JP3623936B2 - 音声情報に透かし情報を埋め込む方法及び透かし情報を埋め込んだ音声情報から透かし情報を検出する方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、音声情報に対して電子透かし情報を埋め込む方法及び電子透かし情報が埋め込まれてい音声情報から当該透かし情報を検出する方法に関するものであり、特に詳しくは、ステレオ信号で構成されている音声情報を使用した透かし情報埋込方法及び透かし情報の検出方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、任意の音声情報を市場に流通されるに際して、当該音声情報に対して所定の暗号情報、例えば透かし情報を埋め込んでおき、当該音声情報に類似の音声情報が市場で見いだされた場合に、当該暗号情報、透かし情報が埋め込まれているか否かを検出する事によって、当該音声情報が、正規のルートで流通しているものであるか、不正にコピーされて流通しているものであるかを判断し、不正コピーに対しては、著作権の侵害として不正コピーをした者に対して法的な追求を行える様に考慮されたものである。
【0003】
従来係る技術は主に静止画像に対して利用されてきたものであり、その代表的な方法として、静止画電子透かし(still picture digital watermark)」技術が知られており、係る技術は、静止画に著作者の固有情報を密やかに埋め込み、所有権の所在を主張する技術として、従来から使用されて来ている。
近年、インターネットを利用してマルチメディア情報が盛んに流通すると共に、音声情報の利用が著しく高まり、当該音声情報に対しても上記した様な暗号技術或いは透かし情報技術を使用して著作権を保護する必要が高まって来ている。
【0004】
その為に、現在では、電子透かしを音声情報に応用する事が注目されている。
近年、音声情報に対する透かし技術としていろいろな手法が提案された。
しかし、どんな手法でも、普通の静止画電子透かしと同じように、埋め込んだ透かし情報の量を増すとともに、曲の音質が落ちて行くと言う問題が発生しており、音声情報に対して所定の透かし情報を埋め込む際に、埋め込む透かしの情報量は、音質の優先度と情報の優先度によって考えて行く必要がある。
【0005】
従来検討されている音声情報に対して適用可能な電子透かし技術としては、基本的に「符号化法」と「静止画法」二種類に分けられる。
当該「符号化法」は、音声情報のエンコード(符号化/圧縮過程)時に、音声情報の時間軸方向、または、空間軸方向の冗長度を利用して透かし情報を埋め込むという手法である。当該「符号化法」は、従来法として様々な案がよく提案された。
【0006】
そのメリットは、音声情報のエンコードを行うと同時に透かしを埋め込むことができる点にある。即ち、音声情報のエンコードをリアリタイムで行えば、透かし情報の埋め込みもリアリタイムで行える。 しかし、透かし情報の埋め込み・検出機能を音声情報のエンコード方式ごとに開発しなければならないというデメリットを持つ。つまり、透かしを埋め込んだ画像には、専用のプレーヤーを使っていないと、透かしの検出はできなくなる。
【0007】
一方、上記した「静止画法」は、静止画電子透かしの技術を用いて、音声情報をエンコードする前に各画像フレーム(或いは各画像のIピクチャ)に透かし情報を埋め込むという手法である。
そのメリットは、「静止画法」で透かしを埋め込んだ音声情報は、どの方式でエンコードされようとも、「静止画電子透かし」手法で埋め込んだ透かし情報を簡単に検出できるようになる。例えば、透かし埋め込んだ映像をプレーヤーで再生する際に、パーソナルコンピュータ/ワークステーションのスクリーンダンプ機能を用いて、音声情報のフレームをダンプすることで、その静止画像から透かし情報を簡単に検出できるようになる。
【0008】
処で、音声情報を例えばインターネット等の媒体を使用したり、CD等の記録媒体に記憶させて市場に流通させる場合、当該音声情報は、頻繁に当該音声情報に対するコピー処理操作や変調処理を受ける事になり、当該音声情報に著作権情報の存在を示す何等かのデータを予め定められた透かし情報の形で埋め込んでおいても、当該透かし情報は、上記した様なコピー処理操作等の段階で、変形したり、消去させられてしまい、後の工程で、当該音声情報から当該透かし情報を検出しようとしても、検出出来ない事が多かった。
その為、従来に於いては、音声情報の著作権保護に対して有効な透かし情報埋め込み技術並びに当該埋め込まれた透かし情報を検出する技術が存在していなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、上記した従来技術の欠点を改良し、当該音声情報に対するコピー処理操作や変調処理対して強く、何れの段階に於いても容易に検出が可能な透かし情報を音声情報に対して埋め込む方法を提供すること及び当該音声情報に埋め込まれている当該透かし情報を容易に検出する事が可能な透かし情報の検出方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記した目的を達成する為、基本的には、以下に示す様な技術構成を採用するものである。
【0011】
即ち、本発明は、音声情報に透かし情報を埋め込むに際し、M系列で構成された特定のパターンの透かし情報を用いる音声情報に透かし情報を埋め込む方法において、M系列で構成された特定のパターンの透かし情報は、ワンビットパターン透かし情報であり、前記ワンビットパターン透かし情報を、音声情報に埋め込むようにしたものである。
また、本発明は、音声情報に透かし情報を埋め込むに際し、M系列で構成された特定のパターンの透かし情報を用いる音声情報に透かし情報を埋め込む方法において、M系列で構成された特定のパターンの透かし情報は、ワンビットパターン透かし情報であり、前記ワンビットパターン透かし情報をサイン関数で変換処理し、前記サイン関数で変換処理したワンビットパターン透かし情報を、音声情報における音声信号の時間軸の部分信号に埋め込むようにしたものである。
また、本発明は、音声情報に透かし情報を埋め込むに際し、該透かし情報としてM系列で構成された特定のパターンを用いるステレオ音声情報に対して透かし情報を埋め込む音声情報に透かし情報を埋め込む方法において、M系列のパターン群から所定のM系列パターンを選定し、所定の長さのブロック長を持つワンビットパターン透かし情報を形成する工程と、該選択されたM系列ワンビットパターン透かし情報からサイン関数パターンを形成する工程と、所定の長さの時間軸内に、該音声情報の信号における周波数成分と波形特徴の解析を考慮して、所定の時間長を持つ該ブロックで構成された該M系列サインパターン透かし情報が、連続して2ブロック分埋め込み得る透かし情報埋め込み位置を探索する工程と、該透かし情報の埋め込み位置が見つかった場合には、該M系列サインパターン透かし情報を2ブロック連続して該ステレオ音声情報の左右のチャンネルデータに個別にそれぞれが逆位相となるように埋め込む工程と、該ステレオ音声情報が終端に来たか否かを判断する工程と、該ステレオ音声情報が終端に来ていない場合には、上記工程を繰り返す工程と、該ステレオ音声情報が終端に来ている場合には、該透かし情報の埋め込み操作を終了する工程とを有するようにしたものである。
【0012】
また、本発明は、M系列で構成され、サイン関数で変換処理された透かし情報を所定の音声情報から検出するに際し、該音声情報に対して、所定の係数を適用して処理することによって、該音声情報から該音声情報に埋め込まれたM系列からなる所定の透かし情報を検出するようにしたものである。
また、本発明は、M系列で構成され、サイン関数で変換処理された透かし情報を埋め込んだ所定の音声情報から該透かし情報を検出するに際し、該音声情報に対して、該透かし情報の検出方法は、該音声情報を再生するとともに、該再生中の該音声情報のステレオ信号における左右のチャンネルから個別に音声情報を読み出し、左右チャンネルから読み出された個々の音声信号の差分信号を求め、該差分信号と予め定められた透かし情報との相関を求めることによって該音声情報に所定の透かし情報が埋め込まれているか否かを判断するようにしたものである。
また、本発明は、ステレオ信号で構成された音声情報から所定のM系列からなるワンビットパターンを有する透かし情報が埋め込まれているか否かを判断する方法であって、当該音声情報を再生する工程、1ブロックに於ける左右の各チャンネルから個別に再生された音声信号を個別に読み出す工程、左右の各チャンネルから個別に読み出された音声信号の差分信号Δf(t)を演算する工程、当該差分信号Δf(t)と元の透かしパターンpm4(n)との相関値を演算する工程、当該得られた相関値を予め定められたしきい値と比較する工程、当該相関値が当該しきい値よりも大きい場合には、当該元の透かしパターンpm4(n)以外の各パターンの当該差分信号Δf(t)と元の透かしパターンpm4(n)との相関値をそれぞれ再度演算する工程、演算により求められた、当該元の透かしパターンpm4(n)以外の各パターンの当該差分信号Δf(t)との相関値を、当該元の透かしパターンpm4(n)で求めた当該相関値と比較する工程、当該比較操作の結果、当該元の透かしパターンpm4(n)だけで相関が取れる場合、当該元の透かしパターンpm4(n)が検出されたものと判断してエンドとする工程、当該得られた相関値を予め定められたしきい値と比較する工程に於いて、当該相関値が当該しきい値よりも小さい場合には、当該音声情報が終端であるか否かを判断する工程、当該上記工程に於いて、YESの場合には、透かしパターンは存在していないと判断してエンドとする工程、当該上記工程に於いて、NOの場合には、次のブロックを選択して音声情報を読み出す操作に戻って上記した各工程が実行される工程、当該比較操作の結果、当該元の透かしパターンpm4(n)だけで相関が取れない場合、当該音声情報が終端であるか否かを判断する工程、当該上記工程に於いて、YESの場合には、透かしパターンは存在していないと判断してエンドとする工程、当該上記工程に於いて、NOの場合には、次のブロックを選択して音声情報を読み出す操作に戻って上記した各工程が実行される工程、とから構成されるようにしたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に係る当該電子透かし情報埋込方法及び電子透かし情報検出方法は、上記した様な技術構成を採用しているので、予め定められた電子透かし情報を含む音声情報が、コピー処理操作や変調処理を受けた場合で有っても、当該透かし情報が当該音声情報に埋め込まれた透かし情報を容易に且つ確実に検出する事が可能である。
【0014】
特に、本発明に於いては、音質を優先する事を重要視するものであって、その為、M系列を用いてワンビット・パターンを構成し、これを透かし情報として採用するものである。
【0015】
より具体的には、本発明に於ける音声透かし情報の埋め込み方法としては、対象コンテンツとしては、例えば、CDクオリティ(44.1kHz/ 16bit/2ch)のデジタル音楽で、特にステレオ信号で構成されている音楽である事が望ましく、又、埋め込み透かし情報としては、例えば、サイン関数で変換したM系列を用いてワンビット・パターン/15秒である。
【0016】
又、本具体例に於いては、ステレオ音声情報に於ける音声の左右チャンネル信号の相関性を利用して、当該音声のステレオ信号に上記の透かし情報を埋め込むものである。
当該音声のステレオ信号に上記の透かし情報を埋め込む場合には、音声信号の周波数成分及び波形の特徴解析技術を用いて、当該音声信号に於ける時間軸の部分信号にのみ当該透かし情報を埋め込むものである。
【0017】
【実施例】
以下に、本発明に係る当該音声情報に対して透かし情報を埋め込む透かし情報埋込方法及び透かし情報の検出方法の一具体例を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
即ち、図1は、本発明に係る音声情報に対して所定の電子透かし情報埋め込む場合に使用される透かし情報埋込システム及び当該透かし情報が埋め込まれている音声情報から当該透かし情報を検出する為の透かし情報の検出システム100の構成の一例を示すブロックダイアグラムが示されており、図中、M系列パターン記憶手段1、透かし情報選択手段2、選択されたM系列からワンビットパターンの透かし情報を形成する透かし情報形成手段3、当該透かし情報形成手段3で形成されたM系列ワンビットパターン透かし情報をサイン関数で変換するサイン関数変換手段4、当該変換された透かし情報を記憶する透かし情報記憶手段5、当該透かし情報を埋め込むステレオ音声情報を選択する音声情報選択手段6、当該選択された音声情報に対して当該透かし情報を埋め込む位置を選択する埋め込み位置抽出手段7、当該選択された音声情報の当該抽出された埋め込み位置に、当該透かし情報記憶手段5から読み出したサイン変換M系列ワンビットパターン透かし情報を埋め込む透かし情報埋め込み手段8とが設けられている。
【0019】
一方、当該透かし情報を検出する操作を実行するシステム100としては、当該透かし情報が埋め込まれた音声情報を選択する音声情報選択手段9、当該選択された音声情報のステレオ信号に於ける左右チャンネルのそれぞれの特定の1ブロックから、音声情報を読み出す音声情報読出し手段10、当該読み出された双方の音声情報から差分信号を抽出する差分信号検出手段11、当該差分信号と透かし情報記憶手段5から選択された透かし情報パターンとからその位相差を求める位相差検出手段12、当該位相差に基づいて透かし情報記憶手段5から選択された透かし情報パターンを当該位相差分だけシフトさせる透かし情報パターンシフト手段13、当該シフトされた透かし情報と透かし情報記憶手段5から選択された元の透かし情報パターンとの相関値を求める相関値演算手段14、当該相関値演算手段14で得られた相関値を予め定められた基準値と比較する相関値比較手段15、当該相関値比較手段15に於ける比較操作の結果、当該基準値よりも大きい相関値が得られた場合に、上記した透かし情報とは異なる別の透かし情報を当該透かし情報記憶手段5から選択し、当該差分信号検出手段11から得られた当該差分値と当該別の透かし情報との相関を演算する補助相関値演算手段17、当該補助相関値演算手段17から得られる相関値を、当該相関値演算手段14で得られた相関値と比較する補助相関値比較手段18、当該補助相関値比較手段18に於ける比較操作の結果、当該元の透かし情報パターンのみで相関がとれる場合に、当該元の透かし情報が当該音声情報に含まれていると判断する透かし情報有無判定手段19、当該相関値比較手段15或いは当該補助相関値比較手段18に於て、得られた相関値が、予め定められた当該基準値よりも小さい場合若しくは、相関が取れなかった場合には、当該音声情報は終端であるか否かを判断する音声終端判定手段20とから構成されている事が望ましい。
【0020】
上記した様に、本発明に於いて当該音声情報に透かし情報を埋込むに際し、当該透かし情報としてM系列で構成された特定のパターンを使用する事が必要である。
【0021】
本発明に於て使用される当該特定のパターンは、M系列により作成されたワンビットパターンである事が望ましい。
更に、本発明に於ては、当該M系列から構成された当該透かし情報パターンをサイン関数で変換処理した後、当該音声情報に於ける音声信号の時間軸の部分信号に当該透かし情報を埋め込む事が好ましい。
【0022】
本発明に於ける透かし情報埋め込み方法に於いては、当該透かし情報は、当該音声情報に於ける予め定められた所定の時間長をもつブロックであって、連続する2個の当該ブロックの一つに埋め込む様にする事が望ましく、又、本発明に於ける当該音声情報は、ステレオ信号により構成されているものである事が好ましい。
【0023】
更に、本発明に於いては、当該透かし情報は、当該音声情報のステレオ信号の右チャンネル信号と左チャンネル信号との双方に埋め込む様に構成する事が好ましい。
より具体的には、当該透かし情報を、当該ステレオ信号の右チャンネル信号と左チャンネル信号を構成する複数のブロックの内、連続して配列されている少なくとも2つのブロックに個別に又は跨がって埋め込む事が好ましい。
【0024】
更に、本発明に於ける好ましい態様としては、当該透かし情報を当該透かし情報のステレオ信号に於ける当該の右チャンネル信号と左チャンネル信号を構成するブロックにそれぞれ埋め込むに際し、それぞれの透かし情報の位相を互いに逆位相となる様にして埋め込むものである。
【0025】
又、本発明に於いては、当該透かし情報を当該音声情報に埋め込むに際し、当該音声情報の再生に与える影響が少ない音声信号部分に当該透かし情報を埋め込む事が好ましい。
【0026】
つまり、本発明に於いては、当該透かし情報を当該音声情報に埋め込むに際して、当該透かし情報を埋め込んだ際に、当該音声情報を再生した場合に、当該透かし情報が当該音声情報の音質に悪影響の無い位置を選択して埋め込む事が必要である。
例えば、当該音声情報に於いて、音声の波形が急激に大きくなる様な波形部分の直前の位置に埋め込む事が望ましい。
【0027】
一方、本発明に於ける当該透かし情報の音声情報への埋め込みに際しては、当該音声情報を聞く人の耳に、実際には聞こえない様な範囲の周波数を持った透かし情報を選択する事も望ましい。
ここで、本発明にかかる透かし情報の埋め込み方法に付いての一具体例を図2及び図3を参照しながら説明する。
【0028】
即ち、音声情報に透かし情報を埋込むに際し、当該透かし情報としてM系列で構成された特定のパターンを使用するステレオ音声情報に対して透かし情報の埋め込む方に於いて、
スタート後、ステップ(S−1)に於て、M系列のパターン群から所定のM系列パターンを選定し、所定の長さのブロック長を持つワンビットパターン透かし情報を形成する工程が実行され、ステップ(S−2)に於て、当該選択されたM系列ワンビットパターン透かし情報からサイン関数パターンーを形成する工程が実行される。
【0029】
次いで、ステップ(S−3)に於て、所定の長さの時間軸内に、当該音声情報の信号に於ける周波数成分と波形特徴の解析を考慮して、所定の時間長を持つ当該ブロックで構成された当該M系列サインパターン透かし情報が、連続して2ブロック分埋め込み得る透かし情報埋め込み位置を探索する工程が実行される。
【0030】
その後、ステップ(S−4)に於て、当該透かし情報の埋め込み位置が見つからない場合には、ステップ(S−3)に戻って上記の工程が繰り返されるが、当該透かし情報の埋め込み位置が見つかった場合には、ステップ(S−5)に進んで、当該M系列サインパターン透かし情報を2ブロック連続して当該ステレオ音声情報の左右のチャンネルデータに個別にそれぞれが逆位相となる様に埋め込む工程が実行され、ステップ(S−6)に於て、当該ステレオ音声情報が終端に来たか否かを判断する工程が実行される。
【0031】
当該ステップ(S−6)に於て、音声情報が終端でない場合には、ステップ(S−3)に戻って上記した各工程が繰り返され、音声情報が終端である場合にはENDとなる。
此処で図3を参照しながら、本発明に於ける透かし情報の埋め込み場所の選定方法に付いて詳細に説明する。
即ち、用意する透かし情報としては、先ず、ブロック長さ32K(約7.5秒)のサインパターンを用意する。
【0032】
次いで、長さ15秒間に信号の周波数成分と波形特徴の解析を考慮して連続2ブロック(2×32k)のサインパターンの埋め込み位置を探す。
その後、用意したサインパターンを探し出した連続2ブロックの信号の左右チャンネルデータにそれぞれ順位相で足し算をする。
以後は、長さ15秒信号ごとに上記した工程をを曲の終わりまで繰り返す。
【0033】
本発明に於て、右チャンネルに埋め込む当該透かし情報と左チャンネルに埋め込む当該透かし情報とは、逆位相の関係にある事が必要である。
又、右チャンネルに埋め込む位置と左チャンネルに埋め込む位置とは、同一のブロックで当該同一のブロック内で略同一の位置に埋め込む事が望ましい。
又、好ましくは、所定の長さの音声情報の1セクション、例えば15秒とすると、その前半の7.5秒間のセクションに於いては、当該透かし情報を左右の両チャンネルに、当該M系列からなる透かし情報を互いに逆位相の状態で、略同一のブロック位置に埋め込み、後半の7.5秒間のセクションに於いては、当該透かし情報を左右の両チャンネルに、当該M系列からなる透かし情報を互いに逆位相の状態で、略同一のブロック位置に埋め込む様にする事も望ましい。
【0034】
一方、本発明に於ける当該音声情報から当該透かし情報を埋め込む方法そのものは特に特定されるものではなく、例えば、本願出願人が既に特許出願している特開平11−68572号、特開平11−68573号、特開平11−68575号、特開平11−296200号或いは特願2000−13994号等に開示されている様な技術を使用する事が可能である。
【0035】
本発明に於いては、上記した従来の問題点を改善する為に、本発明者等は鋭意検討した結果、音声情報が、頻繁にコピー操作や変調処理操作を受けても、当該各処理操作に対して強く、当該透かし情報が当該音声情報内に確実に残存しえる透かし情報としては、M系列で構成された所定のパターンを使用する事が適している事を知得したものである。
上記の説明より明らかな様に、当該M系列から構成された透かし情報を埋め込んだ当該音声情報をそのまま所定の記録媒体に記録するか、所定の圧縮処理を施した後に所定の記録媒体に記録するものである。
【0036】
此処で、本発明に於ける透かし情報の埋め込み位置の選定に付いての基本的な考え方を以下に詳述する。
即ち、(1)先ず、限定された15秒の時間帯内にある各2連続ブロック(2×32k)信号の平均パワーを計算する。
次いで(2)計算したパワー値は、上閾値(波形大すぎ防止)より小さい、下閾値(小さすぎ防止)より大きい範囲になった2連続ブロックの信号を探し出して以下に示す(3)及び(4)の解析を行う。
(3)最適なパワー値がある各2連続ブロック信号の左、右チャンネル信号の差分を取って、フーリエ変換する。
(4)フーリエ変換により得られた各2連続ブロックの周波数成分には、ワン・パターン透かしの周波数成分に対する周波数帯の平均成分(2連続ブロック)を計算することで、最小平均成分を持つ2連続のブロックを選択して、透かしの埋め込み場所となる。
(5)上記した(2)の計算条件に満たない場合、平均パワー値は、下閾値より小さくなるケースがあったら、その中に、平均パワー値は最大となった2連続のブロック信号は透かしの埋め込み場所となる。
(6)又、(2)の計算条件に満たさない場合、平均パワー値は、すべて上閾値より大きくなったら、その中に、平均パワー値は最小となった2連続のブロック信号は透かしの埋め込み場所となる。
【0037】
此処で、本発明に於て使用される当該M系列からなる透かし情報の構成及びその使用に付いての具体例を詳細に説明する。
本発明に於て使用されるM系列(maximal length sequence)は、最大長系列又は芦田周期列といわれる擬似不規則系列の一つであって、通信や計測・制御の分野で幅広く用いられている。
最近電子透かし技術の研究が盛んになると共に、M系列は電子透かし技術によく用いられている。
【0038】
以下に、基本的なM系列を用いて構成された特定のパターンを使用した透かし情報を直接音声情報の周波数空間に埋め込む手法を説明する。
【0039】
1)M系列の自己相関特性:
M系列の周期N: N=2n −1(n=1, 2, 3, ...)
M系列のパターン: 周期NのM系列のパターンは、N種類がある。
M系列の自己相関性:
まず、(1)、(2)式で与えたM(1),M(2)を周期NのM系列P1,P2とすると、それぞれが(3),(4),(5)式で与えられるような自己相関性を持っている。
【0040】
【数1】
【0041】
【数2】
【0042】
即ち、M系列は、上記した様に、周期N(2n −1;n=1, 2, 3, ...)のM系列は、2n−1 個の1又は2n−1 −1個の0で構成されるものであって、nのいかんにかかわらず、1周期2n −1内に0の数は1 の数より1個少ない。
又、周期N(2n −1;n=1, 2, 3, ...)のM系列を発生する原始多項式の初期値K(=1、2、・・・2n −1)によって発生されたM系列の0と1の並び方によりN種類の周期NのM系列が得られる。
【0043】
更に、発生したN種類の周期NのM系列には0を+1に、1を−1に対応させた系列M(k)(k=1、2、3・・・・ 2n −1)を考えると、各系列M(k)=〔m(k)1 , m(k)2 , ・・・・m(k)N 〕は、1.1式のような自己相関特性を持っている。
【0044】
【数3】
【0045】
ここで、N=2n −1、またa,b⊂k(k=1、2、3・・・・ 2n −1)である。
此処で、本発明に於けるM系列の具体例を示すならば、周期N=7のM系列を一つの例とすると、M系列の原始多項式の初期値k(=1,2,3,4,5,6,7)により発生されたM系列は、以下の1,2式に示す様なものとなる。
【0046】
【数4】
【0047】
又、発生した各初期値に対するM系列の相関性は、以下の1.3式に示す様なものとなる。
【0048】
【数5】
【0049】
ここで、a,b(1、2、3、4、5、6、7)である。
次に、上記したM系列からなる透かし情報を音声情報に埋め込む方法について説明する。
先ず、初期値Kで発生した周期N(=2n −1)のM系列Mk をワンビット透かし情報として、同じデータ数Nの信号値G〔g0 ,g1 ,・・・gi ,・・・gN−1 〕に足し算することで、以下に示す1.4式の様に透かしパターンを信号Gに埋め込む事になる。
【0050】
【数6】
【0051】
ここで、gi’は、透かし情報が埋め込まれた音声信号情報のi番目の音声位置の音声信号情報であり、giは、透かし情報が埋め込まれていない音声信号情報のi番目の音声位置の音声信号情報である。又、αは、埋め込んだ透かしの強度を示す。
【0052】
即ち、式(1.4)は、透かし情報の埋め込まれた音声信号情報に於けるi番目の音声位置における音声信号情報は、当該透かし情報が埋め込まれていない当該i番目の音声位置における音声信号情報にM系列に於ける当該i番目の音声位置における音声信号情報に所定の強度値を掛け算した値との加算値である事を示すものである。此処で、上記した式1.1より明らかな様に、M系列の自己相関特性により、周期NのM系列は、最大Nセットの透かし情報を表すことができる。
【0053】
次に、本発明に於ける当該透かし情報を埋め込んだ音声情報から所定のパターンを持った透かし情報、特には上記した様なM系列のパターンで構成された透かし情報を検出する原理及び当該透かし情報の検出方法の具体例に付いて詳細に説明する。
【0054】
基本的には、本発明において、所定の音声情報に埋め込まれた当該透かし情報を検出する際に、(1.5)式に示すように、初期値Nで発生した周期NのM系列からなる、あるパターンM(n)を透かし埋め込んだ音声信号情報G’に音声位置単位の掛け算することで、埋め込んだ透かしが検出できる。本発明に於ける当該音声位置単位の掛け算とは、具体的には、埋め込まれた透かし情報の相関を判断する情報として使用されるものである。
【0055】
【数7】
【0056】
此処で、I(n)は、相関係数を示し、最終的には、上記した様に、
I(n)=I1+I2
と示される。
ここで、I1及びI2は、それぞれ元の音声信号情報に於ける相関とM系列による自己相関を意味し、例えば、音声信号値の変換が穏やかな場合には、式(8)に示す様に、I1の部分は、ほぼゼロになる。例えば、信号値=1の定数信号の場合、I1=−1/Nとなる。言わば、周期が大きい場合には、I1は、次式(1.6)で示す様になる。
【0057】
【数8】
【0058】
また、I2の部分に関しては、音声信号情報G’掛けたM系列のパターンは、元の埋め込んだM系列のパターンと一致する場合、I2部分は式(1.7)に示すように、n=l(エル)とすると、I2=αとなる。他の場合はI2=−1/Nとなる。
【0059】
【数9】
【0060】
上記した様に、本発明に於いて使用されるM系列を用いた透かし情報を当該音声情報に埋め込む事によって、当該M系列の自己相関性が強いと言う特性を利用する事によって、上記したI2 の項の結果によって、当該透かし情報が埋め込まれているか否かの判断を行う事が出来る。
【0061】
つまり、上記した式(1.7)に於けるI2 の値が0であれば、当該音声情報には予め定められた透かし情報は埋め込まれていないと判断され、当該I2 の値が、所定のしきい値を越える値を示す場合には、当該音声情報には予め定められた透かし情報は埋め込まれていると判断する事が出来る。
【0062】
然かも、本発明に於いては、当該M系列を使用して形成された透かし情報は、当該音声情報が頻繁にコピー処理操作等を受けたりしても、自己相関性が失われる事がなく、何時でも当該音声情報から正確に且つ容易に音声情報を検出する事が可能となる。
然しながら、本発明に於いても、式(1.6)に示すI1 の項の値が、常に0となるのではなく、場合によっては、Oとならない場合が発生する事がある。
【0063】
つまり、(1,7)式の音声情報データgi は、m(n)i の(l,−l)のパターンで計算した平均は0にならないか、或いは、式(1.7)のαより小さくならない場合には、(1.5)式の計算によって埋め込んだ透かし情報は取り出せなくなると言う場合が発生する。
係る場合が発生することは、本発明に於ける上記の透かし情報検出方法の汎用性を阻害する事になる恐れがあるので、本発明に於いては、かかる状態が発生しても上記の問題を発生させずに、確実に透かし情報を検出する為に、改良方法を更に提案するものである。
【0064】
つまり、当該透かし情報の検出に於いて、当該音声情報をステレオ信号による音声情報に特定し、当該透かし情報を当該ステレオ信号の右チャンネルと左チャンネルにそれぞれ個別に位相を逆転させて埋め込む様に構成したものである。かかる方法を採用する事によって、当該透かし情報の相関性を用いて(1.5)式の透かし情報を検出する効率を改善するものである。即ち、式(1.5)に於て、残差I1の値は、αより大きくなる場合、埋め込んだ透かし情報は取り出せなくなる。
【0065】
残差I1を減らす為に本発明に於いては、音声左右チャンネル信号の相関性を利用して音声のステレオ信号に透かしを埋め込む事で、式1.5の透かしを検出する効率を改善する事が出来たのである。
先ず、長さNの音声の左と右の信号Gright とGleftにそれぞれ逆位相の1ビットパターンで構成された透かしパターンを埋め込むとすると、ワン・パターンの透かしを埋め込んだ信号G’rightとG’leftは(1.8)式及び(1.9)式で与えられる。
【0066】
【数10】
【0067】
ここで、左右チャンネル信号に、M系列は、強度αと掛け算してそれぞれ順位相(+)、逆位相(−)が加わった構成となる。
また、(7)式によりM系列(M(n))でαを掛けることで得られた結果、Ileft(n) とIright(n), は(1.10)、(1.11)式でそれぞれ与えられる。
【0068】
【数11】
【0069】
また、(1.10)、(1.11)式により得られた左右信号のIleft(n) とIright(n)とを差分することで、得られた結果は(1.12)式で与える。
【0070】
【数12】
【0071】
即ち、左右信号の相関性を用いることで|I’1 ──I”1 |<I’1 ,I”に
より、式(1.5)の残差部分の値は改善出来る。
すると、式(1.7)によりn=kの場合、式(1.12)は、I2=αとなる。
【0072】
尚、ここで、本発明に於て使用されるM系列の相関性を用いたサインパターンの発生に付いての具体例を説明する。即ち、三角関数の直交性質によって、各周波数成分を持っているサイン関数の1周期の積分では、次式(1.13)が成立する。
【0073】
【数13】
【0074】
此処で、T=1/fである。 即ち、各周波数成分を持っているサイン関数(コサインを含む)は、M系列の様に強く相関特性を持っている。
その相関特性を利用して、もとのM系列の相関特性は、サイン関数により実現できている。
かかるM系列により三角関数の直交性質を用いたサインパターンの発生の具体例を周期7のM系列を例に採って説明する。
先ず、周期7のM系列を発生させて次式(1.14)を得る。
【0075】
【数14】
【0076】
次いで、初期値4のM系列によりサイン関数パターンを式(1.15)の様に発生させる。
【0077】
【数15】
【0078】
ここで、a:パターン強度の調整係数であり、
f0:最初位置周波数であり、
数値1〜7:M系列の各値に位置する周波数成分であり、
N:ブロックサイズであり、
n:1−(N−1)であり、
m1(4)〜m7(4):−1,−1,−1,1,−1,1,1である。
【0079】
又、式(1.16)及び式(1.17)により、生成したサインパターンの相関特性を計算出来る。
【0080】
【数16】
【0081】
つまり、式(1.16)により得られた相関グラフは、図4に示す通りとなる。
【0082】
次に、本発明に於ける透かし情報の検出方法の具体例に付いて、図5のフローチャートと図6の詳細図を参照しながら説明する。
即ち、本発明に於ける音声情報からの透かし情報の検出方法としては、M系列で構成された透かし情報を所定の音声情報から検出するに際し、当該音声情報に対して、所定の係数を適用して処理する事によって、当該音声情報から当該音声情報に埋め込まれたM系列からなる所定の透かし情報を検出する様に構成されているものである。
【0083】
つまり、本発明に於いては、M系列で構成された透かし情報を埋め込んだ所定の音声情報から当該透かし情報を検出するに際し、当該音声情報に対して、当該透かし情報の検出方法は、当該音声情報を再生すると共に、当該再生中の当該音声情報のステレオ信号に於ける左右のチャンネルから個別に音声情報を読出し、左右チャンネルから読み出された個々の音声信号の差分信号を求め、当該差分信号と予め定められた透かし情報(すでに音声情報に埋め込んだ予め判明している透かし情報の事を指す)との相関を求める事によって当該音声情報に所定の透かし情報が埋め込まれているか否かを判断する事ものである。
【0084】
即ち、本発明に於けるM系列ワンビットパターンからなる透かし情報を音声情報から検出する方法としては、上記した様に、M系列で構成され、サイン関数で変換処理された透かし情報を所定の音声情報から検出するに際し、当該音声情報に対して、所定の係数を適用して処理する事によって、当該音声情報から当該音声情報に埋め込まれたM系列からなる所定の透かし情報を検出する事を基本とするものであり、より具体的には、当該所定の係数は音声位置毎にM系列のあるパターンに透かし情報を埋め込んだ音声信号を掛け合わせするが望ましい。
【0085】
更に、本発明に於ける当該透かし情報の検出方法に於ける具体例としては、M系列で構成され、サイン関数で変換処理された透かし情報を埋め込んだ所定の音声情報から当該透かし情報を検出するに際し、当該音声情報に対して、当該透かし情報の検出方法は、当該音声情報を再生すると共に、当該再生中の当該音声情報のステレオ信号に於ける左右のチャンネルから個別に音声情報を読出し、左右チャンネルから読み出された個々の音声信号の差分信号を求め、当該差分信号と予め定められた透かし情報との相関を求める事によって当該音声情報に所定の透かし情報が埋め込まれているか否かを判断する様に構成されているものである。
【0086】
本発明にかかる当該透かし情報の検出方法に於けるより詳細な具体例としては、図5に示すフローチャートから明らかな様に、ステレオ信号で構成された音声情報から所定のM系列からなるワンビットパターンを有する透かし情報が埋め込まれているか否かを判断する方法であって、
ステップ(S−1)に於て、当該音声情報を再生する第1の工程が実行された後、ステップ(S−2)に進み、1ブロックに於ける左右の各チャンネルから個別に再生された音声信号を個別に読み出す第2の工程が実行される。
【0087】
次いで、ステップ(S−3)に進み、左右の各チャンネルから個別に読み出された音声信号の差分信号Δf(t)を演算する第3の工程が実行され、ステップ(S−4)に於て、当該差分信号Δf(t)と元の透かしパターンpm4(n)との相関値を演算する第4の工程が実行される。
その後、ステップ(S−5)に於て、ステップ(S−4)で演算された当該相関値を予め定められたしきい値と比較する第5の工程が実行される。
【0088】
そして、ステップ(S−6)に於て、当該相関値が当該しきい値より大きいと判断された場合には、ステップ(S−7)に進み、当該元の透かしパターンpm4(n)以外の各パターンに於ける当該差分信号Δf(t)を再度演算し、当該差分信号Δf(t)と元の透かしパターンpm4(n)との相関値を演算する第6の工程が実行される。
【0089】
その後、ステップ(S−8)に於て、元の透かしパターンpm4(n)以外の各パターンに於ける相関値と当該透かしパターンpm4(n)で取った相関値とを比較する第7の工程が実行され、ステップ(S−9)に進み、当該ステップ(S−8)に於ける比較操作の結果、元の透かしパターンpm4(n)だけで相関が取れる場合には、当該元の透かしパターンpm4(n)が検出されたものと判断し、当該検出操作を終了するが、ステップ(S−9)に於て、相関がとれない場合には、ステップ(S−10)に進み、当該音声情報は、終端であるか否かが判断され、NOである場合には、次にブロックのデータを読み出す為にステップ(S−2)に戻って上記した各工程が繰り返されるが、当該ステップ(S−10)でYESである場合には、透かしパターンが存在していないと判断してENDとなる。
【0090】
一方、ステップ(S−6)に於て、当該相関値が当該しきい値より小さいと判断された場合には、ステップ(S−10)に進み、上記した各工程が繰り返される。
【0091】
【発明の効果】
本発明に係る当該透かし情報の埋込方法及び透かし情報の検出方法は、上記した様な技術構成を採用しているので、音声情報に埋め込まれた透かし情報を、何れの段階に於いても容易に検出が可能な透かし情報の生成とその埋め込み方法及び当該音声情報に埋め込まれている当該透かし情報を容易に検出する事が可能な透かし情報の検出方法が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る透かし情報の埋込方法及びその検出方法を実施する為の透かし情報の埋込・検出システムの一具体例の構成を示すブロックダイアグラムである。
【図2】図2は、本発明に透かし情報の埋め込み方法の一具体例を説明するフローチャートである。
【図3】図3は、本発明に係る透かし情報の埋め込み方法の一具体例を説明する図である。
【図4】図4は、本発明に於ける透かし情報の相関値を示すグラフである。
【図5】図5は、本発明に透かし情報の検出方法の一具体例を説明するフローチャートである。
【図6】図6は、本発明に係る透かし情報の検出方法の処理手順の概要を説明する図である。
【符号の説明】
100 透かし情報の埋込・検出システム
1 M系列パターン記憶手段
2 透かし情報選択手段
3 透かし情報形成手段
4 サイン関数変換手段
5 透かし情報記憶手段
6 音声情報選択手段
7 埋め込み位置抽出手段
8 透かし情報埋め込み手段
9 音声情報選択手段
10 音声情報読出し手段
11 差分信号検出手段
12 位相差検出手段
13 透かし情報パターンシフト手段
14 相関値演算手段
15 相関値比較手段
17 補助相関値演算手段
18 補助相関値比較手段
19 透かし情報有無判定手段
20 音声終端判定手段
Claims (8)
- 音声情報に透かし情報を埋め込むに際し、M系列で構成された特定のパターンの透かし情報を用いる音声情報に透かし情報を埋め込む方法において、
M系列で構成された特定のパターンの透かし情報は、ワンビットパターン透かし情報であり、
前記ワンビットパターン透かし情報を、音声情報に埋め込む
ことを特徴とする音声情報に透かし情報を埋め込む方法。 - 音声情報に透かし情報を埋め込むに際し、M系列で構成された特定のパターンの透かし情報を用いる音声情報に透かし情報を埋め込む方法において、
M系列で構成された特定のパターンの透かし情報は、ワンビットパターン透かし情報であり、
前記ワンビットパターン透かし情報をサイン関数で変換処理し、
前記サイン関数で変換処理したワンビットパターン透かし情報を、音声情報における音声信号の時間軸の部分信号に埋め込む
ことを特徴とする音声情報に透かし情報を埋め込む方法。 - 請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の音声情報に透かし情報を埋め込む方法において、
前記音声情報は、右チャンネル信号と左チャンネル信号とよりなるステレオ信号により構成されており、
前記音声情報たる前記ステレオ信号に埋め込むワンビットパターン透かし情報を、前記ステレオ信号の右チャンネル信号と左チャンネル信号とを構成する複数のブロックのうちで連続して配列されている少なくとも2つのブロックに個別に埋め込む
ことを特徴とする音声情報に透かし情報を埋め込む方法。 - 請求項3に記載の音声情報に透かし情報を埋め込む方法において、
前記右チャンネル信号と左チャンネル信号とでは、前記ワンビットパターン透かし情報の位相が互いに逆位相となるように埋め込む
ことを特徴とする音声情報に透かし情報を埋め込む方法。 - 音声情報に透かし情報を埋め込むに際し、該透かし情報としてM系列で構成された特定のパターンを用いるステレオ音声情報に対して透かし情報を埋め込む音声情報に透かし情報を埋め込む方法において、
M系列のパターン群から所定のM系列パターンを選定し、所定の長さのブロック長を持つワンビットパターン透かし情報を形成する工程と、
該選択されたM系列ワンビットパターン透かし情報からサイン関数パターンを形成する工程と、
所定の長さの時間軸内に、該音声情報の信号における周波数成分と波形特徴の解析を考慮して、所定の時間長を持つ該ブロックで構成された該M系列サインパターン透かし情報が、連続して2ブロック分埋め込み得る透かし情報埋め込み位置を探索する工程と、
該透かし情報の埋め込み位置が見つかった場合には、該M系列サインパターン透かし情報を2ブロック連続して該ステレオ音声情報の左右のチャンネルデータに個別にそれぞれが逆位相となるように埋め込む工程と、
該ステレオ音声情報が終端に来たか否かを判断する工程と、
該ステレオ音声情報が終端に来ていない場合には、上記工程を繰り返す工程と、
該ステレオ音声情報が終端に来ている場合には、該透かし情報の埋め込み操作を終了する工程と
を有することを特徴とする音声情報に透かし情報を埋め込む方法。 - M系列で構成されサイン関数で変換処理された透かし情報を所定の音声情報から検出するに際し、M系列で構成されサイン関数で変換処理された透かし情報を埋め込んだ音声信号に対し、当該透かし情報を掛け合わせることによって、該音声情報から該音声情報に埋め込まれたM系列からなる所定の透かし情報を検出する
ことを特徴とする透かし情報を埋め込んだ音声情報から透かし情報を検出する方法。 - M系列で構成され、サイン関数で変換処理された透かし情報を埋め込んだ所定の音声情報から該透かし情報を検出するに際し、該音声情報に対して、該透かし情報の検出方法は、該音声情報を再生するとともに、該再生中の該音声情報のステレオ信号における左右のチャンネルから個別に音声情報を読み出し、左右チャンネルから読み出された個々の音声信号の差分信号を求め、該差分信号と予め定められた透かし情報との相関を求めることによって該音声情報に所定の透かし情報が埋め込まれているか否かを判断する
ことを特徴とする透かし情報を埋め込んだ音声情報から透かし情報を検出する方法。 - ステレオ信号で構成された音声情報から所定のM系列からなるワンビットパターンを有する透かし情報が埋め込まれているか否かを判断する方法であって、
当該音声情報を再生する工程、
1ブロックに於ける左右の各チャンネルから個別に再生された音声信号を個別に読み出す工程、
左右の各チャンネルから個別に読み出された音声信号の差分信号Δf(t)を演算する工程、
当該差分信号Δf(t)と元の透かしパターンpm4(n)との相関値を演算する工程、
当該得られた相関値を予め定められたしきい値と比較する工程、
当該相関値が当該しきい値よりも大きい場合には、当該元の透かしパターンpm4(n)以外の各パターンの当該差分信号Δf(t)と元の透かしパターンpm4(n)との相関値をそれぞれ再度演算する工程、
演算により求められた、当該元の透かしパターンpm4(n)以外の各パターンの当該差分信号Δf(t)との相関値を、当該元の透かしパターンpm4(n)で求めた当該相関値と比較する工程、
当該比較操作の結果、当該元の透かしパターンpm4(n)だけで相関が取れる場合、当該元の透かしパターンpm4(n)が検出されたものと判断してエンドとする工程、
当該得られた相関値を予め定められたしきい値と比較する工程に於いて、当該相関値が当該しきい値よりも小さい場合には、当該音声情報が終端であるか否かを判断する工程、
当該上記工程に於いて、YESの場合には、透かしパターンは存在していないと判断してエンドとする工程、
当該上記工程に於いて、NOの場合には、次のブロックを選択して音声情報を読み出す操作に戻って上記した各工程が実行される工程、
当該比較操作の結果、当該元の透かしパターンpm4(n)だけで相関が取れない場合、当該音声情報が終端であるか否かを判断する工程、
当該上記工程に於いて、YESの場合には、透かしパターンは存在していないと判断してエンドとする工程、
当該上記工程に於いて、NOの場合には、次のブロックを選択して音声情報を読み出す操作に戻って上記した各工程が実行される工程、
とから構成されている事を特徴とする透かし情報検出方法。
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