JP3624764B2 - 速度パターンの圧縮方法,速度パターンの展開方法,速度パターンの圧縮及び展開方法、及び速度パターン制御式自動列車制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、列車を制御するための速度パターンの圧縮方法に関する。特に、速度パターンを用いて列車を制御するパターン制御式自動列車制御装置に用いられる速度パターンの圧縮方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ICカードなどの記憶媒体に記憶された、位置,速度の点列からなる速度パターンをよみだし、列車の現在位置,現在速度とパターン内の位置,速度を比較して制御を行うパターン制御式自動列車制御装置が特開平7−132832 号に記載されている。
【0003】
パターン制御式自動列車制御装置では、現在位置におけるパターン内の速度と現在速度を比較し、現在速度のほうが高い場合にブレーキを出力することで列車の安全を確保するものである。
【0004】
特開平7−132832 号によるパターン制御式自動列車制御装置の従来の構成例を図9に示す。図9に示すように、列車1には、パターン制御式自動列車制御装置2,受信装置5,速度位置検知装置6,ブレーキ7が備えられている。
【0005】
パターン制御式自動列車制御装置2内のパターン保持装置3には、予め列車が停止すべき位置毎に(線路上にたとえば1000箇所程度存在する)計算された停止用の速度パターンデータ10が保持されている。
【0006】
パターン制御式自動列車制御装置2内は、地上装置からの信号を受信する受信装置5の出力(どこまでに停止しなければならないか)を取り込み、列車をその位置までに停止させるパターンを、予め保持しているパターンの中からとりだすパターン保持装置3と、パターン保持装置3がとりだしたパターンと、速度位置検知装置6からの現在速度,現在位置を用い、列車の位置,速度がパターンを超えた場合にブレーキ7を動作させるパターン照査装置4が備えられている。
【0007】
このように、パターン制御式自動列車制御装置では、パターンを利用するが、従来技術では、精度を高めるために、十分細かい一定の刻み幅で点列を作成していた。このため、作成された速度パターンデータが膨大になっていた。たとえば、10mの位置刻みで、10km分のパターンの点の数は、1000点となる。パターンは、停止すべき位置毎に用意しなければならないため、すべてのパターンをパターン保持装置3で格納する場合、パターンデータ全体が非常に大きくなってしまう。
【0008】
このパターンデータ量が膨大となる点を解決するために、一旦作成した速度パターンデータを間引きし、実際に速度パターンデータを利用する際には、予め定めた関数を用いて間引きされた点間を補間することにより、データ量を削減する方法が特開平7−327302 号「自動列車運転システム」に開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記特開平7−327302 号に開示された方法を用いると、2点間の速度を求めるために関数を用いた補間演算を行う必要があるため、処理が複雑になる。さらに、処理が複雑になるために、誤った演算となる可能性が高いにも関わらず、その防護策がなされていない。
【0010】
本発明は、この問題に鑑み、速度パターンデータを間引きするのではなく、速度パターン内の点の数を保持したまま圧縮することで、速度パターンデータ量を削減する方法を提供することを目的としている。
【0011】
さらに、圧縮・展開を行ったデータの正当性をチェックする方法を提供することを目的としている。
【0012】
さらに、本発明では、このパターン圧縮方式を利用して少ないメモリ使用量の自動列車制御装置を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上記課題を解決するために、インデックスデータと減速距離データ及びその減速距離データを定める速度データとの対応関係を規定する第1のテーブルから、距離データに対する速度データのパターンを規定した第2のテーブルにおける速度データと一致する速度データ又は最も近い速度データを検索するステップと、検索する速度データに対応するインデックスデータを割り当てるステップと、を実行する。本発明によれば、速度パターンと比べて著しく情報量の少ないデータで速度パターンを管理することができます。
【0014】
また、本発明の別の構成としては、圧縮したインデックスデータに対応する第1のテーブルにおける減速距離データを検出するステップと、検出する減速距離データを出力するステップと、を実行することが考えられる。本発明によれば、インデックスデータから圧縮していた速度データを含む第2のテーブルを容易に展開し、参照することができます。
【0015】
さらに、本発明の別の構成としては、速度パターンの圧縮方法によって出力されたインデックスデータに基づいて、第1のテーブルにおける減速距離データ検出する手段と、前記検索する減速距離データを出力する手段と、前記出力する速度データと列車の現在の速度データとを比較し、現在速度のほうが高い場合にブレーキをかける手段と、を備えさせる。このように、本発明の速度パターンの圧縮及び展開を行うことにより、少ないメモリで効率よく、かつ、処理が簡易な自動列車制御装置を実現することができる。
【0016】
また、本発明の他の構成としては、速度パターンの圧縮及び展開する方法であって、圧縮前のデータに対するチェックコードを圧縮データに付加し、圧縮パターンを展開した後に、付加されたチェックコードを用いて展開後のデータの正当性をチェックする構成がある。これにより、データ化けや処理の間違いにより誤った制御を行うことを防止することができる。
【0017】
さらに、他の構成としては、速度パターンを圧縮する手段と、圧縮前の速度パターンに対するチェックコードを、圧縮したデータに付加する手段と、圧縮したデータを速度パターンに展開する手段と、付加されたチェックコードを用いて展開後のデータの正当性をチェックする手段と、正当性を確認した場合に展開した速度データと列車の現在の速度データとを比較し、現在速度のほうが早い場合にブレーキをかける手段とを備えさせる。これにより、データ化や処理の間違いにより、誤った列車の制御を防止することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例は、パターン制御式自動列車制御システムである。
【0019】
本発明の実施例の構成を図1に示す。
【0020】
列車1には、パターン制御式自動列車制御装置2,受信装置5,速度位置検知装置6,ブレーキ7が備えられている。
【0021】
さらに、本発明では、図1のパターン制御式自動列車制御システムは、図9の従来のパターン制御式自動列車制御システムと比較して、パターン圧縮装置8,パターン展開装置9が加えられている点が新規な点である。
【0022】
図1において、速度パターン圧縮装置8内には、速度,減速度により定まる減速距離を格納した減速距離テーブル301(図3)が格納されており、与えられた速度パターンを、圧縮する。速度パターン圧縮装置8により作成された圧縮速度パターンデータは、パターン制御式自動列車制御装置2内の速度パターン保持装置3に格納される。
【0023】
パターン制御式自動列車制御装置2内には、地上装置からの信号を受信する受信装置5の出力(どこまでに停止しなければならないか)を取り込み、列車をその位置までに停止させるパターンを、予め保持している圧縮パターンの中からとりだすパターン保持装置3と、パターン保持装置3がとりだした圧縮パターンを展開するパターン展開装置9,パターン展開装置9により展開されたパターンと、速度位置検知装置6からの現在速度,現在位置を用い、列車の位置,速度がパターンを超えた場合にブレーキ7を動作させるパターン照査装置4が備えられている。
【0024】
以下では、図2〜図7を用いて、本発明のポイントである、速度パターン圧縮装置8におけるパターン圧縮処理と、パターン展開装置9におけるパターン展開処理について詳細な説明を行う。
【0025】
まず、パターン圧縮処理について説明する。ここでは、従来方式により、距離−速度平面上にパターンの点列が作成されているものとする。パターンの点列は、図2に示すように、5km/h刻みで作成されているものとする。パターンの点列のデータは、図2のパターンデータ201に示すように、点毎に、位置と速度の値が格納されている。位置をm単位で4バイトで、速度をkm/h単位で同じく4バイトで表現すると、1点あたり8バイトとなる。速度0km/hから135km/hまで28点を表現すると、28×8=226バイトのメモリが必要となる。停止すべき位置が1000あるとすると、全データは、226kバイトとなる。
【0026】
これを、図3に示す速度・減速度毎の減速距離テーブル301を参照して、圧縮する。本実施例では、減速距離テーブルとして、5km/h単位の速度毎に、ブレーキによる減速度が勾配により変化する場合の減速距離を保持するテーブルを用いている。これは、次の理由による。
【0027】
列車のブレーキ減速度は、一般に速度依存性があり、図4のような特性を持っている。図4の特性では、列車速度が0[km/h]からV0[km/h]までは減速度はβ0[km/h/秒]一定であり、列車速度がV0[km/h]を越えると、速度に比例して減速度が減少し、速度Vmax[km/h] において減速度はβ1[km/h/秒]まで減少する。
【0028】
図4の減速度は、平坦線における減速度であり、当然のことながら、上り勾配では減速度が高くなり、下り勾配では減速度が低くなる。よって、図4の特性に、勾配の影響を加味すると、図5のような曲線群が得られる。
【0029】
図3のテーブルは、この曲線群を、5km/h刻みにテーブル化したものであり、テーブルの大きさを小さくしつつ精度の高いテーブル化が可能な形としている。
【0030】
次に、図3の減速距離テーブルを用いて、パターンを圧縮する処理について説明する。圧縮処理のフローを図6に示す。
【0031】
圧縮処理では、まず、圧縮対象のパターンを取り出す(ステップ601)。本実施例では、パターンとして、図2に示すパターンデータ201を例としてとりあげる。パターンを取り出すと、パターンの原点を圧縮パターンの先頭に格納する(ステップ602)。次に、パターンの原点を基準点にセットする(ステップ603)。以降、パターンの終点に到達するまで以下の処理を繰り返す(ステップ604)。
【0032】
基準点と次の点との間の距離を取り出し、減速距離テーブルの中で、基準点と次の点の速度帯に対応する列を検索し、基準点と次の点との間の距離以上となる最も近い減速距離を選び、その行のインデックスを保存する(ステップ605)。ステップ605で求めた減速距離を基準点に加えた位置と次の点の速度を新しい基準点として(ステップ606)、ステップ604へもどる。
【0033】
パターンの終端に到達した場合、最後に、元のパターンデータに対するチェックコードとして、元のパターンデータのCRCコード(巡回冗長符号)を計算して付加しておく(ステップ607)。
【0034】
以上の処理により、たとえば、図2のパターンデータは、図7の圧縮データ
701に変換される。圧縮データ701は、原点の位置,速度は、絶対値を指定するが、以降は、直前の点からの距離を、減速距理テーブル301のインデックスで表現している。図7の例では、原点から点1までの距離は、速度0[km/h]から5[km/h]の欄のインデックス1の位置における減速距離であることを示している。以降、同様に、点1と点2の間の距離は、速度5[km/h]から10[km/h]の欄のインデックス2の位置における減速距離となる。
【0035】
このような圧縮表現を用いることで、元のパターンデータ(図2)において、位置を4バイト、速度を4バイトで表現していたとすると、0km/hから135km/hまでのデータ量は、28点で228バイトであったものが、図7の圧縮データでは、原点の位置・速度で8バイト、以降の27点は、各1バイトで表現でき、35バイトに圧縮できる。CRCコード2バイトを付加しても37バイトである。停止すべき位置が1000個あるとすると、合計37kバイトとなり、17%弱にまで圧縮することができる。
【0036】
さらに、同じインデックスが連続する場合、いくつ連続するかを示すデータを挿入することにより、さらに圧縮効果を高めることができる。
【0037】
次に、パターン展開装置9におけるパターン展開処理について説明する。パターン展開処理のフローを図8に示す。
【0038】
パターン展開処理では、まず、圧縮パターンを取り込む(ステップ801)。次に、原点データを取り出す(ステップ802)。この原点データを基準点とする(ステップ803)。以降、データが無くなるまで以下の処理を繰り返す(ステップ804)。
【0039】
パターンは固定速度刻み(この例では5km/h刻み)であるから、基準点の速度に5km/hを加えた値が次の速度となる(ステップ805)。データを参照し、データに記載してあるインデックスと、基準点の速度と次の点の速度の速度帯を用いて減速距離テーブルを参照し、減速距離をし、取り出した減速距離を、基準点の位置に加え、次の点の位置とする(ステップ806)。次の点を基準点とし(ステップ807)、ステップ804へ戻る。
【0040】
すべての点の処理を終了すると、データの最後に付加されているCRCコードを用いて展開後のデータが正しいものであるかをチェックする(ステップ808)。チェックにより正しいことが検証されたら、正常終了する。チェックによりデータが正常でないと判断された場合、エラーとして終了する。このチェックにより、データ化けなどが発生した場合にも、間違ったデータによる誤った制御を行うことを防止できる。
【0041】
以上の処理により、図8の圧縮データを、図2のパターンデータに展開できる。展開後のパターンデータは、パターン照査装置4に渡され、従来のパターン制御式自動列車制御装置と同じ論理で照査が行われる。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、効率のよいパターン圧縮・展開が可能となる。従って、使用するメモリ量が削減でき、パターンをパターン制御式自動列車制御装置内に保持することが可能となる。さらに、圧縮前のデータに対するチェックコードを付加しておくことで、展開後にデータの正当性をチェックすることができ、制御の安全性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施例における圧縮前のパターンデータを示す図である。
【図3】本発明の実施例における減速距離テーブルを示す図である。
【図4】列車のブレーキ減速度の速度依存性を示す図である。
【図5】列車のブレーキ減速度が勾配により変化する様子を示す図である。
【図6】本発明の実施例におけるパターン圧縮装置の処理フローを示す図である。
【図7】本発明の実施例におけるパターンの圧縮結果を示す図である。
【図8】本発明の実施例におけるパターン展開装置の処理フローを示す図である。
【図9】パターン制御式自動列車制御装置の構成図である。
【符号の説明】
1…列車、2…パターン制御式自動列車制御装置、3…パターン保持装置、4…パターン照査装置、5…受信装置、6…速度位置検知装置、7…ブレーキ、8…パターン圧縮装置、9…パターン展開装置、10…パターンデータ、201…圧縮前のパターンデータ、301…減速距離テーブル、701…圧縮後データ。
Claims (3)
- インディックスデータと減速距離データ及びその減速距離データを定める速度データとの対応関係を規定する第1のテーブルから、距離データに対する速度パターンを規定した第2のテーブルの速度データと対応する速度データを検索するステップと、
前記検索した速度データに対応するインディックスデータを割り当てるステップと、を有する速度パターンの圧縮方法。 - 請求項1の速度パターンの圧縮方法によって出力されたインディックスデータに対応する第1のテーブルにおける減速距離データを検出するステップと、
前記検出した減速距離データを出力するステップと、
を有する速度パターンの展開方法。 - 請求項1の速度パターンの圧縮方法によって出力されたインディックスデータに対応する第1のテーブルにおける減速距離データを検出する手段と、
前記検出した減速距離データを出力する手段と、
前記出力する速度データと、列車の現在の速度データとを比較し、現在の速度のほうが速い場合にブレーキをかける手段と、
を有するパターン制御式自動列車制御装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP33546999A JP3624764B2 (ja) | 1999-11-26 | 1999-11-26 | 速度パターンの圧縮方法,速度パターンの展開方法,速度パターンの圧縮及び展開方法、及び速度パターン制御式自動列車制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP33546999A JP3624764B2 (ja) | 1999-11-26 | 1999-11-26 | 速度パターンの圧縮方法,速度パターンの展開方法,速度パターンの圧縮及び展開方法、及び速度パターン制御式自動列車制御装置 |
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ID=18288920
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP33546999A Expired - Lifetime JP3624764B2 (ja) | 1999-11-26 | 1999-11-26 | 速度パターンの圧縮方法,速度パターンの展開方法,速度パターンの圧縮及び展開方法、及び速度パターン制御式自動列車制御装置 |
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