JP3636688B2 - 蓄電池の電槽 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は蓄電池の電槽の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
蓄電池では、箱状の電槽に極板群を収納し、電槽の開口部を蓋によって密閉している。従来の蓄電池の一般的な電槽では、電槽の上縁に一本の線状の溶着縁部を有しており、電槽の上方を覆う蓋と前記線状の溶着部とを対向させて熱溶着することにより、蓋と電槽とを密封固定していた。また、従来の電槽の内側の底面は、全面が平らであるか、又は極板に直交する複数本の細いリブを底面に設けた構造のものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の蓄電池の電槽は、極板群を収納するため、蓄電池を長期に亘って使用したときは、極板群の側面から活物質や格子の腐食物などが徐々に容器の底面に落下する。このような落下沈殿物は、陽極板と陰極板の間を繋ぎ、短絡を起こす危険性を持っていた。
この落下沈殿物による短絡を防止するために、従来は、底面に設けたリブで極板群全体を浮かす構造がとられていた。しかし、細いリブで極板群を支えるため、このリブが極板群に食い込んで極板を傷め、短絡等のトラブルの原因になる危険があった。
また、極板群全体を平坦な電槽底面で支える構造のものもあるが、その場合は極板の底辺の両端にあるエッジが時として電槽の底面と側面のコーナーに突き刺さったり、エッジがセパレータを傷つけたりして、極板間の短絡を生じさせる原因になるという問題があった。
【0004】
また、従来の電槽は、所定の電池特性が確保されるように、多数の陽極板、陰極板及びセパレータから成る極板群に所定の群圧をかけるために必要な短側面の壁の強度が得られなかった。電槽の短側面の壁の部材の厚さを増加させて短側面の壁の部材の強度を高くしたとしても、従来の構造によれば、電槽と蓋を熱溶着した溶着部の強度が低い、すなわち、溶着縁部が一本だと、曲げモーメントが働き、溶着部のうち引張られる側の側面から亀裂が入って溶着部が外れやすかった。したがって、前記所定の群圧においても溶着部が破断することがあるなど、十分な短側面の強度が得られなかった。
このように、従来の電槽には、槽内の落下沈殿物による短絡の危険があること、底面にリブを設けた場合に極板群が傷められ短絡等のトラブルが起こりやすいこと、極板底辺両端のエッジがセパレータを傷つけて短絡を招きやすいこと、十分な短側面の壁の強度が得られないこと、等の解決すべき課題があった。
ここで短側面とは、それぞれの極板に平行であって、極板群の最外側極板に対面する面のことである。
【0005】
本発明は、これらの課題を解決するためのものであり、槽内への落下沈殿物による短絡の危険を底面周部の溝により防ぐ電槽を提供することを目的とする。
本発明は、また、極板群全体を底面で安定に支えて、極板群の下部が傷められることがない電槽を提供することを目的とする。
本発明は、さらに、電槽の底の大部分を平滑にすることにより、極板の底辺のエッジによるセパレータの損傷の生じない電槽を提供することを目的とする。
本発明は、また、電槽の短側面の壁が所望の強度を有し、電槽と蓋との熱溶着部の強度が大きい蓄電池の電槽を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の蓄電池の電槽は、モノブロック型電槽のセル室仕切壁によって区分された各セル室内にそれぞれ極板群を収納し、隣接するセル室の極板群の異極性端子間を、前記セル室仕切壁を貫通するセル間接続体により接続した蓄電池において、前記電槽に収納された電極の最外側極板に対面する電槽短側面に直交する両長側面と、電槽の内側底面が交わる近傍において、前記内側底面の前記両長側面に沿う部分にそれぞれ溝を形成し、この両溝の間の平坦な底面によって極板群を保持するように構成している。
前記電槽に収納した極板群の最外側極板が接する電槽短側面を構成する部材の上縁部には、平行な複数本の溶着縁部を有することが好ましい。
前記電槽の短側面を構成する部材の外壁には、蓄電池の上下方向に平行な複数の縦リブを配し、前記縦リブの上端においてこれらの縦リブを水平方向に連結する横リブを配し、前記横リブの上部における上縁部に前記平行な複数本の溶着縁部を形成することが好ましい。
前記平行な複数本の溶着縁部の長手方向に直角な方向の全幅は、前記電槽の短側面を構成する部材の厚さより大きくすることが好ましい。
【0007】
電槽の内側の底面に、両長側面の壁の両内壁に沿って溝を形成することにより、極板群の側部から落下する沈殿物がこの溝の中に収集され、陽極板と陰極板の間を繋いで短絡を起こさせる危険性を防止できる。
極板は、この両溝の間の平坦な底面によって保持する。このため、各極板の底部やエッジ部に局部的な力がかかることなく、各極板の底辺部や両側エッジ部の損傷のおそれのない安定した収納状態が得られる。
また、底面の平坦部分の幅を極板の幅よりわずかに狭くすることによって、極板底辺の両端のエッジが電槽の底面と側面のコーナーに突き刺さることはなく、これによるセパレータの損傷が減少する。
【0008】
電槽の短側面を構成する部材の上縁部に複数本の溶着縁部を設ける場合、電槽の熱溶着が安定し溶着面の強度も増加して電槽全体の強度が増加する。また、沈殿物による短絡などのトラブルの起きる原因が少くなり耐久性のすぐれた電池を提供することができる。また、幅の広い溶着部で溶着固定する場合、溶着部の溶着強度が増加し、電槽の短側面の強度は一段と強固になる。従って、電槽の内部に収納した極板群の群圧や充電時に発生するガスの内圧による外向きの圧力、又は極板のガス吸収による減圧等の内向きの圧力(大気圧)が、電槽の短側面に対して加わってもその圧力に耐えることができる。
また、電槽の短側面の壁の外面には、電槽の上下方向に並行して配列した多数の縦リブを設け、縦リブの上端でこれらの縦リブを水平方向に連結する横リブを配する場合、短側面の壁の部材の強度が大幅に増加する。また、上記のように、横リブ上部に前記短側面に沿った前記複数本の溶着縁部を形成する場合、溶着強度も増加し、部材の強度の増加とあいまって、短側面の壁の強度は大幅に増加する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本発明の一実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は本発明の蓄電池の電槽1を用いた密閉形鉛蓄電池の構造を示す側面断面図である。図1において、本発明の蓄電池の電槽構造は、モノブロック型の電槽1の各セル室2内にそれぞれ極板群3を収納している。各セル室2内の極板群3の接続は、隣接する極板群3の各異極性端子4間を、前記電槽1のセル室仕切壁5を貫くセル間接続体6により接続している。前記電槽1に収納した極板群3の最外側極板7に接触する、電槽1の短側面の壁の部材8の上縁部9には複数本(図1では2本)の溶着縁部10が設けられている。
【0010】
また、前記電槽1の短側面部材8の外壁には電槽の上下方向に複数の並行する縦リブ11を配設している。縦リブ11の上端には、これらの縦リブ11を水平方向に連結する横リブ12を配設している。横リブ12の上部には前記短側面部材8に並行する前記の複数本の溶着縁部10が形成されている。縦リブ11及び横リブ12は電槽1と一体に成形されている。
【0011】
図2は、本発明の電槽1の側断面図である。図2に示すように、前記溶着縁部10の長手方向に直角な、すなわち電槽1の内面と外面との間の方向の全幅wは、前記電槽1の短側面部材8の厚さtより大きく選ばれている。
【0012】
図3は電槽1の短側面の側から見た一部破断正面図であり、図4は電槽1の短側面に平行な面で切断した正面断面図である。図3及び図4に示すように、電槽底面部材13の内面には、左側の長側面部材14Aの内壁15Aに沿って溝16Aが形成されている。もう1個の溝16Bが右側の長側面部材14Bの内壁15Bに沿って形成されている。この両方の溝16Aと16Bの間の平坦な底面17によって極板群3が保持される。貫通穴18は電槽1のセル室仕切壁5を貫いて設けられており、電槽1の隣接するセル室2に収納された極板群3の隣接する異極性端子4間を電気的に接続するためのセル間接続体6がこの貫通穴18を貫通して設けられる。
【0013】
図1に示すように、電槽1の上部開口部は蓋19によって密閉される。蓋19は、図5に示す電槽1の短側面部材8の2個の溶着縁部10、長側面部材14の溶着縁部20およびセル室仕切壁5の溶着縁部21に対応するそれぞれの溶着面22、25及び23を有しており、それぞれ対応する溶着縁部と蓋19の溶着面とを熱溶着することによって密閉固定される。図6は、図5において矢印Aで示すコーナー部の部分拡大図であり、溶着縁部10の詳細な構成を示す。熱溶着は例えば次のような方法で行われる。電槽1と蓋19を正しい溶着位置に位置決めして両者の間に所定の温度に加熱した熱板をはさむ。熱板は鉄、アルミ、チタン、セラミック等で作られた板状部材である。電槽1の前記の溶着縁部10、20及び21は熱板の下面に接し、蓋19の溶着面22、25及び23は熱板の上面に接して熱板の熱によって加熱される。次に熱板を取り除いて、電極1と蓋19間に所定の圧力を加える。その結果前記の各対応する溶着縁部と溶着面が溶着される。本発明では、2本の溶着縁部を設けたので溶着部をくの字状に曲げようとする曲げモーメントが生じにくく、その部分に亀裂が入って外れることが生じにくい。なお、蓋19には、電槽1の各セル室に対応する内圧制御用の安全弁24が設けられている。
【0014】
【発明の効果】
本発明の蓄電池の電槽は、電槽の内側の底面に、両長側面の壁の両内壁に沿って溝を形成したものであるため、極板群の側部から落下する沈殿物がこの溝の中に収集される。従って、陽極板と陰極板の間が繋がれて短絡が起こる危険性を防止できる。極板はこの両溝の間の平坦な底面によって保持する。このため、各極板の底部やエッジ部に局部的な力がかかることがなく、各極板の底辺部や両側エッジ部の損傷のおそれのない安定した収納状態が得られる。また、底面の平坦部分の幅を極板の幅よりわずかに狭くすることによって、極板底辺の両端のエッジが電槽の底面と側面のコーナーに突き刺さることはなく、これによるセパレータの損傷が減少する。また、沈殿物による短絡などのトラブルの起きる原因が少くなり、耐久性のすぐれた電池を提供することができる。
【0015】
さらに、複数本の溶着縁部を設けることにより、電槽の熱溶着が安定し溶着面の強度も増加して電槽全体の強度が増加する。また、短側面部材そのものを強化するために縦リブを設けることにより、電槽の短側面に加わる、極板群の群圧や充電時に発生するガスの圧力上昇による外向きの力又は、蓄電池を放置したときのガス吸収で生じる内圧の低下による内向きの力を支えることができる。さらにこの縦リブを一体に連結する横リブを配し、この横リブの上に複数本の溶着縁部を設けて、この複数本の溶着用突起部を蓋裏面の溶着面部に熱溶着することによって溶着面積が広くなり、短側面部材と蓋との溶着強度が大幅に増加する。また溶着縁部の全幅(w)を短側面部材の厚さより広くすることで電槽と蓋との溶着固定幅が増えてより強度は増す。従って電槽全体の側面の肉厚を増加させて重量を増やすことなく、強固な電槽を有し、生産工程で安定した品質が得られる電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蓄電池の極板に垂直な面(長側面に平行な面)で切断した断面図
【図2】同蓄電池の電槽の長側面に平行な面で切断した断面図
【図3】同蓄電池の短側面の側から見た一部破断正面図
【図4】同蓄電池の電槽の短側面に平行な面で切断した断面図
【図5】同蓄電池の電槽の斜視図
【図6】図5の矢印Aで示すコーナー部の部分拡大図
【符号の説明】
1 電槽
2 セル室
3 極板群
4 異極性端子
5 セル室仕切壁
6 セル間接続体
7 極板群の最外側極板
8 電槽短側面部材
9 短側面部材の上縁部
10 溶着縁部
11 縦リブ
12 横リブ
13 電槽底面部材
14A、14B 長側面部材
15A、15B 長側面の内壁
16A、16B 溝
17 底面

Claims (1)

  1. モノブロック型電槽の、セル室仕切壁によって区分された各セル室内にそれぞれ極板群を収納し、隣接するセル室の極板群の異極性端子間を、前記セル室仕切壁を貫通するセル間接続体により接続した蓄電池において、
    前記電槽に収納された極板群の最外側極板に対面する電槽短側面に直交する両長側面と、電槽の内側底面が交わる近傍において、前記内側底面の前記両長側面に沿う部分にそれぞれ溝を形成し、この両溝の間の平坦な底面を極板群を保持する部分とした蓄電池の電槽。
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