JP3628484B2 - 検知装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、サーモパイル等、非接触型の温度検知素子を用いて侵入者等を検知する検知装置に係り、特に、侵入者による検知装置に対する意図的な画策行為を検知する検知装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、侵入者を検知する検知装置の多くは、焦電素子等の赤外線受動検知素子が使用されているが、これらは検知装置に対し意図的に赤外線を遮る物体を被せると侵入者の検知が不能となる欠点があった。
また、このような画策行為の検知手段は種々あるが、これらは検知装置の警戒範囲の全ての部分の画策を検知し得るものではなかった。
【0003】
本発明は、上記従来の欠点を解消し侵入者により意図的に侵入検知不能とする画策行為が行われたことを検知することができ、警備性能を維持できる検知装置を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の検知装置は、請求項1記載のように、警備領域に設定された複数のエリアの各々の温度を測定するために、各エリアに対応して複数個設けられる非接触型の温度検知素子と、
前記非接触型の温度検知素子に前記エリアの熱放射エネルギーを入射する集光光学系と、
前記非接触型の温度検知素子が検知した各エリアの温度を互いに比較し、前記複数のエリアの温度の差異が所定範囲以内である場合に前記複数のエリアが検知不能な画策状態であると判定する処理手段と、
を備えたことを特徴としている。
【0005】
また、請求項2記載のように、警備領域に設定された複数のエリアの各々に対応して複数個設けられる集光光学系と、
前記集光光学系から出力される熱放射エネルギーにより前記複数のエリアの各々の温度を測定する単一の非接触型の温度検知素子と、
前記複数の集光光学系と前記非接触型の温度検知素子の光路上に設けられ前記複数の集光光学系の出力を前記単一の非接触型の温度検知素子に順次入力させるメカニカルシャッタ又は回動自在なミラーと、
前記非接触型の温度検知素子が検知した各エリアの温度を互いに比較し、前記複数のエリアの温度の差異が所定範囲以内である場合に前記複数のエリアが検知不能な画策状態であると判定する処理手段と、
を備えたことを特徴としている。
【0006】
上記構成によれば、警備領域に設定された複数のエリアに対応して複数個設けられる非接触型の温度検知素子と、非接触型の温度検知素子にエリアの熱放射エネルギーを入射する集光光学系とによって複数のエリアの温度が検知される。また、別の構成として、警備領域に設定された複数のエリアの各々に対応して複数個設けられる集光光学系と、集光光学系から出力される熱放射エネルギーにより複数のエリアの各々の温度を測定する単一の非接触型の温度検知素子と、複数の集光光学系と非接触型の温度検知素子の光路上に設けられ複数の集光光学系の出力を単一の非接触型の温度検知素子に順次入力させるメカニカルシャッタ又は回動自在なミラーとによって複数のエリアの温度が検知される。
検知装置の侵入者検知を画策するため障害物が設けられると、温度検知素子はこの障害物によって各エリアの温度がほぼ同一に検知される。
処理手段は、通常時において警備領域内の各エリアの検知温度がそれぞれ異なることに基づき、各エリアの温度がほぼ同一に検知されたときは、画策行為があったものと判定する。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の検知装置の第1実施形態の構成を示すブロック図である。
検知装置1は、部屋等所定範囲の警戒領域に対する侵入者を検知するもので、この警戒領域を複数の検知ゾーンに分割して検知する構成とされている。
12の検知ゾーンがある場合、この複数の検知ゾーンA1〜A12は、12個のレンズ、ミラー等で構成される集光光学系2と、複数の非接触型検知素子(以下、検知素子と略称する)3で設定される。ここで、検知素子3は、サーモパイル等絶対温度を検知する素子で構成され、この例では4個設けられており、各検知ゾーン内で4分割されてそれぞれの絶対温度を検知する。
【0008】
図2は、検知装置1の検知ゾーンを示す概略図である。図示のように、天井等に配置された1個の検知装置1は、警戒領域内で複数の検知ゾーンA1〜A12が床面等に向かってそれぞれ異なる角度を有し放射状に設定されている。同図において幅方向しか記載していないが、奥行き方向にも複数の検知ゾーンが存在している。また、図示されていないが、4個の検知素子3(3a〜3d)に対応して各検知ゾーンはそれぞれさらに4分割して検知されている。
図3は、警戒領域の平面図であり、部屋を平面的に示している。図示のように、計12分割された検知ゾーンA1〜A12と、各検知ゾーンA内を4分割して検知する構成が示されている。
【0009】
サーモパイルで構成されている検知素子3は、受熱面に熱放射エネルギーを受けると、エネルギーの大きさに比例して受熱面の温度が上昇し電圧出力する赤外線センサであり、侵入者があると体温を感知して出力されるようになっている。
例えば検知素子3aは、図3に示す12の各検知ゾーン内でそれぞれ4分割されたうち各1つのエリア▲1▼部分を検知する。同様に検知素子3bはエリア▲2▼を検知し、検知素子3cは▲3▼を検知し、検知素子3dは▲4▼部分を検知する。
そして、検知素子3aは、12の各検知ゾーンA1〜A12におけるエリア▲1▼を合計したエネルギーを検知し、他の検知素子3b〜3dも同様にエリア▲2▼〜▲4▼でそれぞれ合計したエネルギーを検知する。
【0010】
ここで、図3に示す警戒領域内には、当初から所定の温度差が生じている。通常、床面と壁では温度が異なり、また、床面上でも構造物の差異により温度が異なる。これにより、例えば図3中、点線で示された範囲は他の箇所と温度が異なる状態となっている。
このため、図4中実線に示すように各検知素子3a〜3dは、通常状態でもそれぞれ受光するエネルギー量が異なっている。
【0011】
このように複数の検知素子3a〜3dから出力されるエリア▲1▼〜▲4▼のエネルギーに対応した電圧出力は、マルチプレクサ4に入力され、各エリアの出力が時系列に後段に出力される。即ち、マルチプレクサ4は検知素子3a〜3dの出力を時間経過に伴い順次1つづつ選択して出力する。
マルチプレクサ4で選択されたある検知素子3の出力信号は、増幅器5で増幅された後、処理手段6に入力される。
【0012】
処理手段6は、CPUと処理プログラムで構成され、ROM,RAM等の記憶部7が接続されている。処理手段6は、入力された検知素子3の出力信号を受けて侵入検知及び画策検知の処理を実行する。
記憶部7には、予め画策判定用データが格納されている。画策判定用データは、例えば検知装置1製造後に、カバー1a(図2参照)部分に赤外線を透過しない材質のカバー等で覆ったときに測定された各検知素子3a〜3dの電圧出力を示すデータである。この画策判定用データは、図4中点線に示すように、前記赤外線非透過の材質に基づき全ての検知素子3a〜3dがほぼ同様な電圧出力を示すものとなる。
【0013】
まず、侵入検知処理について説明する。
図3に示すように、警戒領域内では、通常時でも検知エリア別に温度が異なり、各検知素子3a〜3dからはそれぞれ異なる電圧が出力されている。処理手段6は、マルチプレクサ4で順次1つの検知素子3からの電圧出力を取込み、前回時の電圧出力との差分(微分処理による傾き)を演算してその変化量を判断する。
そして、この変化量が短時間のうちに急激な量となった場合には、侵入者の侵入を要因とするものであると判断して侵入検知信号を出力する。ここで、ある1つの検知素子3aのみの電圧信号の変化量が大きい場合、及び複数の検知素子3a〜3dからの電圧信号の変化量が大きい場合のいずれにおいても侵入検知であると判断される。
この侵入検知信号の出力に基づき夜間等警戒を開始した警戒モード中は警報が発せられるとともに、遠隔の管理センタに伝送され警備員の出動等警備業務が遂行される。
【0014】
次に、画策検知処理について説明する。
画策検知処理は、前述した侵入検知処理実行中における特定現象が生じたことを検知して実行される。即ち、上記と同様に、処理手段6は、マルチプレクサ4で順次1つの検知素子3からの電圧出力を取込み、前回時の電圧出力との差分(微分処理による傾き)を演算してその変化量を判断している。
そして、この侵入検知処理の実行中に、画策行為が行われた場合、例えば、検知装置1のカバー1aが赤外線を透過しない材質等で構成されたカバーや布等で覆われたときには、検知素子3a〜3dは全てこの赤外線非透過の材質を検知することとなり、いずれの電圧出力も同様となる。
【0015】
したがって、処理手段6は、検知素子3a〜3dの出力が記憶部7に記憶された画策判定用データの値相当になった場合、即ち、検知素子3a〜3dから出力される電圧値と記憶されている各判定用データの電圧値を比較し、両者の差が所定範囲以内である場合に画策されたものと判断して画策検知信号を外部出力する。 また、画策判定用データを用いずに、検知素子3a〜3dから出力される電圧値がいずれも所定範囲以内でほぼ一様な値となったときに画策されたものと判断して画策検知信号を外部出力する構成とすることもできる。
ここで、検知素子3a〜3dは、絶対温度を検知するものであるため、各検知素子3a〜3dはいずれも同一の赤外線非透過材質の絶対温度を検知することになる。
【0016】
ここで、処理手段6は、赤外線非透過材質で覆われたことを機械的に検知するものではないが、上述したように検知素子3a〜3dから出力される電圧出力がそれぞれ異なる値であることが通常状態であることに基づき(例え夜間であっても警戒領域内では場所によって温度が異なる)、この通常状態ではないことが判断でき、画策行為があったものと判断することができるようになっている。
この画策検知信号の出力に基づき警報が発せられるとともに、遠隔の管理センタに伝送され警備員の出動等警備業務が遂行される。ここで、処理手段6は、前述した侵入検知信号とは別の画策検知信号を出力するため、警報や制御物の制御等を侵入時とは異ならせることができる。
【0017】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。
本発明では、基本的に複数の検知エリアの温度を検知し、各エリアの温度がほぼ同様な値となったときに画策行為が行われたものと判断する構成である。
このように、複数の検知エリアの温度を検知する他の構成例を以下に説明する。図5に示す構成のものは、検知素子3を1個で構成し、集光光学系2の個数に対応してそれぞれメカシャッタ11a〜11nを設け、このメカシャッタ11a〜11nを順次切り換えていき、各検知エリアの温度を順次検知していく構成のものである。この構成例によれば、検知素子3の個数を削減できマルチプレクサ4が不要となる。
【0018】
次に、図6に示す構成のものは、検知素子3を1個で構成し、各集光光学系2と検知素子3の光路上に回動自在なミラー13を設け、このミラー13を回動させて各検知エリアの温度を順次検知していく構成のものである。この構成例においても検知素子3の個数を削減できマルチプレクサ4が不要となる。
【0019】
次に、図7に示す構成のものは、集光光学系2を1個で構成し各エリアに対応する個数の検知素子3a〜3nを設けた構成である。この構成例では、集光光学系2の個数を削減できる。尚、各検知素子3a〜3n後段にはマルチプレクサ4を設け、各検知素子3a〜3nの出力を順次切り替えていく構成とする。
【0020】
上記実施の形態では、非接触型の温度検知素子として絶対温度を検知できるサーモパイルを用いることを前提として説明した。即ち、汎用されている焦電素子は、侵入者の移動に基づく変化を検知するものであるため、前述した赤外線非透過材質が装着された極短時間の変化しか検知できないものであり、焦電素子をそのままサーモパイルに置き換えて構成することはできない。
しかしながら、この焦電素子と、チョッパを組み合わせて使用することにより焦電素子はチョッパ通過前後の変化を経時的に判断していくことにより、疑似的に絶対温度を検知できるようになる。即ち、焦電素子とチョッパを組み合わせた構成であれば、前述したサーモパイルに代えて使用することもできるようになる。この場合、前述の各実施形態で説明したように、複数の検知エリアの温度を検知できるよう、焦電素子あるいは集光光学系2の少なくともいずれかを複数個用いる構成とする。
【0021】
また、上記実施の形態では画策行為として検知装置1のカバー1aに直接、赤外線非透過材質が貼り付けられた場合を例に説明したが、この検知装置1から所定距離離れていても全ての検知エリアの検知が不能な状態となるようやや大きな赤外線非透過材質が配置された場合であっても、この画策行為を検知できるようになっている。
尚、上記実施の形態では画策行為に赤外線非透過材質のカバー等が用いられた場合の例を説明したが、他、侵入検知を不能とするために全面の温度が均一となるような特殊な材質のものが用いられた場合であっても、上記説明同様にこの画策行為を検知することができるようになっている。
【0022】
【発明の効果】
本発明の検知装置は、複数の非接触型の温度検知素子と、集光光学系との構成や複数の集光光学系と、単一の非接触型の温度検知素子と、メカニカルシャッタ又はミラーとの構成により複数のエリアの温度を検知し、処理手段により、各エリアの温度がほぼ同一と検知されたときには、画策行為があったものと判定する構成であるため、障害物が設けられ、侵入検知が不能となっても、この画策行為を検知できることにより警備の信頼性を維持できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の検知装置の実施の形態を示す構成図。
【図2】検知装置の検知エリアを示す概要図(側面図)。
【図3】検知装置の検知エリアを示す平面図。
【図4】各検知素子の電圧出力を示す図。
【図5】本発明の他の実施形態を示す図。
【図6】本発明の他の実施形態を示す図。
【図7】本発明の他の実施形態を示す図。
【符号の説明】
1…検知装置、2…集光光学系、3…検知素子、4…マルチプレクサ、5…増幅器、6…処理手段、7…記憶部。
Claims (2)
- 警備領域に設定された複数のエリアの各々の温度を測定するために、各エリアに対応して複数個設けられる非接触型の温度検知素子と、
前記非接触型の温度検知素子に前記エリアの熱放射エネルギーを入射する集光光学系と、
前記非接触型の温度検知素子が検知した各エリアの温度を互いに比較し、前記複数のエリアの温度の差異が所定範囲以内である場合に前記複数のエリアが検知不能な画策状態であると判定する処理手段と、
を備えたことを特徴とする検知装置。 - 警備領域に設定された複数のエリアの各々に対応して複数個設けられる集光光学系と、
前記集光光学系から出力される熱放射エネルギーにより前記複数のエリアの各々の温度を測定する単一の非接触型の温度検知素子と、
前記複数の集光光学系と前記非接触型の温度検知素子の光路上に設けられ前記複数の集光光学系の出力を前記単一の非接触型の温度検知素子に順次入力させるメカニカルシャッタ又は回動自在なミラーと、
前記非接触型の温度検知素子が検知した各エリアの温度を互いに比較し、前記複数のエリアの温度の差異が所定範囲以内である場合に前記複数のエリアが検知不能な画策状態であると判定する処理手段と、
を備えたことを特徴とする検知装置。
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