JP3630237B2 - 米菓原料の縦型蒸し機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
【0002】
この発明は、餅米や餅粉のような煎餅に代表される米菓原料を蒸す際に用いて好適な米菓原料の縦型蒸し機に関する。
【従来の技術】
【0003】
従来、この種の米菓原料の縦型蒸し機として、図7に示したように、架台1上に設置した内部に掻出し羽根2を回転可能に設けて成る掻出し筒3上に、複数の内部に蒸気留室を設けた二重構造の蒸し筒4、5、6、7を同軸縦方向に互いに連通させて設け、その最上段4dのものにホッパー8を取り付け、前記各蒸し筒4、5、6、7の内壁には複数の蒸気吹出パイプ4a、5a、6a、7aを設けると共に、前記複数段の各蒸し筒4、5、6、7の中心部を上下方向へ貫通して外周に複数の蒸気吹出孔9aを設けた回転筒体9を設け、前記各蒸し筒4、5、6、7及び回転筒体9に蒸気吹出パイプ4a、5a、6a、7a、9aより蒸気を吹き出させるための蒸気導入管10、11、12、13を接続して成るものが公知である。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来公知の縦型蒸し機は、まず、最下段の第1段目の蒸し筒4に餅米等の米菓原料を投入させ、各蒸気吹出孔4aと9aより蒸気を吹き出させた後、第2段目の蒸し筒5に米菓原料を投じて、新たに蒸気吹出孔5aより蒸気を吹き出させて、これを順次上段の蒸し筒6、7に繰り返し、約30分を経過した後、掻出し羽根2を回転させて蒸し上がった米菓原料を取出しシュート14より外へ取り出すものである。しかるに、米菓原料は上積式であり、掻取り羽根2で掻き出された分だけ自重で下へ降り、掻出された分だけ米菓原料をホッパーより供給する構成であるため、蒸されて膨張する米菓原料(とくに餅米)が互いに密着し、蒸すために必要な蒸気の通り道がなくなったり、さらには、各蒸気吹出孔4a〜7a、9aの回りだけ蒸気が集中し易いことから、均一な蒸煮が難しく、その結果蒸しむらが生ずることから、出来上がった米菓に乾燥むらや焼きむらが生じ、均一な品質の米菓が得られないという問題があった。
【0005】
この発明の目的は、上述した蒸しむらが極力生じないように工夫した米菓原料の縦型蒸し機を提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するためにこの発明は、架台上へ縦型に取り付けた上部に原料投入室を下部に取出室に設けて成る蒸し筒の中心部軸方向に回転可能に回転筒体を設け、この回転筒体に前記蒸し筒の上下及び内周壁に達する前記回転筒体と連通した中空の螺旋羽根を取り付け、前記回転筒体及び螺旋羽根に複数の蒸気吹出孔を設けると共に、前記回転筒体内部を軸方向へ複数に分割して、複数の蒸気導入室を形成させ、前記螺旋羽根内を仕切板を介して複数の独立した蒸気溜室に分割し、この各蒸気溜室を前記回転筒体の各蒸気挿通室と連通させたことを特徴とする。
【0007】
この発明はまた、上記回転筒体の内部軸方向に形成した各蒸気導入室へは、それぞれ蒸気分配管の一端部側を接続し、圧力等の異なる蒸気を各々の蒸気導入室へ導入することができるように構成すると共に、前記各蒸気分配管の他端部側を蒸気集配管に接続し、この蒸気集配管を可動継手管を介して主蒸気流通管に接続することができる。
【0008】
この発明はさらに、前記螺旋羽根に設けた蒸気吹出孔には目詰まり防止用の覆いを設けたり、前記主蒸気流通管と前記各蒸気分配管が、回転筒体の下部或は上部に設けることができる。
【0009】
この発明はさらに、前記螺旋羽根を、下部に至るほどピッチが広くなるように構成したり、或は、前記蒸し筒を、下方に至るほど内径が広くなるように構成したり、さらには、前記蒸気吹出孔を、前記蒸し筒の内壁或は内壁と前記回転筒及び又は螺旋羽根に設けることができる。
【発明の実施の形態】
【0010】
図面はこの発明の一実施の形態を示し、図1乃至図5において、指示記号20は架台であり、この架台20上に取出室21を介して蒸し筒22と同軸に立設されている。この蒸し筒22の上部には、原料投入室23が同じく同軸設置されている。取出室21、蒸し筒22、及び原料投入室23を軸方向に貫通して回転筒体24が設けられており、この回転筒体24は架台20に取り付けた減速機構付きの駆動手段25を貫通して下方へ垂下されると共に、原料投入室23の上端部に軸支手段26を介して回転可能に軸支されている。この回転筒体24の外周には蒸し筒22の内壁に達する螺旋羽根27が取り付けられており、この螺旋羽根27のピッチは上部より下部に至るほど広く形成されている。回転筒体24は、とくに図5に示したように、仕切板24aによって内部を軸方向へ4分割されて4つの蒸気導入室24bが設けられると共に、この回転筒体24が、減速機構付き駆動手段25を貫通した部分の外周半径方向には、各蒸気挿通室24bと連通させて蒸気分配管28が平面十文字状を呈して放射状に取り付けられている。この各蒸気分配管28にはバイパス管29が接続されると共に、このバイパス管29を接続した間に減圧弁30が取り付けられ、各蒸気挿通室24bへ送り込む蒸気の圧力を任意に調節できるように工夫されている。尚、指示記号31と32はストップバルブであり、回転筒体24の最下端部には、ドレン排出用バルブ33が各蒸気挿通室24bに対応して接続されている。
【0011】
各蒸気分配管28は、回転筒体24と同軸方向に設けた分配元管34に接続させ、この蒸気集配管34は可動管継手35を介して主蒸気パイプ36に接続されている。この主蒸気流通管36へは、例えば図示してない蒸しボイラーのような蒸し作業用ボイラーで製造された蒸気が蒸気ヘッダー37を介して送られて来る。指示記号38はトップバルブである。取出室21には、取出扉39が取り付けられ、取出シュート40が取り付けられている。
【0012】
とくに図2に示したように、蒸し筒22の周壁構造は、図示したように二重構造となっており、内壁22aと外壁22bの間に蒸気案内間隙41が設けられ、その下部一側に取り付けた主蒸気流通管36、蒸気ヘッダー37へ接続されている。尚、指示記号42aはストップバルブである。そして、内壁22aには上下方向に渡って多数の蒸気吹出孔22cが設けられている。そして、回転筒体24の外周にも上下方向に渡って多数の蒸気吹出孔24cが設けられている。螺旋羽根27の構造は、とくに図2と図3に示したように、内部が空洞となっており、内部を複数枚の羽根ごと仕切板42で仕切ることにより、複数の蒸気等導入用間隙43が形成され、各蒸気導入用間隙43は、回転筒体24に設けた各蒸気挿通室24bと個別に連通させられている。各蒸気導入用間隙43の上面と下面には多数の蒸気吹出孔44が設けられると共に、この各蒸気吹出孔44には蒸し上がった餅米aによる目詰り防止用カバー45が取り付けられている。原料投入室23の下部外周には、送りスクリュー46a付きのホッパー46が接続されると共に、その上部外周には蒸気排出用のダクト47が接続されている。その他の指示記号48は、蒸気排出用ブロワーであり、指示記号49はのぞき窓である。さらに、指示記号46bによって想像線で示された部材は、ホッパー46の他の実施の形態のもので、送りスクリューが設置されていない。このようにホッパーを構成しても良い。
【0013】
以下に上記したこの発明に係る米菓原料の縦型蒸し機の操作方法について説明する。ホッパー46へ投入する米菓原料としては、餅米と餅粉があるが、餅米を用いる場合について説明する。まず、蒸し筒22を原料投入室23を含めて4分割し、最下部を第1蒸し筒部とし、順次上の方へ第2乃至第4蒸し筒部とする。次いで、充分に加水された餅米をホッパー46より送りスクリュー46aを用いて第1蒸し筒部がいっぱいになるまで餅米を投入してやって、この第1蒸し筒部へ蒸気を送る蒸気分配管28のストップバルブ32を開く。
【0014】
次いで、第2蒸し筒部へ餅米を投入してやって、この第2蒸し筒部へ蒸気を送る蒸気分配管28のストップバルブ32を開く、同様に第3蒸し筒部にも餅米を投入してやって、この第3蒸し筒部に蒸気を送る蒸気分配管28のストップバルブ32を開く、同様に第4蒸し筒部に餅米を投入するが、通常この第4蒸し筒部へは蒸気を吹き込まず、下から上ってくる蒸気を利用する場合が多い。勿論、蒸気を吹き込んでも良い。
【0015】
この蒸し筒22内へは、約2.5俵の餅米を投入でき、約30分で取出シュート40より排出される。回転筒体24内部は仕切板24aによって軸方向へ4分割されて蒸気導入室24bが形成されており、この各々の蒸気導入室24bへ各蒸気分配管28を介して各々に圧力の異なる蒸気を送り込むもので、第1蒸し筒部から上に行くほど圧力は弱くなるように減圧弁30を介して圧力設定されている。このようにして蒸し上がった餅米は、取出扉39を開いて回転筒体24を回転させると、蒸し筒22内の蒸し上がった餅米は、取出シュート40へ排出されるものである。以上の操作の際に蒸し筒22の内壁22aに設けた蒸気吹出孔22cより蒸気を噴き出させるのは任意である。尚、蒸気の排気は蒸気排出用ブロワー48を介してダクトより外部へ排出される。ドレンはドレン排出用バルブ33より外部へ排出される。蒸気の吹き出しは、螺旋羽根27からの吹き出しを省略して、蒸し筒22の内壁に設けた蒸気吹出孔22cと回転筒体24に設けた蒸気吹出孔24cから吹き出されることもできる。
【0016】
図6は他の実施の形態を示す。図面によれば複数の蒸気分配管50は、蒸し筒51の上部に設けた原料投入室52より上方へ突出させた回転筒体53に取り付けられており、可動管継手54を介して蒸気ヘッダー55へ接続されている主蒸気流通管57へ回転筒体53と共に回転可能に取り付けられている。
【0017】
そして、回転筒体53の軸支手段56は、架台58側に取り付けられている。尚、指示記号59はドレン排出用パイプである。その他の指示記号の同じものは、図1のものと同じ部材を表わしている。
【0018】
尚、この実施の形態に係る縦型蒸し機の操作方法については、先の実施の形態のものとほぼ同じであり、図面を見ることによって自ずと理解されることから、その説明を省略する。
【発明の効果】
【0019】
請求項1と2及び3のように構成すると、蒸し筒内へ投入した米菓原料のとくに餅米が、螺旋羽根によってその重量を分散して支えられることから、蒸し上がった餅米の重量によって、蒸し筒の下部(第1蒸し筒部)にある餅米がつぶれてしまうことがない上に、螺旋羽根に設けた蒸気吹出孔より吹き出された蒸気は蒸気排出用ブロワーに引かれて螺旋状に餅米の中を通過することから、むらなく蒸気を行き渡らせ、蒸しむらが生ずるのを防止することができるという効果を奏し得る。また、蒸し上がった餅米を排出する際には、螺旋羽根を回転させることにより、スムーズな排出が可能となるものであり、蒸し筒を縦方向に分割した各部分に接続した蒸気分配管を介してそれぞれに圧力の異なる蒸気を吹き出させることにより、蒸しむらの生ずるのを可及的に防止することができるものである。
【0020】
請求項4のように構成すると、蒸された餅米が圧力に押されて螺旋羽根のとくに上面に設けた蒸気吹出孔を塞いでしまうのを可及的に防止することができるものである。
【0021】
請求項5と6のように構成すると、蒸し上がった餅米の蒸し筒内でのスムーズな降下を促すことができる。
【0022】
請求項7のように構成すると、蒸気がより蒸し筒の隅々まで行き渡る結果、蒸しむらが生ずるのを確実に防止できるという効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明に係る米菓原料の縦型蒸し機の正面図である。
【図2】図1に示した米菓原料の縦型蒸し機の一部拡大断面図である。
【図3】図1に示した米菓原料の縦型蒸し機の螺旋羽根の部分の部分的拡大断面図である。
【図4】螺旋羽根に設けたカバーの部分の拡大図である。
【図5】蒸気分配管を回転筒体へ取り付けた状態を示す平面断面図である。
【図6】この発明に係る米菓原料の縦型蒸し機の他の実施の形態を示す正面図である。
【図7】従来公知の米菓原料の縦型蒸し機の説明図である。
【符号の説明】
【0024】
20,58 架台
21 取出室
22,51 蒸し筒
22c 蒸気吹出孔
23,52 原料投入室
24,53 回転筒体
24a 仕切板
24b 蒸気導入室
24c 蒸気吹出孔
26,56 軸支手段
27 螺旋羽根
28,50 蒸気分配管
34 分配元管
35,54 可動管継手
36,57 主蒸気流通管
41 蒸気案内間隙
42 仕切板
43 蒸気導入用間隙

Claims (7)

  1. 架台上へ縦型に取り付けた上部に原料投入室を下部に取出室に設けて成る蒸し筒の中心部軸方向に回転可能に回転筒体を設け、この回転筒体に前記蒸し筒の上下及び内周壁に達する前記回転筒体と連通した中空の螺旋羽根を取り付け、前記回転筒体及び螺旋羽根に複数の蒸気吹出孔を設けると共に、前記回転筒体内部を軸方向へ複数に分割して、複数の蒸気導入室を形成させ、前記螺旋羽根内を仕切板を介して複数の独立した蒸気溜室に分割し、この各蒸気溜室を前記回転筒体の各蒸気挿通室と連通させたことを特徴とする、米菓原料の縦型蒸し機。
  2. 請求項1に記載の回転筒体の内部軸方向に形成した各蒸気導入室へは、それぞれ蒸気分配管の一端部側を接続し、圧力等の異なる蒸気を各々の蒸気導入室へ導入することができるように構成すると共に、前記各蒸気分配管の他端部側を蒸気集配管に接続し、この蒸気集配管を可動継手管を介して主蒸気流通管に接続したことを特徴とする、請求項1に記載の米菓原料の縦型蒸し機。
  3. 前記螺旋羽根に設けた蒸気吹出孔には目詰まり防止用の覆いが設けられていることを特徴とする、請求項1乃至2のいずれかに記載の米菓原料の縦型蒸し機。
  4. 前記主蒸気流通管と前記各蒸気分配管が、回転筒体の下部或は上部に設けられていることを特徴とする、請求項3に記載の米菓原料の縦型蒸し機。
  5. 前記螺旋羽根は、下部に至るほどピッチが広くなるように構成されていることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の米菓原料の縦型蒸し機。
  6. 前記蒸し筒は、下方に至るほど内径が広くなるように構成されていることを特徴とする、請求項1乃至5に記載の米菓原料の縦型蒸し機。
  7. 前記蒸気吹出孔は、前記蒸し筒の内壁或は内壁と前記回転筒及び又は螺旋羽根に設けられることを特徴とする、請求項1乃至6に記載の米菓原料の縦型蒸し機。
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