JP3625036B2 - フランジ付容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は抜き型シートを折曲形成して得られるフランジ付容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の抜き型シートを折曲形成して得られるフランジ付容器は以下のような種々の問題点を有していた。
【0003】
即ち、図1の(a)〜(d)に示した従来例は、主として保存可能な加工食品用などとした紙シートの折曲形成によるフランジ付容器(以下、従来型容器と云う)であり、容器本体aと蓋シートbとからなり内容物を容器aに充填後、蓋シートbを熱シールなどの手段により容器の密着して一体化される。この種の容器の最大の目的は、長期にわたり内容物の液汁が外部に漏れないことと、次に外からバクテリヤなどの侵入を防ぐことそして内容物劣化の原因となる酸素の侵入を防ぐことの三つである。
【0004】
とりわけ平板状の抜き型シートから折曲形成して得られる従来型容器の(図1(a)〜(d))は容器本体aの折曲部とともに蓋シートbとのシール部において、容器a内外に連通する切れ目、孔(以下連通孔と云う。)の発生出現をその容器自体の構造的特徴から、余儀なくされていた。
【0005】
よりくわしくは折曲部6(図1(c))において側壁フラップ4とフランジフラップ5とが相互に隣接しながら、シートの折曲形成のために切り離されて設けられることが不可能であるため、その部位6における切れ目状の連通孔の発生からまぬがれない。また接合部7(図1(b))において、フランジフラップ5とフランジ1が段差付き状態で相互に接合、固定されるため、その部位に上から重ねて熱シールされる蓋シートbとの間に内外に通ずる3角筒状の、連通孔が出現してしまう。
【0006】
次の欠点として、従来容器本体aの折曲形成時及び蓋シートbとの一体化時において、熱シール、ホットメルトなどによる接着、固定の加工面が、抜き型シートの両面にまたがることを余儀なくされることから、両面型ポリコート仕様又は、両面型ポリラミ仕様とした割高なシートを採用せざるを得なかった。
【0007】
また、従来型容器の折曲形成時において、フランジフラップ5と側壁フラップ4が相互に支え合ことのない独立構造とされ、又側壁フラップ4が軸対称とされることなく片側の側壁2に密着固定されて不安定な構造とされるため、その容器隅部における各方向の剛性が期待するほど向上しないことから、とかく抜き型シートを厚手のゲージとせざるを得なかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような問題点に鑑み、本発明は食品用包材分野などにおける平板シートを折曲加工して得られる密閉型のフランジ付容器において、類似した従来のフランジ付容器の組立て方法を大きく変えることなく、組立前の抜き型シートの平面形状と罫線配置に新たな工夫を加えることにより、これまで期待すべくもなかった高い気密性、高い容器剛性とともに低いコストのフランジ付容器の実現をその目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成するため、本発明のフランジ付容器では底面相当部とその各辺に隣接する各側壁相当部とそしてその外側に隣接する各フランジ相当部が設けられるとともに、その各辺の隅部外側に側壁フラップ相当部とフランジフラップ相当部を連続一体としてなる変形扇状部が設けられ、前記各変形扇状部はその要の部位又はその部位周辺を基点とし、外側に向け放射状に複数の罫線が設けられ、さらにそれら放射状罫線の一部分又はすべてが外側に伸びて前記側壁フラップ相当部と前記フランジフラップ相当部とを区切る位置において折れ曲がり、その折れ曲がった罫線全てが相互に略平行状罫線として前記フランジフラップ相当部を延出してなる抜き型シートから折曲形成され、前記フランジフラップ相当部は前記略平行状罫線に沿って折り曲げられ、その折り曲げられて形成された相対向する端部が前記フランジフラップ相当部の中央部面上において段差を形成することなく密着されてなるのである。
【0010】
好ましくは、前記変形扇状部において、前記側壁フラップ相当部と前記フランジフラップ相当部を区切る位置に前記放射状罫線と略直交する区切り罫線が設けられてなる前記抜き型シートから折曲形成することである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、添付図面を参照して詳細に説明する。
図において、各抜き型シート平面図上の罫線は実線が山折れ線、点線が谷折れ線として表示されており、図形周辺の太い実線は輪郭線である。
【0014】
本容器aの各隅部付近の気密性を保つために、図2(c),図3(c)に示される通り一体連続とした側壁フランジ4とフランジフラップ5が底面3,側壁2、フランジ1とともに折曲形成される本発明固有な立体構造(単葉シートをしてハサミと糊なしに折曲形成され、再び単葉シートに復元可能とする折版構造体)が各隅部毎に設けられた。その立体構造を可能にしたのは、図2(a),図3(a),図4(a)に示される通り、各隅部付近に設けられ途中から略平行とされる変形扇状部cとした抜き型シート上の図形であり、その扇状部cの要付近を基点として外縁方向に複数の罫線が放射状に設けられ、前記罫線と略直交する罫線8を境として前記放射状罫線が腰折れされ略平行状罫線として設けられることを本容器の大きな特徴としている。
【0015】
上記立体構造については、図2(c)、図3(c)にある通り、本容器aの外側に持ち出されて設けられるとともに、本容器aの底面と開口部の両隅部を結んだ線分を軸対称として左右にふりわけられる様に折曲形成されることも本発明の特徴である。
【0016】
上記変形扇状部cについては、その要を基点とする放射状罫線が5本ないしは4本として設けられるのが好ましく、ただしその要付近の放射状罫線のみは1本〜5本など任意に設けられてよい。上記の放射状罫線の基点は図4(a)、図5,図6(b)〜図9(b)の様に単一とされても、図2(a),図3(a)の様に複数とされてもよい。さらに前記略平行状罫線が4本とされて好ましく5本として設けられてもよい。
【0017】
放射線状罫線と略平行状罫線を横断して区切る罫線8(以下区切り罫線8とよぶ)は、図2(a),図3(a),図4(a)に示される通り折れ線状として設けられるのが好ましく、この他に図示されていないが単純直線状、湾曲線状、直線と湾曲線の組合わせ状、曲率の異なる複数の湾曲線の組み合わせ状としても本発明に有効である。さらにまた抜き型シート上に前記区切り罫線8をあらかじめ設けず、その抜き型シートの折曲形成時に前記区切り罫線8の相当する位置において機械的外力により罫線様の折曲変形ないしは微少曲率とした湾曲変形を設けることも本発明に有効である。
【0018】
図5に示した通り、前記変形扇上部cにおいて各放射状罫線相互の最大幅をA、Bとし各略平行状罫線相互の末端幅をC,Dとすれば、各幅寸法の間には、B≧A,D≧c/2,B−A≦D−c/2の関係が同時に成立することが好ましい。
【0019】
図2(b),図3(b)に示した通り、本容器aのフランジ1隅部又は同円周局部では、直角方向又は円周方向の両フランジ1が所定の角度で相互に密着される接合部7が設けられるとともに、両フランジ1が相互に段差をもつことなくフランジフラップ5の中央部面上において、同一面内で折曲形成され、熱シールないしはホットメルトなどの接着手段により固定されることである。
【0020】
前記抜き型シートが折曲形成され、所定のフラップ5において接着固定されて得られた容器aは、内容物が充填された後、蓋シートbとフランジ1とで熱シールすることにより完全に密封されることである。
【0021】
図6(a)、図6(b),図7(a),図7(b),図8(a),図8(b),図9(a),図9(b)において、本容器aのフランジ1の隅部の形状を直角状、大面取り状、小面取り状、小湾曲面取り状とするとともにそれを可能にする抜き型シートの平面形状が例示されている。
【0022】
また図3(b)にはフランジ隅部が略円弧状とされ、図4(a)には、フランジ隅部を鈍角大面取り状を可能とする抜き型シートが例示されている。この他に図示されていないが、フランジ1の隅部がフランジフラップ5とともに舌状に突出するものなどがいずれも本発明に有効である。
【0023】
本容器aの底面3の形状とフランジ1の開口部形状については図2(b),図3(b)では各方形、円形とされるものが、又図4(a)では六角形とされる抜き型シートが例示されているが、この他に三角、五角形、八角形などの正又は不等辺多角形のものがあり、またそれ多角形の角部を面取り状、大、小の湾曲状としたものがある。この他に全体容器形状を楕円形、湾曲線と直線を適宜組合わせた形状、星形などがあり、さらに底面と開口の形状を相似とせず上記形状の中から異なるものを選択採用したものがあり、いずれも本発明に有効である。
【0024】
本容器aの底面各辺端末の入隅付近における垂直方向断面形状が、図2の(b),(c),(d)では小湾曲状とし、図3の(b),(c),(d),図6〜図9では角折れ状として示されている。この他に図示されてはいないが底面各辺の入隅における垂直方向断面形状が大又は小湾曲状とされるものがあり、いずれも本発明に有効である。
【0025】
本容器aのフランジ1の面外剛性を向上させるべく2重とするために、前記抜き型シートのフランジ相当部1の外縁、全長または一部分に折り返し部を設けることも本発明に有効である。
【0026】
本容器aは蓋シートbと一体化されてその気密性、耐水性、遮光性とそして熱、電磁波によるシール適性などを要求されることから、そのシート素材として、プラスチックシートのラミネート加工紙、プラスチック液のコート加工紙などが用いられるのが好ましく、その他にプラスチックなどの人工紙、ポリラミ又はポリコートされた金属シート、金属蒸着されたプラスチックシートなどがあり、それらを適宜組合せ、複合させたシートはいずれも本発明の容器aには有効である。
【0027】
本発明の特徴である立体構造は極めて原理的なものであるため、その構造を採用して形成される容器aは、その形状、材質に限定されず様々な応用変化を可能とし、たとえば底面、開口の形状如何、底面と側壁の寸法比率、底面、開口の局部形状如何、フランジの幅寸法、形状如何、そして抜き型シートの物性、材質如何にかかわらない上記例示したもの以外に多様なものがあり、すべて本発明に有効である。
【0028】
本発明の容器の抜き型シートにおいて、前記変形扇状部cが、側壁フラップ4とフランジフラット5が連続一体のものとして設けられることから、両フラップが切断された従来容器の構造から余儀なくされていた折曲部6の連通孔を完全に排除することが可能となった。
【0029】
上記変形扇状部cが、軸対称とした、容器外部への持ち出し方式により折曲形成されて容器aが得られるため、その結果として第一に容器隅部の2大向各フランジ1が、フランジフラップ5に裏うちされる様に、同一面内において相互に略45度の角度に接合固定されることにより、その密着度が高まり、また蓋シートbとの熱シール時に連通孔を発生しやすい両フランジ1の段差を完全に解消することが出来た。
【0030】
第二には、容器aの折曲形成時及び容器aと蓋bの接着固定時において、熱シール面を用紙シートなどの片面に限定することが可能になった。
第三には前記扇状部が軸対称として折曲形成されることにより、従来例のようにとかく特定個所に集中しやすい変形歪を分散させ、シートの材質劣化、損傷の発生を未然に抑止することが出来た。
【0031】
変形扇状部cにおける、放射状罫線が中途で腰折れとされることにより、容器形成時においてフランジ1と同フラップ5の折曲形成を確実かつ容易にし、とかくフランジ1と同フラップ5の境界付近におけるシートの延伸歪、破断損傷を抑止することが可能となった。
【0032】
変形扇状部cにおける区切り罫線8を設けることにより、容器aの折曲形成時において、フランジフラップ5をフランジ1に、側壁フラップ4を側壁2に密着ないしは接近させることが容易になり、その結果としてフランジフラップ5相互の熱シール面積を十分に拡大することが可能となった。
【0033】
変形扇状部cが折曲され側壁2、フランジ1,底面3とともに熱シールなどの手段により、相互に固定一体化され、本発明固有の立体構造を容器の隅部に形成されるため各方向の外力に対して高い剛性をもつことになった。
【0034】
変形扇状部cとその周辺部において複雑な切り込みや罫線が排除され、完全軸対称とした罫線が設けられるため、その折曲形成には上下方向の作用力でほぼ充分であり、自動製函機による加工工程において単一ショットによる極小時間の折曲形成と熱シール操作が可能になった。
【0035】
【発明の効果】
1.従来の紙トレー容器とくらべその抜き型紙の形状から余儀なくされていた折曲部6及び接合部7における連通孔を本発明の容器では前記変形扇状部cを設けた抜き型紙により、完全に除去することが出来、トレー容器a本体の気密性とともに蓋シートとの熱シールなどの気密性を大幅に向上させた。
【0036】
2.前記変形扇状部cにおける放射状罫線を腰折れにするとともに軸対称に配置したことにより、容器aの折曲形成時の損傷発生を抑止し、同形成後の形状安定と製品歩止まりの向上をもたらした。
【0037】
3.前記変形扇状部cにおける区切り罫線8により、折曲形成時におけるフランジフラップ相互の熱シール面積を拡大出来、結果として容器a隅部の気密性とその剛性を高めた。
【0038】
4.前記変形扇状部cが折曲され、形成される立体構造により、容器a隅部の鉛直方向剛性が大幅に向上したために、用紙などのゲーシダウンが可能になった。
【0039】
5.前記変形扇状部cを容器外側に持ち出し軸対称として折曲形成したために、用紙の片面のみに熱シールを限定させるとともに、ホットメルト手段を必ずしも必要としなくなった。
【0040】
6.前記変形扇状部cにおけるすべての罫線を単純かつシンメトリーの配置として設けたために、ケーサーによる自動製函加工を容易なものとし結果として容器aの生産性は大幅に向上した。
【0041】
7.以上2,4,5,6の各効果の総和として、本発明のトレーなど各種容器aは、従来容器と同一性能の条件において製品コストが15%〜25%削減されることが確認された。
【0042】
8.本容器aは食品用気密包材としてその鮮度保持、材質劣化防止、腐敗防止、などの効果を発揮するとともに、ローコストかつ低環境負荷の条件のもとで高度な密閉性、外部遮断性を達成出来ることから、医薬品、医療用資材用包材や精密小型工業部品用包材などとしてもこれまで望むべくもなかった効果を期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の容器を示し、(a)は抜き型シート平面図、(b)は全体斜覗図、(c)は裏側からの部分斜覗図、(d)は折曲形成過程にある部分斜覗図である。
【図2】本発明の底面を方形とした容器を示し、(a)は抜き型シート平面図、(b)は全体斜覗図、(c)は裏側からの部分斜覗図、(d)は折曲形成過程にある部分斜覗図である。
【図3】本発明の底面を円形とした容器を示し、(a)は抜き型シート平面図、(b)は全体斜覗図、(c)は裏側からの部分斜覗図、(d)は折曲形成過程にある部分斜覗図である。
【図4】本発明の底面を六角形とした容器の抜き型シート平面図である。
【図5】寸法条件を示す方形とした本容器の部分抜き型シート平面の説明図である。
【図6】フランジ隅部の前記の例と異なった形状を示し、(a)はその部分斜視図、(b)はその部分抜き型シート平面図である。
【図7】フランジ隅部の前記の例と異なった形状を示し、(a)はその部分斜視図、(b)はその部分抜き型シート平面図である。
【図8】フランジ隅部の前記の例と異なった形状を示し、(a)はその部分斜視図、(b)はその部分抜き型シート平面図である。
【図9】フランジ隅部の前記の例と異なった形状を示し、(a)はその部分斜視図、(b)はその部分抜き型シート平面図である。
【符号の説明】
a 容器本体、又は抜き型シート
b 蓋シート
c 変形扇状部
1 フランジ又はフランジ相当部
2 側壁
3 底面又は底面相当部
4 側壁フラップ又は側壁フラップ相当部
5 フランジフラップ又はフランジフラップ相当部
6 フランジフラップと側壁フラップの境界折曲部
7 フランジ接合部
8 区切り罫線
A,B,C,D 各放射状罫線相互又は各略平行状罫線相互の幅寸法
Claims (2)
- 底面相当部3とその各辺に隣接する各側壁相当部2とそしてその外側に隣接する各フランジ相当部1が設けられるとともに、その各辺の隅部外側に側壁フラップ相当部4とフランジフラップ相当部5を連続一体としてなる変形扇状部cが設けられ、前記各変形扇状部はその要の部位又はその部位周辺を基点とし、外側に向け放射状に複数の罫線が設けられ、さらにそれら放射状罫線の一部分又はすべてが外側に伸びて前記側壁フラップ相当部4と前記フランジフラップ相当部5とを区切る位置において折れ曲がり、その折れ曲がった罫線全てが相互に略平行状罫線として前記フランジフラップ相当部5を延出してなる抜き型シートから折曲形成され、前記フランジフラップ相当部5は前記略平行状罫線に沿って折り曲げられ、その折り曲げられて形成された相対向する端部が前記フランジフラップ相当部の中央部面上において段差を形成することなく密着されてなることを特徴とするフランジ付容器。
- 前記変形扇状部cにおいて、前記側壁フラップ相当部4と前記フランジフラップ相当部5を区切る位置に前記放射状罫線と略直交する区切り罫線8が設けられてなる前記抜き型シートから折曲形成してなることを特徴とする請求項1記載のフランジ付容器。
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