JP3626358B2 - 管の安定化方法および安定化された管 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、接合結合部で互いに接合されている第1の管部分と第2の管部分とから成っている管特に原子炉における測定器用のハウジング管を安定化するための方法に関する。
【0002】
本発明は更に、接合結合部で互いに接合されている第1の管部分と第2の管部分とから成っている管、特に原子炉における測定器用ハウジング管に関する。
【0003】
【従来の技術】
測定器用のこのようなハウジング管はしばしば線束測定器ハウジング管と呼ばれている。これは原子炉圧力容器内を上から下に向かって延び、例えば中性子束を検出するための測定器を有している。そのようなハウジング管を簡単に原子炉圧力容器の中に組み込むことができるようにするために、この管は原子炉圧力容器の中にそれぞれ逆方向から、即ち上下から挿入できる第1の管部分(上側管部分)と第2の管部分(下側管部分)とから構成されている。これらの管部分が原子炉圧力容器の中で互いに接合できるように、その一方の管部分は他方の管部分に対する座を有している。これによって形成された結合部は接合結合部と呼ばれる。
【0004】
両管部分はこの接合結合部の範囲において半径方向に互いにずれてしまうことがある。その原因は一方の管部分にある座が他方の管部分に精確に合わされていないことにある。その結果、両管部分が半径方向に相対的に動いてしまい、管を損傷させることがある。更に一方の管部分が他方の管部分にある座に比較的大きな遊びがあると、接合結合部の範囲において外部から管の中に媒体が侵入できる開口が生ずるおそれがある。線束測定器ハウジング管の場合には原子炉冷却水が侵入する。そのためにこれによって管内に生じた流れがそこに存在する測定器を壊してしまうおそれがある。
【0005】
英国特許出願公開第2094435号明細書から、欠陥溶接部を内側管(スリーブ管)で覆うような蒸気発生器の伝熱管の修理方法が知られている。それは接合結合部を対象とするものではない。更に結合部は安定化されていない。この公知の方式の場合にスリーブ管は修理の際に漏洩個所を覆って密封するために使用されるにすぎない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、管部分が互いにぶつかり合って損傷を生ずることも、管部分の接合結合部において外から媒体が管の中に侵入することもないように、管部分が半径方向に相対移動できないようにする管の安定化方法および安定化された管を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
方法に関する上記の課題は、管の中に接合結合部を覆って内側管をはめ込み、この内側間を管の両管部分の内側壁に接するまで押し広げることによって解決される。
【0008】
これによって、たとえ両管部分間に隙間が存在していても、管部分が半径方向に相対移動できないという利点が得られる。その結果、管部分が互いにぶつかり合って管が損傷することはなくなる。また接合結合部の範囲において管にある非常に小さな開口も内側管によって覆われ、外部から媒体が管の中に侵入することはなくなる。特に管が原子炉の線束測定器ハウジング管であるとき、その中に配置された測定器が外部から侵入する冷却水の流れによって壊されないという利点が得られる。
【0009】
内側管は例えば液圧でおよび/又は機械的に押し広げられる。これによって内側管は管の内側壁に良好にぴったり接するようになる。
【0010】
例えば内側管は管の第1の管部分に固い機械的結合部が生ずるように圧着され、管の第2の管部分に滑り座が形成されるように押しつけられる。このような滑り座の場合、内側管は管の内側表面にぴったり接するが、内側管と管の第2の管部分との軸方向の相対移動を可能にしている。これによって、両管部分間の軸方向の相対移動が内側管を損傷しないという利点が得られる。
【0011】
管が原子炉の線束測定器ハウジング管である場合、その管部分の軸方向の相対移動は原子炉圧力容器および/又は炉心組物の異なった熱膨張に起因するものである。内側管が管の第1の即ち上側の管部分に固く圧着され、管の第2の即ち下側の管部分で滑り座を形成している場合、両管部分の軸方向相対運動は内側管を損傷させず、従って管部分の半径方向の相対移動および管内への冷却水の侵入は防止される。
【0012】
例えば内側管は管の中に挿入する前に滑り座に対する所定の範囲が被覆されるか、あるいは他の表面処理を施される。これによって良好な滑り特性および確実な滑り座が得られる。
【0013】
内側管には例えば炭化クロム、窒化チタンあるいはニッケルから成る被覆層が施される。また適当な表面処理としては例えばクロメート処理、ガラスビード照射処理あるいは例えば圧延による表面のひずみ硬化処理が挙げられる。
【0014】
内側管の壁厚は例えば2〜3mm、好適には2.6mmである。そのような壁厚は半径方向の動きおよび媒体の侵入を阻止するのに十分であり、また例えば測定器の設置の邪魔にならない。
【0015】
安定化された管を提供するための本発明の上記の課題は、安定化のために接合結合部を覆って内側管が管の両管部分の内側壁に接していることによって解決される。
【0016】
このような管は管部分の半径方向の相対移動を生じて損傷を生じさせることがないように有利に安定化されている。更に接合結合部の範囲において外部から媒体が管の中に侵入することはない。
【0017】
例えば内側管は管の第1の管部分に固く結合され、管の第2の管部分に滑り座を形成して接している。これによって、両管部分は内側管が損傷されることなしに軸方向に相対移動できるという利点が得られる。たとえ管部分に軸方向の相対移動が生じても、管部分の半径方向の相対移動は内側管によって阻止され、管部分がぶつかり合うことに起因する損傷は生じない。更にまた、管は接合結合部の範囲において常に内側管によって密封されている。
【0018】
内側管は例えば滑り座の範囲が被覆されているか表面処理を施され、これによって管部分の内側表面上を良好に滑ることができる。
【0019】
内側管の壁厚は例えば2〜3mm、好適には2.6mmである。このような内側管は接合結合部の範囲における管部品の半径方向も相対移動を阻止し、そこで管内に例えば測定器に対して利用できる空間を狭めることなしに管部分を密封する。
【0020】
本発明に基づく方法および管によれば、特に例えば原子炉の線束測定器ハウジング管において二つの管部分の接合結合部における一方あるいは両方の管部分の半径方向の振動あるいは移動による損傷も、管の内部に媒体が流入してその流れを生じさせる開口も生じないという利点が得られる。
【0021】
なお内側管によって管に生じる欠陥個所例えば亀裂も覆われて密封される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下図面に示した実施例を参照して本発明を詳細に説明する。
【0023】
図面には内側管(スリーブ管)によって安定化されている原子炉の線束測定器ハウジング管1が示されている。
【0024】
この線束測定器ハウジング管1は、第1の管部分即ち上側管部分1aと、第2の管部分即ち下側管部分1bとから成っている。上側管部分1aは下側管部分1bの端面が接する座2を有している。これによって接合結合部が形成される。上下両管部分1a、1bを互いに良好に接合するために、上側管部分1aは漏斗状挿入案内体3を有している。
【0025】
接合結合部が精確に形成されていないとき、上下両管部分1a、1bは半径方向に相対的に動き得る。その際に両管部分1a、1bは互いにぶつかり合い、破損を生じるおそれがある。更に下側管部分1bの外側を上向きに流れる冷却水が接合結合部の範囲において上下両管部分1a、1b間に生じ得る隙間を通って、線束測定器ハウジング管1の中に侵入するおそれがある。管の内部に形成される流れは線束測定器ハウジング管1内にある測定器を損傷させてしまう。
【0026】
線束測定器ハウジング管1を安定化するためおよび密封するために、この中に内側管4あるいはスリーブ管が配置されている。この管は線束測定器ハウジング管1の上下両管部分1a、1bの内側壁に接している。内側管4は上下両管部分1a、1bの半径方向の相対移動を阻止し、線束測定器ハウジング管1を内側から密封する。
【0027】
上下両管部分1a、1bが軸方向に相対運動できるようにするために、内側管4は上側管部分1aには固く圧着されているが、下側管部分1bには単に接しているだけである。従って内側管4は下側管部分1bと共に滑り座を形成している。下側管部分1bおよび内側管4が軸方向に良好に滑ることができるようにするために、内側管4は滑り座の範囲において外側が被覆層5で覆われている。
【0028】
内側管4の壁厚は2〜3mm、好適には2.6mmである。
【0029】
損傷を引き起こしてしまうような線束測定器ハウジング管1の上下両管部分1a、1bの半径方向の相対移動は内側管4によって阻止される。更に上下両管部分1a、1bの接合結合部において外側から線束測定器ハウジング管1の中に冷却水が侵入し、その中に流れが生じて測定器を損傷してしまうことも内側管4によって防止される。更にまた、線束測定器ハウジング管1に万一生じた亀裂6は内側管4によって覆われ密封される。
【0030】
内側管4を簡単に再組立できるようにするために、この管は少なくとも一端に雌ねじ7を有し、そこに工具が当てられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】原子炉の線束測定器ハウジング管の縦断面図。
【図2】図1における部分IIの拡大詳細図。
【図3】図1における部分IIIの拡大詳細図。
【図4】図3における部分IVの拡大詳細図。
【符号の説明】
1 原子炉の線束測定器ハウジング管
1a 上側管部分
1b 下側管部分
2 座
3 漏斗状挿入案内体
4 内側管あるいはスリーブ管
5 被覆層
6 亀裂
7 雌ねじ

Claims (7)

  1. 接合結合部で互いに接合されている第1の管部分(1a)と第2の管部分(1b)とから成っている原子炉における測定器用ハウジング管(1)を安定化するための方法において、
    ハウジング管(1)の中に接合結合部を覆って内側管(4)がはめ込まれ、該内側管(4)はハウジング管(1)の両管部分(1a、1b)の内側壁に接するまで押し広げられ、内側管(4)がハウジング管(1)の第1の管部分(1a)に固い結合部を形成して圧着され、ハウジング管(1)の第2の管部分(1b)に滑り座を形成して押しつけられる
    ことを特徴とする方法。
  2. 内側管(4)が液圧でおよび/ 又は機械的に押し広げられることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 内側管(4)をハウジング管内に挿入する前に滑り座に対する所定の範囲が被覆されるか表面処理されることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
  4. 内側管(4)の壁厚が2〜3mmであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の方法。
  5. 接合結合部で互いに接合されている第1の管部分(1a)と第2の管部分(1b)とから成っている原子炉における測定器用ハウジング管(1)において、
    安定化のために接合結合部を覆って内側管(4)がハウジング管の両管部分(1a、1b)の内側壁に接しており、
    内側管(4)がハウジング管(1)の第1の管部分(1a)に固く結合され、ハウジング管(1)の第2の管部分(1b)に滑り座を形成して接している
    ことを特徴とするハウジング管
  6. 内側管(4)の滑り座の範囲が被覆されているか表面処理を施されていることを特徴とする請求項5記載のハウジング管。
  7. 内側管(4)の壁厚が2〜3mmであることを特徴とする請求項5又は6記載のハウジング管。
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