JP3632838B2 - 分布反射形半導体レーザの周波数安定方法および周波数安定化光源 - Google Patents
分布反射形半導体レーザの周波数安定方法および周波数安定化光源 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、波長可変半導体レーザの光出力の波長(光周波数)を一定値に固定するとともに、発振モードを安定化したレーザ光を得る、分布反射形半導体レーザの周波数安定化方法および周波数安定化光源に関する。本発明による周波数安定化光源は、波長多重光通信における光源として使用される。
【0002】
【従来の技術】
現在、通信情報量の増大に対応すべく、光周波数(波長)多重通信システムの開発・研究が盛んである。送信用光源としては半導体レーザが主であり、周波数多重のためには単一モード発振特性の半導体レーザが必要となる。発振周波数を大きく変えることのできる光源を用いると、波長多重通信網の任意の波長チャネルにアクセスすることができるので、波長多重網の再配置を行うなどの、高機能な波長多重通信網を構築することが可能となる。ただし、波長多重通信に用いる光源としては、光周波数が一定値に固定されると共に、長期にわたり安定していることが重要である。
【0003】
分布帰還型(DFB)半導体レーザは、優れた単一モード発振特性を示すことから、現在の長距離系光通信システム用光源の主流であり、また将来の光周波数(波長)多重通信システム用光源としても期待されているが、発振周波数を大きく変えることができない。一方、分布反射形(DBR)半導体レーザは、分布反射器領域に電流を注入することにより、DFBレーザに比べて波長を大きく変化させることが可能である。とりわけ、周期的位相変調が施された回折格子が前後の分布反射器に形成された4電極構造の超周期構造回折格子(SSG:Super Structure Grating )DBRレーザは30〜60nmの波長可変範囲を持つ単一モード半導体レーザであるので、波長多重用光源として有望視されている。
【0004】
DFB型、DBR型に限らず、半導体レーザの発振周波数は、温度により大きく変化するので、そのための温度制御は必要であるが、温度制御が適切に行われていても、長期的な使用のもとでは、活性領域の劣化等の素子特性の変動により発振周波数も変動するので、さらに何らかの周波数(波長)安定化のための制御回路が必要となる。また、DBRレーザの場合には、発振モードが異なるモードに切り替わる、いわゆるモード跳びが生じる可能性があるので、発振モードをあるモードに固定する制御も必要となる。
【0005】
4電極SSG−DBRレーザを用いた周波数安定化光源は、文献(石井他、IEEE Journal of Lightwave Technology, vol.16,pp.433−442, 1998)に既に報告例がある。その構成図を図4に示す。同図に示すようにSSG−DBRレーザ1は、前側分布反射器(SSG−DBR)領域2、後側分布反射器(SSG−DBR)領域3、位相調整領域4、利得領域5を有し、それぞれの領域2,3,4,5には電極2a,3a,4a,5aが備えられている。これらの電極2a,3a,4a,5aには、それぞれ別のバイアス電流源18,19,20,21が接続され、各領域2,3,4,5にバイアス電流が供給されている。そして各バイアス電流のバイアス電流値によって、およその発振波長が定められる。
【0006】
SSG−DBRレーザ1からの光出力Pは光ファイバ6により取り出され、その一部はファイバカプラ7,8により分岐されて、フォトディテクタ15と波長モニタ11に入射される。
【0007】
このため、光出力Pの一部は交差弁別型の周波数基準フィルタを用いた波長(光周波数)モニタ11に入射され、基準周波数とレーザ光の周波数のずれ量が検出される。制御部14cは、このずれ量をもとにして、位相調整領域4に流すバイアス電流にフィードバック制御することで、発振周波数がフィルタの基準周波数に安定化される。
【0008】
一方、モードの安定化は、前側分布反射器領域2及び後側分布反射器領域3に流す電流を微小に変化させたときの光出力Pの微小変化を検出することで行っている。これは、モードと前後のDBR反射器のブラッグ波長が全て等しい波長になったときに、光出力特性が極点となることに基づいている。
【0009】
つまり、前側のDBR反射器のブラッグ波長が縦モード波長からずれた場合、前側DBR反射器の反射率が減少し、前側からの光出力Pが増加することから、前側DBRのブラッグ波長ずれに対しては安定点で光出力Pが極小になる。
一方、後側のDBR反射器のブラッグ波長が縦モード波長からずれた場合、後側DBR反射器の反射率が減少し、前側からの光出力Pが減少することから、後側DBRのブラッグ波長ずれに対しては安定点で光出力Pが極大になる。
【0010】
以上の特性に基づけば、各DBR電流の変化に対する微分信号を得れば、それらが各DBR反射器のブラッグ波長とモード波長とのずれ量に比例した信号となる。
【0011】
そこで、図4の例では、前側分布反射器(DBR)領域2に微小変調電流16を加えて、光出力Pの一部をフォトディテクタ15で電気信号に変換した後、位相同期検波回路9aにて位相同期検波して光出力Pの強度の微分信号を求め、前側DBRの波長ずれ量に比例した信号を検出し、制御部14aにより、DBRレーザ1の発振波長に前側分布反射器(DBR)領域2のブラッグ波長が一致するように、前側DBR領域2に流す電流にフィードバック制御を行っている。
【0012】
同様に、後側DBR領域3に微小変調電流17を加えて、光出力Pの一部をフォトディテクタ15で電気信号に変換した後、位相同期検波回路9bにて位相同期検波して光出力Pの強度の微分信号を求め、後側DBRの波長ずれ量に比例した信号を検出し、制御部14bにより、DBRレーザ1の発振波長に後側分布反射器(DBR)領域3のブラッグ波長が一致するように、後側分布反射器(DBR)領域3に流す電流にフィードバック制御を行っている。
【0013】
なお、微小変調電流16と微小変調電流17の繰り返し周波数は異なる周波数にするか、同じ周波数で位相が90度異なるものにすることにより、それぞれの信号を互いに独立に検出できるようにしている。また微小変調信号16,17の大きさ(電流値)は、バイアス電流の電流値の1%程度にしている。
【0014】
また、光出力Pの一部をフォトディテクタ15及び光出力モニタ10を用いてモニタし、制御部14dにより、光出力Pのパワーが一定になるように利得領域5に流す電流値を制御している。
【0015】
この安定化回路には、モードを安定化するフィードバック制御ループA、およびBと、周波数(波長)を安定化するフィードバック制御ループCと、光出力パワーを安定化するフィードバック制御ループループDがあるが、それぞれの制御が他の制御に悪影響を与えないように、フィードバック制御のループ時定数が適切に設定されている。
【0016】
以上のように、図4に示した構成により、周波数(波長)、モード、及び光出力パワーが一定値に固定された周波数安定化光源が実現される。
【0017】
なお、この例では光出力Pの変動を検出して、各ブラッグ波長のずれ量を検出する方法を用いているが、利得領域5の電圧をモニタして各ブラッグ波長のずれ量を検出する方法もある。この場合は、安定点からブラッグ波長がずれると、反射器の反射率が低下することで発振しきい値キャリア密度が増加し、その結果、利得領域5の電圧が増加することに基づいている。すなわち、各DBR反射器領域2,3のずれに対して利得領域5の電圧が安定点で極小となる。安定化回路の構成としては、図4において、利得領域5の電圧を直接同期検波するような回路にする点を除けば、同様の構成で、周波数(波長)、モード、及び光出力パワーの安定化された光源が実現される。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来技術においては、周波数(波長)、及びモードの安定化が行われ、時間平均光周波数(波長)はある一定周波数に固定されるものの、前側DBR領域2、及び後側DBR領域3に加えた微小変調電流16,17によって、出力光Pの周波数にも微小な変調成分が混ざってしまうという問題があった。
【0019】
光ファイバを用いた長距離光伝送を行う場合に、光源の周波数に変動があると、光ファイバの群速度分散により、光信号波形が劣化してしまうという問題がある。もちろん、周波数変動の周波数を信号の使用周波数帯域外にするなどして、周波数変動の影響がないように安定化光源側の参照信号の変調周波数を適切に選んだり、受信回路を工夫したり、分散の少ないファイバを用いる等、この問題を避ける手段はいろいろある。しかし、周波数変動が全くない光源を用いたほうが、システム設計を容易にし、応用上の制約がなくなるので好ましいといえる。
【0020】
本発明の目的は、上記従来例における問題を解決し、長期的な素子特性の変動に対しても発振周波数が常に安定で、かつ、周波数変動のない、3電極分布反射形(DBR)レーザ、あるいは4電極分布反射形(DBR)レーザを用いた光源を得ることのできる、分布反射形半導体レーザの周波数安定方法および周波数安定化光源を提供するものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成する本発明の分布反射形半導体レーザの周波数安定方法は、それぞれバイアス電流が供給される利得領域,位相調整領域及び分布反射器領域を有する分布反射形半導体レーザにおいて、
前記分布反射器領域に微小変調電流を供給し、この微小変調電流を供給した際に、前記分布反射形半導体レーザの光出力の強度の微分信号、もしくは、前記利得領域の電圧の微分信号が最小となるように、前記分布反射器領域に供給するバイアス電流の電流値を制御して、前記分布反射形半導体レーザの発振波長に前記分布反射器領域のブラッグ波長を一致させるとともに、
前記分布反射形半導体レーザの光出力の波長が予め設定した基準波長に一致するように前記位相調整領域に供給するバイアス電流の電流値を制御し、
更に、前記分布反射器領域に前記微小変調電流を供給したために光出力に生じた波長変動を相殺するように、前記微小変調電流とは振幅の正負が逆で、かつ振幅が適切に調整された相殺用微小変調電流を前記位相調整領域に供給することを特徴とする。
【0022】
また本発明の分布反射形半導体レーザの周波数安定方法は、それぞれバイアス電流が供給される利得領域,位相調整領域及び分布反射器領域を有する分布反射形半導体レーザにおいて、
前記分布反射器領域に微小変調電流を供給し、この微小変調電流を供給した際に、前記分布反射形半導体レーザの光出力の強度の微分信号、もしくは、前記利得領域の電圧の微分信号が最小となるように、前記分布反射器領域に供給するバイアス電流の電流値を制御して、前記分布反射形半導体レーザの発振波長に前記分布反射器領域のブラッグ波長を一致させるとともに、
前記分布反射形半導体レーザの光出力の波長が予め設定した基準波長に一致するように前記位相調整領域に供給するバイアス電流の電流値を制御し、
前記分布反射形半導体レーザの光出力の強度が一定になるように前記利得領域に供給するバイアス電流の電流値を制御し、
更に、前記分布反射器領域に前記微小変調電流を供給したために光出力に生じた波長変動を相殺するように、前記微小変調電流とは振幅の正負が逆で、かつ振幅が適切に調整された相殺用微小変調電流を前記位相調整領域に供給することを特徴とする。
【0023】
また本発明の周波数安定化光源は、利得領域,位相調整領域,前側分布反射器領域及び後側分布反射器領域を有する4電極分布反射形半導体レーザと、
前記利得領域,位相調整領域,前側分布反射器領域及び後側分布反射器領域にそれぞれバイアス電流を供給するバイアス電流源と、
前記前側分布反射器領域及び後側分布反射器領域に微小変調電流を供給する微小変調電流供給手段と、
前記前側分布反射器領域及び後側分布反射器領域に微小変調電流を供給した際に、前記4電極分布反射形半導体レーザの光出力の強度の微分信号、もしくは、前記利得領域の電圧の微分信号が最小となるように、前記前側分布反射器領域及び後側分布反射器領域に供給するバイアス電流の電流値を制御して、前記4電極分布反射形半導体レーザの発振波長に前記前側分布反射器領域及び後側分布反射器領域のブラッグ波長を一致させるモード制御手段と、
前記4電極分布反射形半導体レーザの光出力の波長が予め設定した基準波長に一致するように前記位相調整領域に供給するバイアス電流の電流値を制御する周波数制御手段と、
前記4電極分布反射形半導体レーザの光出力の強度が一定になるように前記利得領域に供給するバイアス電流の電流値を制御するパワー制御手段と、
前記前側分布反射器領域及び後側分布反射器領域に前記微小変調電流を供給したために光出力に生じた波長変動を相殺するように、前記前側分布反射器領域に印加した前記微小変調電流と前記後側分布反射器領域に印加した前記微小変調電流とにそれぞれ適切な重み係数を掛けた後に足し合わせてできる合成波形とは振幅の正負が逆で、かつ振幅が適切に調整された相殺用微小変調電流を前記位相調整領域に供給する相殺用微小電流供給手段と、を有することを特徴とする。
【0024】
また本発明の周波数安定化光源は、利得領域,位相調整領域及び分布反射器領域を有する3電極分布反射形半導体レーザと、
前記利得領域,位相調整領域及び分布反射器領域にそれぞれバイアス電流を供給するバイアス電流源と、
前記分布反射器領域に微小変調電流を供給する微小変調電流供給手段と、
前記分布反射器領域に微小変調電流を供給した際に、前記3電極分布反射形半導体レーザの光出力の強度の微分信号、もしくは、前記利得領域の電圧の微分信号が最小となるように、前記分布反射器領域に供給するバイアス電流の電流値を制御して、前記3電極分布反射形半導体レーザの発振波長に前記分布反射器領域のブラッグ波長を一致させるモード制御手段と、
前記3電極分布反射形半導体レーザの光出力の波長が予め設定した基準波長に一致するように前記位相調整領域に供給するバイアス電流の電流値を制御する周波数制御手段と、
前記3電極分布反射形半導体レーザの光出力の強度が一定になるように前記利得領域に供給するバイアス電流の電流値を制御するパワー制御手段と、
前記分布反射器領域に前記微小変調電流を供給したために光出力に生じた波長変動を相殺するように、前記微小変調電流とは振幅の正負が逆で、かつ振幅が適切に調整された相殺用微小変調電流を前記位相調整領域に供給する相殺用微小電流供給手段と、を有することを特徴とする。
【0025】
【作用】
本発明においては、分布反射器(DBR)領域に微小変調電流を印加し、光出力あるいは利得領域の電圧を同期検波して、光信号の微分信号あるいは利得領域の電圧の微分信号を求めることで、DBR反射器の反射ピーク波長と縦モード波長とのずれ量を検出し、常に反射ピーク波長と縦モードとが一致するように制御する点は、図4に示した従来例と同じである。大きく異なる点は、分布反射器(DBR)領域に印加した微小変調電流によって光出力に生じる周波数変動を相殺するように、位相調整領域に流す電流にも相殺用微小変調電流を加えている点である。
【0026】
周波数fで発振している4電極DBRレーザにおいて、前側DBR領域に流れる電流If 、後側DBR領域に流れる電流Ir 、位相調整領域に流れる電流Ip がそれぞれ、δIf ,δIr ,δIp だけ微小に変化したときの周波数変化δfは、
δf=afδIf +arδIr +apδIp …(1)
と表される。ここで、af ,ar ,ap は定数である。
【0027】
δIf ,δIr だけ前側DBRおよび後側DBR領域に微小変調を加えたとき、
δIp =−(afδIf +arδIr )/ap …(2)
を満たすように、位相調整領域に流す電流を変化させれば、周波数変化δfが0となる。
【0028】
例えば、前側DBR領域および後側DBR領域への微小変調電流として
δIf =bf cos(ωt) …(3)
δIr =br sin(ωt) …(4)
を選んだ場合、位相調整領域への相殺用微小変調電流を、次式(5)とすれば、周波数変動が相殺される。
【0029】
【数1】
【0030】
ところで、利得領域の安定点からの電圧変化δVは、各波長制御領域における安定点からの電流ずれ量ΔIf ,ΔIr ,ΔIp を用いて、
ΔV=cf(ΔIf)2 +cr(ΔIr)2 +cp(ΔIp)2 …(6)
と近似される。ここで、cf ,cr ,cp はすべて正の定数である。なお、前側からの光出力の場合は、cf が正、cr が負、cp は素子構造に依存するので不定、といったように、定数の符号が異なるだけで、同じ近似式を用いて表すことができる。
【0031】
さて、ここで、前後のDBR電流が安定点からΔIf0,ΔIr0だけずれていて、各波長調整領域に微小変調電流δIf ,δIr ,δIp を印加した場合、
ΔIf =ΔIf0+δIf …(7−1)
ΔIr =ΔIr0+δIr …(7−2)
ΔIp =δIp …(7−3)
と書ける。
【0032】
式(6)に式(7−1),(7−2),(7−3),(3),(4),(5)を代入して整理すると、
(cos(ωt)成分)=2ΔIf0bfcf cos(ωt) …(8)
(sin(ωt)成分)=2ΔIr0brcr sin(ωt) …(9)
となるので、cos(ωt)で位相同期検波すれば前側DBR領域の電流ずれ量ΔIf0に比例した信号が得られ、sin(ωt)で位相同期検波すれば後側DBR領域の電流ずれ量ΔIr0に比例した信号が得られる。このように、周波数変動を相殺するための位相調整領域への信号δIp を付加しても、問題なく前後DBRのブラッグ波長のモードからのずれ量を検出できることがわかる。
【0033】
上記の議論は4電極DBRレーザを仮定したものであるが、3電極DBRレーザの場合には、例えば、前側DBR領域がないものとして、添え字fのついた定数を0とすればよい。この場合も、4電極DBRレーザと同様に、周波数変動を相殺するための位相調整領域への信号δIp を付加しても、DBRのブラッグ波長のモードからのずれ量を検出できることはあきらかである。
【0034】
【発明の実施の形態】
ここで、図1を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお図1において図4と同一部分には同符号を付す。4電極からなるSSG−DBRレーザ1の前側分布反射器(DBR)領域2、後側分布反射器領域3、位相調整領域4、及び利得領域5には、電極2a,3a,4a,5aを介してそれぞれバイアス電流源18,19,20,21がつながれ、バイアス電流が注入される。
【0035】
微小変調電流発振器12で発生されるcos(ωt)に比例する微小変調電流は前側DBR領域2に加えられ、移相器13bを通して位相が90度遅れたsin(ωt)に比例する微小変調電流が後側DBR領域3に加えられる。これらの微小変調電流を基準にして、利得領域5の端子電圧を、位相同期検波回路9にて位相同期検波し、端子電圧(利得領域の電圧)の微分信号を求めることにより、前側DBR反射ピーク波長と縦モード波長とのずれ量、及び後側DBR反射ピーク波長と縦モード波長とのずれ量が検出される。そして利得領域の電圧の微分信号が最少となるように、即ち、DBRレーザ1の縦モード波長に、前側DBR反射ピーク波長(ブラッグ波長)及び後側DBR反射ピーク波長(ブラッグ波長)が一致するように、制御部14a,14bにてフィードバック信号が生成され、前側DBR領域2及び後側DBR領域3に供給されるバイアス電流の電流値が調整される。
【0036】
位相調整領域4には、式(5)を満たす相殺用微小変調電流が加えられ、微小変調電流による光出力Pの周波数変動が抑制される。この例では、ar br =af bf より、微小変調電流発振器12で発生した信号を移相器13cで位相を約135度進めた信号を適切に利得調整した信号を、相殺用微小変調電流として位相調整領域4に加えている。なお、微小変調電流及び相殺用微小変調電流の大きさ(電流値)は、バイアス電流の電流値の1%程度にしている。
【0037】
SSG−DBRレーザ1からの光出力Pは光ファイバ6により取り出されるが、その一部はファイバカプラ7,8により分けられて光出力モニタ10と波長モニタ11に導かれる。光出力パワーは、制御部14dにより、ある一定値になるように利得領域5への電流にフィードバックされ、光周波数(波長)は基準波長に固定するように、制御部14cにより、位相調整領域4への電流にフィードバックされる。
【0038】
なお、図示はしていないが、レーザの温度はペルチェ素子を用いて一定になるように制御している。
また図1の例では、利得領域5の電圧の微分信号が最小になるように、分布反射器領域2,3に供給するバイアス電流の電流値をフィードバック制御しているが、図4に示す従来技術と同様に、光出力の強度の微分信号が最小になるように、分布反射器領域2,3に供給するバイアス電流の電流値をフィードバック制御するようにしてもよい。
更に、微小変調電流としては、正弦波電流(余弦波電流)のみならず、矩形波電流等を採用することもできる。
【0039】
図2は、本発明の効果をみるために、出力光Pの光周波数の変動を従来例による方法と本発明による方法とで比較測定したものである。マッハ・ツェンダ・フィルタを用いた光周波数弁別器を通過させた出力光を、フォト・ディテクタで電気信号に変換し、オシロスコープで観察することにより、光周波数の測定を行った。従来の方法では、微小変調電流の繰り返し周期10マイクロ秒に応じて、1GHz 程度の周波数変動が観察されるのに対して、本発明による方法では、周波数変動が観察されず、発明による効果が現れていることがわかる。
【0040】
[他の実施の形態]
上述した図1に示す実施の形態は、4電極DBRレーザの場合であるが、3電極DBRレーザの場合にも、同様の回路構成で本発明が実施できることは明らかである。図3は3電極DBRレーザ1Aを用いた例である。この場合、DBR領域3に加えたcos(ωt) に比例する微小変調電流に対して、移相器13により位相を180度進ませた相殺用微小変調電流を位相調整領域4に加えれば、周波数(変動)が抑えられると共に、DBR領域3に加えた信号と同相の成分を同期検波すれば、ブラッグ波長とモードとのずれが検出されることになる。なお他の部分の構成は、図1に示すものと同様である。
【0041】
なお、上述した実施の形態では、微小変調電流発振器からの信号をアナログ回路を通してDBRレーザに加えて、同期検波もアナログ回路により処理しているが、これらの処理を全てデジタル処理により行う方法においても本発明が適用可能であることはいうまでもない。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように本発明では、分布反射器(DBR)領域に微小変調電流を印加してDBR反射器の反射ピークと縦モード波長とのずれ量を検出して常に反射ピークと縦モードとが一致するように制御するのに加えて、DBR領域に印加した微小変調電流によって光出力に生じる周波数変動を相殺するように、位相調整領域に流す電流に相殺用微小変調電流を加えるようにしている。このため、光出力に周波数変動がなく、長期にわたって周波数(波長)と発振モードの安定したレーザ出力光を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す構成図。
【図2】従来の方法による安定化光源の光周波数変動(a)と本実施例による安定化光源の光周波数変動(b)を示す特性図。
【図3】本発明の他の実施の形態を示す構成図。
【図4】従来例を示す構成図。
【符号の説明】
1,1A 分布反射形半導体レーザ
2 前側分布反射器(DBR)領域
3 前側分布反射器(DBR)領域
4 位相調整領域
5 利得領域
6 光ファイバ
7,8 ファイバカプラ
9 位相同期検波回路
10 光出力モニタ
11 波長(光周波数)モニタ回路
12 微小変調電流発振器
13,13b,13c 移相器
14a,14b,14c,14d 制御部
15 フォト・ディテクタ
16,17 微小変調電流
18 前側分布反射器領域へのバイアス電流源
19 前側分布反射器領域へのバイアス電流源
20 位相調整領域へのバイアス電流源
21 利得領域へのバイアス電流源
Claims (4)
- それぞれバイアス電流が供給される利得領域,位相調整領域及び分布反射器領域を有する分布反射形半導体レーザにおいて、
前記分布反射器領域に微小変調電流を供給し、この微小変調電流を供給した際に、前記分布反射形半導体レーザの光出力の強度の微分信号、もしくは、前記利得領域の電圧の微分信号が最小となるように、前記分布反射器領域に供給するバイアス電流の電流値を制御して、前記分布反射形半導体レーザの発振波長に前記分布反射器領域のブラッグ波長を一致させるとともに、
前記分布反射形半導体レーザの光出力の波長が予め設定した基準波長に一致するように前記位相調整領域に供給するバイアス電流の電流値を制御し、
更に、前記分布反射器領域に前記微小変調電流を供給したために光出力に生じた波長変動を相殺するように、前記微小変調電流とは振幅の正負が逆で、かつ振幅が適切に調整された相殺用微小変調電流を前記位相調整領域に供給することを特徴とする分布反射形半導体レーザの周波数安定方法。 - それぞれバイアス電流が供給される利得領域,位相調整領域及び分布反射器領域を有する分布反射形半導体レーザにおいて、
前記分布反射器領域に微小変調電流を供給し、この微小変調電流を供給した際に、前記分布反射形半導体レーザの光出力の強度の微分信号、もしくは、前記利得領域の電圧の微分信号が最小となるように、前記分布反射器領域に供給するバイアス電流の電流値を制御して、前記分布反射形半導体レーザの発振波長に前記分布反射器領域のブラッグ波長を一致させるとともに、
前記分布反射形半導体レーザの光出力の波長が予め設定した基準波長に一致するように前記位相調整領域に供給するバイアス電流の電流値を制御し、
前記分布反射形半導体レーザの光出力の強度が一定になるように前記利得領域に供給するバイアス電流の電流値を制御し、
更に、前記分布反射器領域に前記微小変調電流を供給したために光出力に生じた波長変動を相殺するように、前記微小変調電流とは振幅の正負が逆で、かつ振幅が適切に調整された相殺用微小変調電流を前記位相調整領域に供給することを特徴とする分布反射形半導体レーザの周波数安定方法。 - 利得領域,位相調整領域,前側分布反射器領域及び後側分布反射器領域を有する4電極分布反射形半導体レーザと、
前記利得領域,位相調整領域,前側分布反射器領域及び後側分布反射器領域にそれぞれバイアス電流を供給するバイアス電流源と、
前記前側分布反射器領域及び後側分布反射器領域に微小変調電流を供給する微小変調電流供給手段と、
前記前側分布反射器領域及び後側分布反射器領域に微小変調電流を供給した際に、前記4電極分布反射形半導体レーザの光出力の強度の微分信号、もしくは、前記利得領域の電圧の微分信号が最小となるように、前記前側分布反射器領域及び後側分布反射器領域に供給するバイアス電流の電流値を制御して、前記4電極分布反射形半導体レーザの発振波長に前記前側分布反射器領域及び後側分布反射器領域のブラッグ波長を一致させるモード制御手段と、
前記4電極分布反射形半導体レーザの光出力の波長が予め設定した基準波長に一致するように前記位相調整領域に供給するバイアス電流の電流値を制御する周波数制御手段と、
前記4電極分布反射形半導体レーザの光出力の強度が一定になるように前記利得領域に供給するバイアス電流の電流値を制御するパワー制御手段と、
前記前側分布反射器領域及び後側分布反射器領域に前記微小変調電流を供給したために光出力に生じた波長変動を相殺するように、前記前側分布反射器領域に印加した前記微小変調電流と前記後側分布反射器領域に印加した前記微小変調電流とにそれぞれ適切な重み係数を掛けた後に足し合わせてできる合成波形とは振幅の正負が逆で、かつ振幅が適切に調整された相殺用微小変調電流を前記位相調整領域に供給する相殺用微小電流供給手段と、を有することを特徴とする周波数安定化光源。 - 利得領域,位相調整領域及び分布反射器領域を有する3電極分布反射形半導体レーザと、
前記利得領域,位相調整領域及び分布反射器領域にそれぞれバイアス電流を供給するバイアス電流源と、
前記分布反射器領域に微小変調電流を供給する微小変調電流供給手段と、
前記分布反射器領域に微小変調電流を供給した際に、前記3電極分布反射形半導体レーザの光出力の強度の微分信号、もしくは、前記利得領域の電圧の微分信号が最小となるように、前記分布反射器領域に供給するバイアス電流の電流値を制御して、前記3電極分布反射形半導体レーザの発振波長に前記分布反射器領域のブラッグ波長を一致させるモード制御手段と、
前記3電極分布反射形半導体レーザの光出力の波長が予め設定した基準波長に一致するように前記位相調整領域に供給するバイアス電流の電流値を制御する周波数制御手段と、
前記3電極分布反射形半導体レーザの光出力の強度が一定になるように前記利得領域に供給するバイアス電流の電流値を制御するパワー制御手段と、
前記分布反射器領域に前記微小変調電流を供給したために光出力に生じた波長変動を相殺するように、前記微小変調電流とは振幅の正負が逆で、かつ振幅が適切に調整された相殺用微小変調電流を前記位相調整領域に供給する相殺用微小電流供給手段と、を有することを特徴とする周波数安定化光源。
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