JP3634523B2 - 画像データ符号化装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像データをブロック単位で可変長符号化して圧縮画像データを生成する画像データ符号化装置に関し、詳しくは、圧縮画像データの1ブロック毎の総符号量の制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
画像データの伝送及び蓄積においては、画像データを圧縮してデータ量を減らし、効率的に処理することが重要である。このような画像データの圧縮については、従来より種々の方法が考えられているが、近年、国際的な符号化方式の標準化がJPEG(Joint Photographic Expert Group)によって進められている。このJPEGによる符号化方式は、JPEGアルゴリズムと称され、CD−ROMシステム等の画像データの処理に広く用いられている。
【0003】
JPEGアルゴリズムに従う符号化方式では、図8に示すように、1つの画面を8×8画素単位で複数のブロックB11〜Bmnに分割し、各ブロック毎に符号化処理が行われる。即ち、各ブロックB11〜Bmnを構成する8行×8列分の画素P11〜P88を表す64個のデータを1つの単位として符号化することにより、データ量の圧縮が行われる。
【0004】
JPEGアルゴリズムに従う符号化回路(JPEGエンコーダ)は、図9に示すように、DCT演算回路1、量子化回路2及び符号化回路3より構成され、しきい値テーブル4及びハフマン符号テーブル5が接続される。
DCT演算回路1は、画像データを1ブロック単位(64画素分)で取り込み、その画像データに対して2次元の離散的コサイン変換(DCT:Discrete Cosine Transform)を行って64個のDCT係数を生成する。量子化回路2は、DCT演算回路1から供給されるDCT係数をしきい値テーブル4に格納されたしきい値を参照して量子化する。この量子化の際のしきい値は、画像データの圧縮率や再生画像の画質を決定するものであり、装置の使用目的に合わせて任意に設定される。符号化回路3は、量子化されたDCT係数をハフマン符号テーブル5に格納されたハフマン符号に基づいて可変長符号化し、圧縮画像データを生成する。ハフマン符号は、量子化されたDCT係数に対して予め予想される出現頻度に応じて割り当てられる可変長の符号であり、出現頻度の高いものに対して短く割り当てられる。
【0005】
上述のJPEGエンコーダでは、DCT演算回路1により画像データが周波数成分に分解され、図10に示すように、低周波数成分から高周波成分が左上から順に右下に向かって配列される。そして、各データを量子化回路2により量子化した後、左上端から始めて対角線方向にジグザグにスキャンしながら右下端まで符号化回路3により順次符号化処理が繰り返される。このとき、1ブロック毎に圧縮画像データの総符号量の上限が定められているため、その上限の基準量を超えないようにして符号化処理が制御される。例えば、符号化回路3から出力される圧縮画像データの符号量をカウントし、総符号量が基準符号量を超える前に符号化回路3に対して符号化処理の打ち切り指示を与えるように構成される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
通常の符号化処理では、数個(符号の内容によって変化する)の符号がまとめて出力されるため、次に出力される符号が基準符号量を超えるものか否かを判定し、超えなければ次の符号の出力を許可し、超えるときには次の符号を出力せず、EOB(End Of Block)符号を出力する。この場合、高周波成分のデータの一部が切り捨てられることになる。例えば、図10に示すように、あるデータDaまで符号化した時点で、次の符号化がデータDbまでになるとすれば、データDbまで符号化したときの総符号量が基準符号量を超えるか否かについて判定される。そこで、総符号量が基準符号量を超えなければデータDbまで符号化されて出力され、超えればデータDa以降のデータが無視されてEOB符号が出力される。これにより、1ブロック毎の圧縮画像データの総符号量が常に基準符号量に納められるようになる。
【0007】
しかしながら、符号化処理の打ち切りを行うと、データの高周波成分の一部が切り捨てることになるため、圧縮画像データを伸長処理した際に元の画像データを完全に再生することができず、再生画面の画質を劣化させるという問題が生じる。
このような画質の劣化を最小限にする方法としては、1ブロックの圧縮画像データの総符号量が基準符号量を超えるとき、圧縮率を高く設定し直して再度符号化処理を行うことが考えられる。この場合、符号化回路3から出力される圧縮画像データの符号量を1ブロック毎にカウントし、総符号量が基準符号量を超えたとき、その超過分に合わせて量子化回路2の閾値を設定し、量子化回路2及び符号化回路3での符号化処理を繰り返すようにしている。この方法は、1画面の画像データに対して符号化処理を2度繰り返す必要があることから、符号化に要する時間は長くなる。このため、1秒間に30フレームの画面が連続するテレビジョン信号(NTSC方式)等の動画像信号を圧縮処理する場合には、連続して入力される画像信号に符号化処理が追従できなくなるおそれがある。
【0008】
そこで本発明は、再生画面の画質の劣化を最小限にしながら、画像データを高速で符号化処理できるようにすることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述の課題を解決するために成されたもので、その特徴とするところは、1画面の画像を構成する画像データを一定の行及び列の画素からなるブロック毎に符号化して圧縮画像データを生成する画像データ符号化装置において、1ブロック単位で取り込んだ上記画像データを所定の規則に従い可変長符号化して圧縮画像データを生成する符号化回路と、上記圧縮画像データの符号量をカウントして1ブロック毎に累加算する符号量カウンタと、上記圧縮画像データの総符号量の基準符号量に対する過不足を判定し、その判定結果に応じて借入符号量を増減させる符号量制御部と、を備え、上記符号量制御部は、上記借入符号量の初期値を複数種類保持し、1画面内の各領域に対応して初期値を切り換えると共に、上記圧縮画像データの総符号量の基準符号量に対する超過分が上記借入符号量を超えたときに上記符号化回路の可変長符号化処理を打ち切ることにある。
【0010】
本発明によれば、1ブロックの画像データの符号化処理の結果、総符号量の基準符号量に満たない分が借入符号として次のブロックの画像データの符号化処理に割り当てられる。次のブロックの画像データの符号化処理では、総符号量が基準符号量と借入符号量とを加算した量に達するか、基準符号量と最大借入符号量とを加算した値に達するまで符号化処理が繰り返され、何れかの加算量を超えた時点で符号化処理が打ち切られる。この結果、1ブロック分の圧縮画像データの総符号量が多くなったときでも、符号化処理の打ち切りが少なくなり、同時に、特定のブロックに借入符号量が偏りにくくなり、再生画面の画質の劣化を抑制できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の画像データ符号化装置の第1の実施の形態を示すブロック図である。
DCT演算回路1、量子化回路2及び符号化回路3は、図9に示すJPEGエンコーダと同一であり、ブロック単位で入力される画像データを離散的コサイン変換してDCT係数を生成した後、しきい値テーブル4のしきい値を参照して量子化し、さらに、ハフマン符号テーブル5のハフマン符号に基づいて可変長符号化する。これにより、圧縮画像データを生成する。
【0012】
符号出力バッファ6は、符号化回路3から出力される圧縮画像データを順次バッファリングし、符号量制御部10の指示に応答してその圧縮画像データまたはEOB(End Of Block)符号を出力する。EOB符号は、1ブロック分の画像データの処理が終了したことを示す符号であり、圧縮画像データの総符号量が多く、1ブロックの途中で符号化処理が打ち切られたとき、打ち切り直後に出力される。符号量カウンタ7は、符号化回路3から出力される圧縮画像データの符号量をカウントし、1ブロック分累加算して総符号量を符号量制御部10に供給する。
【0013】
符号量制御部10は、差分検出回路11、借入符号量減算回路12及び比較判定回路13からなり、符号化により生成された圧縮画像データの総符号量と借入符号量とに基づいて、符号化回路3及び符号出力バッファ6の動作を制御する。即ち、符号量カウンタ7から供給される総符号量が、1ブロックの基準符号量を超えたとき、その超過分が、1ブロックの処理が完了する毎に更新される借入符号量よりも少ないかまたは多いかが判定される。そして、超過符号量が借入符号量よりも少ないときには、符号化回路3に符号化を継続させて符号出力バッファ6に符号(圧縮画像データ)の出力を許可し、多いときには、符号化を打ち切らせてEOB符号を出力させる。このとき、借入符号量については、基準符号量に対する総符号量の超過分に割り当てた量が減算され、1ブロックの処理が完了する毎に更新される。尚、総符号量が基準符号量に達しなかったときには、総符号量に対する基準符号量の余剰分が借入符号量に加算され、借入符号量の更新が行われる。
【0014】
差分検出回路11は、予め設定された1ブロック毎の基準符号量と符号量カウンタ7でカウントされる総符号量との差を算出し、総符号量が基準符号量よりも小さいときには負の差分量を出力し、総符号量が基準符号量よりも大きいときには正の差分量を出力する。借入符号量減算回路12は、最初に初期借入量を保持し、その後に差分検出回路11から出力される差分量を比較判定回路13の指示に応答して減算する。この借入符号量減算回路12では、差分検出回路11からの差分量が正の場合には、借入符号量から差分量がそのまま減算されて借入符号量が減少され、差分量が負の場合には、借入符号量から差分量が減算されて借入符号量が増加される。比較判定回路13は、差分検出回路11から出力される差分量と借入符号量減算回路12から出力される借入符号量とを比較し、差分量が借入符号量を超えたときに符号化回路3に対して符号化打ち切りの指示を与え、符号出力バッファ6に対してEOB出力の指示を与える。また、差分量と予め設定される最大借入符号量とを比較し、差分量が最大借入符号量を超えたとき、借入符号量に余裕が残されているとしても、符号化回路3及び符号出力バッファ6に対してそれぞれ符号化打ち切り及びEOB出力の指示を与える。そして、比較判定回路13は、符号化回路3に符号化打ち切りの指示を与えると同時に、借入符号量減算回路12に対して減算実行の指示を与える。これにより、符号量制御部10は、圧縮画像データの1ブロックあたりの総符号量の平均値を所定の値に納めるように制御を行う。このとき、各ブロックにおける借入符号量が制限されるため、特定のブロックで、借入符号量が偏ることが少なくなる。
【0015】
図2は、本発明の画像データ符号化装置の動作を示すフローチャートである。
ステップS1では、符号化回路3により画像データを符号化して圧縮画像データを生成し、ステップS2では、符号量カウンタ7により圧縮画像データの符号量をカウントし、累加算する。ステップS3では、差分検出回路11により圧縮画像データの総符号量と予め設定された基準符号量との差、即ち差分量を算出する。ステップS4では、比較判定回路13により差分量と借入符号量とを比較し、差分量が借入符号量よりも小さい場合にはステップS5に進み、逆に、大きい場合にはステップS7に進む。ステップS5では、比較判定回路13により、差分量を予め設定されている最大借入符号量と比較し、差分量が最大借入符号量以内であればステップS6に進み、最大借入符号量を超えていればステップS7に進む。ステップS6では、符号化回路3での符号化処理の様子から1ブロック分の画像データの処理が完了したか否かを判定し、処理が完了していなければステップS1に戻り、処理が完了していればステップS7、S8を跳ばしてステップS9に進む。ステップS7では、符号化回路3の符号化処理を打ち切り、ステップS8では、符号出力中止の後、符号出力バッファ6からEOB符号を出力する。ステップS9では、借入符号量減算回路12により、借入符号量から、それまでにカウントされた圧縮画像データの総符号量と基準符号量との差分量を減算し、借入符号量を更新する。そして、ステップS10では、総符号量、即ち符号量カウンタ7のカウント値をリセットし、1ブロック分の画像データの符号化処理を終了する。
【0016】
この処理フローによれば、ステップS1からステップS5の処理が繰り返される過程で、1ブロックの画像データの符号化処理が完了するまでの間、総符号量が基準符号量を超えないか、又は、超えても差分量が最大借入符号量を超えなければ、ステップS9、S10の処理を経て動作が終了する。1ブロックの画像データの符号化処理が完了するより先に差分量が借入符号量を超えるか、差分量が最大借入符号量を超えるかすると、ステップS7、S8の処理を経た後、ステップS9、S10の処理を経て動作が終了することになる。ここで、ステップS9において、圧縮画像データの総符号量が基準符号量よりも少なかったときには、借入符号量から負の差分量が減算されるため借入符号量は増加する。逆に、総符号量が基準符号量より多く、符号量の借入が行われたときには、借入符号量から正の差分量が減算されるため借入符号量は減少する。
【0017】
圧縮画像データで特定の1ブロックについて考えると、例えば、図3の(a)に示すように、特定ブロックの圧縮画像データの総符号量が基準符号量よりも少なく、符号量の借入がなかったときには、基準符号量の余剰量(基準符号量−総符号量)が借入符号量に加算される。そして、図3の(b)に示すように、圧縮画像データの総符号量が基準符号量より多く、符号量の借入があったときには、基準符号量の対する超過量(総符号量−基準符号量)が借入符号量から減算される。また、図3の(c)に示すように、圧縮画像データの総符号量が基準符号量と借入符号量とを加算した量より多いときには、借入符号量を超えない範囲で符号量の借入が行われ、符号化処理が途中で打ち切られる。その打ち切り時点で、総符号量の基準符号量に対する超過量が借入符号量から減算される。
【0018】
ところで、借入符号量が最大借入符号量よりも多くなったときには、総符号量が基準符号量と借入符号量とを加算した量より少なかったとしても、図3の(d)に示すように、最大借入符号量を超える分までは符号量の借入が成されず、符号化処理が途中で打ち切られる。当然ながら、総符号量が基準符号量と借入符号量とを加算した量より多くなれば、図3の(e)に示すように、最大借入符号量を超えない範囲で符号量の借入が行われ、符号化処理が途中で打ち切られる。このように、借入符号量が最大借入符号量を超えており、総符号量が基準符号量と最大借入符号量とを加算した量を超えているような場合には、同様の符号化処理となる。
【0019】
図4は、本発明の画像データ符号化装置の第2の実施の形態を示すブロック図で、図5は、その符号化処理の順序を説明する模式図である。
この図において、DCT演算回路1、量子化回路2、符号化回路3、符号出力バッファ6、符号量カウンタ7は、図1と同一であり、符号量カウンタ7でカウントされる圧縮画像データの総符号量に基づいて符号化処理を打ち切るように構成している。
【0020】
符号量制御部10’は、差分検出回路11、借入符号量減算回路12及び比較判定回路13に加えてブロック数カウンタ14を有する。ブロック数カウンタ14は、量子化回路2から出力される画像データを取り込み、符号化回路3に入力される画像データのブロック数をカウントする。そして、そのカウント値が、一定の値に達した時点で、借入符号量減算回路12をリセットし、符号量制御部10’での符号量の借入処理を初期化する。即ち、符号量制御部10’の制御動作を適当なブロック数毎に初期化することにより、符号量の借入処理を所定のブロック行単位で完結させるようにしている。この符号量制御部10’の初期化は、通常ブロック行単位で行われる。従って、各ブロック行毎に符号量の借入処理が完結するため、各ブロックの符号借入量が1画面の特定の領域に偏ることが少なくなり、不自然な再生画面にはなりにくい。
【0021】
例えば、コンピュータ機器のVGA規格に対応する場合、図5に示すように、1画面は640×480画素で構成され、JPEGアルゴリズムに従う符号化処理では、この1画面が、80×60個のブロックに分割される。そこで、ブロック数カウンタ14が80ブロックをカウントする毎に符号量カウンタ7及び借入符号量減算回路12をリセットするようにして、1ブロック行毎に符号量制御部10’の制御動作を初期化するように構成する。これにより、符号の借入は、同一のブロック行内に限って行われるようになる。
【0022】
尚、符号量制御部10’の初期化は、1ブロック行毎に限らず、複数のブロック行毎に行うようにしてもよい。例えば、1600ブロック(80×20ブロック行)毎に符号量制御部10’を初期化することにより、1画面を3つの領域でそれぞれ符号の借入処理を完結させるように構成することも可能である。さらには、符号量制御部10’の初期化の間隔を均等に設定する必要はなく、画面の特定の領域、例えば、画面の中央部で広くなるような領域に分割し、各分割領域毎に符号の借入処理を完結させるようにしてもよい。このとき、初期借入符号量について、1画面内での総借入符号量が所定の量に納まればよいため、各分割領域で全て均一に設定する必要はなく、重要度の高い領域で借入符号量を多くすれば、再生画面の画質の劣化をさらに少なくすることが可能である。この場合には、複数の初期借入符号量を記憶するレジスタを借入符号量減算回路12に接続し、ブロック数カウンタ14から借入符号量減算回路12へのリセット指示に対応して特定の初期借入符号量を選択的に供給できるように構成する。
【0023】
図6は、本発明の画像データ符号化装置の第3の実施の形態を示すブロック図で、図7は、その符号化処理の順序を説明する模式図である。
この図においても、図4と同様に、DCT演算回路1、量子化回路2、符号化回路3、符号出力バッファ6、符号量カウンタ7は、図1と同一であり、符号量カウンタ7でカウントされる圧縮画像データの総符号量に基づいて符号化処理を打ち切るように構成している。
【0024】
符号量制御部10''は、差分検出回路11、借入符号量減算回路12及び比較判定回路13に加えてブロック数カウンタ15及び符号量レジスタ16を有する。
ブロック数カウンタ15は、量子化回路2から出力される量子化データを取り込み、符号化回路3に入力されるブロック数をカウントする。そして、そのカウント値が一定の値に達した時点で、借入符号量減算回路12に対し、借入符号量を符号量レジスタ16に一時的に記憶させた後、符号量レジスタ16に記憶された借入符号量または初期借入符号量をロードさせる。符号量レジスタ16は、借入符号量減算回路12に接続され、ブロック数カウンタ15の指示に応答して借入符号量減算回路12の借入符号量を一時的に記憶する。借入符号量は、所定の数だけ記憶され、その内の1つが読み出されて借入符号量減算回路12に供給される。これにより、1画面内を複数のエリアに分割し、各エリア毎に符号の借入処理を完結させるようにすることが可能になる。
【0025】
例えば、図7に示すように、1画面を4×3個のエリア(A〜L)に分割して20×20ブロックの各エリア毎に符号の借入処理を完結させる場合、水平方向の4つのエリアに対応して4つの借入符号量を符号量レジスタ16に記憶させる。各エリアの左上端のブロック(Baa)の処理を開始するときには、借入符号量減算回路12に初期借入符号量をロードさせる。また、各エリアの左端のブロック(Bba〜Bta)の処理を開始する時点で、そのブロックに対応した借入符号量を借入符号量減算回路12にロードさせる。右端のブロック(Bat〜Bst)の処理を終了した時点で、借入符号量減算回路12の借入符号量を左端のブロック(Bba〜Bta)の処理開始時にロードした借入符号量に代えて符号量レジスタ16に記憶させる。そして、各エリアの右下端のブロック(Btt)の処理が完了した時点で、符号量レジスタ16の借入符号量をクリアし、次段のエリアの各ブロックの処理に移る時点では、借入符号量減算回路12を初期の借入符号量から動作を開始させる。これにより、各エリア内で符号量の借入処理が完結するようになり、1画面の特定の領域で符号の借入量が偏ることがなくなる。
【0026】
尚、各エリアの分割は、均等分割に限らず、ブロック数カウンタ15による借入符号量のリセット/ロードのタイミングを各エリア毎に個別に設定して各エリアを任意の大きさに分割するようにしてもよい。また、各エリア毎に符号の借入量の初期値を個別に設定すれば、重要度が高くなり易い画面の中央部で符号の借入量を多く設定して再生画面の画質の劣化をさらに少なくすることができる。この場合には、複数の初期借入符号量を記憶するレジスタを借入符号量減算回路12に接続し、ブロック数カウンタ15から借入符号量減算回路12へのリセット指示に応答して特定の初期借入符号量を選択に供給できるように構成する。
【0027】
以上の実施の形態においては、符号化処理の基準符号量を各ブロックで一定に設定した場合を例示したが、各ブロック毎に固有の基準符号量を設定するようにしてもよい。この基準符号量の設定は、上述の初期借入符号量の設定と同様に、複数の基準符号量を記憶したレジスタを差分検出回路11に接続し、各ブロックに対応する基準符号量を選択的に読み出すようにして行うことができる。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、1ブロックの符号量が少ない場合に符号量を蓄え、蓄えた符号量内で符号量の借入を行うようにしたことで、各ブロックでの符号化の打ち切りが生じにくくなるとともに、仮に生じたとしても、切り捨てられる符号量が少なくなる。そして、借入可能な符号量をブロック単位で制限することにより、符号の借入が特定のブロックで偏ることがなくなる。従って、符号量の制限により符号化の打ち切りが行われた場合でも、画質の劣化を最小限にすることができると同時に、1画面内での画質を平均化させることができる。
【0029】
また、符号量の借入処理を画面内の特定エリア毎に完結させるようにしたことで、符号の借入量が特定の領域に偏るのを防止することができる。そして、各分割エリア毎に借入符号量または基準符号量を個別に設定すれば、画面の中央部等の特定のエリアで特に画質の劣化を少なくさせることが可能である。このように、画面内で符号の借入処理を完結させるエリアの分割単位の設定に加えて、各分割エリア毎の初期借入符号量や各ブロック毎の基準符号量の設定により、多彩な符号化処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像データ符号化装置の第1の実施の形態を示すブロック図である。
【図2】本発明の画像データ符号化装置の動作を説明するフローチャートである。
【図3】符号の借入動作を説明する図である。
【図4】本発明の画像データ符号化装置の第2の実施の形態を示すブロック図である。
【図5】第2の実施形態での1画面の画像データの符号化処理の順序を示す図である。
【図6】本発明の画像データ符号化装置の第3の実施の形態を示すブロック図である。
【図7】第3の実施形態での1画面の画像データの符号化処理の順序を示す図である。
【図8】JPEGアルゴリズムに従って処理される画面の1ブロックの構成を説明する図である。
【図9】JPEGエンコーダの構成を示すブロック図である。
【図10】JPEGエンコーダでの符号化処理の際の量子化データの走査順序を示す図である。
【符号の説明】
1 DCT演算回路
2 量子化回路
3 符号化回路
4 しきい値テーブル
5 ハフマン符号テーブル
6 符号出力バッファ
7 符号量カウンタ
10、10’、10'' 符号量制御部
11 差分検出回路
12 借入符号量減算回路
13 比較判定回路
14、15 ブロック数カウンタ
16 符号量レジスタ

Claims (5)

  1. 1画面の画像を構成する画像データを一定の行及び列の画素からなるブロック毎に符号化して圧縮画像データを生成する画像データ符号化装置において、1ブロック単位で取り込んだ上記画像データを所定の規則に従い可変長符号化して圧縮画像データを生成する符号化回路と、上記圧縮画像データの符号量をカウントして1ブロック毎に累加算する符号量カウンタと、上記圧縮画像データの総符号量の基準符号量に対する過不足を判定し、その判定結果に応じて借入符号量を増減させる符号量制御部と、を備え、上記符号量制御部は、上記借入符号量の初期値を複数種類保持し、1画面内の各領域に対応して初期値を切り換えると共に、上記圧縮画像データの総符号量の基準符号量に対する超過分が上記借入符号量を超えたときに上記符号化回路の可変長符号化処理を打ち切ることを特徴とする画像データ符号化装置。
  2. 1画面の画像を構成する画像データを一定の行及び列の画素からなるブロック毎に符号化して圧縮画像データを生成する画像データ符号化装置において、1ブロック単位で取り込んだ上記画像データを所定の規則に従い可変長符号化して圧縮画像データを生成する符号化回路と、上記圧縮画像データの符号量をカウントして1ブロック毎に累加算する符号量カウンタと、上記圧縮画像データの総符号量の基準符号量に対する過不足を判定し、その判定結果に応じて借入符号量を増減させる符号量制御部と、を備え、上記符号量制御部は、上記符号化回路に入力される上記画像データのブロック数をカウントするブロック数カウンタを有し、このブロック数カウンタのカウント値に基づいて上記借入符号量を初期化すると共に、上記圧縮画像データの総符号量の基準符号量に対する超過分が上記借入符号量を超えたときに上記符号化回路の可変長符号化処理を打ち切ることを特徴とする画像データ符号化装置。
  3. 上記符号量制御部は、上記借入符号量の初期値を複数種類保持し、1画面内の各領域に対応して初期値を切り換えることを特徴とする請求項2に記載の画像データ符号化装置。
  4. 1画面の画像を構成する画像データを一定の行及び列の画素からなるブロック毎に符号化して圧縮画像データを生成する画像データ符号化装置において、1ブロック単位で取り込んだ上記画像データを所定の規則に従い可変長符号化して圧縮画像データを生成する符号化回路と、上記圧縮画像データの符号量をカウントして1ブロック毎に累加算する符号量カウンタと、上記圧縮画像データの総符号量の基準符号量に対する過不足を判定し、その判定結果に応じて借入符号量を増減させる符号量制御部と、を備え、上記符号量制御部は、 1 画面を複数のブロックからなる複数のエリアに分割し、上記各エリア毎の借入符号量を一時的に記憶する符号量レジスタを有し、各エリア内で借入符号量の借入処理を完結すると共に、上記圧縮画像データの総符号量の基準符号量に対する超過分が上記借入符号量を超えたときに上記符号化回路の可変長符号化処理を打ち切ることを特徴とする画像データ符号化装置。
  5. 1画面の画像を構成する画像データを一定の行及び列の画素からなるブロック毎に符号化して圧縮画像データを生成する画像データ符号化装置において、1ブロック単位で取り込んだ上記画像データを所定の規則に従い可変長符号化して圧縮画像データを生成する符号化回路と、上記圧縮画像データの符号量をカウントして1ブロック毎に累加算する符号量カウンタと、上記圧縮画像データの総符号量の基準符号量に対する過不足を判定し、その判定結果に応じて借入符号量を増減させる符号量制御部と、を備え、上記符号量制御部は、上記圧縮画像データの総符号量の基準符号量に対する超過分が上記借入符号量を超えなくとも最大借入符号量を超えたときには上記符号化回路の可変長符号化処理を打ち切ることを特徴とする画像データ符号化装置。
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