JP3624734B2 - 車両挙動制御装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両挙動が安定するように制動力を発生するようにした車両挙動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の車両挙動制御装置としては種々のものが提案されており、これは、ヨーレートや横滑り角又は横滑り速度等の車両挙動の目標値を車両モデルに基づいて算出し、一方で車両に発生するヨーレートや横滑り角又は横滑り速度等の車両挙動の実際値を検出し、両者の偏差に応じて、例えば車両挙動の実際値を目標値に一致させるような力を得るために、各車輪の制動力、すなわち制動用シリンダへの制動流体圧を制御する。そして、このような車両挙動制御装置によれば、例えば車両が極端なオーバステアやアンダステア等のようなタイヤのグリップの限界を越えた旋回状態になった場合に、例えば前記ヨーレートの実際値が目標値に近づくように、各車輪の制動力制御によってモーメントを発生させ、結果的に車両を常にタイヤのグリップ領域にて走行させることが可能となると共に、極端なオーバステアやアンダステア等のような好ましからざる旋回挙動を抑制防止することができるのである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような車両挙動制御を行う場合の各車輪の制動用シリンダは、例えば通常の前後配管による二系統出力マスタシリンダへ接続し、それぞれの系統にマスタシリンダ又は増圧用ポンプ等を圧力源として接続する等し、これら制動流体圧力源と制動用シリンダとの間に、車両挙動制御用の液圧制御ユニット設け、制動流体圧力源の制動流体圧を液圧制御ユニットで増減圧制御することによって、制動用シリンダで発生する制動力を制御するようになっている。
【0004】
また高い制御応答性が要求されることから、例えば、増圧用ポンプの初期昇圧応答性を向上させるために、所定圧を発生させ、この所定圧又はマスタシリンダ圧のうちの何れか大きい方をプリチャージピストンで選択して前記増圧用ポンプの吸入側に作用させる制御ユニットを設け、増圧用ポンプを駆動するときに予めマスタシリンダ圧又は所定圧を、増圧用ポンプの吸入側に作用させることによって、制動力発生の応答性を高めるようにした車両挙動制御装置も提案されている。
【0005】
ところで、車両挙動制御による制動流体圧の増減圧制御中も、運転者の制動意志を判別するためにマスタシリンダ圧を検出する必要がある。そのためには、圧力センサをマスタシリンダよりに設けてマスタシリンダの作動油圧を検出する必要がある。しかしながら、マスタシリンダよりに圧力センサを設けた場合、圧力センサはマスタシリンダ圧が発生したとき、つまり、運転者がブレーキペダルを踏み込んだときにしか圧力を検出することができないから、このときしか圧力センサの異常を検出することができない。
【0006】
一方、フェールセーフのため、車両挙動制御のシステム全体の異常監視を行う必要があり、例えば増圧用ポンプ或いはこれを動かすためのモータ、液圧制御ユニット等の異常検出を行う必要がある。このため、車両挙動制御中に圧力が発生する場所に圧力センサを取り付け、例えばエンジン起動時等に、モータを空回りさせ、このときの圧力センサで検出した流体圧が所定値であるか、また、車両挙動制御中の流体圧が所定値であるかを検出することによって、異常検出を行う必要がある。
【0007】
このようにマスタシリンダ圧を検出するための圧力センサと、フェールセーフのための圧力センサとを設けることはコストの増加に繋がるため、一つの圧力センサをマスタシリンダ圧の検出用及びフェールセーフ用として用いる方法が望まれる。
しかしながら、マスタシリンダ圧を検出するための圧力センサは、ブレーキペダルを踏み込んだときにのみ発生するマスタシリンダ圧を検出するから、フェールセーフ用の圧力センサとして流用することはできない。一方、フェールセーフ用の圧力センサは、例えばエンジン起動時に所定圧を発生させてみること等によってシステム全体の自己診断を行うことができると共に圧力センサ自体の異常も検出することができるが、システム作動中は所定圧以下のマスタシリンダ圧を検出することはできない。
【0008】
そこで、この発明は、上記従来の問題点に着目してなされたものであり、より少ない圧力センサで、マスタシリンダ圧を検出し且つ圧力センサの自己診断を行うことの可能な車両挙動制御装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る車両挙動制御装置は、制動用シリンダ及び昇圧用ポンプ間に設けられその制動用シリンダの作動圧を制御可能な制御弁と、前記昇圧用ポンプ及び制御弁を駆動制御可能な制御手段と、前記昇圧用ポンプを起動する時に所定の予圧を生成する予圧生成手段と、当該予圧生成手段で生成した予圧とマスタシリンダ圧との何れか大きい方を前記昇圧用ポンプの吸入側に作用させる予圧付与手段と、前記予圧付与手段の吐出圧を検出可能な位置に設けた圧力センサと、運転者がブレーキ操作を行っているか否かを検出するブレーキ操作検出手段と、前記予圧生成手段が作動しているか否かを検出する予圧生成検出手段と、前記圧力センサの圧力検出値と前記ブレーキ操作検出手段及び予圧生成検出手段の検出結果とに基づいて前記マスタシリンダ圧を推定する推定手段と、を備え、前記制御手段は、前記推定手段によって推定されたマスタシリンダ圧及び車両挙動に応じた目標作動圧に基づいて前記昇圧用ポンプ及び制御弁を駆動制御するようになっていることを特徴としている。
【0010】
また、本発明の請求項2に係る車両挙動制御装置は、前記推定手段は、前記ブレーキ操作を行っていないときにはマスタシリンダ圧を零とし、前記ブレーキ操作を開始した時点で予め設定した推定圧をマスタシリンダ圧とし、前記圧力検出値が前記予圧よりも大きい予め設定した第1のしきい値よりも大きくなり且つこの状態が所定時間継続したときに前記圧力検出値をマスタシリンダ圧とするようになっていることを特徴としている。なお、前記第1のしきい値は圧力検出値が前記予圧よりも大きくなったと判定することの可能なしきい値である。
【0011】
また、本発明の請求項3に係る車両挙動制御装置は、前記第1のしきい値よりも大きい第2のしきい値を設け、前記推定手段は、前記圧力検出値が、前記第2のしきい値よりも大きくなったとき前記圧力検出値を前記マスタシリンダ圧とするようになっていることを特徴としている。なお、前記第2のしきい値は、前記圧力検出値が、圧力検出値をマスタシリンダ圧とみなすことができると判定することの可能なしきい値である。
【0012】
さらに、請求項4に係る車両挙動制御装置は、前記推定手段は、前記圧力検出値が前記第1のしきい値よりも小さくなり且つこの状態が所定時間継続したときに前記推定圧を前記マスタシリンダ圧とするようになっていることを特徴としている。
【0013】
【発明の効果】
本発明の請求項1に係る車両挙動制御装置は、予圧付与手段の吐出圧を検出可能な位置に設けた圧力センサの検出値と、運転者がブレーキ操作を行っているか否か、また予圧生成手段が作動しているか否かに基づき推定手段でマスタシリンダ圧を推定するようにいたから、一つの圧力センサによってマスタシリンダ圧を検出することができると共に、発進前に自己診断を行うことができる。特に、請求項2〜4に係る車両挙動制御装置によれば、より的確にマスタシリンダ圧を推定することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明による車両挙動制御装置の油圧系の回路図である。図中の符号1FL,1RRはそれぞれ前左輪、後右輪を示し、1FR,1RLはそれぞれ前右輪,後左輪を示している。そして、それぞれの車輪1FL〜1RRには、制動用シリンダとしてのホイールシリンダ2FL〜2RRが取り付けられている。なお、各ホイールシリンダ2FL〜2RRは、ディスクロータにパッドを取り付けて制動する、いわゆるディスクブレーキである。
【0015】
マスタシリンダ5は、ブレーキペダル4の踏み込みに応じて2系統のマスタシリンダ圧を発生する。そして、各ホイールシリンダ2FL〜2RRとの接続構造は、マスタシリンダ5の一方の系統に前左ホイールシリンダ2FLと後左ホイールシリンダ2RLとを接続し、他方の系統に前右ホイールシリンダ3FRと後右ホイールシリンダ2RRとを接続する。
【0016】
そして、まず、従来のアンチロックブレーキシステムと同様に、マスタシリンダ5のそれぞれの系統に接続されているホイールシリンダ2FL,2RL又は2FR,2RRのそれぞれの上流側に、該当する増圧制御弁8FL,8RL又は8FR,8RRを介挿する。なお、これらの増圧制御弁8FL〜8RRの上流側での制動流体圧を、便宜上、ライン圧とも記す。また、これらの増圧制御弁8FL,8RL又は8FR,8RRには、それぞれのバイパス流路に逆止弁9FL,9RL又は9FR,9RRを設けて、ブレーキペダル4の踏み込みを解除したときにホイールシリンダ2FL,2RL又は2FR,2RR内の制動流体が早急にマスタシリンダ5側に還元されるようにする。
【0017】
また、前記マスタシリンダ5のそれぞれの系統には個別の主ポンプ11LH,11RHの吐出側をそれぞれ接続し、それらの吸入側とホイールシリンダ2FL,2RL又は2FR,2RRとの間に減圧制御弁10FL,10RL又は10FR,10RRを介挿する。なお、前記二つの主ポンプ11LH,11RHは一つのポンプモータを兼用する。また、各減圧制御弁10FL,10RL又は10FR,10RRと主ポンプ11LH,11RHとの間にはリザーバ18LH,18RHを接続する。また、各リザーバ18LH,18RHと主ポンプ11LH,11RHとの間には、主ポンプ11LH,11RH側からの流出を遮断する逆止弁26LH,26RHを介挿する。
【0018】
一方、いわゆるトラクションコントロールシステムのように、運転者による制動入力がないときにも、前記マスタシリンダ5の代わりにライン圧を供給できるように、前記主ポンプ11LH,11RHの吸入側には、ゲートイン弁7LH,7RHを介してマスタシリンダリザーバ5aを接続する。なお、主ポンプ11LH,11RHと各ゲートイン弁7LH,7RHとの間には、主ポンプ11LH,11RH側からの流出を遮断する逆止弁25LH,25RHを介挿する。また、マスタシリンダリザーバ5aから吸入した制動流体で各主ポンプ11LH,11RHによって創成されたライン圧がマスタシンダ5側に還流するのを防止するために、主ポンプ11LH,11RHとマスタシリンダ5との間には逆止弁22LH,22RHを介挿し、さらに、そのバイパス回路にゲートアウト弁6LH,6RHを介挿する。
【0019】
また、各ゲートイン弁7LH,7RHとマスタシリンダリザーバ5aとの間には、当該マスタシリンダリザーバ5aの制動流体を吸入して加圧する二系統の補助ポンプ3LH,3RHと、ライン圧のマスタシリンダ5側への還流を規制して前記主ポンプ11LH,11RHの初期昇圧応答性を向上するためのプリチャージピストン20LH,20RHとを介挿し、当該プリチャージピストン20LH,20RHのピストンストローク入力として前記補助ポンプ3LH,3RHの吐出圧を用いる。そして、このプリチャージピストン20LH,20RHの吐出側と主ポンプ11LH,11RHの吐出側との間に、当該主ポンプ11LH,11RHの吐出側圧、つまり前記ライン圧を調圧するリリーフ弁21LH,21RHを介挿する。
【0020】
なお、前記補助ポンプ3LH,3RHは、前記主ポンプ11LH,11RHのポンプモータを共用する。また、これら補助ポンプ3LH,3RHの吐出圧は再び合流されており、したがって前記プリチャージピストン20LH,20RHのピストン入力である補助ポンプ3LH,3RHの吐出圧は、当該補助ポンプ3LH,3RHの吐出側と吸入側との間に介挿されているピストンストローク調整弁24とリリーフ弁23とによって調圧される。
【0021】
そして、プリチャージピストン20LH,20RHのピストン入力側の圧力、つまり補助ポンプ3LH,3RHの吐出圧がマスタシリンダ圧入力側の圧力、つまりブレーキペダル4の踏み込み量に応じた真のマスタシリンダ圧PMCよりも大きいときには、ピストンが図1において左方に移動してプリチャージピストン20LH,20RHの吐出圧は、補助ポンプ3LH,3RHの吐出圧つまり、プリチャージ圧PP/P となり、逆に、真のマスタシリンダ圧PMCが補助ポンプ3LH,3RHの吐出圧よりも大きいときには、ピストンが図1において右方に移動してプリチャージピストン20LH,20RHの吐出圧は、マスタシリンダ圧PMCとなり、つまり、プリチャージピストン20LH,20RHの吐出圧は、マスタシリンダ圧と補助ポンプ3LH,3RHの吐出圧との何れか大きい方となるようになっている。
【0022】
これらの各圧力制御弁は、後述するコントロールユニットからの駆動信号によって切り換えられる二位置電磁切換弁であり、それらはフェールセーフのために、例えばゲートアウト弁6LH,6RHは常時開、ゲートイン弁7LH,7RHは常時閉、増圧制御弁8FL,8RL又は8FR,8RRは常時開、減圧制御弁10FL,10RL又は10FR,10RRは常時閉となっており、前記駆動信号によって各電磁切換弁のソレノイドが励磁されると、逆の開閉状態に切り換わる。また、前記補助ポンプ3LH,3RHや主ポンプ11LH,11RH或いはピストンストローク調整弁24もコントロールユニットからの駆動信号によって駆動制御される。
【0023】
したがって、この制動流体圧回路では、後述する車両挙動制御を行うために制動力を制御するにあたり、各ホイールシリンダ2FL〜2RRの制動流体圧(以下、ホイールシリンダ圧とも記す。)を増圧する場合には、例えば前記ゲートアウト弁6LH,6RHが閉、ゲートイン弁7LH,7RHが開の状態で主ポンプ11LH,11RHを駆動し、その吐出圧、つまりライン圧を、前記各減圧制御弁10FL〜10RRが閉の状態で増圧制御弁8FL〜8RRを開制御して、各ホイールシリンダ2FL〜2RRに供給する。
【0024】
また、前記各ホイールシリンダ2FL〜2RRのホイールシリンダ圧増圧後に、各ホイールシリンダ圧を減圧する場合には、例えば前記ゲートアウト弁6LH,6RHが閉、ゲートイン弁7LH,7RHが閉の状態で、主ポンプ11LH,11RHを駆動し、各増圧制御弁8FL〜8RRが閉の状態で減圧制御弁10FL〜10RRを開制御して、各ホイールシリンダ2FL〜2RR内の制動流体を排出する。
【0025】
なお、各増圧制御弁8FL〜8RRや減圧制御弁10FL〜10RRの開制御については後段に説明する。また、ゲートイン弁7LH,7RHやゲートアウト弁6LH,6RHの開閉制御は、例えばそのときのライン圧を用いて行われる図示されない個別の演算処理に従うものとする。また、前記ブレーキペダル4への反力を軽減するために、ブレーキペダル4の踏み込み時には前記ゲートアウト弁6LH,6RHを開状態としてもよい。また、制動力を増加することと制動流体圧(ホイールシリンダ圧)を減圧することとは同じ意味であるから、これ以後は、両者を同義に取り扱う。
【0026】
図2は、本発明による車両挙動制御装置の制御系のブロック図を示したものであって、前記各車輪1FL〜1RRには、車輪の回転速度に相当する車輪速度Vw(i=FL〜RR)(以下、車輪速とも記す。)を検出する車輪速センサ12FL〜12RRが取り付けられている。
また、車両には、車両に発生する実ヨーレートφ′を検出するヨーレートセンサ13、ステアリングホイールの操舵角から操舵輪の舵角θを検出する操舵角センサ14、車両に発生する横加速度Y及び前後加速度Xを検出する加速度センサ15、ブレーキペダル4の踏み込みを検出し、ブレーキペダルが踏み込まれているときにON状態を示す論理値“1”、踏み込まれていないときにOFF状態を示す論理値“0”となるブレーキスイッチ信号SBRK を出力するブレーキスイッチ17等が取り付けられ、各センサやスイッチの検出信号は何れも後述するコントロールユニット19に入力される。さらに、前記プリチャージピストン20LHとゲートイン弁7LHとの間には、プリチャージピストン20LHの吐出圧を検出する圧力センサ16が設けられ、この圧力検出値ppは、コントロールユニット19に入力される。
【0027】
前記コントロールユニット19は、前述の各センサやスイッチ類からの検出信号を入力して、車両挙動制御のための前記各切換弁への制御信号を出力するマイクロコンピュータと、このマイクロコンピュータから出力される制御信号を前述したような電磁切換弁等からなる各制御弁ソレノイドへの駆動信号に変換する駆動回路とを備えている。そして、前記マイクロコンピュータはA/D変換機能等を有する入力インタフェース回路や、D/A変換機能等を有する出力インタフェース回路や、マイクロプロセッサユニットMPU等からなる演算処理装置や、ROM,RAM等からなる記憶装置を備えている。
【0028】
そして、コントロールユニット19は、前記各センサやスイッチ類からの検出信号をもとに、マスタシリンダ5のブレーキペダル4の踏み込み量に応じたマスタシリンダ圧を推定し、これを推定マスタシリンダ圧PMC とするマスタシリンダ圧推定部19aと、このマスタシリンダ圧推定部19aで推定した推定マスタシリンダ圧PMC を用いて、車両挙動制御を行う車両挙動制御部19bとを備えている。この車両挙動制御部19bは、公知の車両挙動制御装置と同様にして、前記車輪速センサ12FL〜12RRからの車輪速Vwと、ヨーレートセンサ13からの実ヨーレートφ′と、操舵角センサ14からの舵角θと、加速度センサ15からの横加速度Y及び前後加速度Xと、前記マスタシリンダ圧推定部19aで推定した推定マスタシリンダ圧PMC と、等をもとに、車両挙動を安定させるための制御ヨーモーメントを算出し、現時点の車両挙動に算出した制御ヨーモーメントを加えるために必要とする各ホイールシリンダ圧の増減圧量を算出し、この増減圧量に応じて前記各増圧制御弁8FL〜8RR、減圧制御弁10FL〜10RRを制御して、例えば旋回内輪又は外輪のホイールシリンダ圧を所定圧だけ増圧又は減圧するようになっている。
【0029】
また、車両挙動制御部19bは、必要に応じて、ピストンストローク調整弁24を閉じ、ゲートアウト弁6LH,6RHを閉じ、ゲートイン弁7LH,7RHを開いた状態で、モータを駆動して主ポンプ11LH,11RHを駆動し、さらに主ポンプ11LH,11RHの初期昇圧応答性の向上を図るために補助ポンプ3LH,3RHを駆動させて、主ポンプ11LH,11RHの吐出圧をホイールシリンダ2FL〜2RRへの制動流体圧力源として用いるようになっている。そして、補助ポンプ3LH,3RHが起動し、プリチャージピストン20LH,20RHのピストン入力側に補助ポンプ3LH,3RHの吐出圧が作用しているときには、VDC作動フラグFVDC をFVDC =1として設定し、前記ピストン入力側に補助ポンプ3LH,3RHの吐出圧が作用していないときにはFVDC =1として設定するようになっている。
【0030】
一方、前記マスタシリンダ圧推定部19aは、前記圧力センサ16からの圧力検出値pp、ブレーキスイッチ17からのブレーキスイッチ信号SBRK 、車両挙動制御部19bで設定したVDC作動フラグFVDC をもとに、マスタシリンダ圧推定処理を実行し、ブレーキペダル4の踏み込みに応じた推定マスタシリンダ圧PMC を推定する。
【0031】
図3は、マスタシリンダ圧推定部19aで実行されるマスタシリンダ圧推定処理の処理手順を示すフローチャートであって、例えば所定時間毎のタイマ割り込みとして実行される。なお、処理中の各フラグは起動時には零に設定されている。
このマスタシリンダ圧制御処理では、まず、ステップS1で、圧力センサ16の圧力検出値pp、ブレーキスイッチ17からのブレーキスイッチ信号SBRK 、車両挙動制御部19bで設定したVDC作動フラグFVDC を読み込む。
【0032】
次いで、ステップS2に移行し、VDC作動フラグFVDC が“1”であるかを判定し、FVDC =1でないとき、つまり、プリチャージピストン20LH,20RHのピストン入力側に補助ポンプ3LH,3RHの吐出圧が作用していないときにはステップS3に移行し、圧力検出値ppを推定マスタシリンダ圧PMC として設定し(PMC =pp)、処理を終了する。
【0033】
一方、ステップS2で、VDC作動フラグFVDC がFVDC =1であるとき、つまり、プリチャージピストン20LH,20RHのピストン入力側に補助ポンプ3LH,3RHの吐出圧(プリチャージ圧PP/P )が作用しているときにはステップS4に移行し、ブレーキスイッチ信号SBRK がSBRK =1であるかどうかを判定する。そして、SBRK =1でないとき、つまり、運転者がブレーキペダル4を踏み込んでいないときにはステップS5aに移行してカウンタCdnを零にリセットし、ステップS5bで推定マスタシリンダ圧PMC を零(PMC =0)とした後、処理を終了する。
【0034】
一方、ステップS4でブレーキスイッチ信号がSBRK =1であるとき、つまり、運転者がブレーキペダル4を踏み込んでいるときにはステップS6に移行し、圧力検出値ppがしきい値β以上であるかどうか(pp≧β)を判定する。
そして、ステップS6で圧力検出値ppがしきい値β以上であるとき(pp≧β)には、ステップS7に移行し、カウンタCupを、その最大値Cup−maxに設定し(Cup=Cup−max)、フラグFβをFβ=1とした後、後述のステップS21に移行する。
【0035】
一方、ステップS6で圧力検出値ppがしきい値βより小さいとき(pp<β)にはステップS8に移行し、圧力検出値ppがしきい値α以上であるかどうかを判定する。
そして、ステップS8で圧力検出値ppがしきい値α以上でないとき(pp<α)にはステップS9に移行し、フラグFαをFα=0に設定し、カウンタCupをCup=0にリセットした後、ステップS10に移行する。このステップS10では、フラグFβがFβ=1であるかどうかを判定し、Fβ=1でないときにはステップS11に移行し、カウンタCdnを、その最大値Cdn−maxに設定し(Cdn=Cdn−max)、後述のステップS21に移行する。
【0036】
前記ステップS10で、フラグFβがFβ=1であるときにはステップS12に移行し、カウンタCdnを、Cdn=Cdn+1に更新した後ステップS13に移行する。そして、カウンタCdnがその最大値Cdn−max(Cdn=Cdn−max)であるかどうかを判定しCdn=Cdn−maxであるときには、ステップS14に移行して、フラグFβをFβ=0にした後ステップS21に移行する。ステップS13で、Cdn=Cdn−maxでないときにはそのままステップS21に移行する。
【0037】
一方、前記ステップS8で、圧力検出値ppがしきい値α以上であるとき(pp≧α)にはステップS16に移行し、カウンタCdnを零にリセットし、次いでステップS17でフラグFαをFα=1に設定し、次いでステップS18でカウンタCupを、Cup=Cup+1に更新する。次いでステップS19に移行し、カウンタCupが、その最大値Cup−maxであるかどうかを判定し、Cup=Cup−maxであるときにはステップS20に移行してフラグFβをFβ=1に更新した後、ステップS21に移行する。ステップS19でCup=Cup−maxでないときにはそのままステップS21に移行する。
【0038】
このステップS21では、カウンタCdnがその最大値Cdn−maxであるか(Cdn=Cdn−max)、又は、カウンタCupが零より大きく且つその最大値Cup−maxより小さいか(0<Cup<Cup−max)を判定し、これらの何れかに該当する場合には、ステップS22に移行して予め設定した所定の推定圧pを推定マスタシリンダ圧PMC として設定(PMC =p)した後、処理を終了する。この推定圧pは、例えばプリチャージ圧PP/P の1/2程度の値に設定される。
【0039】
ステップS21で、カウンタCdnがCdn=Cdn−maxではなく、また、カウンタCupが0<Cup<Cup−maxでもないときには、そのままステップS23に移行し、カウンタCupがその最大値Cup−maxであるか(Cup=Cup−max)、又は、カウンタCdnが零より大きく且つその最大値Cdn−maxより小さいか(0<Cdn<Cdn−max)を判定する。そして、これらの何れにも該当しないときにはそのまま処理を終了し、何れかに該当するときにはステップS24に移行して圧力検出値ppを推定マスタシリンダ圧PMC として設定し(PMC =pp)、処理を終了する。
【0040】
ここで、前記しきい値αは、プリチャージピストン20LHの吐出圧がプリチャージ圧PP/P を越えたとみなすことの可能な値である。また、前記カウンタCupの最大値Cup−maxは、前記プリチャージピストン20LHの吐出圧がプリチャージ圧PP/P を越えて上昇し、圧力検出値ppをマスタシリンダ圧として設定しても可能な状態となるまでの時間tup(200msec程度)に相当する値である。前記カウンタCdnの最大値Cdn−maxは、圧力検出値ppがしきい値αを下回って減少し、プリチャージ圧PP/P を下回ったとみなすことの可能な状態となるまでの時間tdn(200msec程度)に相当する値である。これらしきい値α及びカウンタCup,Cdnは、プリチャージピストン20LHのピストン入力側には補助ポンプ3LHの吐出圧が作用するようになっているため、補助ポンプ3LHの吐出圧の変動が、プリチャージピストン20LHの吐出圧に影響することによる誤判断を回避するために設けている。
【0041】
また、前記しきい値βは、プリチャージピストン20LHの吐出圧がしきい値αを越えてから所定時間tupを経過する以前に、圧力検出値ppをマスタシリンダ圧として設定しても可能な状態となったと判断するためのしきい値である。
ここで、主ポンプ11LH,11RHが昇圧用ポンプに対応し、増圧制御弁8FL〜8RR、減圧制御弁10FL〜10RR、ゲートアウト弁6LH,6RH、ゲートイン弁7LH,7RHが、制御弁に対応し、車両挙動制御部19aが制御手段に対応し、補助ポンプ3LH,3RHが予圧生成手段に対応し、プリチャージピストン20LH,20RHが予圧付与手段に対応し、ブレーキスイッチ17がブレーキ操作検出手段に対応し、VDC作動フラグFVDC が予圧生成検出手段に対応し、マスタシリンダ圧推定部19bが推定手段に対応し、しきい値αが第1のしきい値に対応し、しきい値βが第2のしきい値に対応している。
【0042】
次に、上記実施の形態の動作を、図4に示すタイムチャートに基づいて説明する。前記車両挙動制御部19bでは、前記各種センサの検出値をもとに、車両挙動を安定させるための制御ヨーモーメントを算出し、現時点の車両挙動に、算出した制御ヨーモーメントを加えるために必要とする各ホイールシリンダ圧の増減圧量を算出し、この増減圧量に応じて前記各増圧制御弁8FL〜8RR、減圧制御弁10FL〜10RRを制御して、例えば旋回内輪又は外輪のホイールシリンダ圧を所定圧だけ増圧又は減圧しており、必要に応じて、主ポンプ11LH,11RH及び補助ポンプ3LH,3RHを駆動して主ポンプ11LH,11RHの吐出圧をホイールシリンダ2FL〜2RRへの制動流体圧力源として用い、このとき、VDC作動フラグFVDC をFVDC =1として設定するようになっている。
【0043】
そして、車両が非制動状態で安定して走行している場合には、ホイールシリンダ2FL〜2RRのホイールシリンダ圧を制御する必要はないから、車両挙動制御部19bでは、VDC作動フラグFVDC をFVDC =0として設定する。
したがって、マスタシリンダ圧推定部19aでは、マスタシリンダ圧推定処理を実行したときに、VDC作動フラグFVDC (図4(a))はFVDC =0、ブレーキスイッチ信号はSBRK =0(図4(b))であるから、ステップS1からS2を経てS3に移行し、圧力センサ16の圧力検出値ppを推定マスタシリンダ圧PMC として設定する。つまり、VDC作動フラグFVDC がFVDC =0であり、プリチャージピストン20LHのピストン入力側に補助ポンプ3LHの吐出圧が作用しておらず、また、非制動状態であるから、プリチャージピストン20LHの吐出圧、つまり、圧力センサ16の圧力検出値ppは図4(f)に破線で示すように零となり、図4(f)に一点鎖線で示す推定マスタシリンダ圧PMC は零となる。このとき、非制動状態であるから、マスタシリンダ圧5の真のマスタシリンダ圧PMCは図4(f)に実線で示すように零である。
【0044】
この状態から、車両挙動が不安定となり、時点tで、車両挙動制御部19bがVDC作動フラグをFVDC =1とし、主ポンプ11LH,11RH及び補助ポンプ3LH,3RHを駆動すると、補助ポンプ3LH,3RHの吐出圧がプリチャージピストン20LHのピストン入力側に作用するため、圧力検出値ppはプリチャージ圧PP/P 近傍の値に増加するが、真のマスタシリンダ圧PMCは零のままである。一方、マスタシリンダ圧推定処理では、VDC作動フラグがFVDC =1となると、ステップS1からS2を経てステップS4に移行し、このとき、運転者がブレーキペダル4を踏み込んでいないから、ステップS5aを経てステップS5bに移行して、推定マスタシリンダ圧PMC を零として設定する。
【0045】
そして、時点tで、運転者がブレーキペダル4を踏み込むと、真のマスタシリンダ圧PMCは上昇し、その踏み込み量に応じた真のマスタシリンダ圧PMCがプリチャージピストン20LHのマスタシリンダ圧入力側に作用するが、これが補助ポンプ3LH,3RHの吐出圧よりも小さいときには、プリチャージピストン20LHの吐出圧はプリチャージ圧PP/P となるから、圧力検出値ppはプリチャージ圧PP/P 近傍の値を維持する。
【0046】
マスタシリンダ圧推定処理では、ブレーキスイッチ信号SBRK がSBRK =1(図4(b))であることからステップS4からS6に移行し、このとき、圧力検出値ppはしきい値βよりも小さくまたしきい値αよりも小さいから、ステップS8を経てステップS9に移行し、フラグFαをFα=0、カウンタCupをCup=0に設定する。そして、フラグFβは零であるから、ステップS10からステップS11に移行し、カウンタCdnをCdn=Cdn−maxとする(図4(e))。そして、ステップS21に移行し、カウンタCdnがCdn=Cdn−maxであるから、ステップS22に移行して、例えばプリチャージ圧PP/P の1/2程度の値に設定した推定圧pを推定マスタシリンダ圧PMC として設定する。
【0047】
この状態から、さらに運転者がブレーキペダル4を踏み込むと、真のマスタシリンダ圧PMCは増加し、これがプリチャージ圧PP/P を越えると(時点t)プリチャージピストン20LH,20RHのピストンがピストン入力側に移動して、真のマスタシリンダ圧PMCが圧力センサ16で検出されるようになる。マスタシリンダ圧推定処理では、時点tで圧力検出値ppがしきい値αを越えたことを検出すると、ステップS8からステップS16に移行し、カウンタCdnを零にリセットし(図4(e))、次いでステップS17でフラグFαをFα=1(図4(c))にセットし、次いでステップS18に移行でカウンタCupをCup=Cup+1に更新する(図4(d))。そして、カウンタCupが0<Cup<Cup−maxであるから、ステップS21からステップS22に移行し、推定圧pを推定マスタシリンダ圧PMC として設定する。
【0048】
そして、時点tでカウンタCupがCup=Cup−maxとなると(図4(d))、ステップS21からS23を経てS24に移行し、圧力検出値ppを推定マスタシリンダ圧PMC として設定する。
そして、以後圧力検出値ppがしきい値α以上であるときにはこの圧力検出値ppを推定マスタシリンダ圧PMC として設定する。その後運転者がブレーキペダル4の踏み込みを解除し、ブレーキペダル4の踏み込み量が減少し始めるとこれに伴い真のマスタシリンダ圧PMCが減少するが、この真のマスタシンダ圧PMCが、補助ポンプ3LHの吐出圧よりも大きい間は、真のマスタシンダ圧PMCがプリチャージピストン20LHの吐出圧となりこれが圧力検出値ppとして検出される。そして、時点tで真のマスタシリンダ圧PMCが補助ポンプ3LHの吐出圧よりも小さくなると、補助ポンプ3LHの吐出圧つまり、プリチャージ圧PP/P がプリチャージピストン20LHの吐出圧となりこれが圧力検出値ppとして検出される。
【0049】
マスタシリンダ圧推定処理では、圧力検出値ppが減少し、時点tでしきい値αより小さくなると、ステップS8からS9に移行し、フラグFαを零(図4(c)),カウンタCupを零(図4(d))にリセットし、このとき、フラグFβは“1”に設定されているからステップS10からステップS12に移行し、カウンタCdnをCdn=Cdn+1に更新する(図4(e))。そして、カウンタCup=0、カウンタCdnは0<Cdn<Cdn−maxであるから、ステップS13,S21,S23を経てステップS24に移行し、圧力検出値ppを推定マスタシリンダ圧PMC として設定する。
【0050】
そして、圧力検出値ppがしきい値αを下回ってから所定時間tdnが経過し、時点tでカウンタCdnがCdn=Cdn−maxとなると(図4(e))、ステップS21からS22に移行して、推定圧pを推定マスタシリンダ圧PMC として設定する。
そして、時点tで運転者がブレーキペダル4の踏み込みを解除すると、ブレーキスイッチ信号はSBRK =0(図4(b))となり、真のマスタシリンダ圧PMCは略零となる。マスタシリンダ圧推定処理では、ステップS4からS5aを経てS5bに移行し、カウンタCdnを零にリセットし(図4(e))、推定マスタシリンダ圧PMC =0として設定する。
【0051】
このとき、時点tで圧力検出値ppがしきい値αを越えてから所定時間tupを経過する前に、圧力検出値ppがしきい値βを越えたとき、例えば、急制動を行った場合等には、ステップS6からステップS7に移行し、カウンタCupがCup=Cup−maxに設定されるから、ステップS21、S23を経てステップS24に移行し、この時点で圧力検出値ppを推定マスタシリンダ圧PMC として設定する。
【0052】
また、例えば、非制動状態で補助ポンプ3LH,3RHを駆動しているときに、補助ポンプ3LHの吐出圧の変動等によってプリチャージピストン20LHの吐出圧が変動したためにしきい値αを越えた場合等には、プリチャージピストン20LHの吐出圧がしきい値αを越える状態が継続することはないから、所定時間tupが経過する以前に、圧力検出値ppはしきい値αを下回り、カウンタCupは零にリセットされて、推定圧pが推定マスタシリンダ圧PMC として設定されるから、補助ポンプ3LHの吐出圧の変動等によって、実際にはマスタシリンダ圧PMCが発生していないのに、プリチャージ圧PP/P が推定マスタシリンダ圧PMC として設定されることはない。
【0053】
したがって、図4(f)に示すように、時点tまでの間、時点tから時点tの間及び時点t以後は、推定マスタシリンダ圧PMC は真のマスタシリンダ圧PMCに一致するが、時点tから時点tまでの間及び時点tから時点tまでの間は、推定マスタシリンダ圧PMC は真のマスタシリンダ圧PMCと一致しないことになる。しかしながら、制動を目的としてブレーキペダル4を踏み込んだときには、真のマスタシリンダ圧PMCは直ちにしきい値βを越えるため、そのマスタシリンダ圧PMCがプリチャージ圧PP/P 程度となる状況は非常に稀であり、また、車両挙動制御により補助ポンプ3LH,3RHを駆動する状況は、車両挙動が不安定な状態でありこのような状況で運転者がブレーキペダル4を極僅かに踏み込むような微少な制動操作を行うことは稀であるため、プリチャージピストン20LHの吐出圧がプリチャージ圧PP/P となるのは車両挙動制御による補助ポンプ3LH,RHの吐出圧が作用しているときとみなすことができる。
【0054】
そして、車両挙動制御による補助ポンプ3LH,RHの吐出圧が作用しているときとみなされる、時点tから時点tまでの間及び時点tから時点tまでの間には、推定圧pを推定マスタシリンダ圧PMC として設定するようにしているが、真のマスタシリンダ圧PMCよりも高い値に推定している場合がある。つまり、この真の値よりも高いマスタシリンダ圧に基づいて車両挙動制御を行う場合があることになるが、高いマスタシリンダ圧に基づいて制御を行った場合の方が車両挙動制御としてはより効果を得ることができ、より安定した車両挙動となるように作用する。したがって、推定マスタシリンダ圧PMC として推定圧pを設定したとしても、実際に起こり得る状況では真のマスタシリンダ圧PMCを推定マスタシリンダ圧PMC とすることができ、また、推定マスタシリンダ圧PMC として推定値pを用いる場合でも、より安全効果が高まる方向に作用するから、この推定マスタシリンダ圧PMC を用いた場合でも何ら問題はない。
【0055】
したがって、上述のように、プリチャージピストン20LHの吐出圧を検出可能な位置に設けた圧力センサ16によって、マスタシリンダ圧PMCを推定することができる。よって、この位置であれば、例えばエンジン起動時等にモータを起動して、主ポンプ11LH,11RH及び補助ポンプ3LH,3RHを駆動させることによって、プリチャージピストン20LHの吐出圧を発生させることができるから、この時点で圧力センサ16の異常検出を行うことができると共に、例えばモータ、補助ポンプ3LH,3RH、プリチャージピストン20LH,20RH等の異常検出を行うこともできる。したがって、1つの圧力センサ16を、マスタシリンダ圧検出用及びフェールセーフ用として用いることができるから、コスト削減を図ることができる。
【0056】
また、マスタシリンダ圧推定処理では、圧力検出値ppがしきい値αを越えたときには、所定時間経過tupが経過した時点で圧力検出値ppを推定マスタシリン圧PMC として設定するようにしている。よって、補助ポンプ3LH,3RHの吐出圧の変動等によってプリチャージピストン20LHの吐出圧が変動しこれにより圧力検出値ppがしきい値αを越えるような場合もあるが、この変動により真のマスタシリンダ圧PMCがしきい値αを越えたと誤判断することを防止することができる。
【0057】
また、このとき、圧力検出値ppがしきい値βを越えたとき、つまり、圧力検出値ppがこれを推定マスタシリンダ圧PMC として設定したとしても問題がないとみなすことの可能な値となったときには、その時点で圧力検出値ppを推定マスタシリンダ圧PMC として設定するようにしているから、推定マスタシリンダ圧PMC を速やかに真のマスタシリンダ圧PMCと一致させることができる。
【0058】
同様に、圧力検出値ppが減少するときには、圧力検出値ppがしきい値αを下回ってから所定時間tdnを経過した時点で、圧力検出値ppに替えて推定圧pを推定マスタシリンダ圧PMC として設定するようにしたから、プリチャージピストン20LHの吐出圧の変動による誤判断を防止することができる。
なお、上記実施の形態においては、ブレーキスイッチ信号SBRK が“1”となってから圧力検出値ppがしきい値αを越えて所定時間tupを経過するまでの間及び圧力検出値ppがしきい値αを下回ってから所定時間tdnを経過するまでの間は、推定圧pを推定マスタシリンダ圧PMC として設定するようにした場合について説明したが、これに限らず、例えば圧力検出値ppが上昇するときには、段階的に上昇させるようにしてもよく、この場合には、その最大圧がプリチャージ圧PP/P となるようにすればよい。同様に圧力検出値ppが減少するときには段階的に減少させるようにしてもよく、この場合にはその最小圧がプリチャージ圧PP/P の1/4程度となるようにすればよい。
【0059】
また、上記実施の形態においては、圧力センサ16をプリチャージピストン20LHとゲートイン弁7LHとの間に設けた場合について説明したが、プリチャージピストン20RHとゲートイン弁7RHとの間に設けるようにしてもよい。また、プリチャージピストン20LH,20RHの吐出圧を検出することの可能な位置であれば、どこに設けてもよいが、プリチャージピストン20LH,20RHよりの位置が好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における車両挙動制御装置の油圧系の一例を示す構成図である。
【図2】本発明における車両挙動制御装置の制御系の一例を示すブロック図である。
【図3】コントロールユニットでのマスタシリンダ圧推定処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の動作説明に供するタイムチャートである。
【符号の説明】
1FL〜1RR 車輪
2FL〜2RR ホイールシリンダ
3LH,3RH 補助ポンプ
4 ブレーキペダル
5 マスタシリンダ
6LH,6RH ゲートアウト弁
7LH,7RH ゲートイン弁
8FL〜8RR 増圧制御弁
10FL〜10RR 減圧制御弁
11LH,11RH 主ポンプ
12FL〜12RR 車輪速センサ
13 ヨーレートセンサ
14 舵角センサ
15 加速度センサ
16 圧力センサ
17 ブレーキスイッチ
19 コントロールユニット
19a 車両挙動制御部
19b マスタシリンダ圧推定部
20LH,20RH プリチャージピストン
24 ピストンストローク調整弁

Claims (4)

  1. 制動用シリンダ及び昇圧用ポンプ間に設けられその制動用シリンダの作動圧を制御可能な制御弁と、
    前記昇圧用ポンプ及び制御弁を駆動制御可能な制御手段と、
    前記昇圧用ポンプを起動する時に所定の予圧を生成する予圧生成手段と、
    当該予圧生成手段で生成した予圧とマスタシリンダ圧との何れか大きい方を前記昇圧用ポンプの吸入側に作用させる予圧付与手段と、
    前記予圧付与手段の吐出圧を検出可能な位置に設けた圧力センサと、
    運転者がブレーキ操作を行っているか否かを検出するブレーキ操作検出手段と、
    前記予圧生成手段が作動しているか否かを検出する予圧生成検出手段と、
    前記圧力センサの圧力検出値と前記ブレーキ操作検出手段及び予圧生成検出手段の検出結果とに基づいて前記マスタシリンダ圧を推定する推定手段と、を備え、
    前記制御手段は、前記推定手段によって推定されたマスタシリンダ圧及び車両挙動に応じた目標作動圧に基づいて前記昇圧用ポンプ及び制御弁を駆動制御するようになっていることを特徴とする車両挙動制御装置。
  2. 前記推定手段は、前記ブレーキ操作を行っていないときにはマスタシリンダ圧を零とし、前記ブレーキ操作を開始した時点で予め設定した推定圧をマスタシリンダ圧とし、前記圧力検出値が前記予圧よりも大きい予め設定した第1のしきい値よりも大きくなり且つこの状態が所定時間継続したときに前記圧力検出値をマスタシリンダ圧とするようになっていることを特徴とする請求項1記載の車両挙動制御装置。
  3. 前記第1のしきい値よりも大きい第2のしきい値を設け、前記推定手段は、前記圧力検出値が、前記第2のしきい値よりも大きくなったとき前記圧力検出値を前記マスタシリンダ圧とするようになっていることを特徴とする請求項2記載の車両挙動制御装置。
  4. 前記推定手段は、前記圧力検出値が前記第1のしきい値よりも小さくなり且つこの状態が所定時間継続したときに前記推定圧を前記マスタシリンダ圧とするようになっていることを特徴とする請求項2又は3記載の車両挙動制御装置。
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