JP3637899B2 - スピーカ用ダンパーとその製造法およびこれを用いたスピーカ - Google Patents

スピーカ用ダンパーとその製造法およびこれを用いたスピーカ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は各種音響機器に使用されるスピーカを構成する支持部材としてのスピーカ用ダンパーとその製造法およびこれを用いたスピーカに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近のスピーカは小型高性能化のトレンドのもと、高品質ソースの普及とともに重低音再生が可能なものが求められている。小口径で重低音再生を可能にするためには、支持系の柔軟度を大きくしてスピーカの振動板を大きく振動させ、体積速度を大きくする必要があり、微小な入力から大きな入力に至るまでボイスコイルボビンに発生する駆動力に対して直線性のよい振幅を与える振動系支持部品、例えばスピーカ用ダンパーなどが望まれている。
【0003】
まず、従来のスピーカについて説明すると、図10は従来のスピーカの断面図であり、同図によると、6はセンターポール6aを有するボトムプレート6bとリング状マグネット6cとこのリング状マグネット6c上に装着され上記センターポール6aとの間で磁気ギャップ6dを形成する上プレート6eとで構成された磁気回路であり、7はこの磁気回路6に装着されたフレームであり、8はこのフレーム7に外周部がエッジ8aを介して結合され、内周部が上記磁気ギャップ6dにはめ込まれるボイスコイルボビン9に結合された振動板である。
【0004】
10は外周部を上記フレーム7に結合し内周部を上記ボイスコイルボビン9に結合して上記ボイスコイルボビン9を支持するスピーカ用ダンパーである。
【0005】
ここで、従来の上記スピーカ用ダンパー10の詳細について、図7(a),(b)を用いて説明する。図7は従来のスピーカ用ダンパーの平面図と半断面図である。同図によると、1はボイスコイルボビン9が挿入される透孔であり、2は上記透孔1の周囲にボイスコイルボビン9を結合するための内周縁部であり、3は外周縁部であり、スピーカのフレーム7に結合される。4(4a,4b,4c、・・4n)は上記内周縁部2と外周縁部3の間で繰り返し形成され、円周方向に一周する凸凹の波型で、波型の形状変化で径方向の伸びを補償するものであり、材質は一般的に比較的通気性が確保されている綿布などに、熱硬化性のフェノール樹脂等を含浸させたものが主流であり、上記材料を加熱成型して形成するものである。
【0006】
次に上述の従来のスピーカ用ダンパーの変形メカニズムを図8、図9を用いて説明する。図8は従来のスピーカ用ダンパーの半断面図であり、静止時の形状aとボイスコイルボビンが−X変位した時のスピーカ用ダンパーの形状bを重ねて表わした図であり、図9(a),(b),(c)はスピーカ用ダンパーを等価な板バネ構成で表わした図である。
【0007】
スピーカ用ダンパー10の波型形状が内周部から外周部に至るまで同一の場合、円周方向に単位幅の切片において同一の柔軟度を保持していると考えられるが、スピーカ用ダンパー10は内径にボイスコイルボビン9、外径がフレーム7に固着されているドーナツ状であるため、模式的に表現すれば内周部に比べ外周部は柔軟度が小さく(例えば2倍の半径の所では約2分の1以下に)なっていると考えられる。
【0008】
即ち、図9(a)は波型部の内径が2b、外径が2aの従来のスピーカ用ダンパーに数ヵ所のスリット5を追加したスピーカ用ダンパーの平面図を表わし、図9(b)は図9(a)のスリット5で4分割された1区画を薄い板で表現した図であり、左端がボイスコイルボビン9に接合される部分であり、その幅はπb/2、右端はフレーム7に接着される部分で、πa/2の幅を有する固定端であり、長さはa−bの台形形状に近似する。図9(c)は図9(b)の幅πb/2からはみ出した部分を折返して表現したもので、ある部分から2枚あるいは3枚に重なった重ね板バネを構成することになる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述の図9の模式図で明らかなごとく、この種のスピーカ用ダンパーは外周部になるほど柔軟度が小さく、すなわち硬くなることになり、振動が大きくなった場合に径方向単位長さ当たりの振動軸方向の変位が径方向の各部位に比例均等に分散されるのではなく、波型の柔軟度の大小に対応して比較的柔軟度の大きい内周部は径方向単位長さ当たりの振動軸方向の変位が大きく、柔軟度の小さい外周部は径方向単位長さ当たりの振動軸方向の変位があまりとれないものとなっている。
【0010】
従って、従来のスピーカ用ダンパーは、(1)ボイスコイルボビンの接合部(内周縁部)が前後に振動しても、充分な力−変位特性の直線性が確保できないとともに、大きな変位を可能にできない。
【0011】
(2)大きな振動振幅を得るためにスピーカ用ダンパーに波型を形成しているが、復元しうる繊維の収縮の範囲で直線性のよい振幅が得られず、小口径のスピーカで重低音を出すために過大な入力を加えて振幅値を無理に拡大したときには、スピーカ用ダンパーの突っ張りにより異常音が発生したり、内周部のみに振動振幅に耐え難い変化量が起きて結果的に内周部で破断する(なお、内周部とは外周部を除く内側部分の意味で用いているが、破断等は内周部の内で内周縁部近傍で発生するのが一般的である。)という課題を有するものである。
【0012】
本発明は上記課題を解決したことにより大きな変位と充分な力−変位特性の直線性を確保した時も含め、大入力時の過大な振幅に対しても振幅限界における力−変位特性をソフトにクリップさせることによりスピーカ用ダンパーの突っ張りによる異常音の改善ができ、かつ内周部で破断し難いものを提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明のスピーカ用ダンパーの請求項1に記載のものは、環状の凸又は凹の波型を径方向に繰り返して構成する波型のスピーカ用ダンパーにおいて、基材に小さい曲げ強度を与える第1の熱硬化性の樹脂を含浸し熱成型して形成された内周部と、大きい曲げ強度を与える第2の熱硬化性の樹脂を含浸し、熱成型して形成された外周部近傍とで構成したものであり、外周部近傍の柔軟度を内周部側の波型の柔軟度に比べて低く設定して、大きな変位を可能にした時の過大な振幅に対して力−変位特性をソフトにクリップさせることにより異常音の発生や破断を防止したスピーカ用ダンパーを提供できるものである。
【0014】
本発明のスピーカ用ダンパーの請求項2に記載のものは、環状の凸又は凹の波型を径方向に繰り返して構成する波型のスピーカ用ダンパーにおいて、基材に比較的低い温度で熱硬化し、小さい曲げ強度を与える第1の熱硬化性の樹脂と、相対的に高い温度で熱硬化し、大きい曲げ強度を与える第2の熱硬化性の樹脂を混合して含浸し、内周部側の波型を相対的に低い温度で熱成型し、外周部近傍の波型を高い温度で熱成型して形成したものであり、外周部近傍の波型のみ高い温度で熱成型することにより、柔軟度を内周部側の波型に比べて低く設定でき、スピーカ用ダンパーの変位の大きなものを可能にした時の過大な振幅に対しては請求項1と同様に力−変位特性をソフトにクリップさせることができるものである。
【0015】
本発明のスピーカ用ダンパーの製造法の請求項3に記載のものは、環状の凸又は凹の波型を径方向に繰り返して構成される波型のスピーカ用ダンパーの製造法において、少なくとも基材に曲げ強度の小さい第1の熱硬化性の樹脂を含浸・乾燥する工程と、この基材を略円形に打抜く工程と、この略円形に打抜かれた基材の外周部に曲げ強度の大きい第1の熱硬化性樹脂より高温で硬化する第2の熱硬化性の樹脂を含浸・乾燥する工程と、外周部近傍を高温に、内周部は低い温度に加熱された金型で成型する工程からなるものであり、外周部の柔軟度を内周部の波型の柔軟度に比べて低くでき、スピーカ用ダンパーの変位の大きなものを可能にした時の過大な振幅に対しては力−変位特性をソフトにクリップさせることにより異常音の発生や破断を防止したスピーカ用ダンパーを製造できるものである。
【0016】
本発明のスピーカの請求項4に記載のものは、少なくとも磁気ギャップを有する磁気回路と、この磁気回路に装着されたフレームと、外周部が直接または間接的に上記フレームに結合され内周部が上記磁気回路の磁気ギャップにはめ込まれたボイスコイルボビンに結合されたボイスコイルボビンと、外周部が上記フレームに結合され内周部がボイスコイルボビンに結合されて上記ボイスコイルボビンを支持する請求項1または請求項2に記載のスピーカ用ダンパーとでスピーカを構成するものであり、上記スピーカ用ダンパーを用いることで小口径で重低音再生なスピーカの提供を可能とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のスピーカ用ダンパーの一実施の形態について図1から図6(b)により説明する。
【0018】
まず、スピーカの構成とスピーカ用ダンパーの形態について図1〜図3により従来技術と同一部分は同一番号を付して説明を省略して説明する。図1はスピーカ用ダンパーの断面図であり、図2(a)は同駆動時の変形した状態を説明する断面図であり、図2(b)は同波型の変化量を示す模式図であり、図3は同スピーカ用ダンパーを用いたスピーカの断面図である。
【0019】
同図によると、6は磁気回路、7はフレーム、8は振動板、9はボイスコイルボビン、10aは外周部を上記フレーム7に結合し内周部を上記ボイスコイルボビン9に結合して上記ボイスコイルボビン9を支持するスピーカ用ダンパーである。このスピーカ用ダンパー10aの詳細を図1および図2(a),(b)より説明する。
【0020】
同図において、1はボイスコイルボビン9が挿入される透孔であり、2はこの透孔1の周囲にボイスコイルボビン9を接合するための内周縁部である。3は外周縁部であり、スピーカのフレーム7に接合される。4は上記内周縁部2と外周縁部3の間で繰り返し形成され円周方向に一周する凸凹の波型で、最内周部の凸の波型4a、その外側の凹の波型4b、更にその外側の凸の波型4c、そして最外周部の幅の狭い凸の波型4nなどで構成され、各々のあるいは凹の波型の幅(Wa,Wb,Wc,・・)は、最内周部の波型の幅Waに対する最外周部の内側の波型の幅の比は各々の頂部または底部の位置における略半径比に、中間部の波型の幅(Wb,Wc,・・)は最内周部の波型の幅に対して比例的に決定している。そして最外周部の波型の幅Wnは内側の幅より狭く設定している。
【0021】
更に各々の波型の形状は、基準面Pに対し略45度傾斜した対称な2つの面α,βと前方または後方にて上記2つの面と基準面から等距離の高さの面に接する曲面γ,δで構成されている。この曲面γまたはδは内周部においては小さな円弧の曲面であり、外周部に至る程、面α,βの直線部の長さが短くなり曲面γ,δの曲率が大きな円弧の曲面としている。
【0022】
次に、図2(a)における変形後の各々の各部位の符号にはダッシュを付与して表示し、基準面Pと各波型の交点をC1,C2,C3,・・として本実施の形態のスピーカ用ダンパーの動作を説明する。
【0023】
先ず、最外周部の波型を除く内側の波型部の柔軟度が略等しく設定できることを説明する。ここで上記交点は変形後も同一半径に位置し、各波型の径方向の伸びは各波型の形状変形で補償しているとすると、内周部の波型4aの頂部の曲率半径が大きくなって幅WaがWa’に広がり、高さはh0からhaに少し低くなるが、断面の線分長Laは変化しない。最外周部の内側(=中間部と称す)までの波型は直線部の長さが徐々に短くなり、曲率が徐々に大きくなるだけであり、内周部と同様な形状変化をすると考えられる。この時、頂部T4aは内径方向にδra=ha×Sinθだけ移行し、基準面との交点C1,C2は移行しないため、最内周波型における変化量は図2(b)に示したように、中央部で変化量がδraと大きく、両サイドで0の分布をしている。
【0024】
そして各々の波型における総変化量は各々のδrと波型の線分長(La,Lb,・・)の積に比例しており、従って径方向の単位長さ当たりの変化量は上記総変化量を幅で割って得られ、内周部においてはha×Sinθ×La/Waと表わされ、幅に対する高さが低く、かつ変形後の高さが低くなる外周部の波型ほど径方向の単位長さ当たりの変化量は小さくできて半径比の略逆比に設定できることになる。
【0025】
そして一般的に傾斜角度θは内周部より外周部の方が小さいために頂部の径方向変化量は更に小さくなる。また断面の各部位における接線の角度(または微分値)の変化において、内周部は頂部近傍で大きく変化するのに対し、外周部に至る程、傾斜角は徐々に変化するために、径方向変化を容易にしている。従って外周部においても柔軟度を大きくすることができ、最内周部の波型と最外周部の波型の径方向単位長さ当たりの柔軟度を各々の静止時の頂部がある半径比の逆比に略等しく設定できる。
【0026】
最外周部の波型は内側の波型に比べて幅を狭く設定したので、高さの変化量が小さく径方向の移動量が大きく径方向単位長さ当たりの柔軟度を低く設定できる。従って内周部の波型が大振幅振動で限界まで伸びた段階において最外周部の波型が更に変形して振幅振動し力−変位特性を徐々に制限することになる。
【0027】
以上のことから、ボイスコイルボビン9の接合部(内周縁部2)が振動軸方向の前後に振動した場合、最外周部を除く波型部分で円周が短い内周部から円周が長い外周部までの各々の部位における柔軟度を略等しく設定することにより、比例均等に振幅値を分散させ、可撓な部分全体で変形し、大きな変位と、充分な力−変位特性の直線性が確保でき、過大な振幅に対しては最外周部の波型部分で振幅限界における力−変位特性をソフトにクリップさせてスピーカ用ダンパーの突っ張りによる異常音の改善ができ、かつ内周部で破断しないスピーカ用ダンパーを提供することができるものである。
【0028】
図4はスピーカ用ダンパーの力と変位量の関係を示す特性図であり、図4(a)は従来のスピーカ用ダンパーの特性図、図4(b)は上記実施の形態のスピーカ用ダンパーの特性図であり、図からも明らかなように直線的な変位量を示す範囲はl>laと上記実施の形態のものの方が大きく、且つ本実施の形態の変位量の限界値である3mm点近傍の特性は本実施の形態のものの方が立ち上がりが急峻であり、本実施の形態のものの方が力−変位特性の直線性をより大きく確保できて振幅も大きくとれ、過大な振幅に対しても振幅限界における力−変位特性をクリップさせることによりスピーカ用ダンパーの突っ張りによる異常音の改善ができ、かつ内周部で破断し難いスピーカ用ダンパーであることが確認された。
【0029】
(実施の形態1)
本発明のスピーカ用ダンパーの一実施の形態の製造法を図5にて説明する。図5(a)は曲げ強度の小さい第1の熱硬化性の樹脂を含浸し、乾燥する工程で得られたスピーカ用ダンパーの基材11を示し、図5(b)は上記スピーカ用ダンパーの基材11を予めスピーカ用ダンパーの成型完成品から想定した概略の外径と内径孔13を円形に打抜く工程で得られたダンパー打抜き基材12を示し、図6(a)は、上記ダンパー打抜き基材12の内径孔13にガイド棒14を内挿し多数個配列して、上記ガイド棒14を回転させてダンパー打抜き基材12の外周部分のみに容器15に充たされた曲げ強度の大きい第2の熱硬化性の樹脂16を含浸する工程を示し、図6(b)は下型18a、上型18bからなるスピーカ用ダンパーの成型金型17の断面図であり、図から明らかな如く下型18a、上型18bの波型形状は図1のスピーカ用ダンパー10aのように内周部から外周部に至るほど広くして柔軟度を均一にして可撓な部分全体で変形して大きな変位と、充分な力−変位特性の直線性が確保できる形状のスピーカ用ダンパーの作製を可能とするとともに、上記下型18a、上型18bは外周部分18ao,18boと内周部分18ai,18biとベース部分21a,21bからなり、外周部分18ao,18boと内周部分18ai,18biは熱伝導しにくいように接触面積を小さくして構成され、上記下型18a、上型18bの外周部側面に加熱バンドヒータ19a,19bが装着され、また金型の内周部分18ai,18biには金型冷却用水管20a,20bが内挿されている。
【0030】
以上のように構成され外周部が高温度(例えば250℃)、内周部が低温度(例えば200℃)に制御されたスピーカ用ダンパーの上記成型金型によって、工程(a),(b),(c)を通じて、得られた全面に第1の熱硬化性の樹脂を含浸し、次に外周部分のみにさらに第2の熱硬化性の樹脂を含浸したダンパー打抜き基材12を加熱成型することにより内周部側に曲げ強度の小さい波型成型部分及び、外周部側に曲げ強度の大きい波型成型部分を形成するものである。
【0031】
以上のようにして形成されたスピーカ用ダンパーは、最外周部近傍の波型のみ内周部に比べて上記柔軟度を低くしたので、前述のスピーカ用ダンパーの最外周部の波型を内側の波型に比べて幅を狭く設定したものと同様に可撓な部分全体(内周部)で変形して大きな変位と、充分な力−変位特性の直線性が確保でき、過大な振幅に対しては最外周部近傍の波型部分で振幅限界における力−変位特性をソフトにクリップさせることによりスピーカ用ダンパーの突っ張りによる異常音の改善ができ、かつ内周部で破断しないスピーカ用ダンパーを提供できるものである。
【0032】
なお、上記実施の形態では、低音で熱硬化し、小さい曲げ強度を与える第1の熱硬化性の樹脂と、高温で熱硬化し、大きい曲げ強度を与える第2の熱硬化性の樹脂を含浸工程においてダンパー打抜き基材12の含浸部位を選択的に設定した成型前のダンパー打抜き基材12を準備し、温度分布を有する金型で成型してスピーカ用ダンパーを製造したが、比較的低い温度で熱硬化し、小さい曲げ強度を与える第1の熱硬化性の樹脂と、相対的に高い温度で熱硬化し、大きい曲げ強度を与える第2の熱硬化性の樹脂を含浸してダンパー打抜き基材12に含浸し、内側の波型は相対的に低い温度に、最外周部の波型のみ高い温度に設定された温度分布を有する金型で成型して同様の効果を得ることができるものである。
【0033】
また、上記各実施の形態ではスピーカ用ダンパーの最外周部の波型のみ内周部側より柔軟度を低くしたものとして説明したが、上記効果が得られるものであれば最外周部の波型のみと限定する必要はなくその近傍の柔軟度も適宜低く設定しても良いものである。
【0034】
また、本実施の形態においては最外周部近傍を除く波型部分で円周が短い内周部から円周が長い外周部までの内周部側の各々の部位における柔軟度を略等しく設定したスピーカ用ダンパーの最外周部近傍の波型のみ内周部に比べて柔軟度を低く設定するのにスピーカ用ダンパーに含浸する樹脂の曲げ強度の差を利用するものとして説明したが、従来の技術で説明したスピーカ用ダンパー10の最外周部近傍の波型のみ内周部に比べて柔軟度を低く設定するのにスピーカ用ダンパーに含浸する樹脂の曲げ強度の差を利用しても最外周部の波型部分で異常過大入力による振幅限界における力−変位特性をソフトにクリップさせてスピーカ用ダンパーの突っ張りによる異常音の改善ができるスピーカ用ダンパーの提供をも可能とするものである。
【0035】
【発明の効果】
以上のように、本発明のスピーカ用ダンパーは、過大な振幅に対しては最外周部の波型部分で振幅限界における力−変位特性をソフトにクリップさせることによりスピーカ用ダンパーの突っ張りによる異常音の改善ができるスピーカ用ダンパーとその製造法およびこれを用いた優れたスピーカを提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられる一実施の形態のスピーカ用ダンパーの断面図
【図2】(a)同変形断面図
(b)同波型の変化量を示す模式図
【図3】同スピーカ用ダンパーを用いたスピーカの断面図
【図4】(a)同スピーカ用ダンパーの力−変位量図(従来)
(b)実施の形態の力−変位量図
【図5】(a)本発明の一実施の形態のスピーカ用ダンパーに用いられる第1の熱硬化性の樹脂を含浸し、乾燥したスピーカ用ダンパーの基材の斜視図
(b)同円形に打抜かれたダンパー打抜き基材の斜視図
【図6】(a)同第2の熱硬化性の樹脂を含浸する工程を説明する説明図
(b)同スピーカ用ダンパーの成型金型の断面図
【図7】(a)従来のスピーカ用ダンパーの平面図
(b)同半断面図
【図8】従来のスピーカ用ダンパーの変形図
【図9】(a)同説明のためにスピーカ用ダンパーに数ヵ所にスリットを追加した平面図
(b)同スリットで分割された1区画を薄い板で表現した模式図
(c)同重ね板バネ構成で説明するための説明図
【図10】同従来のスピーカの断面図
【符号の説明】
1 透孔
2 内周縁部
3 外周縁部
4 波型
5 スリット
11 スピーカ用ダンパーの基材
12 ダンパー打抜き基材
13 内径孔
14 ガイド棒
16 第2の熱硬化性の樹脂
17 スピーカ用ダンパーの成型金型
18a 下型
18b 上型

Claims (4)

  1. 環状の凸又は凹の波型を径方向に繰り返して構成する波型のスピーカ用ダンパーにおいて、基材に小さい曲げ強度を与える第1の熱硬化性の樹脂を含浸し熱成型して形成された内周部と、大きい曲げ強度を与える第2の熱硬化性の樹脂を含浸し熱成型して形成された外周部とで構成されたスピーカ用ダンパー。
  2. 環状の凸又は凹の波型を径方向に繰り返して構成する波型のスピーカ用ダンパーにおいて、基材に比較的低い温度で熱硬化し小さい曲げ強度を与える第1の熱硬化性の樹脂と、相対的に高い温度で熱硬化し大きい曲げ強度を与える第2の熱硬化性の樹脂を混合して含浸し、内周部の波型を相対的に低い温度で熱成型し、外周部近傍の波型を高い温度で熱成型して形成されたスピーカ用ダンパー。
  3. 環状の凸又は凹の波型を径方向に繰り返して構成する波型のスピーカ用ダンパーにおいて、少なくとも基材に曲げ強度の小さい第1の熱硬化性の樹脂を含浸・乾燥する工程と、この基材を略円形に打抜く工程と、この略円形に打抜かれた基材の外周部近傍に曲げ強度の大きい第1の熱硬化性樹脂より高温で硬化する第2の熱硬化性の樹脂を含浸・乾燥する工程と、外周部近傍を高温に、内周部は低い温度に加熱された金型で成型する工程とからなるスピーカ用ダンパーの製造法。
  4. 少なくとも磁気ギャップを有する磁気回路と、この磁気回路に装着されたフレームと、外周部が直接または間接的に上記フレームに結合され内周部が上記磁気回路の磁気ギャップにはめ込まれたボイスコイルボビンに結合された振動板と、外周部が上記フレームに結合され内周部が上記ボイスコイルボビンに結合されて上記ボイスコイルボビンを支持する請求項1または請求項2に記載のスピーカ用ダンパーとで構成されるスピーカ。
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