JP3632312B2 - 路面上のレーン検出方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、路面上のレーン検出方法及び装置に関し、特に自動車の前方の、運転者の視界と一致する可視領域の画像情報に基づき、両側の境界線を特定することによって路面上のレーンを検出し得るレーン検出方法及び装置に係る。
【0002】
【従来の技術】
一般に、道路の境界線を幾何学的に特定する場合には、道路の両側(左右)の白線の位置を対応づけることが行なわれる。ここで、「対応づける」とは、左右の白線の接線を求めるとき、道路平面内で曲率中心に向かう法線を共有する位置を定めることをいう。そして、法線と接線との交点を「対応点」といい、左右の対応点間を結ぶ線分を「道路セグメント」という。而して、道路の複数の位置で道路セグメントを求め、それらを並設すれば道路平面を表すことになり、各道路セグメントはそのセグメント位置での道路の方向を示している。
【0003】
上記の道路境界線の特定方法に関しては、慶応義塾大学、小沢慎治氏の論文「道路像解析における対応点の決定法」(電子情報通信学会論文誌D−IIVol.J72−D−II No.5pp.827−830 1989年5月発行)において、図15に示すように、無限遠点の位置を利用してレーンの接線ベクトルTを求め、左右の接線ベクトルに対する法線である単位セグメントベクトルSを得て、S・T=0となる接線ベクトルの組み合わせを探すという方法が提案されている。
【0004】
また、メリーランド大学、ディメンソン(D. DeMenthon)氏の論文「A ZERO−BANK ALGORITHM FOR INVERSE PERSPECTIVE OF ROAD FROM A SINGLE IMAGE 」(Proc.IEEE Interl. Conf. on Robotics and Automation, pp.1444−1449, 1987 年3月発行)には次の方法が提案されている。即ち、道路境界線の左右の接線が平行であれば、一方の接線からの法線は他方の接線においても法線となり、道路セグメントの条件を満足する。例えば図16に示すように、左右の接線N1−N2,M1−M2が平行でないときには、この交点Rは接線N1−N2に対する道路セグメントの端点として期待する位置から外れてしまうことになる。従って、道路が曲がっている場合、左右の接線からの法線を使って曲率中心やレーン幅を計算できると説明されている。
【0005】
一方、自動車の前方の可視領域の画像情報を処理し種々の用途に供する画像処理装置が提案されており、特開平6−215137号の公報には、画像中の特徴点の情報を高速で検出しうる画像処理装置を提供することを課題とし、走査テーブルメモリ手段上に書き込まれる走査線情報(走査開始座標、走査終了座標)の組合せによって走査領域が決定されるように構成されている。具体的には、進行方向に向かう白線(車線)の輪郭を検出する場合、白線が存在する領域は、通常はある狭い範囲内に限定されるので、その狭い範囲の画像データだけを検出対象として走査すべく、走査領域(ウィンドウという)を、走査テーブルメモリ手段上に書き込まれる走査線情報(走査開始座標、走査終了座標)の組合せによって決定することとしたものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述の道路の境界線の特定方法に関し、前者の論文に記載の方法においては、S・T=0が成立するまで演算を繰り返す必要があるので応答性に問題が残る。また、後者の論文に記載の境界線の特定方法においては、曲線で表現される道路の微少区間を台形で表し、最も手前で道路セグメントを設定した台形領域に対して、次の台形を継ぎ足して延長していくことが基本とされている。従って、道路が汚れていたり、白線が欠損している場合には、延長の過程で道路セグメントを設定できないことがある。
【0007】
尚、前掲の論文には、道路の境界線、道路セグメント等と表現されているが、実際には、路面上に一定の距離を隔てて平行な二本の白色等の明色の線(代表して、白線という)が施されて両側(左右)の境界線とされ、これらの境界線の間の領域が、自動車等が走行するためのレーン(以下、レーンという)となっている。従って、二本の白線を特定することによって路面上のレーンを設定することができる。このような点から本願においては、「道路セグメント」に代えて「レーンのセグメント」もしくは単に「セグメント」を用い、「道路の境界線」に代えて「レーンの境界線」を用いることとする。従って、道路の両端に白線が施され、これらを特定することによって道路を検出する場合には、レーン即ち道路を意味することとなる。
【0008】
前述のように、道路のレーン形状を安定的にしかも高精度に検出するためには、手前から遠方に向かって一定間隔で複数のレーンのセグメントを設定できることが理想である。しかし、レーンの境界線となる白線は連続した実線もあるが、破線で描かれていることもあり、前述のディメンソン氏の論文に記載の方法のように、走行中の前方道路の画像に対して、予め定めた区間でのみセグメントを設定しようとすると、その区間内に白線が存在しなければ、セグメントを設定できないという不都合が生じる。
【0009】
そこで、本発明は、路面上のレーン検出方法において、レーン状態に左右されることなく適切にレーンを検出し得るようにすることを課題とする。
【0010】
また、本発明は、路面上のレーン状態に左右されることなく適切にレーン検出を行ない得るレーン検出装置を提供することを別の課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明の路面上のレーン検出方法は、請求項1に記載のように、検出対象とする路面上のレーンの両側の境界線を含む画像情報の濃淡に基づき、前記両側の境界線を表すエッジを検出して順次エッジメモリに格納し、前記両側の境界線を表す連続した二列のエッジ群を形成し;少くとも前記二列のエッジ群に基づき3次元平面上で前記両側の境界線を特定し;前記両側の境界線を特定した前回の画像に基づき前記両側の境界線に対する曲率中心を特定し;前記エッジメモリに新たに格納し前記両側の境界線を表す連続した二列のエッジ群を形成するエッジ群の中から、前記曲率中心を中心とする同心円弧に沿って夫々所定距離毎に、複数の連続した領域に分割し、該領域毎に一対のエッジ列を抽出し;各領域における各々のエッジ列に対する一対の接線を特定し;該一対の接線に対する法線を特定し;該法線と前記一対の接線の交点を特定し、該一対の交点間の線分を前記レーンのセグメントとして設定し;該セグメントに基づき前記両側の境界線を特定した画像を更新することとしたものである。
【0012】
あるいは、請求項2に記載のように、前記曲率中心を中心とする同心円弧に沿って夫々所定距離毎に、相互に隣接する領域の一部が重合するように複数の領域に分割し、該領域毎に一対のエッジ列を抽出することとしてもよい。
【0013】
更に、請求項3に記載のように、前記一対の接線は、前記各領域における前記一対のエッジ列を平行としたときの各々のエッジ列に対する一対の接線とし、前記各領域における前記一対のエッジ列を構成するエッジ群の重心を特定し、前記法線は、前記重心を通る法線としてもよい。
【0014】
また、本発明の路面上のレーン検出装置は、請求項4に記載し図2に示したように、検出対象とする路面上のレーンの両側の境界線を含む画像情報を入力し該画像情報の濃淡に基づきエッジを検出し、前記両側の境界線を表すエッジを順次出力するエッジ検出手段EDと、エッジ検出手段EDが出力した前記両側の境界線を表すエッジを順次格納し、前記両側の境界線を表す連続した二列のエッジ群を形成するエッジメモリ手段EMと、少くとも前記二列のエッジ群に基づき3次元平面上で前記両側の境界線を特定する画像処理手段DPと、前記両側の境界線を特定した前回の画像に基づき前記両側の境界線に対する曲率中心を特定する曲率中心特定手段RCと、エッジメモリ手段EMが新たに格納し前記両側の境界線を表す連続した二列のエッジ群を形成するエッジ群の中から、前記曲率中心を中心とする同心円弧に沿って夫々所定距離毎に、複数の連続した領域に分割し、該領域毎に一対のエッジ列を抽出するエッジ列抽出手段ESと、エッジ列抽出手段ESが抽出した各領域における各々のエッジ列に対する一対の接線を特定する接線特定手段TLと、前記一対の接線に対する法線を特定する法線特定手段NLと、前記法線と前記一対の接線の交点を特定し、該一対の交点間の線分を前記レーンのセグメントとして設定し、該セグメントを画像処理手段DPに出力するセグメント設定手段SDとを備え、画像処理手段DPが、前記セグメントに基づき前記両側の境界線を特定した画像を更新するように構成したものである。
【0015】
あるいは、請求項5に記載のように、前記エッジ列抽出手段ESは、前記曲率中心を中心とする同心円弧に沿って夫々所定距離毎に、相互に隣接する領域の一部が重合するように複数の領域に分割し、該領域毎に一対のエッジ列を抽出するように構成してもよい。なお、前記レーン検出装置においては、前記検出対象を含む可視領域を撮像する撮像手段CSを備えたものとし、撮像手段CSが撮像した画像情報をエッジ検出手段EDに入力し、前記エッジを検出するように構成するとよい。
【0016】
更に、請求項6に記載のように、前記各領域における前記一対のエッジ列を構成するエッジ群の重心を特定する重心特定手段GCを備えたものとし、接線特定手段TLは、前記一対のエッジ列を平行としたときの各々のエッジ列に対する一対の接線を特定し、法線特定手段NLは、前記重心を通る前記一対の接線に対する法線を特定するように構成してもよい。なお、前記レーン検出装置においては、前記検出対象を含む可視領域を撮像する撮像手段CSを備えたものとし、撮像手段CSが撮像した画像情報をエッジ検出手段EDに入力し、前記エッジを検出するように構成するとよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照し乍ら説明する。図1は本発明の一実施形態に係るレーン検出方法の原理を説明するもので、先ず(1)前回の画像情報に基づき検出対象の路面のレーン形状が特定できているものとし、この曲率中心Cに対して新しい画面での白線に対するエッジ群から、曲率中心Cを中心とする円弧を構成する一方のエッジ群あるいは左右のエッジ群の中心に沿って所定距離ΔL毎に、複数の連続した領域RS1,RS2,RS3等に分割し、これらの領域毎に一対のエッジ列を抽出する。次に(2)各領域における両側(左右)のエッジ列に対する接線方程式を求める。このとき、左右の白線は平行であるという拘束条件を設け、最小自乗法により2本の接線方程式を求めると共に、エッジ群の重心Gを求める。これらに基づき(3)エッジ群の重心Gを通り左右の接線に直交する直線即ち法線の方程式を求め、法線と左右の接線との交点を求める。そして(4)左右の交点間を結ぶ線分をレーンのセグメントSiとして設定し、(5)セグメントSiに基づき、上記のレーン形状を特定した画像を更新する。
【0018】
而して、レーンの線形判別、任意区間の平均カーブ曲率半径、任意距離前方の方位、自動車のヨー角、横変位、レーン幅等を演算することができる。例えば、運転者の視点位置からセグメントS1乃至Snまでの道のり距離をD1乃至Dnとすると、セグメントSi,Sjの延長線上での交点は、道のり距離Di,Djの区間での曲率中心Cであり、曲率中心CとセグメントSi,Sjまでの距離は曲率半径Ri,Rjで表すことができる(図示省略)。このようにして、セグメントの任意の区間での曲率半径を演算することができる。そして、求められたセグメントの右側端点もしくは左側端点、又は中点の集合に対して曲線を当てはめれば、境界線又は中心線を曲線の方程式として表すことができるので、任意の道のり距離でのレーンの境界線又は中心線の方位を求めることができる。更に、上述した曲線を視点位置まで延長し、この位置でのセグメントを求めれば、視点位置でのヨー角、横変位、レーン幅を演算することもできる。
【0019】
次に、本発明のレーン検出装置の実施形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態は、自動車の運転者の視界と一致する前方の可視領域内に存在する検出対象を、確実に検出し画像表示し得るように構成されている。図3はレーン検出装置の全体構成を示すもので、例えば固体撮像素子のCCDを用いたCCDカメラ1が、例えば自動車(図示せず)内の運転者の視点近傍に配置され前方の可視領域が撮像される。このCCDカメラ1で撮像されるアナログ信号の画像信号はエッジ検出部10のADコンバータ11に供給され、濃度に応じたデジタル信号に変換される。
【0020】
エッジ検出部10において、ADコンバータ11の出力信号は二本のラインバッファ12を介して検出回路13内のSobel のエッジ抽出オペレータ14に供給され、x方向及びy方向のエッジが検出されるように構成されている。また、CCDカメラ1の出力信号が同期信号としてx−yアドレス変換部15に供給される。このとき、エッジのx座標として10ビットが割り当てられ、y座標には9ビットが割り当てられ、最大値用に8ビットが割り当てられ、更に、正負の符号用に1ビットが割り当てられる。更に、検出回路13は後述するウィンドウゲート16を有し、検出対象判定部20に接続されている。尚、このエッジ検出部10は、ゲートアレーで構成することができる。
【0021】
検出対象判定部20はマイクロコンピュータで構成され、CPU21、ROM22、RAM23、出力用のシリアルポート24、割込カウンタ25、タイマ26等を有し、これらがアドレスバス及びデータ/コントロールバスを介して接続されている。尚、27は電源部である。RAM23は図4に示すようにウィンドウメモリ23wとエッジメモリ23eを有し、前者のウィンドウデータがウィンドウゲート16に供給されると共に、エッジ抽出オペレータ14の抽出データがウィンドウゲート16に供給され、ウィンドウゲート16内でこれらの論理積(AND)が演算され、その演算結果がエッジメモリ23eに供給されて格納される。
【0022】
図9は、ウィンドウメモリ23w内のテーブルメモリの一例を示すもので、図9の右側に示す画面の横又は縦(図9の例では横のx軸方向)の走査線480本に対応する0番地から479番地のアドレスが設定される。このアドレス毎に上記の走査線に応じて少くとも一つの基準点のx座標又はy座標(図9の例ではx座標のX0乃至X479)を設定すると共に、各基準点に対し所定の幅(図9の例ではW0乃至W479)が設定されて格納される。尚、図9の画面の左上角部の座標は(0,0)であり、右下角部の座標は(639,479)である。また、テーブルメモリが16ビットである場合には、ウィンドウのx座標設定用に10ビットが用いられ、幅の設定用に6ビットが用いられるように構成されるが、32ビットのメモリであれば、幅も略画面一杯に設定することができる。
【0023】
図4はエッジ検出に係る機能ブロック図で、同期信号Sが夫々水平カウンタ17及び垂直カウンタ18を介して2本のラインバッファ12、3×3マトリクスレジスタ19、Sobel のエッジ抽出オペレータ14ex,14ey、ピーク検出部14px, 14pyに供給される。而して、2本のラインバッファ12を介して走査線3本の画像データが3×3マトリクスレジスタ19に供給され、エッジ抽出オペレータ14ex,14eyにて、2次元画面におけるx方向及びy方向のエッジが検出され、更にピーク検出部14px, 14pyにて求められた夫々のピーク値がエッジメモリ23eに供給される。尚、y方向のピーク値を求めるためピーク値検出用のメモリ23pが設けられている。一方、ウィンドウゲート16にてピーク判定されたときのピーク値検出用メモリ23pの内容とウィンドウメモリ23wのメモリ値との論理積(AND)が求められ、ウィンドウの位置及び幅がエッジメモリ23eに供給される。このエッジメモリ23eは、x方向及びy方向の濃度メモリ23gx,23gyとx方向及びy方向の座標メモリ23px,23pyを有し、夫々にエッジのピーク値が格納される。
【0024】
上記の構成になる本実施形態のレーン検出装置においては、図5乃至図8のフローチャートに従って画像処理が行なわれる。先ず図5のステップ101において、CCDカメラ1の全ての出力画像信号がADコンバータ11及びラインバッファ12を介して検出回路13に供給され、画像情報が取り込まれる。次に、ステップ102にてエッジが検出される。本実施形態ではこのエッジに基づき図10に示すように特徴点が設定され、この特徴点のx座標及びy座標が特定される。また、ステップ103において今回の画像処理時の検出対象ウィンドウが設定される。尚、この処理については図6を参照して後述する。
【0025】
図10は上記の特徴点の抽出状況を示すもので、先ず画像濃度を表す信号が微分され、微分値(ピーク値)が所定のしきい値によって二値化され所定幅の特徴領域Z1,Z2が形成される。更に、細線化処理が行なわれ、特徴領域Z1,Z2の中央部分の位置が特徴点P1,P2とされ、輪郭を表す基準とされる。このように、本実施形態では輪郭を表す指標として一般的なエッジのほかに特徴点が設定されるが、エッジをそのまま用いることとしてもよい。
【0026】
続いて、ステップ104において、ステップ102にてエッジに基づいて設定された特徴点と、ステップ103で設定された検出対象ウィンドウの論理積(AND)がとられ、このウィンドウ内の特徴点が抽出される。そして、ステップ105に進むが、ステップ105以降は検出対象が曲線又は直線状の場合に特有の処理であり、具体的には本実施形態が対象とする自動車走行用のレーンの白線の特定に好適な処理である。
【0027】
ステップ105においては、図11及び図12に示すように、ステップ104で抽出された画面上の特徴点が路面上に存在するように、特徴点の位置が3次元平面上の位置に変換される。尚、前述の2次元平面の座標軸x,yに対し、3次元平面の座標軸をX,Y,Zで表す。上記のように3次元平面上の位置に変換された特徴点によって、ステップ106にてレーンのセグメントが設定されるが、これについては図7及び図8を参照して後述する。続いて、ステップ107にてセグメントの配列に対し数学モデルが当てはめられ、更にステップ108に進み、合致する数学モデルによってレーン形状を表すパラメータ(曲率半径、レーンの幅等)が計測される。更に、ステップ109に進み、レーン形状を表すパラメータが2次元平面座標に換算され、次回の検出対象ウィンドウの設定に供される。
【0028】
次に、図6を参照して、ステップ103において実行される検出対象ウィンドウの設定について説明する。ステップ201において検出対象ウィンドウ(以下、単にウィンドウという)の縦軸(y軸)の上端及び下端を設定する値が、夫々所定値yb,ytに設定され(本実施形態では、yb≧0,yt≦479)、縦軸(y軸)上の位置yの値が画面の最下端(y=479)に設定される。
【0029】
続いて、ステップ203においてウィンドウの左側設定用のメモリ(y)及び右側設定用のメモリ(y)が夫々キャンセル(無効)され、ステップ204においてy軸上の位置yの値がディクリメント(−1)された後、ステップ205にて所定値ybと比較され、所定値yb以下となるまでステップ203及び204が繰り返される。y軸上の位置yの値が所定値yb以下となると、ステップ206に進み、所定値ybとされる。このようにして画面の下端が設定され、画面の下方の位置ybからステップ207以降の処理が開始する。
【0030】
ステップ207においては、ウィンドウの幅がw(y) に設定される。ウィンドウの幅w(y) は、一定(w(y) =Ky,但しKyは定数)としてもよいし、3次元平面上でウィンドウの幅が一定になるように設定してもよい。あるいは、遠方でウィンドウの幅が拡大するように設定してもよい。そして、ステップ208にてウィンドウの左側設定用のメモリ(y)の始点が、fl(y) −w(y)/2に設定される。ここで、fl(y) は2次元画面上での左側の白線形状の中心線を表し、前回の値である。
【0031】
また、ステップ209にてウィンドウの左側設定用のメモリ(y)の幅が、w(y) に設定される。同様に、ステップ210にてウィンドウの右側設定用のメモリ(y)の始点が、fr(y) −w(y)/2に設定され、ステップ211にてウィンドウの右側設定用のメモリ(y)の幅が、w(y) に設定される。尚、fr(y) は2次元画面上での右側の白線形状の中心線を表し、前回の値である。このように、本実施形態ではウィンドウの形状は基準点(始点)と幅によって規定されるが、始点と終点を設定することとしてもよい。
【0032】
次に、ステップ212においてy軸上の位置yの値がディクリメント(−1)された後、ステップ213にて画面の上端を表す所定値ytと比較され、所定値ytを下回るまでステップ207乃至212が繰り返される。y軸上の位置yの値が所定値ytを下回ると、ステップ214に進む。
【0033】
而して、画面に予め設定した上端を超えることになるので、ステップ214においてウィンドウの左側設定用のメモリ(y)及び右側設定用のメモリ(y)がキャンセルされ、ステップ215においてy軸上の位置yの値がディクリメント(−1)された後、ステップ216にて0と比較され、y軸上の位置yの値が0を下回るまでステップ214及び215が繰り返され、y軸上の位置yの値が0を下回ると図5のルーチンに戻る。
【0034】
図5のステップ106におけるレーンのセグメントの設定は、図7及び図8のフローチャートに従って実行される。先ず、ステップ301において前回の画像に表示された二列のエッジ群による白線の線形形状が判定され、カーブしていると判定されるとステップ302以降に進み、直線と判定されるとステップ316以降(図8)に進む。白線がカーブしていると判定されると、ステップ302において前回の画像に基づき白線の曲率中心が特定され、これを中心とする同心円弧に沿って所定距離ΔL毎に、連続した複数の領域RS1乃至RSnに分割されると共に、各領域を表す番号iがクリアされる。そして、カーブ内側の白線に対し、ステップ303にて領域番号iの領域RSiの始点がIP1とされ、ステップ304にて領域RSiの終点がIP2とされる。
【0035】
次に、ステップ305において、図1に示すように前回の画像に表示された白線を円弧としたときの中心Cと始点IP1を通る直線がL1とされ、ステップ306において中心Cと終点IP2を通る直線がL2とされる。続いて、ステップ307,308に進み、直線L1とカーブ外側の白線との交点がOP1とされると共に、直線L2とカーブ外側の白線との交点がOP2とされる。
【0036】
そして、ステップ309において交点IP1と交点IP2との間の白線を構成するエッジ群の各座標が最小二乗法演算用行列に供されると共に、ステップ310において交点OP1と交点OP2との間の白線を構成するエッジ群の各座標が最小二乗法演算用行列に供される。これらの演算結果に基づき、ステップ311において一対のエッジ列を構成するエッジ群に対し、最小二乗法により平行線が当てはめられ、一対の接線が特定される。また、ステップ312において一対のエッジ列を構成するエッジ群の重心Gが求められ、この重心Gを通る平行線モデルの法線がステップ313にてSiとされる。即ち、平行線モデル間の線分がレーンのセグメントSiとされる。以上の処理が行なわれた後、領域番号iがインクリメント(+1)され、nとなるまでステップ303乃至ステップ314の処理が繰り返される。
【0037】
一方、ステップ301において前回の画像に表示された白線の線形形状が直線と判定されると、図8のステップ316において、所定距離ΔL毎に連続した複数の領域RS1乃至RSnに分割されると共に、各領域を表す番号iがクリアされた後、例えば右側の白線に対し、ステップ317にて領域番号iの領域の始点がRP1とされ、ステップ318にて領域番号iの領域の終点がRP2とされる。続いて、ステップ319,320に進み、左側の白線に対し領域番号iの領域RSiの始点がLP1とされ、領域RSiの終点がLP2とされる。
【0038】
そして、ステップ321において始点RP1と終点RP2との間の白線を構成するエッジ群の各座標が最小二乗法演算用行列に供されると共に、ステップ322において始点LP1と終点LP2との間の白線を構成するエッジ群の各座標が最小二乗法演算用行列に供される。これらの演算結果に基づき、ステップ323において一対のエッジ列を構成するエッジ群に対し、最小二乗法により平行線が当てはめられ、一対の接線が特定される。また、ステップ324において一対のエッジ列を構成するエッジ群の重心Gが求められ、この重心Gを通る平行線モデルの法線がステップ325にてSiとされる。而して、この法線Siの平行線モデル間の線分がレーンのセグメントとされる。以上の処理が行なわれた後、領域番号iがインクリメント(+1)され、nとなるまでステップ317乃至ステップ326の処理が繰り返される。
【0039】
以上のように、本実施形態においては繰り返し演算を行なうことなくレーンのセグメントが設定されるので、安価に構成することができる。また、両側の白線の接線が平行線であることを拘束条件としているので、従前の白線毎に接線を求める方法に比し、路面や白線の汚れ等のノイズに影響され難く、適切にレーンのセグメントを設定することができる。しかも、予め分割された複数の領域RS1,RS2,RS3等に、複数のセグメントS1,S2,S3等が連続して設定されているので、仮に一部の領域においてセグメントの設定が困難な事態が生じても、他の領域におけるセグメントの設定に影響することなく、略一定の間隔で連続した適切なセグメントを設定することができる。更に、「レーン幅が一定」という拘束条件を加えれば、ノイズの影響を一層受け難くくなる。
【0040】
図13は本発明の他の実施形態に係り、例えば複数のセグメントS1,S2等を設定する領域RS1,RS2等が相互に重合するように設定されたもので、特に、図13ではエッジ列が略直線状であるときの領域の設定状況を示している。即ち、本実施形態では、図13に重合部分をΔlpで示したように、隣接する領域RS1,RS2が重合している。尚、その他の構成は前述の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0041】
図14は、距離ΔLが一定でなく、レーンのカーブに沿って分割する区分の長さが順次短くなるように設定した例を示すものである。従って、この例では曲率中心がC1,C2,C3というように移動することとなるが、基本的には前述の方法と同様にセグメントS1,S2,S3等を設定することができる。
【0042】
【発明の効果】
本発明は前述のように構成されているので以下に記載の効果を奏する。即ち、請求項1に係る路面上のレーン検出方法は、曲率中心を中心とする同心円弧に沿って夫々所定距離毎に、複数の連続した領域に分割し、該領域毎に一対のエッジ列を抽出し、各領域における各々のエッジ列に対する一対の接線を特定し、これら一対の接線に対する法線を特定し、この法線と一対の接線の交点を特定し、これら一対の交点間の線分をレーンのセグメントとして設定することとしており、略一定間隔の複数の領域毎にセグメントを設定することができるので、仮に一部にセグメントの設定が困難な区間があった場合でも、確実にセグメントを設定し、適切にレーンを検出することができる。
【0043】
更に、請求項2に記載の方法においては、相互に隣接する領域の一部が重合するように複数の領域に分割し、該領域毎に一対のエッジ列を抽出することとしているので、例えばレーンを構成する白線が破線であっても、あるいは白線の一部が消えていても各領域内でエッジを確保することができ、確実にセグメントを設定し、適切にレーンを検出することができる。
【0044】
また、請求項3に記載の方法においては、各領域における一対のエッジ列を平行としたときの各々のエッジ列に対する一対の接線を特定し、これら一対のエッジ列を構成するエッジ群の重心を特定し、この重心を通る一対の接線に対する法線を特定することとしているので、レーンの汚れ等のノイズに影響され難く、迅速且つ確実にセグメントを設定し、適切にレーンを検出することができる。
【0045】
請求項4に記載の路面上のレーン検出装置は、曲率中心を中心とする同心円弧に沿って夫々所定距離毎に、複数の連続した領域に分割し、該領域毎に一対のエッジ列を抽出するエッジ列抽出手段と、エッジ列抽出手段が抽出した各領域における各々のエッジ列に対する一対の接線を特定する接線特定手段と、前記一対の接線に対する法線を特定する法線特定手段を具備し、セグメント設定手段により、前記法線と前記一対の接線の交点を特定し、該一対の交点間の線分をレーンのセグメントとして設定するように構成されており、略一定間隔の複数の領域毎にセグメントを設定することができるので、仮に一部にセグメントの設定が困難な区間があった場合でも、確実に複数の領域毎にセグメントを設定し、適切にレーン検出を行なうことができる。
【0046】
また、請求項5に記載の装置においては、エッジ列抽出手段が、相互に隣接する領域の一部が重合するように複数の領域に分割し、該領域毎に一対のエッジ列を抽出する構成とされているので、破線の白線に対しても各領域内でエッジを確保することができ、確実にセグメントを設定し、適切にレーン検出を行なうことができる。
【0047】
また、請求項6に記載の装置においては、接線特定手段が、各領域における一対のエッジ列を平行としたときの各々のエッジ列に対する一対の接線を特定し、重心特定手段が、これら一対のエッジ列を構成するエッジ群の重心を特定し、法線特定手段が、重心を通る一対の接線に対する法線を特定するように構成されているので、ノイズに影響され難く、迅速且つ確実にセグメントを設定し、適切にレーン検出を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の路面上のレーン検出方法におけるセグメントの設定方法を示す説明図である。
【図2】本発明の路面上のレーン検出装置の構成の概要を示すブロック図である。
【図3】本発明一実施形態の全体構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態におけるエッジ検出部の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態における画像処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態における検出対象ウィンドウ設定の処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態におけるセグメント設定の処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態におけるセグメント設定の処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施形態におけるウィンドウ設定メモリを示す構成図である。
【図10】本発明の一実施形態における特徴点の検出状況を示すグラフである。
【図11】本発明の一実施形態において特徴点の位置を3次元平面上の位置に変換する状況を示す図である。
【図12】本発明の一実施形態において特徴点の位置を3次元平面上の位置に変換する状況を示す図である。
【図13】本発明の他の実施形態に係るレーン検出方法における領域及びセグメントの設定方法を示す説明図である。
【図14】本発明の更に他の実施形態に係るレーン検出方法における領域及びセグメントの設定方法を示す説明図である。
【図15】従来の道路セグメントの設定方法の一例を説明する図である。
【図16】従来の道路セグメントの設定方法の他の例を説明する図である。
【符号の説明】
1 CCDカメラ
10 エッジ検出部
11 ADコンバータ
12 ラインバッファ
13 検出回路
14 エッジ抽出オペレータ
15 x−yアドレス変換部
16 ウィンドウゲート
20 検出対象判定部
23w ウィンドウメモリ
23e エッジメモリ
Claims (6)
- 検出対象とする路面上のレーンの両側の境界線を含む画像情報の濃淡に基づき、前記両側の境界線を表すエッジを検出して順次エッジメモリに格納し、前記両側の境界線を表す連続した二列のエッジ群を形成し;少くとも前記二列のエッジ群に基づき3次元平面上で前記両側の境界線を特定し;前記両側の境界線を特定した前回の画像に基づき前記両側の境界線に対する曲率中心を特定し;前記エッジメモリに新たに格納し前記両側の境界線を表す連続した二列のエッジ群を形成するエッジ群の中から、前記曲率中心を中心とする同心円弧に沿って夫々所定距離毎に、複数の連続した領域に分割し、該領域毎に一対のエッジ列を抽出し;各領域における各々のエッジ列に対する一対の接線を特定し;該一対の接線に対する法線を特定し;該法線と前記一対の接線の交点を特定し、該一対の交点間の線分を前記レーンのセグメントとして設定し;該セグメントに基づき前記両側の境界線を特定した画像を更新することを特徴とする路面上のレーン検出方法。
- 前記曲率中心を中心とする同心円弧に沿って夫々所定距離毎に、相互に隣接する領域の一部が重合するように複数の領域に分割し、該領域毎に一対のエッジ列を抽出することを特徴とする請求項1記載のレーン検出方法。
- 前記一対の接線が、前記各領域における前記一対のエッジ列を平行としたときの各々のエッジ列に対する一対の接線であって、前記各領域における前記一対のエッジ列を構成するエッジ群の重心を特定し、前記法線が、前記重心を通る法線であることを特徴とする請求項1記載のレーン検出方法。
- 検出対象とする路面上のレーンの両側の境界線を含む画像情報を入力し該画像情報の濃淡に基づきエッジを検出し、前記両側の境界線を表すエッジを順次出力するエッジ検出手段と、該エッジ検出手段が出力した前記両側の境界線を表すエッジを順次格納し、前記両側の境界線を表す連続した二列のエッジ群を形成するエッジメモリ手段と、少くとも前記二列のエッジ群に基づき3次元平面上で前記両側の境界線を特定する画像処理手段と、前記両側の境界線を特定した前回の画像に基づき前記両側の境界線に対する曲率中心を特定する曲率中心特定手段と、前記エッジメモリ手段が新たに格納し前記両側の境界線を表す連続した二列のエッジ群を形成するエッジ群の中から、前記曲率中心を中心とする同心円弧に沿って夫々所定距離毎に、複数の連続した領域に分割し、該領域毎に一対のエッジ列を抽出するエッジ列抽出手段と、該エッジ列抽出手段が抽出した各領域における各々のエッジ列に対する一対の接線を特定する接線特定手段と、前記一対の接線に対する法線を特定する法線特定手段と、前記法線と前記一対の接線の交点を特定し、該一対の交点間の線分を前記レーンのセグメントとして設定し、該セグメントを前記画像処理手段に出力するセグメント設定手段とを備え、前記画像処理手段が、前記セグメントに基づき前記両側の境界線を特定した画像を更新するように構成したことを特徴とする路面上のレーン検出装置。
- 前記エッジ列抽出手段が、前記曲率中心を中心とする同心円弧に沿って夫々所定距離毎に、相互に隣接する領域の一部が重合するように複数の領域に分割し、該領域毎に一対のエッジ列を抽出することを特徴とする請求項4記載のレーン検出装置。
- 前記各領域における前記一対のエッジ列を構成するエッジ群の重心を特定する重心特定手段を備え、前記接線特定手段が、前記一対のエッジ列を平行としたときの各々のエッジ列に対する一対の接線を特定し、前記法線特定手段が、前記重心を通る前記一対の接線に対する法線を特定するように構成したことを特徴とする請求項4記載のレーン検出装置。
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