JP3628371B2 - 異種部材の抵抗溶接方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は異種部材の抵抗溶接方法、特にアルミニウム合金と鉄系合金との接合に適した方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
異種金属同士の接合技術には、例えば▲1▼特開平5−111778号公報「異種金属の抵抗溶接方法」や▲2▼特開平6−63762号公報「異種金属接合用材料」が知られている。
【0003】
前記▲1▼は、同公報の図1において、アルミニウム1と非アルミニウム2との間に、インサート材3を介在させ、このインサート材3はアルミニウム3aに非アルミニウム3bを接合したものしたものであり、クラッド材の全厚を2mm以内とし、クラッド材におけるアルミニウム比率を適度な値とすることにより、少ない電流で溶接ができたというものである。
前記▲2▼も、同公報の図1において、鋼板4とアルミニウム5との間に、インサート材3を介在させ、このインサート材3を鉄屑1とアルミニウム層2との複合材としたことを特徴とし、上記▲1▼と同様に少ない電流で溶接ができたというものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記▲1▼,▲2▼ともに母材間にインサート材を介在させるため、そのインサート材を別に製造しなければならないこと、及び母材同士を接合する際にインサート材が正しい位置に保持されているかを十分に注意する必要がある。
その結果、溶接コストの高騰を招き、溶接作業も面倒なものとなり、作業者の負担は大きくなる。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、異種部材の抵抗溶接を研究する中で、両母材間に、粒状の金属粉末を介在させることで、この金属粉末が「くさび」効果を発揮することを見出し、このくさび作用により満足すべき接合が得られるという製法を確立するに成功した。
具体的には、第1の部材に、この第1の部材よりも低融点の第2の部材を接合するに際し、少なくともこの第2の部材より高硬度で且つ高融点の金属粉末を、両部材間に置き、電極で両部材を加圧し、通電し、金属粉末のくさび若しくはかすがい作用で両部材を結合するという異種部材の抵抗溶接方法である。
【0006】
第1の部材がFe系材であり、第2の部材がAl系材であっても差支えない。
【0007】
前記金属粉末は、Zr、Ti、Ni、Mo、Fe、Cr、Co及びこれらを基にした合金である。
【0008】
前記金属粉末の平均粒径をG、前記第1・第2の部材のうち低硬度の方の部材の厚さをTとしたとき、比(G/T)が次の範囲にあることが望ましい。
0.15≦(G/T)≦0.60
【0009】
【作用】
図1(a),(b)は本発明方法の原理図である。
(a)にて、第1の部材(Fe系被溶接材)1に第2の部材(Al系被溶接材)2を抵抗溶接するに際し、これら第1・2の部材1,2の少なくとも一方より高硬度で且つ高融点の金属粉末3を、両部材1,2間に置き、電極5,6で両部材を加圧しながら電流を流す。
(b)にて、ジュール熱で加熱されて軟化した第2の部材2に金属粉末3がめり込む。即ち、溶融軟化したAl系材が金属粉末3の上半部を包み込むような形態の接合形態であり、金属粉末3は全部が溶融してはいないことに特徴がある。なぜなら、本発明では、Al系材より高融点の金属粉末3を使用するからである。(b)では金属粉末3が「くさび」若しくは「かすがい」となって部材1,2を結合していることを示す。
【0010】
図2は本発明の金属粉末の種類と融点との関係を示すグラフであり、横軸は融点(℃)、縦軸は各種の金属粉末と比較のためのSPCC及びA5182である。SPCCはJICG3141で規定される冷間圧延鋼板、A5182は5000系Al−Mg合金である。
融点で比較すると、SPCCは1500℃弱、A5182は580℃強である。これに対して、Zr(ジルコニウム)は約1850℃、Ti(チタン)は約1670℃、Ni(ニッケル)は約1450℃、Mo(モリブデン)は約2600℃、Fe(鉄)は約1530℃、Cr(クロム)は約1870℃、Co(コバルト)は約1500℃と、いずれのAl系材よりは十分に高融点である。
従って、Zr、Ti、Ni、Mo、Fe、Cr、Coで前記金属粉末3を形成すれば、インサート粉末を溶かさずに、アルミニウム材のみを溶かすことが可能となる。
【0011】
図3は本発明の金属粉末の種類と硬度との関係を示すグラフであり、横軸は硬度(mHv,荷重300gによるマイクロビッカース)、縦軸は各種の金属粉末と比較のためのSPCC及びA5182である。
硬度で比較すると、SPCCとA5182はともに約80強程度である。これに対して、Zr、Ti、Ni、Mo、Fe、Cr、Coは全て140を超えているので相対的に高硬度であると言える。
従って、Zr、Ti、Ni、Mo、Fe、Cr、Coで前記金属粉末3を形成すれば、Al系材に良好に食い込むことになる。
【0012】
図4(a),(b)は本発明の評価に係る試験方法の説明図である。
(a)は「引張り剪断試験」の原理図であり、引張り試験機によって、第1の部材1と第2の部材2とを互いに逆向きに引張り、溶接部8で破断(剪断破壊)したときの引張り力(kgf)を記録する。
(b)は「U字引張り試験」の原理図であり、溶接部8が谷底位置となるようにして第1の部材1及び第2の部材2をU字形に曲げる(又は、U字形に成形した第1・第2の部材1,2同士を溶接する。)。
そして互いに逆向きに引張り力を掛けて、溶接部8で破断(引張り破壊)したときの引張り力(kgf)を記録する。
【0013】
なお、金属粉末はエポキシ樹脂等の液状樹脂と混合したものを、被溶接面に塗布すると良い。取扱が容易で、膜厚の管理が容易であるからである。
また、後述するが、金属粉末の平均粒径が20μm未満であると、粉末が小さ過ぎて溶融Alに溶融してしまい、目的の強度が得られない。
【0014】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0015】
【表1】
【0016】
実施例1,2,3及び比較例1;
表1の4行目に示す通り、金属粉末を、実施例1では100〜200μmのTiアトマイズ粉、実施例2では100〜200μmのFeアトマイズ粉、実施例3では100〜200μmのFe電解粉を使用する。また、比較例1では金属粉末を使用しなかった。
その他の条件は共通であり、Fe系材を0.7mm厚さのSPCC、Al系材を1.0mm厚さのA5182、金属粉末のためのバインダをエポキシ系液状樹脂として20wt%を混合した。そして、スポット溶接を実施するべく、インバータ式溶接機にて16kAを10cycleの条件で通電した。
【0017】
サンプルを前記図4(a),(b)の要領で強度試験を実施した。
実施例1は、▲1▼引張り剪断強度が260kgf、▲2▼U字引張り強度が80kgfであり、両者の比(▲2▼/▲1▼)は0.31であった。
実施例2は、▲1▼引張り剪断強度が245kgf、▲2▼U字引張り強度が90kgfであり、両者の比(▲2▼/▲1▼)は0.37であった。
実施例3は、▲1▼引張り剪断強度が250kgf、▲2▼U字引張り強度が65kgfであり、両者の比(▲2▼/▲1▼)は0.26であった。
これに対して比較例1は、▲1▼引張り剪断強度が240kgfであったが、▲2▼U字引張り強度は僅か15kgfに留まり、両者の比(▲2▼/▲1▼)は0.063と大きく0.1を下回った。
比較例1は引張り方向によって強度が著しく異なるため実施例1〜3に比較して使用法が限定されるので評価は「×」である。
【0018】
次に金属粉末の粒径を調べた。
実施例4,5,6及び比較例2,3,4;
【0019】
【表2】
【0020】
表2の5行目に示す通り、金属粉末の平均粒径を、実施例4では150μm、、実施例5では300μm、実施例6では600μm、そして比較例2では27μm、比較例3では75μm、比較例4では1000μmとした。
その他の条件は共通であり、Fe系材を0.7mm厚さのSPCC、Al系材を1.0mm厚さのA5182、金属粉末はFe電解粉、金属粉末のためのバインダをエポキシ系液状樹脂として20wt%を混合した。そして、スポット溶接を実施するべく、インバータ式溶接機にて16kAを10cycleの条件で通電した。
【0021】
サンプルを前記図4(b)の要領で強度試験を実施した。
実施例4はU字引張り強度が80kgf、実施例5はU字引張り強度が90kgf、実施例6はU字引張り強度が55kgfであり、大きな強度を得た。
比較例2はU字引張り強度が15kgf、比較例3はU字引張り強度が38kgf、比較例4はU字引張り強度が10kgfであり、強度は小さい。
【0022】
金属粉末の平均粒径をG、前記第1・第2の部材のうち低硬度の方の部材の厚さをTとしたとき、比(G/T)を調べる。
実施例4は平均粒径Gは150μmであり、低硬度の方の部材はA5182で、その厚さTは1.0mm(1000μm)である。従って、G/Tは0.15となる。
実施例5は平均粒径Gは300μmであり、低硬度の方の部材はA5182で、その厚さTは1.0mm(1000μm)である。従って、G/Tは0.30となる。
実施例6は平均粒径Gは600μmであり、低硬度の方の部材はA5182で、その厚さTは1.0mm(1000μm)である。従って、G/Tは0.60となる。
従って、好適なG/Tは0.15〜0.6の範囲にあることが分かった。
【0023】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1の抵抗溶接方法は、第1の部材に、この第1の部材よりも低融点の第2の部材を接合するに際し、少なくともこの第2の部材より高硬度で且つ高融点の金属粉末を、両部材間に置き、電極で両部材を加圧し、通電することで、金属粉末にくさび若しくはかすがい効果を発揮させることができるので、接合強度を高めることができる。しかも、従来の様にクラッド材を準備する必要が無いので、低コストで容易に溶接がなせる。
【0024】
請求項2の抵抗溶接方法は、第1の部材がFe系材であり、第2の部材がAl系材であるから、炭素鋼とアルミニウム材とを組合わせて車体やフレームを製造する産業(例えば自動車産業)に有益である。
【0025】
請求項3の抵抗溶接方法は、金属粉末を、Zr、Ti、Ni、Mo、Fe、Cr、Co及びこれらを基にした合金としたので、金属粉末の種類選定の自由度が増し、製造上好都合である。
【0026】
請求項4の抵抗溶接方法は、金属粉末の平均粒径をG、第1・第2の部材のうち低硬度の方の部材の厚さをTとしたとき、0.15≦(G/T)≦0.60の範囲から金属粉末の平均粒径選択すればすみ、金属粉末の粒径決定が容易となり、製造担当者の負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の原理図
【図2】本発明の金属粉末の種類と融点との関係を示すグラフ
【図3】本発明の金属粉末の種類と硬度との関係を示すグラフ
【図4】本発明の評価に係る試験方法の説明図
【符号の説明】
1…第1の部材、2…第2の部材、3…金属粉末。
Claims (4)
- 第1の部材に、この第1の部材よりも低融点の第2の部材を接合するに際し、少なくともこの第2の部材より高硬度で且つ高融点の金属粉末を、両部材間に置き、電極で両部材を加圧し、通電し、前記金属粉末のくさび若しくはかすがい作用で両部材を結合することを特徴とした異種部材の抵抗溶接方法。
- 前記第1の部材がFe系材であり、前記第2の部材がAl系材であることを特徴とした請求項1記載の異種部材の抵抗溶接方法。
- 前記金属粉末は、Zr、Ti、Ni、Mo、Fe、Cr、Co及びこれらを基にした合金であることを特徴とした請求項1又は請求項2記載の異種部材の抵抗溶接方法。
- 前記金属粉末の平均粒径をG、前記第1・第2の部材のうち低硬度の方の部材の厚さをTとしたとき、比(G/T)が下記▲1▼に示す範囲にあることを特徴とした請求項1、請求項2又は請求項3記載の異種部材の抵抗溶接方法。
0.15≦(G/T)≦0.60・・・▲1▼
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