JP3633675B2 - 三次元形状識別方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はスローアウェイチップのように、表面の凹凸に特徴をもつ対象物の品種識別方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
▲1▼画像処理で三次元形状の特徴をとらえるには、照明を対象物の斜め上方から当てる方法(フロント・ライティング)や、スリット光のような特定のパターンの光を当てる方法(光切断、ストラクチャーライテング)などの手法がとられている(映像情報 1993 Vol.25 P43−47 参照)。
また、安定した画像を得るために対象物の色を限定するという手段が用いられている(特開昭 59−202198号公報参照)。
▲2▼レーザ変位計で三次元形状をとらえるには、スポット状のレーザ変位計をX−Y方向に必要な範囲にわたって移動させ、各点におけるZ方向データを取込むか、若しくは、レーザ光を走査し、対象物を走査と直交する方向に移動させる方式がある。
なおレーザ変位計の原理は以下のとおりである。レーザビームを例えば測定対象物垂直方向より投光し、前記対象物について基準となる面でのビームの乱反射による拡散光を、レンズ、スクリーンからなる受光系の検出角を、動作中心で45度となるように設定すると、前記基準面上におけるレーザポイントは45度の検出角としてスクリーン上のポイントとして結像する。次にこの基準面に測定対象物を挿入すると基準面より測定対象物表面の高さが変るので、この測定対象物表面での拡散光は受光系の検出角45度に対して変化した角度となり、前記スクリーン上において基準面反射によって生じた結像より離れた結像をなすが、この基準面と測定対象物面のレーザビーム投射方向の高さの差は、スクリーン上における基準面反射による結像位置から測定対象物面反射による結像位置への変位と比例関係にあり、レーザビーム方向における測定対象物の高さ変化(凹凸)は、スクリーン上で検出できるのである。この原理は三角測量方式によるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
▲1▼従来の照明方法では最適条件を得るのが困難な上に、得られた条件は限られた対象物にしか使用できず、例えば対象物の色、光沢、形状が変わると計測が安定しない。
▲2▼照明で三次元形状を求めるためには、凹凸が深く、かつシャープな物に限られ、ひらたく浅い凹凸は計測不可能である。
▲3▼レーザ変位計をトラバース(又はレーザスポットを走査)して得られる三次元データはデータが膨大となるケースが多く、結果を表示するにも鳥観図のような複雑なソフトを必要とした。
また、このようなデータを基に三次元形状を認識するにも専用のソフトを開発する必要があり、汎用的に展開する手段はなかった。
▲4▼レーザを走査する場合、対象物が走査範囲より大きいと、対象物をレーザ方向に動かし、複数回計測を必要とした。
▲5▼対象物の特徴を表す三次元形状が対象物の全体の高さに比べて小さい場合、特徴は全体形状に埋もれ、認識精度が悪化することになる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するためなされたものであって、次の構成を備えるものである。
(a)三次元形状を取込む手段として、レーザ変位計を用い、そのデータは二次元濃淡画像に変換してモニタに表示する。
データ取込みを高速化する目的でレーザ変位計はレーザスポットを走査するタイプが望まれる。
(b)対象物が大きい場合、これを回転させ、レーザスポットをその半径方向に走査させる構成とする。
(c)レーザ変位計から得られたデータをデータ処理装置に取込んだ後、対象物の特徴を最も良く表わす高さ方向のデータのみを選択し、他はマスク処理を行う。
(d)(c)の処理を行った後のデータを画像化し、それを専用画像処理装置に入力するシステムとし、パターン登録や認識はこの専用画像処理装置で行う。
【0005】
【発明の実施の形態】
対象物の三次元形状を識別するための手段としてレーザ変位計を用いることで、対象物の色や凹凸の程度に影響を受けずに安定したデータを取込むことが可能となる。また照明を必要としないので、複雑な照明の調整が不要となり、形状、大きさの変る対象物に対し、有効である。
三次元データを高速に取込むためには、レーザスポットを走査させるレーザ変位計が有効であるが、対象物が走査範囲より大きい場合、対象物を回転させ、レーザをその半径方向に走査させる構成とすることで、走査範囲の2倍の対象物まで、その全体の三次元形状を取込むことが可能となる。
得られた膨大な三次元データを二次元の濃淡画像に変換することによって、凹凸データをモニタ上で目視で確認できる上、この画像を専用画像装置に入力することで、パターン登録や識別の実行を汎用画像処理装置で行うことが可能となるから専用ソフトを開発する必要がなくなり、簡単にシステムを構築できる。
対象物を識別するにあたり、取込んだ三次元データのうち、データ処理装置を用いて、その対象物の特徴を最も良く得られる高さ方向(範囲)のデータを有効とし、他はマスク処理を施すことにより、対象物の全体高さがその特徴量に比べて大きな場合にも識別精度を向上することができる。マスク処理を施すしきい値は、取込まれたデータのヒストグラムを求め、その分布を明確に分離できる値を求めることで自動的に得ることができる。
【0006】
【実施例】
以下にスローアウェイチップの識別例について説明する。
図1はスローアウェイチップの形状識別装置の一例を示す。
図示のように、1軸ステージ3に対向して、その上に、レーザ変位計1が配置される。レーザ変位計1とデータ処理装置4とは電気的に接続され、データ処理装置4はイメージプロセッサボード5と電気的に接続され、イメージプロセッサボード5はモニタ6、専用画像処理装置7と電気的に接続されている。
【0007】
1軸ステージ3の上に測定対象物2、この場合は図2に示すスローアウェイチップ(以下TAという)を載置し、その上方に設置されたレーザ変位計1にてTA表面の凹凸の状態を検出する。ここで用いられるレーザ変位計1はレーザスポットを走査する形式のもので、図において示す直交x,y,z座標軸において矢印で示すy方向にレーザスポットを走査する。これによってy方向の各位置におけるz方向の凹凸を計測することができる。本例でTAは三角形状のチップとして示されているが、各辺に切刃8が形成され、その内側にブレーカ9がそれぞれ形成されている。
1軸ステージ3をx方向にモーターmで定速で動かし、同時にレーザスポットをy方向で走査し、z方向のTA表面の凹凸データを検出し、この動作を繰返えして行けば、1軸ステージ3を含むTAの表面凹凸データが順次検出される。図3は凹凸データ検出の概念図である。
【0008】
レーザ変位計で検出された凹凸データは遂次データ処理装置に取込む。
【0009】
データ処理装置4に取込んだ前記データは0〜255 の段階の整数に変換し、データ処理装置4に付設されたイメージプロセッサボード5に書込むことで濃淡画像を作成する。
図4(a)は濃淡画像に変換後の画像の例を示し、図4(b)は、図4(a)のx方向のA断面における明度のデータを示している。
【0010】
ブレーカ形状を識別する時は、TAの全体的な形状(図での三角形)は不要であるので、イメージプロセッサボード5での操作により、図5に示すように周囲をマスク処理する。マスク処理する際のしきい値は得られたデータのヒストグラム分布から求め、しきい値より小さい値をマスクする。
逆に全体形状を識別するときは、ブレーカー形状が不要となるので、図6に示すようにブレーカーをマスク処理する。マスク処理する際のしきい値は得られたデータのヒストグラム分布から求め、しきい値より大きい値をマスク処理する。
【0011】
この画像を専用画像処理装置に入力し、予め記録させておいた複数のパターンとの相関関係を次式により計算し、最も相関値の高いパターンとして認識する。
【0012】
【数1】
Figure 0003633675
【0013】
図7(a)は登録パターン(M)を示し、図(b)は比較画像(I)を示す。この場合、登録パターンは、比較画像作成の手法と同様な手法によって所要箇所に同様条件によってマスク等加工して作成したものである。比較画像を多数登録パターンと比較して、そのいずれにも属さないときは、この比較画像も新たに登録することができる。数式1に示すように、相関係数Coは登録パターンの明度データMi、比較する画像の明度データIiが大きく関与し、2つの明度データが一致する時Co=1となり、明度データの差が大きくなるに従って0に近付く。
TAの場合、その大きさ、被削材の相違などによってブレーカの形状がわずかに異なっており、品種ごとに異なる微小な凹凸の差を基に自動識別による簡単なシステムを実現することができる。
【0014】
図8はレーザを走査する場合、対象物が走査範囲より大きいとき回転ステージ10を用い、この回転ステージ10の回転軸上に対象物、例えばTAの中心を置き、レーザ変位計1のレーザースポットがTAの中心より半径方向に走査できるように配置し、レーザスポットで半径方向に走査し、回転ステージ10を遂次回転させる方法を採れば、すくなくともレーザ変位計の走査範囲の2倍以内の範囲にある対象物の三次元パターンを認識できる。
【0015】
【発明の効果】
本発明は、これまで画像処理が困難とされた、光沢のある(又は色の種類が多い)対象物の三次元計測を実用化したもので、金属、プラスチックの表面に付けられた浅い刻印の識別や表面実装部品の識別に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スローアウェイチップの形状識別装置の一例を示す。
【図2】スローアウェイチップを斜視図で示す。
【図3】図1の装置によりレーザスポットを走査して検出される凹凸データの概念図である。
【図4】(a)は濃淡画像に変換後の画像を示し、(b)は(a)図のx方向のA断面における明度のデータを示している。
【図5】(a)はマスク処理を示し、(b)はマスク処理によってブレーカ形状のみの像を示し、(C)はマスク処理のしきい値を求めるためのヒストグラム分布を示す。
【図6】(a)はマスク処理を示し、(b)はマスク処理によってスローアウェイチップの外形形状のみの像を示し、(C)はマスク処理のしきい値を求めるためのヒストグラム分布を示す。
【図7】(a)は識別用の登録パターン、(b)は比較画像を示す。
【図8】本発明による対象物の回転、レーザ変位計のレーザスポット走査による対象物表面凹凸データ採取の例を示す。
【符号の説明】
1 レーザ変位計
2 対象物
3 1軸ステージ
4 データ処理装置
5 イメージプロセッサボード
6 モニタ
7 専用画像処理装置
8 スローアウェイチップ
9 ブレーカ
10 回転ステージ

Claims (4)

  1. レーザ変位計を用いることによって得られる対象物の三次元データをデータ処理装置で解析し、あらかじめ記憶させておいたデータのパタンとの類似性を比較することで、対象物がどのパタンのものかを識別する三次元形状識別方法であって、
    前記三次元データは、レーザ変位計のレーザスポット光を走査、又は対象物を移動させることによって得て、
    その対象物の表面の凹凸状態を最も良く表わす高さ方向データのみを有効とし、他の部分はマスクすることによって識別精度を向上することを特徴とする三次元形状識別方法。
  2. レーザを一方向に走査する場合において、レーザスポットの走査範囲より大きい対象物のパターンを認識するために対象物を回転させ、その半径を走査することで対象物全体の三次元情報を得ることを特徴とする請求項1に記載の三次元形状識別方法。
  3. データ処理装置で三次元データを二次元の濃淡画像に変換し、モニタに表示することで、対象物の凹凸をカメラで写した像のように再現する方法を具備した請求項1または2に記載の三次元形状識別方法。
  4. 二次元に変換された濃淡画像を専用画像処理装置に入力することによって、品種登録、識別を行うことを特徴とする請求項3に記載の三次元形状識別方法。
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