JP3633134B2 - 感放射線性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルカリ可溶性樹脂を含有する感放射線性樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、g線、i線等の紫外線、KrFエキシマレーザ−等の遠紫外線、シンクロトロン放射線等のX線、電子線等の荷電粒子線のような各種放射線、特に紫外線および遠紫外線に良好に感応する集積回路作製用レジストとして好適な感放射線性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従釆の技術】
近年の集積回路の高集積化に伴い、集積回路の製造時に多く用いられるポジ型レジスト用組成物には、解像度、感度、焦点深度(フォーカス許容性)等の特性に優れたものが望まれている。
また、今日の超LSIにおいては、前記諸特性のほかに、照射光と基板からの反射光との干渉による定在波効果が抑制されるとともに、アルミニウム等の高反射率基板上でのハレーションの抑制されたレジスト用組成物の開発が要望されている。上記の定在波効果やハレーションを抑制する方法として、レジスト用組成物に吸光性染料を添加する技術が開発されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、該吸光性染料は、レジスト用組成物の感度の低下、得られるレジストパターンの形状の劣化、およびそれに伴う寸法安定性の悪化を招き、微細なパターンの形成を困難にするという間題を生じさせる。さらに、吸光性染料のなかには、保存中の組成物から析出したり、べーク時に昇華したりするものがあり、これらはレジスト性能を不安定にする。
そこで、本発明の課題は、新規な感放射線性樹脂組成物であって、高解像度かつ高感度で、しかも、定在波効果およびハレーションを抑制し、良好なパターン形状が得られるポジ型レジストとして好適な該組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、
(i)アルカリ可溶性樹脂、
(ii)下記式(1):
【0005】
【化3】
【0006】
[式中、R1 およびR2 は、それぞれ、相互に同一または異なり、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基またはジアミノアルキル基であり、aは0〜4の整数、bは0〜3の整数、かつa+b≧1を満たす整数であり、sは0〜3の整数、tは0〜2の整数である]
で表されるフェノール化合物、および
(iii)1,2−キノンジアジド化合物
を含有してなる感放射線性樹脂組成物(以下、「第一組成物」という)が提供される。
また、本発明によれば、
(i)アルカリ可溶性樹脂、および
(iV)下記式(2):
【0007】
【化4】
【0008】
[式中、R3 およびR4 は、それぞれ、相互に同一または異なり、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ニトロ基、シアノ基またはジアミノアルキル基であり、cは0〜4の整数、dは0〜3の整数、かつc+d≧1を満たす整数であり、xは0〜3の整数、yは0〜2の整数である]
で表されるフェノール化合物の1,2−キノンジアジドスルホン酸エステルを含有してなる感放射線性樹脂組成物(以下、「第二組成物」という)も提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。
【0010】
[第一組成物]
(i) アルカリ可溶性樹脂
本発明の第一組成物に用いられる(i) 成分は、アルカリ可溶性樹脂(以下、「樹脂(i) 」という)である。
樹脂(i) としては、例えばアルカリ可溶性フェノール樹脂、ポリビニルフェノールまたはその誘導体、スチレン−無水マレイン酸共重合体またはその誘導体、ポリビニルヒドロキシベンゾエ−ト、カルボキシル基含有アクリル酸系樹脂等が挙げられ、これらの中では、アルカリ可溶性フェノール樹脂が好ましい。
樹脂(i) のポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という)は、通常、300〜20,000であるが、本発明の組成物を基板へ塗布する際の作業性、レジストとして使用する際の現像性、感度および耐熱性を向上する点から、2,000〜20,000である(このようなMwを有するものを、特に「樹脂(A)」という)ことが好ましく、3,000〜15,000であることが特に好ましい。中でも、アルカリ可溶性フェノール樹脂の場合には、3,000〜15,000の範囲が好ましく、5,000〜12,000がより好ましい。
【0011】
前記アルカリ可溶性フェノール樹脂は、下記式(3):
【0012】
【化5】
【0013】
[式中、nは1〜3の整数である]
で示されるフェノール類と、モノアルデヒド化合物、ビスアルデヒド化合物等のアルデヒド類とを重縮合させることによって得られる。
【0014】
上記フェノール類の好ましい例は、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,5−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノールおよび3,4,5−トリメチルフェノールであり、特に好ましくはフェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,5−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノールおよび2,3,5−トリメチルフェノールである。
これらのフェノール類は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0015】
フェノール類を2種以上組み合わせて用いる場合、例えばm−クレゾール/p−クレゾール=30〜95/5〜70(重量比)、m−クレゾール/2,3−キシレノール/3,4−キシレノール=20〜95/5〜80/0〜75(重量比)、またはm−クレゾール/2,3,5−トリメチルフェノール/2,3−キシレノール=20〜95/5〜80/0〜75(重量比)の組み合わせが特に好ましい。
【0016】
また、前記フェノール類と重縮合させるモノアルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−メチルベンズアルデヒド、m−メチルベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、p−エチルベンズアルデヒド、p−n−ブチルベンズアルデヒドおよびフルフラールが挙げられる。また、前記ビスアルデヒド類としては、グリオキサール、グルタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド等を挙げることができる。これらのうち、ホルムアルデヒドが特に好適である。これらのアルデヒド類も、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。該アルデヒド類の使用量は、フェノール類1モルに対し、通常、0.3〜3.0モルでよく、0.7〜3.0モルが好ましく、より好ましくは0.6〜1.5モルである。
【0017】
フェノール類とアルデヒド類との重縮合の反応には、通常、酸性触媒、塩基性触媒等が使用される。この酸性触媒としては、例えば塩酸、硝酸、硫酸、ギ酸、シュウ酸、酢酸およびp−トルエンスルホン酸を挙げられる。また、塩基性触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
これらの触媒の使用量は、フェノール類1モルに対し、通常、1×10−5〜5×l0−1モルでよい。
【0018】
前記重縮合の反応媒質としては、通常、水が使用され、反応初期から不均−系になる場合には、親水性溶媒または親油性溶媒が使用される。
親水性溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類、ならびにテトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類が挙げられる。
親油性溶媒としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−へプタノン等のケトン類が挙げられる。
これらの反応媒質の使用量は、フェノール類およびアルデヒド類からなる反応原料100重量部当り、通常、20〜1,000重量部でよい。
【0019】
重縮合の反応温度は、原料の反応性に応じて適宜調整することができ、通常、10〜200℃でよい。
重縮合の反応方法には、フェノール類、アルデヒド類、触媒等を一括して仕込む方法、触媒の存在下で、フェノール類、アルデヒド類等を反応の進行とともに加えていく方法等が適宜採用される。
重縮合の反応終了後、一般的には、系内に存在する未反応の原料、触媒、反応媒質等を除去する。すなわち、温度を130℃〜230℃に上昇させ、減圧下で揮発分を除去したのち、アルカリ可溶性フェノール樹脂を回収する。
【0020】
樹脂(i) は、1種単独でも2種以上組み合わせて用いてもよい。
樹脂(i) のMwは、前述のように2,000〜20,000〔すなわち、樹脂(A)〕が好ましいが、得られる組成物のアルカリ可溶性を促進するためには、低分子量のアルカリ可溶性樹脂〔以下、樹脂(B)という〕を併用することが望ましい。ここで、樹脂(B)のMwは、好ましくは300〜1,500の範囲、特に好ましくは500〜1,500の範囲である。
【0021】
このような樹脂(B)としては、例えば低分子量のアルカリ可溶性ノボラック樹脂、ならびにアルカリ可溶性ポリヒドロキシスチレンおよびその誘導体が挙げられる。例えば、フェノール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、o−クレゾール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、m−クレゾール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、p−クレゾール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、m−クレゾール/p−クレゾ−ル/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、およびヒドロキシスチレン−スチレン共重合体を挙げることができる。
低分子量のアルカリ可溶性ノボラック樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを重縮合させることによって得られる。このフェノール類としては、前述のノボラック樹脂の合成で用いられるフェノール類として例示したもの以外に、1−ナフトール、2−ナフトール等も使用できる。
この場合のアルデヒド類の使用量は、フェノール類1モルに対して、通常、0.2〜0.8モルでよく、好ましくは0.3〜0.6モルである。
また、この重縮合の触媒には、前記の酸性触媒が用いられる。
樹脂(B)の配合量は、樹脂(A)100重量部に対して、通常、50重量部以下である。
【0022】
(ii) 特定フェノール化合物
(ii)成分は、前記式(1)で表されるフェノール化合物(以下、「特定フェノール化合物(ii)」という)である。
式(1)中、R1 およびR2 は、それぞれ、相互に同一または異なり、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基またはジアルキルアミノ基である。
前記アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等の炭素原子数1〜6のものが挙げられる。また、前記アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素原子数1〜4のものが挙げられる。前記アリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、ナフチル基等の炭素原子数6〜10のものが挙げられる。前記ジアルキルアミノ基としては、例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルエチルアミノ基等が挙げられる。
【0023】
特定フェノール化合物(ii)の具体例としては、下記式(4−1)〜(4−20):
【0024】
【化6】
【0025】
【化7】
【0026】
【化8】
【0027】
で表されるものが挙げられる。これらの中では、式(4−13)、(4−14)および(4−19)で示されるものが好ましい。
【0028】
特定フェノール化合物(ii)は、例えば下記の反応式:
【0029】
【化9】
【0030】
[式中、R1 、R2 、a、b、sおよびtは式(1)と同じである]
で示されるように、ナフタレンカルボン酸類▲1▼とフェノール類▲2▼とを、またはナフタレン類▲3▼と安息香酸類▲4▼とを、無触媒下で縮合させることにより合成することができる。
【0031】
本発明の第一組成物において、特定フェノール化合物(ii)の配合量は、樹脂(i) 100重量部当たり、通常、0.1〜20重量部でよく、好ましくは1〜15重量部、特に好ましくは3〜10重量部である。特定フェノール化合物(ii)が多すぎると、レジストのパターン形状が悪化したり、現像性が悪化する場合がある。
【0032】
(iii) 1,2−キノンジアジド化合物
(iii) 成分の1,2−キノンジアジド化合物(以下、「1,2−キノンジアジド化合物(iii) 」という)には、後述の第二組成物に用いられる(iv)成分を含んでもよく、キノンジアジド系ポジ型レジストの感放射線剤として従来公知のものを使用できる。
例えば、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,2’,4’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシ−α,α−ジメチルベンジル)べンゼン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−[4−{1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル}フェニル]エタン、2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,4,4−トリメチル−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−7−ヒドロキシクロマン等の1,2−キノンジアジドスルホン酸エステル等が挙げられる。これらの中では、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステルまたは1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルが好ましい。
1,2−キノンジアジド化合物(iii) の配合量は、樹脂(i) 100重量部に対して、通常、10〜50重量部でよく、好ましくは20〜40重量部である。
【0033】
[第二組成物]
本発明の第二組成物は、前記の樹脂(i) と、前記式(2)で表されるフェノール化合物の1,2−キノンジアジドスルホン酸エステル(以下、「特定1,2−キノンジアジド化合物(iv)」という)とを必須成分とする。
第二組成物に用いられる樹脂(i) は、第一組成物に用いられる樹脂(i) と同じであり、樹脂(i) についての説明はすべて第二組成物に当てはまる。
【0034】
特定1,2−キノンジアジド化合物 (iv)
前記式(2)において、R3 およびR4 は、それぞれ、相互に同一または異なり、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ニトロ基、シアノ基またはジアルキルアミノ基である。
式(2)中のアルキル基、アルコキシ基、アリール基およびジアルキルアミノ基としては、式(1)中のR1 およびR2 で挙げた基と同様の基が挙げられる。
【0035】
特定1,2−キノンジアジド化合物(iv)の具体例としては、前記式(4−1)〜(4−20)で表される化合物において、フェノール性水酸基の水素原子の少なくとも1つが、1,2−キノンジアジドスルホニル基である化合物を挙げることができる。
特定1,2−キノンジアジド化合物(iv)は、通常、式(1)で表される特定フェノール化合物(ii)(ただし、R1 および/またはR2 がアミノ基であるものを除く)と、例えば1,2−ナフトキノンジアジドスルホニルクロリドとを、トリエチルアミン等の塩基性触媒の存在下で反応させることにより得られる。
【0036】
本発明の第二組成物において、特定1,2−キノンジアジド化合物(iv)の配合量は、樹脂(i) 100重量部当たり、通常、1〜30重量部でよく、好ましくは3〜15重量部である。特定1,2−キノンジアジド化合物(iv)が少なすぎると、定在波効果やハレーションの抑制が不十分となり、逆に多すぎると、レジストのパターン形状が悪化する場合がある。
また、(iv)成分には、1種単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。
なお、第二組成物には、特定フェノール化合物(ii)および/または1,2−キノンジアジド化合物(iii) を含んでもよい。ただし、第二組成物中に占める1,2−キノンジアジド化合物の合計は、樹脂(i) 100重量部当たり、通常、5〜50重量部、好ましくは5〜40重量部、より好ましくは10〜30重量部となるように調節される。したがって、第二組成物に1,2−キノンジアジド化合物(iii) を含む場合には、その配合量は、樹脂(i) 100重量部に対して、通常、50重量部以下、好ましくは5〜40重量部である。
【0037】
〔各種添加剤〕
本発明の第一および第二組成物には、必要に応じて、各種添加剤を配合してもよい。
【0038】
溶解促進剤
本発明においては、組成物のアルカリ溶解性を促進する目的で、低分子量のフェノール化合物(以下、「溶解促進剤」という)を添加することができる。この溶解促進剤としては、ベンゼン環数2〜5のフェノール化合物が好適であり、例えば下記式(5−1)〜(5−9)で表される化合物が挙げられる。これらの中では、式(5−4)、(5−6)および(5−9)で示されるものが特に好ましい。
【0039】
【化10】
【0040】
【化11】
【0041】
[式中、e、fおよびgは、それぞれ、0〜3の整数〔ただし、e、fおよびgのいずれかは、0より大きい整数であり、式(5−8)については、複数のaおよびbは、それぞれ、同一でも異なってもよい〕、p、qおよびrは、それぞれ、0〜3の整数、かつ、e、f、g、p、qおよびrは、e+p≦5、f+q≦5およびg+r≦5〔ただし、式(5−3)および(5−4)については、f+q≦4である〕を満たす整数である。]
【0042】
該溶解促進剤の配合量は、樹脂(i) 100重量部当り、通常、50重量部以下でよく、好ましくは10〜30重量部である。溶解促進剤の配合量が多すぎると、基板の密着性が低下する場合がある。
【0043】
界面活性剤
界面活性剤は、組成物の塗布性および現像性を改良するために添加される。該界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウリエート、ポリエチレングリコールジステアレート、メガファックスF171、F172、F173(商品名、大日本インキ(株)製)、フロラードFC430、FC431(商品名、住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、SC−101、SC−102、SC−103、SC−104、SC−105、SC−106(商品名、旭硝子(株)製)、KP341(商品名、信越化学工業(株)製)、ポリフロ−No.75、No.95(商品名、共栄社油脂化学工業(株)製)、ならびにNBX−7、NBX−14、NBX−15(商品名、ネオス(株)製)が挙げられる。これらの界面活性剤の配合量は、樹脂(i) 100重量部当たり、界面活性剤の有効成分で、好ましくは2重量部以下である。
【0044】
本発明の組成物には、さらに、接着助剤、保存安定剤、消泡剤等を配合することもできる。
【0045】
感放射線性樹脂組成物の調製および使用方法
本発明の第一および第二組成物は、それぞれの必須成分と、必要に応じ添加されるその他の添加剤を所定量配合し、例えば固形分濃度が20〜40重量%となるように溶剤に溶解し、孔径0.2μm程度のフィルターでろ過することによって調製される。
【0046】
前記溶剤としては、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、2−へプタノン、3−へプタノン、4−へプタノン、シクロヘキサノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチルおよびピルビン酸エチルを挙げることができる。
さらに、これらの溶剤に、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸べンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等の高沸点溶剤を添加することもできる。
これらの溶剤は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて便用される。
【0047】
レジスト被膜およびパターンの形成
溶液として調製された本発明の組成物は、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の塗布方法を用いて、シリコンウエハー;アルミニウム等で被覆されたウエハー等の基板上に塗布される。
次いで、これをプレベークすることによりレジスト被膜が形成され、レジスト被膜に放射線が照射(以下、「露光」という)される。こうして所望のレジストパターンが形成された基板を、現像液で現像することによりパターンが形成される。
また、上記レジストパターンの形成と現像の間に、70〜140℃の温度で加熱する操作(以下、「露光後べーク」という)を追加すると、本発明の効果をさらに向上することができる。
【0048】
前記放射線としては、g線、i線等の紫外線、エキシマレーザー等の遠紫外線、シンクロトロン放射線等のX線、ならびに電子線等の荷電粒子線が挙げられ、好ましくは紫外線である。
【0049】
前記現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4,3,0]−5−ノナン等のアルカリ性化合物を、例えば1〜10重量%の濃度に溶解してなるアルカリ性水溶液が使用される。
また、該現像液には、例えばメタノール、エタノール等のアルコール類のような水溶性有機溶媒、ならびに界面活性剤を、適量添加することもできる。なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液で現像した後は、−般的には、純水、超純水等の水で洗浄する。
【0050】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
<測定、評価>
実施例中のMwの測定およびレジストの評価は、以下の方法により行った。
【0051】
《Mw》
東ソ−(株)製GPCカラム(G2000H XL :2本、G3000H XL :1本、G4000H XL :1本)を用い、流量:1.0mL/分、溶出溶媒:テトラヒドロフラン、カラム温度:40℃の分折条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフ法により測定した。
《感度》
0.35μmのライン・アンド・スペースパターンを、1対1に解像するときの露光量を感度とした。
《解像度》
0.35μmのライン・アンド・スペースパターンを、1対1に解像するときの露光量で、パターンの膜減りがない状態で解像している最小寸法を解像度とした。
《パターン形状》
走査型電子顕微鏡を用い、0.4μmのレジストパターンの断面を観察した。そして、パターンの縦断面の形状を、図1に示される(A)〜(C)の3段階に分類した。すなわち、図1において、(A)は、断面の形状が垂直で、定在波の影響も見られない場合、(B)は、断面の形状はテーパ−状ではあるが、定在波の影響は見られない場合、および(C)は、断面の形状がテーパー形状であり、かつ定在波の影響も見られる場合である。
【0052】
〈樹脂(i) の合成〉
合成例1
オートクレーブに、
m−クレゾール 69.2g(0.64モル)、
2,3−キシレノール 9.8g(0.08モル)、
3,4−キシレノール 9.8g(0.08モル)、
37重量%ホルムアルデヒド水溶液 55.1g(ホルムアルデヒド:0.85モル)
シュウ酸2水和物 5.0g(0.04モル)、
水 52.6g、
および
ジオキサン 182g
を仕込み、オートクレーブを油浴に浸し、内温を130℃に保持して撹伴しながら8時間縮合反応を行った。反応後、室温まで冷却し、内容物をビーカーに取り出した。このビーカ−中で分離した二層のうちの下層を取り出し、濃縮し、脱水し、乾燥してノボラツク樹脂を得た。この樹脂を樹脂(A1)という。樹脂(A1)のMwは、8,600であった。
【0053】
合成例2
オートクレーブに、
m−クレゾール 64.9g(0.6 モル)、
2,3−キシレノール 36.7g(0.3 モル)、
2,3,5−トリメチルフェノール 13.6g(0.1 モル)、
37重量%ホルム
アルデヒド水溶液 64.9g(ホルムアルデヒド:0.8モル)、
シュウ酸2水和物 6.3g(0.05モル)、
水 79.4g
および
ジオキサン 383.9g
を仕込み、合成例1と同様の操作を行い、ノボラツク樹脂を合成した。この樹脂を、樹脂(A2)という。樹脂(A2)のMwは8,300であった。
【0054】
〈特定1,2−キノンジアジド化合物(iv)の合成〉
以下において、前記式(4−13)、(4−14)および(4−19)で示される化合物を、それぞれ、(a−1)、(a−2)および(a−3)と略称する。
合成例3
撹伴器、滴下ロートおよび温度計を備えたフラスコに、
化合物(a−1) 13.2g(0.05モル)、
1,2−ナフトキノンジアジド−
5−スルホン酸クロリド 20.1g(0.075モル)、
および
ジオキサン 200g
を、遮光下で仕込み、撹伴しながら溶解させた。
次いで、該フラスコを30℃に調節された水浴中に浸し、内温が30℃となった時点で、この溶液に、トリエチルアミン8.3g(0.083 モル)を、内温が35℃を越えないように滴下ロートを用いて加えた。その後、同温度で2時間反応させた。
その後、折出したトリエチルアミン塩酸塩を、ろ過して取り除いたのち、ろ液を希塩酸水溶液中に注ぎ込んで、反応生成物を析出させた。次いで、この析出物をろ過して回収し、真空乾燥器中、40℃で一昼夜乾燥した。こうして、特定1,2−キノンジアジド化合物(b−1)が28.5g得られた。
【0055】
合成例4
化合物(a−2) 14.0g(0.05モル)、
1,2−ナフトキノンジアジド−
5−スルホニルクロリド 26.8g(0.1 モル)、
ジオキサン 245g、
および
トリエチルアミン 11.1g(0.11モル)
を使用した以外は、合成例3と同様にして、特定1,2−キノンジアジド化合物(b−2)を34g得た。
【0056】
合成例5
化合物(a−3) 14.8g(0.05モル)、
1,2−ナフトキノンジアジド−
5−スルホニルクロリド 33.6g(0.125 モル)、
ジオキサン 290g、
および
トリエチルアミン 13.9g(0.138 モル)
を使用した以外は、合成例3と同様にして、特定1,2−キノンジアジド化合物(b−3)を38.5g得た。
【0057】
〈1,2−キノンジアジド化合物(iii) の合成〉
合成例6
下記式:
【0058】
【化12】
【0059】
で表される化合物 21.2g(0.05モル)、
1,2−ナフトキノンジアジド−
5−スルホニルクロリド 33.6g(0.125 モル)、
ジオキサン 330g、
および
トリエチルアミン 13.9g(0.138 モル)
を使用した以外は、合成例3と同様にして、1,2−キノンジアジド化合物(イ)を52.5g得た。
【0060】
合成例7
下記式:
【0061】
【化13】
【0062】
で表される化合物 18.9g(0.05モル)、
1,2−ナフトキノンジアジド−
5−スルホニルクロリド 20.1g(0.075モル)、
ジオキサン 234g、
および
トリエチルアミン 8.4g(0.083 モル)
を使用した以外は、合成例3と同様にして、1,2−キノンジアジド化合物(ロ)を34.6g得た。
【0063】
実施例1〜5および比較例1
各例において、表1に示す組成割合で(ただし、部は重量部である)、樹脂(i) 、特定フェノール化合物(ii)、溶解促進剤、特定1,2−キノンジアジド化合物(iv)、1,2−キノンジアジド化合物(iii) および溶剤を均一に混合した。得られた溶液を、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過し、感放射線性樹脂組成物の溶液を調製した。なお、表1において、溶解促進剤および溶剤の種類は次のとおりである。
<溶解促進剤>
α:1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)アセトン
β:1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン
<溶剤>
S1:2−ヒドロキシプロピオン酸エチル
S2:3−エトキシプロピオン酸エチル
S3:2−ヘプタノン
【0064】
上記の感放射線性樹脂組成物の溶液を、シリコン酸化膜を有するシリコンウエハー基板の上にスピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で90℃の温度で2分間プレベークした。こうして、厚さ0.86μmのレジスト被膜を該基板の上に形成した。
次いで、縮小投影露光機〔商品名:NSR−2005i9C、(株)ニコン社製〕を用いて(レンズ開口数=0.57)、レチクルを介して、波長365nmのi線を該レジスト被膜に露光した。
露光後、2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で現像し、超純水でリンスし、乾燥し、ポジ型のレジストパターンを形成した。このレジストパターン特性を、前記の方法に従って評価した。その結果を表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
【発明の効果】
本発明の感放射線性樹脂組成物によれば、高解像度かつ高感度で、しかも定在波効果およびハレーションを抑制し、レジストとして用いると形状の良好なパターンが得られる。そのため、本感放射線性樹脂組成物は、高集積度の集積回路作製用レジストとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】レジストパターンの断面形状を示す縦断面図である。
Claims (4)
- 前記 (ii) フェノール化合物が、上記式(4−13)、上記式(4−14)および上記式(4−19)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種のフェノール化合物である請求項1に記載の組成物。
- (i)アルカリ可溶性樹脂、および
(iv)請求項1に記載の式(4−1)〜(4−20)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種のフェノール化合物の1,2−キノンジアジドスルホン酸エステル
を含有してなる感放射線性樹脂組成物。 - 前記フェノール化合物が、上記式(4−13)、上記式(4−14)および上記式(4−19)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種のフェノール化合物である請求項3に記載の組成物。
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