JP3628029B2 - ガストリン拮抗剤の新用途 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、ヒスタミンH2レセプター拮抗剤使用後の胃酸分泌の反跳的増加の抑制におけるガストリン拮抗剤の新用途に関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
消化性潰瘍の成因については種々の説が提起されているが、攻撃因子と防御因子のバランスの破綻によるとの見解では一致している。攻撃因子には塩酸、ペプシンの分泌、ガストリン、および迷走神経の作用が含まれ、防御因子には粘膜抵抗性、粘液、局所血流の増加、十二指腸の反射性分泌抑制が含まれる。したがって、消化性潰瘍治療薬としてはこれらの攻撃因子を減弱するか防御因子を増強する薬物が探索されているが、現在主として使用されているのは攻撃因子中の酸分泌を抑制する薬物である。中でもヒスタミンH2レセプター拮抗剤は胃液分泌抑制作用が強く、消化性潰瘍の治療に画期的進歩をもたらした。
【0003】
しかし、ヒスタミンH2レセプター拮抗薬による治療の場合、投薬の中止に伴い治癒した潰瘍が再燃・再発し、再治療の必要を生ずることが多い。したがって、潰瘍の治癒が確認された後でも薬物の長期維持投与が必要となり、これがヒスタミンH2レセプター拮抗薬療法の欠点となっている。上記潰瘍再燃の機構は、ヒスタミンH2レセプター拮抗薬の投与中止後に胃酸の反跳的増加が起こることによると考えられる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明者は、上記のような反跳(リバウンド)の抑制およびそれによる潰瘍の再発の防止に有効な薬剤を探索して研究を重ねた結果、ガストリン拮抗剤がこのような目的に有効であるという、文献未記載の新知見を得てこの発明を完成したのである。
すなわち、この発明は、
(1)ガストリン拮抗剤を有効成分とする、ヒスタミンH2レセプター拮抗剤による消化性潰瘍治療の際の再発処置剤、および
(2)有効成分として
(イ)ヒスタミンH2レセプター拮抗剤および
(ロ)ガストリン拮抗剤
を含む、消化性潰瘍処置剤を提供するものである。
【0005】
上記「ガストリン拮抗剤」とは、ガストリン刺激による胃酸分泌を抑制する薬物である。代表的なガストリン拮抗剤は、特開昭63−238069号公報に記載されているものである。(同公報請求項1および第28頁右下欄第8行−末行)。この系列の好ましい化合物は下記一般式で示される。
【化5】
[式中、Rは低級アルキル、X1、X2およびX3はそれぞれ独立して水素、ハロゲンまたは低級アルキル、Yは
【化6】
を意味する。ただし、Yが(iii)の基である場合、点線は存在しない。]
上式中、低級アルキルとしては、炭素原子数1−6のアルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルが含まれ、ハロゲンとしては、例えばふっ素、塩素、臭素が含まれる。
上記の一般式はキラル炭素原子を含むので立体異性体を包含する。通常、一方の異性体が他方のものより生理活性が高く、好ましい。上記の式では、好ましい化合物は例えばYが(i)の場合、−Y、Yが(ii)の場合−Y、Yが(iii)の場合・・・Yで表される立体配置をもつものである。代表的な化合物の例は、Yが(iii)の場合であって、Rがメチル、X1およびX2が水素かつX3がメタ位メチルの化合物(以下、化合物Aという)である。
【0006】
「ヒスタミンH2レセプター拮抗剤」は、ヒスタミンH2レセプターに対してヒスタミンと競合して拮抗する化合物である。この種の化合物は消化性潰瘍治療剤として市販されている。代表的な市販化合物としては、シメチジン(cimetidine)、ラニチジン(ranitidine)、ファモチジン(famotidine)、ロキサチジン(roxatidine)およびニザチジン(nizatidine)が挙げられるが、この発明で用いるヒスタミンH2レセプター拮抗剤はこれらに限定されるものではなく、ヒスタミンH2レセプターを競合的に遮断するものは何れも含まれる。このような化合物としては、例えばブリマミド(burimamide)、メチアミド(metiamide)等が含まれる。
「処置」の語は、予防、治療、軽減等を包含する。
【0007】
消化性潰瘍の再発を予防するためには、少なくともヒスタミンH2レセプター拮抗剤による治療の末期に、ヒスタミンH2レセプター拮抗剤とガストリン拮抗剤を併行投与するのが好ましい。
さらに、治療の全期間にわたりヒスタミンH2レセプター拮抗剤とガストリン拮抗剤を併行投与することができ、またヒスタミンH2レセプター拮抗剤による治療の後にガストリン拮抗剤を投与することもできる。併行投与の場合、両者を近接した時間に投与するのがよく、完全に同時に投与することが望ましいが、時間をずらせて投与することもできる。また、同時投与の場合同一の製剤に含ませてもよく、別の製剤として投与してもよい。投与比率は、ヒスタミンH2レセプター拮抗剤とガストリン拮抗剤のモル比が0.01:1〜100:1であるのが普通であり、0.1〜10:1であるのが好ましく、0.5:1〜5:1であるのがさらに好ましく、ほぼ1:1であるのが最も好ましい。また、ヒスタミンH2レセプター拮抗剤の用量は通常消化性潰瘍の治療に使用される量であり、具体的には有効成分により異なるが、例えばシメチジンの場合1日約800mgを2〜4回に分けて経口または静脈内投与し、ファモチジンの場合1日約40mgを2回に分けて経口または静脈内投与する。ガストリン拮抗剤の用量は上記のモル比に基づいて計算することができる。
【0008】
投与に際しては、薬剤を経口投与、直腸内投与、注射等の投与方法に適した有機または無機の固体または液体賦形剤のような医薬用担体と混合して、常用の医薬製剤の形で投与することができる。このような製剤には、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル等の固体、および溶液剤、懸濁剤、乳剤等の液体が含まれる。上記担体としては、でんぷん、乳糖、ぶどう糖、しょ糖、デキストリン、セルロース、パラフィン、脂肪酸グリセリド、水、アルコール等が用いられる。また、必要に応じて、補佐薬、安定剤、湿潤剤、乳化剤、滑沢剤、結合剤および他の常用添加剤を加えることができる。
【0009】
以下、この発明を製剤例および試験例によりさらに詳細に説明する。
製剤例1(ガストリン拮抗剤)
化合物A 50mg
乳糖 100mg
結晶セルロース 100mg
ステアリン酸マグネシウム 2mg
化合物A:(R)−N−(2,3−ジヒドロ−1−メチル−2−オキソ−5−フェニル−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−3−イル)−N’−(3−メチルフェニル)尿素
上記を打錠して錠剤とする。
製剤例2(ヒスタミンH2レセプター拮抗剤)
シメチジン 200mg
乳糖 100mg
結晶セルロース 100mg
ステアリン酸マグネシウム 2mg
上記を打錠して錠剤とする。
製剤例3(ヒスタミンH2レセプター拮抗剤)
ファモチジン 20mg
乳糖 100mg
結晶セルロース 100mg
ステアリン酸マグネシウム 2mg
上記を打錠して錠剤とする。
【0010】
試験例1
(実験材料及び方法)
実験動物としては雄性スプラーク・ダウリー系ラット(体重240−280g)を使用した。
ヒスタミンH2レセプター拮抗剤としてファモチジンを、ガストリン拮抗剤として化合物Aを用いた。なお、合剤はファモチジン(分子量337.4)と化合物A(分子量398.44)の両分子量がほぼ同じであるので1:1の混合比で調製した。
(投与方法)
各薬液の投与量(1.0ml/kg)を注射筒に入れ、これを装着したステンレス製経口ゾンデ針(直径1.2×L80mm)をラットの口から胃内に直接挿入して強制投与を行った。
【0011】
(1)水浸拘束ストレス胃傷害
24時間絶食(但し、摂水は自由)したラット(体重270−290g)をストレス・ケージに入れ、23℃の水槽内に胸部劍状突起の高さまで浸し、ストレスを負荷した。7時間後にラットを水槽内から引き上げてエーテル致死させ、胃を摘出した。摘出胃は1%ホルマリン液13mlを胃内に注入し、同濃度ホルマリン液中に10分間浸し固定した。胃は大弯に沿って切開し、ガラス板上に伸展した(以下ホルマリン処理と略す)。解剖顕微鏡(×10倍)下で腺胃部に発生した各損傷(出血性びらん)の長径(mm)を測定した。被験化合物はストレス負荷の30分前に経口投与した。対照には0.5%メチルセルロースを投与した。結果を第1表に示す。
【表1】
表から明らかなように、化合物Aはいずれの用量(1or3mg/kg)でもストレス胃傷害の発生を抑制しなかった。ファモチジンの3mg/kgの用量は有意に抑制した。合剤群はいずれの用量でも単剤よりも強い抑制効果が認められた。
【0012】
(2)ファモチジン等連続投与による休薬後の基礎酸分泌
正常飼育したラットにファモチジン10または30mg/kg(または化合物Aまたはそれらの組合せ)を1日1回1週間連続経口投与した。対照には0.5%メチルセルロースを投与した。最終投与後、休薬時における基礎胃酸分泌(総酸排出量)は、10mg/kg/日連続投与群については最終投与直後、24時間及び48時間(2日)後に、30mg/kg/日連続投与群については最終投与直後、3日後及び4日後に、各々、幽門結紮法(4時間法)を用いて測定した。
(幽門結紮法)
24時間絶食(但し、摂水は自由)したラット(体重200〜220g)をエーテル麻酔下で開腹し、幽門を結紮した。4時間後に再びエーテル麻酔下に胃を摘出し、貯留した胃液を採取した。胃液は、遠心分離(3000rpm,10分)した後、pH及び酸度測定した。酸度はN/10 NaOHでpH7.0まで滴定した。それぞれの酸度と液量との積で1時間当りの酸排出量(μEq/時間)を算出した。結果を第2−5表に示す。
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
表から明らかなように、ファモチジン(10mg/kg/日)連続投与群において、基礎胃酸分泌は休薬直後に有意(P<0.05)に抑制され、休薬48時間後には有意(P<0.05)な亢進が認められた。これに対し、ファモチジン(30mg/kg/日)連続投与群では、休薬直後の基礎胃酸分泌は有意(P<0.05)に抑制されたが、休薬4日後に有意(P<0.05)な亢進が認められた(第2−4表)。一方、血中ガストリン値は、連続投与終了直後では酸排出量の抑制に伴って血中ガストリン値が対照群に比べて有意(P<0.05)に上昇したが、休薬1日後から3日後まだ対照群とほとんど差が認められなかった。
ファモチジン10mg/kg/日連続投与による休薬後の酸排出量の亢進は、ファモチジン(10mg/kg)と化合物A(10mg/kg)との合剤にすることによって酸排出量の亢進が抑制される傾向を示した。なお、酸排出量において化合物A単独の1週間連続投与群では、対照群と差がなかった(第5表)。
【0013】
(3)ファモチジン等連続投与後の胃粘膜に対するアスピリン誘発胃粘膜傷害
ファモチジン(または化合物Aまたはそれらの組合せ)を1日1回1週間連続投与して休薬2日目のラットにアスピリン200mg/kgを経口投与した。7時間後にエーテル麻酔下で胃を摘出し、1%ホルマリン液処理後、腺胃部に発生した胃粘膜傷害の長さ(mm)を測定し、その合計を損傷係数とした。なお、ラットはアスピリン投与前24時間絶食をし(但し、摂水は自由)した。結果を第6表に示す。
【表6】
表から明らかなように、ファモチジン連続投与群は、対照群に比べて有意(P<0.05)な悪化を示し、ファモチジンと化合物Aとの合剤投与群は、これを有意(P<0.05)に抑制した。なお、化合物A連続投与群は、悪化傾向を示したが、有意でなかった。
【産業上の利用分野】
この発明は、ヒスタミンH2レセプター拮抗剤使用後の胃酸分泌の反跳的増加の抑制におけるガストリン拮抗剤の新用途に関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
消化性潰瘍の成因については種々の説が提起されているが、攻撃因子と防御因子のバランスの破綻によるとの見解では一致している。攻撃因子には塩酸、ペプシンの分泌、ガストリン、および迷走神経の作用が含まれ、防御因子には粘膜抵抗性、粘液、局所血流の増加、十二指腸の反射性分泌抑制が含まれる。したがって、消化性潰瘍治療薬としてはこれらの攻撃因子を減弱するか防御因子を増強する薬物が探索されているが、現在主として使用されているのは攻撃因子中の酸分泌を抑制する薬物である。中でもヒスタミンH2レセプター拮抗剤は胃液分泌抑制作用が強く、消化性潰瘍の治療に画期的進歩をもたらした。
【0003】
しかし、ヒスタミンH2レセプター拮抗薬による治療の場合、投薬の中止に伴い治癒した潰瘍が再燃・再発し、再治療の必要を生ずることが多い。したがって、潰瘍の治癒が確認された後でも薬物の長期維持投与が必要となり、これがヒスタミンH2レセプター拮抗薬療法の欠点となっている。上記潰瘍再燃の機構は、ヒスタミンH2レセプター拮抗薬の投与中止後に胃酸の反跳的増加が起こることによると考えられる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明者は、上記のような反跳(リバウンド)の抑制およびそれによる潰瘍の再発の防止に有効な薬剤を探索して研究を重ねた結果、ガストリン拮抗剤がこのような目的に有効であるという、文献未記載の新知見を得てこの発明を完成したのである。
すなわち、この発明は、
(1)ガストリン拮抗剤を有効成分とする、ヒスタミンH2レセプター拮抗剤による消化性潰瘍治療の際の再発処置剤、および
(2)有効成分として
(イ)ヒスタミンH2レセプター拮抗剤および
(ロ)ガストリン拮抗剤
を含む、消化性潰瘍処置剤を提供するものである。
【0005】
上記「ガストリン拮抗剤」とは、ガストリン刺激による胃酸分泌を抑制する薬物である。代表的なガストリン拮抗剤は、特開昭63−238069号公報に記載されているものである。(同公報請求項1および第28頁右下欄第8行−末行)。この系列の好ましい化合物は下記一般式で示される。
【化5】
[式中、Rは低級アルキル、X1、X2およびX3はそれぞれ独立して水素、ハロゲンまたは低級アルキル、Yは
【化6】
を意味する。ただし、Yが(iii)の基である場合、点線は存在しない。]
上式中、低級アルキルとしては、炭素原子数1−6のアルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルが含まれ、ハロゲンとしては、例えばふっ素、塩素、臭素が含まれる。
上記の一般式はキラル炭素原子を含むので立体異性体を包含する。通常、一方の異性体が他方のものより生理活性が高く、好ましい。上記の式では、好ましい化合物は例えばYが(i)の場合、−Y、Yが(ii)の場合−Y、Yが(iii)の場合・・・Yで表される立体配置をもつものである。代表的な化合物の例は、Yが(iii)の場合であって、Rがメチル、X1およびX2が水素かつX3がメタ位メチルの化合物(以下、化合物Aという)である。
【0006】
「ヒスタミンH2レセプター拮抗剤」は、ヒスタミンH2レセプターに対してヒスタミンと競合して拮抗する化合物である。この種の化合物は消化性潰瘍治療剤として市販されている。代表的な市販化合物としては、シメチジン(cimetidine)、ラニチジン(ranitidine)、ファモチジン(famotidine)、ロキサチジン(roxatidine)およびニザチジン(nizatidine)が挙げられるが、この発明で用いるヒスタミンH2レセプター拮抗剤はこれらに限定されるものではなく、ヒスタミンH2レセプターを競合的に遮断するものは何れも含まれる。このような化合物としては、例えばブリマミド(burimamide)、メチアミド(metiamide)等が含まれる。
「処置」の語は、予防、治療、軽減等を包含する。
【0007】
消化性潰瘍の再発を予防するためには、少なくともヒスタミンH2レセプター拮抗剤による治療の末期に、ヒスタミンH2レセプター拮抗剤とガストリン拮抗剤を併行投与するのが好ましい。
さらに、治療の全期間にわたりヒスタミンH2レセプター拮抗剤とガストリン拮抗剤を併行投与することができ、またヒスタミンH2レセプター拮抗剤による治療の後にガストリン拮抗剤を投与することもできる。併行投与の場合、両者を近接した時間に投与するのがよく、完全に同時に投与することが望ましいが、時間をずらせて投与することもできる。また、同時投与の場合同一の製剤に含ませてもよく、別の製剤として投与してもよい。投与比率は、ヒスタミンH2レセプター拮抗剤とガストリン拮抗剤のモル比が0.01:1〜100:1であるのが普通であり、0.1〜10:1であるのが好ましく、0.5:1〜5:1であるのがさらに好ましく、ほぼ1:1であるのが最も好ましい。また、ヒスタミンH2レセプター拮抗剤の用量は通常消化性潰瘍の治療に使用される量であり、具体的には有効成分により異なるが、例えばシメチジンの場合1日約800mgを2〜4回に分けて経口または静脈内投与し、ファモチジンの場合1日約40mgを2回に分けて経口または静脈内投与する。ガストリン拮抗剤の用量は上記のモル比に基づいて計算することができる。
【0008】
投与に際しては、薬剤を経口投与、直腸内投与、注射等の投与方法に適した有機または無機の固体または液体賦形剤のような医薬用担体と混合して、常用の医薬製剤の形で投与することができる。このような製剤には、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル等の固体、および溶液剤、懸濁剤、乳剤等の液体が含まれる。上記担体としては、でんぷん、乳糖、ぶどう糖、しょ糖、デキストリン、セルロース、パラフィン、脂肪酸グリセリド、水、アルコール等が用いられる。また、必要に応じて、補佐薬、安定剤、湿潤剤、乳化剤、滑沢剤、結合剤および他の常用添加剤を加えることができる。
【0009】
以下、この発明を製剤例および試験例によりさらに詳細に説明する。
製剤例1(ガストリン拮抗剤)
化合物A 50mg
乳糖 100mg
結晶セルロース 100mg
ステアリン酸マグネシウム 2mg
化合物A:(R)−N−(2,3−ジヒドロ−1−メチル−2−オキソ−5−フェニル−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−3−イル)−N’−(3−メチルフェニル)尿素
上記を打錠して錠剤とする。
製剤例2(ヒスタミンH2レセプター拮抗剤)
シメチジン 200mg
乳糖 100mg
結晶セルロース 100mg
ステアリン酸マグネシウム 2mg
上記を打錠して錠剤とする。
製剤例3(ヒスタミンH2レセプター拮抗剤)
ファモチジン 20mg
乳糖 100mg
結晶セルロース 100mg
ステアリン酸マグネシウム 2mg
上記を打錠して錠剤とする。
【0010】
試験例1
(実験材料及び方法)
実験動物としては雄性スプラーク・ダウリー系ラット(体重240−280g)を使用した。
ヒスタミンH2レセプター拮抗剤としてファモチジンを、ガストリン拮抗剤として化合物Aを用いた。なお、合剤はファモチジン(分子量337.4)と化合物A(分子量398.44)の両分子量がほぼ同じであるので1:1の混合比で調製した。
(投与方法)
各薬液の投与量(1.0ml/kg)を注射筒に入れ、これを装着したステンレス製経口ゾンデ針(直径1.2×L80mm)をラットの口から胃内に直接挿入して強制投与を行った。
【0011】
(1)水浸拘束ストレス胃傷害
24時間絶食(但し、摂水は自由)したラット(体重270−290g)をストレス・ケージに入れ、23℃の水槽内に胸部劍状突起の高さまで浸し、ストレスを負荷した。7時間後にラットを水槽内から引き上げてエーテル致死させ、胃を摘出した。摘出胃は1%ホルマリン液13mlを胃内に注入し、同濃度ホルマリン液中に10分間浸し固定した。胃は大弯に沿って切開し、ガラス板上に伸展した(以下ホルマリン処理と略す)。解剖顕微鏡(×10倍)下で腺胃部に発生した各損傷(出血性びらん)の長径(mm)を測定した。被験化合物はストレス負荷の30分前に経口投与した。対照には0.5%メチルセルロースを投与した。結果を第1表に示す。
【表1】
表から明らかなように、化合物Aはいずれの用量(1or3mg/kg)でもストレス胃傷害の発生を抑制しなかった。ファモチジンの3mg/kgの用量は有意に抑制した。合剤群はいずれの用量でも単剤よりも強い抑制効果が認められた。
【0012】
(2)ファモチジン等連続投与による休薬後の基礎酸分泌
正常飼育したラットにファモチジン10または30mg/kg(または化合物Aまたはそれらの組合せ)を1日1回1週間連続経口投与した。対照には0.5%メチルセルロースを投与した。最終投与後、休薬時における基礎胃酸分泌(総酸排出量)は、10mg/kg/日連続投与群については最終投与直後、24時間及び48時間(2日)後に、30mg/kg/日連続投与群については最終投与直後、3日後及び4日後に、各々、幽門結紮法(4時間法)を用いて測定した。
(幽門結紮法)
24時間絶食(但し、摂水は自由)したラット(体重200〜220g)をエーテル麻酔下で開腹し、幽門を結紮した。4時間後に再びエーテル麻酔下に胃を摘出し、貯留した胃液を採取した。胃液は、遠心分離(3000rpm,10分)した後、pH及び酸度測定した。酸度はN/10 NaOHでpH7.0まで滴定した。それぞれの酸度と液量との積で1時間当りの酸排出量(μEq/時間)を算出した。結果を第2−5表に示す。
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
表から明らかなように、ファモチジン(10mg/kg/日)連続投与群において、基礎胃酸分泌は休薬直後に有意(P<0.05)に抑制され、休薬48時間後には有意(P<0.05)な亢進が認められた。これに対し、ファモチジン(30mg/kg/日)連続投与群では、休薬直後の基礎胃酸分泌は有意(P<0.05)に抑制されたが、休薬4日後に有意(P<0.05)な亢進が認められた(第2−4表)。一方、血中ガストリン値は、連続投与終了直後では酸排出量の抑制に伴って血中ガストリン値が対照群に比べて有意(P<0.05)に上昇したが、休薬1日後から3日後まだ対照群とほとんど差が認められなかった。
ファモチジン10mg/kg/日連続投与による休薬後の酸排出量の亢進は、ファモチジン(10mg/kg)と化合物A(10mg/kg)との合剤にすることによって酸排出量の亢進が抑制される傾向を示した。なお、酸排出量において化合物A単独の1週間連続投与群では、対照群と差がなかった(第5表)。
【0013】
(3)ファモチジン等連続投与後の胃粘膜に対するアスピリン誘発胃粘膜傷害
ファモチジン(または化合物Aまたはそれらの組合せ)を1日1回1週間連続投与して休薬2日目のラットにアスピリン200mg/kgを経口投与した。7時間後にエーテル麻酔下で胃を摘出し、1%ホルマリン液処理後、腺胃部に発生した胃粘膜傷害の長さ(mm)を測定し、その合計を損傷係数とした。なお、ラットはアスピリン投与前24時間絶食をし(但し、摂水は自由)した。結果を第6表に示す。
【表6】
表から明らかなように、ファモチジン連続投与群は、対照群に比べて有意(P<0.05)な悪化を示し、ファモチジンと化合物Aとの合剤投与群は、これを有意(P<0.05)に抑制した。なお、化合物A連続投与群は、悪化傾向を示したが、有意でなかった。
Claims (6)
- X1とX2がそれぞれ水素であり、Yが(iii)の基である、請求項1記載の再発防止剤。
- X1とX2がそれぞれ水素であり、X3が低級アルキルであり、Yが(iii)の基である、請求項1記載の再発防止剤。
- X1とX2がそれぞれ水素であり、Yが(iii)の基である、請求項4記載の消化性潰瘍処置剤。
- X1とX2がそれぞれ水素であり、X3が低級アルキルであり、Yが(iii)の基である、請求項4記載の消化性潰瘍処置剤。
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1992
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