JP3631750B2 - ヒトmdr1マルチドラッグ耐性遺伝子産物に対するモノクローナル抗体およびその使用 - Google Patents

ヒトmdr1マルチドラッグ耐性遺伝子産物に対するモノクローナル抗体およびその使用 Download PDF

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Description

本発明は、ザ・ナショナル・インスチチュート・オブ・ヘルスによる研究認可CA40333号の下で政府支援によりなされた。政府は本発明に所定の権利を有する。本出願は1992年3月20日付け出願の米国特許出願第854,881号の部分継続出願である。
発明の背景
発明の技術分野
本発明は、ヒト細胞におけるマルチドラッグ耐性に関連した細胞表面抗原に対し特異性のモノクロナール抗体を産生するハイブリドーマ、並びにこの種の抗体およびその断片もしくは組換誘導体の使用に関するものである。
関連技術の説明
多くの人間の癌は、それぞれ異なる構造および異なる作用メカニズムを有する数種類の抗癌剤に対する耐性を本質的に発現し或いは自然に発生する。たとえばコルヒチン、ビンブラスチンおよびドキソルビシン(その一般的名称はアドリアマイシンである)のような或る種の植物アルカロイドもしくは抗腫瘍抗生物質に対する耐性につき選択される培養哺乳類細胞にて同様に生じうるこの現象は、一般にマルチドラッグ耐性(「MDR」)と呼ばれる。このMDR表現型は、人間患者における有効な癌化学療法に対し主たる障害となる。
大抵の場合、MDRは細胞膜メカニズムにおける変化に関連した薬剤流出増加の結果として薬剤の細胞内蓄積減少から生ずると思われる。MDRを発現する突然変異細胞ラインを分離すれば、これらは細胞膜に存在するATP−依存性ポンプメカニズムを発現して抗癌剤の細胞内蓄積を低く保つと思われる。このメカニズムは、細胞膜を通して最初に入り込んだ薬物の活発な押出しである。
しばしばマルチドラッグ輸送体と呼ばれるこのポンプシステムをコードする遺伝子が、ロニンソン等により培養ヒト細胞からクローン化されており(後記引例12参照)、一般にmdr1またはMDR1と呼ばれる。この遺伝子は数種類の通常の組織で発現されるが、これら組織におけるmdr1遺伝子産物に対して輸送される生理学的基質はまだ同定されていない。
一般にP−糖蛋白(「P−170」、「Pgp」)として知られるmdr1遺伝子の蛋白産物は170kDaの経細胞膜蛋白であって、上記エネルギー依存性の流出ポンプを構成する。細胞表面におけるPgpの発現は、多くの抗癌剤を含め複数の細胞毒性剤に対し細胞を耐性にするのに充分である。Pgp媒介のMDRは種々異なる種類の腫瘍において腫瘍耐性の重要な臨床成分であると思われ、mdr1遺伝子発現は種々異なる種類の癌にて化学療法に対する耐性に相関する。
mdr1遺伝子の配列分析が示すように、Pgpは2種の相同体(43%同一)の各半部間に分配された1280個のアミノ酸で構成される。分子の各半部は6個の疎水性経膜ドメインを有し、それぞれ大きい細胞質ループ内にATP結合部位を有する。分子の僅か約8%のみが細胞外であると共に、炭水化物部分(約30kDa)がこの領域の部位に結合される。
Pgpにより示されるMDRの中心的役割に関する知識が得られ、MDRを逆転させる能力を持った薬剤はPgpの標的とされる。カルシウム・チャンネル封鎖剤(たとえばベラパミル)、免疫抑制剤(たとえばシクロスポリンおよびステロイドホルモン)、カルモルジュリン抑制剤および数種の他の化合物を含め数種類の薬剤は、Pgp輸送薬物の細胞内蓄積および細胞毒性作用を増大させることが判明した。これら薬剤の多くは、Pgpによる薬物の結合もしくは輸送を抑制することが判明した。これら薬剤自身の幾種かはPgpに結合してPgpにより流出することが判明し、このことはPgp基質の細胞毒性に対するその増大作用が、少なくとも部分的にはその機能に対する作用でなくこの蛋白質上の薬物結合部位の競合に基づくことを示唆する。
或る種のこれら薬剤はMDR細胞における細胞内多面発現作用をさらに有して、Pgpの流出ポンプ作用の特異的抑制剤としての利用性を制限する。さらに、臨床試験で用いられる大抵の公知MDR逆転性薬物はPgpの抑制に無関係な主たる副作用を有し、たとえば、カルシウム・チャンネル封鎖(ベラパミル)または免疫抑制(シクロピコリンおよびステロイド)の作用を有しており、その臨床上達成しうる投与を制限する。
Pgp−MDRを迂回する抗−Pgp抗体の使用は、これら抗体がPgpのみを標的とすると共に毒性のみが蛋白の投与から強力に生ずるので、特質性の展望を与える。さらに抗体結合は、競合抑制剤の一時的結合よりも長期間にわたる抑制作用を示すと思われる。
Pgpの細胞外エピトープと反応する抗体のみが完全細胞の細胞膜における流出ポンプ蛋白質と反応し、MDRに強力に影響を及ぼし、すなわち逆転させうる。たとえばC2195のようなPgpの細胞質部分に向けられる抗体は、MDRの逆転に有用でないと思われる。
MRK−16およびMRK−17と呼ばれるモノクロナール抗体(「mAb」)が、マウスをドキソルビシン耐性K−562ヒト白血病細胞で免疫処理して産生され、これら両抗体はPgpを認識した。MRK−16 mAbは耐性細胞におけるビンクリスチンおよびアクチノマイシンDの輸送を調節し、MRK−17 mAbは耐性細胞の成長を特異的に抑制した。MRK−16 mAbは、ヌードマウスで異種移植片として成長したヒトMDR細胞ライン(結腸癌)に対するビンクリスチンのインビボ毒性を増大させた。しかしながらMRK−16 mAbによる薬物細胞毒性のインビトロ能力はPgp作用を有する公知の化学的抑制剤と比較して弱く、明らかにドキソルビシンによる細胞毒性に対し作用を示さない2種のPgp基質(ビンクリスチンおよびアクチノマイシンD)のみに限定された。薬物耐性ヒト卵巣癌細胞2780ADが予め接種された無胸腺マウスのMRK−16 mAbによる処理は、確認された皮下腫瘍の回復をもたらした。MRK−16の可変領域をヒト抗体のFc部分と合体させる組換キメラ抗体は、インビトロにおける細胞毒性を増大させる際に、親MRK−16 mAbよりも効果的であると報告された
Pgpの外部エピトープを認識するモノクロナール抗体HYB−241およびHYB−612は、腫瘍細胞におけるビンクリスチンおよびアクチノマイシンDの蓄積を増大させると共に、これら薬物とベラパミルとの組合せの細胞毒性を増大させることが報告されている10
mAb657と称するマウスIgG2a mAbは、mdr1遺伝子発現細胞に反応すると共にMDRヒト細胞にも反応すると報告されている11。このmAbはヒト末梢血液リンパ球により媒介される細胞毒性に対しMDR細胞の感受性を増大させることも示されたが、Pgpの薬物流出ポンプ機能に対する抑制作用を有することは知られていない。
本明細書にて以下詳細に説明するように、本発明のmAbの作用は多くのレベルにてMRK−16、HYB−241およびHYB−612各mAbの作用とは区別することができ、MDR細胞からのローダミン123流出の抑制に対する作用、細胞増殖およびコロニー形成に対するビンブラチンの作用増強、ドキソルビシンの細胞毒性作用の増強、エピトープ特異性および洗浄剤感受性を包含する。
完全な細胞の表面におけるヒトPgpの細胞外ドメインを認識すると共に、ヒト腫瘍細胞からの抗癌剤のPgp媒介流出に対し強力な抑制作用を示し、ヒトPgp系により輸送される広範な種類の細胞毒性剤に対する耐性を逆転させ、さらに一般的に用いられるPgpの化学的抑制剤と少なくとも同程度の効力を有するが望ましくない副作用を示さないような新規なモノクロナール抗体につき重要なニーズが存在する。この種の特定mAbを産生するハイブリドーマが生産され、この抗体およびその断片もしくは組換誘導体の性質および使用につき以下説明する。
発明の要点
本発明は「UIC2」と称する新規なハイブリッド連続細胞ライン(ATCC受託番号HB11027)およびサブラインUIC2/A(ATCC受託番号 )、並びにこれらハイブリドーマにより産生される新規なmAb(「UIC2 mAb」と称する)を含み、新規なmAbはヒトMDR経細胞膜Pgpの細胞外エピトープに向けられて、Pgp薬物流出機能を強力に抑制することによりヒトMDR細胞における抗癌剤の細胞毒性能力を増大させる。
本発明の一面においては、UIC2ハイブリドーマが生産される。
本発明の他面においては、UIC2/Aと称する蛋白フリーの増殖培地で増殖するUIC2ハイブリドーマのサブラインが生産される。
さらに本発明の他面において、UIC2 mAbが生産され、この種のmAbは上記の特性を有し、標的抗原はヒトm dr1遺伝子によりコードされるヒト細胞表面Pgpである。
さらに本発明の他面において、相補性決定重鎖および軽鎖、並びにその可変および定常領域を包含するUIC2 mAbの断片が開示される。
さらに本発明の他面においては、UIC2 mAbの特異性を有する組換抗体、たとえば人間適合mAb、二官能性mAb、分離されたVHおよびVL抗体領域、VHおよびVL領域を有する線状mAb鎖、これら分子の断片、並びにこの種の組換誘導体をコードするcDNAを包含するUIC2 mAbの組換誘導体が開示される。
さらに本発明の他面においてはUIC2 mAbを用いて、UIC2 mAbが結合するPgpのエピトープ部位に対し相補的であるUIC2 mAbの部位に対する抗イディオタイプ抗体を産生させると共に、抗−抗イディオタイプ抗体を産生させる。
他面において本発明は、UIC2 mAbが結合するPgpの細胞外エピトープ部位を確認する方法をも提供し、これら部位からのアミノ酸配列を用いてUIC2 mAbの結合特性および機能特異性を有する抗体を産生させる。
さらに他面において本発明は、UIC2 mAbまたはその断片もしくは組換誘導体を用いてマルチドラッグ耐性の霊長類腫瘍細胞を診断もしくは分離すると共にヒトmdr1遺伝子の遺伝子産物を生物分子の混合物から分離する方法をも提供する。
他面において本発明は、本発明によるUIC2 mAb、その断片または組換誘導体を医薬組成物中に混入した試薬をも提供し、これら医薬組成物はマルチドラッグ耐性腫瘍を有する患者の免疫療法およびPgpの薬物流出作用の逆転に有用である。
これらおよび他の特徴については、以下の本発明の説明を参照すれば明らかとなるであろう。
図面の説明
第1図はUIC2 mAbによるP−糖蛋白の免疫沈澱の結果を示す。UIC2 mAb、MRK−16 mAbまたはUPC10(IgG2a対照)によるマルチドラッグ耐性BALB/c 3T3−1000細胞からのP−糖蛋白の免疫沈澱は実施例7に記載したように行った。UIC2 mAbおよびMRK−16 mAbに対し特異性の170〜180kDaバンドを矢印で示す。
第2図は、CEM/VLB100(A)およびK562/Inf(B)マルチドラッグ耐性細胞からの蛍光性P−糖蛋白基質ローダミン123の流出に対するUIC2 mAbの作用、並びにローダミン123流出(C)に対する抗−IgGもしくは抗−IgM抗血清によるUIC2 mAbの予備吸着の作用を示す。
第3図はUIC2 mAbによるビンブラスチン細胞毒性の増強を示す。
第4図はUIC2 mAbによる種々の薬物における細胞毒性作用の増強を示す。
第5図は、UIC2およびUIC2/A細胞培養物からの培養上澄液に存在する未精製mAbおよび対応の精製mAbのSDS−PAGE分析を示す。
発明の詳細な説明
同時出願のロニンソン等に係る米国特許出願第622,836号(参考のため、ここに引用する)は、ヒトmdr1遺伝子から転写されたヒト成熟mRNAに対し特異的にハイブリダイズする単離ヒトmdr1遺伝子の配列を開示している12。上記したように、このヒトmdr1遺伝子によりコードされるポリペプチドは、PgpもしくはP−170とも呼ばれるP−糖蛋白である。30kDaの全炭水化物を含めこの蛋白の小部分(約8%)のみが細胞外であると思われる
同時出願の米国特許出願第622,836号においては、ヒトmdr1遺伝子によりコードされるPgpに対するポリクロナールおよびモノクロナール抗体は、遺伝子配列から予測される化学合成のPgp断片、或いは原核もしくは真核発現系により産生されたPgpによる動物の免疫処理によって産生される。本発明においては、マルチドラッグ耐性ヒト細胞の特定のトランスフェクトされた過剰発現性ラインを免疫原として用い、ヒトマルチドラッグ耐性細胞における特定の細胞外Pgpエピトープに向けられたmAbを産生するハイブリドーマを生ぜしめる。
本発明の目的で、マルチドラッグ耐性とは以下の細胞毒性剤に対する交差耐性であると規定される:ビンブラスチン、ビンクリスチン、ドキソルビシン、コルヒチン、アクチノマイシンD、エトポシド、タキソール、ピューロマイシンおよびグラミンジンD。
上記したようにヒトmdr1遺伝子産物Pgpの細胞外ドメインにおけるエピトープに向けられるUIC2 mAbは、マウスを免疫処理するための主たる免疫原として、上記同時出願の米国特許出願第622,836号における単離ヒトmdr1 cDNAでのトランスフェクションによりMDRにした細胞を用いる方法により作成される12。BALB/cマウスを免疫処理するための免疫原細胞は、好ましくはトランスフェクトされた同系のマウス繊維芽細胞、すなわちトランスフェクトされたBALB/cマウス3T3繊維芽細胞である。マウスBALB/c 3T3繊維芽細胞のMDR誘導体は、哺乳類発現ベクター(好ましくは本発明者により開発されたpUCFVXMDR1プラスミド)を用いてヒトmdr1 cDNAにより発生させる13。MDR表現型は最も高い耐性の細胞では不安定であるため、薬物の不存在下で増殖した細胞では耐性の低下を示す。したがって、選択のため使用すべき薬物の維持濃度(たとえば20μg/mlのビンブラスチン)を含有する成長培地にトランスフェクト細胞を維持するのが好適である。
トランスフェクションの後、トランスフェクトmdr1遺伝子が増幅した3T3 BALB/c繊維芽細胞誘導体を、トランスフェクト細胞が耐性である薬物の濃度を順次に高める順次の選択工程により生成させる。この手順は、多量のPgpを発現する高マルチドラッグ耐性の3T3 BALB/c繊維芽細胞の選択および細胞の細胞膜中へのこの分子の挿入を可能にする。細胞は、250ng/ml、500ng/mlおよび1000ng/mlの薬物における繊維芽細胞培養物の連続的培養によりビンブラスチンに対する所望の耐性につき選択することができる。便宜上、この種の細胞をそれぞれBALB/c 3T3−250、BALB/c 3T3−50およびBALB/c 3T3−1000として標識する。最高レベルのmdr1遺伝子産物を発現するBALB/c 3T3−1000の選択細胞が宿主BALB/cマウスの免疫処理につき特に好適である。
ヒトmdr cDNAでトランスフェクトされたマウス細胞(たとえばBALB/c 3T3細胞)を用いて、同系(たとえばBALB/c)マウスを免疫処理する。適する個数の細胞を、当業界で知られた免疫処理法により皮下(s.c.)もしくは腹腔内(i.p.)注射する。典型的には、105〜108個のトランスフェクト細胞を2週間間隔で5回もしくは6回注射し、最終的免疫をたとえば皮下および/または静脈内にて106個の細胞で行う。追加免疫注射してから適する時間の後(典型的には3〜5日間の後)脾臓を超免疫マウスから剔出し、ヒト骨髄腫細胞PX−X63−Ag8.653(ATCC、ロックビル、MD)を用いて標準法14によりハイブリドーマを生ぜしめる。
個々のハイブリドーマ培養物から得られる細胞外の液体を、たとえばヒトPgpを発現しない対照細胞(すなわち非トランスフェクトBALB/c 3T3繊維芽細胞)およびガラススライドに固定されたヒトPgp−発現性(すなわちBALB/c 3T3−1000)細胞を用いると共にFITC−標識されたヤギ−抗マウス多価免疫グロブリン(シグマ・ケミカル・カンパニー社、セントルイス、MO)を第2レポータ抗体として用いる間接的免疫蛍光のような常法により特定mAbの産生につきスクリーニングする。特定のスクリーニング法は臨界的でないが、ただし抗−ヒトmdr1 Pgp mAbを検出しうるものとする。しかしながら、細胞は細胞外蛋白ドメインに対し反応性の抗体のみが検出されるようにスクリーニングに際し透過性にしないことが重要である。
安定なハイブリドーマは、たとえば終点希釈による連続的サブクローン化およびモノクロナール抗体に関する培地のスクリーニングにより常法で確立することができる。ハイブリドーマをたとえば同系動物における腹液中でのインビボ増殖によって繁殖させ、分泌された抗体を分離すると共に、IgGアイソタイプに対し特異性のセファロース−蛋白Aマトリックスを用いる親和性クロマトグラフィーにより腹液から精製する。当業界で周知された免疫グロブリン精製に関する他の方法も使用することができ、たとえば第2抗体に対するmAbの最大吸着に関する条件(たとえば氷浴温度)下での親和性精製されたヤギ抗−マウスIgGに対する吸着を用いる。
蛋白フリー培地で増殖するUIC2ハイブリドーマのサブラインは、完全蛋白フリー細胞増殖培地における胎児牛血清の濃度を0%まで徐々に減少させて生産させることができる。蛋白フリー増殖培地における適当な培養期間の後、細胞を蛋白フリー培地における(たとえばマイクロタイタープレート穴における)一種の希釈(穴1個当り細胞1個)によりクローン化させる。これらクローンを、たとえばBALB/c 3T3−1000もしくはK562/Inf細胞の間接的免疫蛍光標識によって抗体産生につき試験する。mAb産生の最大尺度を示すクローンを培養フラスコに移し、たとえばHEPES緩衝剤が補充されたギブコHPFW培地のような蛋白フリー細胞増殖培地で増殖させる。この種の選択されたクローンはローラ瓶で培養することもでき、その結果UIC2 mAbの工業規模の生産に有用な高い抗体力価の精製mAbが得られる。
上記ハイブリドーマにより産生されたmAb、並びにその断片および組換誘導体(下記に説明する)は、当業界で知られたオクタロニーニ二重免疫拡散法およびマウスIgGサブクラス−特異性の抗血清を用いる免疫ブロット試験により、免疫グロブリンアイソタイプに関して特性化することができる。
mAb、その断片および組換誘導体は、任意便利な技術により(たとえば間接的な免疫蛍光性の免疫標識に続く抗体細胞の相互作用を検出するのに適した任意の技術、たとえばフロー・サイトメトリーもしくは顕微鏡法により)種々異なるPgp−発現性細胞ラインとの反応性につき特性化することができる。他の免疫細胞化学技術も用いることができる。
mAb、その断片および組換誘導体は、免疫沈澱法によりMDR細胞におけるPgpに対する結合につき試験することができる。たとえばMDR細胞(たとえば5〜10×106細胞)を、たとえば35S−メチオニンなどの放射性必須アミノ酸と共にたとえば10〜18時間にわたり37℃でインキュベートしてPgp蛋白を放射能標識することができる。次いで、標識された細胞を細胞における結合部位が飽和されるまで精製抗体調整物と共にインキュベートする。次いで、Pgpを細胞膜から溶解させるがmAbをPgpから解離させない洗浄剤で細胞を溶解させる。内生細胞プロテアーゼによる蛋白分解を抑制するため、たとえば0.1mMの弗化フェニルメチルスルホニル(「PMSF」)のようなプロテアーゼ阻害剤を洗浄剤に添加することができる。各種の洗浄剤を用いてPgpを細胞の細胞膜から溶解させうるが、デオキシコリン酸(0.2〜1%)がmAb−Pgp複合体を解離させないのでUIC2 mAbにつき特に好適である。mAb−Pgp複合体は任意便利な吸着法(たとえば固定化蛋白Aによるこの(IgG−タイプ)mAbの免疫吸着)によって溶解物から分離することができる。固定化蛋白AはIgG免疫蛋白に特異的な吸着剤である。次いでmAb−Pgp複合体をSDS−PAGEにより分離すると共に、mAb含有部位をたとえばウエスタンブロット法によって検出することができ、これにはレポータ分子(たとえばアルカリホスファターゼなど)(フィッシャー・サイエンティフィック社、ピッツバーグ、PA)のようなレポータ分子に結合した標識ヤギ−抗マウスIgG抗体を用いる。ヒトmdr1遺伝子産物の調製分離は、遺伝子産物の吸着剤が本発明の固定化抗体である同様な技術によって行うことができる。
Pgp機能に対する抗−Pgp mAb、その断片もしくは組換誘導体の作用は、蛍光性または放射能標識された薬物のMDR細胞からの流出をmAbの存在下または不存在下で検討して評価することができる。好適分析15においては、Pgpを発現する哺乳類細胞の懸濁物(たとえば105〜107細胞)を氷浴温度にて試験抗体調整物と共に血清フリーの緩衝培地でインキュベートする。次いで処理された細胞にマーカー染料(たとえばローダミン−123(「Rh123」)(0.1〜10.0μg/ml)またはドキソルビシン(1〜10μM))を氷浴温度にて染料と共にインキュベートすることにより付加させる。染料付加した細胞を次いで37℃にて好ましくは上記の抗体調製物と共に培地中でインキュベートして、抗体による細胞表面Pgpの飽和を維持すると共にフローサイトメトリー蛍光法により細胞の染料保持を評価して染料の流出を測定する。
薬物細胞毒性に関する本発明の抗体調製物の効果は、MDRおよび対照細胞の懸濁物を抗体調製物と共にインキュベートし、次いでコロニー形成による細胞増殖抑制、塗沫効率および/またはMTT増殖抑制分析によりたとえばビンカ・アルカロイドのような抗癌剤の不存在下および存在下に細胞増殖抑制につき試験することにより評価することができる13,16。BALB/c 3T3−1000繊維芽細胞が、塗沫効率分析につき特に適し、増殖抑制分析にはMDR細胞ラインK562/infが適している。薬物細胞毒性に対する抗体調製物の作用は、細胞懸濁物を精製抗体調製物と共にインキュベートし、細胞をコロニーもしくは増殖抑制の分析につきマイクロタイタープレート穴に抗体調製物の存在下で塗沫して分析することができる。
補体媒介の細胞毒性を誘発する本発明による抗体調製物の能力は、当業界で知られた分析により、たとえばウサギ血清からの補体を用いて試験することができる17
本発明によれば、ヒトmdr1 Pgp免疫原に対するmAbは、UIC2ハイブリドーマの生成に関し上記したマウスのインビボ免疫処理−脾細胞−ヒト骨髄腫法の代案方法によって産生させることができる。1具体例において、ヒトmdr1遺伝子を発現する細胞による脾臓内の免疫処理を用いて、ハイブリドーマを生産させるための免疫処理脾細胞を得ることができる(たとえば、ここに参考のため引用する引例18参照)。
他の具体例においては、ヒトmdr1遺伝子を発現する細胞を脾細胞培養物に供給し、適する期間(典型的には1週間)の後にマウスもしくはヒト骨髄腫細胞に対する細胞融合を行ってハイブリドーマを生成させるインビトロの免疫処理を行うことができる(たとえば、ここに参考のため引用する引例19参照)。
本発明のUIC2ハイブリドーマにより産生されるmAb(後記実施例3参照)の他に、これら細胞から得られる遺伝子情報を用いて、診断用途および治療用途の両者に有用な組換誘導抗体を産生させることもできる。この種の組換誘導体は、当業界で知られた遺伝子工学の方法(ここに参考のため引用する引例20参照)によって容易に産生させることができる。
好適方法において、UIC2 mAbの重鎖および軽鎖の可変領域をコードするポリヌクレオチド配列は、対応する連鎖の定常領域から得られるプライマーを用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により作成される21。UIC2ハイブリドーマ細胞ラインから抽出されたゲノムDNAをPCRの鋳型として用いる。或いは、標準法22によりUIC2ハイブリドーマのmRNAから合成されたcDNAをPCR鋳型として使用することもできる。PCRにより増幅したUIC2 mAbのVHおよびVL領域は、そのまま或いは適するベクター中でクローン化した後に配列決定される。得られた配列情報はVHおよびVL領域が抗体特異性の全ての決定子を有するので極めて貴重であり、次いでこれを他の抗体または他の組換分子に標準的遺伝子工学技術により移行させることができる。UIC2 mAbの重鎖および軽鎖をコードするcDNAは、cDNAライブラリーを作成すると共にこの種のライブラリーを免疫グロブリン重鎖および軽鎖の定常領域に対応する市販プローブでスクリーニングして分離することもできる。
UIC2 mAbの特異性を有する組換抗体を得るには、上記の分離されたVHおよびVL cDNA配列を発現ベクター中に挿入し、これらをフレーム内でヒトもしくはマウス免疫グロブリン鎖の対応する定常領域のcDNA配列と合体させる。たとえばM13ファージベクターM13−VHPCR1およびM13−VKPCR121を用いて、キメラヒト−マウス重鎖および軽鎖の抗体連鎖を生ぜしめることができる。この種のキメラ抗体は、診断もしくは治療目的で患者にインビボ投与するためのマウス由来の全ゆる抗体よりも好適である。UIC2 mAbの可変領域と共にスライスすべき定常領域の選択は、組換抗体の使用目的により決定される。すなわち、ヒトγ1アイソタイプは、標的細胞の補体媒介および細胞媒介の死滅に効率的な抗体をもたらす17,23。これに対し、γ4アイソタイプの定常領域は、抗体が診断用途(たとえばインビボ画像形成)またはP−糖蛋白輸送薬物の細胞毒性作用向上を他の細胞毒性の誘発なしに目的とする場合に好適である。さらに、抗体「再形成」20によりUIC2の特異性を有する「人間適合」抗体を生ぜしめ、すなわちUIC2 mAbのVドメインの抗原結合性ループをクローン化ヒト抗体のV領域にグラフト化することも可能である17,23−26
UIC2 mAbの組換誘導体を適する発現ベクター内で用いて、当業界で周知された原核(たとえば細菌)もしくは真核(酵母、哺乳類もしくは昆虫)細胞発現系にて多量の対応蛋白を産生させることができる22
完全抗体の抗原特異性を維持するUIC2 mAbの断片を酵素的、化学的または遺伝子工学的技術により誘導することもできる。たとえば、精製されたUIC2 mAbを蛋白分解酵素(たとえばパパインもしくはトリプシンでの部分切断により断片化することができる27。パパイン切断は2個のFab断片と1個のFc断片とを生成する。精製されたUIC2 mAbは、さらにペプシンで切断してF(ab)(互いに結合した2個の抗原結合性ドメイン)を放出することもできる。UIC2 mAbの得られたFabもしくはF(ab)断片を残余の完全抗体から精製分離すると共にFc断片を蛋白Aでのクロマトグラフィーにより或いは他の任意の免疫化学法(同上)によって精製することができる。
さらにUIC2 mAbの断片は、UIC2 mAbの可変(V)領域をコードする単離cDNA配列を用いて遺伝子工学技術により誘導することもできる。すなわち、可変重鎖(VH)領域に対応する断片のみを、単一ドメイン抗体28としてP−糖蛋白に対する特異的な高親和性結合につき用いることもできる。さらに、(VH)ドメインのサブ断片を抗原に対する特異的結合に用いることもできる20。VHおよび可変軽鎖(VL)ドメインを用いて、Fv断片をジスルフィド結合により化学的に生ぜしめ29、或いはVHおよびVLドメインを疎水性の柔軟ペプチドを介し遺伝子的に結合させて一本鎖Fv断片を生ぜしめることもできる30
定常(Fc)部分を欠如するUIC2 mAbの断片は、インビボ用途につき完全抗体よりも有利である。何故なら、この種の断片は向上した組織浸透性を有すると思われるからである。さらに、人体における多くの細胞および組織は抗体のFc部分に結合しうるリセプタを発現して、完全抗体の望ましくない非特異的結合をもたらす。
UIC2 mAb、その相補性決定断片もしくは組換誘導体を、化学的または遺伝子工学的技術(ここに参考のため引用する引例20および31参照)を用いて化学療法剤、動物もしくは植物毒素、放射性同位元素などと結合させることができる。
UIC2(たとえば一本鎖Fv断片)の特異性決定ドメインを用いて、Pgpに特異的に結合する組換ウィルス粒子を生ぜしめることもできる。すなわち、上記UIC2 mAbの一本鎖Fv断片をfdバクテリオファージもしくは他の繊維状ファージの遺伝子III蛋白のN−末端領域に挿入すると共に「ファージ抗体」を生ぜしめることができる(参考のため、ここに引用する引例32参照)。fdバクテリオファージの遺伝子III蛋白は外来ペプチドをスライスしうる4個の部位を有するので、このUIC2 mAbおよび他の幾種かの蛋白に所望の第2の特異性(抗体断片もしくは酵素)を同時に挿入して二官能性ファージ抗体を生ぜしめることもできる。UIC2 mAbの特異性決定ドメインは、他の或る種の原核もしくは真核ウィルスの外側表面で発現された蛋白に挿入することもできる。さらに、この種のドメインを原核性もしくは真核細胞の表面で一般に発現された蛋白(たとえばPgpに対する受容体細胞を標的とする目的で、大腸菌のLamB蛋白33)に挿入することもできる。
さらにUIC2ハイブリドーマを用いて、ハイブリッド二特異性抗体を分泌しうるハイブリッド・ハイブリドーマを作成することもできる20,34。1具体例においては、慣用の細胞融合技術を用いてUIC2ハイブリドーマ細胞を他のハイブリドーマ細胞ラインと融合させ、UIC2 mAbと組合せて診断および/または治療目的に有用である抗原に対しmAbを生ぜしめる(この種の抗原は免疫化学分析で用いられる酵素、細胞毒素、蛍光染料などである)。さらにUIC2ハイブリドーマ細胞を、第2抗原により或いはインビトロ活性化したリンパ球もしくはリンパ球細胞ラインで免疫処理された動物からの脾細胞とハイブリダイズすることもできる35。動物(たとえばマウス、ラットもしくはハムスター)または人間の細胞を、ハイブリッド・ハイブリドーマ生産につき融合相手として使用することができる。所望の二官能性抗体はUIC2 mAbおよび相手抗体から常法により分離することができる27
本発明は寄託したUIC2およびUIC2 mAb/Aハイブリドーマのみにその範囲を限定することを意図せず、これらハイブリドーマは単にUIC2 mAbと同じエピトープに対し競合的に相互作用すると共に機能を以下の実施例につき説明するようなUIC2 mAbの機能的均等物であるPgp細胞外エピトープ特異性mAbを産生するハイブリドーマの単なる例示として示すことを意図する。
さらにUIC2 mAbを、特異性抗−イディオタイプ抗体を得るための免疫原として当業界で周知された方法により使用することもできる36。この種の抗−イディオタイプ抗体は、UIC2 mAb抗原結合部位に向けられる。この種の結合部位は、その構造においてUIC2 mAbと反応する(すなわち相補的である)Pgpのエピトープに類似しうる。UIC2 mAbの抗−イディオタイプ抗体またはその誘導体もしくは断片は、Pgpに対する免疫反応を引出すためのワクチン調製物として、すなわちMDR腫瘍に対する宿主反応を刺激する手段として有用である。さらに、抗−イディオタイプ抗体は、抗−抗−イディオタイプ抗体を得るための免疫原としても使用することができる。この種の抗−抗−イディオタイプ抗体は原UIC2 mAbと同じエピトープ特異性および機能的作用を有すると思われ、したがってこの抗体の誘導体と見ることができる。特に、UIC2 mAbの特異性を有する抗−抗−イディオタイプ抗体を産生するヒト細胞ラインは、UIC2 mAbに対する抗−イディオタイプ抗体で末梢β−リンパ球を確立技術36によってインビトロ免疫処理して生成させることができる。この手法は、UIC2 mAbの特異性と生物学的効能とを有する全ヒト(人間適合ではない)mAbを産生する。ワクチンとしての抗−イディオタイプ抗体の有用性および原抗体の抗原特異性に類似する抗−抗−イディオタイプ抗体の能力は当業界で周知されている37
UIC2 mAbは、本発明のmAbとは異なりMDRを抑制もしくは逆転しえないようなmAbにより認識されるものとは相違するPgpの特定エピトープを認識する。UIC2 mAbエピトープを含むPgpの特定領域は、このmAbとヒトPgp(特にPgpの細胞外ドメイン)に含まれる一連の短い合成ペプチドとの反応性を試験して同定することができる。この手段により、MRK−16 mAbのエピトープがPgpの6個の予測される細胞外ペプチドループのうち第1および第4ループまで配列決定されている38。或いは、UIC2エピトープを含む蛋白配列は、適する発現ベクター(たとえばλgt1139もしくは挿入ペプチドをLamb、大腸菌の表面蛋白、との融合蛋白の部分として発現するベクター33)でmdr1 cDNAの短いランダム断片のライブラリーをスクリーニングするためのプローブとしてUIC2 mAbを用いて決定することもできる。さらに他の具体例においては、UIC2 mAbのエピトープ部位を、一連のトランスフェクト体MDR細胞ラインに対するmAbの結合を試験して確認することもでき、各細胞ラインは細胞外ループに既知の欠失を有する変種mdr1 Pgpを有する。特定Pgp変種に対しmAbが反応しないことは、欠失ペプチド断片がUIC2 mAbの認識部位の1部を構成すること或いはこれが認識に重要な構成に影響を及ぼすことを示す。エピトープが上記手法により確認された後、この種の部位からのアミノ酸配列を用いて他の抗体、好ましくはUIC2 mAbの特異性を有するモノクロナール抗体を産生させることができる。
本発明のUIC2 mAbまたはその相補性決定断片もしくは組換誘導体は、特に下記するようにMDR腫瘍を有する患者の免疫診断および免疫療法に使用することができる。
免疫診断
UIC2 mAb、その相補性決定断片または組換誘導体を、MDR細胞のエクスビボもしくはインビボの両者における検出の特異性および感受性試薬として使用することができる。
MDR細胞を同定および/または定量するための直接的免疫分析法において、懸濁もしくは同定化(培養プレート)細胞または組織断片または他の細胞学的もしくは組織学的調製物をUIC2 mAb、その断片もしくは組換誘導体と共にインキュベートしてレポータ分子で共有標識する。免疫学技術には広範な種類のレポータ分子が知られており、蛍光発色団、クロマゲン、化学発光剤、酵素、アビジン−ビオチン系、放射性原子などを包含する。最大結合のためのインキュベーション条件は、無駄な実験なしに選択することができる。典型的には、緩衝剤における細胞を低温(たとえば4℃)にて30〜60分間にわたり標識抗体と共にインキュベートする。細胞標識された抗体の複合体を分離すると共に洗浄した後、標識を当業界で知られた技術により検出し、或いは定量する。或いは、主たる抗体(すなわちUIC2 mAb、その断片もしくは誘導体)を標識せずに、たとえば抗免疫グロブリン抗体またはレポータ分子と結合したF(ab)断片のような第2の標識試薬によって検出を行う。
或いは、MDR細胞を免疫蛍光顕微鏡法により検出する。MDR細胞であることが疑われ或いはそれを含有すると思われる細胞懸濁物を患者から得ると共に、プラスチック培養皿にて成長させる。次いで細胞をUIC2 mAb、その断片または組換誘導体と最大結合の条件下で接触させる。この種の条件は、無駄な実験なしに容易かつ日常的に決定される。固定化された細胞−抗体の結合体を緩衝液で洗浄して未結合物質を除去した後、結合体を蛍光発色団標識された第2抗体(たとえばローダミン標識ヤギ抗−マウスIgG)と接触させる。次いで細胞を洗浄し、ホルマリンもしくは他の適する固定剤で固定し、次いで蛍光顕微鏡にて検査する15。蛍光の量(したがって試料中に存在するMDR細胞の個数)は標準的画像分析装置により定量することができる。UIC2 mAbの断片もしくは組換誘導体を使用する場合は、適する第2の抗体を用いねばならない。
本発明のUIC2 mAb、相補性決定断片および組換誘導体は、MDR細胞を含有すると疑われる腫瘍セクションの免疫細胞化学染色に関する当業界で知られた方法、すなわち同じスライドにおけるmdr1ポリヌクレオチドプローブに対するその場でのハイブリット化と組合せうる技術(ここに参考のため引用する免疫細胞化学法に関する引例40参照)に用いることもできる。
免疫療法
本発明の1具体例において、UIC2 mAbまたはその相補性決定断片もしくは組換誘導体は医薬上許容しうる賦形剤(この種の賦形剤は、ここに参考のため引用する引例41に記載されている)にて、たとえば非経口ルートのような敵するルートにより霊長類患者に投与することができる。治療効果は、MDR腫瘍細胞を標的とし、この種の細胞の表面Pgp分子の細胞外ドメインに強力に結合し、これによりこの経膜蛋白により誘発される薬物流出メカニズムを抑制する抗体調製物の能力に基づく。この治療方式において、抗癌剤は本発明の抗体または抗体−細胞毒素複合体と一緒に或いは順次に投与することができる。
他の具体例において、抗体またはその断片もしくは組換誘導体は医薬上許容しうる賦形剤でMDR腫瘍を有する患者に投与して、抗体分子の作用部分を介し腫瘍に対して補体媒体または抗体媒体の細胞毒性を誘発させる。
第3の具体例においては、抗体調製物を先ず最初にたとえばドキソルビシンもしくは放射性同位元素またはその両者のような細胞毒性剤と共有結合させ、この結合体を医薬上許容しうる賦形剤にてMDR腫瘍を有する霊長類患者に投与する。この具体例は、抗体がMDR細胞を標的とし、抗体が薬物のPgp媒体流出を抑制しかつ細胞毒素が標的細胞を破壊するような治療効果の組合せをたらす。
UIC2 mAbまたはその誘導体を用いるMDR腫瘍細胞の選択的破壊に関する上記方式は、インビボ投与だけでなくエクスビボ化学療法にも使用することができる。たとえばエクスビボ化学療法は、患者の骨髄から自己骨髄移植を含む癌治療方式にて腫瘍細胞をパージする手段として使用することができる。すなわち、患者の骨髄試料を人体から抜取り、懸濁物をUIC2 mAbまたは上記細胞毒性誘導体の1種で処理してMDR細胞を破壊し、次いで処理された骨髄を患者に戻す。
使用者に便利なため、市販キットを組立てることもできる。この種のキットは別々の容器内に次のものを内蔵する:UIC2 mAb;未標識またはレポータ分子で標識されたUIC2 mAb断片;未標識またはレポータ分子で標識されたUIC2 mAbの組換誘導体;およびUIC2 mAb抗−イディオタイプ抗体。
以下、実施例により本発明を好適実施例につき説明するが、これらは決して本発明の範囲を限定するものと解釈してはならない。
実施例1
マルチドラッグ耐性細胞ライン
mdr1経膜Pgpを発現するマウス繊維芽BALB/c 3T3細胞を、繊維芽細胞に単離ヒトmdr1 cDNA12を真核発現ベクターpUCFVXMDR113にてトランスフェクトさせ、マルチドラッグ耐性細胞を20ng/mlのビンブラスチンで単離し、次いでトランスフェクトした遺伝子を250ng/ml、500ng/mlおよび1000ng/mlのビンブラスチンにおける順次の選択工程により増幅させて誘導した。得られたマルチドラッグ耐性の繊維芽細胞をそれぞれBALB/c 3T3−250、BALB/c 3T3−500およびBALB/c 3T3 1000と称する。
K562/inf細胞ラインを、ヒトK562白血病細胞にヒトmd r1 cDNA42を有する組織レトロウィルスpLMDR1L6を感染させ、次いで細胞毒性選択なしにサブクローン化することにより誘導した。
ヒトmdr1 cDNAおよびneo(G418耐性)遺伝子を発現するプラスミドpUCFVXMDR1/neoでCHO LR73繊維芽細胞ラインをトランスフェクトし、次いでG418で選択すると共にRh123の流出増大につき個々のトランスフェクト体を試験することにより、LRMN1細胞ラインを得た。
コルヒチンもしくはビンブラスチンでの多工程選択によりヒトKB−3−1癌腫細胞から分離したMDR細胞ラインKB−8、KB−8−5、KB−8−5−11およびKB−V1をミッチェルM.ゴッテスマン博士、ナショナル・インスチチュート・オブ・ヘルス、ベセスダ、MDから得た。
KB−GRC1細胞を、pUCFVXMDR113でのトランスフェクションおよびコルヒチンを用いる選択によりKB−3−1から誘導した。
ビンブラスチンでの多工程選択によりヒトCEM白血病細胞から誘導されたCEM/VLB100細胞をW.T.ベック博士、セント・ジュード小児科病院、メンフィス、TNから得た。
マウスJ774.2マクロファージ細胞ライン、J7−V2−1、J7−V3−1およびJ7−C1−100のビンブラスチン−もしくはコルヒチン−選択MDR誘導体をS.B.ホルビッツ博士、アルバート・アインシュタイン薬科大学、ブロンクス、N.Y.から得た。これら細胞ラインはその組合せにて3種全てのマウスmdr遺伝子、すなわちmdr1a、mdr1bおよびmdr2を過剰発現する43
実施例2
モノクロナール抗体
MRK−16 mAb(IgG2a)をT.ツルオ博士、東京大学、日本国から得た。HYB−241およびHYB−612 mAb(IgG1)をL.リットマン・グラウア博士(バイブリテク・コーポレーション社、サンジエゴ、CA)から得ると共に、mAb C219(IgG2a)をセントコール社、マルバーン、PAから得た。
mAb試料は全て、SDS−PAGEにより少なくとも純度95%であった。mAbの濃度をマウスIg放射免疫拡散定量キット(ICN社、コスタ・メサ、CA)により測定した。必要に応じ、mAbをさらに濃縮し、燐酸塩緩衝塩水(PBS)またはデュルベッコ改変イーグル培地(DMEM)で透析した。
実施例3
UIC2ハイブリドーマの誘導化
BALB/cマウスを実施例1から1〜2×107個のBALB/c 3T3−1000細胞で免疫処理し、2週間間隔で6回皮下注射および/または腹腔内注射した。最終的免疫を2×107個の細胞(腹腔内)および5×106個の細胞(静脈内)で行った。最後に繊維芽細胞を投与してから4日間の後、1匹の動物からの脾臓を剔出し、P3−X63−Ag8.653ヒト骨髄腫細胞とのハイブリドーマを当業界で知られた技術により生ぜしめた。FITC標識のヤギ抗−マウス多価免疫グロブリン(シグマ・ケミカル・カンパニー社、セントルイス、MO)を1:100の希釈で第2抗体試薬として使用した。
個々のハイブリドーマからの組織培養上澄液を、ガラススライドに付着した生BALB/c 3T3およびBALB/c 3T3−1000細胞の間接的免疫蛍光標識によりmAb産生につきスクリーニングした。556種の試験したハイブリドーマのうち、2種のみのハイブリドーマにより産生されたmAbがBALB/c 3T3−1000細胞と反応し、これら2種のうち1種のハイブリドーマ(UIC2と称する)のみがBALB/c 3T3−1000細胞には反応するが対照BALB/c 3T3細胞には反応しない抗体を産生した。
UIC2 mAbを分泌する安定なハイブリドーマラインを終点希釈によるサブクローン化および上澄液のスクリーニングに関する3回の連続操作により確立した。
UIC2ハイブリドーマを同系BALB/cマウスにおける腹液として増殖させ、免疫グロブリンをセファロース−蛋白A(ビオラド社、リッチモンド、CA)親和性クロマトグラフィーにより腹液から精製した。SDS−PAGEにより試験したUIC2 mAbは少なくとも95%純度のIgGであった。このUIC2ハイブリドーマをアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション、ロックビル、MD(U.S.A.)に寄託し(受託番号HB11027)、これは本発明につき特許成立した後に一般に入手しうる状態に置かれている。
抗−マウスIg抗体の標準群を用いるオクタロニーニ技術および免疫ブロット試験を適用したところ、UIC2 mAbはIgG2aサブクラスに属することが判明した。
補体媒介の細胞毒性を誘発するUIC2 mAbの能力を、Low−Tox−M−ウサギ補体(セダ−レイン・ラボラトリース社、ホーンビー、オンタリオ)によりBALB/c、BALB/c 3T3−1000、CEM、CEM/VLB100、K562およびK562/Infの各細胞ラインにつき試験した。
実施例4
UIC2 mAbとヒトmdr1遺伝子産物との反応性
間接的免疫蛍光標識
UIC2 mAbを、先ず最初に免疫蛍光染色により各種のPgp発現性細胞ラインとの反応性につき試験した。試験した細胞ラインおよびその結果を第1表に示す。
Figure 0003631750
Figure 0003631750
UIC2 mAbは、ヒトmdr1 cDNAでトランスフェクトすると共に細胞毒性選択により或いはそれなしに分離したヒトもしくは囓歯類細胞を含むヒトmdr1遺伝子を発現する全ての試験したヒト細胞ライン並びにPgpを発現することが知られたCV1−COSミドリザル細胞と反応したが、その薬物感受性の新細胞またはPgp陰性細胞ラインとは反応しなかった。UIC2 mAb免疫染色の強度は、種々異なる細胞ラインにおける薬物耐性の既知レベルと相関した。UIC2 mAbは3種のマウスmdr遺伝子のそれぞれによりコードされるPgpを発現するマウスJ774.2細胞のMDR誘導体と反応せず、このことはUIC2 mAb反応性が霊長類−特異性であることを示す。
上記したように、K562/Inf細胞は、mdr遺伝子のレトロウィルス移動および細胞毒性選択なしのサブクローン化により産生された。この細胞ラインに対するUIC2 mAbの反応性は、UIC2 mAbがmdr1遺伝子産物には反応するが細胞毒性ストレスにより生成される他の細胞マーカーとは反応しないことを示す強力な証明となる。
実施例5
免疫沈澱によるPgpの単離
トランスフェクトしたMDR細胞(5〜10×106)を、10%FCSを含むメチオニン−フリーのDMEMにて50μCi/mlの35S−メチオニン(ICN)により37℃にて7%CO2中で10〜18時間にわたり代謝標識した。細胞をPBSで洗浄した後、これらを2.6mlのPBSにおけるUIC2 mAbと共に室温にて1時間インキュベートした。次いで細胞を洗浄し、さらに溶解させた(PBS中にて2〜4分間にわたり0.2%デオキシコリン酸および0.2mMのPMSF)。溶解物を微小遠心分離器での遠心分離により4℃にて15分間清澄させた。上澄液を固定化蛋白Aビーズ(レプリゲン社、ケンブリッジ、MA)と共に4℃にて1時間にわたり絶えず回転しながらインキュベートした。蛋白AはIgG抗体用の一般的吸着剤である。沈降したビーズを溶解用の溶液で5回洗浄した後、ビーズを40μlのSDS−PAGE試料緩衝液に移し、SDS−PAGEにて免疫沈澱した蛋白を放射能およびSDS−PAGEによる分子量(7.5%)につき分析した。
これらの実験は、UIC2 mAbがMDR細胞で発現された170〜180kDaの蛋白を認識することを示した。この蛋白はSDS−PAGEにてPgp−特異性MRK−16 mAbにより同一条件下で免疫沈澱した蛋白と一緒に移動し、このことはUIC2 mAbにより認識される抗原がヒトPgpであることを確認する(第1図)。
UIC2 mAbによる免疫沈澱は、Pgpを有する細胞膜をデオキシコレートで溶解させる際に最も有利であった。洗浄剤CHAPSによる溶液は、MRK16 mAbによるPgpの免疫沈降を効率的にするがPgpとUIC2 mAbとの反応性を効果的に排除した。この結果は、UIC2 mAbとMRK−16 mAbとがPgpにおける異なるエピトープを認識すると共に各洗浄剤に対し異なる感受性を有することを示唆する。MRK−16 mAbと同様にUIC2 mAbは、PgpがC219 mAb(これはこの蛋白の膜に位置しない細胞内エピトープを認識する)により検出しうる条件下で、ウエスタンブロットにて変性Pgpと反応しなかった。N−オクチルグルコシド(1%、ベーリンガー・マンハイム社)は、有効ではあるが、UIC2 mAbを用いる免疫沈澱につきデオキシコレートよりも効果が低かった。
上記分離手順は柔軟である。たとえば溶解の前にPgp発現性の標的細胞をトリプシン処理し、これらを洗浄剤溶液で溶解させ、次いで抗体および蛋白−Aビーズで処理することができる。上記のように、蛋白AはIgG抗体の一般的吸着剤である。或いは、抗体で予備被覆した蛋白Aビーズを使用することもできる。時間および濃度のパラメータも柔軟である。動物もしくはヒト由来のものを含めヒトPgpを発現する任意の細胞ラインを標的細胞ラインとして使用することができる。
実施例6
UIC2モノクロナール抗体による補体媒介の細胞毒性の増
UIC2 mAbを、当業者に知られた補体媒介の細胞毒性分析により、マルチドラッグ耐性BALB/c 3T3−1000細胞を破壊する能力につき試験した。実験を反復して、これら細胞の70〜80%がUIC2 mAbにより死滅した。
実施例7
UIC2 mAbによる蛍光性化合物のPgp媒介流出の抑制
MDR細胞からの蛍光性化合物の流出に対するmAbの作用をフロー・サイトメトリー分析15,44により検討した。この分析において、106個の懸濁細胞を20μg/mlの異なるmAb調製物と共に3〜5mlの血清フリー培地にて0℃で30分間培養し、次いで2回洗浄し、冷たい間に0.5〜1.0μg/mlのRh123を10分間かけて加え、或いは5μMのドキソルビシンを1時間かけて加えた。ローダミン123(Rh123)はミトコンドリア蛍光染料である。mAb(20μg/ml)をも流出期の間に37℃にて染料フリーの培地に添加した。この温度にて、PgpはRh123を細胞から除去する。流出の後の染料保持を蛍光フロー・サイトメトリーにより測定した。
MDR細胞からのPgp−輸送染料の流出に対するUIC2 mAbの作用を測定した。第2A図の実験においては、CEM/VLB100細胞に10μg/mlのRh123を加え、染料フリー培地にてUIC2 mAb、MRK−16 mAbもしくはUPC10(対照IgG2a)の存在下で37℃にて30分間培養し、細胞をフロー・サトメトリーにより分析した。細胞蛍光を対数尺度でプロットした。第2B図の実験においては、K562/Inf細胞に氷上にてRh123を1μg/mlの量で加え、2A図におけると同様に培養したが、ただし流出時間を40分間とした。第2C図の実験においては、K562/Inf細胞からのRh123流出をBにおけると同様に分析し(ただし流出時間を半分にした)、これを対照IgG2a mAb(UPC10)、UIC2 mAbもしくはUIC2 mAb(抗マウスIgGもしくは抗マウス−IgM吸着剤を予備吸着させた)の存在下で分析した。
吸着実験にて、20μg/mlのUIC2 mAbを親和性精製されたヤギ−抗マウスIgGもしくは抗−マウスIgMと共有結合した0.3mlのアガロースビーズ(シグマ社)と共に1時間インキュベートし、吸収した材料を遠心分離により除去した。UPC10抗体(対照IgG2a)をUIC2およびMRK−16mAbのアイソタイプ対照として使用した。精製された全マウスIgGをHYB−241およびHYB−612 mAbの対照として使用した。
UIC2 mAbは、MDR細胞にて0℃でPgp輸送染料Rh123の蓄積を変化させなかった。しかしながら、20μg/mlにて、このmAbはその後のCEM/VLB100およびK562/Inf細胞ラインからの37℃におけるRh123の流出を、UPC10 IgG2a mAbで処理された対照と対比して顕著に抑制した(第2A図、第B図)。明確かつ対照的に、同一条件下でMRK−16 mAbはRh123の流出を抑制しなかった(第2A図、第B図)。細胞表面ヒトPgpを認識することが知られた他の2種のmAb調製物(すなわちHYB−612およびHYB−241)も、たとえUIC2、MRK−16、HYB−241およびHYB−612抗体による試験された全細胞ラインの免疫蛍光染色の強度がほぼ同じであったとしても、Rh123流出に対し効果を示さなかった。20μg/mlのUIC2 mAbの濃度は、試験された全細胞ラインにつき飽和であることが判明した。
K562/Inf細胞(第2C図)およびCEM/VLB100細胞からのRh123流出に対するUIC2の抑制作用は抗−マウスIgGでの予備吸収の後に排除されたが、対照抗−マウスIgM吸着剤では排除されなかった。このことは、Rh123流出抑制の原因となる物質が抗体であって、非IgG汚染物でないことを示す。
同じ種類の分析は、UIC2 mAbがK562/Inf細胞からの蛍光性抗癌剤(ドキソルビシン)の流出を減少させることを示した。
実施例8
UIC2モノクロナール抗体によるマルチドラッグ耐性の逆
G418(ギブコ社)およびタキソール(S.B.ホルビッツ博士の寄贈)を除き薬物は全てシグマ社から入手した。コロニー形成および細胞増殖抑制に関するMTT分析を当業者に知られた方法により行った。薬物細胞毒性に対するmAbの作用は、懸濁物で増殖する細胞またはトリプシン処理された単層細胞をDMEMで予備透析された精製mAbと共に室温にて30分間インキュベートすることにより分析した。細胞を3反復にて6穴細胞培養プレート(ファルコン・プラスチックス社、コロニー分析につき200〜250細胞/穴1個およびMTT分析につき400〜450細胞/穴1個)にmAbの存在下で塗沫した。K562/Inf細胞のMTT分析については、96穴プレートを4反復で用いた。10%熱失活FCSを含むDMEMを全ての分析に用いた。
抗癌剤ビンブラスチンに対する2種のマルチドラッグ耐性細胞ラインの耐性に対するUIC2 mAbの作用を、2種の異なる分析システム(すなわち細胞増殖およびコロニー形成)にて試験した。
第3A図に示したシステムにおいては、種々異なる濃度のビンブラスチンによるBALB/c 3T3−1000繊維芽細胞増殖の抑制を20μg/mlのUIC2mAb
Figure 0003631750
または対照IgG2a(UIC10)
Figure 0003631750
で試験した。数値は全て、薬物の不存在下に増殖させたUPC10 mAb処理のBALB/c 3T3−1000細胞と対比して示す。分析は全て3反復で行った。
第3B図に示したシステムにおいては、ビンブラスチンの存在下でのBALB/c 3T3−1000繊維芽細胞によるコロニー形成に対する異なるmAbの効果を検査した。細胞(穴1個当り200個)を6穴ファルコン皿に350ng/mlのビンブラスチン(ID90)および20μg/mlのmAbの存在下で塗沫した。コロニーをメタノールもしくはエタノールで固定すると共にクリスタル・バイオレットにより11日目に染色し、塗沫効率について評価した。
第3C図に示したシステムにおいては、ビンブラスチンの不存在下
Figure 0003631750
または350ng/mlのビンブラスチン(ID90)の存在下
Figure 0003631750
におけるBALB/c 3T3−1000細胞増殖に対する異なる濃度のUIC2 mAbの作用を検査した。数値は全て、ビンブラスチンなしに増殖させた対照UPC10 IgG2a処理細胞と対比して現す。
第3D図に示したシステムにおいては、ビンブラスチンの不存在下
Figure 0003631750
または350ng/mlのビンブラスチンの存在下
Figure 0003631750
におけるBALB/c 3T3−1000細胞の増殖に対する異なる濃度のベラパミルの作用を検査した。
UIC2 mAbおよびUPC10 IgG2aの両者を使用前にECONO−PAC(登録商標)10DGカラム(ビオラド社)により脱塩し、血清フリーDMEM培地で平衡にし、多量の培地もしくはPBSで透析し、次いで低蛋白結合性0.2μmアクロディスク(登録商標)フィルタ(ゲルマン・サイエンス・カンパニー社)により濾過した。
さらに他の試験システムにおいて、懸濁培養にて増殖するK562/Inf細胞(実施例1に説明したようにマルチドラッグ耐性にした)のビンブラスチン耐性を細胞生存分析で試験した。細胞(穴1個当り5×103個)を4反復にて96穴プラスチックプレート(ファルコン社)にビンブラスチンの増加濃度および20μg/mlの精製UIC2 mAbもしくは比較UPC10 IgG2a蛋白の存在下で塗沫した。37℃にて5%CO2中で6日間培養した後、細胞生存率をMTT分析により測定した。
第3A図に示したように、UIC2 mAbの添加はビンブラスチンによるBALB/c 3T3−1000細胞の細胞増殖抑制を強力に増強させ、ID50値を650ng/mlから150ng/mlまで減少させた。ビンブラスチンの不存在下で、UIC2 mAbは細胞増殖に対し作用を示さなかった。
第3B図のデータは、20μg/mlのUIC2 mAbが350ng/mlのビンブラスチンの存在下にBALB/c 3T3−1000細胞によるコロニー形成を完全に阻止したことを示す(この細胞ラインにつきID90に対応)。これに対し、3種の他の公知の抗−Pgp mAb(MRK−16、HYB−241およびHYB−612)は、同一濃度にて細胞増殖もしくはコロニー形成に対し顕著な作用を示さなかった(第3C図)。
3T3−1000細胞における350ng/mlのビンブラスチンの細胞毒性に対するUIC2 mAbの増強作用は約1μg/ml程度に低いmAb濃度にて検出可能となり、UIC2 mAbは10μg/mlにて細胞増殖を全て抑制した。ベラパミル(すなわち充分特性化されたPgpの化学的抑制剤)は、3×10-6M程度の高い濃度においてのみビンブラスチン毒性の同じ増強を達成した(第3D図)。
さらにUIC2 mAbは、K562/Inf、KB−GRC1およびKB−V1を包含する他の全ての試験細胞ラインにおいて薬剤耐性のレベルを顕著に低下させた。
これらの知見は、UIC2 mAb、その断片またはUIC2 VHおよび/またはVL領域を有する組換誘導体を用いてマルチドラッグ耐性を解消しうることを示す。
実施例9
MDRに対するUIC2 mAbの多面発現作用
実施例8で観察された細胞毒性に対するUIC2 mAbの増強作用がビンブラスチンにより例示される特定種類のPgp輸送薬物に限定されるかどうかを決定するため、このシステムにて、MDR細胞が耐性であると知られかつ細胞毒性の種々異なるメカニズムを有することが知られた9種の薬物を比較した。
第4図における棒線は、20μg/mlのUIC2 mAb(黒棒線)またはUPC10 IgG2a対照(ハッチング棒線)の存在下におけるBALB/c 3T3−1000細胞の生存率(MTT分析により測定)を示す。3反復の分析の平均値を示し、SDmeanは各平均につき<20%であった。細胞生存率を、薬物の不存在下で増殖した比較細胞の生存率と対比して現す。予備測定したID50値に対応する薬物濃度は次の通りであった:ビンブラスチン、0.73μM;ビンクリスチン、3.2μM;コルヒチン、1μM;タキソール、1.6μM;ドキソルビシン、0.4μM;エトポシド、2.2μM;アクチノマイシンD, 0.06μM;ピューロマイシン、37.5μM;グラミシジンD、4.1μM;メトトレキサート、0.04μM;G418、96μM;ゲンタマイシン、24μM。
BALB/c 3T3−1000細胞につきID50に対応する薬物濃度にて、20μg/mlのUIC2 mAbは、MDR細胞が交差耐性であると知られたビンブラスチン、ビンクリスチン、コルヒチン、タキソール、ドキソルビシン、エトポシド、アクチノマイシンD、ピューロマイシンおよびグラミシジンDを含有するいずれの薬物の存在下でも細胞増殖を顕著に低下させた(第4図)。UPC10比較と対比したUIC2 mAbによる細胞増殖の抑制はコルヒチンの68%からビンブラスチン、ドキソルビシン、アクチノマイシンDおよびタキソールの100%に至る範囲であった。同様な実験をID20値に対応する薬物濃度で行った場合、UIC2 mAbは試験した全薬物につき97〜100%だけ細胞増殖を抑制した(データ示さず)。UIC2 mAbは、MDR細胞が交差耐性でないと知られたメトトレキサート、5−フルオロウラシル、cis−プラチン、G418およびゲンタマイシンを包含する5種の細胞毒性剤のID50値に対する細胞反応に何ら作用を示さなかった(第4図)。
したがって、UIC2 mAbの細胞毒性増強作用はPgp基質に特異性であると結論することができる。
実施例10
UIC2 mAbエピトープ
上記実施例5においては、UIC2 mAbおよびMDR−16mAbを同じ洗浄剤に対する各エピトープ複合体の反応における差によって互いに区別しうることが示された。
上記実施例7および8においては、UIC2 mAbがPgpの薬物流出機能を効率的に抑制しうることが示されたのに対し、たとえばMRK−16、HYB−241およびHYB−612のようなPgp上の細胞外エピトープに向けられる他の公知のモノクロナール抗体はこの性質を示さない。
UIC2 mAbのエピトープ領域を他の上記モノクロナール抗体のエピトープ領域からさらに区別するため、A.シンケルおよびP.ボルスト博士、オランダ癌研究所、アムステルダムは本発明者等と共同してUIC2 mAb、MRK16 mAb、HYB−241 mAbおよびHYB−612 mAbの反応性をシンケル博士およびホルスト博士により欠失を有する通常のmdr1 cDNA、mdr1 cDNAまたはmdr2/mdr3遺伝子のcDNA(すなわちmdr1 cDNAに近縁であるが細胞に薬物耐性を付与しない)のいずれかでトランスフェクトされた細胞ラインと比較した。
モノクロナール抗体とトランスフェクト細胞との反応性を、本発明者等の共同により標準免疫細胞化学法で試験した。付着性細胞をトリプシン処理により培養皿から除去し、PBSで1回洗浄し、ガラススライド上にスポットし、次いで風乾した。ホルムアルデヒドで細胞を固定するため、細胞を室温にて1分間にわたりPBSで再加水し、次いでPBS中の10%ホルムアルデヒド(pH7.2、7℃)にて20分間にわたり固定させた。スライドをPBSを数回交換しながら室温にて5〜10分間にわたり洗浄し、風乾し、次いで−20℃にて貯蔵した。固定細胞を染色するため、細胞をPBSで再加水し(室温、10分間)、室温にてPBS+1%(w/v)BSA+通常のヤギ血清(1:1000)にて20分間にわたりインキュベートした。過剰の液体を吸取って除去した後、細胞を8μg/mlのPBS中のmAbと接触させた(2時間、室温)。PBSで2回洗浄した後、細胞を室温にて30分間にわたりFITC標識のヤギ−抗−マウスIgG(タゴ社、バーリンガム、CA)と共にインキュベートし、PBS/BSAにて1:50に希釈し、PBSで2回洗浄し、80%(v/v)グリセリン/20%(v/v)PBSに入れ、トリス塩基でpH8.0にした(グリセリンは約87%グリセリンである)。次いで、染色した細胞を蛍光顕微鏡で検査した。
UIC2 mAbは全長ヒトmdr1 cDNAでトランスフェクトされた細胞と反応したが、mdr2/mdr3 cDNAでトランスフェクトされたtMDR3.35細胞とは反応しないことが観察された45。さらに、UIC2 mAbは欠失型のヒトmdr1 cDNAを発現するトランスフェクト細胞とは反応しなかった。この欠失型は、次のアミノ酸範囲の最初の細胞外ループに欠失部を有するPgpをコードする:IFANAGNLEDLMSNITNRSD。これに対し、MRK−16およびHYB−241 mAbはこの種の欠失トランスフェクト体と反応した。
これらの結果は、UIC2 mAbにより認識されるエピトープが、UIC2 mAbの同じ生物機能活性と洗浄剤反応性とを持たない従来公知の抗−Pgpモノクロナール抗体により認識されるエピトープとは異なることを示す。
したがって、UIC2 mAbエピトープを認識する他のモノクロナール抗体もPgpポンプを抑制しうることが予測される。この種のモノクロナール抗体は、全長ヒトmdr1 cDNAでトランスフェクトされた細胞と反応する能力と、上記範囲のアミノ酸内に欠失部を持ったPgpをコードするmdr1 cDNAでトランスフェクトされた細胞とは反応しえないことと組合せて容易に確認することができる。
実施例11
UIC2/Aハイブリドーマの誘導化
UIC2/A(ATCC No. )と称するUIC2ハイブリドーマのサブラインを、親培養物から初期増殖培地(10%胎児牛血清(FCS)とペニシリン−ストレプトマイシンが補充されたDMEM)を徐々にHPFW(ギブコ社)蛋白フリー培地で交換して発生させた。
UIC2細胞を最初に、10%FCSが補充されたHPFW培地にて25mlフラスコ(ファルコン社)で培養した。FCSの濃度を徐々に0%まで低下させた。蛋白フリー培地で1か月間培養した後、ほぼ全細胞がフラスコ表面に付着して増殖の可能性を喪失し、8〜20個の細胞よりなるクラスターにおける懸濁培養物として増殖し続けた。この時点で、細胞を一連の蛋白フリー培地で96穴プレートにて穴1個当り1個の細胞に希釈することによりクローン化させた。各穴からの上澄液をBalb/c−3T3−1000もしくはK562/Inf細胞の間接的な免疫蛍光標識(上記実施例36参照)により抗体産生につき試験した。最も強い免疫蛍光信号を発したクローンを25mlフラスコに移し、この細胞ラインを増殖させた。この細胞ライン(UIC2/A)を懸濁培養物として25ml、75mlおよび175mlのフラスコにおけるHPFW培地に移した。25mMのHEPESを補充した後、UIC2/Aをローラ瓶で培養して高い抗体力価を得ることができた。
UIC2/Aにより産生されたmAbの特異性は、親UIC2により産生された特異性と同一であった。これはK562、K562/Inf、Balb/c 3T3、Balb/c 3T3−1000、KB−3−1、KB−8、KB−8−5およびKB−V−1を包含する数種のP−糖蛋白陽性および陰性細胞ラインにつき間接的免疫蛍光試験により証明された。UIC2/A mAbに関するアイソタイプは、親mAbと丁度同じようにIgG2aであった。
第5図はUIC2もしくはUIC2/Aハイブリドーマ細胞ラインにより分泌された蛋白のSDS−PAGE分離を示す。図面におけるレーンMは分子量マーカー(200、116、97、66および45kDa、ビオラド社)よりなっている。レーン1〜4は、UIC2ハイブリドーマ(レーン1)の腹液、10%胎児牛血清(FCS)を含有する培地で増殖させたUIC2細胞の組織培養上澄液(レーン2)、および蛋白フリー培地で増殖させたUIC2/Aハイブリドーマ細胞の組織培養上澄液(レーン3および4)から回収した後、蛋白A親和性カラムで精製された免疫グロブリンを含有する(レーン1〜3では1.2μgの蛋白、レーン4では0.4μg)。レーン5〜8は、UIC2/A細胞の組織培地上澄液からの未分画蛋白を示し、アミコン・セントリプレプ100濃縮ユニットを用いて遠心分離により濃縮し、次の量にて電気泳動にかけた:50μg、レーン5;25μg、レーン6;12.5μg、レーン7;および6.25μg、レーン8。レーン9はUIC2/Aハイブリドーマ培養物の上澄物から得られた未精製および未濃縮の蛋白4μgを含有する。
第5図のデータは、UIC2/A細胞培地に存在するmAbが精製せずに純度約80%のIgGであったことを示す(レーン5〜8)。蛋白A親和性カラムにおける単一工程の精製の後、UIC2/A mAbの純度は親UIC2細胞により産生された同様に精製したmAbの純度(レーン1および2)と同様に約100%であった(レーン3および4)。UIC2/A培養物からの上澄液における抗体の濃度は200〜350μg/mlの間で変化し、これは親和性精製およびSDS−PAGEの後に決定された収率に基づく。
懸濁液で増殖するUIC2/A細胞ラインの能力(ローラ瓶における永久的回転を含む)と、産生されたmAbの高い力価と、産生される少量の外生細胞外蛋白とは、この細胞ラインをUIC2 mAbの工業規模生産に特に有用にする。多くの用途(たとえば診断、細胞および組織の免疫蛍光染色、細胞分裂、免疫沈澱など)につき、UIC2/Aからの組織培養上澄液は精製もしくは濃縮なしに使用することができる。
以上、本発明を好適実施例につき説明したが、本発明を考慮して多くの改変をなしうることが当業者には了解されよう。
Figure 0003631750
Figure 0003631750
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Claims (32)

  1. UIC2ハイブリドーマ(ATCC受託番号HB11027)と命名されたハイブリッド細胞ライン。
  2. 蛋白フリーの既知培地にて増殖しうるサブラインからなる請求項1に記載の細胞ライン。
  3. UIC2 mAbと命名された請求項1に記載のUIC2ハイブリドーマにより産生されるモノクロナール抗体、またはその相補性決定断片。
  4. 前記断片が酵素手段もしくは化学手段により産生される請求項3に記載のUIC2 mAbの断片。
  5. 請求項3に記載のUIC2 mAbまたはその断片の組換体。
  6. 前記組換体が重鎖、軽鎖、重鎖の可変領域(「VH」)、軽鎖の可変領域(「VL」)、VH領域の相補性決定部分およびVL領域の相補性決定部分よりなる群から選択されるポリペプチドをコードするcDNA配列を含む組換DNAクローンにより発現される請求項5に記載の組換体。
  7. 前記UIC2 mAbのVHもしくはVL鎖またはその断片をコードするcDNA配列と、ヒト免疫グロブリンの定常領域とをフレーム内に有する組換DNAクローンにより発現されたキメラヒト適合化モノクロナール抗体を含む請求項5に記載の組換体。
  8. 前記組換体が、前記UIC2 mAbの相補性決定領域からなる免疫毒素をコードするcDNA配列を含む組換DNAクローンにより発現される請求項5に記載の組換体。
  9. 前記組換体が、柔軟性の非結合性ペプチドにより結合された前記UIC2 mAbのVH領域とVL領域とからなる一本鎖モノクロナール抗体をコードするcDNA配列を含む組換DNAにより発現される請求項5に記載の組換体。
  10. 前記組換体が、原核細胞ウィルス、真核細胞ウィルス、および真核細胞の表面で発現された蛋白よりなる群から選択される蛋白と融合した前記UIC2 mAbの相補性決定領域からなる融合蛋白をコードするcDNA配列を含む組換DNAクローンにより発現される請求項5に記載の組換体。
  11. 請求項6〜10のいずれか一項に記載の組換体をコードするcDNA。
  12. 請求項11に記載のcDNAを含む原核もしくは真核発現系。
  13. 前記抗体の相補性決定領域が原核細胞ウィルス、真核細胞ウィルスもしくは真核細胞の表面で発現される請求項3に記載の抗体。
  14. 請求項1に記載のハイブリドーマ細胞と、第2のハイブリドーマ細胞、脾細胞、活性化末梢血液リンパ球および培養リンパ球よりなる群から選択される他の非−UIC2 mAb−生産性細胞との融合生成物からなるハイブリッド・ハイブリドーマ。
  15. 請求項3に記載の抗体の抗−イディオタイプ抗体。
  16. 請求項15に記載の抗−イディオタイプ抗体に向けられる抗体。
  17. UIC2ハイブリドーマ(ATCC受託番号HB11027)により産生されるUIC2 mAb、UIC2 mAbの相補性決定断片およびUIC2 mAbの組換体よりなる群から選択される抗体からなり、この抗体がレポータ分子に結合されてなる哺乳類腫瘍細胞におけるマルチドラッグ耐性を検出する試薬。
  18. 前記腫瘍細胞もしくはその溶解物を前記試薬と接触させ、前記レポータ分子を検出することを特徴とするマルチドラッグ耐性の哺乳類腫瘍細胞を検出するための請求項17に記載の試薬の使用方法。
  19. UIC2ハイブリドーマ(ATCC受託番号HB11027)により産生されるUIC2 mAb、UIC2 mAbの相補性決定断片およびUIC2 mAbの組換体よりなる群から選択される抗体を医薬上許容しうる賦形剤中に含むことを特徴とする哺乳類マルチドラッグ耐性腫瘍細胞を処置するための医薬組成物。
  20. 前記UIC2 mAb、その断片または組換体に共有結合した細胞毒素もしくは放射性同位元素またはその両者をさらに含む請求項19に記載の組成物。
  21. 哺乳類腫瘍細胞の増殖を抑制するのに有効な量の細胞毒性剤をさらに混合してなる請求項19に記載の組成物。
  22. 哺乳類腫瘍細胞の増殖を抑制するのに有効な量の細胞毒性剤をさらに混合してなる請求項20に記載の組成物。
  23. 腫瘍細胞のマルチドラッグ耐性を逆転させるに際し前記細胞をマルチドラッグ耐性逆転量の前記組成物と接触させる方法に使用する医療組成物を作成するための請求項19〜22のいずれか一項に記載の組成物の使用方法。
  24. UIC2ハイブリドーマ(ATCC受託番号HB11027)により産生されるUIC2 mAb、UIC2 mAbの相補性決定断片およびUIC2 mAbの組換体よりなる群から選択される抗体からなり、この抗体が固体支持体上に固定化されてなる免疫親和性デバイス。
  25. マルチドラッグ耐性の哺乳類細胞を分離するに際し:
    (a)前記細胞を請求項24に記載のデバイスと接触させて、固定化細胞−抗体の複合体を形成させ;
    (b)吸着された細胞を前記複合体から回収する
    ことを特徴とするマルチドラッグ耐性の哺乳類細胞の分離方法。
  26. 生物分子の混合物からヒトmdr1遺伝子産生物を分離するに際し:
    (a)請求項24に記載のデバイスを生物分子の前記混合物と接触させて、固定化抗体−ヒトmdr1遺伝子産物の複合体を形成させ;
    (b)前記ヒトmdr1遺伝子産物を前記固定化複合体から回収する
    ことを特徴とするヒトmdr1遺伝子産物の分離方法。
  27. ヒトMDR P−糖蛋白を、このP−糖蛋白を有する細胞膜から分離するに際し:
    (a)前記細胞P−糖蛋白を複合体形成上有効量の、UIC2ハイブリドーマ(ATCC受託番号HB11027)により産生されるUIC2 mAb、UIC2 mAbの相補性決定断片およびUIC2 mAbの組換体よりなる群から選択される抗体と接触させて、P−糖蛋白−抗体の複合体を必要に応じ前記細胞膜を洗剤で可溶化させる前または後に形成させ;
    (b)可溶化したP−糖蛋白−抗体の複合体を可溶化細胞物質の残部から分離し;
    (c)前記P−糖蛋白を前記可溶化複合体から回収する
    ことを特徴とするヒトMDR P−糖蛋白の分離方法。
  28. 前記洗剤がデオキシコレートまたはN−オクチルグルコシドである請求項27に記載の方法。
  29. 前記可溶化複合体を工程(b)にて固定化蛋白Aに対する吸着により分離する請求項27に記載の方法。
  30. 前記抗体を蛋白A被覆ビーズに予備吸着させた後、細胞P−糖蛋白と接触させる請求項27に記載の方法。
  31. 別々の容器に:
    (a)UIC2ハイブリドーマ(ATCC受託番号HB11027)により産生されるUIC2 mAb;
    (b)未標識および標識されたUIC2 mAb断片;
    (c)未標識および標識されたUIC2 mAb組換体
    を含んでなる集合体よりなるキット。
  32. さらに、(d)UIC2 mAb抗−イディオタイプ抗体を含んでなる請求項31に記載の集合体よりなるキット。
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