JP3635216B2 - コイル装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コイル装置に関し、更に詳しくは薄型の電子部品に好適なコア付きコイル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、著しい普及が見込まれている携帯型パソコンや、小型の携帯電話などは特にmm単位の極薄型のものが要望されている。したがって、これらの電子機器に用いられるコイル装置も特別に小型で薄型のものでなければならない。このような用途に用いられるコイル装置に関する公知文献としては、実開昭61−188319号公報、特開平8−64434号公報等がある。
【0003】
これらの公知文献に開示されたコイル装置は、コアと台座とを有している。コアとしては、コイル巻回部と、コイル巻回部の両端部にそれぞれ鍔部を備えた、所謂ドラム型コアが用いられている。ドラム型コアは、台座の一面上に例えば接着等の手段によって固定されている。従って、コイル装置としての全長(高さ)は、コアの全長(高さ)と台座の全長(厚さ)とを加算した寸法になる。コアは、所要の電気磁気特性を得るために、予め定められた寸法、形状を満たす必要があるので、コアの構造的な変更は困難である。したがって、コイル装置としての小型化及び薄型化に当たっては、台座の全長(厚さ)を如何に小さくするかが重要な問題となる。
【0004】
しかし、台座を単純に薄くしたのでは、種々の問題を生じる。例えば、台座を薄くすると、その強度が低下し、破損や割れ等を生じ易くなる。また、薄くすると、台座の熱容量が小さくなる。このため、端子にコイルを半田付けする際、台座内部の温度が上昇し、台座に熱変形または溶融が発生してしまうことがあった。
【0005】
他の対策として、実開昭61−188319号公報は、台座に段付きのコア挿入孔を設け、コア挿入孔内の段部で、コアを支持する構造を開示している。しかし、このような構造を採用したとしても、台座の段付き部の厚さが、コアの全長に加算されるので、小型化及び薄型化に限界を生じる。しかも、外部応力が加わったとき、台座の薄くした部分で弱く割れやすい。また、コイルを端子に半田付けする加熱工程の際、台座の薄くした部分が溶融し、コアが台座から脱落するおそれもある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、コアの全長とほぼ同一の全長(高さ)まで薄型化し得るコイル装置を提供することである。
【0007】
本発明のもう一つの課題は、外力や熱が加わっても、台座の破損、溶融等を回避し得る高信頼度のコイル装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明に係るコイル装置は、コアと、台座とを含む。前記コアは、コイル巻回部と、第1の鍔部と、第2の鍔部とを含み、前記第1の鍔部および前記第2の鍔部は、前記コイル巻回部の長さ方向の両端部に備えられている。前記台座は、貫通孔を有し、底面と上面で見た厚みが前記コアの全長よりも小さくなっている。前記貫通孔は厚み方向に設けられている。前記コアは、前記第1の鍔部が前記台座の前記貫通孔に挿入され、前記第1の鍔部の先端面が前記台座の前記底面とほぼ同一の平面を構成するように前記台座に位置決めされている。
【0009】
上述したように、コアは、コイル巻回部と、第1の鍔部と、第2の鍔部とを含み、第1の鍔部および第2の鍔部は、コイル巻回部の長さ方向の両端部に備えられているから、コイルを、コイル巻回部からはみ出さないように巻装することができる。
【0010】
台座は貫通孔を有し、この貫通孔は厚み方向に設けられている。コアは第1の鍔部が台座の貫通孔に挿入され、台座に位置決めされている。この構造によれば、台座の貫通孔内にコアを挿入することにより、台座によってコアを位置決めし、かつ、支持することができる。
【0011】
更に、コアは、第1の鍔部の先端面が台座の底面とほぼ同一の平面を構成するように台座に位置決めされており、しかも、台座の底面と上面とで見た厚みがコアの全長よりも小さくなっている。この構造によれば、コイル装置としての全長(高さ)は、台座の厚さの影響を受けず、コアの全長(高さ)によってのみ定まる。したがって、台座の厚さを十分に確保して、台座の機械的強度および熱容量を増大することができる。このため、外力や熱が加わっても、台座の破損、溶融等を回避し得る高信頼度のコイル装置が得られる。
【0012】
本発明の他の目的、構成及び利点は、添付図を用いて更に詳しく説明する。添付図は、単に例を示すものに過ぎない。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係るコイル装置の分解斜視図、図2は図1に図示されたコイル装置の組み立て斜視図、図3は図2の3−3線に沿った断面図、図4は図1〜3に示したコイル装置の上面図、図5は図1〜3に示したコイル装置の底面図である。図示実施例は、高周波コイルとして用い得るコイル装置を示す。トランス等の他のコイル装置であってもよい。
【0014】
図示するように、本発明に係るコイル装置は、コア1と、台座9とを含む。コア1は、コイル巻回部3と、第1の鍔部5と、第2の鍔部7とを含む。第1の鍔部5および第2の鍔部7は、コイル巻回部3の長さ方向の両端部に備えられている。このような形状のコア1は、通常、ドラム型と称されている。
【0015】
コア1は、Ni−Zn系フェライトもしくはMnーZn系フェライトを材料として用い、これらの粉体を一体成型して焼結したものであってもよいし、または、焼結体を研削加工したものであってもよい。また、コア1は、例えばパーマロイ、Si−Fe合金等の金属磁性材料を用い、これらの金属磁性材料でなる薄板を積層して構成してもよいし、または、これらの金属磁性材料の粉体を用いて一体成型したコアであってもよい。
【0016】
台座9は、貫通孔16を有し、底面8と上面14とで見た厚みHaがコア1の全長Hsよりも小さくなっている。貫通孔16は、厚み方向に貫通している。台座9は、電気絶縁抵抗、耐熱性および機械的強度を満足する材料の中から選択できる。実施例の場合は、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂の成形品として構成することが好ましい。熱可塑性樹脂の例としては、LPC、PPS、PBT、PETなどがある。熱硬化性樹脂としては、フェノール、DAP樹脂等がある。
【0017】
コア1は、第1の鍔部5が台座9の貫通孔16に挿入され、第1の鍔部5の先端面17が台座の底面8とほぼ同一の平面を構成するように台座9に位置決めされている。実施例では、台座9の底面8と上面14とで見た厚みHaは、コア1の第1の鍔部5の厚みHb以上(Ha≧Hb)に設定されている(図3参照)。
【0018】
コア1のコイル巻回部3には、コイル13が巻装されている。コイル13としては、ポリウレタン被覆銅線等を用いることができる。図示実施例は高周波コイルとしての例を示しているので、コイル13は1つだけであるが、トランスの場合は、複数組のコイルが用いられることはいうまでもない。
【0019】
上述したように、コア1は、コイル巻回部3と、第1の鍔部5と、第2の鍔部7とを含み、第1の鍔部5および第2の鍔部7は、コイル巻回部3の長さ方向の両端部に備えられているから、コイル13を、コイル巻回部3からはみ出さないように巻装することができる。
【0020】
台座9は貫通孔16を有し、この貫通孔16は厚み方向に設けられている。コア1は第1の鍔部5が台座9の貫通孔16に挿入され、台座9に位置決めされている。この構造によれば、台座9の貫通孔16内にコア1の第1の鍔部5を挿入することにより、台座9によってコア1を位置決めし、かつ、支持することができる。
【0021】
コア1は、第1の鍔部5の先端面17が台座9の底面8とほぼ同一の平面を構成するように台座9に位置決めされており、しかも、台座9の底面8と上面14とで見た厚みHaがコア1の全長Hsよりも小さくなっている。この構造によれば、コイル装置としての全長(高さ)は、台座9の厚みHaの影響を受けず、コア1の全長(高さ)Hsによってのみ定まる。したがって、台座9の厚さHaを十分に確保して、台座9の機械的強度および熱容量を増大することができる。このため、外力や熱が加わっても、台座9の破損、溶融等を回避し得る高信頼度のコイル装置が得られる。
【0022】
更に、実施例では、台座9の底面8と上面14とで見た厚みHaは、コア1の第1の鍔部5の厚みHbより大きい。これによって、コア1は、台座9に安定に位置決めされる。しかも、コイル13のコイル端末33、35がコア1のコアエッヂによって傷つくのを防止できる。
【0023】
図1〜3に示す実施例では、台座9は、貫通孔16の上面14の側が大内径59であり底面8の側が小内径61である。コア1は、第1の鍔部5の先端面17の側に小外径の突部63を有し、その後方側が大外径になっている。コア1の全長Hsは、第1の鍔部5の下側部分に含まれている突部63の先端面17から、第2の鍔部7の上側に含まれている突部65の先端面19に至る距離である。
【0024】
第1の鍔部5の直径と、貫通孔16の大内径59とをほぼ同じ形状とし、突部63と、小内径61とをほぼ同じ形状とすると、コア1の先端面17の側を、台座9の貫通孔16に挿入するだけで、台座9の底面8と、コア1の先端17との間で、自動的に同一の平面を構成することができる。
【0025】
図には示されていないが、コア1及び台座9のそれぞれの段差部の形状としては、複数の階段状、曲面状、傾斜面状等を採用することができる。また、台座9及びコア1を、平面において位置決めを必要とする場合は、貫通孔16の内径形状と、第1の鍔部5または突部63の外形形状は、円形以外の形状とすることができる。
【0026】
図示実施例において、台座9は、端子25、27、29、31を含む。端子25は台座9の側面を通って外部に導出された端子部37、39を有し、端子部37及び端子部39の間の中間部が台座9の内部に埋設されている。コイル13のコイル端末33は、端子部37にからげて半田付け55されている。端子部39は回路基板へ面実装するための接続端子として用いられる。端子部37及び端子部39は、台座9の隣接する側面から外部に導出されている。このように、コイル13のコイル端末33を接続する端子部37と、回路基板へ面実装するための接続端子として用いられる端子部39とが、台座9の隣接する側面に分散されているから、端子接続のための配線が容易になる。
【0027】
端子27は台座9の側面を通って外部に導出された端子部41、43を有し、端子部41及び43の間の中間部が台座9の内部に埋設されている。コイル13のコイル端末35は、端子部41にからげて半田付け55されている。端子部43は回路基板へ面実装するための接続端子として用いられる。端子部41及び端子部43は、台座9の隣接する側面から外部に導出されている。このように、コイル13のコイル端末33を接続する端子部41と、回路基板へ面実装するための接続端子として用いられる端子部43とが、台座9の隣接する側面に分散されているから、端子接続のための配線が容易になる。
【0028】
端子29は台座9の側面を通って外部に導出された端子部45、47を有し、端子部45及び47の間の中間部が台座9の内部に埋設されている。端子部45及び端子部47は、隣接する側面から外部に導出されている。端子31は台座9の側面を通って外部に導出された端子部49、51を有し、端子部49及び端子部51の間の中間部が台座9の内部に埋設されている。端子部49及び端子部51は、隣接する側面から外部に導出されている。図示はされていないが、これらの端子29、31においても、端子部45、49がコイル13のコイル端末接続部として用いられ、端子部47、51が回路基板へ面実装するための接続端子として用いられる。
【0029】
端子25、27、29、31は、コバール、42アロイのような鉄系合金、燐青銅等の銅系合金等によって構成することができる。これらの材料でなる板材を、エッチングしまたはプレス加工を施すことによって成形することができる。端子部37、39、41、43、45、47は、その表面に半田メッキを施すことができる。半田メッキは、端子25、27、29、31を台座9に埋め込んだ後に行うことができる。また、図示実施例では、端子部39、43、47、51及び端子部37、41、45、49が、全て、題材9の側面から外部に突出しているが、回路基板に対する接続部分となる端子部39、43、47、51は、必ずしも、台座9の側面から外部に突出させる必要はない。
【0030】
更に、図示実施例において、端子25、27、29、31のいずれも、台座9の底面8よりは突出していない。より具体的には、回路基板に対する接続部分となる端子部39、43、47、51は、台座9の底面8とほぼ同じ平面上にあり、コイル端末接続部となる端子部37、41、45、49は、台座9の側面の厚みの中間部から外部に導出されている。したがって、コイル装置の全長(全高)が、端子25、27、29、31の影響を受けて、コア1の全長Hsより大きくなることはない。
【0031】
しかも、回路基板に対する接続部分となる端子部39、43、47、51が、台座9の底面8とほぼ同じ平面上にあるので、回路基板に対する面実装した場合の安定性が良好になる。また、面実装のための半田付けが台座9の底面8において行われるので、実装占有面積がほぼ台座9の平面積によって定まる最小面積になる。
【0032】
図6は本発明に係るコイル装置の別の実施例を示す分解斜視図、図7は図6に示したコイル装置の組立状態における斜視図、図8は図6、7に示したコイル装置の平面図、図9は同じくその底面図である。図において、図1〜5に現れた構成部分と同一の構成部分については、同一の参照符号を付してある。この実施例の特徴は、台座9の上面であって、端子25、27、29、31の埋め込み位置に対応する位置に切欠53を有し、端子25、27、29、31の端子部37、41、45、49を切欠53を通して外部に露出させたことである。切欠53は、台座9に埋められた端子25、27、29、31の幅に沿って、適当な長さで切り欠かれている。
【0033】
上述したように、端子25、27、29、31の埋め込み位置に対応する位置に切欠53を設け、端子25、27、29、31の端子部37、41、45、49を切欠53を通して外部に露出させてあるので、放熱性が良好になり、例えば、コイル端末33、35を半田付けする時の熱により、台座9が溶融したり、変形をおこすことを防ぐことができる。次に、この点について、データを挙げて説明する。
【0034】
表1は試料番号1〜3で示された3つのサンプルについての熱変形及び熱溶融データを示している。試料番号1は、図6〜9に示すコイル装置において、端子部37、41、45、49の露出長を0.6mmとし、切欠53の長さを0.4mmとしたサンプルである。露出長0.6mmは台座9の側面から端子部37、41、45、49の先端面までの長さであり、切欠53の長さ0.4mmは台座9の側面から図った切欠53の長さである。
【0035】
試料番号2は、図6〜9に示すコイル装置において、端子部37、41、45、49の露出長を1.0mmとし、切欠53の長さを0.0mmとしたサンプルである。端子部露出長及び切欠長さは試料番号1のサンプルと同じようにして、測定された値である。
【0036】
試料番号3は、図6〜9に示すコイル装置において、端子部37、41、45、49の露出長を0.6mmとし、切欠53の長さを0.0mmとしたサンプルである。端子部露出長及び切欠長さは試料番号1のサンプルと同じようにして測定された値である。
【0037】
端子25、27、29、31としては、端子断面0.3×0.1mmの金属板材を用いた。上述した試料番号1〜3のサンプルにおいて、端子25、27、29、31の端子部37、41、45、49に、半田付け温度400℃、浸漬時間2秒の条件で半田付けを行った。
【0038】
表1を参照すると、試料番号1についての測定データが示すように、端子部37、41、45、49の露出長さを0.6mmとし、切欠53の長さを0.4mmに設定すると、台座9に、熱変形や熱溶融を生じない。これに対して、試料番号3についてのデータが示すように、切欠53を持たない場合、端子部37、41、45、49の露出長さを0.6mmに設定したのでは、台座9に熱変形や熱溶融を生じる。切欠53を持たない場合に、台座9に熱変形や熱溶融を生じるのを防止するためには、試料番号2についての測定データが示すように、端子部37、41、45、49の露出長さを1mmまで延ばさなければならない。表1のデータによれば、切欠53を設けることにより、端子部37、41、45、49の露出長さを短くし、コイル装置の小型化を図りながら、同時に、台座9の熱変形及び熱溶融を回避できることが明らかである。
【0039】
図10は本発明に係るコイル装置の別の実施例を示す図、図11は図10の11ー11線に沿った断面図である。図において、図1〜9に現れた構成部分と同一の構成部分については、同一の参照符号を付してある。
【0040】
この実施例に示されたコイル装置の特徴は、上蓋12を備えることである。上蓋部12は、厚み方向に貫通する貫通孔15を有する。図示された上蓋12は台座9とほぼ同じ形状及び構造を有する。
【0041】
具体的に述べると、上蓋12の貫通孔15は、大内径部60と小内径部62とを有する段付き孔となっている。上蓋12に備えられた通孔15は、大内径部60に第2の鍔部7の大径部が嵌り込み、小内径部62に第2の鍔部7の小外径部である凸部65が嵌り込むような形状及び寸法を有する。貫通孔15の形状及び寸法は、更に、貫通孔15の内部に第2の鍔部7が嵌り込んだとき、第2の鍔部7の上面19と、上蓋12の上面23が同一の平面を構成するように定める。このような構造であれば、コア1の第2の鍔部7を上蓋12の貫通孔15に挿入するだけで、第2の鍔部7の上面19と、上蓋12の上面23が同一の平面を構成するように、コア1と上蓋12とを組み合わせ、上蓋12に関わらず、コイル装置の全長(全高)を、コア1の全長Hs内に押さえることができる。実施例では、第2の鍔部7の上面19と、上蓋12の上面23が同一の平面を構成するように定めてあるが、上蓋12の上面23が、第2の鍔部の先端面19より下の位置にあれば、コイル装置がコア1の全長Hsより厚くなることはない。
【0042】
図には示されていないが、第2の鍔部7及び上蓋12のそれぞれの段差部は、複数の階段状、曲面状、傾斜面状等であってもよい。また、上蓋12とコア1が平面方向に位置決めを必要とする場合、上面14または底面8の内径形状と、第1の鍔部5または突部63の外形形状は、それぞれ円形以外の形状とすることができる。
【0043】
更に、図示実施例では、上蓋12は、切欠54を備える。切欠54は端子25、27に半田つけ55、57を施す場合、台座9の切欠53により露出した他方の端子37、41の放熱に寄与する。切欠53と対向した切欠54を設けることにより、端子部37、41を長くすることなく、小型のコイル装置が得られる。
【0044】
また、上面23は、第2鍔部の先端面19より下の位置にあることにより、コイル装置が磁心1の全長Hsより厚くなることはない。
【0045】
上蓋12は、磁性体または複合磁性材料によって構成することができる。これにより、コイル装置の電気磁気特性が向上し、インダクタンスが増加する。したがって、同一のインダクタンスを必要とする場合、巻数を減らすことができるし、コア体積を減らすこともできる。そのため、更に小型で、かつ、薄型のコイル装置を得ることができる。
【0046】
上蓋12を磁性材料によって構成する場合は、フェライト磁性材料が用いられる。その具体例としては、例えば、NiーZn系フェライトまたはMnーZn系フェライト等を挙げることができる。
【0047】
上蓋12を複合磁性材料によって構成する場合は、磁性粉と合成樹脂とを混合したものが用いられる。磁性粉の具体例としては、NiーZn系フェライト粉末、MnーZn系フェライト粉末等のフェライト磁性粉、または、FeーNi(パーマロイ)、FeーSiーAl(センダスト)等の磁性粉を挙げることができる。また、合成樹脂の具体例としては、例えば、PPS樹脂等を挙げることができる。
【0048】
台座9は、複合磁性材料によって構成される。複合磁性材料については、上蓋12において例示したものを用いることができる。
【0049】
表2は試料番号4〜6で示された3種のサンプルについてのインダクタンス値、直流抵抗値及びコイル巻数のデータを示している。
【0050】
試料番号4は、図10、11に示す構造において、台座9及び上蓋12をPPS樹脂の成型体としたサンプルである。コア1はNi−Zn系フェライトで構成し、コイル13としては0.08φポリウレタン被覆銅線を用いた。コイル巻数は13回とした。
【0051】
試料番号5は、図10、11に示す構造において、台座9及び上蓋12を、複合フェライト樹脂の成型体としたサンプルである。複合フェライト樹脂としては、PPS樹脂にMn−Zn系の軟磁性粉を70wt%の割合で均等に分散させたものを用いた。コア1はNi−Zn系フェライトで構成し、コイル13としては0.08φポリウレタン被覆銅線を用いた。コイル巻数は13回とした。
【0052】
試料番号6は、図10、11に示す構造において、台座9及び上蓋12を、複合フェライト樹脂の成型体としたサンプルである。複合フェライト樹脂としては、PPS樹脂にMn−Zn系の軟磁性粉を70wt%の割合で均等に分散させたものを用いた。コア1はNi−Zn系フェライトで構成し、コイル13としては0.08φポリウレタン被覆銅線を用いた。コイル巻数は11.5回とした。
【0053】
表2に示すように、台座9及び上蓋12を、複合フェライト樹脂の成型体とした試料番号5のサンプルでは、台座9及び上蓋12をPPS樹脂の成型体とした試料番号4のサンプルと比較して、インダクタンスが30%上昇している。また、台座9及び上蓋12を、複合フェライト樹脂の成型体とした試料番号6のサンプルによれば、試料番号4のサンプルと同じインダクタンス10(μH)を得るのに、巻回数及び直流抵抗を10%以上低減させることができる。したがって、試料番号5、6のサンプルを、DC/DCコンバータ等に利用すれば、その効率改善に寄与することは明らかである。
【0054】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、次のような効果が得られる。
(a)コアの全長とほぼ同一の全長(高さ)まで薄型化し得るコイル装置を提供することができる。
(b)外力や熱が加わっても、台座の破損、溶融等を回避し得る高信頼度のコイル装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るコイル装置の分解斜視図である。
【図2】図1に示したコイル装置の組立斜視図である。
【図3】図2の3−3線に沿った断面図である。
【図4】図1〜3に示したコイル装置の上面図である。
【図5】図1〜3に示したコイル装置の底面図である。
【図6】本発明に係るコイル装置の別の実施例を示す図である。
【図7】図6に示したコイル装置の組立斜視図である。
【図8】図6、7に示したコイル装置の上面図である。
【図9】図6、7に示したコイル装置の底面図である。
【図10】本発明に係るコイル装置の別の実施例を示す図である。
【図11】図10の11ー11線に沿った断面図である。
【符号の説明】
1 コア
5 第1の鍔部
9 台座
15、16 貫通孔
25 端子
53、54 切欠部
Claims (7)
- コアと、台座とを含むコイル装置であって、
前記コアは、コイル巻回部と、第1の鍔部と、第2の鍔部とを含み、
前記第1の鍔部および前記第2の鍔部は、前記コイル巻回部の長さ方向の両端部に備えられており、
前記台座は、相対する底面及び上面の間で見た厚みが、前記コアの全長よりも小さく、厚み方向に貫通する貫通孔を有しており、
前記貫通孔は、上面の側が大内径であり、底面の側が小内径であり、
前記コアは、前記第1の鍔部の先端面の側に小外径の突部を有し、その後方側が大外径になっており、
前記第1の鍔部は、直径が前記貫通孔の前記大内径とほぼ同じで、前記突部は貫通孔の小内径部内にあり、
前記第1の鍔部が前記台座の前記貫通孔に挿入され、前記第1の鍔部の先端面が前記台座の前記底面とほぼ同一の平面を構成するように前記台座に位置決めされている
コイル装置。 - 請求項1に記載されたコイル装置であって、
更に、端子を含み、前記端子は、一端部が前記台座の側面側に埋め込まれている
コイル装置。 - 請求項2に記載されたコイル装置であって、
前記台座は、上面側および下面側の内、少なくとも一面側に切欠を有しており、
前記端子は、切欠を通して露出している
コイル装置。 - 請求項1乃至3の何れかに記載されたコイル装置であって、前記台座の厚みをHaとし、前記第1の鍔部の厚みをHbとしたとき、
Ha≧Hb
を満たす
コイル装置。 - 請求項1乃至4の何れかに記載されたコイル装置であって、更に、上蓋部を含み、
前記上蓋部は、上面が前記第2の鍔部の上面とほぼ同一平面を構成する
コイル装置。 - 請求項1乃至5の何れかに記載されたコイル装置であって、前記上蓋は、磁性体でなる
コイル装置。 - 請求項1乃至5の何れかに記載されたコイル装置であって、前記上蓋および前記台座は、複合磁性材料でなる
コイル装置。
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