JP3635186B2 - 土留め用袋体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス、水道等の埋設管の敷設時に掘削される掘削溝を保持する土留め用袋体の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガス、水道等の埋設管の敷設時に掘削される掘削溝を保持するには、掘削溝の溝壁部に土留め板を差し込んで切り梁で溝壁を支持する方式が一般的に使用されているが、この方式とは別に掘削溝内にエアバック(袋体)を設置して圧縮空気を注入してエアバックを膨張させて溝壁を保持する土留め方式が例えば特開昭58−24031等で数件提案されている。
前記エアバック土留め方式は従来からあったが、これを実用化するにあたっては、いくつかの課題があった。その課題のひとつは、エアバックに注入する圧力の設定を如何にするかである。
発明者等は特開平8−260466で袋体を利用した土留め方式において、袋体に注入する圧力を溝壁の主働土圧と受動土圧の間に維持して土留めする土留め工法を提案し、一部現場に適用している。
この土留め方式は図6に示すように、掘削溝7に袋体1を収容し、袋体1に注入した流体の圧力pを溝壁の主働土圧と受動土圧の間に維持して、袋体1の側面部を溝壁8に押し当てる。
袋体1は流体の注入・排出により膨張・収縮可能であり、膨張時の横幅B1(図1参照)が掘削溝7の横幅Bより大きくなり、溝壁の主働土圧以上の流体を封入可能な耐圧強度を有し、流体のバルブ付き注入・排出口を有するものであり、次のような利点がある。
つまり、大掛かりな機械設備や多くの労力を要せずに、土留め工の施工と撤収を無振動かつ低騒音で作業能率良く行え、掘削溝の溝幅を埋設物敷設に必要なだけの最小限度に設定できる土留め工法である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記の袋体を用い適正圧力を維持した土留め工法は、実際の掘削溝の現場で実用的に使用でき、効果を奏するものであることを確認できたが、袋体の耐久性に改良すべき点があることが分かった。
すなわち、袋体の材料として一重の繊維生地に樹脂コーテイングしたものを使用したため、溝壁に突起のある異物が存在すると袋体が損傷を受けやすく、またエアバックを繰り返し使用すると、エアー注入口を異なった材料を用いて接着材で接合した構造としていたため、この部分の疲労強度が弱く、エアー漏れが発生しやすいという課題があった。
本発明は、これらの課題を解消して、軽量で取扱い性がよく、かつ耐久性に優れた土留め用袋体を提供することを目的としたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するため本発明では以下の構成とした。
掘削溝の溝壁を保護する土留め用袋体において、当該袋体は内部に流入させる気体の圧力で膨張する内袋と外袋の二重袋で構成し、内袋には気体を流入、排出する注排口を一体的に設け、外袋が外部からの荷重で破れても内袋が気密性を保ち圧力を保持できるようにし、耐久性に優れた土留め用袋体とした。
また、二重袋の内袋は柔軟性と気密性を有する薄手の合成樹脂または、ゴムを用い、外袋は内袋に較べて柔軟性が低く、且つ耐圧強度の高い厚手の材料を用いることにより、それぞれの袋の役割りを持たせ、且つ相乗効果を発揮するようにした。すなわち、内袋は気密性に優れ、且つ柔軟性に富む材料を用いて内圧を外袋に円滑に伝達するようにし、外袋は外部の接触面からの外力に抵抗させ、また内袋の過剰な膨張を拘束する役割りを担わせている。なお、前記の耐圧強度は、内袋に流入する圧力が外袋に伝達される膨張圧および溝壁との接触圧に対抗するものである。
また、外袋と内袋の二重袋は分離可能とすることで、損傷を受けやすい外袋を交換可能として経済性を高めた。
さらに、従来の袋体のエアー注入口は、袋体と異なった材料を用いて接着材で接合していたためこの部分の疲労強度が弱く、エアー漏れが発生しやすい課題があったが、本発明ではエアー注入口は内袋と同じか、または融着可能な材料で製作し、内袋と一体的に融着接合したことにより注入口と袋体が一体となって伸び、内部歪み差を生じさせなくして疲労強度を高め、繰り返し変形(応力)が作用しても損傷しないようにした。
【0005】
【発明実施の形態】
以下、本発明の実施態様と実施例について図を参照して説明する。
図1〜図5は本発明の実施例を示したものである。
本発明の土留め用袋体は図1に示すように、膨張した形状がほぼ直方体、または楕円筒になるように製作する。この際、袋体1の下部が掘削溝7の底面9までとどき、かつ溝壁8に袋体1を所定圧力pで押し当てるため、袋体1の幅B1が掘削溝7の掘削幅B(図4参照)より若干大きくなるようにする必要がある。
【0006】
袋体1は図2に示すように、内袋3と外袋2の二重袋で構成する。内袋3は内部に流入させる気体の圧力で容易に膨張し、柔軟性を有し気密性を保持できるような材料、例えばポリウレタンフイルム等の薄手の合成樹脂または、ゴム製のシートを用いて前記のような直方体、または楕円筒になるよう熱融着や接着により形成する。内袋3は柔軟性が高いもの、すなわち伸びやすいものとするため材料と厚さを選択する。例えば0.02mm厚さのポリウレタンを使用して、破断伸び率500%以上の材料を得ることが出来る。
この他自転車のタイヤに使用されているようなゴムチューブを材料として用いてもよい。この場合はポリウレタンに較べて厚いものを用いる。
【0007】
外袋2は内袋3に較べて柔軟性が低く、且つ耐圧強度の高い厚手の材料、例えばテント生地や布製ホース生地、粉体袋等に用いられている材料を用いる。これらは、ポリエステル、ビニロン、ナイロン等の合成繊維の表面にPVC(ポリ塩化ビニール)、合成ゴム等でコーテイングしたものやポリプロピレン、ポリエチレンなどのクロスが使用されており軽量で、且つ強度が大きく、内袋3に較べて伸びにくい。外袋2はこれらのシートを厚さ0.2〜1mmとしたものを縫製、接着により直方体、または楕円筒に成形する。
このように袋体1を内袋3と外袋2の二重袋で構成することにより、外袋2が内袋3からの砕石や、その他の突起異物10(図4参照)による荷重で破れても内袋3が気密性を保ち圧力を保持できる。
【0008】
また、二重袋の外袋2は内袋3に較べて柔軟性が低く、且つ耐圧強度の高い厚手の材料を用いることにより、内袋3が注入する圧力pで過剰に膨張するのを拘束することがきる。
なお、内袋3と外袋2の二重袋は相互に接着してもよいが、非接着にして分離可能とすると、損傷を受けやすい外袋2が交換可能となり、経済性を高めることができる。
外袋2が損傷した際、脱着する手段は注排気口4部の外袋孔から内袋3を出し入れする方法でもよいが、あらかじめ外袋2に着脱用のファスナーを設けておくと作業が容易にできる。
【0009】
内袋3の側面には、袋体1を膨張・収縮させる気体(空気)の注排気口4を設ける。注排気口4の外端接続部4aには、バルブ6付きのホース5が接続されている。
注排気口4は内袋3が柔軟性を有し、伸びやすいため内袋3と一体的に接合する必要がある。従って、注排気口4は内袋3と同じ材料で製作したものを用いるか、または融着可能な材料で製作したものを用いて加熱融着等の手段で一体的に接合する。
【0010】
図3(a)、(b)は注排気口4の詳細を示したもので、(a)は正面図、(b)は同図(a)の中央部断面図である。内袋3に開けた孔3aに注排気口4の端部フランジ4bを融着し、その外面は貫通孔外周面に補強材2aを接着した外袋2が非接着で被覆されている。
なお、内袋3と注排気口の端部フランジ4bは図に示すように、リング状融着部4c,4dの2箇所でリング状に融着するのが望ましい。
【0011】
図4は、本発明の土留め用袋体を用いて掘削溝7を土留めしている一部切欠き断面図である。土留め用袋体が膨張した際の幅B1を掘削溝7の幅Bより大きくしているため、袋体1に注入した気体の圧力pが溝壁8に押圧作用して土留め機能を発揮している。
図には袋体1に損傷をあたえる砕石等の突起物10が図示されている。
図5は、掘削溝7に本発明の土留め用袋体1を複数個配置して土留めしている斜視図を示す。
【0012】
【発明の効果】
本発明の土留め用袋体は、軽量で取扱いが容易であるとともに、内袋と外袋の二重袋とし、内袋には気体を流入、排出する注排口を一体的に設けているため、外袋が外部からの荷重で破れても内袋が気密性を保ち圧力を保持でき耐久性に優れている。
また、内袋と外袋の二重袋は分離可能とすることで、損傷を受けやすい外袋を交換可能として経済性を高めることができる。
さらに、従来の袋体のエアー注入口は、袋体と異なった材料を用いて接着材で接合していたためこの部分の疲労強度が弱く、エアー漏れが発生しやすい課題があったが、本発明では、エアー注排口は内袋と同じか、または融着可能な材料で製作し、内袋と一体的に融着接合したことにより、注排口と袋体が一体となって伸び、内部歪み差を生じないため疲労強度を高め、繰り返し変形(応力)が作用しても損傷せず、この部分からのエアー漏れをなくすことができるというすぐれた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る土留め用袋体の一部切欠き斜視図である。
【図2】土留め用袋体における二重袋体の一部断面図である。
【図3】土留め用袋体における注排気口の詳細図で(a)はその正面図、(b)同図(a)の中央部断面図である。
【図4】本発明の土留め用袋体を用いて掘削溝を土留めしている状態を示す一部切欠き断面図である。
【図5】本発明の土留め用袋体を複数個配置して掘削溝を土留めしている斜視図である。
【図6】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 袋体
2 外袋
3 内袋
4 注排気口
7 掘削溝

Claims (2)

  1. 掘削溝の溝壁を保護する土留め用袋体において、当該袋体は内部に流入させる気体の圧力で膨張する内袋と外袋の二重袋で構成され、該内袋は柔軟性と気密性を有する薄手の合成樹脂またはゴムを用い、外袋は内袋に較べて柔軟性が低く、且つ、耐圧強度の高い厚手の材料を用い、内袋に気体を流入、排出する注排口を一体に設け、さらに内袋と外袋の二重袋は分離可能とされていることを特徴とする土留め用袋体。
  2. 注排口は、内袋と同じか、または内袋に融着可能な材料で製作され、内袋と一体的に融着接合されていることを特徴とする請求項1記載の土留め用袋体。
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