JP2002151789A - 分布反射形半導体レーザの周波数安定方法および周波数安定化光源 - Google Patents

分布反射形半導体レーザの周波数安定方法および周波数安定化光源

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JP2002151789A
JP2002151789A JP2000344677A JP2000344677A JP2002151789A JP 2002151789 A JP2002151789 A JP 2002151789A JP 2000344677 A JP2000344677 A JP 2000344677A JP 2000344677 A JP2000344677 A JP 2000344677A JP 2002151789 A JP2002151789 A JP 2002151789A
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啓之 石井
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光映 石川
Yuzo Yoshikuni
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光出力に含まれる微小変調成分を除去する。 【解決手段】 分布反射形半導体レーザ1の分布反射器
領域2,3、位相調整領域4及び利得領域5にはバイア
ス電流が供給されている。分布反射器領域2,3にはco
s(ωt),sin(ωt) に相当する微小変調電流が供給さ
れ、利得領域5の電圧の微分信号が最小となるように、
分布反射器領域2,3に供給するバイアス電流をフィー
ドバック制御して、レーザの発振波長に分布反射器のブ
ラッグ波長を一致させる。更に、位相調整領域4に、co
s(ωt) に対して位相を135度進めた相殺用微小変調
電流を供給する。これにより、微小変調電流を供給した
ことにより光出力Pに含まれる微小変調成分が相殺・除
去される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、波長可変半導体レ
ーザの光出力の波長(光周波数)を一定値に固定すると
ともに、発振モードを安定化したレーザ光を得る、分布
反射形半導体レーザの周波数安定化方法および周波数安
定化光源に関する。本発明による周波数安定化光源は、
波長多重光通信における光源として使用される。
【0002】
【従来の技術】現在、通信情報量の増大に対応すべく、
光周波数(波長)多重通信システムの開発・研究が盛ん
である。送信用光源としては半導体レーザが主であり、
周波数多重のためには単一モード発振特性の半導体レー
ザが必要となる。発振周波数を大きく変えることのでき
る光源を用いると、波長多重通信網の任意の波長チャネ
ルにアクセスすることができるので、波長多重網の再配
置を行うなどの、高機能な波長多重通信網を構築するこ
とが可能となる。ただし、波長多重通信に用いる光源と
しては、光周波数が一定値に固定されると共に、長期に
わたり安定していることが重要である。
【0003】分布帰還型(DFB)半導体レーザは、優
れた単一モード発振特性を示すことから、現在の長距離
系光通信システム用光源の主流であり、また将来の光周
波数(波長)多重通信システム用光源としても期待され
ているが、発振周波数を大きく変えることができない。
一方、分布反射形(DBR)半導体レーザは、分布反射
器領域に電流を注入することにより、DFBレーザに比
べて波長を大きく変化させることが可能である。とりわ
け、周期的位相変調が施された回折格子が前後の分布反
射器に形成された4電極構造の超周期構造回折格子(S
SG:Super Structure Grating )DBRレーザは30
〜60nmの波長可変範囲を持つ単一モード半導体レー
ザであるので、波長多重用光源として有望視されてい
る。
【0004】DFB型、DBR型に限らず、半導体レー
ザの発振周波数は、温度により大きく変化するので、そ
のための温度制御は必要であるが、温度制御が適切に行
われていても、長期的な使用のもとでは、活性領域の劣
化等の素子特性の変動により発振周波数も変動するの
で、さらに何らかの周波数(波長)安定化のための制御
回路が必要となる。また、DBRレーザの場合には、発
振モードが異なるモードに切り替わる、いわゆるモード
跳びが生じる可能性があるので、発振モードをあるモー
ドに固定する制御も必要となる。
【0005】4電極SSG−DBRレーザを用いた周波
数安定化光源は、文献(石井他、IEEE Journal of
Lightwave Technology, vol.16,pp.433-442, 1998)に
既に報告例がある。その構成図を図4に示す。同図に示
すようにSSG−DBRレーザ1は、前側分布反射器
(SSG−DBR)領域2、後側分布反射器(SSG−
DBR)領域3、位相調整領域4、利得領域5を有し、
それぞれの領域2,3,4,5には電極2a,3a,4
a,5aが備えられている。これらの電極2a,3a,
4a,5aには、それぞれ別のバイアス電流源18,1
9,20,21が接続され、各領域2,3,4,5にバ
イアス電流が供給されている。そして各バイアス電流の
バイアス電流値によって、およその発振波長が定められ
る。
【0006】SSG−DBRレーザ1からの光出力Pは
光ファイバ6により取り出され、その一部はファイバカ
プラ7,8により分岐されて、フォトディテクタ15と
波長モニタ11に入射される。
【0007】このため、光出力Pの一部は交差弁別型の
周波数基準フィルタを用いた波長(光周波数)モニタ1
1に入射され、基準周波数とレーザ光の周波数のずれ量
が検出される。制御部14cは、このずれ量をもとにし
て、位相調整領域4に流すバイアス電流にフィードバッ
ク制御することで、発振周波数がフィルタの基準周波数
に安定化される。
【0008】一方、モードの安定化は、前側分布反射器
領域2及び後側分布反射器領域3に流す電流を微小に変
化させたときの光出力Pの微小変化を検出することで行
っている。これは、モードと前後のDBR反射器のブラ
ッグ波長が全て等しい波長になったときに、光出力特性
が極点となることに基づいている。
【0009】つまり、前側のDBR反射器のブラッグ波
長が縦モード波長からずれた場合、前側DBR反射器の
反射率が減少し、前側からの光出力Pが増加することか
ら、前側DBRのブラッグ波長ずれに対しては安定点で
光出力Pが極小になる。一方、後側のDBR反射器のブ
ラッグ波長が縦モード波長からずれた場合、後側DBR
反射器の反射率が減少し、前側からの光出力Pが減少す
ることから、後側DBRのブラッグ波長ずれに対しては
安定点で光出力Pが極大になる。
【0010】以上の特性に基づけば、各DBR電流の変
化に対する微分信号を得れば、それらが各DBR反射器
のブラッグ波長とモード波長とのずれ量に比例した信号
となる。
【0011】そこで、図4の例では、前側分布反射器
(DBR)領域2に微小変調電流16を加えて、光出力
Pの一部をフォトディテクタ15で電気信号に変換した
後、位相同期検波回路9aにて位相同期検波して光出力
Pの強度の微分信号を求め、前側DBRの波長ずれ量に
比例した信号を検出し、制御部14aにより、DBRレ
ーザ1の発振波長に前側分布反射器(DBR)領域2の
ブラッグ波長が一致するように、前側DBR領域2に流
す電流にフィードバック制御を行っている。
【0012】同様に、後側DBR領域3に微小変調電流
17を加えて、光出力Pの一部をフォトディテクタ15
で電気信号に変換した後、位相同期検波回路9bにて位
相同期検波して光出力Pの強度の微分信号を求め、後側
DBRの波長ずれ量に比例した信号を検出し、制御部1
4bにより、DBRレーザ1の発振波長に後側分布反射
器(DBR)領域3のブラッグ波長が一致するように、
後側分布反射器(DBR)領域3に流す電流にフィード
バック制御を行っている。
【0013】なお、微小変調電流16と微小変調電流1
7の繰り返し周波数は異なる周波数にするか、同じ周波
数で位相が90度異なるものにすることにより、それぞ
れの信号を互いに独立に検出できるようにしている。ま
た微小変調信号16,17の大きさ(電流値)は、バイ
アス電流の電流値の1%程度にしている。
【0014】また、光出力Pの一部をフォトディテクタ
15及び光出力モニタ10を用いてモニタし、制御部1
4dにより、光出力Pのパワーが一定になるように利得
領域5に流す電流値を制御している。
【0015】この安定化回路には、モードを安定化する
フィードバック制御ループA、およびBと、周波数(波
長)を安定化するフィードバック制御ループCと、光出
力パワーを安定化するフィードバック制御ループループ
Dがあるが、それぞれの制御が他の制御に悪影響を与え
ないように、フィードバック制御のループ時定数が適切
に設定されている。
【0016】以上のように、図4に示した構成により、
周波数(波長)、モード、及び光出力パワーが一定値に
固定された周波数安定化光源が実現される。
【0017】なお、この例では光出力Pの変動を検出し
て、各ブラッグ波長のずれ量を検出する方法を用いてい
るが、利得領域5の電圧をモニタして各ブラッグ波長の
ずれ量を検出する方法もある。この場合は、安定点から
ブラッグ波長がずれると、反射器の反射率が低下するこ
とで発振しきい値キャリア密度が増加し、その結果、利
得領域5の電圧が増加することに基づいている。すなわ
ち、各DBR反射器領域2,3のずれに対して利得領域
5の電圧が安定点で極小となる。安定化回路の構成とし
ては、図4において、利得領域5の電圧を直接同期検波
するような回路にする点を除けば、同様の構成で、周波
数(波長)、モード、及び光出力パワーの安定化された
光源が実現される。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
技術においては、周波数(波長)、及びモードの安定化
が行われ、時間平均光周波数(波長)はある一定周波数
に固定されるものの、前側DBR領域2、及び後側DB
R領域3に加えた微小変調電流16,17によって、出
力光Pの周波数にも微小な変調成分が混ざってしまうと
いう問題があった。
【0019】光ファイバを用いた長距離光伝送を行う場
合に、光源の周波数に変動があると、光ファイバの群速
度分散により、光信号波形が劣化してしまうという問題
がある。もちろん、周波数変動の周波数を信号の使用周
波数帯域外にするなどして、周波数変動の影響がないよ
うに安定化光源側の参照信号の変調周波数を適切に選ん
だり、受信回路を工夫したり、分散の少ないファイバを
用いる等、この問題を避ける手段はいろいろある。しか
し、周波数変動が全くない光源を用いたほうが、システ
ム設計を容易にし、応用上の制約がなくなるので好まし
いといえる。
【0020】本発明の目的は、上記従来例における問題
を解決し、長期的な素子特性の変動に対しても発振周波
数が常に安定で、かつ、周波数変動のない、3電極分布
反射形(DBR)レーザ、あるいは4電極分布反射形
(DBR)レーザを用いた光源を得ることのできる、分
布反射形半導体レーザの周波数安定方法および周波数安
定化光源を提供するものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成する本
発明の分布反射形半導体レーザの周波数安定方法は、そ
れぞれバイアス電流が供給される利得領域,位相調整領
域及び分布反射器領域を有する分布反射形半導体レーザ
において、前記分布反射器領域に微小変調電流を供給
し、この微小変調電流を供給した際に、前記分布反射形
半導体レーザの光出力の強度の微分信号、もしくは、前
記利得領域の電圧の微分信号が最小となるように、前記
分布反射器領域に供給するバイアス電流の電流値を制御
して、前記分布反射形半導体レーザの発振波長に前記分
布反射器領域のブラッグ波長を一致させるとともに、前
記分布反射形半導体レーザの光出力の波長が予め設定し
た基準波長に一致するように前記位相調整領域に供給す
るバイアス電流の電流値を制御し、更に、前記分布反射
器領域に前記微小変調電流を供給したために光出力に生
じた波長変動を相殺するように、相殺用微小変調電流を
前記位相調整領域に供給することを特徴とする。
【0022】また本発明の分布反射形半導体レーザの周
波数安定方法は、それぞれバイアス電流が供給される利
得領域,位相調整領域及び分布反射器領域を有する分布
反射形半導体レーザにおいて、前記分布反射器領域に微
小変調電流を供給し、この微小変調電流を供給した際
に、前記分布反射形半導体レーザの光出力の強度の微分
信号、もしくは、前記利得領域の電圧の微分信号が最小
となるように、前記分布反射器領域に供給するバイアス
電流の電流値を制御して、前記分布反射形半導体レーザ
の発振波長に前記分布反射器領域のブラッグ波長を一致
させるとともに、前記分布反射形半導体レーザの光出力
の波長が予め設定した基準波長に一致するように前記位
相調整領域に供給するバイアス電流の電流値を制御し、
前記分布反射形半導体レーザの光出力の強度が一定にな
るように前記利得領域に供給するバイアス電流の電流値
を制御し、更に、前記分布反射器領域に前記微小変調電
流を供給したために光出力に生じた波長変動を相殺する
ように、相殺用微小変調電流を前記位相調整領域に供給
することを特徴とする。
【0023】また本発明の周波数安定化光源は、利得領
域,位相調整領域,前側分布反射器領域及び後側分布反
射器領域を有する4電極分布反射形半導体レーザと、前
記利得領域,位相調整領域,前側分布反射器領域及び後
側分布反射器領域にそれぞれバイアス電流を供給するバ
イアス電流源と、前記前側分布反射器領域及び後側分布
反射器領域に微小変調電流を供給する微小変調電流供給
手段と、前記前側分布反射器領域及び後側分布反射器領
域に微小変調電流を供給した際に、前記4電極分布反射
形半導体レーザの光出力の強度の微分信号、もしくは、
前記利得領域の電圧の微分信号が最小となるように、前
記前側分布反射器領域及び後側分布反射器領域に供給す
るバイアス電流の電流値を制御して、前記4電極分布反
射形半導体レーザの発振波長に前記前側分布反射器領域
及び後側分布反射器領域のブラッグ波長を一致させるモ
ード制御手段と、前記4電極分布反射形半導体レーザの
光出力の波長が予め設定した基準波長に一致するように
前記位相調整領域に供給するバイアス電流の電流値を制
御する周波数制御手段と、前記4電極分布反射形半導体
レーザの光出力の強度が一定になるように前記利得領域
に供給するバイアス電流の電流値を制御するパワー制御
手段と、前記前側分布反射器領域及び後側分布反射器領
域に前記微小変調電流を供給したために光出力に生じた
波長変動を相殺するように、相殺用微小変調電流を前記
位相調整領域に供給する相殺用微小電流供給手段と、を
有することを特徴とする。
【0024】また本発明の周波数安定化光源は、利得領
域,位相調整領域及び分布反射器領域を有する3電極分
布反射形半導体レーザと、前記利得領域,位相調整領域
及び分布反射器領域にそれぞれバイアス電流を供給する
バイアス電流源と、前記分布反射器領域に微小変調電流
を供給する微小変調電流供給手段と、前記分布反射器領
域に微小変調電流を供給した際に、前記3電極分布反射
形半導体レーザの光出力の強度の微分信号、もしくは、
前記利得領域の電圧の微分信号が最小となるように、前
記分布反射器領域に供給するバイアス電流の電流値を制
御して、前記3電極分布反射形半導体レーザの発振波長
に前記分布反射器領域のブラッグ波長を一致させるモー
ド制御手段と、前記3電極分布反射形半導体レーザの光
出力の波長が予め設定した基準波長に一致するように前
記位相調整領域に供給するバイアス電流の電流値を制御
する周波数制御手段と、前記3電極分布反射形半導体レ
ーザの光出力の強度が一定になるように前記利得領域に
供給するバイアス電流の電流値を制御するパワー制御手
段と、前記分布反射器領域に前記微小変調電流を供給し
たために光出力に生じた波長変動を相殺するように、相
殺用微小変調電流を前記位相調整領域に供給する相殺用
微小電流供給手段と、を有することを特徴とする。
【0025】
【作用】本発明においては、分布反射器(DBR)領域
に微小変調電流を印加し、光出力あるいは利得領域の電
圧を同期検波して、光信号の微分信号あるいは利得領域
の電圧の微分信号を求めることで、DBR反射器の反射
ピーク波長と縦モード波長とのずれ量を検出し、常に反
射ピーク波長と縦モードとが一致するように制御する点
は、図4に示した従来例と同じである。大きく異なる点
は、分布反射器(DBR)領域に印加した微小変調電流
によって光出力に生じる周波数変動を相殺するように、
位相調整領域に流す電流にも相殺用微小変調電流を加え
ている点である。
【0026】周波数fで発振している4電極DBRレー
ザにおいて、前側DBR領域に流れる電流If 、後側D
BR領域に流れる電流Ir 、位相調整領域に流れる電流
pがそれぞれ、δIf ,δIr ,δIp だけ微小に変
化したときの周波数変化δfは、 δf=afδIf +arδIr +apδIp …(1) と表される。ここで、af ,ar ,ap は定数である。
【0027】δIf ,δIr だけ前側DBRおよび後側
DBR領域に微小変調を加えたとき、 δIp =−(afδIf +arδIr )/ap …(2) を満たすように、位相調整領域に流す電流を変化させれ
ば、周波数変化δfが0となる。
【0028】例えば、前側DBR領域および後側DBR
領域への微小変調電流として δIf =bf cos(ωt) …(3) δIr =br sin(ωt) …(4) を選んだ場合、位相調整領域への相殺用微小変調電流
を、次式(5)とすれば、周波数変動が相殺される。
【0029】
【数1】
【0030】ところで、利得領域の安定点からの電圧変
化δVは、各波長制御領域における安定点からの電流ず
れ量ΔIf ,ΔIr ,ΔIp を用いて、 ΔV=cf(ΔIf2 +cr(ΔIr2 +cp(ΔIp2 …(6) と近似される。ここで、cf ,cr ,cp はすべて正の
定数である。なお、前側からの光出力の場合は、cf
正、cr が負、cp は素子構造に依存するので不定、と
いったように、定数の符号が異なるだけで、同じ近似式
を用いて表すことができる。
【0031】さて、ここで、前後のDBR電流が安定点
からΔIf0,ΔIr0だけずれていて、各波長調整領域に
微小変調電流δIf ,δIr ,δIp を印加した場合、 ΔIf =ΔIf0+δIf …(7−1) ΔIr =ΔIr0+δIr …(7−2) ΔIp =δIp …(7−3) と書ける。
【0032】式(6)に式(7−1),(7−2),
(7−3),(3),(4),(5)を代入して整理す
ると、 (cos(ωt)成分)=2ΔIf0ff cos(ωt) …(8) (sin(ωt)成分)=2ΔIr0rr sin(ωt) …(9) となるので、cos(ωt)で位相同期検波すれば前側DBR
領域の電流ずれ量ΔIf0に比例した信号が得られ、sin
(ωt)で位相同期検波すれば後側DBR領域の電流ずれ
量ΔIr0に比例した信号が得られる。このように、周波
数変動を相殺するための位相調整領域への信号δIp
付加しても、問題なく前後DBRのブラッグ波長のモー
ドからのずれ量を検出できることがわかる。
【0033】上記の議論は4電極DBRレーザを仮定し
たものであるが、3電極DBRレーザの場合には、例え
ば、前側DBR領域がないものとして、添え字fのつい
た定数を0とすればよい。この場合も、4電極DBRレ
ーザと同様に、周波数変動を相殺するための位相調整領
域への信号δIp を付加しても、DBRのブラッグ波長
のモードからのずれ量を検出できることはあきらかであ
る。
【0034】
【発明の実施の形態】ここで、図1を参照して本発明の
実施の形態を説明する。なお図1において図4と同一部
分には同符号を付す。4電極からなるSSG−DBRレ
ーザ1の前側分布反射器(DBR)領域2、後側分布反
射器領域3、位相調整領域4、及び利得領域5には、電
極2a,3a,4a,5aを介してそれぞれバイアス電
流源18,19,20,21がつながれ、バイアス電流
が注入される。
【0035】微小変調電流発振器12で発生されるcos
(ωt)に比例する微小変調電流は前側DBR領域2に加
えられ、移相器13bを通して位相が90度遅れたsin
(ωt)に比例する微小変調電流が後側DBR領域3に加
えられる。これらの微小変調電流を基準にして、利得領
域5の端子電圧を、位相同期検波回路9にて位相同期検
波し、端子電圧(利得領域の電圧)の微分信号を求める
ことにより、前側DBR反射ピーク波長と縦モード波長
とのずれ量、及び後側DBR反射ピーク波長と縦モード
波長とのずれ量が検出される。そして利得領域の電圧の
微分信号が最少となるように、即ち、DBRレーザ1の
縦モード波長に、前側DBR反射ピーク波長(ブラッグ
波長)及び後側DBR反射ピーク波長(ブラッグ波長)
が一致するように、制御部14a,14bにてフィード
バック信号が生成され、前側DBR領域2及び後側DB
R領域3に供給されるバイアス電流の電流値が調整され
る。
【0036】位相調整領域4には、式(5)を満たす相
殺用微小変調電流が加えられ、微小変調電流による光出
力Pの周波数変動が抑制される。この例では、ar r
=a f f より、微小変調電流発振器12で発生した信
号を移相器13cで位相を約135度進めた信号を適切
に利得調整した信号を、相殺用微小変調電流として位相
調整領域4に加えている。なお、微小変調電流及び相殺
用微小変調電流の大きさ(電流値)は、バイアス電流の
電流値の1%程度にしている。
【0037】SSG−DBRレーザ1からの光出力Pは
光ファイバ6により取り出されるが、その一部はファイ
バカプラ7,8により分けられて光出力モニタ10と波
長モニタ11に導かれる。光出力パワーは、制御部14
dにより、ある一定値になるように利得領域5への電流
にフィードバックされ、光周波数(波長)は基準波長に
固定するように、制御部14cにより、位相調整領域4
への電流にフィードバックされる。
【0038】なお、図示はしていないが、レーザの温度
はペルチェ素子を用いて一定になるように制御してい
る。また図1の例では、利得領域5の電圧の微分信号が
最小になるように、分布反射器領域2,3に供給するバ
イアス電流の電流値をフィードバック制御しているが、
図4に示す従来技術と同様に、光出力の強度の微分信号
が最小になるように、分布反射器領域2,3に供給する
バイアス電流の電流値をフィードバック制御するように
してもよい。更に、微小変調電流としては、正弦波電流
(余弦波電流)のみならず、矩形波電流等を採用するこ
ともできる。
【0039】図2は、本発明の効果をみるために、出力
光Pの光周波数の変動を従来例による方法と本発明によ
る方法とで比較測定したものである。マッハ・ツェンダ
・フィルタを用いた光周波数弁別器を通過させた出力光
を、フォト・ディテクタで電気信号に変換し、オシロス
コープで観察することにより、光周波数の測定を行っ
た。従来の方法では、微小変調電流の繰り返し周期10
マイクロ秒に応じて、1GHz 程度の周波数変動が観察さ
れるのに対して、本発明による方法では、周波数変動が
観察されず、発明による効果が現れていることがわか
る。
【0040】[他の実施の形態]上述した図1に示す実
施の形態は、4電極DBRレーザの場合であるが、3電
極DBRレーザの場合にも、同様の回路構成で本発明が
実施できることは明らかである。図3は3電極DBRレ
ーザ1Aを用いた例である。この場合、DBR領域3に
加えたcos(ωt) に比例する微小変調電流に対して、移
相器13により位相を180度進ませた相殺用微小変調
電流を位相調整領域4に加えれば、周波数(変動)が抑
えられると共に、DBR領域3に加えた信号と同相の成
分を同期検波すれば、ブラッグ波長とモードとのずれが
検出されることになる。なお他の部分の構成は、図1に
示すものと同様である。
【0041】なお、上述した実施の形態では、微小変調
電流発振器からの信号をアナログ回路を通してDBRレ
ーザに加えて、同期検波もアナログ回路により処理して
いるが、これらの処理を全てデジタル処理により行う方
法においても本発明が適用可能であることはいうまでも
ない。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように本発明では、分布反
射器(DBR)領域に微小変調電流を印加してDBR反
射器の反射ピークと縦モード波長とのずれ量を検出して
常に反射ピークと縦モードとが一致するように制御する
のに加えて、DBR領域に印加した微小変調電流によっ
て光出力に生じる周波数変動を相殺するように、位相調
整領域に流す電流に相殺用微小変調電流を加えるように
している。このため、光出力に周波数変動がなく、長期
にわたって周波数(波長)と発振モードの安定したレー
ザ出力光を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す構成図。
【図2】従来の方法による安定化光源の光周波数変動
(a)と本実施例による安定化光源の光周波数変動
(b)を示す特性図。
【図3】本発明の他の実施の形態を示す構成図。
【図4】従来例を示す構成図。
【符号の説明】
1,1A 分布反射形半導体レーザ 2 前側分布反射器(DBR)領域 3 前側分布反射器(DBR)領域 4 位相調整領域 5 利得領域 6 光ファイバ 7,8 ファイバカプラ 9 位相同期検波回路 10 光出力モニタ 11 波長(光周波数)モニタ回路 12 微小変調電流発振器 13,13b,13c 移相器 14a,14b,14c,14d 制御部 15 フォト・ディテクタ 16,17 微小変調電流 18 前側分布反射器領域へのバイアス電流源 19 前側分布反射器領域へのバイアス電流源 20 位相調整領域へのバイアス電流源 21 利得領域へのバイアス電流源
フロントページの続き (72)発明者 吉国 裕三 東京都千代田区大手町二丁目3番1号 日 本電信電話株式会社内 Fターム(参考) 5F073 AA65 BA02 EA03 GA03 GA12 GA13 GA38

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれバイアス電流が供給される利得
    領域,位相調整領域及び分布反射器領域を有する分布反
    射形半導体レーザにおいて、 前記分布反射器領域に微小変調電流を供給し、この微小
    変調電流を供給した際に、前記分布反射形半導体レーザ
    の光出力の強度の微分信号、もしくは、前記利得領域の
    電圧の微分信号が最小となるように、前記分布反射器領
    域に供給するバイアス電流の電流値を制御して、前記分
    布反射形半導体レーザの発振波長に前記分布反射器領域
    のブラッグ波長を一致させるとともに、 前記分布反射形半導体レーザの光出力の波長が予め設定
    した基準波長に一致するように前記位相調整領域に供給
    するバイアス電流の電流値を制御し、 更に、前記分布反射器領域に前記微小変調電流を供給し
    たために光出力に生じた波長変動を相殺するように、相
    殺用微小変調電流を前記位相調整領域に供給することを
    特徴とする分布反射形半導体レーザの周波数安定方法。
  2. 【請求項2】 それぞれバイアス電流が供給される利得
    領域,位相調整領域及び分布反射器領域を有する分布反
    射形半導体レーザにおいて、 前記分布反射器領域に微小変調電流を供給し、この微小
    変調電流を供給した際に、前記分布反射形半導体レーザ
    の光出力の強度の微分信号、もしくは、前記利得領域の
    電圧の微分信号が最小となるように、前記分布反射器領
    域に供給するバイアス電流の電流値を制御して、前記分
    布反射形半導体レーザの発振波長に前記分布反射器領域
    のブラッグ波長を一致させるとともに、 前記分布反射形半導体レーザの光出力の波長が予め設定
    した基準波長に一致するように前記位相調整領域に供給
    するバイアス電流の電流値を制御し、 前記分布反射形半導体レーザの光出力の強度が一定にな
    るように前記利得領域に供給するバイアス電流の電流値
    を制御し、 更に、前記分布反射器領域に前記微小変調電流を供給し
    たために光出力に生じた波長変動を相殺するように、相
    殺用微小変調電流を前記位相調整領域に供給することを
    特徴とする分布反射形半導体レーザの周波数安定方法。
  3. 【請求項3】 利得領域,位相調整領域,前側分布反射
    器領域及び後側分布反射器領域を有する4電極分布反射
    形半導体レーザと、 前記利得領域,位相調整領域,前側分布反射器領域及び
    後側分布反射器領域にそれぞれバイアス電流を供給する
    バイアス電流源と、 前記前側分布反射器領域及び後側分布反射器領域に微小
    変調電流を供給する微小変調電流供給手段と、 前記前側分布反射器領域及び後側分布反射器領域に微小
    変調電流を供給した際に、前記4電極分布反射形半導体
    レーザの光出力の強度の微分信号、もしくは、前記利得
    領域の電圧の微分信号が最小となるように、前記前側分
    布反射器領域及び後側分布反射器領域に供給するバイア
    ス電流の電流値を制御して、前記4電極分布反射形半導
    体レーザの発振波長に前記前側分布反射器領域及び後側
    分布反射器領域のブラッグ波長を一致させるモード制御
    手段と、 前記4電極分布反射形半導体レーザの光出力の波長が予
    め設定した基準波長に一致するように前記位相調整領域
    に供給するバイアス電流の電流値を制御する周波数制御
    手段と、 前記4電極分布反射形半導体レーザの光出力の強度が一
    定になるように前記利得領域に供給するバイアス電流の
    電流値を制御するパワー制御手段と、 前記前側分布反射器領域及び後側分布反射器領域に前記
    微小変調電流を供給したために光出力に生じた波長変動
    を相殺するように、相殺用微小変調電流を前記位相調整
    領域に供給する相殺用微小電流供給手段と、を有するこ
    とを特徴とする周波数安定化光源。
  4. 【請求項4】 利得領域,位相調整領域及び分布反射器
    領域を有する3電極分布反射形半導体レーザと、 前記利得領域,位相調整領域及び分布反射器領域にそれ
    ぞれバイアス電流を供給するバイアス電流源と、 前記分布反射器領域に微小変調電流を供給する微小変調
    電流供給手段と、 前記分布反射器領域に微小変調電流を供給した際に、前
    記3電極分布反射形半導体レーザの光出力の強度の微分
    信号、もしくは、前記利得領域の電圧の微分信号が最小
    となるように、前記分布反射器領域に供給するバイアス
    電流の電流値を制御して、前記3電極分布反射形半導体
    レーザの発振波長に前記分布反射器領域のブラッグ波長
    を一致させるモード制御手段と、 前記3電極分布反射形半導体レーザの光出力の波長が予
    め設定した基準波長に一致するように前記位相調整領域
    に供給するバイアス電流の電流値を制御する周波数制御
    手段と、 前記3電極分布反射形半導体レーザの光出力の強度が一
    定になるように前記利得領域に供給するバイアス電流の
    電流値を制御するパワー制御手段と、 前記分布反射器領域に前記微小変調電流を供給したため
    に光出力に生じた波長変動を相殺するように、相殺用微
    小変調電流を前記位相調整領域に供給する相殺用微小電
    流供給手段と、を有することを特徴とする周波数安定化
    光源。
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