JP3622623B2 - コンバイン - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は、コンバインに関するものである。
【従来の技術】
【0002】
従来公知の、特公昭59−2246号公報には、脱穀室の側部に設ける穀稈供給装置を前側穀稈供給装置と後側穀稈供給装置とに分割形成した脱穀装置を搭載するコンバインが記載されている。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の特公昭59−2246号公報に記載されたコンバインの脱穀装置において、前側穀稈供給装置と後側穀稈供給装置とは共に開閉不能であるため、これら前側穀稈供給装置及び後側穀稈供給装置の奥側部分(即ち、脱穀室)のメンテナンスを容易に行うことができず、藁屑の溜り等によって脱穀作業を円滑に行えなくなる欠点がある。
【0004】
また、前側穀稈供給装置と後側穀稈供給装置とを一体で左右方向開閉可能に構成した場合、この穀稈供給装置が長尺の重量物であるがために、開放時、その開閉支点部に過大なモーメントが掛かり、この開閉支点部に変形や破損を来し易くなる。このため、開閉支点部を強固に構成せねばならず、その構造が複雑になって安価に提供できなくなる欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の如き課題を解決するために、以下のような技術的手段を講じる。
【0006】
即ち、脱穀室31の側部に設ける穀稈供給装置29を前側穀稈供給装置76と後側穀稈供給装置30とに分割形成し、前記前側穀稈供給装置76を左右方向開閉不能に構成すると共に、前記後側穀稈供給装置30を、機体フレ−ム1と脱穀装置3とを連結し前記前側穀稈供給装置76を支持する支持フレ−ム39に回動自在に取付けて該後側穀稈供給装置30を前側を中心として左右方向開閉可能に構成し、刈取部入力プ−リ46に、ミッションケ−ス44に設けた油圧式無段主変速装置45からの回転を伝達して、走行装置2の走行速度と刈取部4の作業速度とを共に変速できるように構成し、前記穀稈供給装置29のうちの後側穀稈供給装置30にエンジン43の一定回転を常時伝達して該後側穀稈供給装置30の搬送速度を一定とする一方、刈取部4で刈取った穀稈を後方の脱穀装置3に向かって搬送する後側株元搬送装置17の搬送速度と前記穀稈供給装置29のうちの前側穀稈供給装置76の搬送速度とを刈取部4の作業速度に同調して変速されるものとして、前記後側穀稈供給装置30の搬送速度Aと前側穀稈供給装置76の搬送速度Bと後側株元搬送装置17の搬送速度CとをA<B<Cの関係とし、且つ、前記油圧式無段主変速装置45により走行装置2を停止させると刈取部4および前側穀稈供給装置76が停止する一方、前記ミッションケ−ス44内の副変速装置により機体を停止させたときは、油圧式無段主変速装置45から刈取部4および前側穀稈供給装置76に回転を伝達して刈取部4によって搬送中の穀稈を脱穀装置3に供給できるように構成したことを特徴とするコンバインの構成としたものである。
【0007】
脱穀作業においては、脱穀室31の側部に設ける穀稈供給装置29によって穀稈を搬送し、この搬送中の穀稈に脱穀室31内部の扱胴の作用を与えて脱穀処理する。
【0008】
このような脱穀装置において、穀稈供給装置29は前側穀稈供給装置76と後側穀稈供給装置30とに分割形成されており、前側穀稈供給装置76は左右方向開閉不能であるものの、後側穀稈供給装置30は前側を中心として左右方向に開閉可能である。
【0009】
従って、後側穀稈供給装置30を前側を中心として左右方向へ開放することにより、該後側穀稈供給装置30によって邪魔されていた奥側部分(即ち、脱穀室31)のメンテナンスを容易に行うことができるようになる。
【0010】
また、このように、前側穀稈供給装置76を残し、後側穀稈供給装置30のみが左右方向に開放するため、前側穀稈供給装置76と後側穀稈供給装置30とが一体で開放する構成に比較して、開放時、この後側穀稈供給装置30の開閉支点部にかかる負荷が小さくなる。
【0011】
また、刈取脱穀作業中においては、後側穀稈供給装置30の搬送速度Aと前側穀稈供給装置76の搬送速度Bと後側株元搬送装置17の搬送速度CとをA<B<Cの関係としているため、刈取穀稈が、後側株元搬送装置17から前側穀稈供給装置76への引継ぎで減速され、前側穀稈供給装置76から後側穀稈供給装置30への引継ぎで減速され、後側穀稈供給装置30に向けて搬送されるに従い穀稈の量が多くなって厚くなり、搬送速度も次第に遅くなる。
【0012】
また、油圧式無段主変速装置45により走行装置2を停止させると刈取部4および前側穀稈供給装置76は停止し、また、ミッションケ−ス44内の副変速装置により機体を停止させたときは、油圧式無段主変速装置45から刈取部4および前側穀稈供給装置76に回転が伝達できる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明は、脱穀室31の側部に設ける穀稈供給装置29を前側穀稈供給装置76と後側穀稈供給装置30とに分割形成し、前記前側穀稈供給装置76を左右方向開閉不能に構成すると共に、前記後側穀稈供給装置30を、機体フレ−ム1と脱穀装置3とを連結し前記前側穀稈供給装置76を支持する支持フレ−ム39に回動自在に取付けて該後側穀稈供給装置30を前側を中心として左右方向開閉可能に構成したので、後側穀稈供給装置30を前側を中心として左右方向へ開放することにより、該後側穀稈供給装置30によって邪魔されていた奥側部分(即ち、脱穀室31)のメンテナンスを容易に行うことができ、脱穀作業を円滑に行うことができる。
【0014】
また、前側穀稈供給装置76を残し、後側穀稈供給装置30のみが左右方向に開放するため、前側穀稈供給装置76と後側穀稈供給装置30とが一体で開放する構成に比較して、開放時、この後側穀稈供給装置30の開閉支点部にかかる負荷が小さくなり、この開閉支点部の構成を簡素化して安価に提供することができる。しかも、後側穀稈供給装置30を、機体フレ−ム1と脱穀装置3とを連結し前側穀稈供給装置76を支持する支持フレ−ム39に回動自在に取付けて該後側穀稈供給装置30を前側を中心として左右方向開閉可能に構成したので、支持フレ−ム39により機体全体の剛性を向上させ、なお且つ、前側穀稈供給装置76と後側穀稈供給装置30とを強固に支持できるものとなる。
【0015】
また、刈取脱穀作業においては、後側穀稈供給装置30の搬送速度Aと前側穀稈供給装置76の搬送速度Bと後側株元搬送装置17の搬送速度CとをA<B<Cの関係としているため、刈取穀稈を、後側株元搬送装置17から前側穀稈供給装置76への引継ぎで減速させ、前側穀稈供給装置76から後側穀稈供給装置30への引継ぎで減速させ、後側穀稈供給装置30に向けて搬送されるに従い穀稈の量を多くして厚くでき、搬送速度も次第に遅くできて搬送姿勢を良好にすることができる。
【0016】
また、油圧式無段主変速装置45により走行装置2を停止させると刈取部4および前側穀稈供給装置76は停止するので、作業が確実となり操作性を向上させることができ、また、ミッションケ−ス44内の副変速装置により機体を停止させたときは、油圧式無段主変速装置45から刈取部4および前側穀稈供給装置76に回転を伝達できるので、刈取部4等により搬送中の穀稈を脱穀装置3に供給することができる。
【発明の実施の形態】
【0017】
本発明の実施の形態を図により説明すると、1はコンバインの機体フレーム、2は機体フレーム1の下方に設けた走行装置、3は機体フレーム1の上方に設けた脱穀装置、4は機体フレーム1の前方に設けた刈取部、5は前記刈取部4の分草体、6は引起装置、7は掻込装置、8は刈刃、9は前側株元搬送装置、10は前側穂先搬送装置、11は後側集束装置、12は刈取部フレームである。刈取部4は、刈取部フレーム12に支持パイプ13の下部を固定し、支持パイプ13の基部に固定の横筒14を機体側に設けた支持台15の上部に回動自在に取付ける。横筒14および支持パイプ13内のそれぞれには前記刈取部4に動力を伝達する伝動軸等を内蔵させている。16は刈取上下シリンダ、17は刈取部4で刈取った穀稈を後方の脱穀装置3に向かって搬送する後側株元搬送装置、18は後側穂先搬送装置であり、これらは、公知の構成で、前記後側株元搬送装置17は搬送チエン19と該搬送チエン19の近傍に対向させて設けた挾扼杆20とにより構成される。図示は省略するが、前記搬送チエン19は、案内レールと該案内レールを取付けたフレームに設けた縦軸回転の複数の案内ローラに掛け回され、前記フレームの基部を前記支持パイプ13の上部の横筒14側に回動自在に取付けることにより前記各前側株元搬送装置9および前側穂先搬送装置10の終端の引継点に臨む搬送チエン19の始端部が上下するようにし、もって前記脱穀装置3に供給する扱深さを調節自在に構成されている。21は扱深さ調節装置、22は稈長検出スイッチである。
【0018】
前記後側穂先搬送装置18は搬送ラグ23を起伏自在に取付けたチエンをケース24内の縦軸回転の駆動機構に巻回し、ケース24の基部を支持パイプ13の上部の横筒14側に回動自在に取付ける。25は取付アーム、26は取付部材、27は前記後側穂先搬送装置18の案内ガイドである。
【0019】
しかして、前記脱穀装置3の側部には、脱穀室31に穀稈を供給する穀稈供給装置29を設ける。穀稈供給装置29は、所謂挾扼杆と搬送チエンにより穀稈を挾持搬送する構成であるが、前後に分割して構成し、穀稈供給装置29のうち前側穀稈供給装置76は後側株元搬送装置17および後側穂先搬送装置18の終端部と前記脱穀装置3の脱穀室31の始端部側との間に設け、前後方向のチエン案内レール77の前後両端に一対の横軸回転の受動歯車78、78を取付け、該受動歯車78、78に前側供給搬送チエン80を掛け回す。チエン案内レール77の中間部は取付部材79の上部に固定し、取付部材79は支持フレーム39に取付ける。支持フレーム39は側面視L型形状に屈曲させ、その下部を前記機体フレーム1に固定し、上部後端は脱穀装置3の前板に固定する。81は別途設けた案内歯車であり、テンション歯車を兼用する。また、83は駆動歯車である。
【0020】
前記前側供給搬送チエン80の始端部は、後側株元搬送装置17の搬送チエン19の終端部下方に臨ませ、前側供給搬送チエン80の上方位置には挾扼杆に相当する案内ガイド85を設ける。案内ガイド85は、後側株元搬送装置17および後側穂先搬送装置18の終端部より前記前側供給搬送チエン80の始端部の上方に臨むように、その基部を後側株元搬送装置17および後側穂先搬送装置18側に取付けている。案内ガイド85は、具体的には、穀稈の搬送方向と平行(前後方向)の軸部材により形成し、案内ガイド85の始端部は穀稈の搬送方向と交差する方向に屈曲させて屈曲部に形成し、該屈曲部を前記後側穂先搬送装置18の案内ガイド27の取付部材26の終端部に回転自在かつ搬送方向と交差する方向に摺動自在に取付け、案内ガイド85は前側供給搬送チエン80の始端部上方に位置するようにバネにより付勢している。
【0021】
30は脱穀室31の側部に位置する後側穀稈供給装置であり、後側供給搬送チエン32と挾扼杆33により構成される。挾扼杆33は脱穀装置3の上部カバー34の側縁に取付けられ、その前端部は脱穀装置3の前板よりやや前側に突出して位置し、上部カバー34を上方に開放させるとこれに伴なって上動するようにしている。前記後側供給搬送チエン32は前後方向の案内レール35の始端部に設けた受動歯車36と終端部に設けた駆動歯車37との間に掛け回し、後側供給搬送チエン32の始端部は前記挾扼杆33の前端部下方の穀稈を挾持する挾持作用開始点より前側に形成した供給部28に臨ませ、終端は排藁搬送装置94の始端部に臨ませている。
【0022】
前記案内レール35は、その始端部側に縦柱38の上部を固定し、縦柱38の下部を前記支持フレーム39に回動自在に取付け、前記後側供給搬送チエン32が始端側を中心に終端側が外側回動するように構成する。前記縦柱38は前記供給部28近傍に位置し、回動支点を後側になるように設定できる。案内レール35の終端部は任意のロック装置97により機体側に固定する。また、図示は省略するが、前記駆動歯車37と機体側との間に接続機構を設けて着脱自在に構成している。
【0023】
40は側部カバーであり、側部カバー40は前記案内レール35側に取付けられ、側部カバー40と案内レール35は一体的に外側回動するように構成している。
【0024】
43はエンジン、44は前記支持台15を取付けた前記走行装置2に動力を伝達するミッションケース、45はミッションケース44に設けた油圧式無段主変速装置、46は前記横筒14に設けた刈取部入力プーリであり、刈取部入力プーリ46には走行装置2のミッションケース44へ至る伝動経路とは分岐した油圧式無段主変速装置45からの伝動経路により回転が伝達され、走行装置2の走行速度と刈取部4の作業速度とを共に最適な速度に変速している。47はエンジン43のエンジン出力プーリ、48は油圧式無段主変速装置45に設けたエンジン出力受動プーリ、49はベルト、50は油圧式無段主変速装置45とミッションケース44の間に設けたギヤボックス、51は軸受、52はギヤボックス50と軸受51の間に設けた後述する刈取部変速装置、53、54はプーリ、55はベルト、56はギヤケース、57は刈取部出力プーリ、58はベルト、59は前記脱穀装置3へ出力する出力プーリである。
【0025】
前記刈取部変速装置52は、ベルト62と駆動割プーリ63と受動割プーリ64とにより構成され、駆動割プーリ63および受動割プーリ64はそれぞれカム体65、66により幅を広狭に調節して有効直径を変更して無段変速するが、カム体65、66は互いに反対に作用するように構成し、それぞれにはアーム67を設け、各アーム67をロッド68により連結し、ロッド68をモータ69により移動するロッド70により移動させる。71はロッド70の基部に設けたコマ、72はコマ71を螺合させた前記モータ69により回転するネジ軸、73は前記コマ71の回り止めガイドである。
【0026】
刈取部変速装置52は走行装置2の走行速度に対して刈取部4の作業速度を独自に変速させ、倒伏穀稈の刈取作業のときは刈取部4の作業速度を早くさせる。なお、刈取部変速装置52により刈取部4の作業速度を独自に変更するだけでなく、前記ミッションケース44内の副変速装置により変速される走行装置2の走行速度に刈取部4の作業速度を対応させる構成とすることも可能である。そして、前記受動割プーリ64はその回転軸74に一方向回転伝達クラッチ(ワンウェイクラッチ)75を介して取付け、前記油圧式無段主変速装置45が逆回転に変速したときに、刈取部4にこの逆回転を伝達しないように構成している。
【0027】
しかして、前記穀稈供給装置29のうち後側穀稈供給装置30は、エンジン43の一定回転を常時伝達して搬送速度を一定とするが、穀稈供給装置29のうち前側穀稈供給装置76の搬送速度は駆動歯車83を前記ギヤケース56より突出す回転軸82に固定して刈取部変速装置52により刈取部4の作業速度に同調して変速させる。また、後側株元搬送装置17および後側穂先搬送装置18は刈取部4に伝達された回転により駆動させるので、刈取部4の作業速度に同調して変速される。
【0028】
図11は、前記刈取部4の作業速度と、後側株元搬送装置17と後側穂先搬送装置18および前側穀稈供給装置76の搬送速度と、走行装置2の走行速度を制御する制御機構を示し、前記扱深さ調節装置21に設けた稈長検出スイッチ22と、前記ミッションケース44に設けた車速センサ86と、前記油圧式無段主変速装置45の主変速操作レバー87の位置検知センサ(ポテンショメータ)88と、刈取クラッチ操作レバー89の入切検知スイッチ90のそれぞれによりあつめられたデータにより前記刈取部変速装置52のモータ69を制御している。
【0029】
また、後側穀稈供給装置30の搬送速度Aと、前側穀稈供給装置76の搬送速度Bと、後側株元搬送装置17および後側穂先搬送装置18の搬送速度Cとは、A<B<Cの関係にすることもある。即ち、後側株元搬送装置17および後側穂先搬送装置18から前側穀稈供給装置76への引継ぎで減速され、前側穀稈供給装置76から後側穀稈供給装置30への引継ぎで減速され、後側穀稈供給装置30に向けて搬送されるに従い穀稈の量が多くなって厚くなり、搬送速度も次第に遅くなるので搬送姿勢が良好となる。
【0030】
図中、92は扱胴、93は扱網、94は排藁搬送装置、95は脱穀装置3の後部に設けた結束装置またはカッタを有する排藁処理部、96はグレンタンクである。
【0031】
次に作用を述べる。以上の構成であり、エンジン43を始動させると、この回転が油圧式無段主変速装置45に伝達され、運転席の操作レバー87の操作により油圧式無段主変速装置45が回転数を無段階に変速して走行装置2のミッションケース44に伝達して機体を前進させ、他方、ミッションケース44から刈取部入力プーリ46に伝達されて刈取部4の各部を作動させ、分草体5により分草し、分草された穀稈を引起装置6により引起し、引起した穀稈を掻込装置7により掻込みながら根元側を刈刃8により切断し、刈取られた穀稈の根元側は前側株元搬送装置9により穂先側は前側穂先搬送装置10により引継点まで搬送され、引継点まで搬送された穀稈の株元は後側株元搬送装置17の縦軸回転の歯車と回転する搬送チエン19と挾扼杆20により挾持搬送され、穂先側は案内ガイド27により案内されて後側穂先搬送装置18の搬送ラグ23により搬送される。
【0032】
そして、後側株元搬送装置17および後側穂先搬送装置18の終端部で、横軸回転の受動歯車78に掛け回された前側穀稈供給装置76の前側供給搬送チエン80と該前側供給搬送チエン80の上方の案内ガイド85の間に引継ぎ、前側穀稈供給装置76は後側穀稈供給装置30の後側供給搬送チエン32に引継いて脱穀装置3の脱穀室31に供給し、回転する扱胴92により脱穀し、脱穀物を選別して機外に取出し、脱穀済の排藁は排藁搬送装置94により排藁処理部95に搬送して処理する。
【0033】
前記の場合、穀稈は後側株元搬送装置17および後側穂先搬送装置18の終端部では起立状態であるが、案内ガイド27により案内されて横倒しにされながら横軸回転の前側供給搬送チエン80に引継ぐので、穀稈の搬送姿勢の乱れがなく、そのまま、穀稈を横倒し状態の最終姿勢で後側穀稈供給装置30の後側供給搬送チエン32に引継ぐので、穀稈の落下を防止して引継を確実にする。また、前側穀稈供給装置76が後側穀稈供給装置30の後側供給搬送チエン32と平行であって内側に位置しているから、側面視重合させることができて、搬送作用が完全に連続して、穀稈の停滞等を防止して引継が確実となるだけでなく、特に短穀稈の搬送が確実となる。また、後側供給搬送チエン32の始端部は前記挾扼杆33の下方の穀稈を挾持する挾持作用開始点より前側に形成した供給部28に臨ませているから、枕扱ぎの穀稈の投入に支障がない。また、前側穀稈供給装置76の始端部は後側株元搬送装置17の終端部下方に臨ませ、また、後側穀稈供給装置30の後側供給搬送チエン32の始端部は前側供給搬送チエン80の終端部下方に臨ませているから、各引継部における引継は良好に行われる。
【0034】
前記前側供給搬送チエン80の駆動歯車83は、前後の受動歯車78の間の側部に設けたギヤケース56より突出する回転軸82に設けているから、駆動歯車83と前後の受動歯車78とのそれぞれの位置関係を正確に配置することができ、確実に作動させる。また、ギヤケース56の入力プーリ54の部分にクラッチ41を設けているので、刈取部4を停止させると前側穀稈供給装置76も停止し、またスタートの同調もなされて引継が良好となり、穀稈の搬送姿勢も良好となる。
【0035】
また、ギヤケース56はステー42により脱穀装置3の前板に固定しているから、前側穀稈供給装置76と後側株元搬送装置17および後側穂先搬送装置18と後側穀稈供給装置30との位置関係も固定でき、作動が確実となる。
【0036】
そして、油圧式無段主変速装置45により走行装置2を停止させると刈取部4および前側穀稈供給装置76は停止するので、作業が確実となり操作性が向上し、また、ミッションケース44内の副変速装置により機体を停止させたときは、油圧式無段主変速装置45から刈取部4および前側穀稈供給装置76に回転を伝達しているので、刈取部4等により搬送途中の穀稈を脱穀装置3に供給できる。
【0037】
しかして、油圧式無段主変速装置45は逆回転をミッションケース44に伝達するが、刈取部変速装置52の受動割プーリ64は回転軸74に一方向回転伝達クラッチ75を介して取付けているので、刈取部4および前側穀稈供給装置76等に逆回転が伝達されるのを防止している。このとき、回転軸74に一方向回転伝達クラッチ75を設け、回転軸74は機体フレーム1の側部上面に設けた軸受51に設けているので、メンテナンスを容易に行なえる。
【0038】
しかして、圃場の穀稈が倒伏状態の場合は、走行速度に対して刈取部4の作業速度が遅いと、充分に倒伏穀稈を引上げることができないことがあるが、刈取部変速装置52を作動させることにより刈取部4へ伝達する回転を上昇させると、確実に作業が行なえる。即ち、通常は、油圧式無段主変速装置45により走行装置2と刈取部4は比例して変速されるが、刈取部変速装置52により独自に刈取部4の作業速度を変速することにより倒伏穀稈にも対応できる。
【0039】
そして、後側株元搬送装置17、後側穂先搬送装置18および株前側穀稈供給装置76の搬送速度も刈取部変速装置52により変速されるので、刈取部4の作業速度に応じて変更される。
【0040】
しかして、前記後側穀稈供給装置30は、脱穀装置の上部カバー34を持ち上げて挾扼杆33を上動させて後側供給搬送チエン32の上面を開放し、次に、駆動歯車37への伝動の接続を外し、案内レール35の終端と機体側とを固定するロック装置97のロックを解除してから、縦柱38中心に案内レール35の終端部を外側回動させて、後側穀稈供給装置30および脱穀装置3の脱穀室31のメンテナンスを行なう。
【0041】
この場合、穀稈供給装置29は、前側穀稈供給装置76と後側穀稈供給装置30とに分割され、このうち、不必要な部分である前側穀稈供給装置76は回動させず後側穀稈供給装置30のみを回動させるので、回動部分の全長が短かくなるので、モーメントが少なく支持構造が簡単軽量となるばかりでなく、前側穀稈供給装置76の支持構造も簡素でありながら強固にできる。
【0042】
また、後側穀稈供給装置30の後側供給チエン32を、前側を中心として後側を左右方向に開閉させる構造であるから、穀稈詰まりが最も発生する後側を開放してメンテナンスが容易となるだけでなく、刈取部4と脱穀装置3との間の支持フレーム39に取付ければよいので、支持フレーム39の形状の設計の自由度が高く強固な支持構造とすることができる。
【0043】
即ち、支持フレーム39は機体フレーム1と脱穀装置3とを連結するように設けているから、機体全体の剛性を向上させる。また、支持フレーム39に前側穀稈供給装置76のチエン案内レール77の中間部を取付けているから、前側穀稈供給装置76の支持構造も強固になる。
【0044】
以上のように、穀稈供給装置29は、前後に分割され、このうち、不必要な部分である前側穀稈供給装置76は回動させず後側穀稈供給装置30のみを回動させるので、回動部分の全長が短かくなって、回動モーメントが少なく支持構造が簡単軽量となるばかりでなく、前側穀稈供給装置76の支持構造も簡素でありながら強固にできる。
【0045】
また、後側穀稈供給装置30の後側供給チエン32は、穀稈詰まりが最も発生する後側を開放してメンテナンスが容易となるだけでなく、刈取部4と脱穀装置3との間の支持フレーム39に取付ければよいので、支持フレーム39の形状の設計の自由度が高く強固な支持構造とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるコンバインの全体側面図。
【図2】本発明の実施の形態におけるコンバインの全体平面図。
【図3】本発明の実施の形態における要部の側面図。
【図4】本発明の実施の形態における要部の斜視図。
【図5】本発明の実施の形態における伝動機構の説明図。
【図6】本発明の実施の形態における要部の伝動機構の斜視図。
【図7】本発明の実施の形態における伝動機構の説明図。
【図8】本発明の実施の形態における要部の側面図。
【図9】本発明の実施の形態における変速装置の側面図。
【図10】本発明の実施の形態における要部の説明用平面図。
【図11】本発明の実施の形態における制御機構の説明図。
【図12】他の実施例の説明図。
【図13】同作用状態説明図。
【符号の説明】
2 走行装置
3 脱穀装置
4 刈取部
17 後側株元搬送装置
29 穀稈供給装置
30 後側穀稈供給装置
31 脱穀室
43 エンジン
44 ミッションケ−ス
45 油圧式無段主変速装置
46 刈取部入力プ−リ
76 前側穀稈供給装置
A 後側穀稈供給装置の搬送速度
B 前側穀稈供給装置の搬送速度
C 後側株元搬送装置の搬送速度
Claims (1)
- 脱穀室31の側部に設ける穀稈供給装置29を前側穀稈供給装置76と後側穀稈供給装置30とに分割形成し、前記前側穀稈供給装置76を左右方向開閉不能に構成すると共に、前記後側穀稈供給装置30を、機体フレ−ム1と脱穀装置3とを連結し前記前側穀稈供給装置76を支持する支持フレ−ム39に回動自在に取付けて該後側穀稈供給装置30を前側を中心として左右方向開閉可能に構成し、刈取部入力プ−リ46に、ミッションケ−ス44に設けた油圧式無段主変速装置45からの回転を伝達して、走行装置2の走行速度と刈取部4の作業速度とを共に変速できるように構成し、前記穀稈供給装置29のうちの後側穀稈供給装置30にエンジン43の一定回転を常時伝達して該後側穀稈供給装置30の搬送速度を一定とする一方、刈取部4で刈取った穀稈を後方の脱穀装置3に向かって搬送する後側株元搬送装置17の搬送速度と前記穀稈供給装置29のうちの前側穀稈供給装置76の搬送速度とを刈取部4の作業速度に同調して変速されるものとして、前記後側穀稈供給装置30の搬送速度Aと前側穀稈供給装置76の搬送速度Bと後側株元搬送装置17の搬送速度CとをA<B<Cの関係とし、且つ、前記油圧式無段主変速装置45により走行装置2を停止させると刈取部4および前側穀稈供給装置76が停止する一方、前記ミッションケ−ス44内の副変速装置により機体を停止させたときは、油圧式無段主変速装置45から刈取部4および前側穀稈供給装置76に回転を伝達して刈取部4によって搬送中の穀稈を脱穀装置3に供給できるように構成したことを特徴とするコンバイン。
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Applications Claiming Priority (2)
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-
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