JP3625496B2 - 線材撚り合わせ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ケーブルの鉄線鎧装に用いるのに好適な線材撚り合わせ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
地中あるいは海底に設置される直埋ケーブルには、その外傷防止を目的として、一般的に、鉄線のような鎧装が施される。このような鉄線鎧装のために線材撚り合わせ装置が用いられている。
図2は、従来の線材撚合せ装置の一部を示す概略図である。
従来の線材撚り合わせ装置では、図2(a)に示されているように、複数のフライヤーディスク1のそれぞれには、多数のフライヤー2が周方向に整列して配置されている。各フライヤー2には、鎧装材である鉄線3の巻かれたボビン4が、枢軸5aおよび5bを介して回転可能に支持されている。各ボビン4の鉄線3は、フライヤー2の供給口2aを経て、フライヤーディスク1の回転に応じて、このディスク中央部を貫通するように送られるケーブル(図示せず)へ案内され、これによりケーブルに鉄線3が螺旋状に巻き付けられる。
【0003】
各ボビン4は、これに巻き付けられた鉄線が無くなったとき、鉄線が巻き付けられた新たなボビン4に取り替える必要があり、そのために、各ボビン4はフライヤー2に着脱可能に配置されている。
この着脱のために、各ボビン4の一方の枢軸5aは、一端に回転操作用締め込みハンドル6が設けられたピントル5aからなる。各ピントル5aは、フライヤー2に螺合しかつこれを貫通して対応するボビン4内に伸長する。従って、ハンドル6を回転させることにより、フライヤー2に螺合するピントル5aを、その軸線方向へ移動させることができる。これにより、ピントル5aをボビン4内に突出させあるいはこれから退出させることができ、ボビン4の着脱が可能となる。
【0004】
ところで、振動等によるハンドル6の不必要な回転は、ピントル5aの不要な緩みを招き、ボビン4のフライヤー2からの脱落の虞れを生じることから、これを防止するために、ハンドル6に関連して、ロック機構7が設けられている。
このロック機構7は、図2(b)および図2(c)に示されているように、ブラケット7aを介して各フライヤー2に固定される筒状の案内部材7bを備える。この案内部材7bには、外筒部材7cが摺動可能に嵌合されており、外筒部材7cには、これを貫通して案内部材7bの端部から突出するロックピン7dが固定されている。ロックピン7dは、案内部材7b内に配置された圧縮コイルスプリング7eの偏倚力により、図2(b)に示されているように、ハンドル6の外周に整列的に形成された多数の凹所6aの一つに係合可能な突出位置へ向けられている。また、外筒部材7cには、ロックピン7dを、図2(b)に示す突出位置と、凹所6aからの退出位置との間で案内するL字状の溝7fが形成され、この溝7fには案内部材7bからピン7gが突出する。
【0005】
従って、外筒部材7cを図中左方へ引っ張った状態でこれを回転させることにより、ピン7gを溝7fの係止部7hに係合させることができ、ロックピン7dを凹所6aからの退出位置に係止することができる。この状態では、ボビン4の着脱のためにハンドル6を回転操作することができる。
また、外筒部材7cを係止状態から一方向へ回転させてピン7gを溝7fの係止部7hから解除することにより、ロックピン7dをハンドル6の凹所6aに突出させてハンドル6の回転を阻止することができ、これにより、フライヤー2からのボビン4の脱落を確実に防止することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のロック機構を備える線材撚り合わせ装置では、ボビン4を取り替えるとき、この取り替え作業に引き続いて、ハンドル6を所定位置まで締め込んだ後、線材撚り合わせ装置の再始動に先立って、ハンドル6の締め込み作業が終了した個々のボビン4について、その脱落を確実に防止するために、ロック機構7をハンドル6のロック位置へ、人手によって個々に操作する必要がある。
また、線材撚り合わせ装置では、多数のフライヤー2が設けられた複数枚のフライヤーディスク1が、組み合わせて使用されることから、ボビン4の数は50〜60個にも及び、しかも、各ボビンの線材がほぼ均等に使用されることから、多数のボビンが一時に集中的に取り替えを必要とする。
このため、従来のロック機構を備える線材撚り合わせ装置では、多数のロック機構7を個々にロック位置へ操作する必要があり、作業能率の低下を招くばかりでなく、ロック位置への操作を見落とすことがある。このような見落としは、ボビン4の脱落を招く虞れがある。
従って、本発明の目的は、線材撚り合わせ装置において、ボビン取り替えのための回転操作用締め込みハンドルのロック作動を自動化することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述の課題を解決するために、フライヤーディスクと、フライヤーディスクに支持されたフライヤーと、このフライヤーに線材が巻かれたボビンを着脱するために回転操作される締め込みハンドルとが設けられた線材撚り合わせ装置において、締め込みハンドルに凹所を設け、この凹所内に突出して締め込みハンドルの回転を防止するためのピンを収容するハウジングを設ける。
ハウジングには、ピンを受け入れる案内溝を形成し、この案内溝によってピンに、凹所への突出を許すロック位置と、この凹所からの退出位置に係止する非ロック位置との間での移動を許す。ピンに関連して、このピンにロック位置へ向けての偏倚力を与えるばね部材を設け、また、フライヤーディスクが回転したとき該フライヤーディスク外縁部近傍で非ロック位置にあるピンに接触して該ピンの係止を解除させるための接触子を設ける。
【0008】
【作用】
本発明に係る線材撚り合わせ装置では、ボビンを取り替えるとき、ハウジングのピンは、案内溝の非ロック位置に係止されており、このピンは締め込みハンドルの凹所からの退出位置に保持されている。従って、締め込みハンドルを自由に回転させることができ、ボビン取り替え作業後、締め込みハンドルが所定位置まで締め込まれる。
その後、人手によって個々のピンを非ロック位置に操作することなく、装置が再始動され、フライヤーディスクが回転を始めると、このフライヤーディスクの回転に伴って、フライヤーディスク外縁部近傍に設けられた接触子は、順次自動的に非ロック位置にあるピンに接触する。接触子に接触したピンは、順次、非ロック位置での係止を解除され、ばね部材の偏倚力によって、凹所への突出を許すロック位置へ移動される。
その結果、このピンは自動的に締め込みハンドルの凹所内に突出し、この締め込みハンドルの緩みが自動的に防止される。
【0009】
【実施例】
以下、本発明を図示の実施例に沿って詳細に説明する。
図1は本発明のロック機構を示す概略図であるが、これに先立ち、本発明に係る線材撚り合わせ装置の全体的な説明を図3に沿って説明する。
本発明に係る線材撚り合わせ装置10は、送出機12から繰り出されるケーブル14が引っ張り装置16を経て巻取り機18に巻き取られる際、ケーブル14にその外傷防止のための鉄線を巻き付けるために、送出機12と引っ張り装置16との間で設けられる。図示の例では、2組の線材撚り合わせ装置10が直列的に配置されており、例えばそれぞれの駆動装置19が互いに逆回転することにより、右巻きあるいは左巻きに、順次逆方向へ鉄線が巻き付けられる。
【0010】
図4は、本発明に係る線材撚り合わせ装置10の一部を示す正面図である。
各線材撚り合わせ装置10は、図3にも示したように、互いに同軸的に配置された多数のフライヤーディスク20を含む。各フライヤーディスク20は、図4に示されているように、下方両側に設けられたガイド装置22により回転可能に床24上に配置されている。各フライヤーディスク20は、駆動装置19によって各組毎で同一方向へ駆動回転され、それぞれの中央部に形成された開口20aを経てケーブル14が送られる。
このケーブル14へ向けて鎧装用鉄線を供給するための多数のボビン26が、それぞれフライヤー28を介して、フライヤーディスク20の一方の面に周方向へ整列して配置されている。図示の例では、一つのフライヤーディスク20に6ケのボビン26が設けられた例を示す。
各フライヤーディスク20の外側には、床24に形成された収納溝24a内から立ち上がるストライカーポスト30が設けられており、図示の立ち上がり位置でフライヤーディスク20の外縁近傍にあるストライカーポスト30一端には、フライヤーディスク20の外縁に向けて伸びる接触子32が設けられている。
【0011】
図5は、ボビン26およびこれを収容するフライヤー28を概略的に示す斜視図である。
各フライヤー28は、フライヤーディスク20の回転に拘らず同一姿勢を保持するように枢軸34を介して回転可能に支承されている。また、各ボビン26は、図2に沿って説明したと同様な構造により、対応するフライヤー28にそれぞれ回転可能にかつ取り外し可能に支承されている。
各ボビン26の鉄線36は、フライヤーディスク20の回転に応じて、各フライヤー28の供給口28aを経て、該フライヤーディスクの開口20aを送られるケーブル14へ向けて案内され、これによりケーブル14に鉄線36が螺旋状に巻き付けられる。
また、回転操作用締め込みハンドル38を回転操作することにより、各ボビン26内にその中心軸線に沿って伸長するピントル40を、ボビン26の取り外しのために、これから退出させることができる。
【0012】
締め込みハンドル38の回転を阻止するためのロック機構42が各フライヤー28に設けられ、またこのロック機構42に関連して、締め込みハンドル38の外縁には、多数の凹所38aが周方向に等間隔で形成されている。
ロック機構42は、図1(a)および図1(b)に示されているように、先端部を凹所38a内に突出可能のピン44と、該ピンを収容する筒状のハウジング46とを備える。ハウジング46は、その中心軸線を締め込みハンドル38の径方向に一致させるように、一端でブラケット48を介してフライヤー28に固定されている。ハウジング46には、その中心軸線と平行に伸びる一対のロック溝部50aと、ハウジング46の他端側で両ロック溝部50aを連結する非ロック溝部50bとを備える全体にU字状の案内溝50が形成されている。非ロック溝部50bにおける一対の縁部の内ハウジング46の他端側に位置する一方の縁部は直線状に形成されているが、他方の縁部50cは、滑らかな弧を描くように凹状の浅溝部分に形成されている。
【0013】
ピン44は、主軸部分44aと、主軸部分44aにほぼ直角な係止部分44bとを備える全体にL字状部材である。主軸部分44aは、ハウジング46内を該ハウジングの中心軸線に沿ってその一端へ向けて伸長し、該ハウジングおよびブラケット48を貫通し、先端部を凹所38a内に突出可能である。係止部分44bは、主軸部分44aの他端から案内溝50を経てハウジング46の周方向外方に伸長する。主軸部分44aには、図1(b)に示されているように、ハウジング46の内壁に当接して、凹所38aへの突出位置を規定するストッパ52が設けられており、このストッパ52とハウジング46の隔壁46aとの間には、ピン44を突出位置へ向けての偏倚力を与えるばね部材として圧縮コイルスプリング54が配置されている。
【0014】
従って、ピン44の係止部分44bを案内溝50の何れか一方のロック溝部50bに案内することにより、圧縮コイルスプリング54の偏倚力によって、図1(a)に実線で示されているように、係止部分44bは、案内溝50のロック溝部50bの端部に保持される。
このロック位置では、ピン44の主軸部分44aの先端が締め込みハンドル38の凹所38a内に位置する。そのため、締め込みハンドル38の回転が阻止され、これにより、締め込みハンドル38の緩みが防止されることから、ピントル40はボビン26から抜けることはなく、ボビン26の脱落が確実に防止される。
【0015】
ボビン26の取り替えに際しては、線材撚り合わせ装置10の作動が停止される。この停止状態で、ピン44の係止部分44bが、圧縮コイルスプリング54の偏倚力に打ち勝って案内溝50の非ロック溝部50bに向けて引っ張られ、図1に仮想線で示すように、係止部分44bを滑らかな浅溝部分50dに係止される。
このロック位置では、ピン44の主軸部分44aは締め込みハンドルに凹所からの退出位置に保持されている。そのため、締め込みハンドル38を自由に回転させることができ、このハンドル操作によって、ボビン26からピントル40を退出させてボビン26を取り替えることができる。このボビン取り替え作業後、締め込みハンドル38は所定位置まで締め込まれる。
【0016】
その後、人手によって個々のピン44を非ロック位置に操作することなく、線材撚り合わせ装置10の再始動に伴って、この非ロック位置への操作を自動的に行うために、図4に示した接触子32を有するストライカーポスト30が設けられている。
図6は、ストライカーポスト30を示す側面図である。
図4および図6を参照するに、ストライカーポスト30は、収納溝24a内で、フライヤーディスク20とほぼ平行に配置された枢軸56を介して揺動可能である。ストライカーポスト30の基端部は、枢軸56に平行な枢軸58を介して、伸縮可能のアクチュエータ60に接続されている。アクチュエータ60は、例えば、床に固定されたブラケット62に、枢軸58と平行な枢軸64を介して、接続された油圧シリンダである。
【0017】
アクチュエータ60は、その伸縮動作により、ストライカーポスト30を図6に仮想線で示す床内の収納位置に保持する。また、アクチュエータ60は、その伸長動作により、図4に示したように、先端に設けられた接触子32がロック機構42の非ロック位置にあるピン44の係止部分44bに当接可能な立ち上がり位置にストライカーポスト30を保持する。
【0018】
従って、ボビン26の取り替え作業後、締め込みハンドル38を所定位置まで締め込み、ストライカーポスト30を立ち上がり位置に保持した状態でフライヤーディスク20が例えば図4で反時計方向へ回転を始めると、このフライヤーディスク20の回転に伴って、ストライカーポスト30の接触子32は、順次自動的に非ロック位置にあるピン44の係止部分44bに接触し、この係止部分44bを非ロック溝部の浅溝部分50cから回転方向に応じた一方のロック溝部50aへ向けて押し出す。
これにより、フライヤーディスク20が一回転すると、このフライヤーディスク20の非ロック位置にあるロック機構42は、自動的に全てロック位置へ作動され、これにより、ボビン26の脱落が確実に防止される。
ロック機構42のロック位置への作動後、アクチュエータ60が作動され、ストライカーポスト30はその収納位置に保持される。これにより、ストライカーポスト30の不要時、これが他の作業の障害になることはない。
【0019】
先に述べたところでは、鉄線鎧装のための線材撚り合わせ装置について説明したが、これに限らず本願発明を種々の線材撚り合わせ装置に適用することができる。
また、ロック機構42の案内溝50としてU字状の溝に代えて、例えばL字状の案内溝を用いることができる。しかし、フライヤーディスク20の両方向の回転に適用させる上で、図示の通りU字状の案内溝を用いることが好ましい。
さらに、ストライカーポスト30を固定的に設けることができるが、図示のような収納式とすることにより、より広い作業スペースの確保の上で有利である。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る線材撚り合わせ装置では、ボビン取り替え後の再始動によってフライヤーディスクが回転を始めると、このフライヤーディスクの回転に伴って、接触子が、順次自動的に非ロック位置にあるピンに接触し、これにより、ピンが自動的に締め込みハンドルの凹所内に突出することから、締め込みハンドルの回転が阻止され、このハンドルの緩みが自動的に防止される。
このことから、多数のボビン取り替え作業後においても、個々のボビンについての従来のような人手によるロック操作は不要となり、このロック操作の忘れによるボビンの脱落を確実に防止することができる。
また、自動化により、人手によるロック操作が不要となることから、ボビン取り替え後から線材撚り合わせ装置の再始動に至る装置の作動休止時間を大きく短縮することができ、作業効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る線材撚り合わせ装置のロック機構を示す概略図である。
【図2】従来の線材撚り合わせ装置の一部を示す概略図である。
【図3】本発明に係る線材撚り合わせ装置を全体的に示す概略図である。
【図4】本発明に係る線材撚り合わせ装置の一部を示す正面図である。
【図5】本発明に係る線材撚り合わせ装置のロック機構を概略的に示す斜視図である。
【図6】本発明に係る線材撚り合わせ装置のストライカーポストを示す側面図である。
【符号の説明】
20 フライヤーディスク
26 ボビン
28 フライヤー
32 接触子
36 線材
38 締め込みハンドル
40 ピントル
44 ピン
46 ハウジング
54 ばね部材

Claims (3)

  1. フライヤーディスクに支持されたフライヤーに線材が巻かれたボビンを回転可能に支持すべく該ボビン内から退出可能に該ボビンの中心軸線に沿って該ボビン内に突出するピントルを前記ボビンの着脱のために前記ピントルの軸線方向へ移動させるための回転操作用締め込みハンドルが設けられた線材撚り合わせ装置であって、
    前記ハンドルに設けられた凹所と、
    該凹所内に突出して前記ハンドルの回転を防止するためのピンと、
    該ピンを収容し、前記凹所への突出を許すロック位置と前記凹所からの退出位置に前記ピンを係止する非ロック位置との間で前記ピンを導くための案内溝が形成されたハウジングと、
    前記ピンにロック位置へ向けての偏倚力を与えるばね部材と、
    前記フライヤーディスクが回転したとき該フライヤーディスク外縁部近傍で非ロック位置にある前記ピンに接触して該ピンの係止を解除させるための接触子とを含む線材撚り合わせ装置。
  2. 前記フライヤーディスクの近傍には、先端に前記接触子が設けられたストライカーポストと、該ストライカーポストを前記接触子が前記ピンに係合可能な作動位置と前記ストライカーポストが床に収納される格納位置との間で作動させるアクチュエータとを備える請求項1に記載の線材撚り合わせ装置。
  3. 前記ピンは、前記ハンドルへ向けて前記ハウジングの一端から外方へ伸長する主軸部分と、該主軸部分とほぼ直角に形成され、前記案内溝から前記ハウジングの周方向外方へ伸びる係止部分とを備え、前記案内溝は、前記主軸部分とほぼ平行に伸長する一対のロック溝部と、前記ハウジングの他端側で前記一対のロック溝部を連結する非ロック溝部とを備える全体にU字状を呈し、前記非ロック溝部には前記係止部分を係止するための円滑な浅溝部分が形成されている請求項1に記載の線材撚り合わせ装置。
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