JP3627836B2 - 冷陰極の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電圧が印加されることにより陽極に向かって電子を放出する冷陰極の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、このような冷陰極としては、開口を形成した基板の表面にモリブデン(Mo)を蒸着し、開口の中に円錐形のエミッタを形成したものが知られている。この冷陰極では、間隔を開けて配置された陽極との間で高電圧が印加されると、トンネル効果によりエミッタの先端部(円錐の頂部)から陽極に向かって電子が放出される。また、基板の表面にはエミッタの先端部を囲むようにゲート電極が形成されており、エミッタから放出される電子ビームの広がりを制御することができるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の冷陰極は、高密度で集積することができず、フィールドエミッション電流も小さいという問題があった。例えば、フィールドエミッションディスプレイに用いるには1×107 V/mの電界で10mA/cm2 程度の出力が要求されるのに対し、従来の冷陰極では10mA/cm2 のフィールドエミッション電流を得るのに1×108 〜109 V/mの電界が必要であった。
【0004】
また一方では、VLS(Vapor−Liquid−Solid)法により成長させたシリコン(Si)細線を種々利用しようという提案がなされていた(E. I. Givargizov, J.Vac.Sci.Techno.B11(2), p.449参照)。このVLS法というのは、シリコン基板に金(Au)を蒸着してシリコンと金との溶融合金滴を形成した後、シリコンの原料ガスを供給しつつ加熱してシリコン細線を成長させる方法であり、過去においてはシリコンの原料ガスとして四塩化珪素(SiCl4 )を用いたものが報告されている(Wagner et al., Appl. Phys. Lett. 4, no. 5, 89 (1964), Givargizov, J. Cryst. Growth, 31, 20 (1975) 参照)。
【0005】
しかし、四塩化珪素を用いた従来の方法では高温でないと細線を成長させることができず、基板に使用できる材料が限定されてしまうという問題があった。また、細線を密集させて形成することができず集積密度を高めることができないと共に、細線の太さも100nm以下のものを成長させることができず、実用化が困難であるという問題もあった。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、細線を利用することにより、エミッタが高密度に形成され、フィールドエミッション電流が大きい冷陰極の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の冷陰極の製造方法は、間隔を開けて配置された陽極に向かいエミッタから電子を放出する冷陰極を製造する方法であって、ガラスよりなる基板の上に、不純物を添加したシリコンよりなる種結晶層を介して、開口を設けた補助膜を形成する補助膜形成工程と、種結晶層の上に、エミッタを成長させる際の触媒を蒸着する蒸着工程と、触媒を蒸着したのち、シランガスのみ、トリシランガスのみ、あるいはシランガスとトリシランガスとのみからなるシリコン原料ガス雰囲気中、またはこれらのシリコン原料ガスと不純物の原料ガスとの混合ガス雰囲気中において、300℃〜600℃の範囲内において加熱し、前記種結晶層の上に選択的に、前記補助膜の開口1つに対して複数の割合で、シリコン細線部とその先端に金属部とを有するエミッタを成長させる成長工程とを含むものである。
【0010】
本発明の冷陰極の製造方法では、基板上に不純物を添加したシリコンよりなる種結晶層を介して開口を設けた補助膜を形成し、触媒を蒸着したのち、シリコン原料ガス雰囲気中、またはシリコン原料ガスと不純物の原料ガスとの混合ガス雰囲気中において加熱する。その際、シリコン原料ガスをシランガスのみ、トリシランガスのみ、またはシランガスとトリシランガスとのみにより構成し、加熱温度を300℃〜600℃の範囲内とすることにより、補助膜の開口1つに対して複数の割合で、シリコン細線部を有するエミッタが成長する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態に係る冷陰極の構成を表すものである。この冷陰極は、電圧が印加されると間隔を開けて配置された図示しない陽極に向かって電子を放出するものであり、例えば燐(P)や砒素(As)などのn型不純物あるいはホウ素(B)やガリウム(Ga)などのp型不純物が添加されたシリコン単結晶よりなる導電性の基板1を備えている。基板1の上には、例えば厚さが2nm〜100nmの二酸化珪素(SiO2 )よりなる絶縁性の補助膜2が形成されている。この補助膜2には例えば直径が1nm〜10μmの開口2aがマトリクス状に複数設けられている。なお、図1においては複数の開口2aのうちの1つを拡大して表している。
【0013】
各開口2aの中には基板1に対してほぼ垂直に細線状のエミッタ3が複数形成されている。各エミッタ3は基板1を介して注入された電子を図示しない陽極に向かって放出するものであり、シリコンよりなるシリコン細線部3aと、その先端に形成され適宜の金属よりなる金属部3bとにより構成されている。シリコン細線部3aを構成するシリコンの結晶中には、適宜のn型不純物やp型不純物が添加されていてもよいが不純物が添加されていなくてもよい。
【0014】
金属部3bを構成する金属としては、金や銀(Ag)やインジウム(In)や錫(Sn)やあるいはこれらを含む合金が好ましい。特に、錫やインジウム(In)あるいはこれらを含む合金は、仕事関数が小さく電子を放出しやすいので好ましい。ちなみに、金の仕事関数は約5.3eV,n型のシリコンの仕事関数は約4.0eV程度,錫の仕事関数は約4.4eVである。また、金属部3bはシリコン細線部3aを成長させる際の触媒として作用するものであるので、触媒として優れた性質を有する金や銀やインジウムあるいはこれらを含む合金も、金属部3bを構成する金属として好ましい。
【0015】
各エミッタ3の太さは1000nm以下、好ましくは100nm以下である。各エミッタ3の長さは補助膜2の厚さよりも短く、開口2aから各エミッタ3の先端が突出しないようになっている。なお、各エミッタ3(具体的にはシリコン細線部3a)は、図1に示したように屈曲(あるいは湾曲)していてもよい。また、エミッタ3の開口2a内における密度(単位面積当たりの数)は高くなっており、例えば1×106 〜1×1011/cm2 程度である。
【0016】
補助膜2の上には、アルミニウムや金などの適宜の金属よりなるゲート電極4が開口2aの周囲に(すなわちエミッタ3の先端近傍を囲むように)形成されており、各エミッタ3から放出される電子の広がりを制御することができるようになっている。
【0017】
このような構成を有する冷陰極は、間隔を開けて配置された図示しない陽極との間に電圧が印加されると次のようにして電子を放出する。
【0018】
図2および図3はこの冷陰極におけるバンドギャップの構成を表すものである。図2は電圧を印加していない時の状態を表し、図3は電圧を印加した時の状態を表している。なお、図2および図3は不純物を添加しないシリコンによりシリコン細線部3aを構成した場合について表している。
【0019】
この冷陰極ではシリコン細線部3aに自由電子がほとんど存在せず、電圧を印加していない時においては、図2に示したように、基板1とシリコン細線部3aとの界面およびシリコン細線部3aと金属部3bとの界面において電位障壁が存在する。ここで、順方向に電圧を印加すると(順方向バイアスの状態とすると)、図3に示したように、シリコン細線部3aから金属部3bに電子が流れる場合の電位障壁が小さくなり、電子が流れやすくなる。これにより、電子は基板1およびシリコン細線部3aを通って金属部3bから放出される。この時、放出される電子の広がりはゲート電極4に印加される電圧によって制御される。
【0020】
なお、ここではシリコン細線部3aを不純物を添加しないシリコンにより構成した場合について説明したが、シリコン細線部3aをn型あるいはp型のシリコンにより構成する場合も、同様にして電子を放出する。
【0021】
このような冷陰極は、次のようにして製造することができる。
【0022】
図4は本実施の形態に係る冷陰極の各製造工程を表すものである。まず、図4(a)に示したように、例えばn型あるいはp型の単結晶シリコン基板1を図示しない反応炉内に挿入して酸化し、基板1の表面に酸化膜を補助膜2として形成する。
【0023】
次いで、補助膜2を形成した基板1の上に図示しないフォトレジスト膜を塗布形成したのち、これを選択的に露光してパターニングする。続いて、このパターニングしたフォトレジスト膜をマスクとしてフッ酸(HF)を含むエッチング液を用い、補助膜2を適宜の時間エッチングする。これにより、図4(b)に示したように、各エミッタ3の形成位置に対応して補助膜2に複数の開口2aがマトリクス状にそれぞれ形成される(以上、補助膜形成工程)。
【0024】
補助膜2に各開口2aをそれぞれ形成したのち、例えばアセトンによりフォトレジスト膜を除去する。そののち、基板1を洗浄し乾燥させてから図示しない反応炉内に挿入し、反応炉内を減圧状態として基板1の表面にエミッタ3(すなわちシリコン細線部3a)を成長させる際に触媒となる金属を蒸着する(蒸着工程)。なお、ここで蒸着する金属は、最終的にはエミッタ3の金属部3bを構成するので、触媒としての作用を持ちうる(すなわちシリコンと溶融合金滴を形成する)と共に、金属部3bを構成するのに適しているもの(すなわち先に説明した金や銀やインジウムや錫やなど)が好ましい。これにより、図4(c)に示したように、補助膜2の上および補助膜2の各開口2aによりそれぞれ露出された基板1の上に触媒層11がそれぞれ形成される。なお、形成する触媒層11の厚さは薄い方が好ましく、例えば6nm以下が好ましい。これは、後述する成長工程において形成する溶融合金滴11a(図4(d)参照)の大きさを小さくすることにより、エミッタ3の太さを細くするためである。
【0025】
触媒層11を形成したのち、基板1を図示しない反応炉内で200〜600℃、より好ましくは300〜350℃の温度に加熱しつつ、シリコン細線部3aを構成するシリコンの原料ガス(例えばシラン(SiH4 )ガス)を供給する(成長工程)。これにより、図4(d)に示したように、補助膜2の各開口2aによりそれぞれ露出された基板1の上の触媒層11は、基板1の表面のシリコンを一部溶解して凝集し、1つの開口2aの中で複数の溶融合金滴11aをそれぞれ形成する。一方、補助膜11の上では補助膜2を構成している二酸化珪素が安定なので、溶融合金滴11aは形成されない。
【0026】
このとき基板1を高温まで加熱せず600℃以下の温度とするのは、高温にすると溶融合金滴11aの凝集が急激に進むので、溶融合金滴11aの密度(すなわちエミッタ3の密度)が小さくなってしまうと共に、溶融合金滴11aの直径が大きく(すなわちエミッタ3の太さが太く)なってしまうからである。
【0027】
ここで形成された溶融合金滴11aはシリコン原料ガスの分解反応における触媒となり、これらの溶融合金滴11aにおいてシリコン原料ガスが選択的に分解しシリコンを生ずる。例えば、シランガスであれば式1に示した分解反応により分解しシリコンを生ずる。
【0028】
【式1】
SiH4 →Si+2H2 …(1)
【0029】
分解により生じたシリコンは各溶融合金滴11aの中にそれぞれ拡散し、各溶融合金滴11aと基板1との界面にそれぞれエピタキシャル結合する。ここで、溶融合金滴11aの直径が凝集によりギブズ−トムソン効果による臨界値以上に達すると、図4(e)に示したように、各溶融合金滴11aの下において選択的に各溶融合金滴11aの直径に応じた太さの細線が成長し、シリコン細線部3aが形成される。シリコン原料ガスの供給はシリコン細線部3aが開口2aの上部近傍まで成長した時点で停止し、成長工程を終了させる。ちなみに、補助膜2の上の触媒層11においても触媒作用によりシリコン原料ガスが分解するが、シリコンとの溶融合金は二酸化珪素の表面(すなわち補助膜2の表面)に対して良好なぬれ性を有しているので、凝集しにくく、シリコンのエピタキシャル成長は起こりにくい。
【0030】
ここで用いるシリコン原料ガスとしては、分解反応のギブス自由エネルギー(Gibbs free energy )変化(ΔG)の値が小さいものが好ましい。これは、分解反応のギブス自由エネルギー変化の値が小さいものは比較的高い化学ポテンシャルを有しているので、化学ポテンシャルが高い直径の小さい細線(シリコン細線部3a)を成長させることができるからである。特に、溶融合金滴11aが急激に凝集しない600℃以下の低温においても分解反応のギブス自由エネルギー変化の値が負となりうるものが好ましい。すなわち、先に例示したシランガスの他、シラン(Si2 H6 )ガスやトリシラン(Si3 H8 )ガスあるいはこれらの混合ガスが好ましい。これに対して、従来用いられていた塩化珪素ガスは、1000℃程度の高温においても分解反応のギブス自由エネルギー変化が正の値であり、高温でなければ分解しないので好ましくない。
【0031】
また、供給するシリコン原料ガスの量は、例えば反応炉内におけるシリコン原料ガスの分圧が0.5Torr以上となるように調節する。分圧が高い方が直径が小さい細線を成長させることができるからである。
【0032】
なお、不純物を添加したシリコンによりシリコン細線部3aを構成する場合には、シリコン原料ガスと共に不純物の原料ガスも反応炉内に供給する。例えば、n型不純物として燐を添加する場合にはホスフィン(PH3 )ガスを導入し、p型不純物としてホウ素を添加する場合にはジボラン(B2 H6 )ガスを導入する。
【0033】
このようにシリコン細線部3aを形成したのち冷却すると、溶融合金滴11aは溶解していたシリコンを析出して固化し、金属部3bとなる。そののち、補助膜2の上に斜め上方から適宜の金属を蒸着してゲート電極4を形成する。これにより、本実施の形態の冷陰極が形成される。
【0034】
なお、本実施の形態に係る冷陰極によれば高いフィールドエミッション電流を得ることができることを、具体的な実施例に基づいて示す。
【0035】
まず、上述と同様にして、n型のシリコン単結晶基板1(111面,比抵抗ρ=0.01Ωcm)を用意し、酸化膜よりなる補助膜2を形成した。この補助膜2には、直径が0.5〜2.0μmの開口2aを複数形成した。次いで、上述と同様にして、金を0.6nmの厚さで蒸着して触媒層11を形成したのち、440℃に加熱しつつシランガスを10mTorr〜1.0Torrの分圧で140秒間供給し、シリコン細線部3aを成長させた。続いて、上述と同様にして、ゲート電極4を形成し冷陰極とした。
【0036】
このようにして得られた冷陰極におけるシリコン細線部3aの太さは約10〜100nmと非常に細く、開口2a内における密度は108 〜1011/cm2 と非常に大きかった。
【0037】
また、この冷陰極と適宜の間隔を開けて陽極を配置し、陽極との間で電圧を印加してフィールドエミッション電流を測定した。その時の測定領域(範囲)は約3mm2 とした。その結果を図5に示す。この結果から、この冷陰極では6〜7×107 V/mの電界により10mA/cm2 の出力が得られるものと推定できる。なお、フィールドエミッションディスプレイでは1×107 V/mの電界により10mA/cm2 程度の出力が要求されている。すなわち、この冷陰極によれば、十分に実用化を図れる程度に大きいフィールドエミッション電流を得ることができる。
【0038】
なお、フィールドエミッション電流を測定した前後において、エミッタ3を走査電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron Microscope)により観察した。その結果、フィールドエミッション電流の測定によりエミッタ3の損傷は見られなかった。
【0039】
このように本実施の形態に係る冷陰極によれば、シリコン細線部3aと金属部3bとにより構成される細線状のエミッタを備えているので、エミッタを高密度に形成することができると共に大きなフィールドエミッション電流を得ることができる。
【0040】
また、本実施の形態に係る冷陰極の製造方法によれば、基板1の上に触媒を蒸着したのち、加熱しつつシリコン原料ガスを供給するようにしたので、容易に細線状のエミッタ3を形成することができる。
【0041】
更に、シリコン原料ガスとして600℃以下の低温においても分解反応のギブス自由エネルギー変化の値が負となりうるものを用い、300〜600℃以下の低温においてシリコン細線部3aを成長させるようにしたので、十分に太さが細いシリコン細線部3aを高い密度で形成することができる。
【0042】
加えて、基板1の上に開口2aを設けた補助膜2を介して触媒を蒸着するようにしたので、エミッタ3の形成位置を制御することができ、設計に応じた冷陰極を容易に製造することができる。
【0043】
(第2の実施の形態)
図6は本発明の第2の実施の形態に係る冷陰極の構成を表すものである。この冷陰極は、基板1を適宜な材料(例えばガラス)により構成し、種結晶層25を介してエミッタ3を基板1の上に形成したことを除き、第1の実施の形態の冷陰極と同一の構成を有している。よって、ここでは第1の実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0044】
ここで種結晶層25は、エミッタ3に電子を注入する導電層としての役割を有すると共に、エミッタ3(すなわちシリコン細線部3a)をVLS法により成長させる際の種結晶となるものである。この種結晶層25は、例えば、適宜なn型不純物あるいはp型不純物を添加したシリコン単結晶またはシリコン多結晶により構成される。
【0045】
このような構成を有する冷陰極は、適宜な基板1の上に種結晶層25を蒸着したのち、例えばプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition )法により二酸化珪素よりなる補助膜2を形成することを除き、第1の実施の形態と同様にして製造することができる。
【0046】
このように本実施の形態に係る冷陰極によれば、基板1とエミッタ3との間に種結晶層25を備えるようにしたので、基板1を構成する材料を任意に選択することができる。よって、種々の用途に応用することができる。
【0047】
また、本実施の形態に係る冷陰極の製造方法によれば、成長工程における温度を300〜600℃以下とするようにしたので、基板1を熱に弱い材料(例えばガラス)により構成することもできる。よって、本実施の形態の冷陰極を実現することができる。
【0048】
以上、第1および第2の実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記各実施の形態においては、エミッタ3がシリコン細線部3aを備えるようにしたが、シリコン以外の他の物質よりなる細線部を備えるようにしてもよい。その場合、VLS法により形成することができれば容易に本発明の冷陰極を実現することができる。
【0049】
また、上記各実施の形態においては、補助膜2を二酸化珪素によって形成するようにしたが、例えば、窒化珪素(Si3 N4 )や適宜の樹脂など、絶縁性を有しかつ蒸着工程において蒸着する触媒と反応しないものであれば他の物質によって形成するようにしてもよい。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の冷陰極の製造方法によれば、基板の上に不純物を添加したシリコンよりなる種結晶層を介して開口を設けた補助膜を形成し、触媒を蒸着したのち、シランガスのみ、トリシランガスのみ、あるいはシランガスとトリシランガスとのみからなるシリコン原料ガス雰囲気中、またはこれらのシリコン原料ガスと不純物の原料ガスとの混合ガス雰囲気中において300℃〜600℃の範囲内で加熱するようにしたので、1つの開口に対して複数のエミッタを容易に形成することができる。よって、エミッタの密度を高くすることができ、大きなフィールドエミッション電流を得ることができるという効果を奏する。さらに、基板とエミッタとの間に種結晶層を備えるようにしたので、基板を構成する材料を任意に選択することができる。よって、種々の用途に応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る冷陰極の構成を表す断面図である。
【図2】図1に示した冷陰極の作用を説明するためのバンド構成図である。
【図3】図1に示した冷陰極の作用を説明するためのバンド構成図である。
【図4】図1に示した冷陰極の製造工程を説明するための断面図である。
【図5】図1に示した冷陰極における印加電圧とフィールドエミッション電流との関係を表す特性図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る冷陰極の構成を表す断面図である。
【符号の説明】
1…基板、2…補助膜、2a…開口、3…エミッタ、3a…シリコン細線部、3b…金属部、4…ゲート電極、11…触媒層、11a…溶融合金滴、25…種結晶層
Claims (1)
- 間隔を開けて配置された陽極に向かいエミッタから電子を放出する冷陰極を製造する方法であって、
ガラスよりなる基板の上に、不純物を添加したシリコンよりなる種結晶層を介して、開口を設けた補助膜を形成する補助膜形成工程と、
前記種結晶層の上に、エミッタを成長させる際の触媒を蒸着する蒸着工程と、
触媒を蒸着したのち、シランガスのみ、トリシランガスのみ、あるいはシランガスとトリシランガスとのみからなるシリコン原料ガス雰囲気中、またはこれらのシリコン原料ガスと不純物の原料ガスとの混合ガス雰囲気中において、300℃〜600℃の範囲内において加熱し、前記種結晶層の上に選択的に、前記補助膜の開口1つに対して複数の割合で、シリコン細線部とその先端に金属部とを有するエミッタを成長させる成長工程と
を含むことを特徴とする冷陰極の製造方法。
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