JP3622675B2 - 携帯型送信機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯型送信機に係り、特に、例えば車両等に搭載された機器の遠隔制御を行ううえで好適な携帯型送信機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば特開平7−221526号公報に開示される如く、車両と携帯機との無線通信により車両のドアを遠隔的に施錠・解錠するシステムが知られている。このシステムの携帯機は、発振回路を含む送信制御回路とアンテナとを結合させる結合コンデンサを備えている。結合コンデンサは、送信制御回路の出力する送信信号を直流分を除去してアンテナ側へ伝達する機能を有する。携帯機は、送信制御回路の出力する送信信号に応じてアンテナ側へ高周波の電流が流れ込むことによりアンテナから電波を放射する。また、車両は、携帯機から放射された電波を受信した場合、その電波に含まれる識別IDコードを照合し、その照合結果に基づいてドアの施錠・解錠を制御する。従って、上記のシステムによれば、乗員がドアキーを車両のドア錠に差し込むことなく、車両のドアを遠隔的に施錠・解錠することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、アンテナは放射素子であるので、送信機においては、アンテナに人の指や金属が近づくこと等に起因して、発振回路側から見たアンテナのインピーダンスが大きく変動することがある。上記従来の携帯機においてアンテナのインピーダンスが変動すると、結合コンデンサを含む合成容量値が変化することで、発振回路における発振周波数が変動し、出力強度が変化すると共に、場合によっては発振停止や異常発振が生ずることがある。このように、上記従来の携帯機では、アンテナのインピーダンス変動に起因して所望の電波を外部へ送信できない可能性がある。
【0004】
また、携帯機は車両乗員に携帯されるので、その構成を複雑・大型化することは適切でなく、発振回路とアンテナとの間に両者の結合を小さくするためのバッファアンプを挿入することは困難である。
【0005】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、簡素な構成でアンテナのインピーダンス変動が発振回路側に与える影響を小さく抑制することが可能な携帯型送信機を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、請求項1に記載する如く、発振回路と、前記発振回路で生成された電波を放射するアンテナと、を備える携帯型送信機において、
前記アンテナが、前記発振回路との電気的な接続を所定の基準電位ライン以外で有さないことを特徴とする携帯型送信機により達成される。
【0007】
請求項1記載の発明において、発振回路とアンテナとは、所定の基準電位ラインを介して接続されており、その所定の基準電位ライン以外で電気的な接続を有さない。かかる構成において、発振回路は、所定の基準電位ラインを基準にして閉じているため、アンテナにおける変動要因が発振回路に及ぼす影響は小さくなる。
【0008】
また、請求項2に記載する如く、請求項1記載の携帯型送信機において、前記所定の基準電位ラインを、前記アンテナの一端が接続される第1パターンと該アンテナの他端が接続される第2パターンとにより構成し、前記発振回路の共振子を、バリキャップダイオードを介して、前記アンテナの放射素子が接続する前記第2パターンに接続したことを特徴とする携帯型送信機は、発振回路の発振振動をアンテナへ効率よく伝達するうえで有効である。
【0009】
請求項2記載の発明において、所定の基準電位ラインが、アンテナの一端が接続される第1パターンと、アンテナの他端具体的にはアンテナの放射素子が接続する第2パターンとにより構成される。そして、発振回路の共振子が、バリキャップダイオードを介して第2パターンに接続される。この場合には、発振回路の共振子による発振振動がアンテナへ伝わり易くなる。
【0010】
この場合、請求項3に記載する如く、請求項2記載の携帯型送信機において、前記第2パターンの幅を前記第1パターンの幅よりも細くしてもよい。
【0011】
請求項3記載の発明において、第2パターンの幅が第1パターンの幅よりも細く形成される。かかる構成においては、太く形成される構成に比してその抵抗値が大きくなるため、発振回路の共振子からの高周波電流がアンテナ側へ流れ易くなる。すなわち、発振回路の共振子による発振振動がアンテナへ伝わり易くなる。
【0012】
また、請求項4に記載する如く、請求項2又は3記載の携帯型送信機において、前記アンテナは、放射素子と、出力強度調整を行うべく前記放射素子と前記第1パターンとの間に挿入されて接続される可変容量コンデンサと、からなることを特徴とする携帯型送信機は、アンテナに電気的なバラツキが生じても常に同一の出力強度を確保するうえで有効である。
【0013】
請求項4記載の発明において、アンテナは、放射素子と、放射素子と所定の基準電位ラインの第1パターンとの間に挿入されて接続される可変容量コンデンサと、から構成されている。従って、アンテナのL値にバラツキが生じても、可変容量コンデンサの容量値を可変とすることで、放射素子とコンデンサとによる共振周波数を発振回路の発振周波数に一致させることが可能となる。このため、アンテナに電気的なバラツキが生じても常に同一の出力強度が確保される。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施例である携帯型送信機を備える車載機器遠隔制御システムのシステム構成図を示す。図1に示す如く、本実施例のシステムは、車両が搭載する車載機10と、車両乗員が携帯する携帯機12と、を備えている。車載機10は、ドア施錠用電子制御ユニット(以下、施錠用ECUと称す)14を備えている。施錠用ECU14には、アンテナ16を有する受信部18、アンテナ20を有する送信部22、及び、車両のドアを施錠(ロック)・解錠(アンロック)するドアコントロールモータ24が接続されている。受信部18は、アンテナ16に受信された信号を増幅・復調する回路である。また、送信部22は、外部へ送信すべき信号を周波数偏移変調(以下、FSK変調と称す)してアンテナ20から送信する回路である。送信部22から送信される信号は、所定の通信可能領域が確保される程度の強度を有している。以下、車載機10の送信部22から送信される信号をリクエスト信号と称す。
【0015】
車載機10において、送信部22からFSK変調されたリクエスト信号が送信された後に、その信号に応答して後述の如く携帯機12が発する信号が受信部18に受信された場合、施錠用ECU14は、その受信した信号のコードに基づいてドアコントロールモータ24へ指令信号を供給し、車両のドアのロック・アンロックを制御する。施錠用ECU14は、自己の車両の識別IDコードを記憶したメモリを有している。
【0016】
携帯機12は、車両乗員がドアキーを車両のドア錠に差し込んだり、また、スイッチ等を押す操作を行うことなく、車両のドアを遠隔的に施錠・解錠するための送受信機である。携帯機12は、携帯用電子制御ユニット(以下、携帯用ECUと称す)30を備えている。携帯用ECU30は、自己の携帯機12に対応する車両の識別IDコードを記憶したメモリを有している。
【0017】
携帯用ECU30には、アンテナ32を有する受信部34、及び、アンテナ36を有する送信部38が接続されている。受信部34は、アンテナ32に受信された信号を増幅・復調する回路である。また、送信部38は、後に詳述する如く、外部へ送信すべき信号をFSK変調してアンテナ36から送信する回路である。送信部38から送信される信号は、所定の通信可能領域が確保される程度の強度を有している。以下、携帯機12の送信部38から送信される信号をレスポンス信号と称す。
【0018】
携帯機12において、受信部34に車載機10の発するリクエスト信号が受信された場合、携帯用ECU30は、そのリクエスト信号に応答して、発振周波数(例えば300MHz)を中心にした所定周波数(例えば300MHz±20kHz)にFSK変調されるレスポンス信号を送信部38から送信する。
【0019】
上記のシステムにおいて、車載機10は、車両の動力停止中にドアがロックされている場合に、一定時間ごとにアンテナ20から送受信部22で変調され暗号化された自己の車両の識別IDコードを含むリクエスト信号を送信する。かかる状況下、当該車両に携帯機12を携帯した乗員が近づくと、具体的には、車載機10の通信可能領域内に携帯機12が進入すると、携帯機12が車載機10の発したリクエスト信号を受信する。この場合、携帯機12は、受信したリクエスト信号に含まれる識別IDコードと自己のメモリに記憶されている識別IDコードとを照合し、その結果として両者が一致する場合に識別IDコードを含むレスポンス信号を送信する。
【0020】
車載機10は、リクエスト信号を送信した後に携帯機12の発するレスポンス信号を受信した場合、その受信したレスポンス信号に含まれる識別IDコードと自己のメモリに記憶されている識別IDコードとを照合する。そして、その結果として両者が一致する場合、自己の車両に搭乗すべき乗員が近づいたとして車両のドアをアンロックすべくドアコントロールモータ24を駆動する。
【0021】
また、車載機10は、車両の動力が停止され、ドアが開閉された直後にもリクエスト信号を送信する。この際、携帯機12と車載機10とは互いに通信可能領域内に存在するので、携帯機12は、リクエスト信号に応答してレスポンス信号を送信する。そして、車載機10は、リクエスト信号を送信した後に携帯機12の発するレスポンス信号を受信した場合、照合結果に応じて、自己の車両に搭乗していた乗員が車両から離れたとして車両のドアをロックすべくドアコントロールモータ24を駆動する。
【0022】
このように、本実施例のシステムにおいては、車載機10は、リクエスト信号を送信した後にそのリクエスト信号に応答して携帯機12が発するレスポンス信号に基づいて、車両のドアが施錠または解錠されるようにドアコントロールモータ24を制御する。従って、本実施例のシステムによれば、車両乗員がドアキーをドア錠に差し込むことなく、また、車両乗員が何ら操作を行うことなく、ドアを非接触で遠隔的に施錠・解錠することが可能となる。
【0023】
図2は、携帯機12が備える送信部38及びアンテナ36の電気的構成を表す回路構成図を示す。図2に示す如く、携帯機12は、コード生成部(図示せず)と、発振回路部40と、を備えている。携帯機12は、レスポンス信号を送信すべき状況下において自己の識別IDコードに応じた信号をコード生成部から発振回路部40へ向けて供給する。
【0024】
コード生成部の出力端子は、発振回路部40の入力端子42に接続されている。入力端子42には、抵抗44を介して、印加電圧に応じて静電容量が変化するバリキャップダイオード46の一端、及び、発振周波数の波形を発する例えばSAW振動子等の共振子48の一端が接続されている。バリキャップダイオード46の他端は、基準GND47に接地されている。また、共振子48の他端はトランジスタ50のベース端子50bに接続されている。トランジスタ50のベース端子50bは、抵抗52を介して基準GND47に接地されていると共に、抵抗54を介して直流電源の+端子56に接続されている。直流電源の+端子56は、コイル負荷58を介してトランジスタ50のコレクタ端子50cに接続されていると共に、コンデンサ60を介して基準GND47に接地されている。トランジスタ50のベース端子50bは、また、コンデンサ62を介してエミッタ端子50eに接続されている。トランジスタ50のエミッタ端子50eは、抵抗64及びコンデンサ66を介して基準GND47に接地されている。本実施例において、基準GND47は直流電源の−端子である。
【0025】
携帯機12は、また、アンテナ共振部70を備えている。アンテナ共振部70は、放射素子72と、該放射素子72に直列に接続する共振用コンデンサ74と、を備えている。共振用コンデンサ74は、可変容量型のコンデンサである。放射素子72の他端及び共振用コンデンサ74の他端は共に、基準GND47に接地されている。すなわち、携帯機12において、発振回路部40とアンテナ共振部70とは、基準GND47を介して接続されている。
【0026】
図3は、携帯機12が内蔵するプリント基板上における送信部38及びアンテナ36のパターンレイアウトの一例を示す。図3に示す如く、基準GND47は、プリント基板上に、ベタパターンで形成したベタパターン部47aと、ベタパターン部47aに比してパターン幅を細く形成したラインパターン部47bと、により構成されている。また、アンテナ共振部70の放射素子72は、プリント基板上に形成されたパターンによるアンテナにより構成されており、アンテナ共振部70は、ループアンテナとして機能する。
【0027】
放射素子72のパターンの他端は基準GND47のラインパターン47bに接続されており、共振用コンデンサ74の他端は基準GND47のベタパターン部47aに接続されている。また、バリキャップダイオード46の他端は、ラインパターン部47bに接続されている。放射素子72のパターンの他端がラインパターン部47bに接続する第1の接続点Aと、バリキャップダイオード46の他端がラインパターン部47bに接続する第2の接続点Bとは、互いにラインパターン部47b上において近接配置されている。また、上記したトランジスタ50のベース端子50bは、抵抗52を介してラインパターン部47bの端部に接続されている。抵抗52がラインパターン部47bに接続する点を第3の接続点Cと称す。
【0028】
図4は、本実施例のトランジスタ50のベース端子50bに現れるベース電位の時間変化を表した図を示す。上記した携帯機12の回路構成において、発振回路部40が共振子48の機能により発振状態にあると、トランジスタ50のベース端子50bに、図4に示す如く、基準GND47に対して直流バイアス電圧Vbを中心にして発振周波数で交流的に変動する電圧が現れる。
【0029】
本実施例において、抵抗52の抵抗値を例えば10kΩとし、共振子48の発振周波数でのインピーダンスを例えば20Ωとすると、ベース端子50b側から共振子48を介して基準GND47へ至る経路の抵抗は小さく、また、ベース端子50b側から抵抗52を介して基準GND47へ至る経路の抵抗は大きいため、トランジスタ50のベース電位の変動は、第3の接続点Cに伝わり難い一方、第2の接続点Bに伝わり易くなる。この場合には、ベース端子50b側から共振子48を介して基準GND47へ流れる電流が発振回路部40の発振周波数で振動することとなる。
【0030】
また、本実施例において、基準GND47のベタパターン部47aとラインパターン部47bとはプリント基板上でパターンにより接続されているため、その間の抵抗は例えば5mΩと小さい。また、アンテナ共振部70において放射素子72と共振用コンデンサ74とが発振周波数に極めて近い共振周波数で直列共振される状況下では、ラインパターン部47bの第1の接続点Aから放射素子72及び共振用コンデンサ74を介してベタパターン部47aへ至る経路(すなわち、アンテナ共振部70)のインピーダンスは、理想的には“0”であるが、実際には損失が存在するため例えば5mΩとなる。更に、上述の如く、第1の接続点Aと第2の接続点Bとは、互いにラインパターン部47b上において近接配置されている。
【0031】
このため、本実施例において、ベース端子50b側から共振子48を介して基準GND47へ流れた電流の一部は、第1の接続点Aから放射素子72及び共振用コンデンサ74を介して基準GND47のベタパターン部47aへ流通することとなる。従って、放射素子72を流通する電流により電波が放射されるため、放射素子72はアンテナとして作用することとなる。
【0032】
本実施例において、コード生成部から発振回路部40へ識別IDコードに応じた信号が供給されると、その信号のハイレベル・ローレベルに応じてバリキャップダイオード46の容量が変化し、発振回路部40の発振周波数が変化する。このため、放射素子72は、発振回路部40に入力される識別IDコードのレベルに応じた発振周波数の電波を放射する。すなわち、本実施例において、携帯機12は、レスポンス信号として識別IDコードに従ったFSK信号を放射素子72から送信する。
【0033】
次に、上記図3と共に、図5を参照して、本実施例の特徴部について説明する。図5(A)は、本実施例において発振回路部40側からアンテナ共振部70側を見た際のインピーダンスと発振周波数fとの関係を表した図を示す。また、図5(B)は、アンテナ共振部70自体のインピーダンスと発振周波数fとの関係を表した図を示す。尚、図5(A)及び(B)において、変動前の周波数特性を実線で、変動後の周波数特性を破線で、それぞれ示している。
【0034】
上述の如く、基準GND47のベタパターン部47aとラインパターン部47bとはプリント基板上でパターンにより接続されているため、その間の抵抗は極めて小さい値となる。従って、本実施例において、発振回路部40は、図3に示す如く基準GND47を基準にして基本的に閉じた回路を構成することとなる。このため、本実施例の携帯機12の回路構成によれば、アンテナ共振部70のインピーダンス変動が生じても、その変動が発振回路部40に及ぼす影響を小さく抑制することが可能となる。
【0035】
また、アンテナ共振部70は、図5(B)に示す如く直列共振時においてインピーダンスが極めて低くなる周波数特性を有する。従って、仮にアンテナ共振部70と発振回路部40とが基準GND47を介することなく接続されている構成では、放射素子72に人の指や金属が近づくと、発振回路部40側から見たアンテナ共振部70の周波数特性が図5(B)に実線で示す状態から破線で示す状態に変化し(同図に白抜き矢印で示す)、そのインピーダンスが図5(B)に黒塗り矢印で示す如く大きく変動する。このため、かかる構成では、発振回路部40における発振周波数の変動や異常発振が生じてしまう。
【0036】
これに対して、本実施例において、仮に基準GND47のベタパターン部47aとラインパターン部47bとの間の抵抗を5mΩとし、また、直列共振時におけるアンテナ共振部70のインピーダンスを5mΩとすると、発振回路部40側から見た際のアンテナ共振部70のインピーダンスは、図5(A)に示す如く、直列共振時に2.5mΩとなると共に、発振周波数が直列共振周波数以外であっても2.5mΩ〜5.0mΩの間となる。従って、本実施例の回路構成においては、放射素子72に人の指や金属が近づいても、発振回路部40側から見たアンテナ共振部70の周波数特性が図5(A)に実線で示す状態から破線で示す状態に変化する(同図に白抜き矢印で示す)が、そのインピーダンスは図5(A)に黒塗り矢印で示す如くあまり大きく変動することはない。このため、アンテナ共振部70のQ値を増大させ、強い共振状態を実現することとしても、アンテナ共振部70のインピーダンス変動が発振回路部40の発振周波数に与える影響は小さい。
【0037】
このように、本実施例においては、アンテナ共振部70のインピーダンス変動が発振回路部40へ与える影響を小さく抑制するうえで、発振回路部40とアンテナ共振部70との間に両者の結合を小さくするためのバッファアンプ等を挿入する必要はなく、両者を基準GND47を介して接続すれば足りる。従って、本実施例の携帯機12の回路構成によれば、簡素な構成でアンテナ共振部70のインピーダンス変動が発振回路部40へ与える影響を小さく抑制することが可能となっている。
【0038】
ところで、基準GND47のラインパターン部47bのパターン幅が細くなるほど、ラインパターン部47bとベタパターン部47aとの間の抵抗が大きくなる。この場合、トランジスタ50のベース端子50b側から共振子48を介して基準GND47へ流れた電流は、ラインパターン部47bから直接にベタパターン部47aへは流通し難くなり、放射素子72側へ流通し易くなる。すなわち、ベース端子50b側から共振子48を介して基準GND47へ流れる高周波電流の大部分は、放射素子72側へ流通することとなる。このため、本実施例において、基準GND47のラインパターン部47bのパターン幅を細くすることとすれば、発振回路部40の共振子48による発振振動がアンテナ共振部70へ効率よく伝わり、発振回路部40の発振を安定させることが可能となる。
【0039】
図6は、アンテナ共振部70の出力強度と共振用コンデンサ74の容量値VCとの関係を表した図を示す。尚、図6においては、放射素子72のL値がL0である場合を実線で、L1である場合を破線で、それそれ示している。上述の如く、アンテナ共振部70の放射素子72は、プリント基板上に形成されたパターンによるアンテナにより構成されている。かかる構成においては、プリント基板上のパターンの太さはエッチング量に応じて変化するため、その量の大小により放射素子72のL値にバラツキが生ずるおそれがある。
【0040】
しかしながら、本実施例においては、アンテナ共振部70が、放射素子72と直列に接続した可変容量型の共振用コンデンサ74を備えている。かかる構成においては、放射素子72のL値にバラツキが生じても、共振用コンデンサ74の容量VCを変化させることにより、直列共振周波数を発振回路部40の発振周波数と同一に調整することができ、アンテナ共振部70の出力強度を最大強度に調整することが可能となる。従って、本実施例の構成によれば、放射素子72に電気的なバラツキが生じても常に同一の出力強度を確保することが可能となっている。
【0041】
尚、上記の実施例においては、携帯機12が特許請求の範囲に記載された「携帯型送信機」に、発振回路部40が特許請求の範囲に記載された「発振回路」に、アンテナ共振部70が特許請求の範囲に記載された「アンテナ」に、基準GND47が特許請求の範囲に記載された「所定の基準電位ライン」に、第1及び第2の接続点A,Bが特許請求の範囲に記載された「第1の接続点」及び「第2の接続点」に、共振用コンデンサ74が特許請求の範囲に記載された「可変容量コンデンサ」に、それぞれ相当している。
【0042】
ところで、上記の実施例においては、携帯型送信機として機能する携帯機12を、車両のドアを遠隔的に施錠・解錠する車載機器遠隔制御システムに用いることとしているが、例えば車両のイグニションシステムや車両以外のドアの施錠・解錠等の携帯機12を送信機として用いる各種システムに適用することも可能である。また、携帯機12を、乗員が何ら操作することなく車両ドアの施錠・解錠を行ういわゆるスマートエントリーシステムに用いることとしているが、携帯機を送信機として用いる、乗員の操作に従って車両ドアの施錠・解錠を行ういわゆるワイヤレスシステムに適用することも可能である。
【0043】
また、上記の実施例においては、アンテナ共振部70の放射素子72をプリント基板上に形成されたパターンによるアンテナとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば板金やワイヤにより構成されるアンテナエレメントとしてもよい。
【0044】
また、上記の実施例においては、発振回路部40が識別IDコードをFSK変調する回路であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、発振回路部を識別IDコードにASK変調等を施す回路で実現することとしてもよい。
【0045】
また、上記の実施例においては、アンテナ共振部70が、放射素子72と直列に接続した共振用コンデンサ74を備えているが、更に、共振用コンデンサ74に並列に挿入したダンプ抵抗を備えることとしてもよい。この場合には、図6に示す波形が傾斜の緩やかなものとなり、アンテナ共振部の出力強度(すなわち、アンテナ効率)を下げることが可能となる。
【0046】
更に、上記の実施例においては、発振回路部40とアンテナ共振部70とを基準GND47を介して接続することとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、直流電源の+端子56を介して接続することとしてもよい。すなわち、図7は、本発明の変形例の携帯機100が内蔵するプリント基板上における送信部のパターンレイアウトの要部を示す。
【0047】
かかる変形例において、直流電源の+端子56は、図7に示す如く、プリント基板上に形成されたラインパターン部102に接続されている。アンテナ共振部70の放射素子72は、パターンの一端が共振用コンデンサ74を介して基準GND47に接続され、他端がラインパターン部102に接続される構成を有している。また、コンデンサ60は、発振周波数においてインピーダンスが小さくなるバイパスコンデンサである。
【0048】
かかる構成において、トランジスタ50のコレクタ電位の変動がコレクタ端子側に存在するラインパターン部102へ伝わる。この場合には、ラインパターン部102から放射素子72及び共振用コンデンサ74を介して基準GND47へ至る経路のインピーダンスは小さいため、ラインパターン部102へ流入した電流は、放射素子72側へ流通することとなる。従って、かかる変形例においても、放射素子72はアンテナとして作用する。また、ラインパターン部102よりコンデンサ60を経由し基準GND47に至る経路は、上記図3におけるラインパターン部47bに比して比較的短い距離で基準GND47に接続されたものと同様の作用となる。このため、発振回路40側から見たラインパターン部102側のインピーダンスは、上記図5に示す状態となる。従って、かかる変形例においても、上記した実施例と同様の効果を得ることが可能となる。
【発明の効果】
上述の如く、請求項1記載の発明によれば、簡素な構成でアンテナのインピーダンス変動が発振回路側に与える影響を小さく抑制することができる。
【0049】
請求項2及び3記載の発明によれば、発振回路の発振振動をアンテナへ効率よく伝達することができる。
【0050】
また、請求項4記載の発明によれば、アンテナに電気的なバラツキが生じても常に同一の出力強度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である携帯型送信機を備える車載機器遠隔制御システムのシステム構成図である。
【図2】本実施例の携帯機が備える送信部の電気的構成を表す回路構成図である。
【図3】本実施例の携帯機が内蔵するプリント基板上における送信部のパターンレイアウトである。
【図4】本実施例の携帯機が備えるトランジスタのベース端子に現れるベース電位の時間変化を表した図である。
【図5】図5(A)は、本実施例において発振回路部側からアンテナ共振部側を見た際のインピーダンスと発振周波数との関係を表した図である。また、図5(B)は、アンテナ共振部自体のインピーダンスと発振周波数との関係を表した図である。
【図6】本実施例におけるアンテナ共振部の出力強度と共振用コンデンサの容量値との関係を表した図である。
【図7】本発明の変形例の携帯機が内蔵するプリント基板上における送信部のパターンレイアウトの要部である。
【符号の説明】
12 携帯機
40 発振回路部
47 基準GND
70 アンテナ共振部
72 放射素子
74 共振用コンデンサ
Claims (4)
- 発振回路と、前記発振回路で生成された電波を放射するアンテナと、を備える携帯型送信機において、
前記アンテナが、前記発振回路との電気的な接続を所定の基準電位ライン以外で有さないことを特徴とする携帯型送信機。 - 請求項1記載の携帯型送信機において、
前記所定の基準電位ラインを、前記アンテナの一端が接続される第1パターンと該アンテナの他端が接続される第2パターンとにより構成し、
前記発振回路の共振子を、バリキャップダイオードを介して、前記アンテナの放射素子が接続する前記第2パターンに接続したことを特徴とする携帯型送信機。 - 請求項2記載の携帯型送信機において、
前記第2パターンの幅を前記第1パターンの幅よりも細くしたことを特徴とする携帯型送信機。 - 請求項2又は3記載の携帯型送信機において、
前記アンテナは、放射素子と、出力強度調整を行うべく前記放射素子と前記第1パターンとの間に挿入されて接続される可変容量コンデンサと、からなることを特徴とする携帯型送信機。
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