JP3628227B2 - ガス検出装置およびその感応膜材料とその成膜方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス成分を吸着する感応膜と種々のトランスデューサからなる炭化水素ガスまたは油検出装置において、有機高分子を感応膜とする炭化水素ガスまたは油検出装置、およびその感応膜の成膜方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、感応膜へのガスの吸着現象を利用するガス検出装置の開発が盛んに進められている。たとえば、水晶振動子や表面弾性波素子などの圧電素子のように、感応膜へのガス吸着による共振周波数の変化を測定するもの、ガス吸着による感応膜の誘電率や電気容量などのインピーダンス変化を測定するもの、ガス吸着による感応膜中の蛍光物質の蛍光強度変化を測定するものなど、感応膜に吸着したガスを様々なトランスデューサを用いて検出する方法があげられる。これらのガス検出装置には、ガス成分に対して高感度かつ速い応答速度という性能が求めらる。したがって、ガス成分を吸着する感応膜には、ガス成分が速やかに吸脱着するような性質が求められる。
【0003】
におい物質の検出装置の感応膜としては、たとえば特開平5−346384号公報に記されたような有機高分子や脂質があげられる。炭化水素ガスまたは油の揮発成分の検出装置に使用する感応膜としては、たとえば環境化学Vol.8、No.4、pp.831−840、1998に記載された有機高分子や電気学会産業応用部門全国大会講演論文集[111]、p.149〜152に記載された脂質とポリ塩化ビニルの混合膜を感応膜としたガス検出装置があげられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述したガス検出装置は、各種の安全管理、品質管理に使用されるものであり、微量の検出対象ガスを早期に感度良く検出する性能が求められる。しかし、従来の感応膜では、たとえば低濃度の低揮発性炭化水素ガスを測定する場合のように応答速度が不充分であるという問題があった。
【0005】
本発明は、感応膜へのガス分子の吸着現象を利用してガスの検出を行うガス検出装置の感応膜において、高感度で応答速度の速い感応膜を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1にかかわる発明は、感応膜とトランスデューサからなる炭化水素ガスまたは油検出装置において炭素原子と水素原子のみにより構成される2つ以上の異なる単量体からなる共重合体を感応膜として使用することを特徴とする炭化水素ガスまたは油検出装置である。
【0009】
請求項2にかかわる発明は、感応膜がポリエチレンブテン共重合体、ポリエチレンプロピレン共重合体またはポリスチレンブタジエン共重合体であることを特徴とする請求項1記載の炭化水素ガスまたは油検出装置である。
【0010】
請求項3にかかわる発明は、感応膜がポリエチレンブテン共重合体、ポリエチレンプロピレン共重合体またはポリスチレンブタジエン共重合体のランダム共重合体であることを特徴とする請求項1記載の炭化水素ガスまたは油検出装置。
【0011】
請求項4にかかわる発明は、ポリエチレンブテン共重合体が、ブテン含量25〜50重量%であることを特徴とする請求項2または3記載の炭化水素ガスまたは油検出装置である。
【0012】
請求項5にかかわる発明は、ポリエチレンブテン共重合体が、比重0.89以下であることを特徴とする請求項2または3記載の炭化水素ガスまたは油検出装置である。
【0013】
請求項6にかかわる発明は、感応膜とトランスデューサからなる炭化水素ガスまたは油検出装置において、感応膜として使用する有機高分子膜が、炭素原子と水素原子のみで構成された有機高分子を2種類以上ブレンドした膜を感応膜として使用することを特徴とする炭化水素ガスまたは油検出装置である。
【0014】
請求項7にかかわる発明は、有機高分子がポリエチレンとポリブテンであることを特徴とする請求項6記載の炭化水素ガスまたは油検出装置である。
【0015】
請求項8にかかわる発明は、ブレンドに使用する有機高分子の少なくとも一つが、ポリエチレンブテン共重合体、ポリエチレンプロピレン共重合体またはポリスチレンブタジエン共重合体を使用したブレンド膜を感応膜としたことを特徴とする請求項6記載の炭化水素ガスまたは油検出装置。
【0021】
【発明の実施の形態】
実施の形態1
感応膜と種々のトランスデューサよりなるガス検出装置には、微量の濃度を迅速に検出できる性能が求められる。検出感度を高く、応答速度を速くするための請求項1、2、3、4または5に記載の発明は、ガス検出装置の感応膜に、2つ以上の単量体からなる共重合体の有機高分子を使用するものである。
【0022】
本発明にかかわるガス検出装置の一例を図1に示す。ガス検出装置のトランスデューサとして共振周波数9MHz、ATカットの水晶振動子を使用した水晶振動子検出部の拡大図を図1に示す。図中、1は水晶振動子、2は下地電極、3は有機高分子膜である。感応膜としては、共重合有機高分子の一例としてエチレンプロピレン共重合体(EPR)、ポリエチレンブテン共重合体(EBM)、ポリスチレンブタジエン共重合体(SBR)などの共重合有機高分子を使用できる。
【0023】
前記有機高分子の水晶振動子への成膜方法の一例としては、有機高分子を有機溶媒に溶かした溶液を、水晶振動子の電極表面に塗布し、乾燥することにより容易に行うことができる。たとえば、以下の方法により有機高分子膜の成膜をすることができる。
【0024】
(1)トルエンに、有機高分子とトルエンの重量比が約1:200になるように有機高分子を添加する。
(2)前記(1)で作製した混合物を80℃の恒温槽に入れ、有機高分子材料を溶解させる。
(3)マイクロシリンジにより(2)の溶液約0.5μLを水晶振動子表面に滴下する。
(4)滴下したトルエン溶液が揮発して目視によりなくなるまで、室温条件で放置する。
(5)トルエンの揮発後、(3)と同様に溶液約0.5μLを水晶振動子表面に滴下する。
(6)膜重量が約20μgになるまで、前記(4)および(5)を繰り返す。
(7)(6)の水晶振動子を50℃に設定した乾燥機中に保存し、24時間乾燥を行う。
【0025】
前記成膜方法において、溶媒としてトルエンを使用したが、有機高分子材料を溶かすことができれば、とくに限定されない。トルエン溶媒と有機高分子の重量比を設定したのは、前記(6)の成膜量を調整し易くするためであり、高分子材料が溶液に溶解すれば、重量比は前記(1)以外の値でもかまわない。前記(2)記載の恒温槽温度についても高分子材料が溶解すれば、とくに限定されない。前記(7)記載の乾燥温度および乾燥時間についても、成膜された高分子材料が変質しない条件であれば、とくに限定されない。なお、本実施の形態では水晶振動子の片面に有機高分子膜を成膜したが、両面に成膜を行っても良い。
【0026】
有機高分子の膜厚は、片面塗布の場合には0.6〜3μmであることが好ましく、1.0〜2.0μmであることがより好ましく、両面塗布の場合には0.3〜1.5μmであることが好ましく、0.5〜1.0μmであることがより好ましい。片面塗布で1.0μm未満および両面塗布で0.5μm未満の場合、検出感度が低下してしまい、片面塗布で2.0μmおよび両面塗布で1.0μmをこえると、とくに水晶振動子などの発振を利用する場合は、発振が不安定となりノイズが増加してしまう。また膜厚が厚くなりすぎると、成膜した基板との密着性が低下し、膜の耐久性が低下してしまう。本実施の形態では、水晶振動子をトランスデューサとして説明したが、表面弾性波素子などの吸着現象を利用した他のトランスデューサを用いた感応膜として使用した場合においても同様に有効である。
【0027】
有機高分子の共重合体は、1種類の単量体からなる有機高分子よりも高分子鎖の不規則性が高く、高分子鎖間の分子凝集力が低下する。また、不規則性のため結晶化度も低下する。そのため、高分子膜の緻密性が低下し高分子膜内へのガス分子の浸透性が向上する。これが、共重合体の使用により感度が高くなる要因のひとつである。
【0028】
実施の形態2
2種類の単量体A、Bからなる共重合体には、つぎのような構造のものが存在する。
【0029】
(1)A、B各単量体が共重合体の分子中に不規則に分布しているランダム共重合体。
(2)Aのみからなる連鎖ブロックとBのみからなる連鎖ブロックが、直鎖状につながっているブロック共重合体。
(3)Aのみからなる幹ポリマーに、Bのみからなる枝ポリマーがついているグラフト共重合体。
【0030】
これらのいずれの共重合体も好ましく使用できるが、感度が高い点で、ランダム共重合体が、ブロック共重合体よりも好ましい。ランダム共重合体は、1種類の単量体からなる有機高分子やブロック共重合体の分子構造よりも一次元構造の規則性が低いため、分子凝集力が低下する。よって、結晶化度が低下する。そのため膜内へのガス分子の浸透性が向上することが、感度が高くなる要因のひとつである。本実施の形態では2種類の異なる構造の単量体について説明したが、3種類以上の単量体からなる共重合体による感応膜においても同様にランダム共重合体が好ましい。
【0031】
実施の形態3
実施の形態1記載の共重合体のなかでも、炭素原子と水素原子からなる共重合体を感応膜としたガス検出装置は、とくに炭化水素ガスに対して高感度である。さらに、これらの有機高分子は炭素原子と水素原子からなるため、測定ガス中に含まれる湿度に影響を受けにくいという性質がある。
【0032】
実施の形態1記載のEPR、EBM、SBRの有機高分子を感応膜とした水晶振動子は、炭化水素ガスについて、とくに検出感度が高く、応答速度が速い。また、EPR、EBM、SBRのランダム共重合体はとくに検出感度が高く、応答速度が速い。したがって、EPR、EBM、SBRの感応膜を使用したガス検出装置は、短時間で微量の炭化水素ガスの検出が可能であり、炭化水素ガス検出装置として有効である。また、前記材料を感応膜とした水晶振動子は、油臭検出装置としても有効である。
【0033】
炭素原子と水素原子からなる共重合体としては、前記以外にたとえばエチレンとペンテンの共重合体、エチレンとヘキセンの共重合体、エチレンとヘプテンの共重合体、エチレンとオクテンの共重合体、エチレンとブテンとヘキセンの3種類の単量体からなる共重合体など、組み合わせにより多くのものがある。これらの炭素原子と水素原子からなる共重合体は、とくに炭化水素ガスに対し高感度であり、いずれもガス検出装置の感応膜として有効である。
【0034】
実施の形態4
実施の形態3記載のEBMには、ブテン含量が異なるものがある。また、その含量により検出感度に違いがみられた。EBMでは、ブテン含量が25〜50重量%のものがとくに検出感度が高い。ブテンまたはプロピレン含量がこれらの範囲にあるEBMをガス検出装置の感応膜として使用することが好ましい。
【0035】
また、EBMにおいては、比重が0.89以下のものがとくに感度が高く、ガス検出装置の感応膜として使用することが好ましい。
【0036】
実施の形態5
炭素原子と水素原子からなる2種類以上の有機高分子をブレンドした膜をガス検出装置の感応膜として使用するものである。このブレンド膜は炭素原子と水素原子からなるため、炭化水素ガスに対する吸着性が高いので、炭化水素ガスの検出感度が高い。ここで、ブレンドした膜とは、2種類以上の有機高分子が混合されたものである。
【0037】
本発明にかかわるガス検出装置の一例として図1に示す水晶振動子があげられる。感応膜としてはブレンド膜の一例として、PEとPBのブレンド膜、PPとPBまたはPEとPBのブレンド膜が使用できる。
【0038】
炭素原子と水素原子からなる2種類以上の有機高分子をブレンドした膜は、溶解度パラメータの値が近く、相溶性が良い。したがって、有機高分子が均質に混ざりやすい。そのため、1種類の単量体からなる有機高分子よりも3次元構造の規則性が低く、高分子鎖間の分子凝集力が低下し、結晶化度も低下する。そのため、高分子膜の緻密性が低下し高分子膜内へのガス分子の浸透性が向上する。これが、2種類以上の有機高分子を用いたブレンド膜の検出感度が高くなる要因のひとつである。
【0039】
ブレンド膜として使用する有機高分子としては、前記したものにかぎらず、ポリブタジエン、ポリスチレンなどの炭素原子と水素原子からなる有機高分子を使用することができる。これらのうち相溶性の良好な有機高分子を2種類以上ブレンドした膜を感応膜とすることにより、とくに炭化水素ガスに対して感度の優れた感応膜を作製することができる。
【0040】
また、ブレンドに使用する炭素原子と水素原子からなる有機高分子としては、1種類の単量体からなる有機高分子同士にかぎらず、共重合体と1種類の単量体からなる有機高分子のブレンド、異なる共重合体同士のブレンドを感応膜とした場合においても炭化水素化合物に対する感度が優れ、有効である。これまで、ブレンド膜の作成について有機高分子を用いた場合について説明したが、ブレンドに使用する材料としては有機高分子には限られず、常温(35℃以下)において揮発しない低分子量の炭素原子と水素原子からなる有機物をブレンドすることにより感度を向上することが可能である。
【0041】
本実施の形態では、水晶振動子をトランスデューサとして説明したが、表面弾性波素子などの吸着現象を利用した他のトランスデューサを用いた感応膜として使用した場合においても同様に有効である。
【0042】
実施の形態6
請求項1、2、3、4または5記載の共重合体を用いた感応膜または請求項6記載の炭素原子と水素原子からなる2種類以上の有機高分子のブレンド膜を用いた感応膜の成膜方法としては、実施の形態1に記載したように、有機溶媒に有機高分子を溶解したものを、ディップ法、スピンコーティング法などにより成膜する方法があげられる。ブレンド膜の成膜方法の場合には、溶媒に2種類以上の有機高分子を設定したい重量比で溶解後、同様に、ディップ法、スピンコーティング法などによる方法により、成膜することができる。また、溶液をスプレーなどで噴霧し、霧状化した雰囲気に水晶振動子などの成膜したいトランスデューサーの基板を設置し、その後、溶媒を乾燥することにより成膜することができる。このスプレーなどにより溶液を噴霧する方法は、他の方式より量産性にすぐれた方法である。
【0043】
また、スパッタリング法を用いて成膜することもできる。スパッタリングのターゲットとしては、前記したように溶媒に有機高分子を溶解し、それをターゲット用基板上に塗布、乾燥することにより膜状にした有機高分子膜を使用することができる。また、溶媒を使用せず、有機高分子を加熱溶融し、成形したものをターゲットとすることもできる。ブレンド膜についても、同様に溶媒に2種以上の有機高分子を溶解した溶液をターゲット用基板上に塗布、乾燥することにより、ターゲットとなる膜を作製することができる。また、ブレンド膜のターゲットとして、有機溶媒を使用しなくとも、ブレンドしたい有機高分子同志を加熱溶融し、混合することにより目的のブレンド含量のターゲットを作製することができる。この加熱溶解を行うのは通常約200℃近辺であり、長時間加熱を行うと有機高分子材料の変質が生じる恐れがあるため注意が必要である。
【0044】
また、有機高分子の成膜方法として真空蒸着法があげられる。ブレンド膜を真空蒸着法により成膜する場合、それぞれに1種類の有機高分子を入れた加熱可能なるつぼを2つ以上使用し、交互に蒸着、または同時に水晶振動子などのトランスデューサー上に蒸着することにより、ブレンド膜を作製することが可能である。
【0045】
前記成膜方法において、金電極が使用された水晶振動子を用いる場合においては、金電極の表面にチオール化合物を成膜し、その上層に前記炭化原子と水素原子からなる共重合体膜またはブレンド膜を成膜することにより、水晶振動子と感応膜の密着性が向上し耐久性が向上できるとともに、周波数を安定させることができる。チオール化合物としては、たとえばヘキサデカンチオール、デカンチオールなどがあげられる、金電極に成膜したときに揮発せずなおかつチオール基以外は、炭素原子と水素原子で構成されている分子が望ましい。これは、チオール化合物のチオール基と水晶振動子上の金電極とが強い相互作用を持ち、チオール化合物上に形成された有機感応膜の水晶振動子への密着性が強くなることが耐久性、周波数の安定性が向上する要因の一つである。
【0046】
前記成膜方法により作製されたセンサは、炭化水素化合物に対して、感度のばらつきがあるものの、炭化水素化合物または油の検出には高い検出感度を有しており、使用目的に最適な成膜方法を選択することができる。
【0047】
成膜後のセンサの処理として、トランスデューサー上に感応膜として有機高分子を成膜後、その溶融温度まで加熱したのち、急冷することにより、感度を向上させることができる。これは、溶融後、急冷することにより比結晶性が向上することが要因の一つと考えられる。
【0048】
実施の形態7
請求項8記載のブレンド膜のなかでもPEとPBからなるブレンド膜を感応膜としたガス検出装置は、炭化水素ガスについて、とくに検出感度が高い。さらに、これらの有機高分子は炭素原子と水素原子からなるため、測定ガス中に含まれる湿度に影響を受けにくいという利点がある。したがって、短時間で微量の炭化水素ガスの検出が可能である。また、前記ブレンド膜を感応膜とした水晶振動子は、油を検知するセンサとしても使用可能である。
【0049】
実施の形態8
ポリエチレン(PE)の成膜法の一例として真空蒸着法があげられる。真空蒸着により成膜を行ったPEの感応膜は、蒸着源として使用したPEと同様に、結晶化した緻密な構造となる。有機高分子を感応膜としたガス検出装置は、検出目的ガスの感応膜表面への吸着だけでなく、感応膜内部へ浸透したガス分子もセンサ応答に関与することが知られている。そのため、真空蒸着法により成膜したPEでは構造が緻密なため、膜内へのガス分子の浸透性が低く検出感度が向上しない。しかし、微粒子からなるPEまたはPPの感応膜では、表面積が大きく、かつガス分子の膜内部への浸透性が向上するため、検出感度が向上する。ヘキサンのように検出目的ガスの分子量が小さい場合は、膜内部への浸透が早く、応答速度も速い。しかし、たとえばテトラデカン、ヘキサデカンのような分子量が大きなガス分子を検出する場合、膜内部への浸透が遅く、それに伴い応答速度も遅くなり、検知するのに時間がかかる。しかし、感応膜を微粒子状にすることにより、応答速度を速くすることが可能となり、さらに早期な検知を可能とすることができる。
【0050】
以下にPEまたはPPの微粒子膜の作成法について説明する。まず、トルエンとPEまたはPPを容器に入れ密閉する。つぎに、この密閉容器を恒温槽により加熱しPEまたはPPを溶解する。加熱溶解後、放冷または急冷すると、PEまたはPPの微粒子からなる懸濁液が生成する。この溶液を圧電素子などの検出素子に滴下し、乾燥することにより、PEまたはPPの微粒子膜を作製することができる。恒温槽で加熱溶解する温度としては、80℃以上が好ましく、低密度ポリエチレン(LDPE)では80℃での加熱が適しており、高密度ポリエチレン(HDPE)やPPでは120℃の加熱が適している。加熱の際は、蒸気圧による容器破損を防ぐためオートクレーブなどの耐圧加熱器やそれを使わない場合には密閉容器としてステンレス製などの耐圧容器を使うのが好ましい。PEやPPは一般に室温では有機溶媒に溶解しにくく、加熱したトルエンやジクロロベンゼンなどには溶解するという性質がある。本方法は、その性質を利用したものであり、加熱溶解したPEまたはPPを冷却することによりポリエチレンを微粒子として析出させるというものである。
【0051】
溶液を急冷または、他の溶媒を使用するなど条件によりPEまたはPPのゲル状溶液ができることがあるが、その場合においても成膜後は、高分子に隙間の多い膜となり高感度な感応膜となる。
【0052】
前記の微粒子からなる膜の作成法は、他の有機高分子の成膜にも適用することができる。それぞれの有機高分子には、その有機高分子が溶けやすい良溶剤、溶けにくい貧溶剤がある。そこで、良溶媒に高分子を溶解した後に貧溶媒を添加することにより、微粒子またはゲル状物質を生成することができる。または、有機高分子を貧溶媒に添加し、加熱溶解した溶液を冷却することにより作製が可能である。この方法により、微粒子からなる膜のように、隙間の多い感応膜を作製することが可能である。
【0053】
実施の形態9
実施の形態8で説明したのと同様にEBM、EPRを微粒子状からなる膜を使用することにより、分子量の大きな物質に対して応答速度を速くすることが可能であり、さらに早期な検知を可能とすることができる。以下にEBM、EPRの微粒子から成る膜の作製方法について説明する。
【0054】
EBM、EPRの有機高分子には分子が溶けやすい良溶剤、溶けにくい貧溶剤がある。そこで、良溶媒に高分子を溶解した後に貧溶媒を添加することにより、微粒子からなる懸濁溶液を作製することができる。または、EBM、EPRを貧溶媒に添加し、高温で加熱溶解した溶液を冷却することにより微粒子からなる懸濁溶液を作製することができる。この方法により、EBM、EPRの微粒子からなる懸濁溶液を作製することができる。その溶液を水晶振動子などのトランスデューサーに塗布し乾燥することにより、EBM、EPRの微粒子から成る膜を作製することができる。EBM、EPRは、製造法、分子量、分子構造などの異なる種々の材料があるため、上記記載の良溶媒、貧溶媒は使用する材料により異なる。そのため、適宜、使用する材料に適した溶媒を選択する必要がある。
【0055】
気相法により、微粒子膜を作製することも可能である。真空装置中に、EBMを加熱可能なるつぼ内に設置し、るつぼ上方に水晶振動子などのトランスデューサーの基板を設置する。真空装置内を十分に排気したのち、アルゴンや窒素などの不活性ガスを所定のガス圧になるまで導入する。つぎに、るつぼを加熱し、EBMの入ったるつぼを加熱することにより、EBMを昇華・蒸発させることにより、基板上にEBMの微粒子膜を形成することができる。これは、るつぼから飛び出したEBM分子が、気相中で、分子・不活性ガスおよび分子・分子の衝突によって気体状態の分子は熱エネルギーを失い、凝集、結合し分子凝集体が生成する。このとき、基板上に衝突すると、分子集合体は吸着、析出し、微粒子状の膜が形成される。EBMの分子量が小さいものほど、微粒子状に形成するのが容易である。
【0056】
実施の形態10
感応膜として使用する有機高分子材料には、材料により異なるが、酸化防止剤や紫外線吸収剤などの老化防止剤、単量体から高分子材料を作製する時に安定に重合するための安定剤など、その他様々な目的で添加されている添加剤が含まれているものがある。これらの添加剤などのように、有機高分子以外の物質は、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、エステル結合のような極性基をもっている。これらが、感応膜中に多量に含まれると湿度などの影響を受けやすくなる。とくに、炭化水素を対象ガスとした場合には、測定ガスに含まれた極性ガスに応答しやすくなるという問題が生じる。
【0057】
また、添加剤には高分子材料を軟化させるものも存在する。水晶振動子などの圧電素子に、柔軟性のある感応膜を使用すると、発振周波数が不安定になりノイズの増大につながったり感度が下がるという問題がある。
【0058】
したがって、感応膜材料としては、有機高分子以外の物質が含まれていないもの、または有機高分子以外の物質を除去したものが適している。
【0059】
実施の形態11
元来有機高分子に添加剤が含まれていない場合はよいが、添加剤が含まれている場合はこれを除去する必要がある。その方法としては、成膜後の感応膜を乾燥機または恒温槽で加熱することにより有機高分子以外の物質を除去するというものである。
【0060】
恒温槽の設定温度はとくに限定されるものでなく40℃以上で、かつ有機高分子が変質しない温度まで設定可能である。また、温度を高温にする際には、ガス物質と感応膜が反応しないように、恒温槽または乾燥機中のガスをアルゴンや窒素で置換することにより有機高分子の変質を防ぐことができる。
【0061】
【実施例】
実施例1
本実施例では、1種類の単量体からなる有機高分子を感応膜として使用したガス検出装置と、2種類の単量体からなる共重合体の有機高分子を感応膜として使用したガス検出装置の性能を比較した結果について説明する。
【0062】
ガス検出装置のトランスデューサとして共振周波数9MHz、ATカットの水晶振動子を使用し、検出対象ガスとしてトルエン、ドデカン、ブタノールの測定を行い応答を評価した。本実施例で使用した水晶振動子検出部の拡大図を図1に示す。図中の1は水晶振動子、2は下地電極、3は有機高分子膜である。
【0063】
感応膜には、1種類の単量体からなる有機高分子材料として低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン(PB)、ポリスチレン(PS)、ポリブタジエン(BR)、共重合有機高分子としてポリエチレンプロピレン共重合体(EPR)、ポリエチレンブテン共重合体(EBM)、ポリスチレンブタジエン共重合体(SBR)を使用した。本実施例で使用したEPR、EBMはそれぞれエチレン含量が75重量%、68重量%のものを使用し、SBRはスチレン含量が40重量%のものを使用した。また、EPR、EBM、SBRは、2種類の単量体がランダムに配列したランダム共重合体を使用した。
【0064】
前記有機高分子の水晶振動子への成膜方法は、有機高分子を有機溶媒に溶かした溶液を、水晶振動子の電極表面に塗布し、乾燥することにより行った。本実施例で使用した有機高分子膜の成膜方法を以下に示す。
【0065】
(1)トルエンに、有機高分子とトルエンの重量比が約1:200になるように有機高分子を添加した。
(2)前記(1)で作製した混合物を80℃の恒温槽に入れ、有機高分子を溶解させた。なお、ポリプロピレン、ポリブテンについては120℃のオートクレーブに溶液を入れ溶解させた。
(3)マイクロシリンジにより(2)の溶液約0.5μLを水晶振動子の電極表面に滴下した。
(4)滴下したトルエン溶液が揮発して見えなくなるまで室温条件で放置した。
(5)トルエンの揮発後、(3)と同様に溶液約0.5μLを水晶振動子表面に滴下した。
(6)膜重量が約20μgになるまで、前記(4)および(5)を繰り返した。
(7)(6)の水晶振動子を50℃に設定した乾燥機中に保存し、24時間乾燥を行った。このように形成した膜の厚さは、水晶振動子上の塗布面積が0.2cm2の場合、約1.1μmとなる。ただし、場所により多少の凹凸がある。
【0066】
図2は、本実施例で使用したセンサの応答を調べた評価装置の構成を示したものである。この装置は、試料の蒸気を所定の濃度になるように窒素ガスで希釈し、その希釈した試料ガスの測定を行うものである。窒素ガスによる試料蒸気の希釈率を変えることにより種々の濃度の試料ガスの測定が可能である。図2において、4は加湿窒素を流す参照ガス配管、5は試料の蒸気ガスを流す試料ガス配管であり、6は蒸気ガスを加湿窒素ガスにより希釈し濃度調整を行う希釈ガス配管である。7は試料を入れるためのガラス製試料ビンであり、常に一定の温度に保たれるように恒温槽中に設置されている。8は試料、9は窒素ボンベ、10はマスフローコントローラー、11はガスを加湿するために蒸留水を入れた加湿ビン、12は参照ガスと試料ガスを切り替える三方バルブ、13は湿度調整を行うための除湿器、14は水晶振動子センサを設置する測定セルである。
【0067】
この装置では、参照ガスから試料ガスに切り替えた時に、試料ガス濃度がステップ関数的に増加してセンサ部へ送られようになっており、試料ガスから参照ガスへ切り替えた時は逆に試料ガス濃度が減少して0になる。水晶振動子15は発振器16により共振周波数で発振しており、ガス成分の吸着による水晶振動子の共振周波数の変化は周波数カウンタ17で読み取られ、コンピューター18に表示される。
【0068】
図3にトルエン500ppm、ドデカン5ppm、ブタノール800ppmに対する10分後の応答量を比較して示す。それぞれのガスに対して、応答量が最大になるセンサを基準にして応答量を規格化した。図からわかるように1種類の単量体からなるLDPE、PPより、共重合体であるEPR、EBMの方が、大きな応答量が得られた。また、PSとBRの原料単量体の共重合体であるSBRは、PS、BRより大きな応答が得られた。
【0069】
以上のように1種類の単量体からなる有機高分子を感応膜とするより、2種類の単量体からなる共重合体を感応膜とした方が、感度が高いことが確認された。
【0070】
図4にEPR、LDPE、PPを成膜した水晶振動子により、図2の評価装置で気相濃度3ppmのドデカンを測定した時の応答の時間変化を示す。図より、共重合体であるEPRが最も感度が大きく、かつ速い吸脱着応答を示すことが確認された。すなわち共重合体は、応答速度が速いことがわかった。
【0071】
以上のように、共重合体を感応膜とすることにより、迅速かつ高感度なガス検出が可能であることがわかった。
【0072】
本実施例では、水晶振動子をトランスデューサとして使用したときの結果について紹介したが、前記共重合体は表面弾性波素子などの他のトランスデューサを用いた感応膜を用い吸着現象を利用したものであれば、同様に有効である。また、他の共重合体についても、1種類の単量体からなる有機高分子よりも感度が良い結果が確認された。
【0073】
実施例2
ブロック共重合体のポリスチレンブタジエン共重合体(以後、SBRBと略す)、ランダム共重合体のポリスチレンブタジエン共重合体(以後、SBRRと略す)、ポリスチレン、ポリブタジエンのそれぞれを感応膜として成膜した水晶振動子のトルエンとドデカンに対する感度の比較を行った。本実施例で示すSBRRおよびブロック共重合体SBRBは、スチレン含量が40重量%のものを使用した。すべての有機高分子は実施例1と同じ方法で成膜を行った。
【0074】
図5はトルエン500ppm、ドデカン5ppmに対する応答を比較した結果である。図は、最大応答を示したSBRRの応答で規格化して表したものである。これより、1種類の単量体からなる有機高分子よりも、共重合体を感応膜とした方が、高感度であることが確認される。また、共重合体においてランダム共重合体の方が、ブロック共重合体より感度が高いことが確認された。ほかの共重合体についても同様な結果が得られた。
【0075】
実施例3
実施例1で示した共重合体であるEBM、EPR、SBRは、炭素原子と水素原子により構成されているため、炭化水素ガスに対してはとくに高感度である。本実施例ではランダム共重合体のEBM、EPR、SBRを成膜した水晶振動子の炭化水素ガスに対する応答量について調べた結果について説明する。
【0076】
炭化水素ガスであるトルエンおよびドデカンに対する応答量を、図2の評価装置により測定した。トルエンとドデカンの濃度は、水晶振動子設置用セル14を通ったガスをガスクロマトグラフで測定することにより求めた。本実施例で用いた有機高分子は、実施例1で説明した材料と同じものを使用した。
【0077】
トルエンとドデカンに対する測定開始5分後の応答量を調べた結果を表1に示す。表中の濃度は気相濃度を表している。表から明らかなようにEBM、EPR、SBRを感応膜とした水晶振動子は気相濃度でppb〜ppmレベルの感度があることがわかる。他の炭化水素に対しても同様に高感度な検出が可能であり、とくにドデカンのように分子中の炭素数が多い炭化水素ガスに対してはppbレベルの感度が得られ、高感度であることが確認された。
【0078】
【表1】
【0079】
実施例4
本実施例ではEPR、EBM、SBRを感応膜としたガス検出装置の油臭検知に対する性能の評価を行った結果について説明する。
【0080】
油臭検出装置の用途の一つとして、河川原水における油流出事故監視装置があげられる。河川原水において突発的に油が流出し、浄水場へ流入するという油事故が多数報告されている。油流出事故監視装置は、その油事故を監視するものである。現状では、油の流入の監視方法として人の嗅覚による官能試験が行われており、油臭検出装置としては人の嗅覚と同等の感度が求められる。灯油、軽油、重油の各種油に対する人の臭気閾値は全有機炭素としての水溶液濃度で約30ppb(以下、全有機炭素という意味でppbCと表す)であり、油臭検出装置にはこの濃度の検出感度が要求される。
【0081】
図6に本実施例で用いた油に対する感度の評価装置を示す。評価法は、各種油を蒸留水に溶かした試料を窒素ガスによりバブリングし、その揮発ガスを測定することにより行った。図6において、19は蒸留水を入れた容器23を通ることにより加湿された窒素ガスが流れる参照ガス配管、20は油を溶かした蒸留水を入れた容器21を通り、油の揮発成分が流れる試料ガス配管である。21は油を溶かした試料溶液を入れたガラス製のバブリング容器、22は油を溶かした試料溶液、23は参照試料としての蒸留水を入れたバブリング容器、24は窒素ボンベ、25はマスフローコントローラー、26は三方バルブ、27は除湿機、28は水晶振動子を設置する設置用セル、29は水晶振動子である。なお、容器21、23は50℃に設定した恒温槽に浸され、参照試料と試料は50℃に保たれている。実施の形態1と同様に、水晶振動子は発振器30により共振周波数で振動し、ガス物質の吸着による共振周波数の変化は周波数カウンタ31で読み取られ、コンピューター32に表示されるようになっている。なお、トランスデューサとしては、水晶振動子に限らず、様々なものを使用することができるが、実施例1に記載した水晶振動子と同じものを、共重合有機高分子としては実施例1と同じEBMを用いた。
【0082】
水溶液濃度34ppbCの灯油試料と軽油試料、水溶液濃度7ppbCの重油試料を測定した結果を図7に示す。図7では、測定開始300秒後に、参照ガスから試料ガスへ切り替え、油揮発成分の測定を開始した。図7より、灯油、軽油、重油ともに臭気閾値レベルの濃度に対して充分な応答量が得られた。なお、油を河川原水に希釈した試料の測定においても同様な応答量が得られた。EPR、SBRを感応膜として使用した場合についても同様に臭気閾値レベルの濃度に対し充分な応答が得られた。
【0083】
以上のように、油臭検出装置の感応膜にEBM、EPR、SBRを使用することにより、人の嗅気閾値レベル以上の高感度な油臭の検出が可能となった。
【0084】
実施例5
EBMはエチレンとブテンの単量体からなる有機高分子であり材料により有機高分子内のブテン含量が異なるものがある。本実施例では、ブテン含量が異なるEB膜を感応膜としたときの水晶振動子の検出感度を調べた結果について説明する。
【0085】
実験は、同一の製造方法で製造されたブテン含量の異なるEBを、実施例1で記載した方法で水晶振動子表面上に成膜したセンサを用いた。これらの装置を用い図2の装置により気相濃度3ppm(モル比)のドデカンに対する応答を調べた。
【0086】
ドデカンに対する応答量を調べた結果を図8に示す。図8では、参考のため、ブテン含量が0重量%、100重量%のPE、PBの結果も載せている。図8では、最大応答を示したブテン含量のEBの応答を1として規格化した。図より、ブテン含量が多いほど、ドデカンに対する応答量が大きくなっているのが確認された。ブテン含量が約50重量%以上のものは製造上作製が困難であり、一般に現在の技術では作製することが不可能である。これより、ブテン含量が25〜50重量%のものが検出感度が高く、ガス検出装置として優れていることがわかった。
【0087】
実施例6
EBMには、モノマーの配列が異なるものや、高分子鎖の分岐の有無などの微細構造が異なるものがある。また、成膜方法によっても、微細な膜構造が異なる。ガスの検出には、高分子膜内へのガス分子の浸透性が感度に影響を与え、浸透性の優れた感応膜を用いたガス検出装置が、検出感度が良好であると考えられる。すなわち、隙間の空いた比重が小さい感応膜が、検出感度が高くなると考えられる。本実施例では、製造方法またはブテン含量の異なるEBM膜を感応膜としたときの、ガスに対する検出感度を調べ、同時にその膜の比重を調べることにより、比重と検出感度との関係を調べた結果について説明する。
【0088】
測定には、製造方法またはブテン含量の異なるEBMを実施例1と同じ方法で水晶振動子へ成膜したものを使用した。試料ガスとして気相濃度3ppmのドデカンを用い、図2の装置によりそれぞれのEBM膜を感応膜としたセンサのドデカンに対する応答を調べた。成膜したEBM膜の比重の測定は水中置換法により行った。
【0089】
EB膜の比重とドデカンに対する応答量を調べた結果を図9に示す。図より、比重が小さいほどドデカンに対する応答量が大きくなっているのが確認された。これより、EBM膜の比重が0.89以下ものが、検出感度が高く、ガス検出装置の感応膜としての優れていることが確認された。
【0090】
実施例7
本実施例では1種類の単量体からなる有機高分子を感応膜として使用したガス検出装置と2種類以上の有機高分子からなるブレンド膜を感応膜としたガス検出装置の感度の比較を行った結果について説明する。
【0091】
有機高分子には、1種類の単量体からなる有機高分子としてLDPE、PBを用い、ブレンド膜としてはLDPEとPBをブレンドしたものを用いた。ガス検出装置のトランスデューサとして共振周波数9MHz、ATカットの水晶振動子を使用し、検出対象ガスとして気相濃度3ppmのドデカンの測定を行い応答を評価した。LDPEとPEは実施の形態1に記載の方法により成膜を行った。LDPBとPEのブレンド膜の成膜方法は、所定の重量比になるようにLDPEとPBをトルエンに添加し、80℃で加熱溶解した溶液を、水晶振動子の電極表面に塗布し、乾燥するという実施の形態1と同様な方法を用いた。
【0092】
LDPEとPBとのブレンド膜の成膜方法の詳細を以下に示す。
【0093】
(1)トルエンに、LDPEとPBの総重量とトルエンの重量の比が約1:200になるようにLDPEとPBを添加した。このとき、LDPEとPBそれぞれの添加量を所定の比率になるように調製した。
(2)前記(1)で作製した混合物を80℃の恒温槽に入れ、有機高分子材料を溶解させた。
(3)マイクロシリンジにより(2)の溶液約0.5μLを水晶振動子表面に滴下した。
(4)目視により、滴下したトルエン溶液が揮発してなくなるまで、室温条件で放置した。
(5)トルエンの揮発後、(3)と同様に溶液約0.5μLを水晶振動子表面に滴下した。
(6)膜重量が約20μgになるまで、前記(4)および(5)を繰り返した。
(7)膜重量を調整した水晶振動子を50℃に設定した乾燥機中に保存し、24時間乾燥を行った。
【0094】
図2に示したセンサ応答の評価装置を用い、LDPE、PB、LDPEとPBのブレンド膜を感応膜としたセンサのドデカン3ppmに対する応答量を評価した。
【0095】
図2に示す装置を用いて測定した結果を図10に示す。図は、試料ガスの測定から10分後の応答量を比較したものであり、それぞれのガスに対して、応答量が最大であったセンサを基準にして応答量を規格化して表示した。これより1種類の単量体からなるLDPE、PBより、LDPEとPBのブレンド膜のほうが、大きな応答量が得られることが明らかである。
【0096】
以上のように1種類の単量体からなる有機高分子を感応膜とするより、2種類の有機高分子をブレンドしたブレンド膜を感応膜とした方が、感度が高いことがわかる。
【0097】
一例として、PBとLDPEのブレンド膜について説明したが、他の炭素原子と水素原子からなる相溶性の良い有機高分子同士、たとえばPPとPBを用いたブレンド膜、EBMとPB、EBMとPP、EBMとPE、EPRとPP等についても、1種類の単量体からなる有機高分子よりも感度が向上する結果が確認された。
【0098】
本実施例では、水晶振動子をトランスデューサとして使用したときの結果について紹介したが、前記ブレンド膜は表面弾性波素子などの他のトランスデューサを用いた感応膜として使用した場合においても同様に有効であった。
【0099】
実施例8
実施例7で示したLDPEとPBのブレンド膜は、炭素原子と水素原子により構成されているため、炭化水素ガスに対してはとくに高感度である。本実施例ではLDPEとPBのブレンド膜を成膜した水晶振動子の炭化水素ガスに対する応答量について調べた結果について説明する。
【0100】
炭化水素ガスとして、トルエンおよびドデカンに対する応答量を、図2の評価装置により測定した。トルエンとドデカンのガス濃度は、水晶振動子設置用セル14を通ったガスをガスクロマトグラフで測定することにより求めた。本実施例で用いた有機高分子は、実施例8で説明した材料を使用し、同じ方法で成膜を行った。LDPEとPBブレンド膜は、PB含量が44重量%のものを用いた。
【0101】
トルエンとドデカンに対する応答量を調べた結果を表2に示す。これは、測定開始5分後の応答を載せている。表中の濃度は気相濃度を表している。これよりLDPEとPBのブレンド膜を感応膜とした水晶振動子はトルエン、ドデカンに対し気相濃度でppb〜ppmレベルの感度があることがわかる。他の炭化水素に対しても同様に高感度な検出が可能であった。
【0102】
【表2】
【0103】
LDPEとPBのブレンド膜を感応膜としたガス検出装置は、油揮発成分に対しても高感度であり、実施例4と同じ評価装置により同じ濃度の軽油の測定を行ったところ、LDPEとPBのブレンド膜(ブレンド含量44重量%)を感応膜としたセンサでは、EBM応答量の約3/4倍の応答量が得られた。したがってPBとPEのブレンド膜を使用することにより、油揮発成分に対し人の嗅気閾値レベル以上の高感度な検出が可能となり、油臭検出装置としても有効であることが確認された。
【0104】
実施例9
LDPEの微粒子膜を以下の方法によって作製した。溶媒としてトルエンを用い、ガラス容器にトルエン6mLとLDPE0.03gを入れた。つぎに、容器を密閉し、80℃に加熱した恒温槽中に24時間放置した。その後室温で放冷し、水晶振動子に滴下してトルエンを乾燥させた。前記手法により容易に微粒子からなる膜を成膜することができた。この微粒子膜を走査型電子顕微鏡により観察したところ、約0.5〜2μmの微粒子が積み重なった隙間の多い膜が形成されていることが確認された。
【0105】
実施例10
本実施例では、微粒子膜の検出感度を調べた結果を説明する。
【0106】
実施例9に記載したLDPEおよびPPの微粒子膜を水晶振動子に成膜したガス検出装置の性能を調べた結果について説明する。水晶振動子センサは実施例1と同じものを用い、感応膜としては真空蒸着法により成膜したLDPE蒸着膜、実施例5記載の方法により作成したLDPE微粒子膜を感応膜としたときの応答を比較した結果を図11に示す。図11は図1の評価装置によりトルエン500ppm、ドデカン5ppmの応答を比較した結果である。なお、応答量は最大応答を示したLDPE微粒子膜の応答で規格化している。これより、微粒子膜を使用することにより検出感度が向上することが確認された。
【0107】
これは、微粒子状にすることにより、表面積が増大するとともに、微粒子間の隙間が広いため、膜内部へガス分子の浸透性が向上したためである。同様にPPなどの結晶性の高分子についても微粒子化することにより、とくに感度を向上することが可能となった。
【0108】
図1の評価装置により、実施例5の方法で成膜したLDPEの微粒子膜とPPの微粒子膜を感応膜とした水晶振動子の、炭化水素ガスの代表としてトルエンとドデカンに対する応答量を調べた一例を表3に示す。表3からわかるようにトルエンとドデカンに対し高感度であった。PE、PPの微粒子膜は、とくに炭化水素ガスに対して検出感度が高く炭化水素ガス検出装置として有効であった。
【0109】
【表3】
【0110】
PE、PPの微粒子膜を感応膜としたガス検出装置は、油揮発成分に対しても高感度であり、実施例4と同じ条件で灯油と軽油と重油の測定を行ったところ、LDPEではEBMの約1/2倍の応答量が得られ、PPでは約3/4倍の応答量が得られた。したがって、ガス検出装置の感応膜にPE、PPの微粒子膜を使用することにより、油揮発成分に対し人の嗅気閾値レベル以上の高感度な検出が可能となり、油臭検出装置としても有効であることが確認された。
【0111】
実施例11
本実施例では、微粒子からなるEBM膜の有効性について説明する。EBMには、前述したように、製造方法により物性、構造が異なるものが多く存在する。トルエンはアルドリッチ社製(型番43473−6)のEBMに対しては、貧溶媒であり、加熱溶解後、放冷または急冷することにより、微粒子が生成され懸濁溶液となる。これを、水晶振動子上に滴下し、乾燥させると微粒子からなる感応膜が形成される。実施例1で説明したEBはトルエンに溶解し、実施例1と同じ方法により成膜することにより、平滑な感応膜が成膜される。これらのEBMの微粒子膜と平滑膜のドデカンと軽油に対する応答の比較を行った。
【0112】
測定は、図2に示す応答評価装置によりドデカンに対する応答を調べることにより行った。また、図6の応答評価装置により、水溶液濃度30ppbCの軽油溶解試料に対する応答を調べた。図12に、ドデカンの応答を比較した結果を示す。図13に軽油溶解試料を測定した結果を示す。これより、ドデカンに対しては、EBMの微粒子膜の方がわずかに速い応答速度を示した。応答量はほぼ同等であった。軽油に対しては、応答速度に違いがみられ、微粒子からなる感応膜のほうが、速い応答速度が得られた。ドデカンの沸点は216℃であるが、軽油は240〜350℃の蒸留物であり、軽油中のセンサ応答物質の分子量はドデカンのそれより大きい。以上の結果より、EBMの微粒子からなる感応膜は、分子量が大きな炭化水素化合物に対しては、EBMの平滑膜よりも吸着速度が速く、微粒子膜を感応膜としたセンサを用いることにより迅速な検知が可能であり有効である。
【0113】
実施例12
本実施例では、有機高分子以外の物質を除去したEBMと有機高分子以外の物質が含まれたEBMを感応膜として使用したときの湿度に対する影響の比較を行った。本実施例では、実施例1と同じ水晶振動子を用いた。感応膜として使用したEBMには、単量体の重合時に安定に重合するための安定剤が含まれている。この安定剤は、分子内にエステル結合を持っている。
【0114】
図14は有機高分子の主骨格以外の物質を除去したEBMと有機高分子以外の物質が含まれたEBMを感応膜とした水晶振動子に送る加湿した窒素ガスを相対湿度20%変化させたときのセンサの応答変化を示す。図中の矢印の時点で、相対湿度を20%変化させている。これより、有機高分子以外の物質を除去した感応膜では湿度の影響が低減されていることが確認される。
【0115】
実施例13
実施例7で説明したEB膜中に含まれた安定剤を除去する方法について説明する。EBの成膜直後と成膜後に恒温槽50℃で10日間保存した後のEB感応膜のIR吸収スペクトルを図15に示す。成膜直後のIR吸収スペクトルでは、図中の矢印で示したエステル結合のピークがみられ、エステル結合をもつ添加剤が含まれていることが確認される。50℃で10日間保存後のIR吸収スペクトルでは、エステル結合のピークは消失し、膜内から添加剤が除去できたことが確認される。
【0116】
【発明の効果】
請求項1にかかわる発明によれば、感応膜として使用する有機高分子が炭素原子と水素原子のみにより構成される2つ以上の異なる単量体からなる共重合体であるため、共重合体は1種類の単量体からなる有機高分子よりも高分子鎖の不規則性が高く、高分子鎖間の分子凝集力が低下するとともに、不規則性のため結晶化度も低下し、そのため、高分子膜の緻密性が低下し高分子膜内へのガス分子の浸透性が向上する。
また、単量体が炭素原子と水素原子のみにより構成されるため、炭化水素ガスに対し、とくに高感度であるとともに、測定ガス中に含まれる湿度に影響を受けにくいという効果を有する。
【0119】
請求項2にかかわる発明によれば、感応膜がポリエチレンブテン共重合体、ポリエチレンプロピレン共重合体またはポリスチレンブタジエン共重合体であるため、とくに炭化水素ガスについての検出感度および応答速度が速く、さらに測定ガス中に含まれる湿度に影響を受けにくいため、短時間で微量の炭化水素ガスの検出が可能である。
【0120】
請求項3にかかわる発明によれば、感応膜がポリエチレンブテン共重合体、ポリエチレンプロピレン共重合体またはポリスチレンブタジエン共重合体のランダム共重合体であるため、感度が高い。
【0121】
請求項4にかかわる発明によれば、ブテン含量が25〜50重量%であるポリエチレンブテンを使用するので、検出感度が向上する。
【0122】
請求項5にかかわる発明によれば、比重が0.89以下であるポリエチレンブテンを使用するので、検出感度が向上する。
【0123】
請求項6にかかわる発明によれば、炭素原子と水素原子のみからなる2種類以上の有機高分子のブレンド膜を感応膜とするため、1種類の有機高分子膜よりも高分子鎖の不規則性が高く、高分子鎖間の分子凝集力が低下するとともに、不規則性のため結晶化度も低下し、そのため、高分子膜の緻密性が低下し高分子膜内へのガス分子の浸透性が向上する。
【0124】
請求項7にかかわる発明によれば、ポリエチレンとポリブテンのブレンド膜を使用するため、検出感度が向上する。
【0125】
請求項8にかかわる発明によれば、ポリエチレンブテン共重合体またはポリエチレンプロピレン共重合体またはポリスチレンブタジエン共重合体の少なくとも一つがブレンド膜に含まれた感応膜を使用するため、検出感度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】水晶振動子検出部の拡大図である。
【図2】実施の形態1におけるガス検出装置の評価装置図である。
【図3】各種有機高分子のトルエン、ドデカンおよびブタノールに対する応答量を示した図である。
【図4】EPR、PPおよびLDPE感応膜によるドデカン応答量の時間変化を示した図である。
【図5】PS、BRおよびSBR感応膜によるトルエンおよびドデカンに対する応答量を示した図である。
【図6】実施の形態2にかかわるガス検出装置の評価装置図である。
【図7】灯油34ppbC、軽油34ppbC、重油7ppbCに対するEB感応膜による応答量の時間変化を示した図である。
【図8】ブテン含量の異なるEBのドデカンに対する応答量を示した図である。
【図9】比重の異なるEBを感応膜によるドデカンに対する応答量を示した図である。
【図10】ポリプテンとポリエチレンのブレンド膜を感応膜としたときのドデカンに対する応答量を示した図である。
【図11】LDPEの蒸着膜と微粒子膜の感応膜を使用したときのトルエンとドデカンの応答量を比較した結果である。
【図12】EBの平滑膜と微粒子膜を感応膜としたときのドデカンに対する応答量の時間変化を示した図である。
【図13】EBの平滑膜と微粒子膜を感応膜としたときの軽油溶解試料に対する応答量の時間変化を示した図である。
【図14】添加剤除去および未除去のEB感応膜の湿度応答量を示す図である。
【図15】EBの成膜直後と成膜後に恒温槽50℃で10日間保存した後のEB感応膜のIR吸収スペクトルを示す図である。
【符号の説明】
1 水晶振動子、2 下地電極、3 有機高分子膜、4 参照ガス配管、5 試料ガス配管、6 希釈ガス配管、7 ガラス製試料ビン、8 試料、9 窒素ボンベ、10 マスフローコントローラー、11 加湿ビン、12 三方バルブ、13 除湿器、14 測定セル、15 水晶振動子、16 発振器、17 周波数カウンタ、18 コンピューター、19 参照ガス配管、20 試料ガス配管、21 バブリング容器、22 試料溶液、23 容器、24 窒素ボンベ、25 マスフローコントローラー、26 三方バルブ、27 除湿機、28 設置用セル、29 水晶振動子 30 発振器、31 周波数カウンタ、32 コンピューター。
Claims (8)
- 感応膜とトランスデューサからなる炭化水素ガスまたは油検出装置において、感応膜として使用する有機高分子膜が炭素原子と水素原子のみにより構成される2つ以上の異なる単量体からなる共重合体を主成分とすることを特徴とする炭化水素ガスまたは油検出装置。
- 感応膜が、ポリエチレンブテン共重合体、ポリエチレンプロピレン共重合体またはポリスチレンブタジエン共重合体であることを特徴とする請求項1記載の炭化水素ガスまたは油検出装置。
- 感応膜が、ポリエチレンブテン共重合体、ポリエチレンプロピレン共重合体またはポリスチレンブタジエン共重合体のランダム共重合体であることを特徴とする請求項1記載の炭化水素ガスまたは油検出装置。
- ポリエチレンブテン共重合体が、ブテン重量比含量25〜50重量%であることを特徴とする請求項2または3記載の炭化水素ガスまたは油検出装置。
- ポリエチレンブテン共重合体が、比重0.89以下であることを特徴とする請求項2または3記載の炭化水素ガスまたは油検出装置。
- 感応膜とトランスデューサからなるガス検出装置において、感応膜として使用する有機高分子膜が、炭素原子と水素原子のみで構成された有機高分子を2種類以上ブレンドした膜であることを特徴とする炭化水素ガスまたは油検出装置。
- 有機高分子が、ポリエチレンとポリブテンであることを特徴とする請求項6記載の炭化水素ガスまたは油検出装置。
- 有機高分子の少なくとも一つが、ポリエチレンブテン共重合体、ポリエチレンプロピレン共重合体またはポリスチレンブタジエン共重合体であることを特徴とする請求項6記載の炭化水素ガスまたは油検出装置。
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JP2000048767A JP3628227B2 (ja) | 1999-04-27 | 2000-02-25 | ガス検出装置およびその感応膜材料とその成膜方法 |
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