JP3634388B2 - 金属又は合金粉末の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は主に射出成形用等に使用される、酸素含有量の低い金属又は合金粉末の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属又は合金粉末の製造方法として、水アトマイズ法は周知のように、溶融した金属又は合金を容器からノズルを通して流下させ、これに高圧水を噴射ノズルから噴射して溶融した金属又は合金を粉砕し、粉末を製造する方法である。
【0003】
しかしながら、この水アトマイズ法で高温で酸化されやすい金属又は合金について酸素含有量の低い粉末を製造しようと試みても、高温の溶融した金属又は合金と水とが接触した際に、水が酸素と水素に分解しこの酸素と金属又は合金との反応に起因すると考えられる酸化物を生成する為に、粉末の酸素レベルを下げることは困難であった。
【0004】
また、酸素レベルを下げる試みとして、特開平2−290002号公報に記載のようにアトマイズ法で使用する水をアルゴンや窒素などの不活性ガスをバブリングさせたり、減圧処理により水中の溶存酸素を減少させる方法もあるが、粉末の酸素レベルを下げるには十分とは言えなかった。
【0005】
また、前記のような従来の水アトマイズ法で製造した酸素含有量の高い金属又は合金粉末はそのままでは使用できないので、その後、更に還元処理しなければならない。この還元処理には、水素や一酸化炭素等の還元物質が必要であり、しかも、粉末を高温に加熱するために、粉末同志が焼結状態となるのでこれを解砕しなければならず歩留が低下する。更に、設備についても、加熱設備、粉体移動設備、還元ガス処理設備、解砕設備等を要し、製造コストも高くなる欠点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来の水アトマイズ法では製造することができなかった酸素含有量の低い金属又は合金の粉末の製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を解決するものであって、金属又は合金粉末を水アトマイズ法で製造する際に、溶融した金属又は合金をノズルより流下させ、これに酸化抑制剤として脂肪族アミンを添加したアトマイズ水を噴射ノズルより1000kg/cm 2 以上の高圧で噴射することにより、前記溶融した金属又は合金を粉末化することを特徴とする金属又は合金粉末の製造方法である。
【0008】
【作用】
すなわち、アトマイズ法で使用する水の中に添加した酸化抑制剤が、酸素と金属又は合金の酸化反応を抑制すると考えられるために、高温で酸化されやすい金属又は合金であっても、酸素含有量の低い金属又は合金の粉末を製造することが可能になった。
【0009】
ここで、酸化抑制剤とは高温で金属又は合金の酸化を抑制する作用のある物質で、本発明においては有機系物質であるシクロヘキシルアミン、オクタデシルアミン等の脂肪族アミンを使用する。また脂肪族アミンのうちの1種もしくは2種以上の混合物を使用できる。
【0010】
また、水への酸化抑制剤の添加量は0.1%〜5%である。この理由は、0.1%以下では酸化抑制効果が少なく、また5%以上加えても効果が飽和しコスト高になるからである。また、好ましい範囲は0.2〜1%である。
【0011】
また、本発明における金属又は合金とは高温で酸化され易い金属又は合金、例えば、鉄、珪素鋼、ステンレス鋼、Mn含有鋼等の鉄基合金、クロム、クロム基合金、チタン、チタン基合金、ニッケル、ニッケル基合金等である。
【0012】
本発明は従来の水アトマイズ法では製造することができなかった、高温で酸化されやすい金属又は合金でも酸化含有量の低い粉末を製造することを可能にした。また、製造設備についても、アトマイズ法で使用する水の中に酸化抑制剤を添加するだけでよいので、特別の設備は全く不要で、従来の水アトマイズ法の製造設備をそのまま使用できる長所がある。例えば、工業用素材として大量に使用される鉄粉末や、磁性材料として重要な珪素鋼や、マンガン含有鉄合金は、従来の水アトマイズ法で製造すると粉末の酸化が激しいのでそのままでは使用できなかった。しかしながら、本発明によって製造した粉末は酸化が抑制され酸素含有量が低いので、特別な後処理を必要とせず、そのままで射出成形用等に供することができる。
【0013】
【実施例】
(実施例1)
【0014】
【表1】
【0015】
表1の化学成分の鉄500kgをアルゴンガスでシールした高周波誘導炉で溶解し、この溶融物を1620℃の温度で、タンディッシュからノズルを通して流し、これに酸化抑制剤(オクタデシルアミン)の添加量を変えて加えた水を1000kg/cm2 の高圧で吹き付け、鉄粉末を製造した。なお、雰囲気ガスはArを使用した。また、比較例として、前記と同一の条件で、酸化抑制剤を添加しない水を使用して鉄粉末を製造した。なお、これらの例で得られた鉄粉末の分級後の平均粒径は9.3〜9.8μmで、ばらつきは極めて小さかった。
【0016】
【表2】
【0017】
表2は得られた鉄粉末について、水への酸化抑制剤の添加量と酸素含有量の関係を調べたもので、図1はこれらの関係を図示したものである。これらからわかるように、比較例の酸化抑制剤を添加しない水を使用した場合は、鉄粉末の酸素含有量は約20000ppmも含有しているが、酸化抑制剤の添加量を0.1%、0.2%、03%、0.5%と増加して行くと、酸化抑制剤の添加量が少量にもかかわらず、鉄粉末の酸素含有量は夫々14630ppm、9740ppm、3990ppm、1980ppmと急激に減少する。
【0018】
更に、酸化抑制剤の添加量を増加して行くと、鉄粉末の酸素含有量は若干減少するがその効果は少なくなる。このように、酸化抑制剤の添加量は少量にもかかわらず、鉄粉末の酸化抑制の効果は極めて顕著であることがわかる。従って、本発明で製造した鉄粉末はその後、還元処理等は全く必要なく、そのままの状態で製品として各種の用途に使用できる。
【0019】
(実施例2)
【0020】
【表3】
【0021】
表3の化学成分の珪素鋼500kgを実施例1と同様にアルゴンガスでシールした高周波誘導炉で溶解し、この溶融物を1640℃の温度で、タンディッシュからノズルを通して流し、これに酸化抑制剤(オクタデシルアミン)を添加した水を1000kg/cm2 の高圧で吹き付け、珪素鋼粉末を製造した。なお、雰囲気ガスはArを使用した。また、比較例として、前記と同一の条件で、酸化抑制剤を添加しない水を使用して珪素鋼粉末を製造した。なお、これらの例で得られた珪素鋼粉末の分級後の平均粒径は9.4〜9.9μmであった。
【0022】
【表4】
【0023】
表4は得られた珪素鋼粉末について、水への酸化抑制剤の添加量と酸素含有量の関係を調べたもので、図2はこれらの関係を図示したものである。これらからわかるように、比較例の酸化抑制剤を添加しない水を使用した場合は、珪素鋼粉末の酸素含有量は約21000ppmも含有しているが、酸化抑制剤の添加量を0.1%、0.2%、0.3%:0.5%と増加して行くと、酸化抑制剤の添加量が少量にもかかわらず、珪素鋼粉末の酸素含有量は夫々16150ppm、10080ppm、7630ppm、2260ppmと急激に減少する。
【0024】
更に、酸化抑制剤の添加量を増加して行くと、珪素鋼粉末の酸素含有量は若干減少するがその効果は少なくなった。このように、酸化抑制剤の添加量は少量にもかかわらず、珪素鋼粉末の酸化抑制の効果は極めて顕著であることがわかる。従って、本発明で製造した珪素鋼粉末はその後、還元処理等は全く必要なく、そのままの状態で製品として各種の用途にも使用できる。
【0025】
(実施例3)
【0026】
【表5】
【0027】
表5の化学成分のSUS316Lステンレス鋼(Mn含有ステンレス鋼)500kgを実施例1と同様にアルゴンガスでシールした高周波誘導炉で溶解し、この溶融物を1630℃の温度で、タンディッシュからノズルを通して流し、これに酸化抑制剤(オクタデシルアミン)を添加した水を1000kg/cm2 の高圧で吹き付け、SUS316Lステンレス鋼粉末を製造した。なお、雰囲気ガスはArを使用した。また、比較例として、前記と同一の条件で、酸化抑制剤を添加しない水を使用してSUS316Lステンレス鋼粉末を製造した。なお、これらの例で得られた粉末の分級後の平均粒径は9.3〜9.9μmであった。
【0028】
【表6】
【0029】
表6は得られたSUS316Lステンレス鋼粉末について、水への酸化抑制剤の添加量と酸素含有量の関係を調べたもので、図3はこれらの関係を図示したものである。これらからわかるように、比較例の酸化抑制剤を添加しない水を使用した場合は、SUS316Lステンレス鋼粉末の酸素含有量は約20000ppmも含有しているが、酸化抑制剤を0.1%、0.2%、0.3%、0.5%と添加量を増加して行くと、酸化抑制剤の添加量が少量にもかかわらず、ステンレス鋼粉末の酸素含有量は夫々は15040ppm、11860ppm、10030ppm、6010ppmと急激に減少する。
【0030】
更に、酸化抑制剤の添加量を増加して行っても、ステレンス鋼粉末の酸素含有量は若干減少するがその効果は少なくなった。このように、酸化抑制剤の添加量は少量にもかかわらず、ステンレス鋼粉末の酸化抑制の効果は極めて顕著であることがわかる。従って、本発明で製造したステンレス鋼粉末はその後、還元処理等は全く必要なく、そのままの状態で製品として各種の用途に使用できる。
【0031】
【発明の効果】
本発明は従来の水アトマイズ法では製造することができなかった、高温で酸化されやすい金属又は合金を、噴射する水に少量の酸化抑制剤を添加するだけで、極めて容易に酸素含有量の低い粉末を製造することを可能にした。例えば、工業用素材として大量に使用される鉄粉末や、磁性材料として重要な珪素鉄や、マンガン含有鉄合金は、従来の水アトマイズ法で製造すると粉末の酸化が激しいのでそのままでは使用することはできなかった。しかしながら、本発明によって製造された粉末は酸化が抑制され、酸素含有量が低いので、特別な後処理を必要とせず、そのまま射出成形用等に使用することが可能になった。また、製造設備についても、アトマイズ法で使用する水の中に酸化抑制剤を添加するだけでよいので、特別の設備は全く不要で、従来の水アトマイズ法の製造設備をそのまま使用できる長所もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】鉄粉末製造時における水への酸化抑制剤添加量と鉄粉末の酸素含有量の関係を示す図
【図2】珪素鋼粉末製造時における水への酸化抑制剤添加量と珪素鋼の酸素含有量の関係を示す図
【図3】ステンレス鋼粉末製造時における水への酸化抑制剤添加量とステンレス鋼の酸素含有量の関係を示す図
Claims (1)
- 金属又は合金粉末を水アトマイズ法で製造する際に、溶融した金属又は合金をノズルより流下させ、これに酸化抑制剤として脂肪族アミンを添加したアトマイズ水を噴射ノズルより1000kg/cm 2 以上の高圧で噴射することにより、前記溶融した金属又は合金を粉末化することを特徴とする金属又は合金粉末の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13925093A JP3634388B2 (ja) | 1993-05-19 | 1993-05-19 | 金属又は合金粉末の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13925093A JP3634388B2 (ja) | 1993-05-19 | 1993-05-19 | 金属又は合金粉末の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH06330110A JPH06330110A (ja) | 1994-11-29 |
JP3634388B2 true JP3634388B2 (ja) | 2005-03-30 |
Family
ID=15240943
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP13925093A Expired - Lifetime JP3634388B2 (ja) | 1993-05-19 | 1993-05-19 | 金属又は合金粉末の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3634388B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR101912099B1 (ko) * | 2017-11-17 | 2018-10-26 | 한국조폐공사 | 보안잉크용 AlNiCo계 자성 입자 |
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-
1993
- 1993-05-19 JP JP13925093A patent/JP3634388B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JPH06330110A (ja) | 1994-11-29 |
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