JP3629772B2 - 除振装置、ステージ装置、露光装置及び走査型露光装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、除振装置及び露光装置に係り、更に詳しくは、除振台の振動を打ち消すようにアクチュエータにより除振台を駆動するいわゆるアクティブ方式の除振装置及びこの除振装置を備えた露光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ステップ・アンド・リピート方式の縮小投影型露光装置、即ちいわゆるステッパ等の精密機器の高精度化に伴い、設置床から定盤(除振台)に作用する微振動をマイクロGレベルで絶縁する必要が生じている。除振装置の除振台を支持する除振パッドとしてはダンピング液中に圧縮コイルバネを入れた機械式ダンパや空気式ダンパ等種々のものが使用され、除振パッド自体がある程度のセンタリング機能を備えている。特に、空気式ダンパを備えた空気バネ除振装置はバネ定数を小さく設定でき、約10Hz以上の振動を絶縁することから、精密機器の支持に広く用いられている。また、最近では従来のパッシブ除振装置の限界を打破するために、アクティブ除振装置が提案されている(例えば、本願と同一出願人に係る特願平7−83577号等参照)。これは、除振台の振動をセンサで検出し、このセンサの出力に基づいてアクチュエータを駆動することにより振動制御を行う除振装置であり、低周波制御帯域に共振ピークの無い理想的な振動絶縁効果を持たせることができるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ステッパ等では、大きな加減速を行うXYステージ(ウエハステージ)が除振パッドに保持された定盤(除振台)上に搭載されており、ステージ急加速時、急減速時等に外乱力により定盤が大きな振幅で揺らされる。アクティブ除振装置では、振動センサとして加速度センサが用いられることが多く、特に露光装置では除振パッド上に水平に保持された定盤上に水平面内のXY2次元方向の加速度を検出する水平方向加速度センサが配置されることがある。かかる場合に、前述した如く、除振台が大きな振幅で揺らされ、傾いた場合に、水平方向加速度センサは、本来の検出方向の加速度と共に定盤の傾き量に比例した重力加速度成分を検出してしまう。この重力加速度成分は振動制御ループに悪影響を与えることからできるだけ小さく抑えることが望ましいが、従来のアクティブ除振装置では、重力加速度成分までも考慮したものは見受けられない。
【0004】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その目的は除振台が傾くことによる影響を受けることなく、外乱振動の抑制(制振)効果を向上させることができる除振装置及びこれを備えた露光装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明に係る除振装置は、少なくとも3個の除振パッドを介して水平に保持された除振台と;前記除振台を異なる箇所で鉛直方向に駆動する少なくとも3つのアクチュエータを含む複数のアクチュエータと;前記除振台の異なる点の鉛直方向変位を検出する少なくとも3つの鉛直方向変位センサを含む複数の変位センサと;前記除振台の水平面内の所定の方向の加速度を検出する水平方向加速度センサを少なくとも一つ含む複数の振動センサと;前記変位センサ及び振動センサの出力に基づいて前記除振台の振動を抑制するように前記各アクチュエータを駆動制御する振動制御系と;前記3つの変位センサの出力に基づいて得られる水平面に対する傾斜方向変位に基づいて前記各水平方向加速度センサの検出値に含まれる重力加速度成分を除去する振動補償系とを有する。
【0006】
これによれば、除振台が揺れた場合に、振動制御系では変位センサ及び振動センサの出力に基づいて除振台の振動を抑制するように各アクチュエータを駆動制御する。この場合において、振動補償系では、3つの鉛直方向変位センサの出力に基づいて得られる水平面に対する傾斜方向変位に基づいて各水平方向加速度センサの検出値に含まれる重力加速度成分を除去する。従って、振動制御系では重力加速度成分が除かれた水平方向加速度センサの出力に基づいて各アクチュエータを駆動制御しているので、除振台が傾くことによる影響を受けることなく、外乱振動の抑制(制振)効果が向上する。
【0007】
請求項2に記載の発明は、マスクに形成されたパターンを投影光学系を介して基板ステージ上の感光基板に転写する露光装置であって、前記請求項1に記載の除振装置を前記基板ステージが搭載された露光本体部の除振装置として具備している。
請求項3に記載の発明は、定盤の水平面上を移動するステージを備えたステージ装置であって、前記定盤を鉛直方向に駆動するアクチュエータと;前記定盤の前記鉛直方向の変位を検出する変位センサと;前記定盤の前記水平面内の加速度を検出する加速度センサと;前記変位センサの検出結果に基づいて、前記加速度センサが検出した加速度から重力加速度成分を除去して、前記アクチュエータを制御する制御系とを備えている。
これによれば、前記定盤の傾きの影響を受けることなく前記アクチュエータにより前記定盤を駆動することができる。
請求項4に記載の発明は、前記ステージの位置を計測する位置計測手段を備えている。
請求項5に記載の発明は、感光基板を保持する基板ステージを走査して、前記感光基板にパターンを露光する走査型露光装置であって、水平面を有し、前記基板ステージを移動可能に支持する定盤と;前記定盤を鉛直方向に駆動するアクチュエータと;前記定盤の前記鉛直方向の変位を検出する変位センサと;前記定盤の前記水平面内の加速度を検出する加速度センサと;前記変位センサの検出結果に基づいて、前記加速度センサが検出した加速度から重力加速度成分を除去して、前記アクチュエータを制御する制御系とを備えている。
これによれば、前記定盤の傾きの影響を受けることなく前記アクチュエータにより前記定盤を駆動することができる。
請求項6に記載の発明は、前記基板ステージの位置を計測する位置計測手段を備えている。
請求項7に記載の発明は、前記パターンを前記感光基板に投影する投影光学系を備えている。
請求項8に記載の発明は、前記投影光学系と前記基板ステージとを一体的に保持する露光本体部を備えている。
請求項9に記載の発明は、前記定盤がセラミック製である。
請求項10に記載の発明は、水平面を有する定盤を除振する除振装置であって、前記定盤を駆動するアクチュエータと;前記定盤の鉛直方向の変位を検出する変位センサと;前記定盤の水平面内の加速度を検出する加速度センサと;前記変位センサの検出結果に基づいて、前記加速度センサが検出した加速度から重力加速度成分を除去して、前記アクチュエータを制御する制御系とを備えている。
請求項11に記載の発明は、前記アクチュエータが、前記鉛直方向と、前記鉛直方向と直交する方向との少なくとも一方の方向に沿って前記定盤を駆動している。
請求項12に記載の発明は、マスクに形成されたパタ−ンを投影光学系を介して感光基板に転写する露光装置であって、前記請求項10又は11に記載の除振装置を前記投影光学系が搭載された露光本体部の除振装置として具備している。
【0008】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を図1ないし図4に基づいて説明する。
【0009】
図1には、一実施例に係るステップ・アンド・スキャン型の露光装置100の概略斜視図が示されている。この図1において、設置面としての床上に長方形板状の台座2が設置され、この台座2上に除振パッド4A〜4D(但し、図1では紙面奥側の除振パッド4Dは図示せず)が設置され、これらの除振パッド4A〜4D上に除振台としての長方形状の定盤6が設置されている。ここで、後述するように本実施例では投影光学系PLが使用されているため、投影光学系PLの光軸に平行にZ軸を取り、Z軸に直交する平面内で定盤6の長手方向にX軸を、これに直交する方向にY軸を取る。また、それぞれの軸回りの回転方向をZθ、Xθ、Yθ方向と定める。なお、以下の説明において、必要に応じ、図1中のX、Y、Z軸を示す各矢印の示す方向を+X、+Y、+Z方向、これと反対の方向を−X、−Y、−Z方向と区別して用いるものとする。
【0010】
除振パッド4A〜4Dは、それぞれ定盤6の長方形の底面の4個の頂点付近に配置されている。本実施例では、除振パッド4A〜4Dとして空気式ダンパが使用され、空気の圧力により除振パッド4A〜4Dの高さを調整できるため、その空気式ダンパは上下動機構の役目をも兼ねている。勿論、上下動機構を別に設けてダンピング液中に圧縮コイルばねを入れた機械式ダンパ等を除振パッドとして使用してもよい。
【0011】
台座2と定盤6との間に除振パッド4Aと並列にアクチュエータ7Aが設置されている。アクチュエータ7Aは、台座2上に固定された固定子9Aと定盤6の底面に固定された可動子8Aとから構成され、制御装置11(図1では図示省略、図3参照)からの指示に応じて台座2から定盤6の底面に対するZ方向の付勢力、又は定盤6の底面から台座2に向かう吸引力を発生する。他の除振パッド4B〜4Dにおいても、除振パッド4Aと同様にそれぞれ並列にアクチュエータ7B〜7Dが設置され(但し、図1では紙面奥側のアクチュエータ7C、7Dは図示せず)、これらのアクチュエータ7B〜7Dの付勢力又は吸引力もそれぞれ制御装置11(図1では図示省略、図3参照)により設定される。アクチュエータ7A〜7Dの制御方法については、後述する。
【0012】
次に、アクチュエータ7Aの具体的構成について図2に基づいて説明する。
【0013】
図2(a)には、アクチュエータ7Aの構成の一例が示されている。この図2(a)において、固定子9Aは、N極の軸9Aaの両側にS極の軸9Ab,9Acが形成された発磁体よりなる。また、可動子8Aは、軸9Aaに遊嵌する内筒12、この内筒12の外側に巻回されたコイル13、及びこのコイル13を覆う外筒14より構成され、コイル13に流れる電流を調整することにより、固定子9Aと可動子8Aとの間に軸9Aaに平行な方向(±Z方向)の力が発生する。
【0014】
図2(b)には、アクチュエータ7Aの別の例が示されている。この図2(b)において、第1部材15に磁性体の固定子16が固定され、第2部材17に固定子16を挟むように内筒18A及び18Bが固定され、内筒18A及び18Bの外側にそれぞれコイル19A及び19Bが巻回されている。この場合も、コイル19A及び19Bに流す電流を調整することにより、第1部材15と第2部材17との間の吸引力のバランスを変化させて力を発生する。その他のアクチュエータ7B〜7Dもアクチュエータ7Aと同様に構成されている。
【0015】
図1に戻り、定盤6の+Y方向側の側面には、定盤6のZ方向加速度を検出する振動センサとしての加速度センサ5Z1 、5Z2 が取り付けられている。また、定盤6上面の+Y方向端部には定盤6のY方向加速度を検出する振動センサとしての加速度センサ5Y1 、5Y2 が取り付けられ、定盤6上面の+X方向端部には定盤6のX方向加速度を検出する振動センサとしての加速度センサ5Xが取り付けられている。これらの加速度センサ5Z1 、5Z2 、5Y1 、5Y2 、5Xとしては、例えばピエゾ抵抗効果型あるいは静電容量型の半導体式加速度センサが使用される。これらの加速度センサ5Z1 、5Z2 、5Y1 、5Y2 、5Xの出力も制御装置11(図1では図示省略、図3参照)に供給されている。
【0016】
また、定盤6の+Y方向側の側面には、所定面積の矩形の金属板(導電性材料)231 、232 が貼り付けられている。本実施例では、定盤6として非導電性材料であるセラミックス製の定盤が使用されており、金属板231 、232 に対向する位置に定盤のY方向変位を検出する変位センサ10Y1 、10Y2 (図1では図面の錯綜をさけるため図示省略、図3参照)が設けられている。これらの変位センサ10Y1 、10Y2 としては、例えば、渦電流変位センサが使用される。この渦電流変位センサによれば、予め絶縁体に巻いたコイルに交流電圧を加えておき、導電性材料(導電体)から成る測定対象に近づけると、コイルによって作られた交流磁界によって導電体に渦電流が発生し、この渦電流によって発生する磁界は、コイルの電流によって作られた磁界と逆方向であり、これら2つの磁界が重なり合って、コイルの出力に影響を与え、コイルに流れる電流の強さ及び位相が変化する。この変化は、対象がコイルに近いほど大きくなり、逆に遠いほど小さくなるので、コイルから電気信号を取り出すことにより、対象の位置、変位を知る事ができる。この他、変位センサとして、静電容量がセンサの電極と測定対象物間の距離に反比例することを利用して非接触でセンサと測定対象物間の距離を検出する静電容量式非接触変位センサを使用しても良い。なお、背景光の影響を阻止できる構成にすれば、変位センサとしてPSD(半導体光位置検出器)を使用することも可能である。
【0017】
また、定盤6上面の+Y方向端部には所定面積の金属版233 、234 が貼り付けられている。これらの金属板233 、234 に対向して定盤6のZ方向変位を検出する渦電流変位センサから成る変位センサ10Z1 、10Z2 (図1では図示省略、図3参照)が設けられている。さらに、定盤6上面の+X方向の側面には所定面積の金属板235 が貼り付けられ、この金属板235 に対向して定盤6のX方向変位を検出する渦電流変位センサから成る変位センサ10X(図1では図示省略、図3参照)が設けられている。変位センサ10Y1 、10Y2 、10Z1 、10Z2 、10Xの出力も制御装置11(図1では図示省略、図3参照)に供給されている。
【0018】
定盤6上には図示しない駆動手段によってXY2次元方向に駆動される基板ステージとしてのXYステージ20が載置されている。更に、このXYステージ20上にZレベリングステージ、θステージ(いずれも図示省略)及びウエハホルダ21を介して感光基板としてのウエハWが吸着保持されている。定盤6上でXYステージ20を囲むように第1コラム24が植設され、第1コラム24の上板の中央部に投影光学系PLが固定され、第1コラム24の上板に投影光学系PLを囲むように第2コラム26が植設され、第2コラム26の上板の中央部にレチクルステージ27を介してマスクとしてのレチクルRが載置されている。
【0019】
XYステージ20のY方向の移動位置は、位置計測手段としてのY軸用レーザ干渉計30Yによって計測され、XYステージ20のX方向の移動位置は、位置計測手段としてのX軸用レーザ干渉計30Xによって計測されるようになっており、これらのレーザ干渉計30Y、30Xの出力は図示しない主制御装置に入力されている。Zレベリングステージは、Z軸方向の駆動及びZ軸に対する傾斜が調整可能に構成され、θステージはZ軸回りの微小回転が可能に構成されている。従って、XYステージ20、Zレベリングステージ及びθステージによって、ウエハWは3次元的に位置決めが可能となっている。
【0020】
レチクルステージ27は、レチクルRのY軸方向の微調整、及び回転角の調整が可能に構成されている。また、このレチクルステージ27は、図示しない駆動手段によってX方向に駆動されるようになっており、このレチクルステージ27のX方向位置は位置計測手段としてのレチクルレーザ干渉計30Rによって計測され、このレチクルレーザ干渉計30Rの出力も図示しない主制御装置に入力されている。
【0021】
更に、レチクルRの上方には、図示しない照明光学系が配置され、図示しない主制御装置ではレチクルR及びウエハWの相対位置合わせ(アライメント)及び図示しない焦点検出系によるオートフォーカスを行ないつつ、照明光学系からの露光用の照明光ELの下で、レチクルRのパターンの投影光学系PLを介した像をウエハWの各ショット領域に順次露光するようになっている。本実施例では、各ショット領域の露光に際しては主制御装置によりXYステージ20とレチクルステージ27とがそれぞれの駆動手段を介してX軸方向(走査方向)に沿って所定の速度比で相対走査される。
【0022】
第1コラム24は、4本の脚部24a〜24d(但し、図1では紙面奥側の脚部24dは図示せず)により定盤6上に接触している。脚部24bの+X方向の側面には、第1コラム24のZ方向の加速度を検出する加速度センサ5Z3 が取り付けられている。この加速度センサ5Z3 としては、例えばピエゾ抵抗効果型あるいは静電容量型の半導体式加速度センサが使用される。この加速度センサ5Z3 の出力も制御装置11(図1では図示省略、図3参照)に入力されている。また、第1コラム24の上板上面の+Y方向端部でかつ+X方向端部となるコーナーの部分には、所定面積の金属板236 が貼り付けられている。この金属板236 に対向して第1コラム24のZ方向変位を検出する渦電流変位センサから成る変位センサ10Z3 (図1では図示省略、図3参照)が設けられている。
【0023】
更に、第1コラム24の−X方向の側面に可動軸35Aが埋め込まれ、可動軸35Aと床上に固定された図示しない支柱との間にアクチュエータ32Aが取り付けられている。アクチュエータ32Aは、アクチュエータ7Aと同様に、図示しない支柱に固定された発磁体よりなる固定子34Aと、可動軸35Aに取り付けられたコイルを含む可動子33Aとから構成され、制御装置11から可動子33A内のコイルに流れる電流を調整することにより、可動軸35Aに対して±Y方向に力を与えることができる。同様に、第1コラム24の+X方向の側面に可動軸35Bが埋め込まれ、可動軸35Bと床上に固定された図示しない支柱との間に、アクチュエータ32Aと同一構成のアクチュエータ32Bが取り付けられ、制御装置11からの指示により可動軸35Bに対して±Y方向に力を与えることができるようになっている。また、第1コラム24の+X方向の側面の中央部と床上の図示しない支柱との間に、アクチュエータ32Aと同一構成のアクチュエータ32Cが設置され、制御装置11からの指示によりアクチュエータ32Cを介して第1コラム24に対して±X方向に力を与えることができる。制御装置11による、アクチュエータ32A〜32Cの制御方法についても後述する。
【0024】
ここで、露光装置100の設置時の定盤6の高さ及び水平レベルの調整について簡単に説明すると、変位センサ10Z1 、10Z2 、10Z3 で計測された定盤6のZ方向変位(高さ)が図示しない除振パッド4A〜4Dの制御系(図示省略)に伝えられ、これらのデータを基に除振パッド4A〜4Dの制御系は、定盤6の高さを予め設定されている値にすると共に水平レベルを維持するための各除振パッド4A〜4Dの高さを算出する。その後、この制御系は、除振パッド4A〜4Dの高さをそれぞれその算出された高さに設定する。その後、除振パッド4A〜4Dの高さはそれぞれその設定値に維持される。これにより、定盤6に歪みが生ずることがなく、定盤6上のXYステージ20の位置決め精度等が高精度に維持される。
【0025】
本実施例では、定盤6、XYステージ20、ウエハホルダ21、第1コラム24、投影光学系PL、第2コラム26、及びレチクルステージ27等により露光本体部40(図3参照)が構成されている。
【0026】
次に、この露光本体部40の除振のためのアクチュエータ7A〜7D、32A〜32Cの制御系について、制御装置11を中心に、図3のブロック図に基づいて説明する。
【0027】
制御装置11は、変位センサ10Z1 、10Z2 、10Z3 、10Y1 、10Y2 、10X及び加速度センサ5Z1 、5Z2 、5Z3 、5Y1 、5Y2 、5Xの出力に基づいて定盤6を含む露光本体部40の振動を抑制するようにアクチュエータ7A、7B、7C、7D、32A、32B、32Cを駆動制御する振動制御系と、Z方向変位を検出する3つの変位センサ10Z1 、10Z2 、10Z3 の出力に基づいて得られる水平面に対する傾斜方向変位に基づいて水平方向加速度センサとしての加速度センサ5Y1 、5Y2 、5Xの検出値に含まれる重力加速度成分を除去する振動補償系とを有する。
【0028】
これを更に詳述すると、振動制御系は、変位センサ10Z1 、10Z2 、10Z3 、10Y1 、10Y2 、10Xの出力を図示しないA/Dコンバータをそれぞれ介して入力し、露光本体部40の重心Gの6自由度方向(X、Y、Z、Xθ、Yθ、Zθ:図1参照)の変位量(x、y、z、θx 、θy 、θz )に変換する第1の座標変換部42と、この第1の座標変換部42で変換後の重心の6自由度方向の変位量(x、y、z、θx 、θy 、θz )を目標値出力部44から入力される6自由度方向の重心位置の目標値(x0 、y0 、z0 、θx0 、θy0 、θz0)からそれぞれ減じて6自由度のそれぞれの方向の位置偏差(Δx=x0 −x、Δy=y0 −y、Δz=z0 −z、Δθx =θx0−θx 、Δθy =θy0−θy 、Δθz =θz0−θz )をそれぞれ算出する6つの減算器46a〜46fと、6自由度のそれぞれの方向の位置偏差Δx、Δy、Δz、Δθx 、Δθy 、Δθz を動作信号として制御動作を行なうPIコントローラから成る6自由度のそれぞれの方向の位置コントローラXPI、YPI、ZPI、XθPI、YθPI、ZθPIと、加速度センサ5Z1 、5Z2 、5Z3 、5Y1 、5Y2 、5Xの出力を図示しないA/Dコンバータをそれぞれ介して入力し、重心Gの6自由度方向の加速度(x”、y”、z”、θx ”、θy ”、θz ”)に変換する第2の座標変換部48と、この第2の座標変換部48で変換後の重心Gの6自由度方向の加速度x”、y”、z”、θx ”、θy ”、θz ”をそれぞれ積分してそれぞれの方向の重心Gの速度x’、y’、z’、θx ’、θy ’、θz ’に変換する6つの積分器50a〜50fと、位置コントローラXPI、YPI、ZPI、XθPI、YθPI、ZθPIの出力を速度指令値x0 ’、y0 ’、z0 ’、θx0’、θy0’、θz0’にそれぞれ変換する速度変換ゲイン52a〜52fと、この変換後の速度指令値x0 ’、y0 ’、z0 ’、θx0’、θy0’、θz0’から積分器50a〜50fの出力x’、y’、z’、θx ’、θy ’、θz ’をそれぞれ減じて6自由度方向のそれぞれの方向の速度偏差(Δx’=x0 ’−x’、Δy’=y0 ’−y’、Δz’=z0 ’−z’、Δθx ’=θx0’−θx ’、Δθy ’=θy0’−θy ’、Δθz ’=θz0’−θz ’)を算出する6つの減算器54a〜54fと、6自由度のそれぞれの方向の速度偏差Δx’、Δy’、Δz’、Δθx ’、Δθy ’、Δθz ’を動作信号として制御動作を行なうPIコントローラから成る6自由度のそれぞれの方向の速度コントローラVXPI、VYPI、VZPI、VXθPI、VYθPI、VZθPIと、 これらのコントローラで演算された6自由度のそれぞれの方向の速度制御量を各アクチュエータの位置で発生すべき速度指令値に変換するための非干渉化演算を行なう非干渉化計算部56と、この非干渉化計算部56で変換後の各アクチュエータの位置で発生すべき速度指令値を各アクチュエータで発生すべき推力にそれぞれ変換する推力ゲイン58a〜58gとを有する。
【0029】
即ち、本実施例の振動制御系は、変位センサ、位置コントローラ等を含んで構成される位置制御ループの内側に、その内部ループとして加速度センサ、積分器、速度コントローラ等を含んで構成される速度制御ループを有する多重ループ制御系となっている。
【0030】
また、振動補償系は、第2の座標変換部48の入力段にそれぞれ設けられた減算器60、62、68と、第1の座標変換部42から出力されるX軸回りの傾斜成分(即ち、Y方向の傾斜成分)θx の出力線と減算器60、62との間に設けられたゲインgのアンプ64aと、第1の座標変換部42から出力されるY軸回りの傾斜成分(即ち、X方向の傾斜成分)θy の出力線と減算器68との間に設けられたゲインgのアンプ64bとから構成されている。
【0031】
これによれば、減算器60では加速度センサ5Y1 の出力とアンプ64aの出力であるgθx との差を演算し、この差が第2の座標変換部48に出力される。ここで、この意義を、図4を用いて簡単に説明する。
【0032】
加速度センサ5Y1 で検出されるべき本来の加速度がa(矢印AB)である場合に、定盤6がX軸回りに角度θ傾斜した場合、重力加速度成分g(矢印BC)が加算された矢印ACで示す加速度を加速度センサ5Y1 は検出することになる。すると、本来の加速度aより線分DCで示されるg・sinθだけ大きな加速度を加速度センサ5Y1 が検出することになる。ここで、θは通常、微小角度であると考えられるので、AD=AB=a、かつDC=gθと考えて差し支えない。従って、加速度センサ5Y1 の出力からgθを減じれば、本来検出すべき加速度、すなわち重力加速度成分gの影響を除去した加速度aが、加速度センサ5Y1 の検出値として第2の座標変換部48に入力されることになる。
【0033】
このため、減算器60では、加速度センサ5Y1 の出力とアンプ64aの出力であるg・θx との差を演算し、この差が第2の座標変換部48に出力されるようにしているのである。ここで、θx はX軸回りの傾斜(Y方向の傾斜)であり、図4のθに相当するものである。
【0034】
同様の意義から、減算器62では、加速度センサ5Y2 の出力とアンプ64aの出力であるg・θx との差を演算し、また、加算器68では加速度センサ5Xの出力とアンプ64bの出力であるg・θy との差を演算し、この差が第2の座標変換部48に出力される。ここで、θy はY軸回りの傾斜(X方向の傾斜)である。
【0035】
以上のようにして構成された本実施例の露光装置100によれば、例えば、スキャン露光の際に、XYステージ20、レチクルステージ27がX軸方向に沿って走査され、このステージの移動により露光本体部40が振動すると、変位センサ10Z1 、10Z2 、10Z3 、10Y1 、10Y2 、10X、加速度センサ5Z1 、5Z2 、5Z3 、5Y1 、5Y2 、5Xの出力に基づいて制御装置11の振動制御系によりアクチュエータ7A、7B、7C、7D、32A、32B、32Cが駆動制御され、露光本体部40の振動が効果的に抑制される。この場合において、定盤6が水平面に対して傾斜すると、第1の座標変換部42からのその時のX軸回りの傾斜角(Y方向の傾斜角)θx がそれぞれアンプ64aでg倍され、重力加速度成分g・θx が減算器60、62に入力し、これらの減算器60、62では加速度センサ5Y1 、5Y2 の検出値から重力加速度成分g・θx をそれぞれ減じて第2の座標変換部48に対し出力する。同様に、第1の座標変換部42からその時のY軸回りの傾斜角(X方向の傾斜角)θy がアンプ64bでg倍され、重力加速度成分g・θy が減算器68に入力し、この減算器68では加速度センサ5Xの検出値から重力加速度成分g・θy を減じて第2の座標変換部48に対し出力する。これにより、第2の座標変換部48では定盤6の傾斜による重力加速度成分が除去された加速度センサ5Y1 、5Y2 、5Xの検出値に基づいて重心Gの速度への変換を行なうので、結果的に定盤6の傾きに起因する水平方向加速度センサの検出値に含まれる重力加速度成分に影響を受けることなく、アクチュエータが適正な指令値により駆動される。
【0036】
以上説明したように、本実施例によると、定盤6が傾斜することによる影響を受けることなく、外乱振動の抑制(制振)効果を向上させることができる。なお、本実施例では、位置制御ループのゲインを高くすることなく、露光本体部40の傾斜の影響を除去することができるので、床振動を本体に伝えるという不都合を回避することができる。従って、除振性能を損なうことがない。
【0037】
なお、上記実施例では本発明に係る除振装置がステップ・アンド・スキャン方式の走査露光型の投影露光装置に適用される場合を例示したが、本発明の除振装置は、ステッパ方式の投影露光装置であっても、除振パッドに保持された除振台としての定盤を有し、定盤の水平面に対する傾斜を検出するセンサと、定盤の水平面内の振動を検出する加速度センサを具備する場合には好適に適用できるものである。
【0038】
また、上記実施例では、7つのアクチュエータを用いて露光本体部の6自由度方向の揺れを抑制する場合について例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、定盤6の傾斜を補正するためには、アクチュエータとしては、Z方向のアクチュエータが少なくとも3つあれば良い。
【0039】
さらに、水平面に対する傾斜成分(θy 、θx )の検出は、Z方向の変位を検出する変位センサが3つあれば良いので、変位センサ10Y1 、10Y2 、10Xを必ずしも全部設ける必要は無く、除振台の傾斜を検出し、これを用いて水平方向加速度センサの検出値に含まれる重力加速度成分の影響を除去してアクチュエータを駆動制御するという本発明の解決原理は、装置本体の6自由度方向の揺れを阻止する場合にのみ適用されるものではない。例えば、ステージが装置本体の重心位置上を移動するように構成されている場合には、ステージが移動しても装置本体は必ずしも6自由度方向に揺動しないが、かかる場合であっても本発明の解決原理は、有効に機能することは明かだからである。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、除振台が傾斜することによる影響を受けることなく、外乱振動の抑制(制振)効果を向上させることができるという従来にない優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例に係る投影露光装置を示す斜視図である。
【図2】(a)はアクチュエータ7Aの一例を示す拡大断面図、(b)はアクチュエータ7Aの他の例を示す拡大断面図である。
【図3】アクチュエータの制御系の構成を示す制御ブロック図である。
【図4】水平方向加速度センサの検出値に含まれる重力加速度成分の影響を除去する原理を説明するための図である。
【符号の説明】
4A〜4C 除振パッド
5Z1 〜5Z3 加速度センサ(振動センサ)
5Y1 ,5Y2,5X 水平方向加速度センサ(振動センサ)
6 定盤(除振台)
7A〜7D,32A〜32C アクチュエータ
10Z1 〜10Z3 ,10Y1 ,10Y2,10X 変位センサ
11 制御装置(振動制御系、振動補償系)
20 XYステージ(基板ステージ)
40 露光本体部
100 露光装置
R レチクル(マスク)
PL 投影光学系
W ウエハ(感光基板)
Claims (12)
- 少なくとも3個の除振パッドを介して水平に保持された除振台と;
前記除振台を異なる箇所で鉛直方向に駆動する少なくとも3つのアクチュエータを含む複数のアクチュエータと;
前記除振台の異なる点の鉛直方向変位を検出する少なくとも3つの鉛直方向変位センサを含む複数の変位センサと;
前記除振台の水平面内の所定の方向の加速度を検出する水平方向加速度センサを少なくとも一つ含む複数の振動センサと;
前記変位センサ及び振動センサの出力に基づいて前記除振台の振動を抑制するように前記各アクチュエータを駆動制御する振動制御系と;
前記3つの変位センサの出力に基づいて得られる水平面に対する傾斜方向変位に基づいて前記各水平方向加速度センサの検出値に含まれる重力加速度成分を除去する振動補償系とを有する除振装置。 - マスクに形成されたパターンを投影光学系を介して基板ステージ上の感光基板に転写する露光装置であって、
前記請求項1に記載の除振装置を前記基板ステージが搭載された露光本体部の除振装置として具備することを特徴とする露光装置。 - 定盤の水平面上を移動するステージを備えたステージ装置であって、
前記定盤を鉛直方向に駆動するアクチュエータと;
前記定盤の前記鉛直方向の変位を検出する変位センサと;
前記定盤の前記水平面内の加速度を検出する加速度センサと;
前記変位センサの検出結果に基づいて、前記加速度センサが検出した加速度から重力加速度成分を除去して、前記アクチュエータを制御する制御系とを備えたことを特徴とするステージ装置。 - 前記ステージの位置を計測する位置計測手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載のステージ装置。
- 感光基板を保持する基板ステージを走査して、前記感光基板にパターンを露光する走査型露光装置であって、
水平面を有し、前記基板ステージを移動可能に支持する定盤と;
前記定盤を鉛直方向に駆動するアクチュエータと;
前記定盤の前記鉛直方向の変位を検出する変位センサと;
前記定盤の前記水平面内の加速度を検出する加速度センサと;
前記変位センサの検出結果に基づいて、前記加速度センサが検出した加速度から重力加速度成分を除去して、前記アクチュエータを制御する制御系とを備えたことを特徴とする走査型露光装置。 - 前記基板ステージの位置を計測する位置計測手段を備えたことを特徴とする請求項5に記載の走査型露光装置。
- 前記パターンを前記感光基板に投影する投影光学系を備えたことを特徴とする請求項5又は6のいずれか一項に記載の走査型露光装置。
- 前記投影光学系と前記基板ステージとを一体的に保持する露光本体部を備えたことを特徴とする請求項7に記載の走査型露光装置。
- 前記定盤はセラミック製であることを特徴とする請求項5から8のいずれか一項に記載の走査型露光装置。
- 水平面を有する定盤を除振する除振装置であって、
前記定盤を駆動するアクチュエータと;
前記定盤の鉛直方向の変位を検出する変位センサと;
前記定盤の水平面内の加速度を検出する加速度センサと;
前記変位センサの検出結果に基づいて、前記加速度センサが検出した加速度から重力加速度成分を除去して、前記アクチュエータを制御する制御系とを備えたことを特徴とする除振装置。 - 前記アクチュエータは、前記鉛直方向と、前記鉛直方向と直交する方向との少なくとも一方の方向に沿って前記定盤を駆動することを特徴とする除振装置。
- マスクに形成されたパタ−ンを投影光学系を介して感光基板に転写する露光装置であって、
前記請求項10又は11に記載の除振装置を前記投影光学系が搭載された露光本体部の除振装置として具備することを特徴とする露光装置。
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