JP3628551B2 - ガス開閉器におけるガス圧低下時ロック装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、消弧ガスを封入したガス開閉器において、固定電極に対する可動電極の投入時や開放時にガス圧が低下した場合、アークの消弧性能が劣る状態での投入動作及び開放動作を阻止することにより、遮断不能に陥るおそれを回避する目的のために、可動電極の投入状態や開放状態を保持するロック装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の自動ガス開閉器においては、固定電極に対する可動電極の投入動作をソレノイドの駆動力により自動的に行い、この投入動作により、開放駆動源となる開放ばねの付勢力を蓄勢し、開放時にこの開放ばねの付勢力にて可動電極を自動開放する。この種の自動ガス開閉器のガス圧低下時ロック装置にあっては、機械的ロック方式が多く採用されている。この機械的ロック方式においては、ソレノイドやプランジャなどからなる自動駆動装置により可動電極の開閉動作を行うためにこの自動駆動装置に連繋されたリンク機構の軸やレバーに対し、ロック部材を作用させてこのリンク機構の軸やレバーの動作をロックし得るようになっている。
【0003】
また、前記自動ガス開閉器にあっては、自動駆動装置のソレノイドへの通電を阻止して自動投入を阻止する電気的ロック方式を採用することはできる。しかし、常時励磁方式の自動ガス開閉器の場合には投入の阻止はし得るものの、開放を阻止する場合には前述したように機械的にリンク機構をロックする方式を併用する必要性が生じることから、自動ガス開閉器のガス圧低下時ロック手段としては、機械的ロック方式が主流になっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記機械的ロック方式は、その構造上、次のように動作する。すなわち、投入信号によりソレノイドが励磁されて可動鉄心に働く駆動力は、ソレノイドの出力部と可動電極との間に設けられた駆動力伝達機構を介して可動電極に伝達される。この駆動力伝達機構は、一般に、複数の軸やレバーやばねなどの機械部品を各種組み合わせたリンク機構等により構成されている。従来の機械的ロック方式におけるロック部は、このリンク機構等のうち、回動軸などの機械部品に対し係脱されて機能する。
【0005】
一般に、前記駆動力伝達機構に働く途中の駆動力は、リンク機構等のばねなどが原因して、ソレノイドの可動鉄心に働く初期の駆動力よりも概して大きい場合が多い。そのため、従来の機械的ロック方式においては、リンク機構等の回動軸と係脱するロック部に対し回動軸からの駆動力が働いて大きな負荷が与えられ易くなる。従って、このロック部を含むロック機構においては、機械部品の剛性を高めたり機械部品点数を増やしたりする必要があり、負荷に応じた強度設計を行わねばならない。
【0006】
本発明は、ガス開閉器の自動駆動装置に対するロック装置において機械的ロック方式のロック部を設置する位置を改良し、ロック部に与えられる負荷を小さくして負荷に応じた強度設計を行い易くすることを目的にしている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
後記実施形態の図面(図1〜11)の符号を援用して本発明を説明する。
請求項1の発明にかかるガス開閉器(1)は、消弧ガスを封入した開閉器ケース(2)内で互いに接離し得る固定電極(4)及び可動電極(5)と、下記の自動駆動装置(10)及びガス圧低下時ロック装置(11)を備えている。
【0008】
前記自動駆動装置(10)は、可動鉄心(移動中心軸線28a)に連結されて連動する出力部(28b)を有するソレノイド(25)と、このソレノイド(25)の出力部(28b)の運動を前記可動電極(5)に伝達する駆動力伝達機構(26)とを備えている。前記可動電極(5)は、前記ソレノイド(25)の出力部(28b)の運動に伴い、前記固定電極(4)に対し投入されて接触する投入位置(PT)と、前記固定電極(4)から開放されて離間する開放位置(PS)とを取り得る。
【0009】
前記ガス圧低下時ロック装置(11)は、前記自動駆動装置(10)のソレノイド(25)と、下記のロック機構(34)とを備えている。前記ソレノイド(25)は、可動鉄心(移動中心軸線28a)に連結されて連動する駆動側ロック部(28c)を有している。このソレノイド(25)の駆動側ロック部(28c)は、前記可動電極(5)の投入位置(PT)に対応する投入運動位置(QT)と、前記可動電極(5)の開放位置(PS)に対応する開放運動位置(QS)とを取る。前記ロック機構(34)にあっては、前記開閉器ケース(2)内のガス圧の変動に伴い、前記ソレノイド(25)の駆動側ロック部(28c)に対し係脱されるように運動する可動ロック部(40)を有している。この可動ロック部(40)は、前記開閉器ケース(2)内のガス圧の低下時に、投入運動位置(QT)にある駆動側ロック部(28c)に対し係止されて開放運動位置(QS)への運動を阻止する投入ロック位置(RT)と、開放運動位置(QS)にある駆動側ロック部(28c)に対し係止されて投入運動位置(QT)への運動を阻止する開放ロック位置(RS)とを取り得る。
【0010】
請求項2の発明において、請求項1の発明にかかるソレノイド(25)の駆動側ロック部(28c)はこのソレノイド(25)の出力部(28b)に対し別々に設けられ、この駆動側ロック部(28c)に係脱される前記ロック機構(34)も、この出力部(28b)に連動する前記駆動力伝達機構(26)に対し別々に設けられている。
【0011】
請求項3の発明において、請求項1または請求項2の発明にかかるロック機構(34)は、前記開閉器ケース(2)内のガス圧の変動に伴い運動する可動体(41)を有し、この可動体(41)は、前記開閉器ケース(2)内のガス圧の低下時に、可動ロック部(40)の投入ロック位置(RT)及び開放ロック位置(RS)に対応する投入開放ロック位置(R)を取る。
【0012】
請求項4の発明において、請求項1または請求項2または請求項3の発明にかかるロック機構(34)の可動ロック部(40)は、開閉器ケース(2)内のガス圧の正常時に、駆動側ロック部(28c)が投入運動位置(QT)と開放運動位置(QS)とに運動するのを許容する投入開放正常位置(N)を取り、このロック機構(34)の可動体(41)は、開閉器ケース(2)内のガス圧の正常時に、可動ロック部(41)の投入開放正常位置(N)に対応する投入開放正常位置(N)を取る。
【0013】
【発明の実施形態】
以下、本発明の一実施形態にかかるガス開閉器を図面を参照して説明する。
<図1,2,3で概略的に示すガス開閉器1の概要>
このガス開閉器1は、多回路型のものであって、消弧ガスを封入した開閉器ケース2内で互いに並設された複数の回路3(例えば二つの幹線回路と三つの分岐回路)を有している。この各回路3は、三相であって、各相ごとにそれぞれ、開閉器ケース2内に設置された固定電極4と、同じく開閉器ケース2内で固定電極4の下方に設置された可動電極5と、この開閉器ケース2の下側に取着されて可動電極5に接続された端子部6とを有している。この各回路3において、可動電極5は、開閉器ケース2内で端子部6上に載設されたブラケット7で軸部7a(図5参照)を中心に回動可能に支持され、その回動に伴い、固定電極4に対し接離される。
【0014】
前記各回路3の並設方向である水平方向を左右方向Aとし、この左右方向Aの両側のうち、図示するように、一方の側を左側とするとともに、他方の側を右側とする。また、この左右方向Aに対し直交する水平方向を前後方向Bとし、この前後方向Bの両側のうち、図示するように、一方の側を前側とするとともに、他方の側を後側とする。さらに、この左右方向Aに対し直交する鉛直方向を上下方向Cとし、この上下方向Cの両側のうち、図示するように、一方の側を上側とするとともに、他方の側を下側とする。
【0015】
前記ガス開閉器1においては、開閉器ケース2上に機構部ケース8が載設され、各回路3ごとに、後述する手動駆動装置9と自動駆動装置10とガス圧低下時ロック装置11とを備えている。
【0016】
<前記各手動駆動装置9>
この各手動駆動装置9は、図1,2,3に示すように、大別して、前記機構部ケース8の前側で回動可能に支持されて前後方向Bへ延びるハンドル軸12と、このハンドル軸12と前記可動電極5との間に設けられた駆動力伝達機構13(後で詳述)とを備えている。
【0017】
* 前記駆動力伝達機構13
この駆動力伝達機構13は、前記ハンドル軸12の上方で前記機構部ケース8の前側に対し回動可能に支持されて前後方向Bへ延びる上側の主軸14と、前記ハンドル軸12の下方で前記開閉器ケース2の前側に対し回動可能に支持されて前後方向Bへ延びる下側の主軸15とを含み、さらにこのハンドル軸12と上側主軸14と下側主軸15とを互いに連動する機構を有している。すなわち、この連動機構においては、図7に示すように、機構部ケース8内でハンドル軸12に固定されたレバー17aと反転ばね17b(圧縮コイルばね)とからなる反転機構17を介して連結されたレバー16に対し一体に回動するレバー18aと、機構部ケース8内で上側主軸14と一体に回動するレバー18bとが、リンク18cにより連動されている。また、機構部ケース8外で上側主軸14と一体に回動するレバー19と、開閉器ケース2外で下側主軸15と一体に回動するレバー20とが、リンク21により連動され、図5に示すように開閉器ケース2内で下側主軸15と一体に回動するレバー22と、前記可動電極5とが、リンク23により連動されている。
【0018】
* 前記固定電極4に対する可動電極5の手動開閉
機構部ケース8外でハンドル軸12にハンドル24を支持して手で回動させると、ハンドル軸12の回動は前記駆動力伝達機構13を介して可動電極5の回動として伝達される。そのため、可動電極5は、図5(a)及び図7(a)に示すように固定電極4から手動開放されて離間する開放位置PSと、図5(b)及び図7(b)に示すようにこの固定電極4に対し手動投入されて接触する投入位置PTとに切り換わって保持される。
【0019】
<前記各自動駆動装置10>
この各自動駆動装置10は、図1,2,3に示すように、大別して、前記機構部ケース8内に設置されたソレノイド25(後で詳述)と、このソレノイド25と前記可動電極5との間に設けられた駆動力伝達機構26(後で詳述)とを備えている。
【0020】
* 前記ソレノイド25
このソレノイド25は、図示しない電磁石を内蔵する本体27と、この本体27内の電磁石の内側に可動鉄心(図示せず)を有するプランジャ28とを備えている。このプランジャ28は、前記本体27内の可動鉄心(前後方向Bへ延びる移動中心軸線28a)に対し一体的に連結されて相対移動のない出力部28bを有している。この出力部28bは、前記本体27内の可動鉄心の移動中心軸線28aに対し同一の移動中心軸線28aを有し、本体27の前側から露出し、可動鉄心の動きに追従して、この移動中心軸線28a上で、図6(a)で示す開放運動位置QS(移動中心軸線28a方向の突出寸法が最小になる位置)と、図6(b)で示す投入運動位置QT(移動中心軸線28a方向の突出寸法が最大になる位置)とを結ぶ直線的運動方向(前後方向B)へ往復移動し得る。
【0021】
* 前記駆動力伝達機構26
この駆動力伝達機構26においては、図6に示すように、前記ソレノイド25にあって出力部28bの上方で本体27の前側に支持された支軸29とレバー30及びレバー31とが一体に回動するとともに、前記機構部ケース8内で上側主軸14と一体に回動するレバー32とこのレバー31とがリンク33により連動し、そのほか、前記手動駆動装置9の駆動力伝達機構13における上側主軸14、レバー19、リンク21、レバー20、下側主軸15、レバー22及びリンク23が兼用されている。前記レバー30は、ソレノイド25の出力部28bに対し接離可能に圧接された状態で連動する。
【0022】
* 前記固定電極4に対する可動電極5の自動開閉
前記ソレノイド25の出力部28bが前記開放運動位置QSになると、図5(a)及び図6(a)に示すように、その動きは前記駆動力伝達機構26を介して可動電極5の回動として伝達され、可動電極5は固定電極4から自動開放されて離間する開放位置PSに切り換わって保持される。前記ソレノイド25の出力部28bが前記投入運動位置QTになると、図5(b)及び図6(b)に示すように、その動きは同様に可動電極5の回動として伝達され、可動電極5は固定電極4に対し自動投入されて接触する投入位置PTに切り換わって保持される。
【0023】
<前記各ガス圧低下時ロック装置11>
この各ガス圧低下時ロック装置11は、図1,2,3に示すように、大別して、前述した自動駆動装置10のソレノイド25と、前記自動駆動装置10に対するロック機構34(後で詳述)と、前記手動駆動装置9に対するロック機構35(後で詳述)とを備えている。
【0024】
* 前記ソレノイド25(前述した構成以外)
このソレノイド25のプランジャ28は、前記出力部28b以外に、前記本体27内の可動鉄心(前後方向Bへ延びる移動中心軸線28a)に対し一体的に連結されて相対移動のない駆動側ロック部28cを有している。この駆動側ロック部28cは、前記本体27内の可動鉄心の移動中心軸線28aに対し同一の移動中心軸線28aを有し、本体27の後側から露出し、可動鉄心の動きに追従して移動中心軸線28a上で進退して、図9(a)及び図11(a)で示す開放運動位置QS(移動中心軸線28a方向の突出寸法が最大になる位置)と、図8(a)及び図10(a)で示す投入運動位置QT(移動中心軸線28a方向の突出寸法が最小になる位置)とを取り得る。なお、この駆動側ロック部28cは前記出力部28bに連動し、この駆動側ロック部28cの突出寸法は、前記出力部28bの突出寸法が最小の場合には逆に最大となり、前記出力部28bの突出寸法が最大の場合には逆に最小となる。
【0025】
前記駆動側ロック部28cにおいては、図4にも示すように、前記プランジャ28の端面に係止板部37(係止部)が取着され、このプランジャ28の円形外周面と係止板部37との間で係止溝部38(係止部)が形成されている。前記駆動側ロック部28cの上方で本体27の後側にガイド39が取着され、このガイド39の内側にロック室39aが形成されているとともに、このガイド39の後側にストッパ部39bが形成されている。この駆動側ロック部28cは前記投入運動位置QTと前記開放運動位置QSとを結ぶ運動方向(前後方向B)へ前記出力部28bとともに直線的に往復移動し、駆動側ロック部28cの係止板部37は、図8(a)及び図10(a)に示すようにこの投入運動位置QTで本体27の後側に当接するとともに、図9(a)及び図11(a)に示すようにこの開放運動位置QSでこのガイド39のストッパ部39bに当接する。
【0026】
* 前記自動駆動装置10に対するロック機構34
このロック機構34は、前記自動駆動装置10の駆動力伝達機構26に対し別々に設けられ、大別して、前記各ソレノイド25でガイド39内のロック室39aに挿嵌されて上下方向Cへ移動可能に支持された可動ロック部40と、この各可動ロック部40を上下動させる可動体41(後で詳述)とを備えている。この可動体41は、大別して、前記各ソレノイド25のうち一つのソレノイド25の付近で前記開閉器ケース2と機構部ケース8との間の境界壁2aに取り付けられた一つのベローズ42と、このベローズ42と前記各可動ロック部40との間に設けられた連動部43とを備えている。
【0027】
・ 前記可動体41のベローズ42
このベローズ42においては、境界壁2aに取着された支持筒部44により蛇腹部45が開閉器ケース2内で支持され、この支持筒部44内を貫通する可動軸46の下端がこの蛇腹部45の内底面に固着されている。この可動軸46においては、機構部ケース8内で係止頭部46aが形成されている。開閉器ケース2内のガス圧の変動に伴い、蛇腹部45が伸縮すると、可動軸46が上下方向Cへ移動し、ベローズ42は、可動軸46の係止頭部46aが下動する投入開放ロック位置Rと、この係止頭部46aが上動する投入開放正常位置Nとを取り得る。
・ 前記可動体41の連動部43
この連動部43は、各ソレノイド25間にわたり左右方向Aへ延設されて支持された連動軸47と、この連動軸47と前記各可動ロック部40との間の連動機構と、この連動軸47と前記ベローズ42との間の連動機構とを備えている。
【0028】
前記各可動ロック部40に対する連動機構においては、連動軸47と一体に回動するレバー48と可動ロック部40とがリンク49により連動されている。
前記ベローズ42に対する連動機構においては、ソレノイド25の本体27の後側で駆動側ロック部28cに隣接して、分岐板50が軸部50aを中心に回動可能に支持されているとともに、係止板51が軸部51aを中心に回動可能に支持され、連動軸47と一体に回動するレバー52とこの分岐板50とがリンク53により連動され、この分岐板50と係止板51と前記ベローズ42の可動軸46とが互いに連係されている。
【0029】
・ 前記ベローズ42の変位に伴う各可動ロック部40の動き
このベローズ42が前記投入開放正常位置Nにあると、可動軸46に連動する係止板51に対し分岐板50が掛止されているため、分岐板50の回動がばね(図示せず)の弾性力に抗して阻止され、図8(a)及び図9(a)に示すように可動ロック部40が前記ガイド39で上動して前記駆動側ロック部28cから離れた投入開放正常位置Nになる。
【0030】
このベローズ42が前記投入開放ロック位置Rになると、可動軸46がベローズ42に追従して下動し、係止板51が分岐板50から離れるため、分岐板50がばね(図示せず)の弾性力により回動し、図10(a)及び図11(a)に示すように可動ロック部40が前記ガイド39で下動して前記駆動側ロック部28cに係止された投入開放ロック位置R(後述する投入ロック位置RTまたは開放ロック位置RS)になる。
【0031】
ちなみに、前記各ソレノイド25の駆動側ロック部28cは投入運動位置QTと開放運動位置QSとを結ぶ前後方向Bへ直線運動を行うとともに、前記ロック機構34の可動ロック部40は投入開放正常位置Nと投入ロック位置RT及び開放ロック位置RSとを結ぶ上下方向Cへ直線運動を行い、それらの運動方向は互いに直交している。
【0032】
* 前記手動駆動装置9に対するロック機構35
このロック機構35においては、前記自動駆動装置10に対するロック機構34の一部であるベローズ42、係止板51及び分岐板50を含み、前記手動駆動装置9の各ハンドル軸12の付近で前記各ソレノイド25間にわたり左右方向Aへ延設されて支持された連動軸54と一体に回動するレバー55と前記分岐板50とがリンク56により連動されているとともに、この連動軸54と一体に回動する各レバー57に支持されたロック部58と、前記各ハンドル軸12に連動する各レバー17aに設けられたロック部59とが互いに連係可能になっている。すなわち、図8(b)及び図9(b)に示す非ロック状態では各レバー57側のロック部58がガイド(図示せず)に沿って上動して各ハンドル軸12側のロック部59の回動軌跡から離れ、図10(b)及び図11(b)に示すロック状態ではこの各ロック部58がガイド(図示せず)に沿って下動してこの各ロック部59の回動軌跡範囲に入る。
【0033】
<正常時における投入開放状態>
* 図8に示す正常時投入状態
開閉器ケース2内のガス圧の正常時に、自動駆動装置10により、可動電極5が固定電極4に投入された状態では、ガス圧低下時ロック装置11のロック機構34において、前記投入開放正常位置Nにあるベローズ42により、可動ロック部40が、図8(a)に示すように前記投入開放正常位置Nになって、前記投入運動位置QTにあるソレノイド25の駆動側ロック部28cから離れたところに位置するため、この駆動側ロック部28cは前記投入運動位置QTと前記開放運動位置QSとの間で往復運動可能になる。この場合、手動駆動装置9に対するロック機構35も、図8(b)に示すように、前記非ロック状態になる。なお、この正常時投入状態は、図1に示すように機構部ケース8の外側に設けられた目視表示部60により認識することができる。
【0034】
* 図9に示す正常時開放状態
開閉器ケース2内のガス圧の正常時に、自動駆動装置10により、可動電極5が固定電極4から開放された状態で、前記ロック機構34の可動ロック部40は、前記正常時投入状態と同様に、前記開放運動位置QSにあるソレノイド25の駆動側ロック部28cから離れたところに位置するため、図9(a)に示すようにこの駆動側ロック部28cが往復運動可能になる。この場合、手動駆動装置9に対するロック機構35も、図9(b)に示すように、前記正常時投入状態と同様に非ロック状態になる。なお、この正常時開放状態は、前記目視表示部60により認識することができる。
【0035】
ちなみに、自動駆動装置10でソレノイド25の出力部28bが開放運動位置QSに位置する場合のみ、この出力部28bに圧接された前記レバー30が回動可能になるので、手動駆動装置9でハンドル軸12を回動操作し、反転機構17を介して可動電極5を切り換えることができる。
【0036】
<ガス圧低下時におけるロック状態>
* 図10に示す投入時ロック状態
自動駆動装置10により、可動電極5が固定電極4に投入された状態で、開閉器ケース2内のガス圧が低下すると、ガス圧低下時ロック装置11のロック機構34において、ベローズ42が前記投入開放ロック位置Rになって可動ロック部40が図10(a)に示すように前記投入ロック位置RTになり、前記投入運動位置QTにあるソレノイド25の駆動側ロック部28cの係止板部37に対し、可動ロック部40の係止部40aが係止される。そのため、ソレノイド25の駆動側ロック部28cが前記投入運動位置QTから前記開放運動位置QSへ運動するのを阻止することができる。この場合、手動駆動装置9に対するロック機構35も、図10(b)に示すように、前記ロック状態になる。なお、この投入時ロック状態は、前記目視表示部60により認識することができる。
【0037】
* 図11に示す開放時ロック状態
自動駆動装置10が開放状態であって、手動駆動にて可動電極5が固定電極4に投入された状態で、開閉器ケース2内のガス圧が低下すると、前記ロック機構34の可動ロック部40は、前記投入時ロック状態と同様に、前記開放ロック位置RSになるので、図11(a)に示すように、前記開放運動位置QSにあるソレノイド25の駆動側ロック部28cの係止溝部38に対し係入されてその係止部40bで係止される。そのため、ソレノイド25の駆動側ロック部28cが前記開放運動位置QSから前記投入運動位置QTへ運動するのを阻止することができる。この場合、手動駆動装置9に対するロック機構35も、図11(b)に示すように、前記投入時ロック状態と同様に前記ロック状態になる。なお、この開放時ロック状態は、前記目視表示部60により認識することができる。
【0038】
<前記ソレノイド25の異常時制御の概要>
図2に示すように、子局61においては、各ソレノイド25に対し遮断器62を介して電源の供給を行っている。この電源供給により、各ソレノイド25が励磁されて駆動側ロック部28cが前記投入運動位置QTになる。しかし、駆動側ロック部28cが前記開放運動位置QSで可動ロック部40によりロックされた状態で、各ソレノイド25に電源が供給されると、駆動側ロック部28cが前記開放運動位置QSから投入運動位置QTへ移動できないため、励磁状態にある各ソレノイド25に過電流が発生する。
【0039】
そこで、下記の異常時制御を行っている。
図7に示す主軸14に連動するレバー18a及びレバー32にあってそれらの回動軌跡上にそれぞれマイクロスイッチ(図示せず)が設けられている。これらのマイクロスイッチは、各レバー18a,32の投入開放動作を検知し、その情報を子局61に送り、前記自動駆動装置10の投入開放動作についての動作確認を行うものである。すなわち、子局61のコントローラ65は、自己の動作命令に対し、前記一対のマイクロスイッチの動作信号が追随しない場合に、開閉器の異常と判断し、ブザーやランプ等による警報を発するとともに、特に投入動作時の異常に対しては各ソレノイド25への電源の供給動作を停止する。また、子局61に設けられた遮断器62は、自動駆動装置10による投入動作時においてガス圧低下によるロック機構が働いた場合、ソレノイド25への通電異常を検知して自動的に遮断動作を行い、ソレノイド25への通電を絶ち、ソレノイド25の焼損事故を防止する。なお、この警報処置と電源供給停止処置のうち少なくとも一方の異常処置のみを行ってもよい。
【0040】
そのほか、図示しないが、前記遮断器62に付設された過電流検出センサからの信号を異常発生判断要素として利用してもよい。
<本実施形態の特徴>
本実施形態は下記*の特徴(後記する他の技術的思想以外)を有する。
【0041】
* 消弧ガスを封入した開閉器ケース2内で固定電極4に対し可動電極5をソレノイド25の駆動力により投入及び開放させる自動駆動装置10にあって、開閉器ケース2内のガス圧が低下した状態で、可動電極5の投入状態または開放状態を保持する場合、このソレノイド25の可動鉄心(移動中心軸線28a)に一体的に連結されて連動する駆動側ロック部28cに対し、ロック機構34の可動ロック部40を係脱させている。換言すれば、可動鉄心と相対移動のない部分を駆動側ロック部28cとして利用している。そのため、この可動ロック部40に対しソレノイド25の駆動側ロック部28cの駆動力が直接的に与えられる。従って、ソレノイド25の出力部28bと可動電極5との間に設けられた駆動力伝達機構26にロック部を連係させた従来のロック機構と比較して、可動ロック部40に与えられる負荷を小さくし、負荷に応じた強度設計を容易に行うことができる。
【0042】
* ソレノイド25において駆動側ロック部28cは出力部28bに対し別々に設けられている。そのため、この駆動側ロック部28cに係脱されるロック機構34と、この出力部28bに連動する駆動力伝達機構26とを、ソレノイド25のプランジャ28以外、直接的に関連させずに設置することができる。従って、設計を容易に行うことができる。
【0043】
* ソレノイド25のプランジャ28において駆動側ロック部28cと出力部28bとは可動鉄心の移動中心線28a上で一体的に連結されて設けられている。従って、設計を容易に行うことができる。
【0044】
* ロック機構34の可動体41(ベローズ42及び連動部43)及び可動ロック部40により、ロック及びロック解除を円滑に行うことができる。
〔他の実施形態〕
前記実施形態以外にも下記*のように構成してもよい。
【0045】
* 前記実施形態の各ソレノイド25においては出力部28bと駆動側ロック部28cとがソレノイド25の前後両側で別々に設けられていたが、この出力部28bと駆動側ロック部28cとを兼用してもよい。図示しないが、例えば、出力部28bを省略し、駆動側ロック部28cから上側主軸14に駆動力を伝達して出力部の機能も果たすように駆動側ロック部28c及び駆動力伝達機構26を変更する。
【0046】
* 前記実施形態では直線運動を行うソレノイド25を利用しているが、このソレノイド25に代えて、回転運動を行うソレノイドを利用する。この場合も、ロック機構34の可動ロック部40の運動方向は、例えば、回転運動中心線方向に対し直交させた上下方向Cとする。
【0047】
* 前記実施形態ではロック機構34の可動体41としてその一部にベローズ42を利用しているが、このベローズ42に代えて、圧力変動を可動ロック部40に変位として伝達する他の圧力変動感知手段、例えばダイヤフラム等を利用してもよい。
【0048】
〔他の技術的思想〕
前記実施形態から把握できる技術的思想(請求項以外)を記載する。
(イ) 請求項3または請求項4において、ロック機構34の可動体41は、開閉器ケース2内のガス圧の低下時に、可動ロック部40の投入ロック位置RT及び開放ロック位置QSに対応する投入開放ロック位置Rを取り、開閉器ケース2内のガス圧の正常時に、可動ロック部40の前記投入開放正常位置Nに対応する投入開放正常位置Nを取るベローズ42と、
このベローズ42の運動を可動ロック部40に伝達する連動部43と
を有している。
【0049】
従って、ロック及びロック解除を円滑に行うことができる。
(ロ) 請求項1から請求項4のうちいずれかの請求項、または上記(イ)において、ロック機構34の可動ロック部40にあって投入開放正常位置Nと投入ロック位置RT及び開放ロック位置RSとを結ぶ運動方向(上下方向C)は、ソレノイド25の駆動側ロック部28cにあって投入運動位置QTと開放運動位置QSとを結ぶ運動方向(前後方向B)に対し直交する。
【0050】
従って、可動ロック部40に与えられる負荷を小さくして負荷に応じた強度設計を容易に行うことができるとともに、ロック及びロック解除を円滑に行うことができる。
【0051】
(ハ) 請求項1から請求項4のうちいずれかの請求項、または上記(イ)または上記(ロ)において、投入運動位置QTにある駆動側ロック部28cと、投入ロック位置RTにあるロック機構34の可動ロック部40とには、駆動側ロック部28cの運動軌跡で互いに係止される係止部(係止板部37、係止部40a)を設け、開放運動位置QSにある駆動側ロック部28cと、開放ロック位置RSにあるロック機構34の可動ロック部40とには、駆動側ロック部28cの運動軌跡で互いに係止される係止部(係止溝部38、係止部40b)を設けた。
【0052】
従って、ロック及びロック解除を円滑に行うことができる。
【0053】
【発明の効果】
請求項1の発明にかかるガス開閉器(1)のガス圧低下時ロック装置(11)によれば、ソレノイド(25)の可動鉄心(移動中心軸線28a)に連結されて連動する駆動側ロック部(28c)に対し、ロック機構(34)の可動ロック部(40)を係脱させているので、可動ロック部(40)に与えられる負荷を小さくして負荷に応じた強度設計を容易に行うことができる。
【0054】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、ソレノイド(25)において駆動側ロック部(28c)を出力部(28b)に対し別々に設けたので、ロック機構(34)と駆動力伝達機構(26)とを互いに関連させずに設置して設計を容易に行うことができる。
【0055】
請求項3の発明によれば、請求項1または請求項2の発明の効果に加え、ロックを円滑に行うことができる。
請求項4の発明によれば、請求項1または請求項2または請求項3の発明の効果に加え、ロック及びロック解除を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態にかかるガス開閉器の機構部ケース内を上側から見た概略部分断面図である。
【図2】図1をXーX線で切断してガス開閉器の機構部ケース内及び開閉器ケース内を左側から見た概略部分断面図である。
【図3】図1をXーX線で切断してガス開閉器の機構部ケース内を左側から見た概略部分斜視図である。
【図4】図1をYーY線で切断して一つのソレノイド等を後側から見た概略部分断面図である。
【図5】(a)は上記ガス開閉器の自動駆動装置及び手動駆動装置において可動電極と連係するリンク機構の開放状態を前側から見た概略部分断面図であり、(b)は同じく投入状態を前側から見た概略部分断面図である。
【図6】(a)は上記ガス開閉器の自動駆動装置においてソレノイドと連係するリンク機構の開放状態を左側から見た概略部分断面図であり、(b)は同じく投入状態を左側から見た概略部分断面図である。
【図7】(a)は上記ガス開閉器の手動駆動装置においてハンドル軸と連係するリンク機構の開放状態を前側から見た概略部分断面図であり、(b)は同じく投入状態を前側から見た概略部分断面図である。
【図8】(a)は上記自動駆動装置に対するロック機構の正常時投入状態を左側から見た概略部分断面図であり、(b)は上記手動駆動装置に対するロック機構の正常時開放状態を前側から見た概略部分断面図である。
【図9】(a)は上記自動駆動装置に対するロック機構の正常時開放状態を左側から見た概略部分断面図であり、(b)は上記手動駆動装置に対するロック機構の正常時投入状態を前側から見た概略部分断面図である。
【図10】(a)は上記自動駆動装置に対するロック機構の投入時ロック状態を左側から見た概略部分断面図であり、(b)は上記手動駆動装置に対するロック機構の投入時ロック状態を前側から見た概略部分断面図である。
【図11】(a)は上記自動駆動装置に対するロック機構の開放時ロック状態を左側から見た概略部分断面図であり、(b)は上記手動駆動装置に対するロック機構の開放時ロック状態を前側から見た概略部分断面図である。
【符号の説明】
1…ガス開閉器、2…開閉器ケース、4…固定電極、5…可動電極、9…手動駆動装置、10…自動駆動装置、11…ガス圧低下時ロック装置、25…ソレノイド、26…駆動力伝達機構、28…プランジャ、28a…可動鉄心の移動中心軸線、28b…出力部、28c…駆動側ロック部、34…ロック機構、40…可動ロック部、41…可動体、42…ベローズ、PT…可動電極の投入位置、PS…可動電極の開放位置、QT…駆動側ロック部及び出力部の投入運動位置、QS…駆動側ロック部及び出力部の開放運動位置、RT…可動ロック部の投入ロック位置、RS…可動ロック部の開放ロック位置、R…ベローズ及び可動ロック部の投入開放ロック位置、N…ベローズ及び可動ロック部の投入開放正常位置。
Claims (4)
- 消弧ガスを封入した開閉器ケース内で互いに接離し得る固定電極及び可動電極と、可動鉄心に連結されて連動する出力部を有するソレノイドと、このソレノイドの出力部の運動を前記可動電極に伝達する駆動力伝達機構とを備え、前記可動電極は、前記ソレノイドの出力部の運動に伴い、前記固定電極に対し投入されて接触する投入位置と、前記固定電極から開放されて離間する開放位置とを取り得るガス開閉器において、
前記ソレノイドは、可動鉄心に連結されて連動する駆動側ロック部を有し、
このソレノイドの駆動側ロック部は、前記可動電極の投入位置に対応する投入運動位置と、前記可動電極の開放位置に対応する開放運動位置とを取り、
前記開閉器ケース内のガス圧の変動に伴い、前記ソレノイドの駆動側ロック部に対し係脱されるように運動する可動ロック部を有するロック機構を設け、
このロック機構にあって可動ロック部は、前記開閉器ケース内のガス圧の低下時に、投入運動位置にある駆動側ロック部に対し係止されて開放運動位置への運動を阻止する投入ロック位置と、開放運動位置にある駆動側ロック部に対し係止されて投入運動位置への運動を阻止する開放ロック位置とを取り得る
ことを特徴とするガス開閉器におけるガス圧低下時ロック装置。 - 前記ソレノイドにおいて駆動側ロック部は出力部に対し別々に設けられ、この駆動側ロック部に係脱される前記ロック機構も、この出力部に連動する前記駆動力伝達機構に対し別々に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のガス開閉器におけるガス圧低下時ロック装置。
- 前記ロック機構は、前記開閉器ケース内のガス圧の変動に伴い運動する可動体を有し、この可動体は、前記開閉器ケース内のガス圧の低下時に、可動ロック部の投入ロック位置及び開放ロック位置に対応する投入開放ロック位置を取ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガス開閉器におけるガス圧低下時ロック装置。
- 前記ロック機構において、
可動ロック部は、開閉器ケース内のガス圧の正常時に、駆動側ロック部が投入運動位置と開放運動位置とに運動するのを許容する投入開放正常位置を取り、
可動体は、開閉器ケース内のガス圧の正常時に、可動ロック部の投入開放正常位置に対応する投入開放正常位置を取る
ことを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3に記載のガス開閉器におけるガス圧低下時ロック装置。
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