JP3624853B2 - レーザセミアクティブ誘導方法及びレーザセミアクティブ誘導方式 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は誘導飛翔体のレーザセミアクティブ誘導に関し、特にレーザ反射光の2次元の画像データによる画像追尾を行うレーザセミアクティブ誘導方法及びレーザセミアクティブ誘導方式に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の狭ビーム幅のレーザ光を使用するレーザセミアクティブ誘導方式は、目標に対して狭ビーム幅のレーザ光を照射し、ミサイル等の誘導飛翔体を発射し、当該レーザ光の照射により生じたビームスポットを命中点として追尾して目標に衝突するように誘導飛翔体を制御する誘導方式である。
【0003】
このような誘導方式では、誘導飛翔体の発射から目標への衝突までの間、目標上に狭ビーム幅のレーザ光のビームスポットが継続的に形成される必要があり、例えば、レーザ光を出射する光学系と照準の光学系とが実質的に同軸でなるレーザ照射器によりレーザ照射手が目標を追跡してレーザ光を終始安定的に目標に照射する照準操作を実現できることが重要である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のレーザセミアクティブ誘導方式においては、誘導飛翔体の発射から目標へ命中するまでの間、レーザ照射側においてビームスポットを常時高精度に目標に照射してビームスポットを形成するために、レーザ光の追跡照射を照準し続ける必要がある。このためにレーザ照射側の熟練を要する人的操作等による高度且つ高精度の照準を実現する必要があるという点で問題がある。
【0005】
(目的)
本発明の目的は、照準側のレーザ照射負担を軽減し、命中精度の向上をも可能としたレーザセミアクティブ誘導方式を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、構成の簡略化が可能でレーザ照射負担の少ないレーザセミアクティブ誘導方式のレーザ照射器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のレーザセミアクティブ誘導方法は、レーザ照射器から目標に照射したレーザ光に基づくレーザ反射光を受光して追尾する誘導飛翔体のレーザセミアクティブ誘導方法において、前記レーザ照射器は、レーザ光のビーム幅を誘導飛翔体の発射後の初中期誘導では狭ビーム幅とし、終末誘導では広ビーム幅に可変し、前記誘導飛翔体は、発射後の前記初中期誘導では前記狭ビーム幅による目標のレーザスポットを追尾し、前記終末誘導では前記広ビーム幅による目標の画像データに基づき命中点を算出して追尾することを特徴とする。前記レーザ照射器は、目標の測距を行い、前記測距結果、前記誘導飛翔体との位置関係及び誘導飛翔体の飛翔速度により、前記誘導飛翔体の発射後の狭ビーム幅から広ビーム幅へ可変する時間情報を算出し、誘導飛翔体の発射情報と前記時間情報とによりレーザ光を狭ビーム幅から広ビーム幅に可変することを特徴とする。
【0008】
また、本発明のレーザセミアクティブ誘導方式は、レーザ照射器から目標に照射したレーザ光に基づくレーザ反射光を受光して追尾する誘導飛翔体のレーザセミアクティブ誘導方式において、前記レーザ照射器は、ビーム幅が可変のレーザ光を出力する送光光学系と、前記送光光学系のビーム幅を前記誘導飛翔体の発射後の所定時間までは狭ビーム幅に、前記所定時間後は広ビーム幅に制御するビーム幅切替制御部とを備え、前記誘導飛翔体は、前記狭ビーム幅による目標の前記レーザスポットを追尾するとともに、前記広ビーム幅による目標の画像データから命中点を算出して追尾する誘導装置を備えることを特徴とする。前記レーザ照射器は、目標に対する測距を行う測距部を備え、前記ビーム幅切替制御部は、前記測距部による測距結果、前記誘導飛翔体との位置関係及び誘導飛翔体の飛翔速度により、前記誘導飛翔体の発射後の前記所定時間の情報を算出して記憶し、誘導飛翔体の発射情報により切替タイミングの情報を出力して前記送光光学系を制御することを特徴とする。
【0009】
本発明のレーザ照射器は、目標に照射したレーザ光に基づくレーザ反射光を受光し、狭ビーム幅のレーザ光のレーザスポットを追尾するとともに、広ビーム幅による目標の画像データから命中点を算出して追尾する誘導装置を搭載する誘導飛翔体を誘導するレーザセミアクティブ誘導用のレーザ照射器であって、ビーム幅が可変のレーザ光を出力する送光光学系と、前記送光光学系のビーム幅を前記誘導飛翔体の発射後の所定時間までは狭ビーム幅に、前記所定時間後は広ビーム幅に制御するビーム幅切替制御部とを備えることを特徴とする。
【0010】
(作用)
従来方式ではレーザ照射側は誘導飛翔体の誘導状態にかかわらず一定の狭ビーム幅のビームを照射し続けるもので、命中点は全誘導過程を通して照準位置により決定されるものであったが、本発明では終末誘導状態においてビーム広がり角を可変し、誘導飛翔体側で画像追尾を採用することにより、誘導飛翔体自身で目標の命中点の特定を可能としており、終末誘導時の照準性能が緩和されるので、命中精度が向上するとともに、照準側の負担が軽減される。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明のセミアクティブ誘導方式の一実施の形態について図面を参照して以下説明する。
【0012】
(構成の説明)
図1は、本実施の形態のセミアクティブ誘導方式の運用を示す概念図である。
図1に示すように、本実施の形態のセミアクティブ誘導方式のシステム構成は、目標2に対するミサイル1と、目標2に対してレーザ光を照射するレーザ照射器3とから構成される。レーザ照射器3は目標2に対してレーザ光を照射し、ミサイル1は自機を目標に向けて誘導する誘導装置を備え、目標に照射されたレーザ光の反射光(レーザ反射光)を受光し、当該レーザ反射光の画像処理を行い自律的に目標2を追尾して衝突する。以上によりレーザ照射器3はミサイル1を目標2に命中させ破壊するように誘導する。
【0013】
本実施の形態では、レーザ光照射器3はミサイル1の発射後の初期又は中期の誘導(「初中期誘導」という。)において、目標2に照射するレーザ光のビーム幅が狭く、また、ミサイル1が目標2に近づいた終末期の誘導(「終末誘導」という。)においてはレーザ光のビーム幅が広くなるように可変制御を行う。
【0014】
図2はレーザ照射器3の構成例を示す図である。レーザ光を発生するレーザ発振部4、レーザ発振部4からのレーザ光を受けてビームを成形する送光光学系5、目標2付近までの距離又はレーザ光の往復時間を測定し測距データを出力する測距部6、測距データ、目標2、レーザ照射器3とミサイル1の位置関係の情報及びミサイル1側からの発射タイミング等の発射情報を受けて送光光学系5のビーム幅を切り替える切換タイミングの情報を発生するビーム幅切替制御部7から構成される。
【0015】
図3はミサイル1に搭載される誘導装置の構成例を示す図である。レーザ光を透過するドーム14、透過したレーザ光を集光する光学部15、レーザ光の波長のみを透過させる干渉フィルタ16、集光されたレーザ光を検出する2次元アレイセンサ(2次元センサ)17、2次元センサ17の信号を増幅するプリアンプ部18、プリアンプ部18の出力を一定期間ホールドするホールド部19、光学部15と干渉フィルタ16、2次元センサ17、プリアンプ部18及びホールド部19を空間安定させるためのジンバル機構部20、ホールド部19の出力を切り替えて出力する画素切替制御部21、画素切替制御部21からのホールド部19の切り替え出力により位置情報を処理し誘導信号を生成する信号処理部22、信号処理部22から出力される誘導信号を受けてジンバル機構部20を駆動するジンバル駆動部23により構成される。
【0016】
(動作の説明)
本実施の形態のレーザ照射器3及びミサイル1の誘導装置の機能及び動作を図1〜図3を参照して説明する。
【0017】
最初に、図2に示すレーザ照射器3について各部の機能を説明する。
測距部6は、目標2に対しレーザ光を照射し、目標からのレーザ反射光を受光して、その時間差(位相差)を検出し、目標2付近までの距離等を測定し測距データを出力する。送光光学系5は、ミサイル1を目標に誘導するためにレーザ発振部4が出力するレーザ光を目標2に対し照射するとともに、そのレーザ光のビーム幅をビーム幅切替制御部17からの切替タイミングの情報により可変する制御が可能である。
【0018】
ビーム幅切替制御部7は、測距部6から入力した測距データとミサイル1とレーザ照射器3との位置関係の情報、ミサイル1の想定される飛翔速度とから目標までの飛翔時間を算出し、ミサイル1に搭載されている誘導装置の前記飛翔時間における視野範囲とから、ミサイル1の発射情報(発射タイミング)以降の飛翔中において前記レーザ光のビーム幅を拡大するタイミングであるビームの切換タイミングの情報を算出し、ビーム幅切替制御部7内のメモリに記憶する演算及びメモリ機能と、ミサイルの発射情報により、前記メモリの情報を参照して記憶されている切替タイミングの情報を読み出し送光光学系5に出力し、ミサイル発射以降の所定タイミングで送光光学系5のレーザ光のビーム幅を拡大する制御を行う機能を有する。
【0019】
次に、図3に示すミサイルの誘導装置について各部の機能を説明する。
ミサイル1の誘導装置においては、目標2からのレーザ反射光はドーム14を介して光学系15で集光され、干渉フィルタ16によりレーザ光のみが透過し背景光の影響が除去され、2次元センサ17上に結像する。2次元センサ17の各画素の信号に対しプリアンプ部18が設けられており、センサ出力信号はプリアンプ部18により増幅される。増幅された各信号は2次元センサ17の全画素分を全て読み出す時間だけ信号の強度の値をホールドするホールド部19に入力される。ホールド部19の各出力は信号処理部22からの切替信号により画素切替制御部21で切り替えられて、信号処理部22に入力され、信号処理部22は2次元センサの画素データから命中点となるレーザスポット又は目標の形状の画像データを検出し命中点を算出して誘導飛翔体の誘導信号を出力する。
【0020】
図4、図5は、2次元センサ17又はホールド部19における画像データ(レーザ反射強度分布)を示す図である。誘導装置の視野範囲に相当する画素データであり、図4に示す画素データでは、目標2上のビーム幅の狭いレーザ光の照射によりレーザスポットとして追尾点の位置に高輝度データが現れており、図5に示す画素データでは、ビーム幅の広いレーザ光の照射により、目標全体の形状の高輝度データが現れている。
【0021】
信号処理部22は、ミサイルが発射されて間のない初中期誘導と、レーザ光のビーム幅が拡大された後の終末誘導とでは処理及び制御の内容が異なる。つまり、
信号処理部22の初中期誘導では、前記画像データを入力し、図4に示す目標2上のレーザスポットの位置(i,j)の情報を命中点の2次元データとして検出し、2次元データの中心位置と前記データとの角度差から機体を目標方向に向けるように制御する制御信号である誘導信号を生成する。又は前記角度の変化率を求めて比例航法を行う制御信号としての誘導信号を生成する。何れかの前記誘導信号によりジンバル駆動部23及びジンバル機構部20を介して空間安定を行い、また、誘導飛翔体を制御し目標を追尾する。
【0022】
信号処理部22の終末誘導では、前記画像データを入力し、図5に示すレーザ反射光の2次元画像により画像処理を行い、同図に示すように目標の形状を認識し、命中点の位置(i’,j’)を決め、当該命中点に対する前述の誘導信号を生成する。なお、前記誘導信号は同様にジンバル駆動部23及びジンバル機構部20を介して空間安定を行い、また、目標を追尾する。
【0023】
次に、本実施の形態による目標2に対するレーザ照射器3及びミサイル1の制御の動作について説明する。
まず、レーザ照射器3は、測距部6により目標2付近までの距離を測定し測距データを出力し、ビーム幅切替制御部7は、前記測距データ、目標及び誘導飛翔体との位置関係、ミサイル1の想定される飛翔速度から目標までの飛翔時間を算出し、ミサイル1に搭載されている誘導装置の前記飛翔時間における視野範囲とから、ミサイル1の発射以降の飛翔中のビーム幅の切換タイミングの情報を算出しビーム幅切替制御部7内のメモリに記憶する。
【0024】
次に、レーザ照射器3は、送光光学系5により目標2に対して狭ビーム幅のレーザ光を照射し、ミサイル1を発射する。ミサイル1の発射情報は、レーザ照射器3のビーム幅切替制御部7に入力され、ビーム幅切替制御部7はメモリに記憶した情報を参照して所定の経過時間後のビーム幅を拡大するタイミングになると、切替タイミングの信号を送光光学系5に出力し、送光光学系5はレーザ光のビーム幅を拡大する。
【0025】
ミサイル1の誘導装置は、信号処理部22において画像データがスポット形状から目標の形状等の画像形状への切り替わる変化を検出し、切り替わった画像形状から所定の命中点を算出し、当該命中点を追尾する誘導信号を出力して、引き続きジンバル駆動部23を介してジンバル機構部20を制御し、また機体を当該命中点に誘導する。
【0026】
(他の実施の形態)
以上の実施の形態ではビーム切替のビーム幅について、狭ビーム幅の第1段階と広ビーム幅の第2段階の2段階切替とした例を説明したが、ビーム幅の制御は3段階以上の多段あるいは連続的に変えることでも実現可能である。例えば、3段階切替とする場合は、ミサイルの発射の初期誘導では第1段階として狭ビーム幅とし、第2段階で中ビーム幅とし、第3段階で目標の輪郭全体の画像データが取得可能に所定の広ビーム幅とするように、2次元センサで検出可能な視野範囲において目標との接近距離に応じて切り換え、ミサイルの誘導装置では、ビーム幅の切替による画像データの拡大を検出して、その都度、命中点の算出を行って2次元画像による画像追尾を行うように構成する。また、連続的に切り換える場合には、2次元画像の広がり度合いに応じた1乃至複数の閾値を設けて、当該閾値以上の画像の広がり時に前記命中点の算出と追尾を行うように構成する。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、レーザセミアクティブ誘導方式において、初期、中期誘導では狭ビーム幅のレーザ光の照射によるピンポイントの追尾を行い、終末誘導状態ではレーザ照射器のビーム広がり角を可変し、誘導飛翔体でのレーザ反射光の2次元画像による画像追尾を行うことで、誘導飛翔体自身による目標に対する命中点の特定を行うことにより命中精度を向上させることが可能となる。
【0028】
さらに本発明によれば、レーザ照射側が終末誘導時でも命中点付近を照準し続ける必要がないので、命中精度を向上させることができるとともに、終末誘導時の照準性能が緩和され照準側への負担が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレーザセミアクティブ誘導方式の実施の形態を示す概念図である。
【図2】本実施の形態のレーザ照射器の構成例を示す図である。
【図3】本実施の形態の誘導装置の構成例を示す図である。
【図4】初中期誘導制御時の2次元センサの画像データの例を示す図である。
【図5】終末誘導制御時の2次元センサの画像データの例を示す図である
【符号の説明】
1 ミサイル
2 目標
3 レーザ照射器
4 レーザ発振部
5 送光光学系
6 測距部
7 ビーム幅切替制御部
17 2次元センサ
19 ホールド部
20 ジンバル機構部
21 画素切替制御部
22 信号処理部
23 ジンバル駆動部
Claims (5)
- レーザ照射器から目標に照射したレーザ光に基づくレーザ反射光を受光して追尾する誘導飛翔体のレーザセミアクティブ誘導方法において、
前記レーザ照射器は、レーザ光のビーム幅を誘導飛翔体の発射後の初中期誘導では狭ビーム幅とし、終末誘導では広ビーム幅に可変し、前記誘導飛翔体は、発射後の前記初中期誘導では前記狭ビーム幅による目標のレーザスポットを追尾し、前記終末誘導では前記広ビーム幅による目標の画像データに基づき命中点を算出して追尾することを特徴とするレーザセミアクティブ誘導方法。 - 前記レーザ照射器は、目標の測距を行い、前記測距結果、前記誘導飛翔体との位置関係及び誘導飛翔体の飛翔速度により、前記誘導飛翔体の発射後の狭ビーム幅から広ビーム幅へ可変する時間情報を算出し、誘導飛翔体の発射情報と前記時間情報とによりレーザ光を狭ビーム幅から広ビーム幅に可変することを特徴とする請求項1記載のレーザセミアクティブ誘導方法。
- レーザ照射器から目標に照射したレーザ光に基づくレーザ反射光を受光して追尾する誘導飛翔体のレーザセミアクティブ誘導方式において、
前記レーザ照射器は、ビーム幅が可変のレーザ光を出力する送光光学系と、前記送光光学系のビーム幅を前記誘導飛翔体の発射後の所定時間までは狭ビーム幅に、前記所定時間後は広ビーム幅に制御するビーム幅切替制御部とを備え、前記誘導飛翔体は、前記狭ビーム幅による目標の前記レーザスポットを追尾するとともに、前記広ビーム幅による目標の画像データから命中点を算出して追尾する誘導装置を備えることを特徴とするレーザセミアクティブ誘導方式。 - 前記レーザ照射器は、目標に対する測距を行う測距部を備え、前記ビーム幅切替制御部は、前記測距部による測距結果、前記誘導飛翔体との位置関係及び誘導飛翔体の飛翔速度により、前記誘導飛翔体の発射後の前記所定時間の情報を算出して記憶し、誘導飛翔体の発射情報により切替タイミングの情報を出力して前記送光光学系を制御することを特徴とする請求項3記載のレーザセミアクティブ誘導方式。
- 前記誘導装置は、ジンバル機構部と、前記ジンバル機構部に搭載されレーザ光を受光する2次元センサと、前記2次元センサの画素情報からレーザスポットと目標の画像データとを判別し、狭ビーム幅のレーザ光による前記レーザスポットを追尾するとともに、広ビーム幅のレーザ光による目標の画像データから命中点を算出して追尾する誘導信号を出力する信号処理部と、前記誘導信号により前記レーザスポット又は前記命中点を追尾するように前記ジンバル機構部を制御するジンバル駆動部とを有することを特徴とする請求項3又は4記載のレーザセミアクティブ誘導方式。
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