JP3637572B2 - 酵素による核酸の定量方法および定量用組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、少なくとも、下記の4つの反応工程からなる核酸の定量方法で、工程1:被検体中の核酸にフォスファターゼを反応せしめて無機リンを生成させる工程、工程2:生成した無機リンを、過剰量のヌクレオシド存在下、少なくともヌクレオシドフォスフォリラーゼ存在下で反応せしめ、用いたヌクレオシドから形成される脱糖化プリン誘導体または脱糖化ピリミジン誘導体およびリン酸化基質を生成せしめるとともに、工程3:生成したリン酸化基質を同フォスファターゼにて無機リンを生成せしめて工程2の反応を生ぜしめて脱糖化プリン誘導体または脱糖化ピリミジン誘導体を生成せしめてなる工程2および工程3を行い、工程4:全行程において生成した脱糖化プリン誘導体または脱糖化ピリミジン誘導体の量を酵素的に定量する工程および核酸の定量用組成物に関する。
【0002】
【従来技術】
被検体、例えば、アデノシン・モノリン酸(AMP)、グアノシン・モノリン酸(GMP)、シチジン・モノリン酸(CMP)、チミジン・モノリン酸(TMP)、ウリジン・モノリン酸(UMP)、イノシン酸(IMP)、DNA、RNA、DNA−RNAハイブリッド体などの生体中の核酸は、リン酸化された化合物であり、それぞれの代謝反応および遺伝情報の伝達などにおいて重要な役割を果たしている。最近、臨床検査の分野では、核酸の塩基配列の特異性を利用して、感染症の診断やガン遺伝子を対象とした病態検査等を行っており、特にポリメラーゼチェーンリアクション(PCR)法(R.K.Saiki,et al.,Science 1988年、239巻、487〜491)に代表されるような核酸増幅技術の発達により、目的遺伝子の検出のための検体が急増している。
【0003】
従来、核酸研究分野において核酸を測定する場合、ビオチン、酵素、ラジオアイソトープ、ハプテンなどで標識された核酸を用いて測定対象物質と結合反応をさせ、結合物と未結合物とを分離した後、その標識体から信号を検出する方法が一般的である。例えば、検出方法としては、増幅産物をポリアクリルアミド電気泳動したのち、ゲルをエチジウムブロマイド染色をしてトランスイルミネーターにて検出する方法や、放射性同位元素により標識された標的核酸と相補的な塩基配列を有するプローブを用い、これと標的核酸とをハイブリダイゼーション反応させ、未反応物を洗浄除去等で分離した後、反応産物中の放射活性を検出する手法等を用いる。しかしながら、電気泳動法では臨床検査で用いるような多検体の処理には不向きであるし、一方、放射性同位元素を用いる手法では特別な施設を必要とし、放射線にさらされる危険性から、操作が極めて煩雑で、特殊な研究以外、汎用性には乏しい。
【0004】
また、上記電気泳動法や放射性同位元素による標識法の他に、非放射性標識プローブを用いた手法も行われている。例えば測定対象となる核酸と相補的な塩基配列を有する核酸の5’末端にビオチン標識したプローブを用い、予め被検体を必要に応じてアルカリ処理や熱処理などをして1本鎖とした核酸とハイブリダイゼーション反応させ、未反応物を洗浄除去等で反応産物と分離した後に、酵素と結合させておいたアビジンと反応産物中のビオチンとを結合反応させ、再度、反応産物と未反応の酵素標識されたアビジンとを洗浄などにより分離し、最終的に酵素活性を測定する方法がある。しかし、これら方法では、未反応の標識体と反応産物とを分離する操作が必要であり、測定操作が極めて煩雑であるためルーチン分析には不適である。
【0005】
また、検体である核酸を検出する感度を向上させる手法として各種の核酸増幅法が用いられている。代表的なものとしてPCR法は耐熱性DNAポリメラーゼ、2種類の特異的プライマーを用い、温度の上下の繰り返しによって対象となる1種類以上の核酸をDNAポリメラーゼ反応とアニーリングを繰り返しながら対象を特異的に増幅反応を行わせる手法である。この手法は単に核酸を増幅させるための手法であるため増幅された標的核酸を検出するために増幅とは別の検出系が必要である。
【0006】
また、他の核酸増幅技術としてリガーゼチェーンリアクション(LCR)法(F.Barany、Proceedings of National Academy of Science of USA、1991年、88巻、189〜193頁)も用いられており、具体的には上記PCR法の耐熱性DNAポリメラーゼの代わりに耐熱性DNAリガーゼを用い、PCR法同様温度の上下でアニーリングとリガーゼ反応を繰り返して核酸増幅を行わせる手法である。反応産物を検出するための方法として、上記PCR法と同様な方法を行う。
【0007】
さらに、NASBA法(T.Kievits,et al.,Journalof Virological Methods、1991年、35巻、273〜286頁)などに代表される核酸増幅技術においてもその反応産物の核酸検出方法は同様である。具体的には、逆転写酵素、DNAポリメラーゼ、RNaseHと2種類のプライマーを用いて酵素のカスケード反応によって常温で対象の核酸を増幅させる方法が知られている。
【0008】
しかし、上記PCR法及びLCR法同様に核酸増幅の反応をもちいて検出感度を向上させても、反応産物の核酸の検出方法は煩雑な手法しか用いられておらず、検出までの操作時間は短縮されずにいるため多検体の処理は極めて困難な状況下にある。
一方、核酸を簡便に定量する方法として、核酸中のリン酸を測定する方法も考えられる。実際、前記のごとく、放射性同位元素により標識された標的核酸と相補的な塩基配列を有するプローブを用る場合、放射性同位元素の種類は32Pを用いるのが一般的で、この量を定量することで核酸量として検出される。しかし前述のごとく操作性の煩雑さなどから汎用性が低い。
【0009】
また、非放射性のリン酸測定の方法も考えられるが、従来のリン酸測定法としては、酸性溶液中でモリブデン酸アンモニウムとリン酸を反応させ、所定の方法で還元してモリブデンブルーに変換する方法により測定されてきた。また、酵素的なリン酸の定量法として、種々報告されている。例えば、(1)ホスホリラーゼにより、グリコーゲン+無機リン→グルコース−1−リン酸+グリコーゲンなる反応をさせ、生じたグルコース−1−リン酸をホスホグルコムターゼによりグルコース−6−リン酸に転換後、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼとNADPを用い、生成するNADPHを測定するもの(臨床検査、22巻、11号、1339頁、1978年)、(2)D−グリセロアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼによる、D−グリセロアルデヒド−3−リン酸+無機リン+NAD→1,3−ジホスホグリセリン酸+NADHなる反応系を利用するもの(Anal.Biochem.,49,p88〜94、1972年)、(3)(1)のホスホリラーゼの代わりにシュークロースホスホリラーゼを用い、シュークロース+無機リン→グルコース−1−リン酸+フルクトースなる反応系によりグルコース-1-リン酸を生成せしめ、以下(1)と同様に測定するもの(臨床化学会年会記録、第26集、161頁、1986年)、(4)プリンヌクレオシドフォスフォリラーゼを用いて、イノシン+無機リン→ヒポキサンチン+リボース−1−リン酸とし、生じたヒポキサンチンをさらにキサンチンオキシダーゼを用いてヒポキサンチン+2H2 O+2O2 →尿酸+2H2 O2 なる酵素反応系により生成する過酸化水素をペルオキシダーゼ反応により比色定量するもの、(5)6−ホスホフルクトキナーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼを用い、D−フルクトース−1,6−ジリン酸+無機リン→ピロリンサン+フルクトース−6−リン酸→グルコース−6−リン酸なる酵素反応により生じたグルコース−6−リン酸をグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを用いて測定するもの(特開平1−179699号公報)等がある。
【0010】
しかしながら、これらの方法のほとんどが、無機のリン酸を特異的に測定するための手法であり、しかも、いずれも高感度な測定法とはいえず、被検体中の測定対象物質が微量の場合は、定量できないという欠点があった。このため、核酸を定量するためにこれらの非放射性のリン酸測定法はほとんど用いられてこなかった。
【0011】
また、微量の物質を測定する手法として分光分析よりも高感度である蛍光分析や発光分析などが用いられているが、特殊な機器設備を必要とし、汎用性に乏しい。
以上の理由から、核酸を定量することを目的に核酸中のリン酸量に基づいて核酸を酵素的に定量する方法は実用化されていなかった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
前記の核酸のようなヌクレオシドとエステルを形成したリン酸を酵素的に特異的かつ高感度に定量することができれば、微量の核酸が測定可能であることはもちろん、測定に必要な検体量を減らすことができる。そして、酵素の特異性を利用して各反応工程間で行う、反応産物と未反応物との分離操作も少なくなり、大幅に操作性を向上させることができるようになる。また短時間に多検体を測定することができるようにもなり、ルーチン分析が可能となる。このように、検出感度を上げ、操作性を改善することは臨床検査分野において、微量成分を多検体測定する必要性から考えて、必然の要求である。
【0013】
前述のごとく、従来の核酸定量法ではいまだ満足のいくものではなく、簡便かつ高感度の定量法の開発が望まれていた。
従って、本発明の目的は、高感度でかつ高精度で簡便な核酸の定量方法および定量用組成物を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、まず、被検体中の核酸を基質としてフォスファターゼ反応せしめて核酸から無機リンを遊離せしめ、次に、遊離した無機リンとヌクレオシドを基質として、ヌクレオシドに無機リン酸が酵素的に転移して分解した脱糖化プリン誘導体または脱糖化ピリミジン誘導体とリボース−1−リン酸またはデオキシリボース−1−リン酸を生成するヌクレオシドフォスフォリラーゼ反応を行ってリボース−1−リン酸またはデオキシリボ−1−リン酸であるリン酸化基質を生成せしめ、次いで、一度基質として使用した無機リン酸をフォスファターゼによってリボース−1−リン酸またはデオキシリボース−1−リン酸であるリン酸化基質より生成させ、この無機リンをヌクレオシドフォスフォリラーゼ反応基質の1つとして再利用してなるヌクレオシドの存在下ヌクレオシドフォスフォリラーゼ反応を行わせ、この時過剰量のヌクレオシドを用いることによる無機リンの酵素的なサイクリング反応を見いだし、核酸を高感度かつ短時間に測定しうる定量方法および定量用組成物を見いだした。
【0015】
本発明は上記の知見に基づいて完成されたもので、少なくとも、下記の4つの反応工程からなる核酸の定量方法で、
工程1:被検体中の核酸にフォスファターゼを反応せしめて無機リンを生成させる工程、
工程2:生成した無機リンを、過剰量のヌクレオシド存在下、少なくとも、ヌクレオシドフォスフォリラーゼ存在下で反応せしめ、用いたヌクレオシドから形成される脱糖化プリン誘導体または脱糖化ピリミジン誘導体およびリン酸化基質を生成せしめるとともに、
工程3:生成したリン酸化基質を同フォスファターゼにて無機リンを生成せしめて工程2の反応を生ぜしめて脱糖化プリン誘導体または脱糖化ピリミジン誘導体を生成せしめてなる工程2および工程3の反応を行い、
工程4:全行程において生成した脱糖化プリン誘導体または脱糖化ピリミジン誘導体の量を酵素的に定量する工程、を特徴とし、少なくとも、被検液中の核酸の定量に当たって下記の反応組成物を含む核酸の定量用組成物で
(1)ヌクレオシドフォスフォリラーゼ
(2)ヌクレオシド
(3)フォスファターゼ
(4)脱糖化プリン誘導体または脱糖化ピリミジン誘導体の量を酵素的に定量する成分
を含有する核酸の定量用組成物である。
【0016】
本発明における被検体中の核酸とは、プリンまたはピリミジン塩基、ペントース、リン酸からなるヌクレオチドを基本単位とし、基本単位が1つの時はペントース部がリン酸エステルを形成している化合物で、2つ以上の基本単位の時は各ヌクレオチド間で糖の3’と5’位の炭素のリン酸ジエステル結合で結ばれた化合物で、フォスファターゼによって無機リン酸またはそのイオン体を遊離しうる化合物を意味し、これらの核酸を含有するものであれば、例えば、血清、血漿、尿、唾液、涙液などの生体液や生体組織から得られる細胞抽出液、飲食物抽出液、核酸試薬液、好適にはウイルスや微生物等の感染症由来の核酸含有液などが被検体として挙げられるが特に限定されるものではない。また、被検体の使用量は核酸の濃度によって多少異なるが適宜希釈するなどして例えば1μl〜1mlの範囲で適量を用いればよい。
【0017】
また核酸としては例えば、モノリボヌクレオシド、モノデオキシリボヌクレオシド、DNA−RNAハイブリッド型、1本鎖または2本鎖のDNA型またはRNA型のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド、またはそれらのヌクレアーゼ分解産物が挙げられる。
具体的には、例えばアデノシン・トリリン酸(ATP)、アデノシン・ジリン酸(ADP)、アデノシン・モノリン酸(AMP)、グアノシン・トリリン酸(GTP)、グアノシン・ジリン酸(GDP)、グアノシン・モノリン酸(GMP)、シチジン・トリリン酸(CTP)、シチジン・ジリン酸(CDP)、シチジン・モノリン酸(CMP)、チミジン・トリリン酸(TTP)、チミジン・ジリン酸(TDP)、チミジン・モノリン酸(TMP)、ウリジン・トリリン酸(UTP)、ウリジン・ジリン酸(UDP)、ウリジン・モノリン酸(UMP)、イノシン・トリリン酸(ITP)、イノシン・ジリン酸(IDP)、イノシン酸(IMP),デオキシアデノシン・トリリン酸(dATP)、デオキシアデノシン・ジリン酸(dADP)、デオキシアデノシン・モノリン酸(dAMP)、デオキシグアノシン・トリリン酸(dGTP)、デオキシグアノシン・ジリン酸(dGDP)、デオキシグアノシン・モノリン酸(dGMP)、デオキシシチジン・トリリン酸(dCTP)、デオキシシチジン・ジリン酸(dCDP)、デオキシシチジン・モノリン酸(dCMP)、デオキシチミジン・トリリン酸(dTTP)、デオキシチミジン・ジリン酸(dTDP)、デオキシチミジン・モノリン酸(dTMP)などの低分子量の核酸が例示できる。
【0018】
また高分子量の核酸としては、例えばDNA−RNAハイブリッド体、1本鎖DNA、2本鎖DNA、1本鎖RNA、2本鎖RNAのオリゴヌクレオチド(オリゴヌクレオチドとして2〜30個の核酸の鎖として挙げられる)やポリヌクレオチド(ポリヌクレオチドとして30個以上の核酸の鎖として挙げられる)などが挙げられ、例えばDNA−RNAハイブリッド体としてはポリA−オリゴdT12-18 、逆転写酵素反応産物などが挙げられ、1本鎖DNAとしてはオリゴdT19-24 、オリゴdT12-18 、オリゴdC12-18 、オリゴdG12-18 、オリゴdA12-18 、オリゴdT25、ポリdA、合成プローブ、プライマーなどが挙げられ、2本鎖DNAとしては動植物または微生物のゲノムDNAやプラスミド、DNAポリメラーゼ反応産物などが挙げられ、また1本鎖RNAとしてはオリゴA12-18 、ポリA、動植物のm−RNA、r−RNAまたはt−RNA、ウイルスゲノムRNA、リボムクレオチジルトランスフェラーゼ反応産物、合成プローブ、プライマーなどが挙げられ、2本鎖RNAとしては1本鎖RNA同士のハイブリダイゼイション反応産物などが挙げられ、これらのオリゴヌクレオチドやポリヌクレオチドのヌクレアーゼ分解産物も挙げられ、さらにオリゴヌクレオチドやポリヌクレオチドの例示として後述する感染症由来の核酸が挙げられる。
【0019】
また、糖の5’位がリン酸エステルを形成していない場合は、これらの化合物をあらかじめリン酸化酵素などの核酸修飾酵素でリン酸化しておけばそれでよい。リン酸化酵素としては、例えば、T4ポリヌクレオチドカイネース、ヌクレオシドフォスフォトランスフェラーゼ、デオキシアデノシンカイネース、デオキシシチジンカイネースなどあり、これらの化合物の種類に合わせた基質特異性を有する酵素を選択して、本発明の対象とする核酸として用いればよい。
【0020】
検出する目的の一つの核酸として感染症由来の核酸が挙げられ、感染症の由来が微生物の場合は、例えば好気性グラム陽性菌、好気性グラム陰性菌、嫌気性グラム陽性菌、嫌気性グラム陰性菌、抗酸菌、真菌、クラミジア、リッケチア、また、ウイルスの場合は例えばヒトエイズウイルス(HIV)、ヒトTセル白血病ウイルス(HTLV)などのレトロウイルス、ヒトC型肝炎ウイルス(HCV)、ヒトB型肝炎ウイルス(HBV)、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、ヘルペスウイルス、バルボウイルス、パポーバウイルス、ポリオウイルス、ラブドウイルスなどが挙げられ、これら診断に有効であるような変異の少ない特異的遺伝子、また、癌遺伝子として癌抑制遺伝子や核内癌遺伝子などの定量が可能である。また、遺伝子治療を行う際の治療効果の判定や治療用遺伝子の定量等においても、本発明における核酸の定量方法は有用である。
【0021】
使用されるヌクレオシドフォスフォリラーゼとは少なくともヌクレオシド+無機リン=リボース−1−リン酸(用いるヌクレオシドのペントースがリボースの場合)またはデオキシリボース−1−リン酸(用いるヌクレオシドのペントースがデオキシリボースの場合)+脱糖化プリン誘導体(用いるヌクレオシドの塩基がプリン塩基である場合)または脱糖化ピリミジン誘導体(用いるヌクレオシドの塩基がピリミジン塩基の場合)なる反応を触媒するものであって、例えば、プリンヌクレオシドフォスフォリラーゼ(EC 2.4.2.1)、ピリミジンヌクレオシドフォスフォリラーゼ(EC 2.4.2.2)、ウリジンフォスフォリラーゼ(EC 2.4.2.3)、チミジンフォスフォリラーゼ(EC 2.4.2.4)等が挙げられ、好ましくはプリンヌクレオシドフォスフォリラーゼが挙げられる。特にプリンヌクレオシドフォスフォリラーゼは生体に広く存在し、例えば動物組織、赤血球、酵母などに存在し(Friedkin,M.et.al,The Enzymes(2nd ed),1961年,5,237−647頁)、市販もされている(東洋紡社)ため容易に入手できる。
【0022】
また基質となるヌクレオシドは、プリンまたはピリミジンを塩基としたペントースからなる糖を結合したヌクレオシドで、ペントースとしては好適には例えばリボースまたはデオキシリボースが挙げられ、少なくともヌクレオシドフォスフォリラーゼの基質となるものであれば何でも良く、例えばグアノシン、イノシン、デオキシグアノシン、キサントシン、8−アザグアノシン、ウリジン、チミジン、デオキシウリジン、5−ブロモウリジン、5−ブロモデオキシウリジンなどが良く知られており、これらの群から選ばれた1つ以上のものならいずれも用いることができ、好ましくはイノシンが挙げられる。
【0023】
また、本発明におけるフォスファターゼとは、ヌクレオシドフォスフォリラーゼ反応によって生成したリボース−1−リン酸またはデオキシリボース−1−リン酸等のリン酸化基質を基質として少なくともリボース−1−リン酸→リボース+無機リンまたはデオキシリボース−1−リン酸→デオキシリボース+無機リンなる反応を触媒するものであれば用いることができ、さらにリボース−1−リン酸またはデオキシリボース−1−リン酸などのリン酸化基質を基質とする酵素と、核酸を基質として無機リンを生成せしめる触媒反応を行うような酵素群とを1種類以上組み合わせて使用することも可能である。
【0024】
フォスファターゼとしては例えば、アルカリフォスファターゼ(EC 3.1.3.1)、酸性フォスファターゼ(EC 3.1.3.2)、5’ヌクレオチダーゼ(EC 3.1.3.5)、3’ヌクレオチダーゼ(EC 3.1.3.6)、ポリヌクレオチド−5’−フォスファターゼ(EC 3.1.3.33)、デオキシヌクレオチド−3’−フォスファターゼ(EC 3.1.3.34)、チミジレート−5’−フォスファターゼ(EC 3.1.3.35)、アシルフォスファターゼ、グルコース−1−フォスファターゼ(EC 3.1.3.10)、フルクトースビスフォスファターゼ(EC 3.1.3.11)、ビスフォスフォグリセレートフォスファターゼ(EC 3.1.3.13)、フォスフォリラーゼフォスファターゼ(EC 3.1.3.17)、グリセロール−2−フォスファターゼ(EC 3.1.3.19)、フォスフォグリセレートフォスファターゼ(EC 3.1.3.20)、シュークロースフォスファターゼ(EC 3.1.3.24)、フォスファチジルグリセロフォスファターゼ(EC 3.1.3.27)、ADPフォスフォグリセレートフォスファターゼ(EC 3.1.3.28)、デオキシヌクレオチド−3’−フォスファターゼ(EC 3.1.3.24)、フォスファチジルイノシトールービスフォスフェートフォスファターゼ(EC 3.1.3.36)、ストレプトマイシン−6−フォスファターゼ(EC 3.1.3.39)、4−ニトロフェニルフォスファターゼ(EC 3.1.3.41)などがよく知られており、これら酵素群から、基質特異性を考慮のうえ1種類かそれ以上選択すればよいが、特にこれに限定されるものではない。
【0025】
こうして反応させたサイクリング反応によって蓄積されるリボースまたはデオキシリボース、脱糖化プリン誘導体または脱糖化ピリミジン誘導体を定量することによって簡単に核酸量を定量できる。具体的には、例えば脱糖化プリン誘導体がヒポキサンチンである場合、ヒポキサンチンを基質にキサンチンオキシダーゼ(市販酵素が簡便であり、例えばベーリンガーマンハイム社製が挙げられる)またはキサンチンデヒドロゲナーゼ(簡便には特開平6−113837号公報記載の細菌−No.197(10)〔Bacteria No.197(10)〕微工研条寄第3664号(FERM BP−3664)によるキサンチンデヒドロゲナーゼ−Tが挙げられる)などの酵素を、必要であれば適当な補酵素存在化にて反応せしめ、また、脱糖化ピリミジンがチミンまたはウラシルである場合、チミンまたはウラシルを基質にウラシルデヒドロゲナーゼまたはデヒドロウラシルデヒドロゲナーゼなどの酵素を、必要であれば適当な補酵素存在化にて反応せしめ、反応生成物を光学的に検出定量すればよい。
【0026】
また必要であればキサンチンオキシダーゼ反応生成物やキサンチンデヒドロゲナーゼ反応生成物、例えば過酸化水素をさらに酵素的に定量すればなおよい。例えば、キサンチンオキシダーゼ反応によって生成した過酸化水素を基質に4−アミノアンチピリンとN−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−アニジン(ADOS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン(DAOS)、N−エチル−N−スルホプロピル−m−アニジン(ADPS)、N−エチル−N−スルホプロピルアニリン(ALPS)、N−スルホプロピル−3,5−ジメトキシアニリン(HDAPS)、N−エチル−N−スルホプロピル−3,5−ジメチルアニリン(MAPS)、N−エチル−N−スルホプロピル−m−トルイジン(TOPS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)アニリン(ALOS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリン(MAOS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−トルイジン(TOOS)、N−スルホプロピルアニリン(HALPS)(同人化学研究所株式会社製)など市販されている酸化還元発色試薬存在化、パーオキシダーゼ反応せしめ、生成物を光学的に定量、例えば発色における特異的吸収波長に基づく吸光度を測定すればよい。また、キサンチンオキシダーゼ反応において消費される酸素の量を酸素電極や生成される過酸化水素を過酸化水素電極にて定量しても良い。
【0027】
または、NADやNADPなどの補酵素存在化、キサンチンデヒドロゲナーゼ反応またはデヒドロウラシルデヒドロゲナーゼ反応によって生成した還元型補酵素をその極大吸収波長、例えば還元型NADや還元型NADPの場合340nm付近の吸光度を測定しても良く、また、還元型補酵素にテトラゾリウム化合物の存在化ジアホラーゼ反応せしめ、反応生成物のホルマザン色素を光学的に検出すればよい。
【0028】
各酵素の量は、ヌクレオシドフォスフォリラーゼ量は0.001U/ml〜5000U/mlの範囲内であればそれでよく、好ましくは0.01U/ml〜40U/mlの濃度であればよいが、特にこれに限定されるものではなく、フォスファターゼの濃度は、0.01U/ml〜100000U/mlの濃度であればよいが、好ましくは0.05U/ml〜1000U/mlであればなお良いが、特にこれに限定されるものではない。
【0029】
添加されるヌクレオシドの量は、ヌクレオシドフォスフォリラーゼが核酸より遊離したリン酸と必要かつ充分な反応ができるような過剰量であれば良く、その濃度は0.01mM〜200mMであれば良く、好ましくは0.5mM〜100mMであればなお良いが、特にこれに限定されるものではない。反応系は、上記の酵素や構成試薬を同時に添加して用いるのが最も良いが、その添加する順序は特に限定されない。
【0030】
キサンチンオキシダーゼまたはキサンチンデヒドロゲナーゼまたはデヒドロウラシルデヒドロゲナーゼの量は50U/ml〜0.0001U/mlの濃度範囲であればそれでよく、好適には5U/ml〜0.001U/mlであればなおよく、補酵素の量は100mM〜0.0001mMの範囲であれば良いが特にこれに限定されるものではない。
【0031】
反応液中のpHは各酵素の至適なpHを考慮のうえ、最適な値をとればそれでよく、pH3〜10、好ましくはpH5〜9であればそれでよいが、特にこれに限定されるものではない。反応液に用いる緩衝液は設定するpHにあわせて選択すればそれで良く、例えば、トリス緩衝液、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、グッド緩衝液などから1種類かそれ以上選択すればそれでよい。
【0032】
また、反応温度は、用いる酵素が失活しない温度であれば特に限定されるものではなく、一般に酵素の作用温度条件であればよく、例えば0〜100℃程度、好適には37℃付近である。
反応時間は、酵素的サイクリング反応である工程2および工程3の反応が少なくとも1回以上反復する時間であればよく、酵素的サイクリングの1回に要する時間としては、使用する酵素の量によって多少異なるが、約10〜20秒程度であり、測定における反応時間は簡便には1分以上であればよく、好適には10分以内であるが、よりサイクリング反応を生じせしめて高感度とするためにより長時間反応せしめてもよく、反応後に検出できる変化の量、例えば前記した酸素の消費量、過酸化水素の生成量、還元型補酵素の生成量またはこれらの量に基づく吸光値によって検量線に基づき算出することにより被検体中の核酸を定量できる。
【0033】
そして、必要に応じて上記反応液中に、NaClもしくはKCl等の塩を添加し、ジチオスレイトール、ジチオエリトリトールやグルタチオンなどのSH保護剤を添加したり、また、保存容器の種類に応じて、アルブミン、IgG等のタンパク質、リジンやポリ−L−リジンなどのモノ、もしくはポリアミノ酸、及び界面活性剤を吸着防止剤として添加した液であれば、なんでも用いることができる。
【0034】
上記の手法で特にオリゴヌクレオチドを定量しようとした場合に、その感度がさらに必要ならば、検体をヌクレアーゼによって分解し、その分解産物を上記手法で定量することによってさらに感度が向上する。
ヌクレアーゼは例えば、エクソデオキシヌクレアーゼI(EC3.1.11.1)、エクソデオキシヌクレアーゼIII(EC3.1.11.2)、エクソデオキシヌクレアーゼラムダインデュース(EC3.1.11.3)、エクソデオキシヌクレアーゼファージSP3インデュース(EC3.1.114)、エクソデオキシヌクレアーゼV(EC3.1.11.5)、エクソデオキシヌクレアーゼVII(EC3.1.11.6)、リボヌクレアーゼII(EC3.1.13.1)、エクソリボヌクレアーゼH(EC3.1.13.2)、オリゴヌクレオチダーゼ(EC3.1.13.3)、イーストリボヌクレアーゼ(EC3.1.14.1)、ヴェノムエクソヌクレアーゼ(EC3.1.15.1)、スプリーンエクソヌクレアーゼ(EC3.1.16.1)、デオキシリボヌクレアーゼI(EC3.1.21.1)、エンドデオキシリボヌクレアーゼIVファージT4インデュース(EC3.1.21.2)、デオキシリボヌクレアーゼII(EC3.1.22.1)、アスペルギルスデオキシリボヌクレアーゼK1 (EC3.1.22.2)、エンドデオキシリボヌクレアーゼV(EC3.1.22.3)、リボヌクレアーゼ(EC3.1.26.1、EC3.1.27.2、EC3.1.27.5、EC3.1.27.6、)、リボヌクレアーゼα(EC3.1.26.2)、リボヌクレアーゼIII(EC3.1.26.3)、エンドリボヌクレアーゼH(EC3.1.26.4)、リボヌクレアーゼP(EC3.1.26.5)、リボヌクレアーゼT2 (EC3.1.27.1)、リボヌクレアーゼT1 (EC3.1.27.3)、リボヌクレアーゼU2 (EC3.1.27.4)、エンドヌクレアーゼS1 (EC3.1.30.1)、エンドヌクレアーゼ(EC3.1.30.2)、ミクロコッカルエンドヌクレアーゼ(EC3.1.31.1)、または各種の制限酵素などが良く知られており、検体の種類と必要な感度にあわせて適当な種類を一つかまたはそれ以上組み合わせればよいが、特にこれに限定されるものではない。
【0035】
ヌクレアーゼ濃度は、核酸を適当な反応条件下で分解できる濃度があれば良く、好ましくは0.001U/ml〜5000U/mlであればをれで良いが、特にこれに限定されるものではない。
ヌクレアーゼ反応条件は、選択されたヌクレアーゼに最適な条件下で行えば良く、例えば、pHは選択された酵素における至適なpHに合わせられるように前記各種の緩衝液から選択すればそれでよく、必要に応じて、NaClもしくはKCl等の塩を添加し、ジチオスレイトール、ジチオエリトリトールやグルタチオンなどのSH保護剤を添加したり、また、保存容器の種類に応じて、アルブミン、IgG等のタンパク質、リジンやポリ−L−リジンなどのモノ、もしくはポリアミノ酸、及び界面活性剤を吸着防止剤として添加した液であれば、なんでも用いることができる。
【0036】
ヌクレアーゼ反応はサイクリング反応に用いる各酵素と同時に反応させても良いが、ヌクレアーゼ反応によって生成されたヌクレオチドを前記核酸の定量方法に従って反応できれば別々に反応させても良い。
特に、目的以外の核酸の混入が疑われる場合は、目的とする核酸に対して相補的な塩基配列を有するプローブにて目的の核酸を選別すると特異性が向上する。
【0037】
具体的には、固相担体に目的遺伝子と相補的な遺伝子配列を持つプローブを予め固相化させておき、これと目的遺伝子とをハイブリダイゼーション反応せしめ、結合した核酸の量を上記酵素反応によって定量すればよい。
さらに具体的には、透明なもしくは半透明なまたは着色した基材に目的遺伝子と実質的に相補的なプローブ遺伝子配列を固着させておき、目的遺伝子と従来一般的に用いられている反応条件にてハイブリダイゼーション反応せしめ(T.Maniatisetal.、1982年、MolecularCloning、ColdSpringHarborLaboratory)、目的以外の核酸を洗浄除去し、上記サイクリング反応せしめれば目的遺伝子量だけを特異的に定量できる。
【0038】
プローブは、目的核酸と実質的に相補的で目的核酸とハイブリダイズできる配列であればよく標識体でも非標識体でも良く、配列によっては後述するポリメラーゼの転写反応開始部位を含むプライマーとしても利用できる。また、目的核酸とあらかじめ固相に結合できるように標識されているものも使用することができ、プローブに結合した目的核酸が上記ヌクレアーゼ反応およびサイクリング反応できるものであれば何でも用いることができる。
【0039】
例えば、感染症の診断を行う場合に用いるプローブとして、クラミジアトラコマーチスの場合、DNAの5’末端側から、CTGCTCACGTAAATGCACAATTCCG(位置2441〜2465)、TGAAATCGGTATTAGTGTTTGCCGC(位置1301〜1325)、GTGCATTTACGTGAGCAGCTCTCTC(位置2458〜2434)、CCTGAAGGGCGCACAGTAGCTGAT(位置131〜108)等、ヨーロッパ特許第192033号明細書に示されている部位を含むもの、また、GGGTCTGATCCACCAGACTATTTCT(位置2402〜2378)、CTTCCGATACATTGACTGTTCCAGT(位置1722〜1746)など、クラーケら、Gene、1988年、71巻307〜314に示されている部位を含むものから1種類かそれ以上を選択すればそれでよい。
【0040】
また、C型肝炎ウイルス(HCV)の場合は、特公平5−81600号公報に示されているような配列からこのウイルスに特異的な領域を利用すればそれでよく、例えば特開平6-237799号公報に示されているようなCCTCTCGAGGGAGAGCCGGG、CCTGTCCAGGAATAGGACAT、AGGGAGAGCCTGAGATCC、GAGTATGACATGGAGCAGCA等が挙げられ、実質的にこれらの配列を含むものから1種類かそれ以上選択すればそれでよい。
【0041】
またヒト後天性免疫不全ウイルス(HIV)の場合、T.KievitsらによるJournal of Virological Methods、1991年、35巻、273〜286頁に示されているように、CCTGGCTTTAATTTTACTGGTA、ATTGCCTCTCTGCATCATTA、AGCAAGCTTCACAGGAGGTA、TGTCCTCGTCTATGTCATAATC、ACCTTCTTTAGACAACTGAGTCTAACCAACG、CATCTGGCCAAGATAT、ATCTTCTTTACTACTGTCGTACAGTCCCT、GGTTTTGAGAACGGAAT、AGGGACTGTACGACAGTAGTAAAGAAGATを含む塩基配列などが挙げられ、これらを実質的に含むプローブを1種類かそれ以上選択すればそれでよいが、特にこれらに限定させるものではない。
【0042】
固相基材としてよく用いられるものはEIA用プレート、磁性ビーズ、EIA用プラスチックボール、チューブ、イオン交換樹脂等で、その材質としては、核酸を固定化できるものであれば何でも用いることができ、例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、テフロン、ポリエチレン、メチルベンテン樹脂(TPX)、フッ素樹脂、アクリル樹脂、シリカ、セルロース、アガロース、デキストラン、ポリカーボネート、ポリウレタン、塩化ビニル樹脂等のプラスチック、ステンレス、アルミ、チタン等の金属、ガラス及びゴム等が挙げられる。
【0043】
基材への核酸の固相化方法は、固相担体への吸着や、核酸の5’末端から直接基材へ化学結合する手法(V.Lund,et.al.,Nucleic Acids Research,Vol.16,22,10861−10880(1988))、核酸の5’末端、3’末端または、核酸のプリンもしくはピリミジン環部分にビオチン、ハプテン、レセプターなどを修飾し、基材に予め固相化しておいたアビジンや抗体などのリガンドと結合させることなどによって簡単に固相化できる。
【0044】
固相上における核酸の検出は、特にヌクレアーゼ反応を行わなくとも検出できるが、高感度が要求される場合はヌクレアーゼ反応を行えばそれでよい。
また、さらに高感度化が必要な場合は、固相担体上においてポリメラーゼ反応を行わせればなおよい。固相上にあらかじめ目的の核酸が結合できるような、ポリメラーゼの転写開始部位を含むプローブを固相化させておき、検体と接触させてハイブリダイズ反応せしめた後、ポリメラーゼ反応によって鋳型となる核酸から新たに核酸を合成せしめ、その核酸が、固相担体上に固着されて得られれば、その量を上記ヌクレアーゼ反応及びサイクリング反応によって定量できる。このようにハイブリダイズ反応した目的核酸の量をポリメラーゼで合成された核酸量に基づいて定量することにより、容易にもとの目的核酸量を増大させて高感度に定量することができる。
【0045】
例えば、検体がRNAの場合、基材に検体と相補的な1本鎖DNAプローブを固相化させておき、ハイブリダイゼーション反応後、逆転写酵素反応をさせる。このとき固相プローブとのハイブリッド体のうちプローブとハイブリダイズしていない1本鎖の領域をDNA−RNAの2本鎖ハイブリッド体を合成する。目的以外の核酸を洗浄除去し、リボヌクレアーゼH反応によって、ハイブリッド体のRNAだけを分解し、その分解産物中のヌクレオチド量を本発明の手法に従ってサイクリング反応にて定量すればよい。
【0046】
また、検体がDNAの場合、検体を熱処理またはアルカリ処理などによって、少なくとも検体以外の1本鎖核酸とハイブリダイズすることができるように前処理を行い、基材に検体と相補的な1本鎖DNAプローブを固相化させておき、ハイブリダイゼーション反応後、DNAポリメラーゼ反応をさせる。目的以外の核酸を洗浄除去し、エクソヌクレアーゼIIIによってハイブリッド体を分解し、その分解産物中のヌクレオチド量を本発明の手法に従ってサイクリング反応にて定量すればよい。
【0047】
ポリメラーゼとは、鋳型となる塩基配列から新たに核酸を合成する酵素で例えば、TaqDNAポリメラーゼ、クレノウフラグメント、DNAポリメラーゼI、T4DNAポリメラーゼ、逆転写酵素、T7RNAポリメラーゼ、SP6RNAポリメラーゼなどが知られており市販もされているので簡単に入手でき、これら酵素を1種類かそれ以上用いればそれでよい。
【0048】
ポリメラーゼ濃度は、適当な条件下で鋳型核酸から新たに核酸を合成できれば良く、好ましくは、0.001U/ml〜5000U/mlであればよいが、特にこれに限定されるものではない。またこの反応に用いるヌクレオチドとしてはUTP、ATP、GTP、CTP、dTTP、dATP、dGTP、dCTP等を適宜選択し組み合わせて用いれば良く、その量は100mM〜0.0001mMの濃度範囲で用いれば良く、またポリメラーゼ反応の鋳型となる核酸の塩基配列に合わせて反応に最適な条件となるように各ヌクレオチドの濃度を別々に設定しても良い。
【0049】
ポリメラーゼ反応条件は、用いるポリメラーゼに合わせて反応条件を選択すればそれで良く、固相上において核酸が転写され、その転写された核酸が固着された状態で得られれば何でも用いることができ、目的核酸と固相上のプローブとのハイブリダイズ反応とポリメラーゼ反応とは同一の反応系内で行わせるのがよいが、必要に応じて別々に反応させることもできる。
【0050】
さらには、固相担体上で核酸増幅を行えばさらに感度を向上させることができる。例えば、固相基材上にPCRなどの核酸増幅技術を行わせるための2種類のプライマー(ポリメラーゼの転写開始部位を含む核酸で、例えば逆転写酵素反応やDNAポリメラーゼ反応のための1本鎖DNA、T7RNAポリメラーゼ反応のためのT7プロモーター2本鎖DNA、SP6RNAポリメラーゼ反応のためのSP6プロモーター2本鎖DNAなどが挙げられる)のうち一方をポリメラーゼ反応の反応開始部位を含む本発明でのプローブとして用い、もう一方のプライマーを増幅する対象となる核酸の塩基配列と同一かもしくは相補的な塩基配列を持つポリメラーゼ反応の反応開始部位を含み、少なくともそのうち少なくとも1種類を固相化させておき、目的遺伝子を含む検体と核酸増幅を行わせるための反応組成物として例えば耐熱性DNAポリメラーゼともう一方のプライマーと最適な反応に必要な組成を含む反応液を添加し、固相上でPCRを行わせた後、未反応物を洗浄除去後、固相上の反応生成物を上記のヌクレアーゼ反応及びサイクリング反応を用いて定量すればさらに感度は向上する。プライマーは上記感染症に例を挙げたプローブを2種類以上選択して使用すればそれでよい。
【0051】
核酸増幅方法としては、例えば、PCR法、LCR法、NASBA法等を用いることができる。LCR法の場合はPCR法の場合と同様に、2種類のプライマーのうち少なくとも1種類を固相化させておき、目的遺伝子を含む検体と核酸増幅を行わせるための反応組成物として例えば耐熱性DNAリガーゼともう一方のプライマーと最適な反応に必要な組成を含む反応液を添加し、固相上でLCRを行わせた後、上記PCR法の場合と同様に検出すればよい。また酵素のカスケード反応を利用したNASBA法を用いる場合は2種類のプライマーのうち少なくとも1種類を固相化させておき、目的遺伝子を含む検体と核酸増幅を行わせる反応組成物として逆転写酵素、リボヌクレアーゼH、T7DNAポリメラーゼともう一方のプライマー及び最適な反応に必要な組成を含む反応液を添加し、固相上で増幅反応を行わせた後、固相上に形成される2本鎖DNAを上記PCR法の場合と同様に検出すればよい。
【0052】
さらに具体的には、例えば、検体がHIVやHCVのようなRNAの場合、基材に前述したHIVまたはHCV用のプローブのうち1種類を固相化させておき、ハイブリダイゼーション反応後、目的以外の核酸を洗浄除去し、上記の如くもう一方のプローブとともにNASBA法による核酸増幅反応せしめ、未反応物を洗浄除去した後、固相上に形成される2本鎖DNAをエクソヌクレアーゼIIIにて分解し、その分解産物中のヌクレオチド量を上記サイクリング反応にて定量すれば目的のHIVまたはHCVウイルスが検出可能となる。
【0053】
また検体が癌遺伝子を含む生体中の構造遺伝子のようなDNAの場合は、検体を酵素処理、加熱処理またはアルカリ処理などによって、少なくとも検体以外の1本鎖核酸とハイブリダイズすることができるように前処理を行い、検体と相補的な1本鎖DNAプローブを固相化させておいた固相基材とハイブリダイゼーション反応後、目的以外の核酸を洗浄除去し、エクソヌクレアーゼIIIによってハイブリッド体を分解し、その分解産物中のヌクレオチド量を本発明の酵素反応によって定量すればよい。また、さらに高感度が必要な場合は、上記のごとく核酸増幅法と組み合わせればよく、この場合上述の如くPCR法で固相上のプローブと液相のもう一方のプローブとを用いてポリメラーゼ反応させ、得られる固相上の2本鎖核酸を同様にエクソヌクレアーゼIIIによって分解させその産物を検出すれば目的の癌遺伝子が検出できる。
【0054】
検体は、固相の核酸とハイブリダイズできるように、生体成分から核酸抽出などの前処理をしたものであれば良く、必要に応じて酵素処理、加熱処理またはアルカリ処理、または樹脂やシリカなどに吸着させるなど精製を行うのが一般的に行われている手法であり(T.Kievitsら、Journal of Virological Methods、1991年、35巻、273〜286頁)、このようにして得られた多種多様な核酸から目的とする核酸が検出された場合、その検査の目的の菌またはウイルスの存在、または癌遺伝子等の特定の核酸が同定定量され、診断に有効に利用しうるものとなる。
【0055】
【実施例】
次に本発明の実施例によりさらに例示するが、本発明の範囲をこれにより制限するものではない。
【0056】
【実施例1】
50mMHEPESpH8、10mMイノシン(SIGMA社製)、1mM4−アミノアンチピリン(和光純薬工業製)、1mMADOS(同人科学研究所製)、0.375Uプリンヌクレオシドフォスフォリラーゼ(東洋紡社製)、50U牛小腸由来アルカリフォスファターゼ(宝酒造製)、50mUキサンチンオキシダーゼ(ベーリンガーマンハイム社製)、パーオキシダーゼ4.5U(SIGMA社製)の濃度に調製された酵素溶液1mlに、50mMHEPESpH8溶液中に、0〜1mMの濃度になるように調製されたAMP溶液0.01mlを添加し、37℃での溶液の542nmの1分後、2分後、3分後の吸光度を分光光度計にて測定した(ALP+)。
【0057】
また、これとは別に上記酵素溶液中にアルカリフォスファターゼを含まない酵素溶液1mlに、50mMHEPESpH8溶液中に、測定対象物となる0、0.2、0.4、0.6、0.8、1mMの濃度になるように調製された6種類のAMP溶液をそれぞれ0.01ml添加し、37℃での溶液の542nmの1分後、2分後、3分後の吸光度を分光光度計にて測定した(ALP−)。その結果を表1に示した。
【0058】
【表1】
【0059】
アルカリフォスファターゼを含まない酵素液を用いて測定した結果はAMP量に依存した結果が得られなかったのに対して、アルカリフォスファターゼを含む酵素液を用いて測定した場合AMP濃度が高濃度であれば吸光度が大きく、逆に低濃度のAMPでは吸光度が小さい結果となった。また、本発明では反応時間とともに吸光度が増加するもので、明らかに酵素的サイクリング反応に基づくものである。
【0060】
【実施例2】
50mMHEPESpH8、10mMイノシン(SIGMA社製)、1mM4−アミノアンチピリン(和光純薬工業製)、1mMADOS(同人科学研究所製)、0.375Uプリンヌクレオシドフォスフォリラーゼ(東洋紡社製)、50mUキサンチンオキシダーゼ(ベーリンガーマンハイム社製)、パーオキシダーゼ4.5U(SIGMA社製)の濃度に調製された酵素溶液中に、50U/mlの濃度になるように、子牛小腸由来のアルカリフォスファターゼ、大腸菌由来のアルカリフォスファターゼをそれぞれ添加し、酵素溶液を調製した。またこれとは別に50mMMESpH6(和光純薬工業社製)、10mMイノシン(SIGMA社製)、1mM4−アミノアンチピリン(和光純薬工業製)、1mMADOS(同人科学研究所製)、0.375Uプリンヌクレオシドフォスフォリラーゼ(東洋紡社製)、50mUキサンチンオキシダーゼ(ベーリンガーマンハイム社製)、パーオキシダーゼ4.5U(SIGMA社製)の濃度に調製された酵素溶液中に、50U/mlの濃度になるように、大腸菌由来の酸性フォスファターゼ(シグマ社製)を添加して酵素溶液を調製し、前記2種類の酵素溶液と合わせて3種類の酵素溶液を調製した。
【0061】
この酵素溶液1mlに、50mMHEPESpH8溶液中に、測定対象物となる0、0.5、1mMの濃度になるように調製された6種類のAMP溶液0.01mlを添加し、37℃での溶液の542nmの2分後の吸光度を分光光度計にて測定した。その結果を表2に示した。
【0062】
【表2】
【0063】
どの酵素溶液を用いても、測定結果はAMP濃度に依存した吸光度の結果が得られ、AMP濃度が高濃度であれば吸光度が大きく、逆に低濃度のAMPでは吸光度が小さい結果となった。
【0064】
【実施例3】
50mMHEPESpH8,10mMイノシン(SIGMA社製)、1mM4−アミノアンチピリン(和光純薬工業製)、1mMADOS(同人科学研究所製)、0.375Uプリンヌクレオシドフォスフォリラーゼ(東洋紡社製)、50U牛小腸由来アルカリフォスファターゼ(宝酒造製)、50mUキサンチンオキシダーゼ(ベーリンガーマンハイム社製)、パーオキシダーゼ4.5U(SIGMA社製)の濃度に調製された酵素溶液1mlに、50mMHEPESpH8溶液中に、測定対象物となる0、0.15、0.3mMの濃度になるように調製されたそれぞれのAMP、ATP、GTP、CTP、UTP、dATP、dGTP、dCTP、dTTP(ベーリンガーマンハイム社製)を添加し、37℃での溶液の542nmの2分後の吸光度を分光光度計にて測定した。その結果を表3に示した。
【0065】
【表3】
【0066】
どの測定対象物質も濃度依存的に吸光度が変化した。つまり高濃度であれば吸光度が大きく、逆に低濃度では吸光度が小さい結果となった。
【0067】
【実施例4】
50mMHEPES(pH8)、10mMイノシン(SIGMA社製)、1mM4−アミノアンチピリン(和光純薬工業製)、1mMADOS(同人科学研究所製)、0.375Uプリンヌクレオシドフォスフォリラーゼ(東洋紡社製)、50U牛小腸由来アルカリフォスファターゼ(宝酒造製)、50mUキサンチンオキシダーゼ(ベーリンガーマンハイム社製)、パーオキシダーゼ4.5U(SIGMA社製)の濃度に調製された酵素溶液1mlに、50mMHEPESpH8溶液中に、測定対象物となるオリゴdT19-24 (SIGMA社製)、オリゴdG12-18 、オリゴdC12-18 、オリゴA12-18 (ファルマシア社製)を0、1、5μg/μlの濃度になるように調製された10mMTris−HCl(pH8)5mMEDTA溶液それぞれを1μl添加し、37℃での溶液の542nmの2分後の吸光度を分光光度計にて測定した。その結果を表4に示した。
【0068】
【表4】
【0069】
どの物質を測定しても、測定対象物質の濃度依存的に吸光度が変化し、つまり高濃度であれば吸光度は大きく、逆に低濃度では吸光度が小さい結果となった。
【0070】
【実施例5】
10μgの、ラムダDNA(東洋紡社製)をそれぞれ10mMTris−HCl(pH7.5)、10mMMgCl2 、50mMNaCl、1mMジチオスレイトール、10Uの制限酵素HindIIIを含む溶液100μl中で37℃30分間消化し、10μlの5MNaClとエタノール1ml添加後、−80℃にて30分間冷却し、遠心沈殿を乾燥させて、10mMTris−HCl(pH8)5mMEDTA溶液にて0、10、100μg/μlの濃度になるように調製し、検体とした。また、ポリAおよびポリC(ファルマシア社製)を10mMTrisーHCl(pH8)5mMEDTA溶液にて0、10、100μg/μlの濃度になるように調製し、これらを検体とした。
【0071】
50mMHEPESpH8、10mMイノシン(SIGMA社製)、1mM4−アミノアンチピリン(和光純薬工業製)、1mMADOS(同人科学研究所製)、0.375Uプリンヌクレオシドフォスフォリラーゼ(東洋紡社製)、50U牛小腸由来アルカリフォスファターゼ(宝酒造製)、50mUキサンチンオキシダーゼ(ベーリンガーマンハイム社製)、パーオキシダーゼ4.5U(SIGMA社製)の濃度に調製された酵素溶液1mlに、検体1μl添加し、37℃での溶液の542nmの2分後の吸光度を分光光度計にて測定した。その結果を表5に示した。
【0072】
【表5】
【0073】
どの物質を測定しても、測定対象物質の濃度依存的に吸光度が変化した。つまり高濃度であれば吸光度が大きく、逆に低濃度では吸光度が小さい結果となった。
【0074】
【実施例6】
実施例5に従い、ラムダDNAをHindIII制限酵素にて分解し、0、0.1、0.5μg/μlの10mMTris−HCl(pH8)5mMEDTA溶液を検体をとして調製した。検体1μlを50mMHEPESpH8,100mMNaCl、5mMMgCl2 、エクソヌクレアーゼIII(宝酒造社製)1.8U/μlの酵素溶液100μl中に添加し、37℃で2時間分解反応させた。この溶液に、50mMHEPESpH8,10mMイノシン(SIGMA社製)、1mM4−アミノアンチピリン(和光純薬工業製)、1mMADOS(同人科学研究所製)、0.375Uプリンヌクレオシドフォスフォリラーゼ(東洋紡社製)、50U牛小腸由来アルカリフォスファターゼ(宝酒造製)、50mUキサンチンオキシダーゼ(ベーリンガーマンハイム社製)、パーオキシダーゼ4.5U(SIGMA社製)の濃度に調製された酵素溶液1mlを添加し、37℃での溶液の2分後の吸光度を測定した。その結果を表6に示した。
【0075】
【表6】
【0076】
測定対象物質である核酸の量に依存して吸光度が変化し、高濃度であれば吸光度が大きく、逆に低濃度では吸光度が小さい結果となった。そして、実施例5におけるラムダDNA量を測定した結果よりも感度が向上していた。
【0077】
【実施例7】
50mMHEPES(pH8)、1mM4−アミノアンチピリン(和光純薬工業製)、1mMADOS(同人科学研究所製)、0.375Uプリンヌクレオシドフォスフォリラーゼ(東洋紡社製)、50U牛小腸由来アルカリフォスファターゼ(宝酒造製)、50mUキサンチンオキシダーゼ(ベーリンガーマンハイム社製)、パーオキシダーゼ4.5U(SIGMA社製)にイノシン(SIGMA社製)を0.49、0.98、1.95、3.13、6.25、12.5、25、50、100mMの濃度に調製された酵素溶液それぞれ1mlに、50mMHEPESpH8溶液中に、測定対象物となるオリゴdT19-24 (SIGMA社製)を0、5μg/μlの濃度になるように調製された10mMTris−HCl(pH8)5mMEDTA溶液それぞれを1μl添加し、37℃での溶液の542nmの2分後の吸光度を分光光度計にて測定した。その結果を表7に示した。
【0078】
【表7】
【0079】
どのイノシン濃度においても、オリゴdT19-24 を測定することができた。
【0080】
【実施例8】
50mMHEPES(pH8)、10mMイノシン(SIGMA社製)、1mM4−アミノアンチピリン(和光純薬工業製)、1mMADOS(同人科学研究所製)、0.375Uプリンヌクレオシドフォスフォリラーゼ(東洋紡社製)、50mUキサンチンオキシダーゼ(ベーリンガーマンハイム社製)、パーオキシダーゼ4.5U(SIGMA社製)に、1280、640、320、160、80、40、20、10、5、2.5、1.25、0.625、0.313、0.195、0.0977、0.0488U牛小腸由来アルカリフォスファターゼ(宝酒造製)それぞれの濃度に調製された酵素溶液1mlに、50mMHEPESpH8溶液中に、測定対象物となるオリゴdT19-24 (SIGMA社製)0、5μg/μlの濃度になるように調製された10mMTris−HCl(pH8)5mMEDTA溶液それぞれを1μl添加し、37℃での溶液の542nmの2分後の吸光度を分光光度計にて測定した。その結果を表8に示した。
【0081】
【表8】
【0082】
どの量のALP濃度においてもオリゴdT19-24 を測定することができた。
【0083】
【実施例9】
50mMHEPES(pH8)、10mMイノシン(SIGMA社製)、1mM4−アミノアンチピリン(和光純薬工業製)、1mMADOS(同人科学研究所製)中に各酵素が表9に示したような量になるように酵素溶液を調製した。
【0084】
【表9】
【0085】
調製された各酵素溶液1mlに、50mMHEPESpH8溶液中に、測定対象物となるオリゴdT19-24 (SIGMA社製)0、5μg/μlの濃度になるように調製された10mMTris−HCl(pH8)5mMEDTA溶液それぞれを1μl添加し、37℃での溶液の542nmの2分後の吸光度を分光光度計にて測定した。その結果を表10に示した。
【0086】
【表10】
【0087】
どの酵素濃度の溶液を用いても、測定対象物質であるオリゴdT19-24 を測定することができた。
【0088】
【実施例10】
80mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.8)、600mMNaCl、4mMEDTA、0.1%SDS中にオリゴdA12-18 (ファルマシア社製)それぞれを0、50、200μg/mlの濃度になるように調製し、検体液とした。この検体液200μlに、マグネチックパーティクルコンセントレーターMPC−E(ダイナル社製)を用いて0.15MNaClを含む0.1Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.5;以下TBSと呼ぶ)1mlにて5回洗浄したオリゴdT25固相化磁性ビーズ(ダイナル社製)1mgを添加し、37℃で2時間静置した。この後、上清液を捨てた後、上記洗浄法に従ってTBS1mlにて5回洗浄した。洗浄されたビーズに、50mMHEPESpH8、0.25U/μl牛小腸由来アルカリフォスファターゼ(宝酒造製)溶液200μlを添加し37℃30分インキュベートしたのち、マグネチックパーティクルコンセントレーターMPC−Eにて溶液を回収した。回収した液に50mMHEPESpH8、10mMイノシン(SIGMA社製)、1mM4−アミノアンチピリン(和光純薬工業製)、1mMADOS(同人科学研究所製)、0.375Uプリンヌクレオシドフォスフォリラーゼ(東洋紡社製)、50mUキサンチンオキシダーゼ(ベーリンガーマンハイム社製)、パーオキシダーゼ4.5U(SIGMA社製)の濃度に調製された酵素溶液1mlを添加し、37℃での溶液の2分後の542nmの吸光度を分光光度計にて測定した。その結果を表11に示した。
【0089】
【表11】
【0090】
高い濃度のオリゴdA12-18 では高い吸光度が得られ、逆に低い濃度のオリゴdA12-18では低い吸光度が得られたことから、本法でオリゴdAの定量が可能であることが確認できた。
【0091】
【実施例11】
80mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.8)、600mMNaCl、4mMEDTA、0.1%SDS中にポリdA(ファルマシア社製)それぞれを0、2.5、5μg/mlの濃度になるように調製し、検体液とした。この検体液200μlに、マグネチックパーティクルコンセントレーターMPC−E(ダイナル社製)を用いて0.15MNaClを含む0.1Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.5;以下TBSと呼ぶ)1mlにて5回洗浄したオリゴdT25固相化磁性ビーズ(ダイナル社製)1mgを添加し、37℃で2時間静置した。この後、上清液を捨てた後、上記洗浄法に従ってTBS1mlにて5回洗浄した。
【0092】
洗浄されたビーズに、100mMHEPESpH7.8、10mMMgCl2 、5mMジチオスレイトール、1.2mM還元型グルタチオン、0.2%トリトンX−100、2%エチレングリコール、140mMKCl、0.01U/μlDNAポリメラーゼI(東洋紡社製)、0.5mMデオキシNTP(宝酒造社製)溶液200μlをに添加し、37℃で2時間インキュベートした。この後、上記洗浄方法でTBS1mlにて5回洗浄した後、50mMHEPESpH8、100mMNaCl、5mMMgCl2 、エクソヌクレアーゼIII(宝酒造社製)0.9U/μlの酵素溶液200μlをウエルに添加し、37℃で30分分解反応させた。
【0093】
この分解反応液をマグネチックパーティクルコンセントレーターMPC−EにてオリゴdT25固相化磁性ビーズとを分離し回収した。回収した液に50mMHEPESpH8、10mMイノシン(SIGMA社製)、1mM4−アミノアンチピリン(和光純薬工業製)、1mMADOS(同人科学研究所製)、0.375Uプリンヌクレオシドフォスフォリラーゼ(東洋紡社製)、50U子牛小腸由来アルカリフォスファターゼ(宝酒造社製)、50mUキサンチンオキシダーゼ(ベーリンガーマンハイム社製)、パーオキシダーゼ4.5U(SIGMA社製)の濃度に調製された酵素溶液1mlを添加し、37℃での溶液の2分後の542nmの吸光度を分光光度計にて測定した。その結果を表12に示す。
【0094】
【表12】
【0095】
高い濃度のポリdAでは高い吸光度が得られ、逆に低い濃度のポリdAでは低い吸光度が得られたことから、本法でポリdAの定量が可能であることが確認できた。
【0096】
【実施例12】
80mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.8)、600mMNaCl、4mMEDTA、0.1%SDS中にポリA(ファルマシア社製)それぞれを0、5、10μg/mlの濃度になるように調製し、検体液とした。この検体液200μlに、マグネチックパーティクルコンセントレーターMPC−E(ダイナル社製)を用いて0.15MNaClを含む0.1Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.5;以下TBSと呼ぶ)1mlにて5回洗浄したオリゴdT25固相化磁性ビーズ(ダイナル社製)1mgを添加し、37℃で2時間静置した。この後、上清液を捨てた後、上記洗浄法に従ってTBS1mlにて5回洗浄した。
【0097】
洗浄されたビーズに、100mMHEPESpH7.8、10mMMgCl2 、5mMジチオスレイトール、1.2mM還元型グルタチオン、0.2%トリトンX−100、2%エチレングリコール、140mMKCl、0.01U/μlHIV−1由来逆転写酵素(生化学工業社製)、0.5mMデオキシNTP(宝酒造社製)溶液200μlをに添加し、37℃で2時間インキュベートした。この後、上記洗浄方法でTBS1mlにて5回洗浄した後、50mMHEPESpH8、100mMNaCl、5mMMgCl2 、リボヌクレアーゼH(宝酒造社製)1.8U/μlの酵素溶液200μlを添加し、37℃で30分分解反応させた。
【0098】
この分解反応液をマグネチックパーティクルコンセントレーターMPC−EにてオリゴdT25固相化磁性ビーズとを分離し回収した。回収した液に50mMHEPESpH8、10mMイノシン(SIGMA社製)、1mM4−アミノアンチピリン(和光純薬工業製)、1mMADOS(同人科学研究所製)、0.375Uプリンヌクレオシドフォスフォリラーゼ(東洋紡社製)、50U子牛小腸由来アルカリフォスファターゼ(宝酒造社製)、50mUキサンチンオキシダーゼ(ベーリンガーマンハイム社製)、パーオキシダーゼ4.5U(SIGMA社製)の濃度に調製された酵素溶液1mlを添加し、37℃での溶液の2分後の542nmの吸光度を分光光度計にて測定した。その結果を表13に示した。
【0099】
【表13】
【0100】
高い濃度のポリAでは高い吸光度が得られ、逆に低い濃度のポリAでは低い吸光度が得られたことから、本発明によりポリAの定量が可能であることが確認できた。
【0101】
【実施例13】
ストレプトアビジン固相化磁性ビーズ(ダイナル社製)20mgに、250μg5’末端ビオチン標識合成プローブd(GAGACCATCAATGAGGAAGCTGCAGAATGGGAT)、50mMトリス緩衝液pH8、150mMNaCl、1mMMgCl2 、1mMEDTA、0.3%牛血清アルブミン、0.1%トリトンX-100を含む溶液1ml調製し、37℃2時間反応させて、実施例10の磁性ビーズ洗浄方法に従ってTBSにて5回洗浄し、プローブ固相化磁性ビーズとした。
【0102】
ヒト免疫不全ウイルス1型LAV−1株をMOLT−4細胞に感染させたのち、20%牛血清、RPMI1640培地中で3週間培養し、培養上清液と1%トリトンX−100溶液とを等量混合して検体液とした。対照群として何も感染させなかったMOLT−4細胞を同様の手法で培養し、前者とともに2種類の検体液を得た。また、これとは別に何も培養していない20%牛血清、RPMI1640培地も検体液と同様の処理操作を行った。
【0103】
検体液5μlに10mMトリス緩衝液(pH8.3)、50mMKCl、1.5mMMgCl2 、0.001%ゼラチン1mMdATP、1mMdGTP、1mMdCTP、1mMdTTP、gag領域であるd(AGTGGGGGGACATCAAGCAGCCATGCAAAT)とd(TGCTATGTCAGTTCCCCTTGGTTCTCT)の塩基配列の2種類のプライマーそれぞれ5μg、14UのHIV−1由来逆転写酵素(生化学工業社製)、0.5mMデオキシNTP(宝酒造社製)を含むように調製された100μlの液を37℃30分間反応させた。この液にさらに5U/μlのTaqDNAポリメラーゼ(宝酒造社製)1μlを加え、サーマルサイクラーにて30サイクルPCR反応を行わせた。
【0104】
反応液を100℃1時間加温し、氷上で急速冷却し、プローブ固相化磁性ビーズ5mgを添加し、42℃で1昼夜ハイブリダイズ反応させた。反応後、マグネチックパーティクルコンセントレーターMPC−E(ダイナル社製)を用いてTBS1mlにて5回洗浄し、洗浄されたビーズに、100mMHEPESpH7.8、10mMMgCl2 、5mMジチオスレイトール、1.2mM還元型グルタチオン、0.2%トリトンX−100、2%エチレングリコール、140mMKCl、0.01U/μl大腸菌由来DNAポリメラーゼ(東洋紡社製)、0.5mMデオキシNTP(宝酒造社製)を含む溶液200μlを添加し、37℃で2時間インキュベートした。
【0105】
この後、上記洗浄方法でTBS1mlにて5回洗浄した後、50mMHEPESpH8、100mMNaCl、5mMMgCl2 、エクソヌクレアーゼIII(宝酒造社製)0.9U/μlの酵素溶液200μlを添加し、37℃で30分分解反応させた。この分解反応液をマグネチックパーティクルコンセントレーターMPC−EにてオリゴdT25固相化磁性ビーズとを分離し回収した。
【0106】
回収した液に50mMHEPESpH8、10mMイノシン(SIGMA社製)、1mM4ーアミノアンチピリン(和光純薬工業製)、1mMADOS(同人科学研究所製)、0.375Uプリンヌクレオシドフォスフォリラーゼ(東洋紡社製)、50U子牛小腸由来アルカリフォスファターゼ(宝酒造社製)、50mUキサンチンオキシダーゼ(ベーリンガーマンハイム社製)、パーオキシダーゼ4.5U(SIGMA社製)の濃度に調製された酵素溶液1mlを添加し、37℃での溶液の2分後の542nmの吸光度を分光光度計にて測定した。その結果を表14に示した。
【0107】
【表14】
【0108】
その結果、HIVを感染させた細胞の培養液から得られた検体において、感染させなかった細胞から得られた検体と比較して高い吸光度が得られ、感染細胞の培養上清中においてHIVの存在が確認できた。
【0109】
【実施例14】
ストレプトアビジン固相化磁性ビーズ(ダイナル社製)20mgに、250μg5’末端ビオチン標識合成プローブd(ACAGGAGCAGATGATACAGTATTAG)、50mMトリス緩衝液pH8、150mMNaCl、1mMMgCl2 、1mMEDTA、0.3%牛血清アルブミン、0.1%トリトンX−100を含む溶液1ml調製し、37℃2時間反応させて、実施例10の磁性ビーズ洗浄方法に従ってTBSにて5回洗浄し、プローブ固相化磁性ビーズとした。
【0110】
ヒト免疫不全ウイルス1型GH−3株をMOLT−4細胞に感染させたのち、20%牛血清、RPMI1640培地中で3週間培養し、培養上清液と1%トリトンX−100溶液とを等量混合して検体液とした。対照群として何も感染させなかったMOLT−4細胞を同様の手法で培養し、前者とともに2種類の検体液を得た。また、これとは別に何も培養していない20%牛血清、RPMI1640培地も検体液と同様の処理操作を行った。検体液5μlを用いてT.Kievitsらによる核酸増幅方法(Journal of VirologicalMethods、1991年、35巻、273〜286頁)に従いNASBA反応をさせた。
【0111】
反応に用いた2種類のプライマーはd(AATTCTAATACGACTCACTATAGGGCCTGGCT)とd(ACAGGAGCAGATGATACAGTATTAG)を用い、反応液は25μlで41℃6時間反応させた。得られた反応液にプローブ固相化磁性ビーズ5mgに反応液全量を添加し、42℃で1昼夜ハイブリダイズ反応させた。
【0112】
反応後、マグネチックパーティクルコンセントレーターMPC−E(ダイナル社製)を用いてTBS1mlにて5回洗浄し、洗浄されたビーズに、100mMHEPESpH7.8、10mMMgCl2 、5mMジチオスレイトール、1.2mM還元型グルタチオン、0.2%トリトンX−100、2%エチレングリコール、140mMKCl、0.01U/μlHIV−1由来逆転写酵素(生化学工業社製)、0.5mMデオキシNTP(宝酒造社製)溶液200μlをに添加し、37℃で2時間インキュベートした。
【0113】
この後、上記洗浄方法でTBS1mlにて5回洗浄した後、50mMHEPESpH8、100mMNaCl、5mMMgCl2 、リボヌクレアーゼH(宝酒造社製)1.8U/μlの酵素溶液200μlを添加し、37℃で30分分解反応させた。この分解反応液をマグネチックパーティクルコンセントレーターMPC−EにてオリゴdT25固相化磁性ビーズとを分離し回収した。
【0114】
回収した液に50mMHEPESpH8、10mMイノシン(SIGMA社製)、1mM4−アミノアンチピリン(和光純薬工業製)、1mMADOS(同人科学研究所製)、0.375Uプリンヌクレオシドフォスフォリラーゼ(東洋紡社製)、50U子牛小腸由来アルカリフォスファターゼ(宝酒造社製)、50mUキサンチンオキシダーゼ(ベーリンガーマンハイム社製)、パーオキシダーゼ4.5U(SIGMA社製)の濃度に調製された酵素溶液1mlを添加し、37℃での溶液の2分後の542nmの吸光度を分光光度計にて測定した。その結果を表15に示した。
【0115】
【表15】
【0116】
その結果、HIVを感染させた細胞培養から得られた検体において、感染させなかった細胞から得られた検体と比較して高い吸光度が得られ、感染細胞の培養上清中においてHIVの存在が確認できた。
【0117】
【実施例15】
50mMHEPESpH8、10mMイノシン(SIGMA社製)、2mMNAD(和光純薬工業社製)、0.5mgニトロブルーテトラゾリウム(和光純薬工業社製)、0.375Uプリンヌクレオシドフォスフォリラーゼ(東洋紡社製)、50U牛小腸由来アルカリフォスファターゼ(宝酒造製)、0.5Uキサンチンデヒドロゲナーゼ(特開平6−113837号公報に記載のFERM BP3664によって調製した)、5Uジアホラーゼ(SIGMA社製)の濃度に調製された酵素溶液1mlに、50mMHEPESpH8溶液中に、0〜1mMの濃度になるように調製されたAMP溶液0.01mlを添加し、37℃での溶液の550nmの1分後、2分後、3分後の吸光度を分光光度計にて測定した(ALP+)。
【0118】
また、これとは別に上記酵素溶液中にアルカリフォスファターゼを含まない酵素溶液1mlに、50mMHEPESpH8溶液中に、測定対象物となる0、0.2、0.4、0.6、0.8、1mMの濃度になるように調製された6種類のAMP溶液をそれぞれ0.01ml添加し、37℃での溶液の550nmの1分後、2分後、3分後の吸光度を分光光度計にて測定した(ALP−)。その結果を表16に示した。
【0119】
【表16】
【0120】
アルカリフォスファターゼを含まない酵素液を用いて測定した結果はAMP量に依存した結果が得られなかったのに対して、アルカリフォスファターゼを含む酵素液を用いて測定した場合AMP濃度が高濃度であれば吸光度が大きく、逆に低濃度のAMPでは吸光度が小さい結果となった。また、本発明では反応時間とともに吸光度が増加するもので、明らかに酵素的サイクリング反応に基づくものである。
【0121】
【実施例16】
50mMHEPES(pH8)、10mMイノシン(SIGMA社製)、2mMNAD(和光純薬工業社製)、0.5mgニトロブルーテトラゾリウム(和光純薬工業社製)、0.375Uプリンヌクレオシドフォスフォリラーゼ(東洋紡社製)、50U牛小腸由来アルカリフォスファターゼ(宝酒造製)、0.5Uキサンチンデヒドロゲナーゼ(同上)、5Uジアホラーゼ(SIGMA社製)の濃度に調製された酵素溶液1mlに、50mMHEPESpH8溶液中に、測定対象物となるオリゴdT19-24 (SIGMA社製)、オリゴdG12-18 、オリゴdC12-18 、オリゴA12-18 (ファルマシア社製)を0、1、5μg/μlの濃度になるように調製された10mMTris−HCl(pH8)5mMEDTA溶液それぞれを1μl添加し、37℃での溶液の550nmの2分後の吸光度を分光光度計にて測定した。その結果を表17に示した。
【0122】
【表17】
【0123】
どの物質を測定しても、測定対象物質の濃度依存的に吸光度が変化し、つまり高濃度であれば吸光度は大きく、逆に低濃度では吸光度が小さい結果となった。
【0124】
【発明の効果】
本発明により、従来の核酸定量技術に比べて、極めて簡便に酵素的サイクリング反応を構成して高感度かつ再現良く核酸を定量し得るもので、特に臨床検査分野での感染症などの核酸のルーチン分析や機器による自動化によって検査コストを低減させられる効果を奏する。
Claims (22)
- 少なくとも、下記の4つの反応工程からなる核酸の定量方法。
工程1:被検体中の核酸にフォスファターゼを反応せしめて無機リンを生成させる工程、
工程2:生成した無機リンを、過剰量のヌクレオシド存在下、少なくともヌクレオシドフォスフォリラーゼ存在下で反応せしめ、用いたヌクレオシドから形成される脱糖化プリン誘導体または脱糖化ピリミジン誘導体およびリン酸化基質を生成せしめる工程、
工程3:生成したリン酸化基質に同フォスファターゼを作用させて無機リンを生成せしめ、該無機リンを少なくとも1回以上工程2の反応に再利用してなる工程、
工程4:全工程において生成した脱糖化プリン誘導体または脱糖化ピリミジン誘導体の量を酵素的に定量する工程。 - 請求項1においてヌクレオシドフォスフォリラーゼの量が0.01U/ml〜40U/mlの濃度の範囲であり、ヌクレオシド量が0.5mM〜100mMの濃度の範囲であり、フォスファターゼ量が0.05U/ml〜1000U/mlの濃度の範囲である請求項1記載の核酸の定量方法。
- 被検液中の核酸が、モノリボヌクレオチド、モノデオキシリボヌクレオチド、DNA−RNAハイブリッド型、1本鎖または2本鎖のDNA型またはRNA型のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド、またはそれらのヌクレアーゼ分解産物のいずれかを1つまたはそれ以上含む核酸である請求項1記載の核酸の定量方法。
- 被検体中の核酸が、被検体中の核酸に対して実質的に相補的な塩基配列を含む核酸の固相化担体と被検体とを接触させて、固相担体上にハイブリダイズ反応を行なわせたハイブリダイズした核酸であり、ハイブリダイズした核酸またはハイブリダイズした核酸のヌクレアーゼにて分解された産物を定量してなる請求項1記載の核酸の定量方法。
- ハイブリダイズした核酸が、感染症由来の核酸である請求項4記載の核酸の定量方法。
- 被検体中の核酸が、被検体中の核酸に対して実質的に相補的な塩基配列を含む核酸の固相化担体と接触させて固相担体上にハイブリダイズ反応を行なわせたハイブリダイズした核酸を、ポリメラーゼ反応により、その核酸に相補的または同一塩基配列を有する核酸の伸長反応により核酸を形成せしめたものである請求項1記載の核酸の定量方法。
- 請求項1においてヌクレオシドがイノシンまたはキサントシンである場合に、脱糖化プリン誘導体がヒポキサンチンまたはキサンチンであり、ヌクレオシドがグアノシンである場合に脱糖化プリン誘導体がグアニンであり、ヌクレオシドが8−アザグアノシンである場合に脱糖化プリン誘導体が8−アザグアニンであり、ヌクレオシドがウリジンまたはデオキシウリジンの場合に脱糖化ピリミジン誘導体がウラシルであり、ヌクレオシドがチミンであり、リン酸化基質がリボース−1−リン酸またはデオキシリボース−1−リン酸である請求項1記載の核酸の定量方法。
- ヌクレオシドがプリンヌクレオシドである場合、ヌクレオシドフォスフォリラーゼがプリンヌクレオシドフォスフォリラーゼである請求項1記載の核酸の定量方法。
- ヌクレオシドがピリミジンヌクレオシドである場合、ヌクレオシドフォスフォリラーゼがピリミジンヌクレオシドフォスフォリラーゼまたはウリジンフォスフォリラーゼまたはチミジンフォスフォリラーゼである請求項1記載の核酸の定量方法。
- 工程4において脱糖化プリン誘導体の量を酵素的に定量する場合、キサンチンオキシダーゼまたはキサンチンデヒドロゲナーゼを用いて定量する請求項1記載の核酸の定量方法。
- 工程4において脱糖化ピリミジン誘導体の量を酵素的に定量する場合、ウラシルデヒドロゲナーゼまたはデヒドロウラシルデヒドロゲナーゼを用いて定量する請求項1記載の核酸の定量方法。
- 少なくとも、被検液中の核酸の定量に当たって下記の反応組成物を含む核酸の定量用組成物で
(1)ヌクレオシドフォスフォリラーゼ
(2)ヌクレオシド
(3)フォスファターゼ
(4)脱糖化プリン誘導体または脱糖化ピリミジン誘導体の量を酵素的に定量する成分
を含有する核酸の定量用組成物。 - ヌクレオシドフォスフォリラーゼの量が0.01U/ml〜40U/mlの濃度の範囲であり、ヌクレオシド量が0.5mM〜100mMの濃度の範囲であり、フォスファターゼ量が0.05U/ml〜1000U/mlの濃度の範囲である請求項12記載の核酸の定量用組成物。
- 被検液中の核酸が、モノリボヌクレオチド、モノデオキシリボヌクレオチド、DNA−RNAハイブリッド型、1本鎖または2本鎖のDNA型またはRNA型のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド、またはそれらのヌクレアーゼ分解産物のいずれかを1つまたはそれ以上含む核酸である請求項12記載の核酸の定量用組成物。
- 被検体中の核酸が、被検体中の核酸に対して実質的に相補的な塩基配列を含む核酸の固相化担体と被検体とを接触させて、固相担体上にハイブリダイズ反応を行なわせたハイブリダイズした核酸であり、ハイブリダイズした核酸またはハイブリダイズした核酸のヌクレアーゼにて分解された産物を定量してなる請求項12記載の核酸の定量用組成物。
- 請求項15に記載したハイブリダイズした核酸が、感染症由来の核酸である請求項15記載の核酸の定量用組成物。
- 被検体中の核酸が、被検体中の核酸に対して実質的に相補的な塩基配列を含む核酸の固相化担体と接触させて固相担体上にハイブリダイズ反応を行なわせたハイブリダイズした核酸を、ポリメラーゼ反応により、その核酸に相補的または同一塩基配列を有する核酸の伸長反応により核酸を形成せしめたものである請求項12記載の核酸の定量用組成物。
- 請求項12においてヌクレオシドがイノシンまたはキサントシンである場合に脱糖化プリン誘導体がヒポキサンチンまたはキサンチンであり、ヌクレオシドがウリジンまたはデオキシウリジンの場合に脱糖化ピリミジン誘導体がウラシルであり、ヌクレオシドがチミジンの場合に脱糖化ピリミジン誘導体がチミンであり、リン酸化基質がリボース−1−リン酸またはデオキシリボース−1−リン酸である請求項12記載の核酸の定量用組成物。
- ヌクレオシドがプリンヌクレオシドである場合、ヌクレオシドフォスフォリラーゼがプリンヌクレオシドフォスフォリラーゼである請求項12記載の核酸の定量用組成物。
- ヌクレオシドがピリミジンヌクレオシドである場合、ヌクレオシドフォスフォリラーゼがピリミジンヌクレオシドフォスフォリラーゼまたはウリジンフォスフォリラーゼまたはチミジンフォスフォリラーゼである請求項12記載の核酸の定量用組成物。
- 脱糖化プリン誘導体の量を酵素的に定量する成分が、キサンチンオキシダーゼまたはキサンチンデヒドロゲナーゼを含む請求項12記載の核酸の定量用組成物。
- 脱糖化ピリミジン誘導体の量を酵素的に定量する成分が、ウラシルデヒドロゲナーゼまたはデヒドロウラシルデヒドロゲナーゼを含む請求項12記載の核酸の定量用組成物。
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