JP3637175B2 - 半導体装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抵抗素子を備えた半導体装置に関し、特に、抵抗に印加される電圧が変動しても抵抗値が変動しない抵抗素子を備えた半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の抵抗素子を備えた半導体装置を図2に示す。図において1はシリコン半導体からなるP型基板、2はP型基板1上に成長させたN型エピタキシャル層、3はP型基板1に達するP型領域からなり、N型エピタキシャル層2を他の素子から電気的に分離する分離領域、4はN型エピタキシャル層2表面に形成されたP型領域からなる抵抗素子、5はN型エピタキシャル層2に接続するN型領域、6は絶縁膜、7、8はそれぞれ抵抗素子4の第1および第2の電極、9はN型領域5に接続する第3の電極を示す。
【0003】
分離領域3およびP型基板1をGNDに接続し、第3の電極9を電源電圧(Vcc)に接続すると、分離領域3とN型エピタキシャル層2およびP型基板1とN型エピタキシャル層2とからなるPN接合が逆バイアスされ、抵抗素子3が他の素子から電気的に分離される構造となる。また、抵抗素子4、N型エピタキシャル層2、分離領域3からなる寄生PNPトランジスタが動作しない構造となり、ラッチアップを防止している。
【0004】
しかし、このような構造では、第3の電極9からN型エピタキシャル層2に印加される電圧は、抵抗素子4に印加する電圧と無関係であるから、その電圧が変動すると、抵抗素子4とN型エピタキシャル層2との間の電位差が変動する。その結果、抵抗素子4とN型エピタキシャル層2の間に形成されるPN接合の空乏層幅が変わり、抵抗素子4の抵抗値が大きく変動するという問題があった。
【0005】
このような問題を解決するため、図3に示す構造の半導体装置が提案されている。図2に示した構造の半導体装置と比較すると、第2の電極8と第3の電極9とを共通接続する第4の電極10を備えている点が異なる。
【0006】
図3に示す構造の半導体装置では、抵抗素子4に印加する電圧とN型エピタキシャル層2に印加する電圧は常に等しく、抵抗素子4とN型エピタキシャル層2との間に形成されるPN接合の空乏層幅は一定となり、抵抗素子の抵抗値が変動することはなくなる。
【0007】
しかし、第1の端子7に印加される電圧が、抵抗素子4とN型エピタキシャル層2とで形成されるPN接合の順方向の立上り電圧より高くなる場合、抵抗素子4を構成するP型領域からN型エピタキシャル層4へ順方向電流が流れてしまい、抵抗素子として機能しなくなってしまう。従って、このような構造の半導体装置の第4の電極10は、常に高電位側の端子に接続する必要があり、抵抗素子に流れる電流の向きが固定されている場合しか使用できないという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように従来の抵抗素子は、印加電圧が変動すると抵抗値が大きく変化したり、抵抗値の変動を抑える構造とすると、抵抗素子に流れる電流の向きを固定する必要があるという問題があった。本発明は、上記問題点を解消し、抵抗素子に流れる電流の向きを固定する必要がなく、かつ抵抗値の変動のない抵抗素子を備えた半導体装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するため、逆導電型の半導体基板上に形成された一導電型の半導体領域の表面の一部に、該一導電型の半導体領域で周囲を囲まれた逆導電型の半導体領域からなる抵抗素子を備えた半導体装置において、前記一導電型の半導体領域に、該一導電型の半導体領域とショットキー接合する金属からなり、順方向立上り電圧が、前記一導電型の半導体領域と前記逆導電型の半導体領域とからなるPN接合の順方向立上り電圧より小さい第1および第2のショットキーバリアダイオードを設け、該第1および第2のショットキーバリアダイオードの前記金属からなるアノードを、前記抵抗素子の第1および第2の端子とそれぞれ接続したことを特徴とするものである。
【0010】
このように構成することで、抵抗素子を取り囲む一導電型の半導体領域には、抵抗素子の一方の端子に印加される高電位側の電位より、ショットキーバリアダイオードの順方向立上り電圧分だけ降下した電位が印加されることになる。従って高電位側の電位が変動した場合でも、一導電型の半導体領域と逆導電型の半導体領域の間の電位差は、常に、ショットキバリアダイオードの順方向立上り電圧と等しくなり、一導電型の半導体領域と逆導電型の半導体領域とで形成されるPN接合の空乏層幅が変動することがないので、抵抗素子の抵抗値は変動しないことになる。
【0011】
また、ショットキーバリアダイオードの順方向立上り電圧を、半導体装置内のPN接合の順方向立上り電圧より低く設定することで、寄生PN接合ダイオードがオンしない構造となり、ラッチアップの発生を防止することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1に本発明の実施の形態を示す。図において1はシリコン半導体からなるP型基板、2はP型基板1上に成長させたN型エピタキシャル層、3はP型基板1に達するP型領域からなり、N型エピタキシャル層2を他の素子から電気的に分離する分離領域、4はN型エピタキシャル層2表面に形成されたP型領域からなる抵抗素子、6は絶縁膜、11、12はそれぞれ抵抗素子4の電極と接続するとともにN型エピタキシャル層2とショットキー接合するアルミニウム等の金属からなる第5、第6の電極を示す。
【0013】
図において第5の電極11側が高電位となる場合、N型エピタキシャル層2には、第5の電極11とで形成されるショットキーバリアダイオードの順方向立上り電圧VF1だけ降下した電圧が印加されることになる。このとき、N型エピタキシャル層2と抵抗素子4あるいは分離領域3を構成するP型領域およびP型基板1との間で形成されるPN接合の順方向立上り電圧VF2は、VF1<VF2となるように設定する。その結果、抵抗素子4に印加される電圧が変動した場合でも、抵抗素子4とN型エピタキシャル層2との電位差は、常に、抵抗素子に印加される高電位側の電位からショットキーバリアダイオードの順方向立上り電圧分降下した電位となる。従って、PN接合の空乏層幅が変動することがなく、抵抗素子の抵抗値は、変動しないことになる。また、ショットキーバリアダイオードの順方向立上り電圧は、半導体装置内のPN接合の順方向立上り電圧より低く設定されているので、寄生PN接合ダイオードがオンしない構造となり、ラッチアップの発生を防止することができる。
【0014】
図1において第6の電極12が高電位側に接続している場合も、同様に、N型エピタキシャル層2には、第6の電極12とで形成されるショットキーバリアダイオードの順方向立上り電圧VF1だけ降下した電圧が印加されることになる。従って、PN接合の空乏層幅が変動することがなく、抵抗素子の抵抗値は、変動しないことになる。また、ショットキーバリアダイオードの順方向立上り電圧は、半導体装置内のPN接合の順方向立上り電圧より低く設定されているので、寄生PN接合ダイオードがオンしない構造となり、ラッチアップの発生を防止することができる。
【0015】
本発明では、抵抗素子4の端子両端にそれぞれショットキーバリアダイオードを備え、そのアノードと接続する構造としているため、抵抗素子に流れる電流の向きによらず、抵抗値の変動を抑えることが可能となる。また、抵抗素子の低電位側の端子に接続されたショットキーバリアダイオードは、逆方向破壊電圧が加わらなければ、N型エピタキシャル層2から電極へ電流が流れないので、通常、抵抗素子の動作条件下では、N型エピタキシャル層を電流が流れることはない。従って、半導体装置の消費電流は増加しない。
【0016】
以上、P型基板とP型の分離領域により分離されたN型エピタキシャル層内に形成された抵抗素子について説明を行ったが、本発明はこれに限定されることはない。例えば、P型基板上にNウエルを形成し、Nウエル内に抵抗素子とショットキーバリアダイオードを形成する構造としたり、ラッチアップ防止のため、埋込層を付加する構造とすることもできる。また、シリコン半導体に限定されることもない。
【0017】
【発明の効果】
以上のように本発明の抵抗素子は、印加する電流の向きによらず、抵抗値の変動を抑えることができ、半導体集積回路設計の自由度を増すことができる。特に、交流信号が入力する半導体装置のように、印加する電流の向きが変化する半導体集積回路において、効果が大きい。また、ショットキーバリアダイオードは、抵抗素子が形成されるN型エピタキシャル層内に形成することができるので、集積度を低下させることがないという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を説明する断面図である。
【図2】従来の半導体装置を説明する断面図である。
【図3】従来の別の半導体装置を説明する断面図である。
【符号の説明】
1 P型基板
2 N型エピタキシャル層
3 分離領域
4 抵抗素子
5 N型領域
6 絶縁膜
7 第1の電極
8 第2の電極
9 第3の電極
10 第4の電極
11 第5の電極

Claims (1)

  1. 逆導電型の半導体基板上に形成された一導電型の半導体領域の表面の一部に、該一導電型の半導体領域で周囲を囲まれた逆導電型の半導体領域からなる抵抗素子を備えた半導体装置において、
    前記一導電型の半導体領域に、該一導電型の半導体領域とショットキー接合する金属からなり、順方向立上り電圧が、前記一導電型の半導体領域と前記逆導電型の半導体領域とからなるPN接合の順方向立上り電圧より小さい第1および第2のショットキーバリアダイオードを設け、
    該第1および第2のショットキーバリアダイオードの前記金属からなるアノードを、前記抵抗素子の第1および第2の端子とそれぞれ接続したことを特徴とする半導体装置。
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