフィーにて精製した。標題化合物1.2g が得られた。
【0124】
・収率 41%
・MASS MH+ (365)
【0125】
・NMR(D2 O) δ(ppm):
2.46〜2.55(1H,m) 2.74 〜3.06(5H,m) 3.48 〜3.62(2H,m)
6.40(1H,dd,J=2.5,8.1Hz) 6.44(1H,d,J=2.5Hz) 6.50(1H,d,J=8.1Hz)
6.55(1H,d,J=8.6Hz) 7.28(1H,dd,J=2.5,8.6Hz) 7.32(1H,d,J=2.5Hz)
【0126】
実施例2
(±)−トランス−3−(5−アミノスルホニル−2−ヒドロキシフェニル)メチル−4−(3,4−ジヒドロキシフェニル)ピロリジン 塩酸塩
【0127】
【化36】
Figure 0003637974
【0128】
塩素イオン交換体(TSKゲル;TOYOPEAL)750mlを水懸濁状態でカラム管につめ、実施例1で得られた、精製した(±)−トランス−3−(5−アミノスルホニル−2−ヒドロキシフェニル)メチル−4−(3,4−ジヒドロキシフェニル)ピロリジン・臭化水素酸塩13.4g の水溶液30mlをチャージした。10mlの水で3回洗浄し、更に水で溶出した。溶出液は分画ごと高速液体クロマトグラフィーで確認し、最初に出る不純物を除き溶出物の水溶液を集め、減圧下水を40℃以下で濃縮し、更に水を加え減圧下水を濃縮し総量約50mlになったところで濃縮をやめ凍結乾燥する。収量8.373g 。
【0129】
・収率 69%
・MASS(FAB) 365(M+1)
・元素分析
172025 S・HCl・0.7 H2 Oとして
【0130】
【表3】
Figure 0003637974
【0131】
・NMR(D2 O) δ(ppm)
2.83(1H,dd,J=0.3,5.1Hz) 3.11(1H) 3.13(1H) 3.20 〜3.35(3H)
3.84(1H,dd,J=7.3,11.2Hz) 3.88(1H,dd,J=7.3,11.7Hz)
6.73(1H,dd,J=2.0,8.3Hz) 6.76(1H,d,J=2Hz) 6.82(1H,d,J=8Hz)
6.87(1H,d,J=8.3Hz) 7.60(1H,dd,J=2.4,8.3Hz) 7.63(1H,d,J=2.4Hz)
【0132】
実施例3
(−)−トランス−3−(3−アミノスルホニル−2,6−ジヒドロキシフェニルメチル)−4−(3,4−ジヒドロキシフェニルメチル)−4−(3,4−ジヒドロキシフェニル)ピロリジン・臭化水素酸塩
【0133】
【化37】
Figure 0003637974
【0134】
(1) 3−クロロスルホニル−2,6−ジメトキシトルエンの製造
【0135】
【化38】
Figure 0003637974
【0136】
2,6−メトキシトルエン100g のクロロホルム(1.71l)溶液に6〜11℃でクロロスルホン酸262mlを30分かけて加えた。滴下終了後冷浴を除き、ゆっくりと昇温させる。約40分後、反応液を2lの氷中に加え、ジクロロメタンで抽出した。硫酸マグネシウムを加え乾燥後、セライト濾過、濃縮して粗結晶を得た。ジクロロメタン−ヘキサンで再結晶して、標題化合物171g を得た。
【0137】
1H−NMR(CDCl3 )δ;
2.21(3H,s) 3.94(3H,s) 3.97(3H,s) 6.73(1H,d,J=9Hz)
7.81(1H,d,J=9Hz)
【0138】
(2) 1−ブロモメチル−3−クロロスルホニル−2,6−ジメトキシベンゼンの製造
【0139】
【化39】
Figure 0003637974
【0140】
(1)で得られた化合物171g にN−ブロコハクサンイミド121.4g と過酸化ベンゾイル4.4g を四塩化炭素1.58l及びクロロホルム0.47l中で混ぜ、3時間加熱還流した。冷後、不要物をグラスフィルターG4で除き濃縮した。残渣に四塩化炭素を500mlを加え、不要物を再度除き濃縮して、標題化合物の粗結晶242.7g を得た。
【0141】
1H−NMR(CDCl3 )δ;
4.05(3H,s) 4.20(3H,s) 4.59(2H) 6.81(1H,d,J=9Hz)
7.96(1H,d,J=9Hz)
【0142】
(3) 3−アミノスルホニル−2,6−ジメトキシ−ベンジルブロマイドの製造
【0143】
【化40】
Figure 0003637974
【0144】
(2)で得られた臭化物のテトラヒドロフラン(670ml)溶液に5〜10℃で濃アンモニア水(141ml)、水(141ml)の溶液を1.5時間かけて滴下した。濃アンモニア水(40ml)、水(40ml)の溶液を更に加え10分攪拌した。反応終了後、2規定塩酸400mlを加え、pH1とした後ジクロロメタン抽出し、brine 1lで洗い、濃縮した。残渣にイソプロピルアルコール500mlを加え、析出する結晶を濾取し、標題化合物138g を得た。
【0145】
1H−NMR(CDCl3 )δ;
3.98(3H,s) 4.15(3H,s) 4.58(2H,s) 5.04(2H,br-s)
6.76(1H,d,J=9Hz) 7.87(1H,d,J=9Hz)
【0146】
(4)1−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−2−ニトロエチルマロン酸ジエチルエステルの製造
【0147】
【化41】
Figure 0003637974
【0148】
21%のナトリウムメトキシドのエタノール溶液1310mlをエタノール2500mlに溶解し、0〜5℃でジエチルマロン酸561.7g を加え、そのまま同温で30分攪拌した。2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1−ニトロエテン645.2g を結晶のまま、反応液が0〜5℃を保つように素早く加え、室温で1時間攪拌した。少量の不要物を濾過後、濾液に6規定塩酸水800mlをゆっくり加え、析出した結晶を濾取して、白色結晶973gの付加物が得られた。
【0149】
(5) 3−エトキシカルボニル−4−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−2−ピロリドンの製造
【0150】
【化42】
Figure 0003637974
【0151】
(4)で得られた付加物390.7g 、濃塩酸675ml、エタノール3910mlを混合懸濁し、攪拌しながら冷時亜鉛362g を少しずつ加えていった。反応温度を40〜60℃に1時間保った後、室温で15時間攪拌した。亜鉛等の不要物を濾過した後、濾液を濃縮した。濃縮したものを、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル溶液を飽和炭酸カリウム溶液750ml0.3規定水酸化ナトリウム水950ml、水950ml、飽和食塩水950mlで順次洗浄し、芒硝上乾燥後濃縮した。濃縮物は、イソプロピルエーテル1lで洗い、白色結晶として標題化合物を235g 得た。
【0152】
(6) 3−ベンジルオキシカルボニル−4−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−2−ピロリドンの製造
【0153】
【化43】
Figure 0003637974
【0154】
ベンジルアルコール2.18lに(5)でえられたエチルエステル437.7g (1.58モル)及びテトラエトキシチタン54.6ml(0.266モル)を加え、100〜110℃で3時間加熱した。反応中80〜150mmHgに減圧し、生成するエタノールを留去した。反応液を冷却し、5%含水ジエチルエーテル約5.0lを加え、良く攪拌し、析出した白色結晶を濾取した。ジクロロメタン約10lに溶解し、不要の無機塩をセライトで濾別後、濾液を濃縮した。析出した結晶をイソプロピルエーテルで洗浄し、濾取して、標題化合物404.9g が得られた。
【0155】
1H−NMR(DMSO−d6 )δ;
3.19(1H,t,J=9Hz) 3.46(1H,d,J=9Hz) 3.54(1H,t,J=9Hz)
3.79(1H,q,J=9Hz) 5.98(2H,s) 6.77(1H,dd,J=2,8Hz)
6.85(1H,d,J=8Hz) 7.00(1H,d,J=2Hz) 8.04(1H,s)
【0156】
(7) 3−カルボキシル−4−(3,4−メチレンジオキシ)−2−ピロリドンの光学分割
【0157】
【化44】
Figure 0003637974
【0158】
(6)でえら得たdl体70g (280mmol)、(1R,2S)−2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール60.5g (284mmol)を熱エタノール(2240ml)−水(1400ml)に溶解し、種付けして、室温で4時間放置した。析出する結晶を濾取し、少量の50%エタノールで洗浄した後、50℃で一夜乾燥し、標題化合物の塩54.04g を得た。
この塩399.63g と水約3.5l、6規定塩酸約0.3lを室温で2時間激しく攪拌する。結晶を濾取し、十分水洗した後、50℃で2日間乾燥して、目的の光学活性体224.75g を得た。
・光学純度 97.5%ee
【0159】
(8)3−ベンジルオキシカルボニル−4−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−2−ピロリドンの製造
【0160】
【化45】
Figure 0003637974
【0161】
(7)で得られた化合物150.0g (602.4mmol)のジクロロメタン3.0l懸濁液にベンジルアルコール74.4ml(722.9mmol)、4−ピロリジノピリジン44.64g (301.2mmol)及びジシクロヘキシルカルボジイミド136.5g (662.6mmol)を加え、室温で一晩攪拌した。混合物を濾過し、濾液を2規定塩酸(500ml×2)、水(500ml)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(500ml)、brine (500ml)で洗浄し、硫酸マグネシウム乾燥後濃縮した。総体積約500mlまで濃縮した後、酢酸エチル1.0lを加えると、白色結晶(尿素)が析出した。これを再び濾別し、濾液を総体積約500mlまで濃縮した。これにエチルエーテル100ml及びイソプロピルエーテル1.0リットルを加え、よく攪拌し、析出結晶を濾取し、標題化合物301.0g を得た。
【0162】
1H−NMR(CDCl3 )δ;
3.38(1H,t,J=8Hz)
3.54(1H,d,J=8Hz) 3.75(1H,t,J=8Hz) 4.01(1H,q,J=8Hz)
5.21(2H,s) 5.95(2H,s) 6.50(1H,br-s) 6.66(1H,dd,2,8Hz)
6.70(1H,d,J=2Hz) 6.73(1H,d,J=8Hz) 7.38〜7.27(5H,m)
【0163】
(9)
【0164】
【化46】
Figure 0003637974
【0165】
60%水素化ナトリウム11.70g (292.03mmol)のジメチルホルムアミド650ml懸濁液に(8)で得られたベンジルエステル90.0g (265.49mmol)のジメチルホルムアミド400ml溶液を0〜10℃で滴下した。混合物を15℃で30分攪拌した後(3)で得られたブロモ体82.3g (265.49mmol)のジメチルホルムアミド溶液を−5〜0℃で滴下した。混合物を室温で一晩攪拌した後濃縮した。残渣に酢酸エチル500mlを加えて、析出した白色結晶を濾取した。
【0166】
1H−NMR(CDCl3 )δ;
3.28(1H,t,J=8Hz)
3.37(1H,t,J=8Hz) 3.51(1H,d,J=12Hz) 3.56(1H,t,J=8Hz)
3.88(1H,d,J=12Hz) 3.89(3H,s) 4.94(2H,AB,J=12Hz) 5.30(2H,s)
5.87(2Hz,dd,J=1,10Hz) 6.24(1H,d,J=2Hz) 6.39(1H,dd,J=2,8Hz)
6.41(1H,s) 6.55(1H,d,J=8Hz) 6.73(1H,d,J=8Hz)
7.13〜7.20(2H,m) 7.27 〜7.34(3H,m) 7.84(1H,d,J=8Hz)
【0167】
(10)3−(3−アミノスルホニル−2,6−ジメトキシフェニルメチル)−4−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−2−ピロリドンの製造
【0168】
【化47】
Figure 0003637974
【0169】
(9)で得られたベンジルエステル195.8g (344.4mmol)のジメチルホルムアミド(600ml)溶液にパラジウム−炭素19.50g を加え、1H−雰囲気下(4.5〜3.8気圧)に激しく浸透した。50分後触媒を濾別した後濾液を濃縮した。この濃縮液に1規定塩酸水溶液400ml及びジオキサン900mlを加え、10時間攪拌した。ジクロロメタン3.0l、水600mlを加え、ジクロロメタンで抽出した。水500ml、brine 500mlで洗浄後、濾液を濃縮して、標題化合物の粗結晶を得た。この結晶は、精製せず、次の反応に用いた。
【0170】
(11) 3−(3−アミノスルホニル−2,6−ジメトキシフェニルメチル)−4−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−2−ピロリドンの製造
【0171】
【化48】
Figure 0003637974
【0172】
(10)で得られた3−(3−アミノスルホニル−2,6−ジメトキシフェニルメチル)−4−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−2−ピロリドンの粗結晶(cis/trans の混合物)に1規定水酸化ナトリウム−メタノール溶液を加え、10時間加熱還流した。混合物に4規定塩酸水溶液を滴下し、pH5とし、濃縮すると、白色結晶が析出した。約3分の1の体積まで濃縮し、水を加え、結晶をほぼ析出させ、室温放置後、濾取した。温風乾燥した後、ジクロロメタン−メタノール(1:1溶液)1lより再結晶し、標題化合物120.0g を得た。
【0173】
1H−NMR(DMSO−d6 )δ;
2.64(1H,m) 2.92 〜3.08 (4H,m)
3.38(1H,m) 3.62(3H,s) 3.78(3H,s) 5.87(2H,dt,J=1,8Hz)
6.25(1H,dd,J=2,8Hz) 6.47(1H,d,J=8Hz) 6.57(1H,d,J=8Hz)
6.65(1H,d,J=2Hz) 7.01(2H,s) 7.40(1H,d,J=8Hz) 7.74(1H,s)
【0174】
(12) 3−(3−アミノスルホニル−2,6−ジメトキシフェニルメチル)−4−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−2−ピロリジンの製造
【0175】
【化49】
Figure 0003637974
【0176】
(11)で得られたトランスラクタム43.4g (100.0mmol)のジオキサン1.0l懸濁液にジボラン−テトラヒドロフラン1モル溶液1.0lを滴下し、10時間加熱還流した。反応液を冷却し、メタノール500mlを0℃で滴下し、室温で20分攪拌し発泡の収容を確認した後濃縮した。残渣固体にメタノール400ml、続いて、濃塩酸200mlを冷時加え、混合物を2時間30分加熱還流した。混合物を濃縮し、残渣固体にジクロロメタン2.0lを加え、激しく攪拌しながら、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液500mlを加えた。ジクロロメタン層を分取し、炭酸水素ナトリウムをジクロロメタン約500mlで洗浄した。ジクロロメタン溶液を合わせて濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、標題化合物59.2g を得た。
【0177】
1H−NMR(CDCl3 )δ;
2.60〜2.88(3H,m)
2.93〜3.03(3H,m) 3.27(1H,m) 3.45(1H,m) 3.79(6H,m)
5.90(2H,d,J=8Hz) 6.66〜6.78(4H,m) 7.62(1H,d,J=8Hz)
【0178】
(13)3−(3−アミノスルホニル−2,6−ジヒドロキシフェニル)メチル−4−(3,4−ジヒドロキシフェニル)ピロリジン・臭化水素酸塩の製造
【0179】
【化50】
Figure 0003637974
【0180】
(12)で得られたピロリジン誘導体4.60g を1M三臭化ホウ素ジクロロメタン溶液109mlに室温で滴下した。2日間攪拌の後反応液を冷却し、メタノールの塩化メチレン溶液(1:1)50mlを滴下して反応を停止する。反応液を乾固し、水を加え、不容物を濾別した後濾液を濃縮し、凍結乾燥し、標題化合物を得た。
【0181】
1H−NMR(CDCl3 )δ;
2.66〜 2.86 (3H,m) 3.03 〜3.18(2H,m) 3.22(1H,t,J=11Hz)
3.41(1H,dd,J=7,11Hz) 3.64(1H,dd,J=7,10Hz)
6.41(1H,d,J=8Hz) 6.67(1H,dd,J=2,8Hz) 6.73(1H,d,J=8Hz)
6.78(1H,d,J=2Hz) 7.40(1H,d,J=8Hz) 8.69(1H,br)
【0182】
実施例4
(−)−トランス−3−(5−アミノスルホニル−2,6−ジヒドロキシフェニル)メチル−4−(3,4−ジヒドロキシフェニル)ピロリジン・塩酸塩
【0183】
【化51】
Figure 0003637974
【0184】
(1)(−)−トランス−3−(5−アミノスルホニル−2,6−ジヒドロキシフェニル)−4−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−N−t−ブトキシカルボニル−ピロリジン
【0185】
【化52】
Figure 0003637974
【0186】
実施例3で得られた(−)−トランス−3−(3−アミノスルホニル−2,6−ジヒドロキシフェニル)メチル−4−(3,4−ジヒドロキシフェニル)ピロリジン・臭化水素酸塩32.9gのジオキサン(200ml)−水(200ml)溶液にトリエチルアミン30.60mlのジオキサン溶液を10℃で滴下した。約1/2体積滴下後(約1.5モル等量)、無水t−ブトキシカルボン酸17.10gのジオキサン(100ml)溶液をほぼ同じ速度で滴下し始めた。
【0187】
滴下後、混合物を10℃で攪拌し始め、室温まで、1.5時間攪拌した。酢酸エチル500ml、水500mlを加え、酢酸エチル層に目的化合物を抽出し、酢酸エチル層を0.5規定塩酸水溶液500ml2回及び 500mlで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮した。残渣に酢酸エチル約50ml及びジクロロメタン400mlを加え、温振すると標題化合物の白色結晶が析出した。濾取後、酢酸エチル−ジクロロメタン(1:10)溶液で洗浄した。収量27.32g 。
【0188】
(2) (−)−トランス−3−(5−アミノスルホニル−2,6−ジヒドロキシフェニル)メチル−4−(3,4−ジヒドロキシフェニル)ピロリジン・塩酸塩
【0189】
【化53】
Figure 0003637974
【0190】
(1)で得られた(−)−トランス−3−(5−アミノスルホニル−2,6−ジヒドロキシフェニル)−4−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−N−トリフェニルメチル−ピロリジン22.57g を4規定塩酸−エタノール溶液に加え、室温で3時間攪拌した。混合物を完全に濃縮し、残渣に水200mlを加え共沸した。水による共沸を更に2回繰り返した後、水250mlを加え、凍結乾燥した。収量20.30g 。
【0191】
・NMR(D2 O) δ(ppm)
2.83(1H,dd,J=0.3,5.1Hz) 3.11(1H) 3.13(1H) 3.20〜3.35(3H)
3.84(1H,dd,J=7.3,11.2Hz) 3.88(1H,dd,J=7.3,11.7Hz)
6.73(1H,dd,J=2.0,8.3Hz) 6.76(1H,d,J=2Hz) 6.82(1H,d,J=8.3Hz)
6.87(1H,d,J=8.3Hz) 7.60(1H,d,J=8.3Hz)
実施例5〜6
実施例1及び3の方法に準じて、以下の化合物を得た。
実施例5
【0192】
【化54】
Figure 0003637974
【0193】
・MASS MH+ (379)
1H−NMR(D2 O)δ;
2.31(3H,d,J=2.4Hz) 2.50 〜2.60(1H,m) 2.76 〜2.86(2H,m)
2.92〜3.08(3H,m) 3.48 〜3.58(1H,m) 3.58 〜3.62(1H,m)
6.42(1H,dt,J=2.4,8.2Hz) 6.48(1H,m) 6.51(1H,dd,J=1.8,8.2Hz)
6.63(1H,dd,J=3.0,8.2Hz) 7.24(1H,dt,J=2.4,8.2Hz) 7.28(1H,m)
【0194】
実施例6
【0195】
【化55】
Figure 0003637974
【0196】
・MASS MH+ (379)
1H−NMR(D2 O)δ;
2.28(1H,m) 2.48(1H,m) 2.62(1H,m) 2.78(3H,s)
2.90〜3.02(2H,m) 3.45 〜3.55(3H,m) 6.42 〜6.57(4H,m)
6.67〜6.73(2H,m)

Claims (5)

  1. 一般式(I)
    Figure 0003637974
    [式中Yは、式−CH で示される基を意味する。R 及びは、同一または相異なる水素原子、水酸基、式−SONR(式中R、R水素原子または低級アルキル基を意味する。)で示される基または式−NR(式中R、Rは同一または相異なる水素原子またはアルキルスルホニル基を意味する。ただし、R、Rともに水素原子である場合は除くものとする。)で示される基を意味する。ただし、R、Rがともに水素原子または水酸基である場合、及びRとRのいずれか一方が水素原子、残りの他方が水酸基の時は除くものとする。]で表されるピロリジン誘導体またはその薬理学的に許容できる塩。
  2. 請求項1記載のピロリジン誘導体またはその薬理学的に許容できる塩を有効成分とするドーパミン1作用が有効な疾患の治療・予防剤。
  3. 請求項1記載のピロリジン誘導体またはその薬理学的に許容できる塩を有効成分とするドーパミン1アゴニスト。
  4. 請求項1記載のピロリジン誘導体またはその薬理学的に許容できる塩を有効成分とする高血圧症治療・予防剤。
  5. 請求項1記載のピロリジン誘導体またはその薬理学的に許容できる塩を有効成分とする心不全治療・予防剤。
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