JP3624339B2 - 視覚障害者用案内板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は目の不自由な人が手で触れることで周りの状況を把握することが出来、目的とする場所へ一人で歩いて行き易くした案内板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4は従来から使用されている視覚障害者用の案内板(一種の地図)である。この案内板には主な箇所に表面から突出して点字が形成され、視覚障害者は手で触れることで個々の場所に何が在るかを知ることは出来る。すなわち、駅、バスターミナル、デパート、病院等が何処に在るかを把握することは可能であり、現在位置を基にした上で歩くことが出来る。
【0003】
しかし、現在位置から所定の目的地までどのような道が在り、何処に信号が在り、目的の建物の入口が何処に在るかは全く分からない。健常者は案内板に表示されている地図を目で知ることが出来るが、点字により個々の存在が分かるだけであって地図全体を把握することは不可能となる。勿論、このような点字を備えた案内板であっても、十分ではないが視覚障害者にとっては大きな助けとなっていることも事実である。
【0004】
一方、このような案内板は一般に屋外に設置される場合が多く、その為に雨、風等で風化し、特に金属材で形成した従来の案内板では酸化、摩耗等により凸状化している点字は長年の間に無くなってしまい、視覚障害者用の案内板としての機能は喪失してしまう。同時に表面に着色した色彩は褪色し、健常者にとっても全く分からない案内板となってしまう。
【0005】
【本発明が解決しようとする課題】
このように従来の視覚障害者用の案内板には上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題はこれら問題点であり、所定の場所が点字表示にて分かるだけでなく、道路の状態、ビルの大きさ、信号の場所等、地図として全体を把握することが出来る案内板を提供する。しかも、長年にわたって屋外に設置しても風化することのない案内板を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の視覚障害者用案内板は一平面上に地図を描き、この地図上に点字によって所定の名称を表示するのではなく、凹凸面によって地図を形成している。凹凸化することで視覚障害者は手で触れることで道路、建物、信号、線路等を知ることが出来、周りの様子を大まかに把握することが可能となる。勿論、個々の建物や道路等の名称は点字表示がなされている。そして、材質は耐久性の高いセラミック材が適しており、すなわち長年にわたって風雨にさらされても風化しない材質が使用される。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の案内板は表面を凹凸化することで道路、建物、信号等の主要なものを立体的に表現している訳で、凹凸化の形態は特に限定はしない。例えば、道路を基準面として建物を高くし、川は道路より低くし、道路に設置している信号は小さく凸状に設けることが出来る。勿論、上記建物は実際の建物形状ではなく、敷地全体を所定の厚さの板材にて形成している。従って個々の建物の高さは関係なく、一定厚さの板材(特にセラミック板)が使用されて所定の位置に配置・固定される。
【0008】
そして個々の建物には健常者が一目で分かるように名称が記載されると共に、視覚障害者が手で触って確認することが出来るように、点字表示がなされている。この点字による表示方法は建物等が位置する箇所に直接点字表示する場合に限らず、一旦番号表示しておき、この番号に相当する名称を横に配列表示することも出来る。本発明では該表示板の風化を防止する為に、耐久性の高い材質が使用され、特に点字は小さくて摩耗し易い為にセラミック材が適している。以下、本発明に係る実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0009】
【実施例】
図1は本発明に係る視覚障害者用の案内板を表している実施例であり、JR福井駅前を表示している。福井はJRの駅前周辺を中心とした場所にビジネス街があって、県庁、市役所、西武デパート等が存在している。同図から明らかなように、この案内板は一定厚さのセラミック板を同じくセラミック材から成る基盤上に配置して構成され、これら個々のセラミック板は建物を表している。そして建物の間の空間は道路を表示している。
【0010】
例えば、郵便局の隣には農業会館、水産会館、放送会館、NTTがあり、これら各建物の間には空間があって道路となっていることが分かる。建物は一定厚さのセラミック板からなり、建物の大きさ並びに形状が一目で分かる。しかし、このセラミック板の形状は必ずしも所定の建物の形状と一致しておらず、隣の小さな建物は分離しないで1枚のセラミック板で表現しており、又敷地の一部に駐車場や広場が存在している場合であっても、これらを含めた建物形状として1枚のセラミック板が用いられている。すなわち、所定の場所へ視覚障害者が一人で行くことが出来る為の案内板である為に、主要道路をメインとして構成している。
【0011】
図2は図1におけるA−A断面拡大図であり、基盤1の上面に所定形状をしたセラミック板2a、2b、2cが載って固着されている。2aは警察本部、2bは県庁、2cは議員会館を表し、その周りには基盤1の上面3を凹状化したお堀4が形成されている。ここで該お掘り4の底は表面が粗くなっていて、触った際に表面の状態で立ち入ることが出来ない場所であることを知らしている。今、JR福井駅に居るのであれば、矢印に沿って歩くことで県庁へ行くことが出来る。そしてこの案内板を福井駅に設置しているのであれば、現在位置を示す目印10を最も高く突出して設けている。
【0012】
視覚障害者はこの案内板に手を当てて触ることで、県庁の場所を知ることが出来、同時に今居るJR福井駅の位置も分かる。同図から明らかなように、建物を表しているセラミック板2a、2b…には点字によって名称が表示されている為に、これを読み取ることが出来る。場合によってはセラミック板に直接建物の名称を表示することなく、番号を点字で示し、案内板の隣に番号に相当する建物の名称を点字表示することも出来る。
【0013】
そして自分がいるJR福井駅と県庁の位置を確認したところで、この両セラミック板の間を触りながら手を滑らせることで、個々の建物の間に存在する道路を知ることが出来る。すなわち、建物を表しているセラミック板に対して凹溝と成っている道路の方向、状態を知ることが可能となる。又、同図に示す小さな3個の丸は信号5であって、信号5は小さく凸状化して設けられている為に、その存在も触ることで分かる。
【0014】
ここで、道路の幅は手の指を移動することで両側の建物を示すセラミック板が触れることが出来る寸法になっていて、該道路の方向及び交差点、それに信号5を直ちに把握することが出来るようになっている。又道路に表示している6は地下道の入口であり、これも短い2本の平行凸線にて形成している。そして7は路面電車が走る線路であり、この線路7も基盤1の上面に僅かに突出して形成されている。材質は同じくセラミックが用いられ、耐久性を確保している。
【0015】
これらセラミック板からなる各建物には三角形の切り込みが形成されているが、これは該建物の入口8を表している。すなわち、視覚障害者は建物の位置を知ると共に、三角形の切り込みを把握して入口の場所も分かるようになっている。ところで、建物を表しているセラミック板2a、2b…、信号5、地下道入口6、それに線路7は基盤上に接着剤にて固着されている。又は釉薬をかけてその上にこれらセラミック板2a、2b…等を載せて焼き上げることで固着することも可能となる。
【0016】
そして、建物を表している点字は該セラミック板に直接形成することなく、点字プレート9を埋着している。図3は点字プレート9が埋着されている断面拡大図であるが、該点字プレートは粘土を用いて別途製作され、これをセラミックス板に同一面になるように埋着している。従って、セラミック板には点字部分のみが突出した状態となっていて、読み易い。この点字プレートの製作方法は特に限定しないが、石膏で型を作り、これに粘土を詰めて作ったものを乾燥後釉薬をかけて焼き上げる。点字の高さは約0.5mm程度となっている。勿論、建物等を表示しているセラミック板と一体化して形成することも出来る。
【0017】
ところで、この案内板は視覚障害者を対象としたものであるが、一般の人であっても利用出来るように公共の建物を表しているセラミック板にはマークを表示し、又一般の建物を表すセラミック板には名称が記載されている。しかしこれらマークや名称は視覚障害者が誤認することを防止する為にセラミック板の表面から突出していない。そして、この案内板が夜間であっても分かり易くする為に、片隅には蛍光を発する蓄光プレートを取り付けしている。図1は本発明の1具体例に過ぎず、場所によって色々な案内板を構成することが出来、大きな建物の内部を示す為の案内板を構成することも可能である。以上述べたように、本発明の案内板は表面を凹凸化して建物や道路それに信号等を表し、建物等の主要場所には点字を形成したものであり、次のような効果を得ることが出来る。
【0018】
【発明の効果】
本発明の案内板はその表面が凹凸化していて、建物、道路、信号等を凹凸面にて表現している為に、視覚障害者は手で触れることで町並み全体を把握することが出来る。すなわち、平面上に形成している点字のみでは個々の建物や施設の場所が分かるだけで、道路や信号等、街全体を知ることが出来ないが、本発明のように凹凸化して表現することで道路や道路の交差点にある信号を把握することが出来る為に、所定の場所へ行く為の道筋が分かり、一人で歩いて行き易くなる。
【0019】
特に建物をセラミック板にて表現し、これを基盤上に貼り合わせるならば、道路は凹溝としてセラミック板の間に形成され、手の指を当ててなぞるだけで道路を把握することが出来る。又セラミック板には切り込みを形成することで入口を表現することが出来、大きな建物の入口を案内板にて知ることも可能となる。一方、本発明の案内板をセラミック材にて構成することで、耐光性、耐水性、耐酸性、耐寒性に優れ、その寿命は長くなり、特に点字をセラミックプレートにて構成することで該点字が風化して消滅することはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の視覚障害者用案内板の実施例。
【図2】図1のA−A断面拡大図。
【図3】セラミック板に点字プレートを埋着した場合。
【図4】従来の視覚障害者用案内板。
【符号の説明】
1 基盤
2 セラミック板
3 上面
4 お堀
5 信号
6 地下道入口
7 線路
8 入口
9 点字プレート
10 現在位置を示す目印

Claims (2)

  1. 視覚障害者が目的の場所へ行くために利用する案内板において、セラミック材から成る基盤上には建物を表す一定厚さで所定の形状をしたセラミック板を固着し、各セラミック板の間に形成される凹溝は道路とし、道路上の交差点には信号に相当する小さな凸部を設け、上記建物を表すセラミック板にはその名称を点字で表示すると共に、周囲には入口となる切り込みを形成し、そして、設置されている現在位置を表示する為の目印を最も高く突出したことを特徴とする視覚障害者用案内板。
  2. 地下道の入口や路面電車の線路を凸状に形成した請求項1記載の視覚障害者用案内板。
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