JP3621556B2 - 円筒型積層コア及びその製造方法並びにリニアモータ - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば円筒型積層の電動機、発電機、プランジャ等の電磁気応用機器に適用できる円筒型積層コア及びその製造方法並びに円筒型積層コアを用いたリニアモータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図22は例えば米国特許第4602174号に記載された従来のリニアモータの構造を説明する図である。
このリニアモータは、圧縮機の冷媒ピストン5の駆動用として適用されるものであって、C型コア1、このC型コア1のスロット1a内に装着されたコイル2、C型コア1のスロット1a側に配設された可動磁石3およびこの可動磁石3を挟んでC型コア1と相対して配設されたバックヨーク4から構成されている。この可動磁石3は図中矢印で示す方向に着磁され、バックヨーク4は磁路を構成するものである。また、可動磁石3が冷媒圧縮ピストン5に連結されている。
このリニアモータでは、コイル2に電流を流すことにより磁束を発生させ、該磁束がC型コア1とバックヨーク4とで構成される磁路を流れる。そして、コイル2に流す電流の向きを変えることにより、即ちコイル2に交番電流を流すことにより、磁路を流れる磁束の向きを変えている。
そこで、磁束がC型コア1とバックヨーク4とで構成される磁路を流れるように、可動磁石3が移動される。即ち、磁束がC型コア1とバックヨーク4とで構成される磁路を図22中時計回りに流れる場合には、可動磁石3は図22中右方向に移動され、磁束が該磁路を図22中反時計回りに流れる場合には、可動磁石3は図22中左方向に移動されて、可動磁石3が往復移動される。
そして、この可動磁石3の往復移動力が冷媒圧縮ピストン5に伝達され、圧縮機が駆動される。
【0003】
このように構成されたリニアモータでは、図22中紙面に直交する方向に発生する渦電流の影響を抑えることから、C型コア1、可動磁石3およびバックヨーク4を図22中紙面に直交する方向に積層する必要があった。また、コイル2の長さを最短にして高効率化を図ること、加工性の向上を図ることから、C型コア1とバックヨーク4との空隙を円筒型とするのが望ましい。
そこで、図23に示されるように、C型に形成された絶縁被覆された薄板磁性板6を複数枚重ね合わせてコア積層体7を成形し、該コア積層体7を円周上に配列させて、円筒型積層コア8を構成していた。
そして、この円筒型積層コア8を用いてリニアモータを構成するには、円筒型積層コア8の内周に、円筒状の可動磁石(図示せず)およびバックヨーク(図示せず)を同心状に配設し、さらに円筒型積層コア8のスロット内にコイル2を装着することになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の円筒型積層コア8は以上のように、C型に形成された磁性薄板6を複数枚重ね合わせて成形されたコア積層体7を円周上に配列させて構成されているので、円筒型積層コア8の内周面が多角形状に形成されている。そして、この円筒型積層コア8をリニアモータに適用する場合には、円筒型積層コア8とバックヨークとの空隙を狭くするように構成される。
そこで、可動磁石の回転方向に外力が作用すると、可動磁石が円筒型積層コア8に接触する事故が発生してしまうことから、可動磁石の成形時及び組立時に、軸方向精度を高精度に確保する必要があり、量産化が困難となるという課題があった。
また、このような課題を解決するために、円筒型積層コア8の内周面に切削加工を施し、該内周面を滑らかな円筒面に成形する手法も提案されているが、切削工程等が必要となり、生産性が低下するという課題があった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、生産性に優れた円筒型積層コア及びその製造方法を得ることを目的とする。
また、円筒型積層コアを用いて、量産性に優れたリニアモータを得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1に係る円筒型積層コアは、少なくとも1つのスロットを有する複数の薄板磁性板がそれぞれのスロットの開口を内周側もしくは外周側に一致させて、かつ、それぞれの主面を相対するように周方向に積層されて円筒に構成された円筒型積層コアにおいて、上記薄板磁性板は、主面に打ち出し成形されたスペーサが設けられ、周方向に積層される際に、該スペーサが隣り合う薄板磁性板の主面に当接して隣り合う薄板磁性板間に楔状の空間を形成させるようにしたものである。
【0007】
また、この発明の請求項2に係る円筒型積層コアの製造方法は、少なくとも1つのスロットを有する外形形状をなし、かつ、主面上に突設したスペーサを有する薄板磁性板を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程と、上記薄板磁性板を、上記スロットの開口を内周側もしくは外周側に一致させて、かつ、上記スペーサを隣り合う薄板磁性板の主面に当接させつつ周方向に順次重ね合わせ、隣り合う薄板磁性板間に楔状の空間を形成させて、薄板磁性板の円筒状の積層体を形成する工程とを備えたものである。
また、この発明の請求項3に係る円筒型積層コアの製造方法は、上記請求項2に係る円筒型積層コアの製造方法の薄板磁性板を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程において、スペーサの突設位置が異なる少なくとも2種類の薄板磁性板が成形されるものである。
【0008】
また、この発明の請求項4に係る円筒型積層コアの製造方法は、貫通穴及び突起を有する姿勢保持部が、少なくとも1つのスロットを有する外形形状をなし、かつ、主面上にスペーサが突設された薄板磁性板に薄肉連結片を介して連結されてなる薄板磁性片を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程と、保持部材を上記貫通穴に挿通させながら上記薄板磁性片を順次所定枚数スタックする工程と、上記保持部材にスタックされた上記薄板磁性片を上記薄肉連結片で上記姿勢保持部から切り離して上記薄板磁性板を形成する工程と、上記薄板磁性板を、上記スロットの開口を内周側もしくは外周側に一致させて、かつ、上記スペーサを隣り合う薄板磁性板の主面に当接させつつ周方向に順次重ね合わせ、隣り合う薄板磁性板間に楔状の空間を形成させて、薄板磁性板の円筒状の積層体を形成する工程とを備えたものである。
【0009】
また、この発明の請求項5に係る円筒型積層コアの製造方法は、貫通穴を有する姿勢保持部が、少なくとも1つのスロットを有する外形形状をなし、かつ、主面上にスペーサが突設された薄板磁性板に薄肉連結片を介して連結されてなる薄板磁性片を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程と、保持部材を上記貫通穴に挿通させながら、上記スロットの開口を内周側もしくは外周側に一致させて、かつ、上記スペーサを隣り合う薄板磁性片の主面に当接させつつ周方向に重ね合わせ、隣り合う薄板磁性片間に楔状の空間を形成させて、上記薄板磁性片が順次積層された円筒状にスタックする工程と、スタックされた薄板磁性片の円筒状の積層体を一体化する工程と、一体化された薄板磁性片の円筒状の積層体を上記薄肉連結片で上記姿勢保持部から切り離し、一体化された薄板磁性板の円筒状の積層体を形成する工程とを備えたものである。
【0010】
また、この発明の請求項6に係る円筒型積層コアの製造方法は、上記請求項4または請求項5に係る円筒型積層コアの製造方法において、姿勢保持部が、薄板磁性板のスロット内周に連結片を介して連結されているものである。
また、この発明の請求項7に係る円筒型積層コアの製造方法は、上記請求項4乃至請求項6のいずれか1項に係る円筒型積層コアの製造方法の薄板磁性片を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程において、スペーサの突設位置が異なる少なくとも2種類の薄板磁性片が成形されるものである。
【0011】
また、この発明の請求項8に係るリニアモータは、少なくとも1つのスロットを有する外形形状をなし、かつ、主面に打ち出し成形されたスペーサが設けられた複数の薄板磁性板を、それぞれのスロットの開口を内周側もしくは外周側に一致させ、該スペーサを隣り合う薄板磁性板の主面に当接させて隣り合う薄板磁性板間に楔状の空間を形成させるように周方向に積層して円筒に構成された円筒型積層コアと、この円筒型積層コアに上記薄板磁性板のスロットにより構成された環状スロット内に巻き線されたコイルとから構成された電機子を備えたものである。
【0012】
また、この発明の請求項9に係るリニアモータは、上記請求項8に係るリニアモータにおいて、少なくとも1つのスロットを有する外形形状をなし、かつ、主面に打ち出し成形されたスペーサが設けられた複数の薄板磁性板を、それぞれのスロットの開口を外周側もしくは内周側に一致させ、該スペーサを隣り合う薄板磁性板の主面に当接させて隣り合う薄板磁性板間に楔状の空間を形成させるように周方向に積層して円筒に構成された円筒型積層コアと、この円筒型積層コアに上記薄板磁性板のスロットにより構成された環状スロット内に接合された永久磁石とから構成された可動子を備え、該可動子を電機子に同軸的に配設したものである。
【0013】
また、この発明の請求項10に係る円筒型積層コアは、複数の薄板磁性板がそれぞれの主面を相対するように周方向に積層されて円筒に構成された円筒型積層コアにおいて、上記薄板磁性板は、主面に打ち出し成形されたスペーサが設けられ、周方向に積層される際に、該スペーサが隣り合う薄板磁性板の主面に当接して隣り合う薄板磁性板間に楔状の空間を形成させるようにしたものである。
【0014】
また、この発明の請求項11に係る円筒型積層コアは、上記請求項1または請求項10に係る円筒型積層コアにおいて、磁性粉を含有する絶縁性樹脂が隣り合う薄板磁性板間に形成された楔状の空間に充填されているものである。
【0015】
また、この発明の請求項12に係る円筒型積層コアの製造方法は、主面上に突設したスペーサを有する薄板磁性板を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程と、上記薄板磁性板を、上記スペーサを隣り合う薄板磁性板の主面に当接させつつ周方向に順次重ね合わせ、隣り合う薄板磁性板間に楔状の空間を形成させて、薄板磁性板の円筒状の積層体を形成する工程とを備えたものである。
また、この発明の請求項13に係る円筒型積層コアの製造方法は、上記請求項12に係る円筒型積層コアの製造方法の薄板磁性板を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程において、スペーサの突設位置が異なる少なくとも2種類の薄板磁性板が成形されるものである。
【0016】
また、この発明の請求項14に係る円筒型積層コアの製造方法は、貫通穴及び突起を有する姿勢保持部が、主面上にスペーサが突設された薄板磁性板に薄肉連結片を介して連結されてなる薄板磁性片を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程と、保持部材を上記貫通穴に挿通させながら上記薄板磁性片を順次所定枚数スタックする工程と、上記保持部材にスタックされた上記薄板磁性片を上記薄肉連結片で上記姿勢保持部から切り離して上記薄板磁性板を形成する工程と、上記薄板磁性板を、上記スペーサを隣り合う薄板磁性板の主面に当接させつつ周方向に順次重ね合わせ、隣り合う薄板磁性板間に楔状の空間を形成させて、薄板磁性板の円筒状の積層体を形成する工程とを備えたものである。
【0017】
また、この発明の請求項15に係る円筒型積層コアの製造方法は、貫通穴を有する姿勢保持部が、主面上にスペーサが突設された薄板磁性板に薄肉連結片を介して連結されてなる薄板磁性片を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程と、保持部材を上記貫通穴に挿通させながら、上記スペーサを隣り合う薄板磁性片の主面に当接させつつ周方向に重ね合わせ、隣り合う薄板磁性片間に楔状の空間を形成させて、上記薄板磁性片が順次積層された円筒状にスタックする工程と、スタックされた薄板磁性片の円筒状の積層体を一体化する工程と、一体化された薄板磁性片の円筒状の積層体を上記薄肉連結片で上記姿勢保持部から切り離し、一体化された薄板磁性板の円筒状の積層体を形成する工程とを備えたものである。
また、この発明の請求項16に係る円筒型積層コアの製造方法は、上記請求項14または請求項15に係る円筒型積層コアの製造方法の薄板磁性片を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程において、スペーサの突設位置が異なる少なくとも2種類の薄板磁性片が成形されるものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図について説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る円筒型積層コアを示す斜視図、図2はこの発明の実施の形態1に係る円筒型積層コアの構造を説明する斜視図、図3はこの発明の実施の形態1に係る円筒型積層コアに用いられる薄板磁性板を示す図であり、図3の(a)はその平面図、図3の(b)は図3の(a)のIIIB−IIIB矢視断面図である。また、図4はこの発明の実施の形態1に係る円筒型積層コアの製造方法を説明する平面図である。
各図において、薄板磁性板10は内周側に開口されたスロットとしての切欠10aを有するコの字状に成形され、スペーサとしての一対の突起10b、10bがその一方の主面の外周側に突設されている。そして、複数枚の薄板磁性板10がそれぞれ内周側の端部を合わせ、突起10bを隣り合う薄板磁性板10の他方の主面に当接させて、周方向に積層されている。ここで、隣り合う薄板磁性板10間には、内周側が端部で接し、外周側が突起10bで離間された楔状の空間11が形成されている。そこで、周方向に積層された複数枚の薄板磁性板10は、各薄板磁性板10の主面が軸心を通る平面内にほぼ位置するように、軸心回りにほぼ等角ピッチに配列されて円筒状の円筒型積層コア100を構成している。この円筒型積層コア100の内周側には、各薄板磁性板10の切欠10aで構成される環状スロット100aが形成されている。
【0019】
ここで、このように構成された円筒型積層コア100の製造方法について説明する。
まず、打ち抜きプレス工程により両面に絶縁被膜が被覆された磁性材料からなる長尺の磁性板から薄板磁性板10を多数枚成形する。この薄板磁性板10は、切欠10aを有するC字状の外形形状に打ち抜かれると同時に、一対の突起10bが一方の主面の外周側に打ち出し成形されている。この打ち抜きプレス工程では、図3に示すように、突起10bを一方の主面側に成形すると、他方の主面には突起10bに対応する窪みが形成されてしまう。そして、この薄板磁性板10を周方向に重ね合わせると、突起10bが隣り合う薄板磁性板10の窪みに嵌合してしまい、所望の楔状の空間11を精度良く形成できなくなる。そこで、図2に示されるように、突起10bの突設位置の異なる2種類の薄板磁性板10を成形することになる。
ついで、突起10bの突設位置の異なる2種類の薄板磁性板10を、図4に示すように、内周側の端部を合わせ、突起10bを隣り合う薄板磁性板10の他方の主面に当接させるように、交互に周方向に積層する。そして、薄板磁性板10を軸心周りに環状に配設し、周方向に環状に積層された薄板磁性板10を図示しない固定手段により固定して、図1に示される円筒型積層コア100が製造される。
【0020】
このように構成された円筒型積層コア100をリニアモータに適用するには、円筒型積層コア100の各薄板磁性板10の切欠10aで構成された環状スロット100a内にコイルを装着して電機子を構成し、円筒状のバックヨーク(図示せず)を所定空隙をもってコア100の内周側に同軸的に配設し、さらに円筒状の可動磁石(図示せず)をコア100とバックヨークとの空隙に位置し、かつ、軸心方向に往復移動可能に同軸的に配設すればよい。
このように構成されたリニアモータは、コイルに交番電流を流すことにより、図22に示された従来のリニアモータと同様に、可動磁石を往復移動させることができる。
【0021】
この実施の形態1によれば、内周側を開口する切欠10aが設けられ、かつ、一対の突起10bが一方の主面の外周側に突設されたC字状の薄板磁性板10を、内周側の端部を接しさせ、かつ、突起10bを隣り合う薄板磁性板10の他方の主面に当接させて隣り合う薄板磁性板10、10間に楔状の空間11を形成させるように、周方向に積層しているので、切削加工等の特殊な加工を施すことなく、内周壁面が滑らかな円筒形状が得られ、生産性に優れた安価な円筒型積層コア100が得られる。
また、この円筒型積層コア100をリニアモータに適用すれば、コイルが装着される環状スロット100aが構成され、コイル長を最短にでき、高効率化が図られる。また、コア100とバックヨークとの空隙を円筒形にでき、図23に示される内周面が多角形状に構成される従来のコアに比べて、円筒状の可動磁石にラジアル方向の外力が作用しても可動磁石がコア100に接触する事故が著しく抑えられ、可動磁石の加工やリニアモータの組立に高い精度が要求されず、生産性に優れた安価なリニアモータが得られる。
また、打ち抜きプレス加工等において薄板磁性板10表面の絶縁被膜が破壊されると、該絶縁被膜の破壊に起因して薄板磁性板10間に短絡渦電流が発生してしまうが、薄板磁性板10間に楔状の空間11が形成されているので、薄板磁性板10間が絶縁され、短絡渦電流の発生を低減でき、リニアモータの高効率化が図られる。
【0022】
また、打ち抜きプレス工程により両面に絶縁被膜が被覆された磁性材料からなる長尺の磁性板から突起10bの突設位置の異なる2種類の薄板磁性板10を多数枚形成し、2種類の薄板磁性板10を、内周側の端部を合わせ、突起10bを隣り合う薄板磁性板10の他方の主面に当接させるように、交互に周方向に積層しているので、切削加工等の特殊な加工を施すことなく、内周壁面が滑らかな円筒形状の円筒型積層コア100を安価に高歩留まりで量産することができる。
また、突起10bの突設位置の異なる2種類の薄板磁性板10を交互に周方向に積層しているので、薄板磁性板10の突起10bに対応する窪みの影響を抑えて楔状の空間11を精度よく形成でき、歩留まりを向上させることができる。
【0023】
なお、上記実施の形態1では、突起10bの突設位置の異なる2種類の薄板磁性板10を打ち抜きプレス工程により成形するものとしているが、突起10bの突設位置の異なる薄板磁性板は2種類に限らず、3種類であっても、4種類であってもよい。
また、上記実施の形態1では、突起10bを有底円筒状に押し出し形成するものとしているが、突起10bの形状はこれに限定されるものではなく、例えば図5の(a)、(b)に示されるように、断面V字状の突起10cであっても同様の効果を奏する。
【0024】
実施の形態2.
この実施の形態1では、打ち抜きプレス工程により薄板磁性板10を多数枚成形するものとしているが、プレス加工により成形された薄板磁性板10の枚数管理や保持方法が困難であり、量産効率の低下をもたらしている点に鑑み、この実施の形態2では、プレス加工により成形された薄板磁性板の保持方法を具体化し、枚数管理を容易として、量産の高効率化を図るものである。
図6はこの発明の実施の形態2に係る円筒型積層コアの製造方法で成形された薄板磁性片を示す平面図、図7はこの発明の実施の形態2に係る円筒型積層コアの製造方法における薄板磁性片のスタック方法を示す斜視図、図8はこの発明の実施の形態2に係る円筒型積層コアの製造方法における薄板磁性片から薄板磁性板を得る方法を説明する図である。
【0025】
この実施の形態2では、まず打ち抜きプレス工程において、両面に絶縁被膜が被覆された磁性材料からなる長尺の磁性板から切欠10a、突起10bおよび姿勢保持部13を有する薄板磁性片12を成形している。
この薄板磁性片12は姿勢保持部13を除去することにより上述の薄板磁性板10が作製されるものである。そして、姿勢保持部13は切欠10aの底辺に根元側が幅狭に形成された連結片14を介して接続されている。また、姿勢保持部13には、一対の貫通穴15、15が穿設され、一方の主面に突起10bと同一高さの突起13aが突設されている。なお、この実施の形態2においても、突起10bの突設位置の異なる2種類の薄板磁性片12が成形される。
ついで、一対の貫通穴15内にそれぞれ保持部材16を挿通させて2種類の薄板磁性片12を交互にスタックさせる。この時、隣り合う薄板磁性片12は、突起10b、13aにより保持部材16に平行にスタックされる。
そして、図8に示すように、薄板磁性片12を連結片14の幅狭な根元側で屈曲させることにより、姿勢保持部13が切り離され、薄板磁性板10を得る。その後、上記実施の形態1と同様にして、2種類の薄板磁性板10を周方向に交互に積層して、円筒型積層コア100を得る。
【0026】
このように、この実施の形態2によれば、打ち抜きプレス工程において、両面に絶縁被膜が被覆された磁性材料からなる長尺の磁性板から切欠10a、突起10bおよび姿勢保持部13を有する薄板磁性片12を成形し、多数枚の薄板磁性片12を姿勢保持部13を介してスタックし、薄板磁性片12を姿勢保持部13から切り離して薄板磁性板10を得るようにしているので、薄板磁性板10、即ち薄板磁性片12をスタックでき、薄板磁性片12の取り扱い及び枚数管理が容易となり、量産の高効率化が図られる。
また、姿勢保持部13の主面に突起10bと同一高さの突起13aを突設しているので、薄板磁性片12が保持部材16に互いに平行にスタックされ、薄板磁性片12の取り扱い及び枚数管理が一層容易となる。
また、姿勢保持部13は根元側が幅狭の連結片14により切欠10aの底辺に連結されているので、切断工具を用いることなく、薄板磁性片12を連結片14の根元側で屈曲させることにより姿勢保持部13を切り離して、薄板磁性板10を得ることができる。
【0027】
なお、上記実施の形態2では、姿勢保持部材13を切欠10aの底辺に連結片14を介して連結するものとしているが、姿勢保持部材13の連結される箇所は切欠10aの底辺に限らず、例えば図9に示されるように、切欠10aの側辺に連結片14を介して連結しても、同様の効果を奏する。
【0028】
実施の形態3.
上記実施の形態2では、多数枚の薄板磁性片12を姿勢保持部材13を用いて保持部材16に平行にスタックするものとしているが、この実施の形態3では、多数枚の薄板磁性片を姿勢保持部材及び円弧状に成形された保持部材を用いて半円筒状にスタックするものとしている。
この実施の形態3では、薄板磁性片17は、両端辺の外周側に係止用の切欠17aが設けられ、さらに一対の貫通穴15、15が穿設された姿勢保持部材18を連結片14を介して切欠10aの底辺に連結されたもので、他の構成は上述の薄板磁性片12と同様に構成されている。
【0029】
この実施の形態3では、まず打ち抜きプレス工程において、両面に絶縁被膜が被覆された磁性材料からなる長尺の磁性板から切欠10a、突起10b、切欠17aおよび姿勢保持部18を有する薄板磁性片17を成形している。
この薄板磁性片17は姿勢保持部18を除去することにより上述の薄板磁性板10が作製されるものである。なお、この実施の形態3においても、突起10bの突設位置の異なる2種類の薄板磁性片17が成形される。
ついで、2種類の薄板磁性片17を、図10に示すように、円弧状に成形された一対の保持部材19、19に一対の貫通穴15、15を通しながら交互にスタックさせる。この時、隣り合う薄板磁性片17は、内周側の端部が互いに接し、突起10bが隣り合う薄板磁性片17の他方の主面に当接して、周方向に重なり合ってスタックされる。この薄板磁性片17の積層体は、図11に示すように、半円筒状に構成されている。
【0030】
ついで、薄板磁性片17の積層体は、断面コの字状に成形された半円筒状の固定枠20内に配置される。この固定枠20の両端の鍔部21、22の内周面には、それぞれ係止突起21a、22aが同一円周状に突設されている。そして、該鍔部21、22を内側に折り曲げて、係止突起21a、22aを薄板磁性片17の両端辺に設けられた切欠17a、17aに嵌着させる。そこで、薄板磁性片17の積層体は、図12に示されるように、両端辺に設けられた切欠17aに固定枠20の係止突起21a、22aが嵌着されて、両端から所定の加圧力で挟持され、一体化される。
その後、一対の保持部材19、19を軸心方向に沿って往復移動させ、連結片14の根元側で姿勢保持部18を切り離し、多数枚の薄板磁性板10が半円筒状に積層一体化されたスタックを得る。次に、この多数枚の薄板磁性板10が半円筒状に積層一体化された2つのスタックを端部の薄板磁性板10同士が相対するように重ね合わせ、固定枠20同士を連結して、円筒型積層コアを得る。
【0031】
このように、この実施の形態3によれば、打ち抜きプレス工程において、両面に絶縁被膜が被覆された磁性材料からなる長尺の磁性板から切欠10a、突起10b、切欠17aおよび姿勢保持部18を有する薄板磁性片17を成形し、多数枚の薄板磁性片17を姿勢保持部18を介して半円弧状に成形された保持部材19に周方向にスタックしているので、薄板磁性板10、即ち薄板磁性片17を半円筒状にスタックできる。そこで、係合突起21a、22aを外周側から薄板磁性片17の切欠17aに嵌合させることにより、薄板磁性片17を1枚づつ保持部材19から取り外すことなく、半円筒状にスタックされた薄板磁性片17の積層体を固定枠20で一括して固定できる。そして、固定枠20に固定された薄板磁性片17の積層体から姿勢保持部18を切り離すことにより、半円筒状に積層された薄板磁性体10の積層体が得られる。従って、薄板磁性片17の取り扱い及び枚数管理が容易となるとともに、量産の高効率化が図られる。
また、薄板磁性片17に姿勢保持部18を一体に設け、該姿勢保持部18に貫通穴15を穿設し、該貫通穴15に保持部材19を挿通させて薄板磁性片17を周方向に積層した状態で保持しているので、固定枠20による一体化作業における薄板磁性片17の特別な保持手段が不要となり、量産化が容易となる。
【0032】
実施の形態4.
この実施の形態4では、図13に示すように、隣り合う薄板磁性板10、10間に形成される楔状の空間11に磁性粉が混入された絶縁性樹脂25を充填するもので、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
【0033】
この実施の形態4では、突起10bの突設位置の異なる2種類の薄板磁性板10を、内周側の端部を合わせ、突起10bを隣り合う薄板磁性板10の他方の主面に当接させるように、交互に周方向に積層させた後、溶解した樹脂、例えばポリフェニレンサルファイド樹脂に磁性粉を混合して得られた絶縁性樹脂25を各楔状の空間11に注入し硬化させている。そこで、周方向に積層された薄板磁性板10が絶縁性樹脂25により一体化されて、円筒型積層コアが得られる。
【0034】
このように、この実施の形態4によれば、薄板磁性板10間に形成される楔状の空間11に磁性粉が充填されるので、鉄心占積率が高められ、磁路形成用鉄心に十分な磁束を生じることができるようになる。
また、磁性粉が混入された絶縁性樹脂25で薄板磁性板10の積層体を樹脂モールドでき、薄板磁性板10の積層体を容易に固定できるとともに、磁性粉同士の絶縁が確保される。
【0035】
なお、上記実施の形態4では、絶縁性樹脂25を単に各楔状の空間11内に注入するものとして説明しているが、周方向に積層された薄板磁性板10の積層体を樹脂形成型内に配置させて、絶縁性樹脂25を注入硬化させるようにしてもよい。
また、上記実施の形態4では、上記実施の形態1に適用するものとしているが、他の実施の形態に適用しても、同様の効果を奏する。
【0036】
実施の形態5.
図14はこの発明の実施の形態5に係る円筒型積層コアの製造方法における打ち抜きプレス工程を説明する図である。
この実施の形態5では、打ち抜きプレス工程において、両面に絶縁被膜が被覆された磁性材料からなる長尺の磁性板26から、それぞれ切欠10a、突起10bおよび切欠10aの底辺に連結片14を介して連結された姿勢保持部13を有し、突起10bの突設位置が異なる2種類の薄板磁性片12を交互に成形している。
従って、姿勢保持部13がコアとして不要な切欠10a内に設けられているので、鉄心材料の利用率が高められ、低コスト化が図られる。
【0037】
実施の形態6.
図15はこの発明の実施の形態6に係る円筒型積層コアの製造方法における打ち抜きプレス工程を説明する図である。
この実施の形態6では、打ち抜きプレス工程において、両面に絶縁被膜が被覆された磁性材料からなる長尺の磁性板26から、それぞれ切欠10a、突起10bおよび外周側端辺の中央部に連結片14を介して連結された姿勢保持部13を有し、突起10bの突設位置が異なる2種類の薄板磁性片12を交互に成形している。
この実施の形態6によれば、薄板磁性片12の外周側端辺の中央部に連結片14を介して連結された姿勢保持部13は隣り合う薄板磁性片12の切欠10a内に位置し、上記実施の形態5と同様に、鉄心材料の利用率が高められ、低コスト化が図られる。
【0038】
実施の形態7.
図16はこの発明の実施の形態7に係るリニアモータの構成を説明する斜視図であり、この図16ではリニアモータの軸心を通る平面で2分割した状態を示している。
この実施の形態7によるリニアモータは、円筒型積層コア200の内周に円筒型の可動子201を軸心方向に往復移動可能に配設したものである。
そして、可動子201は、円筒型積層コア202と永久磁石203とから構成されている。円筒型積層コア202は、外周側に開口された切欠30aを有するコの字状に成形され、スペーサとしての一対の突起30b、30bがその一方の主面の外周側に突設された薄板磁性板30がそれぞれ内周側の端部を合わせ、突起30bを隣り合う薄板磁性板30の他方の主面に当接させて、周方向に積層されて円筒状に構成されている。この円筒型積層コア202の外周側には、薄板磁性板10の切欠10aで構成される環状スロット200aが形成されており、このスロット202a内に永久磁石203が装着されている。この永久磁石203は、図22に示される可動磁石3と同様に着磁されている。
なお、円筒型積層コア200は上記実施の形態2で作製された円筒型積層コアが用いられ、その内周側に形成される環状スロット200a内に交番電流を流すコイル204が装着されて、電機子を構成している。
【0039】
このように構成されたリニアモータの製造方法について説明する。
まず、打ち抜きプレス工程において、図17に示すように、両面に絶縁被膜が被覆された磁性材料からなる長尺の磁性板から切欠10a、突起10bおよび姿勢保持部13を有する薄板磁性片12と、切欠30a、突起30bおよび姿勢保持部32を有する薄板磁性片31とを成形している。
この薄板磁性片12は姿勢保持部13を除去することにより円筒型積層コア200を構成する薄板磁性板10が作製され、薄板磁性片31は姿勢保持部32を除去することにより円筒型積層コア202を構成する薄板磁性板30が作製されるものである。そして、姿勢保持部13、32はそれぞれ切欠10aの底辺および薄板磁性片31の外周側端辺に根元側が幅狭に形成された連結片14を介して接続され、切欠20a内に位置している。また、姿勢保持部13、32には、それぞれ一対の貫通穴15、15が穿設され、一方の主面に突起10b、30bと同一高さの突起13a、32aが突設されている。さらに、突起10b、30bの突設位置の異なる2種類の薄板磁性片12、31が成形される。
【0040】
ついで、一対の貫通穴15内にそれぞれ保持部材16を挿通させて2種類の薄板磁性片12を交互にスタックさせる。この時、隣り合う薄板磁性片12は、突起10b、13aにより保持部材16に平行にスタックされる。
同様に、一対の貫通穴15内にそれぞれ保持部材16を挿通させて2種類の薄板磁性片31を交互にスタックさせる。この時、隣り合う薄板磁性片31は、突起30b、32aにより保持部材16に平行にスタックされる。
そして、薄板磁性片12を連結片14の幅狭な根元側で屈曲させることにより、姿勢保持部13が切り離され、薄板磁性板10を得る。その後、2種類の薄板磁性板10を周方向に交互に積層し、この薄板磁性板10の円筒状の積層体を一体化して円筒型積層コア200を得る。
同様に、薄板磁性片31を連結片14の幅狭な根元側で屈曲させることにより、姿勢保持部32が切り離され、薄板磁性板30を得る。その後、2種類の薄板磁性板30を周方向に交互に積層し、この薄板磁性板30の円筒状の積層体を一体化して円筒型積層コア202を得る。
【0041】
つぎに、薄板磁性板10の切欠10aで構成される円筒型積層コア200の環状スロット200a内にコイル204を巻き線して装着し、電機子を得る。また、薄板磁性板30の切欠30aで構成される円筒型積層コア202の環状スロット202a内に永久磁石203を接合して装着し、可動子201を得る。
その後、円筒型積層コア200の内周に可動子201を同軸に配設し、リニアモータを得る。
【0042】
この実施の形態7によれば、打ち抜きプレス加工により、長尺の磁性板から切欠10a、突起10bおよび姿勢保持部13を有し、かつ、突起10bの突設位置の異なる2種類の薄板磁性片12を成形し、この薄板磁性片12から得られる2種類の薄板磁性板10を周方向に交互に積層して円筒状の積層体を形成しているので、切削加工等の特別な加工手段を講じることなく、内周面が滑らかな円筒面となる円筒型積層コア200が得られ、生産性を向上させることができる。
また、可動子の回転方向に外力が作用しても、可動子が円筒型積層コア200に接触しにくくなり、可動子の成形時及び組立時に、軸方向精度を高精度に確保する必要がなく、優れた量産性が得られる。同時に、円筒型積層コア200と可動子との空隙を狭くすることができ、高効率化が図られる。
【0043】
また、打ち抜きプレス加工により、長尺の磁性板から切欠30a、突起30bおよび姿勢保持部32を有し、かつ、突起30bの突設位置の異なる2種類の薄板磁性片31を成形し、この薄板磁性片31から得られる2種類の薄板磁性板30を周方向に交互に積層して円筒状の積層体を形成しているので、切削加工等の特別な加工手段を講じることなく、内周面が滑らかな円筒面となる円筒型積層コア202が得られる。そこで、円筒型積層コア200と円筒型積層コア202とを組み合わせることにより、両コア間の空隙を一層狭くでき、高効率化が一層図られるとともに、生産性、量産性を向上させることができる。
また、打ち抜きプレス加工において、姿勢保持部13、32を薄板磁性片12の切欠10a内に位置させているので、磁性材料の利用率を高めることができ、低コスト化が図られる。
【0044】
ここで、上記実施の形態7では、円筒型積層コア200、202を作製するにあたり、上記実施の形態2による円筒型積層コアの製造方法を適用するものとしているが、他の実施の形態による円筒型積層コアの製造方法を適用しても、同様の効果が得られる。
【0045】
なお、上記各実施の形態では、コイルを装着する切欠10aが内周側に位置する円筒型積層コアについて説明しているが、コイルを装着する切欠10aが外周側に位置する円筒型積層コアに適用して図18に示されるように構成しても、同様の効果を奏する。この場合、円筒型積層コア200の外周に円筒型の可動子201を同軸に配設してなるリニアモータが構成される。
【0046】
実施の形態8.
上記各実施の形態では、1つの環状スロットを有する円筒型積層コアについて説明しているが、本発明は軸方向に複数の環状スロットを有する円筒型積層コアにも適用することができる。
図19はこの発明の実施の形態8に係るリニアモータの構成を説明する斜視図であり、この図19ではリニアモータの軸心を通る平面で2分割した状態を示している。
【0047】
可動子201は、円筒型積層コア202と永久磁石203とから構成されている。この円筒型積層コア202は、内周側に開口された2つの切欠30a、30aが所定間隙をもって設けられた外形形状に成形され、かつ、一対の突起30b、30bがその一方の主面の外周側に突設された薄板磁性板30をそれぞれ内周側の端部を合わせ、突起30bを隣り合う薄板磁性板30の他方の主面に当接させて、周方向に積層されて円筒状に構成されている。そして、永久磁石203が2つの切欠30a、30aによって構成される環状スロット202a、202aにそれぞれ装着されている。
また、円筒型積層コア200は、外周側に開口された2つの切欠10a、10aが所定間隙をもって設けられた外形形状に成形され、かつ、一対の突起10b、10bがその一方の主面の外周側に突設された薄板磁性板10をそれぞれ内周側の端部を合わせ、突起10bを隣り合う薄板磁性板10の他方の主面に当接させて、周方向に積層されて円筒状に構成されている。そして、コイル204が2つの切欠10a、10aによって構成される環状スロット200a、200aにそれぞれ装着されて、電機子を構成している。
【0048】
このように構成された円筒型積層コア200および可動子201は、円筒型積層コア200の外周に可動子201を軸心方向に往復移動可能に配設し、上記実施の形態7に示すリニアモータを軸方向に2つ連続したリニアモータが構成される。このリニアモータにおいては、連続したリニアモータの磁路を共有するため、隣り合っているコイル204、204は互いに反対方向に通電され、隣り合っている永久磁石203、203は磁界発生方向が互いに反対となるように構成することになる。
この円筒型積層コア200および可動子201は、上記実施の形態7のリニアモータの製造方法において、切欠10a、30aをそれぞれ2つ設けることにより、容易に作製することができる。
従って、この実施の形態8によれば、上記実施の形態7と同様に、切削加工等の特別な加工手段を講じることなく、内周面が滑らかな円筒面となる円筒型積層コア200が得られ、生産性を向上させることができる。また、可動子201の回転方向に外力が作用しても、可動子が円筒型積層コア200に接触しにくくなり、可動子の成形時及び組立時に、軸方向精度を高精度に確保する必要がなく、優れた量産性が得られる。同時に、円筒型積層コア200と可動子との空隙を狭くすることができ、高効率化が図られる。
【0049】
なお、上記実施の形態8では、上記実施の形態7に示すリニアモータを軸方向に2つ連続して設けるものとしているが、該リニアモータを軸方向に3つ以上連続して設けてもよい。
【0050】
実施の形態9.
上記各実施の形態では、環状スロットに単相電源で駆動したコイルを配置するものとして説明している。従って、リニアモータと記載しているが、実際は単相で駆動されるために往復移動するリニア振動モータとしての動作となる。
この実施の形態9では、環状スロットを複数設け、3相の進行磁界を発生し、一方向に対して連続して駆動するリニアモータに適用するものである。
【0051】
図20はこの発明の実施の形態9に係るリニアモータの構成を説明する斜視図であり、この図20ではリニアモータの軸心を通る平面で2分割した状態を示している。
この実施の形態9では、電機子である円筒型積層コア300は、2相2極分の巻線を収納するための6つの環状スロット300a−u、300a−w’、300a−u’、300a−v、300a−w’、300a−uが構成されている点を除いて、上記実施の形態7における円筒型積層コア200と同様に構成されている。そして、各環状スロット300a−u、300a−w’、300a−u’、300a−v、300a−w’、300a−uに収納されている巻線に電源(図示せず)からu、v、wび3相電流が供給されている。
可動子301は、NもしくはSに着磁された円環状の永久磁石303がN、S、N、S・・・と軸方向に交互に配設され、その外周に上記実施の形態7における円筒型積層コア202と同様に構成されたバックヨーク302が配設されて構成されている。ここで、永久磁石303はバックヨーク302の内周面に接合されている。また、バックヨーク302は、切欠30aが設けられていない点で、上記実施の形態7における円筒型積層コア202と相違するが、同様に製造することができる。
この可動子側は円筒型積層コアで構成されているが、上述の通り、電機子進行磁界と永久磁石とを設けることにより、3相リニアモータを構成できる。
このように、本発明は、3相リニアモータにも適用することができる。
【0052】
なお、上記実施の形態9では、電機子より可動子が長い構成を説明しているが、電機子が可動子より長い場合でも、あるいは可動子が固定されて電機子側が移動しても、リニアモータとして同様に成立する。
また、上記実施の形態9では、可動子に永久磁石を用いたリニアモータとして説明しているが、図21に示すように、環状スロット402に銅あるいはアルミ等を材料とする円環状の2次導体403を配設した円筒型積層コア401に対して、円筒型積層コア300(電機子)により進行磁界を印加して、リニア誘導型モータとしても構成できる。
【0053】
なお、上記各実施の形態では、周方向に積層された薄板磁性板10の積層体が完全な円筒形をなす円筒型積層コアについて説明しているが、該薄板磁性板10の積層体の周方向の一部が切り欠かれているいわゆるC型であっても、該薄板磁性板10の積層体の一部が円弧状をなしていれば、本願発明を適用できることはいうまでもないことである。
また、上記各実施の形態では、突起10bの突設位置の異なる2種類の薄板磁性板10を成形するものとしているが、薄板磁性板10は突起10bの突設位置の異なる2種類に限らず、3種類でも、4種類でもよい。
【0054】
また、上記各実施の形態では、薄板磁性板10の外周側に突起10bを突設するものとしているが、薄板磁性板10の内周側に突起10bより高さの低い突起をさらに突設してもよい。また、薄板磁性板10の厚さや突起10bの高さを調整すれば、口径の異なる円筒型積層コアを製作できることはいうまでもないことである。
また、上記各実施の形態では、スペーサとしての突起10bを薄板磁性板10にプレス加工により一体に成形するものとしているが、プレス加工により薄板磁性板を成形した後、後加工により薄板磁性板にスペーサを設けても良い。
また、上記各実施の形態では、円筒型積層コアをリニアモータに適用するものとして説明しているが、この円筒型積層コアはリニアモータに限らず、円筒周方向に渦電流を生じうるプランジャ、振動子等の電気機器あるいは測定器に適用できることはいうまでもないことである。
【0055】
【発明の効果】
この発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0056】
この発明によれば、少なくとも1つのスロットを有する複数の薄板磁性板がそれぞれのスロットの開口を内周側もしくは外周側に一致させて、かつ、それぞれの主面を相対するように周方向に積層されて円筒に構成された円筒型積層コアにおいて、上記薄板磁性板は、主面に打ち出し成形されたスペーサが設けられ、周方向に積層される際に、該スペーサが隣り合う薄板磁性板の主面に当接して隣り合う薄板磁性板間に楔状の空間を形成させるようにしたので、生産性に優れたほぼ完全な円筒面を有する円筒型積層コアが得られる。
【0057】
この発明によれば、少なくとも1つのスロットを有する外形形状をなし、かつ、主面上に突設したスペーサを有する薄板磁性板を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程と、上記薄板磁性板を、上記スロットの開口を内周側もしくは外周側に一致させて、かつ、上記スペーサを隣り合う薄板磁性板の主面に当接させつつ周方向に順次重ね合わせ、隣り合う薄板磁性板間に楔状の空間を形成させて、薄板磁性板の円筒状の積層体を形成する工程とを備えたので、ほぼ完全な円筒面を有する円筒型積層コアを生産性よく製造できる円筒型積層コアの製造方法が得られる。
【0058】
この発明によれば、貫通穴及び突起を有する姿勢保持部が、少なくとも1つのスロットを有する外形形状をなし、かつ、主面上にスペーサが突設された薄板磁性板に薄肉連結片を介して連結されてなる薄板磁性片を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程と、保持部材を上記貫通穴に挿通させながら上記薄板磁性片を順次所定枚数スタックする工程と、上記保持部材にスタックされた上記薄板磁性片を上記薄肉連結片で上記姿勢保持部から切り離して上記薄板磁性板を形成する工程と、上記薄板磁性板を、上記スロットの開口を内周側もしくは外周側に一致させて、かつ、上記スペーサを隣り合う薄板磁性板の主面に当接させつつ周方向に順次重ね合わせ、隣り合う薄板磁性板間に楔状の空間を形成させて、薄板磁性板の円筒状の積層体を形成する工程とを備えたので、薄板磁性片の取り扱い及び枚数管理が容易となり、ほぼ完全な円筒面を有する円筒型積層コアを生産性よく製造できる円筒型積層コアの製造方法が得られる。
【0059】
この発明によれば、貫通穴を有する姿勢保持部が、少なくとも1つのスロットを有する外形形状をなし、かつ、主面上にスペーサが突設された薄板磁性板に薄肉連結片を介して連結されてなる薄板磁性片を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程と、保持部材を上記貫通穴に挿通させながら、上記スロットの開口を内周側もしくは外周側に一致させて、かつ、上記スペーサを隣り合う薄板磁性片の主面に当接させつつ周方向に重ね合わせ、隣り合う薄板磁性片間に楔状の空間を形成させて、上記薄板磁性片が順次積層された円筒状にスタックする工程と、スタックされた薄板磁性片の円筒状の積層体を一体化する工程と、一体化された薄板磁性片の円筒状の積層体を上記薄肉連結片で上記姿勢保持部から切り離し、一体化された薄板磁性板の円筒状の積層体を形成する工程とを備えたので、薄板磁性片の取り扱い及び枚数管理が容易となり、さらに薄板磁性片を円筒状に積層保持した状態で一体化が可能となり、ほぼ完全な円筒面を有する円筒型積層コアを生産性よく製造できる円筒型積層コアの製造方法が得られる。
【0060】
また、姿勢保持部が、薄板磁性板のスロット内周に連結片を介して連結されているので、高価な磁性材料の利用効率が上がり、低コスト化が図られる。
【0061】
この発明によれば、少なくとも1つのスロットを有する外形形状をなし、かつ、主面に打ち出し成形されたスペーサが設けられた複数の薄板磁性板を、それぞれのスロットの開口を内周側もしくは外周側に一致させ、該スペーサを隣り合う薄板磁性板の主面に当接させて隣り合う薄板磁性板間に楔状の空間を形成させるように周方向に積層して円筒に構成された円筒型積層コアと、この円筒型積層コアに上記薄板磁性板のスロットにより構成された環状スロット内に巻き線されたコイルとから構成された電機子を備えたので、電機子をほぼ完全な円筒面を有する円筒型に構成でき、可動子の成形時及び組立時に、軸方向精度を過度に高める必要がなくなるとともに、電機子を構成する薄板磁性板間の絶縁性が高められ、量産性にすぐれ、かつ、高効率のリニアモータが得られる。
【0062】
また、少なくとも1つのスロットを有する外形形状をなし、かつ、主面に打ち出し成形されたスペーサが設けられた複数の薄板磁性板を、それぞれのスロットの開口を外周側もしくは内周側に一致させ、該スペーサを隣り合う薄板磁性板の主面に当接させて隣り合う薄板磁性板間に楔状の空間を形成させるように周方向に積層して円筒に構成された円筒型積層コアと、この円筒型積層コアに上記薄板磁性板のスロットにより構成された環状スロット内に接合された永久磁石とから構成された可動子を備え、該可動子を電機子に同軸的に配設したので、可動子をほぼ完全な円筒面を有する円筒型に構成でき、組立性が向上されるとともに、可動子と電機子との環状の空隙を狭くでき、高量産性及び高効率化が図られる。
【0063】
この発明によれば、複数の薄板磁性板がそれぞれの主面を相対するように周方向に積層されて円筒に構成された円筒型積層コアにおいて、上記薄板磁性板は、主面に打ち出し成形されたスペーサが設けられ、周方向に積層される際に、該スペーサが隣り合う薄板磁性板の主面に当接して隣り合う薄板磁性板間に楔状の空間を形成させるようにしたので、生産性に優れたほぼ完全な円筒面を有する円筒型積層コアが得られる。
【0064】
また、磁性粉を含有する絶縁性樹脂が隣り合う薄板磁性板間に形成された楔状の空間に充填されているので、鉄心占積率が高まり、十分な磁束を生じさせることができる。
【0065】
この発明によれば、主面上に突設したスペーサを有する薄板磁性板を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程と、上記薄板磁性板を、上記スペーサを隣り合う薄板磁性板の主面に当接させつつ周方向に順次重ね合わせ、隣り合う薄板磁性板間に楔状の空間を形成させて、薄板磁性板の円筒状の積層体を形成する工程とを備えたので、ほぼ完全な円筒面を有する円筒型積層コアを生産性よく製造できる円筒型積層コアの製造方法が得られる。
【0066】
この発明によれば、貫通穴及び突起を有する姿勢保持部が、主面上にスペーサが突設された薄板磁性板に薄肉連結片を介して連結されてなる薄板磁性片を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程と、保持部材を上記貫通穴に挿通させながら上記薄板磁性片を順次所定枚数スタックする工程と、上記保持部材にスタックされた上記薄板磁性片を上記薄肉連結片で上記姿勢保持部から切り離して上記薄板磁性板を形成する工程と、上記薄板磁性板を、上記スペーサを隣り合う薄板磁性板の主面に当接させつつ周方向に順次重ね合わせ、隣り合う薄板磁性板間に楔状の空間を形成させて、薄板磁性板の円筒状の積層体を形成する工程とを備えたので、薄板磁性片の取り扱い及び枚数管理が容易となり、ほぼ完全な円筒面を有する円筒型積層コアを生産性よく製造できる円筒型積層コアの製造方法が得られる。
【0067】
この発明によれば、貫通穴を有する姿勢保持部が、主面上にスペーサが突設された薄板磁性板に薄肉連結片を介して連結されてなる薄板磁性片を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程と、保持部材を上記貫通穴に挿通させながら、上記スペーサを隣り合う薄板磁性片の主面に当接させつつ周方向に重ね合わせ、隣り合う薄板磁性片間に楔状の空間を形成させて、上記薄板磁性片が順次積層された円筒状にスタックする工程と、スタックされた薄板磁性片の円筒状の積層体を一体化する工程と、一体化された薄板磁性片の円筒状の積層体を上記薄肉連結片で上記姿勢保持部から切り離し、一体化された薄板磁性板の円筒状の積層体を形成する工程とを備えたので、薄板磁性片の取り扱い及び枚数管理が容易となり、さらに薄板磁性片を円筒状に積層保持した状態で一体化が可能となり、ほぼ完全な円筒面を有する円筒型積層コアを生産性よく製造できる円筒型積層コアの製造方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1に係る円筒型積層コアを示す斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る円筒型積層コアの構造を説明する斜視図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る円筒型積層コアに用いられる薄板磁性板を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る円筒型積層コアの製造方法を説明する平面図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る円筒型積層コアに用いられる薄板磁性板の実施態様を示す図である。
【図6】この発明の実施の形態2に係る円筒型積層コアの製造方法で成形された薄板磁性片を示す平面図である。
【図7】この発明の実施の形態2に係る円筒型積層コアの製造方法における薄板磁性片のスタック方法を示す斜視図である。
【図8】この発明の実施の形態2に係る円筒型積層コアの製造方法における薄板磁性片から薄板磁性板を得る方法を説明する図である。
【図9】この発明の実施の形態2に係る円筒型積層コアに用いられる薄板磁性片の実施態様を示す図である。
【図10】この発明の実施の形態3に係る円筒型積層コアの製造方法における薄板磁性片のスタック方法を示す斜視図である。
【図11】この発明の実施の形態3に係る円筒型積層コアの製造方法における薄板磁性片のスタック状態を示す斜視図である。
【図12】この発明の実施の形態3に係る円筒型積層コアの製造方法における薄板磁性片の積層体の一体化方法を説明する図である。
【図13】この発明の実施の形態4に係る円筒型積層コアを示す要部平面図である。
【図14】この発明の実施の形態5に係る円筒型積層コアの製造方法における打ち抜きプレス工程を説明する図である。
【図15】この発明の実施の形態6に係る円筒型積層コアの製造方法における打ち抜きプレス工程を説明する図である。
【図16】この発明の実施の形態7に係るリニアモータの構成を説明する斜視図である。
【図17】この発明の実施の形態7に係る円筒型積層コアの製造方法における打ち抜きプレス工程を説明する図である。
【図18】この発明の実施の形態7の実施態様に係るリニアモータの構成を説明する斜視図である。
【図19】この発明の実施の形態8に係るリニアモータの構成を説明する斜視図である。
【図20】この発明の実施の形態9に係るリニアモータの構成を説明する斜視図である。
【図21】この発明の実施の形態9の実施態様に係るリニアモータの構成を説明する斜視図である。
【図22】従来のリニアモータの構造を説明する図である。
【図23】従来の円筒型積層コアを示す斜視図である。
【符号の説明】
10、30 薄板磁性板、10a、30a 切欠(スロット)、10b、10c、30b 突起(スペーサ)、11 楔状の空間、12、17 薄板磁性片、13、18 姿勢保持部、13a 突起、14 連結片(薄肉連結片)、15 貫通穴、16、19 保持部材、25 絶縁性樹脂、26 磁性板、100 円筒型積層コア、100a、200a、202a、402 環状スロット、200、300 円筒型積層コア(電機子)、201、301 可動子、202、401 円筒型積層コア、203、303 永久磁石、204 コイル(電機子)、300a−v、300a−v’、300a−w、300a−w’、300a−u、300a−u’ 環状スロット、302 バックヨーク。
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば円筒型積層の電動機、発電機、プランジャ等の電磁気応用機器に適用できる円筒型積層コア及びその製造方法並びに円筒型積層コアを用いたリニアモータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図22は例えば米国特許第4602174号に記載された従来のリニアモータの構造を説明する図である。
このリニアモータは、圧縮機の冷媒ピストン5の駆動用として適用されるものであって、C型コア1、このC型コア1のスロット1a内に装着されたコイル2、C型コア1のスロット1a側に配設された可動磁石3およびこの可動磁石3を挟んでC型コア1と相対して配設されたバックヨーク4から構成されている。この可動磁石3は図中矢印で示す方向に着磁され、バックヨーク4は磁路を構成するものである。また、可動磁石3が冷媒圧縮ピストン5に連結されている。
このリニアモータでは、コイル2に電流を流すことにより磁束を発生させ、該磁束がC型コア1とバックヨーク4とで構成される磁路を流れる。そして、コイル2に流す電流の向きを変えることにより、即ちコイル2に交番電流を流すことにより、磁路を流れる磁束の向きを変えている。
そこで、磁束がC型コア1とバックヨーク4とで構成される磁路を流れるように、可動磁石3が移動される。即ち、磁束がC型コア1とバックヨーク4とで構成される磁路を図22中時計回りに流れる場合には、可動磁石3は図22中右方向に移動され、磁束が該磁路を図22中反時計回りに流れる場合には、可動磁石3は図22中左方向に移動されて、可動磁石3が往復移動される。
そして、この可動磁石3の往復移動力が冷媒圧縮ピストン5に伝達され、圧縮機が駆動される。
【0003】
このように構成されたリニアモータでは、図22中紙面に直交する方向に発生する渦電流の影響を抑えることから、C型コア1、可動磁石3およびバックヨーク4を図22中紙面に直交する方向に積層する必要があった。また、コイル2の長さを最短にして高効率化を図ること、加工性の向上を図ることから、C型コア1とバックヨーク4との空隙を円筒型とするのが望ましい。
そこで、図23に示されるように、C型に形成された絶縁被覆された薄板磁性板6を複数枚重ね合わせてコア積層体7を成形し、該コア積層体7を円周上に配列させて、円筒型積層コア8を構成していた。
そして、この円筒型積層コア8を用いてリニアモータを構成するには、円筒型積層コア8の内周に、円筒状の可動磁石(図示せず)およびバックヨーク(図示せず)を同心状に配設し、さらに円筒型積層コア8のスロット内にコイル2を装着することになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の円筒型積層コア8は以上のように、C型に形成された磁性薄板6を複数枚重ね合わせて成形されたコア積層体7を円周上に配列させて構成されているので、円筒型積層コア8の内周面が多角形状に形成されている。そして、この円筒型積層コア8をリニアモータに適用する場合には、円筒型積層コア8とバックヨークとの空隙を狭くするように構成される。
そこで、可動磁石の回転方向に外力が作用すると、可動磁石が円筒型積層コア8に接触する事故が発生してしまうことから、可動磁石の成形時及び組立時に、軸方向精度を高精度に確保する必要があり、量産化が困難となるという課題があった。
また、このような課題を解決するために、円筒型積層コア8の内周面に切削加工を施し、該内周面を滑らかな円筒面に成形する手法も提案されているが、切削工程等が必要となり、生産性が低下するという課題があった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、生産性に優れた円筒型積層コア及びその製造方法を得ることを目的とする。
また、円筒型積層コアを用いて、量産性に優れたリニアモータを得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1に係る円筒型積層コアは、少なくとも1つのスロットを有する複数の薄板磁性板がそれぞれのスロットの開口を内周側もしくは外周側に一致させて、かつ、それぞれの主面を相対するように周方向に積層されて円筒に構成された円筒型積層コアにおいて、上記薄板磁性板は、主面に打ち出し成形されたスペーサが設けられ、周方向に積層される際に、該スペーサが隣り合う薄板磁性板の主面に当接して隣り合う薄板磁性板間に楔状の空間を形成させるようにしたものである。
【0007】
また、この発明の請求項2に係る円筒型積層コアの製造方法は、少なくとも1つのスロットを有する外形形状をなし、かつ、主面上に突設したスペーサを有する薄板磁性板を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程と、上記薄板磁性板を、上記スロットの開口を内周側もしくは外周側に一致させて、かつ、上記スペーサを隣り合う薄板磁性板の主面に当接させつつ周方向に順次重ね合わせ、隣り合う薄板磁性板間に楔状の空間を形成させて、薄板磁性板の円筒状の積層体を形成する工程とを備えたものである。
また、この発明の請求項3に係る円筒型積層コアの製造方法は、上記請求項2に係る円筒型積層コアの製造方法の薄板磁性板を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程において、スペーサの突設位置が異なる少なくとも2種類の薄板磁性板が成形されるものである。
【0008】
また、この発明の請求項4に係る円筒型積層コアの製造方法は、貫通穴及び突起を有する姿勢保持部が、少なくとも1つのスロットを有する外形形状をなし、かつ、主面上にスペーサが突設された薄板磁性板に薄肉連結片を介して連結されてなる薄板磁性片を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程と、保持部材を上記貫通穴に挿通させながら上記薄板磁性片を順次所定枚数スタックする工程と、上記保持部材にスタックされた上記薄板磁性片を上記薄肉連結片で上記姿勢保持部から切り離して上記薄板磁性板を形成する工程と、上記薄板磁性板を、上記スロットの開口を内周側もしくは外周側に一致させて、かつ、上記スペーサを隣り合う薄板磁性板の主面に当接させつつ周方向に順次重ね合わせ、隣り合う薄板磁性板間に楔状の空間を形成させて、薄板磁性板の円筒状の積層体を形成する工程とを備えたものである。
【0009】
また、この発明の請求項5に係る円筒型積層コアの製造方法は、貫通穴を有する姿勢保持部が、少なくとも1つのスロットを有する外形形状をなし、かつ、主面上にスペーサが突設された薄板磁性板に薄肉連結片を介して連結されてなる薄板磁性片を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程と、保持部材を上記貫通穴に挿通させながら、上記スロットの開口を内周側もしくは外周側に一致させて、かつ、上記スペーサを隣り合う薄板磁性片の主面に当接させつつ周方向に重ね合わせ、隣り合う薄板磁性片間に楔状の空間を形成させて、上記薄板磁性片が順次積層された円筒状にスタックする工程と、スタックされた薄板磁性片の円筒状の積層体を一体化する工程と、一体化された薄板磁性片の円筒状の積層体を上記薄肉連結片で上記姿勢保持部から切り離し、一体化された薄板磁性板の円筒状の積層体を形成する工程とを備えたものである。
【0010】
また、この発明の請求項6に係る円筒型積層コアの製造方法は、上記請求項4または請求項5に係る円筒型積層コアの製造方法において、姿勢保持部が、薄板磁性板のスロット内周に連結片を介して連結されているものである。
また、この発明の請求項7に係る円筒型積層コアの製造方法は、上記請求項4乃至請求項6のいずれか1項に係る円筒型積層コアの製造方法の薄板磁性片を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程において、スペーサの突設位置が異なる少なくとも2種類の薄板磁性片が成形されるものである。
【0011】
また、この発明の請求項8に係るリニアモータは、少なくとも1つのスロットを有する外形形状をなし、かつ、主面に打ち出し成形されたスペーサが設けられた複数の薄板磁性板を、それぞれのスロットの開口を内周側もしくは外周側に一致させ、該スペーサを隣り合う薄板磁性板の主面に当接させて隣り合う薄板磁性板間に楔状の空間を形成させるように周方向に積層して円筒に構成された円筒型積層コアと、この円筒型積層コアに上記薄板磁性板のスロットにより構成された環状スロット内に巻き線されたコイルとから構成された電機子を備えたものである。
【0012】
また、この発明の請求項9に係るリニアモータは、上記請求項8に係るリニアモータにおいて、少なくとも1つのスロットを有する外形形状をなし、かつ、主面に打ち出し成形されたスペーサが設けられた複数の薄板磁性板を、それぞれのスロットの開口を外周側もしくは内周側に一致させ、該スペーサを隣り合う薄板磁性板の主面に当接させて隣り合う薄板磁性板間に楔状の空間を形成させるように周方向に積層して円筒に構成された円筒型積層コアと、この円筒型積層コアに上記薄板磁性板のスロットにより構成された環状スロット内に接合された永久磁石とから構成された可動子を備え、該可動子を電機子に同軸的に配設したものである。
【0013】
また、この発明の請求項10に係る円筒型積層コアは、複数の薄板磁性板がそれぞれの主面を相対するように周方向に積層されて円筒に構成された円筒型積層コアにおいて、上記薄板磁性板は、主面に打ち出し成形されたスペーサが設けられ、周方向に積層される際に、該スペーサが隣り合う薄板磁性板の主面に当接して隣り合う薄板磁性板間に楔状の空間を形成させるようにしたものである。
【0014】
また、この発明の請求項11に係る円筒型積層コアは、上記請求項1または請求項10に係る円筒型積層コアにおいて、磁性粉を含有する絶縁性樹脂が隣り合う薄板磁性板間に形成された楔状の空間に充填されているものである。
【0015】
また、この発明の請求項12に係る円筒型積層コアの製造方法は、主面上に突設したスペーサを有する薄板磁性板を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程と、上記薄板磁性板を、上記スペーサを隣り合う薄板磁性板の主面に当接させつつ周方向に順次重ね合わせ、隣り合う薄板磁性板間に楔状の空間を形成させて、薄板磁性板の円筒状の積層体を形成する工程とを備えたものである。
また、この発明の請求項13に係る円筒型積層コアの製造方法は、上記請求項12に係る円筒型積層コアの製造方法の薄板磁性板を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程において、スペーサの突設位置が異なる少なくとも2種類の薄板磁性板が成形されるものである。
【0016】
また、この発明の請求項14に係る円筒型積層コアの製造方法は、貫通穴及び突起を有する姿勢保持部が、主面上にスペーサが突設された薄板磁性板に薄肉連結片を介して連結されてなる薄板磁性片を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程と、保持部材を上記貫通穴に挿通させながら上記薄板磁性片を順次所定枚数スタックする工程と、上記保持部材にスタックされた上記薄板磁性片を上記薄肉連結片で上記姿勢保持部から切り離して上記薄板磁性板を形成する工程と、上記薄板磁性板を、上記スペーサを隣り合う薄板磁性板の主面に当接させつつ周方向に順次重ね合わせ、隣り合う薄板磁性板間に楔状の空間を形成させて、薄板磁性板の円筒状の積層体を形成する工程とを備えたものである。
【0017】
また、この発明の請求項15に係る円筒型積層コアの製造方法は、貫通穴を有する姿勢保持部が、主面上にスペーサが突設された薄板磁性板に薄肉連結片を介して連結されてなる薄板磁性片を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程と、保持部材を上記貫通穴に挿通させながら、上記スペーサを隣り合う薄板磁性片の主面に当接させつつ周方向に重ね合わせ、隣り合う薄板磁性片間に楔状の空間を形成させて、上記薄板磁性片が順次積層された円筒状にスタックする工程と、スタックされた薄板磁性片の円筒状の積層体を一体化する工程と、一体化された薄板磁性片の円筒状の積層体を上記薄肉連結片で上記姿勢保持部から切り離し、一体化された薄板磁性板の円筒状の積層体を形成する工程とを備えたものである。
また、この発明の請求項16に係る円筒型積層コアの製造方法は、上記請求項14または請求項15に係る円筒型積層コアの製造方法の薄板磁性片を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程において、スペーサの突設位置が異なる少なくとも2種類の薄板磁性片が成形されるものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図について説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る円筒型積層コアを示す斜視図、図2はこの発明の実施の形態1に係る円筒型積層コアの構造を説明する斜視図、図3はこの発明の実施の形態1に係る円筒型積層コアに用いられる薄板磁性板を示す図であり、図3の(a)はその平面図、図3の(b)は図3の(a)のIIIB−IIIB矢視断面図である。また、図4はこの発明の実施の形態1に係る円筒型積層コアの製造方法を説明する平面図である。
各図において、薄板磁性板10は内周側に開口されたスロットとしての切欠10aを有するコの字状に成形され、スペーサとしての一対の突起10b、10bがその一方の主面の外周側に突設されている。そして、複数枚の薄板磁性板10がそれぞれ内周側の端部を合わせ、突起10bを隣り合う薄板磁性板10の他方の主面に当接させて、周方向に積層されている。ここで、隣り合う薄板磁性板10間には、内周側が端部で接し、外周側が突起10bで離間された楔状の空間11が形成されている。そこで、周方向に積層された複数枚の薄板磁性板10は、各薄板磁性板10の主面が軸心を通る平面内にほぼ位置するように、軸心回りにほぼ等角ピッチに配列されて円筒状の円筒型積層コア100を構成している。この円筒型積層コア100の内周側には、各薄板磁性板10の切欠10aで構成される環状スロット100aが形成されている。
【0019】
ここで、このように構成された円筒型積層コア100の製造方法について説明する。
まず、打ち抜きプレス工程により両面に絶縁被膜が被覆された磁性材料からなる長尺の磁性板から薄板磁性板10を多数枚成形する。この薄板磁性板10は、切欠10aを有するC字状の外形形状に打ち抜かれると同時に、一対の突起10bが一方の主面の外周側に打ち出し成形されている。この打ち抜きプレス工程では、図3に示すように、突起10bを一方の主面側に成形すると、他方の主面には突起10bに対応する窪みが形成されてしまう。そして、この薄板磁性板10を周方向に重ね合わせると、突起10bが隣り合う薄板磁性板10の窪みに嵌合してしまい、所望の楔状の空間11を精度良く形成できなくなる。そこで、図2に示されるように、突起10bの突設位置の異なる2種類の薄板磁性板10を成形することになる。
ついで、突起10bの突設位置の異なる2種類の薄板磁性板10を、図4に示すように、内周側の端部を合わせ、突起10bを隣り合う薄板磁性板10の他方の主面に当接させるように、交互に周方向に積層する。そして、薄板磁性板10を軸心周りに環状に配設し、周方向に環状に積層された薄板磁性板10を図示しない固定手段により固定して、図1に示される円筒型積層コア100が製造される。
【0020】
このように構成された円筒型積層コア100をリニアモータに適用するには、円筒型積層コア100の各薄板磁性板10の切欠10aで構成された環状スロット100a内にコイルを装着して電機子を構成し、円筒状のバックヨーク(図示せず)を所定空隙をもってコア100の内周側に同軸的に配設し、さらに円筒状の可動磁石(図示せず)をコア100とバックヨークとの空隙に位置し、かつ、軸心方向に往復移動可能に同軸的に配設すればよい。
このように構成されたリニアモータは、コイルに交番電流を流すことにより、図22に示された従来のリニアモータと同様に、可動磁石を往復移動させることができる。
【0021】
この実施の形態1によれば、内周側を開口する切欠10aが設けられ、かつ、一対の突起10bが一方の主面の外周側に突設されたC字状の薄板磁性板10を、内周側の端部を接しさせ、かつ、突起10bを隣り合う薄板磁性板10の他方の主面に当接させて隣り合う薄板磁性板10、10間に楔状の空間11を形成させるように、周方向に積層しているので、切削加工等の特殊な加工を施すことなく、内周壁面が滑らかな円筒形状が得られ、生産性に優れた安価な円筒型積層コア100が得られる。
また、この円筒型積層コア100をリニアモータに適用すれば、コイルが装着される環状スロット100aが構成され、コイル長を最短にでき、高効率化が図られる。また、コア100とバックヨークとの空隙を円筒形にでき、図23に示される内周面が多角形状に構成される従来のコアに比べて、円筒状の可動磁石にラジアル方向の外力が作用しても可動磁石がコア100に接触する事故が著しく抑えられ、可動磁石の加工やリニアモータの組立に高い精度が要求されず、生産性に優れた安価なリニアモータが得られる。
また、打ち抜きプレス加工等において薄板磁性板10表面の絶縁被膜が破壊されると、該絶縁被膜の破壊に起因して薄板磁性板10間に短絡渦電流が発生してしまうが、薄板磁性板10間に楔状の空間11が形成されているので、薄板磁性板10間が絶縁され、短絡渦電流の発生を低減でき、リニアモータの高効率化が図られる。
【0022】
また、打ち抜きプレス工程により両面に絶縁被膜が被覆された磁性材料からなる長尺の磁性板から突起10bの突設位置の異なる2種類の薄板磁性板10を多数枚形成し、2種類の薄板磁性板10を、内周側の端部を合わせ、突起10bを隣り合う薄板磁性板10の他方の主面に当接させるように、交互に周方向に積層しているので、切削加工等の特殊な加工を施すことなく、内周壁面が滑らかな円筒形状の円筒型積層コア100を安価に高歩留まりで量産することができる。
また、突起10bの突設位置の異なる2種類の薄板磁性板10を交互に周方向に積層しているので、薄板磁性板10の突起10bに対応する窪みの影響を抑えて楔状の空間11を精度よく形成でき、歩留まりを向上させることができる。
【0023】
なお、上記実施の形態1では、突起10bの突設位置の異なる2種類の薄板磁性板10を打ち抜きプレス工程により成形するものとしているが、突起10bの突設位置の異なる薄板磁性板は2種類に限らず、3種類であっても、4種類であってもよい。
また、上記実施の形態1では、突起10bを有底円筒状に押し出し形成するものとしているが、突起10bの形状はこれに限定されるものではなく、例えば図5の(a)、(b)に示されるように、断面V字状の突起10cであっても同様の効果を奏する。
【0024】
実施の形態2.
この実施の形態1では、打ち抜きプレス工程により薄板磁性板10を多数枚成形するものとしているが、プレス加工により成形された薄板磁性板10の枚数管理や保持方法が困難であり、量産効率の低下をもたらしている点に鑑み、この実施の形態2では、プレス加工により成形された薄板磁性板の保持方法を具体化し、枚数管理を容易として、量産の高効率化を図るものである。
図6はこの発明の実施の形態2に係る円筒型積層コアの製造方法で成形された薄板磁性片を示す平面図、図7はこの発明の実施の形態2に係る円筒型積層コアの製造方法における薄板磁性片のスタック方法を示す斜視図、図8はこの発明の実施の形態2に係る円筒型積層コアの製造方法における薄板磁性片から薄板磁性板を得る方法を説明する図である。
【0025】
この実施の形態2では、まず打ち抜きプレス工程において、両面に絶縁被膜が被覆された磁性材料からなる長尺の磁性板から切欠10a、突起10bおよび姿勢保持部13を有する薄板磁性片12を成形している。
この薄板磁性片12は姿勢保持部13を除去することにより上述の薄板磁性板10が作製されるものである。そして、姿勢保持部13は切欠10aの底辺に根元側が幅狭に形成された連結片14を介して接続されている。また、姿勢保持部13には、一対の貫通穴15、15が穿設され、一方の主面に突起10bと同一高さの突起13aが突設されている。なお、この実施の形態2においても、突起10bの突設位置の異なる2種類の薄板磁性片12が成形される。
ついで、一対の貫通穴15内にそれぞれ保持部材16を挿通させて2種類の薄板磁性片12を交互にスタックさせる。この時、隣り合う薄板磁性片12は、突起10b、13aにより保持部材16に平行にスタックされる。
そして、図8に示すように、薄板磁性片12を連結片14の幅狭な根元側で屈曲させることにより、姿勢保持部13が切り離され、薄板磁性板10を得る。その後、上記実施の形態1と同様にして、2種類の薄板磁性板10を周方向に交互に積層して、円筒型積層コア100を得る。
【0026】
このように、この実施の形態2によれば、打ち抜きプレス工程において、両面に絶縁被膜が被覆された磁性材料からなる長尺の磁性板から切欠10a、突起10bおよび姿勢保持部13を有する薄板磁性片12を成形し、多数枚の薄板磁性片12を姿勢保持部13を介してスタックし、薄板磁性片12を姿勢保持部13から切り離して薄板磁性板10を得るようにしているので、薄板磁性板10、即ち薄板磁性片12をスタックでき、薄板磁性片12の取り扱い及び枚数管理が容易となり、量産の高効率化が図られる。
また、姿勢保持部13の主面に突起10bと同一高さの突起13aを突設しているので、薄板磁性片12が保持部材16に互いに平行にスタックされ、薄板磁性片12の取り扱い及び枚数管理が一層容易となる。
また、姿勢保持部13は根元側が幅狭の連結片14により切欠10aの底辺に連結されているので、切断工具を用いることなく、薄板磁性片12を連結片14の根元側で屈曲させることにより姿勢保持部13を切り離して、薄板磁性板10を得ることができる。
【0027】
なお、上記実施の形態2では、姿勢保持部材13を切欠10aの底辺に連結片14を介して連結するものとしているが、姿勢保持部材13の連結される箇所は切欠10aの底辺に限らず、例えば図9に示されるように、切欠10aの側辺に連結片14を介して連結しても、同様の効果を奏する。
【0028】
実施の形態3.
上記実施の形態2では、多数枚の薄板磁性片12を姿勢保持部材13を用いて保持部材16に平行にスタックするものとしているが、この実施の形態3では、多数枚の薄板磁性片を姿勢保持部材及び円弧状に成形された保持部材を用いて半円筒状にスタックするものとしている。
この実施の形態3では、薄板磁性片17は、両端辺の外周側に係止用の切欠17aが設けられ、さらに一対の貫通穴15、15が穿設された姿勢保持部材18を連結片14を介して切欠10aの底辺に連結されたもので、他の構成は上述の薄板磁性片12と同様に構成されている。
【0029】
この実施の形態3では、まず打ち抜きプレス工程において、両面に絶縁被膜が被覆された磁性材料からなる長尺の磁性板から切欠10a、突起10b、切欠17aおよび姿勢保持部18を有する薄板磁性片17を成形している。
この薄板磁性片17は姿勢保持部18を除去することにより上述の薄板磁性板10が作製されるものである。なお、この実施の形態3においても、突起10bの突設位置の異なる2種類の薄板磁性片17が成形される。
ついで、2種類の薄板磁性片17を、図10に示すように、円弧状に成形された一対の保持部材19、19に一対の貫通穴15、15を通しながら交互にスタックさせる。この時、隣り合う薄板磁性片17は、内周側の端部が互いに接し、突起10bが隣り合う薄板磁性片17の他方の主面に当接して、周方向に重なり合ってスタックされる。この薄板磁性片17の積層体は、図11に示すように、半円筒状に構成されている。
【0030】
ついで、薄板磁性片17の積層体は、断面コの字状に成形された半円筒状の固定枠20内に配置される。この固定枠20の両端の鍔部21、22の内周面には、それぞれ係止突起21a、22aが同一円周状に突設されている。そして、該鍔部21、22を内側に折り曲げて、係止突起21a、22aを薄板磁性片17の両端辺に設けられた切欠17a、17aに嵌着させる。そこで、薄板磁性片17の積層体は、図12に示されるように、両端辺に設けられた切欠17aに固定枠20の係止突起21a、22aが嵌着されて、両端から所定の加圧力で挟持され、一体化される。
その後、一対の保持部材19、19を軸心方向に沿って往復移動させ、連結片14の根元側で姿勢保持部18を切り離し、多数枚の薄板磁性板10が半円筒状に積層一体化されたスタックを得る。次に、この多数枚の薄板磁性板10が半円筒状に積層一体化された2つのスタックを端部の薄板磁性板10同士が相対するように重ね合わせ、固定枠20同士を連結して、円筒型積層コアを得る。
【0031】
このように、この実施の形態3によれば、打ち抜きプレス工程において、両面に絶縁被膜が被覆された磁性材料からなる長尺の磁性板から切欠10a、突起10b、切欠17aおよび姿勢保持部18を有する薄板磁性片17を成形し、多数枚の薄板磁性片17を姿勢保持部18を介して半円弧状に成形された保持部材19に周方向にスタックしているので、薄板磁性板10、即ち薄板磁性片17を半円筒状にスタックできる。そこで、係合突起21a、22aを外周側から薄板磁性片17の切欠17aに嵌合させることにより、薄板磁性片17を1枚づつ保持部材19から取り外すことなく、半円筒状にスタックされた薄板磁性片17の積層体を固定枠20で一括して固定できる。そして、固定枠20に固定された薄板磁性片17の積層体から姿勢保持部18を切り離すことにより、半円筒状に積層された薄板磁性体10の積層体が得られる。従って、薄板磁性片17の取り扱い及び枚数管理が容易となるとともに、量産の高効率化が図られる。
また、薄板磁性片17に姿勢保持部18を一体に設け、該姿勢保持部18に貫通穴15を穿設し、該貫通穴15に保持部材19を挿通させて薄板磁性片17を周方向に積層した状態で保持しているので、固定枠20による一体化作業における薄板磁性片17の特別な保持手段が不要となり、量産化が容易となる。
【0032】
実施の形態4.
この実施の形態4では、図13に示すように、隣り合う薄板磁性板10、10間に形成される楔状の空間11に磁性粉が混入された絶縁性樹脂25を充填するもので、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
【0033】
この実施の形態4では、突起10bの突設位置の異なる2種類の薄板磁性板10を、内周側の端部を合わせ、突起10bを隣り合う薄板磁性板10の他方の主面に当接させるように、交互に周方向に積層させた後、溶解した樹脂、例えばポリフェニレンサルファイド樹脂に磁性粉を混合して得られた絶縁性樹脂25を各楔状の空間11に注入し硬化させている。そこで、周方向に積層された薄板磁性板10が絶縁性樹脂25により一体化されて、円筒型積層コアが得られる。
【0034】
このように、この実施の形態4によれば、薄板磁性板10間に形成される楔状の空間11に磁性粉が充填されるので、鉄心占積率が高められ、磁路形成用鉄心に十分な磁束を生じることができるようになる。
また、磁性粉が混入された絶縁性樹脂25で薄板磁性板10の積層体を樹脂モールドでき、薄板磁性板10の積層体を容易に固定できるとともに、磁性粉同士の絶縁が確保される。
【0035】
なお、上記実施の形態4では、絶縁性樹脂25を単に各楔状の空間11内に注入するものとして説明しているが、周方向に積層された薄板磁性板10の積層体を樹脂形成型内に配置させて、絶縁性樹脂25を注入硬化させるようにしてもよい。
また、上記実施の形態4では、上記実施の形態1に適用するものとしているが、他の実施の形態に適用しても、同様の効果を奏する。
【0036】
実施の形態5.
図14はこの発明の実施の形態5に係る円筒型積層コアの製造方法における打ち抜きプレス工程を説明する図である。
この実施の形態5では、打ち抜きプレス工程において、両面に絶縁被膜が被覆された磁性材料からなる長尺の磁性板26から、それぞれ切欠10a、突起10bおよび切欠10aの底辺に連結片14を介して連結された姿勢保持部13を有し、突起10bの突設位置が異なる2種類の薄板磁性片12を交互に成形している。
従って、姿勢保持部13がコアとして不要な切欠10a内に設けられているので、鉄心材料の利用率が高められ、低コスト化が図られる。
【0037】
実施の形態6.
図15はこの発明の実施の形態6に係る円筒型積層コアの製造方法における打ち抜きプレス工程を説明する図である。
この実施の形態6では、打ち抜きプレス工程において、両面に絶縁被膜が被覆された磁性材料からなる長尺の磁性板26から、それぞれ切欠10a、突起10bおよび外周側端辺の中央部に連結片14を介して連結された姿勢保持部13を有し、突起10bの突設位置が異なる2種類の薄板磁性片12を交互に成形している。
この実施の形態6によれば、薄板磁性片12の外周側端辺の中央部に連結片14を介して連結された姿勢保持部13は隣り合う薄板磁性片12の切欠10a内に位置し、上記実施の形態5と同様に、鉄心材料の利用率が高められ、低コスト化が図られる。
【0038】
実施の形態7.
図16はこの発明の実施の形態7に係るリニアモータの構成を説明する斜視図であり、この図16ではリニアモータの軸心を通る平面で2分割した状態を示している。
この実施の形態7によるリニアモータは、円筒型積層コア200の内周に円筒型の可動子201を軸心方向に往復移動可能に配設したものである。
そして、可動子201は、円筒型積層コア202と永久磁石203とから構成されている。円筒型積層コア202は、外周側に開口された切欠30aを有するコの字状に成形され、スペーサとしての一対の突起30b、30bがその一方の主面の外周側に突設された薄板磁性板30がそれぞれ内周側の端部を合わせ、突起30bを隣り合う薄板磁性板30の他方の主面に当接させて、周方向に積層されて円筒状に構成されている。この円筒型積層コア202の外周側には、薄板磁性板10の切欠10aで構成される環状スロット200aが形成されており、このスロット202a内に永久磁石203が装着されている。この永久磁石203は、図22に示される可動磁石3と同様に着磁されている。
なお、円筒型積層コア200は上記実施の形態2で作製された円筒型積層コアが用いられ、その内周側に形成される環状スロット200a内に交番電流を流すコイル204が装着されて、電機子を構成している。
【0039】
このように構成されたリニアモータの製造方法について説明する。
まず、打ち抜きプレス工程において、図17に示すように、両面に絶縁被膜が被覆された磁性材料からなる長尺の磁性板から切欠10a、突起10bおよび姿勢保持部13を有する薄板磁性片12と、切欠30a、突起30bおよび姿勢保持部32を有する薄板磁性片31とを成形している。
この薄板磁性片12は姿勢保持部13を除去することにより円筒型積層コア200を構成する薄板磁性板10が作製され、薄板磁性片31は姿勢保持部32を除去することにより円筒型積層コア202を構成する薄板磁性板30が作製されるものである。そして、姿勢保持部13、32はそれぞれ切欠10aの底辺および薄板磁性片31の外周側端辺に根元側が幅狭に形成された連結片14を介して接続され、切欠20a内に位置している。また、姿勢保持部13、32には、それぞれ一対の貫通穴15、15が穿設され、一方の主面に突起10b、30bと同一高さの突起13a、32aが突設されている。さらに、突起10b、30bの突設位置の異なる2種類の薄板磁性片12、31が成形される。
【0040】
ついで、一対の貫通穴15内にそれぞれ保持部材16を挿通させて2種類の薄板磁性片12を交互にスタックさせる。この時、隣り合う薄板磁性片12は、突起10b、13aにより保持部材16に平行にスタックされる。
同様に、一対の貫通穴15内にそれぞれ保持部材16を挿通させて2種類の薄板磁性片31を交互にスタックさせる。この時、隣り合う薄板磁性片31は、突起30b、32aにより保持部材16に平行にスタックされる。
そして、薄板磁性片12を連結片14の幅狭な根元側で屈曲させることにより、姿勢保持部13が切り離され、薄板磁性板10を得る。その後、2種類の薄板磁性板10を周方向に交互に積層し、この薄板磁性板10の円筒状の積層体を一体化して円筒型積層コア200を得る。
同様に、薄板磁性片31を連結片14の幅狭な根元側で屈曲させることにより、姿勢保持部32が切り離され、薄板磁性板30を得る。その後、2種類の薄板磁性板30を周方向に交互に積層し、この薄板磁性板30の円筒状の積層体を一体化して円筒型積層コア202を得る。
【0041】
つぎに、薄板磁性板10の切欠10aで構成される円筒型積層コア200の環状スロット200a内にコイル204を巻き線して装着し、電機子を得る。また、薄板磁性板30の切欠30aで構成される円筒型積層コア202の環状スロット202a内に永久磁石203を接合して装着し、可動子201を得る。
その後、円筒型積層コア200の内周に可動子201を同軸に配設し、リニアモータを得る。
【0042】
この実施の形態7によれば、打ち抜きプレス加工により、長尺の磁性板から切欠10a、突起10bおよび姿勢保持部13を有し、かつ、突起10bの突設位置の異なる2種類の薄板磁性片12を成形し、この薄板磁性片12から得られる2種類の薄板磁性板10を周方向に交互に積層して円筒状の積層体を形成しているので、切削加工等の特別な加工手段を講じることなく、内周面が滑らかな円筒面となる円筒型積層コア200が得られ、生産性を向上させることができる。
また、可動子の回転方向に外力が作用しても、可動子が円筒型積層コア200に接触しにくくなり、可動子の成形時及び組立時に、軸方向精度を高精度に確保する必要がなく、優れた量産性が得られる。同時に、円筒型積層コア200と可動子との空隙を狭くすることができ、高効率化が図られる。
【0043】
また、打ち抜きプレス加工により、長尺の磁性板から切欠30a、突起30bおよび姿勢保持部32を有し、かつ、突起30bの突設位置の異なる2種類の薄板磁性片31を成形し、この薄板磁性片31から得られる2種類の薄板磁性板30を周方向に交互に積層して円筒状の積層体を形成しているので、切削加工等の特別な加工手段を講じることなく、内周面が滑らかな円筒面となる円筒型積層コア202が得られる。そこで、円筒型積層コア200と円筒型積層コア202とを組み合わせることにより、両コア間の空隙を一層狭くでき、高効率化が一層図られるとともに、生産性、量産性を向上させることができる。
また、打ち抜きプレス加工において、姿勢保持部13、32を薄板磁性片12の切欠10a内に位置させているので、磁性材料の利用率を高めることができ、低コスト化が図られる。
【0044】
ここで、上記実施の形態7では、円筒型積層コア200、202を作製するにあたり、上記実施の形態2による円筒型積層コアの製造方法を適用するものとしているが、他の実施の形態による円筒型積層コアの製造方法を適用しても、同様の効果が得られる。
【0045】
なお、上記各実施の形態では、コイルを装着する切欠10aが内周側に位置する円筒型積層コアについて説明しているが、コイルを装着する切欠10aが外周側に位置する円筒型積層コアに適用して図18に示されるように構成しても、同様の効果を奏する。この場合、円筒型積層コア200の外周に円筒型の可動子201を同軸に配設してなるリニアモータが構成される。
【0046】
実施の形態8.
上記各実施の形態では、1つの環状スロットを有する円筒型積層コアについて説明しているが、本発明は軸方向に複数の環状スロットを有する円筒型積層コアにも適用することができる。
図19はこの発明の実施の形態8に係るリニアモータの構成を説明する斜視図であり、この図19ではリニアモータの軸心を通る平面で2分割した状態を示している。
【0047】
可動子201は、円筒型積層コア202と永久磁石203とから構成されている。この円筒型積層コア202は、内周側に開口された2つの切欠30a、30aが所定間隙をもって設けられた外形形状に成形され、かつ、一対の突起30b、30bがその一方の主面の外周側に突設された薄板磁性板30をそれぞれ内周側の端部を合わせ、突起30bを隣り合う薄板磁性板30の他方の主面に当接させて、周方向に積層されて円筒状に構成されている。そして、永久磁石203が2つの切欠30a、30aによって構成される環状スロット202a、202aにそれぞれ装着されている。
また、円筒型積層コア200は、外周側に開口された2つの切欠10a、10aが所定間隙をもって設けられた外形形状に成形され、かつ、一対の突起10b、10bがその一方の主面の外周側に突設された薄板磁性板10をそれぞれ内周側の端部を合わせ、突起10bを隣り合う薄板磁性板10の他方の主面に当接させて、周方向に積層されて円筒状に構成されている。そして、コイル204が2つの切欠10a、10aによって構成される環状スロット200a、200aにそれぞれ装着されて、電機子を構成している。
【0048】
このように構成された円筒型積層コア200および可動子201は、円筒型積層コア200の外周に可動子201を軸心方向に往復移動可能に配設し、上記実施の形態7に示すリニアモータを軸方向に2つ連続したリニアモータが構成される。このリニアモータにおいては、連続したリニアモータの磁路を共有するため、隣り合っているコイル204、204は互いに反対方向に通電され、隣り合っている永久磁石203、203は磁界発生方向が互いに反対となるように構成することになる。
この円筒型積層コア200および可動子201は、上記実施の形態7のリニアモータの製造方法において、切欠10a、30aをそれぞれ2つ設けることにより、容易に作製することができる。
従って、この実施の形態8によれば、上記実施の形態7と同様に、切削加工等の特別な加工手段を講じることなく、内周面が滑らかな円筒面となる円筒型積層コア200が得られ、生産性を向上させることができる。また、可動子201の回転方向に外力が作用しても、可動子が円筒型積層コア200に接触しにくくなり、可動子の成形時及び組立時に、軸方向精度を高精度に確保する必要がなく、優れた量産性が得られる。同時に、円筒型積層コア200と可動子との空隙を狭くすることができ、高効率化が図られる。
【0049】
なお、上記実施の形態8では、上記実施の形態7に示すリニアモータを軸方向に2つ連続して設けるものとしているが、該リニアモータを軸方向に3つ以上連続して設けてもよい。
【0050】
実施の形態9.
上記各実施の形態では、環状スロットに単相電源で駆動したコイルを配置するものとして説明している。従って、リニアモータと記載しているが、実際は単相で駆動されるために往復移動するリニア振動モータとしての動作となる。
この実施の形態9では、環状スロットを複数設け、3相の進行磁界を発生し、一方向に対して連続して駆動するリニアモータに適用するものである。
【0051】
図20はこの発明の実施の形態9に係るリニアモータの構成を説明する斜視図であり、この図20ではリニアモータの軸心を通る平面で2分割した状態を示している。
この実施の形態9では、電機子である円筒型積層コア300は、2相2極分の巻線を収納するための6つの環状スロット300a−u、300a−w’、300a−u’、300a−v、300a−w’、300a−uが構成されている点を除いて、上記実施の形態7における円筒型積層コア200と同様に構成されている。そして、各環状スロット300a−u、300a−w’、300a−u’、300a−v、300a−w’、300a−uに収納されている巻線に電源(図示せず)からu、v、wび3相電流が供給されている。
可動子301は、NもしくはSに着磁された円環状の永久磁石303がN、S、N、S・・・と軸方向に交互に配設され、その外周に上記実施の形態7における円筒型積層コア202と同様に構成されたバックヨーク302が配設されて構成されている。ここで、永久磁石303はバックヨーク302の内周面に接合されている。また、バックヨーク302は、切欠30aが設けられていない点で、上記実施の形態7における円筒型積層コア202と相違するが、同様に製造することができる。
この可動子側は円筒型積層コアで構成されているが、上述の通り、電機子進行磁界と永久磁石とを設けることにより、3相リニアモータを構成できる。
このように、本発明は、3相リニアモータにも適用することができる。
【0052】
なお、上記実施の形態9では、電機子より可動子が長い構成を説明しているが、電機子が可動子より長い場合でも、あるいは可動子が固定されて電機子側が移動しても、リニアモータとして同様に成立する。
また、上記実施の形態9では、可動子に永久磁石を用いたリニアモータとして説明しているが、図21に示すように、環状スロット402に銅あるいはアルミ等を材料とする円環状の2次導体403を配設した円筒型積層コア401に対して、円筒型積層コア300(電機子)により進行磁界を印加して、リニア誘導型モータとしても構成できる。
【0053】
なお、上記各実施の形態では、周方向に積層された薄板磁性板10の積層体が完全な円筒形をなす円筒型積層コアについて説明しているが、該薄板磁性板10の積層体の周方向の一部が切り欠かれているいわゆるC型であっても、該薄板磁性板10の積層体の一部が円弧状をなしていれば、本願発明を適用できることはいうまでもないことである。
また、上記各実施の形態では、突起10bの突設位置の異なる2種類の薄板磁性板10を成形するものとしているが、薄板磁性板10は突起10bの突設位置の異なる2種類に限らず、3種類でも、4種類でもよい。
【0054】
また、上記各実施の形態では、薄板磁性板10の外周側に突起10bを突設するものとしているが、薄板磁性板10の内周側に突起10bより高さの低い突起をさらに突設してもよい。また、薄板磁性板10の厚さや突起10bの高さを調整すれば、口径の異なる円筒型積層コアを製作できることはいうまでもないことである。
また、上記各実施の形態では、スペーサとしての突起10bを薄板磁性板10にプレス加工により一体に成形するものとしているが、プレス加工により薄板磁性板を成形した後、後加工により薄板磁性板にスペーサを設けても良い。
また、上記各実施の形態では、円筒型積層コアをリニアモータに適用するものとして説明しているが、この円筒型積層コアはリニアモータに限らず、円筒周方向に渦電流を生じうるプランジャ、振動子等の電気機器あるいは測定器に適用できることはいうまでもないことである。
【0055】
【発明の効果】
この発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0056】
この発明によれば、少なくとも1つのスロットを有する複数の薄板磁性板がそれぞれのスロットの開口を内周側もしくは外周側に一致させて、かつ、それぞれの主面を相対するように周方向に積層されて円筒に構成された円筒型積層コアにおいて、上記薄板磁性板は、主面に打ち出し成形されたスペーサが設けられ、周方向に積層される際に、該スペーサが隣り合う薄板磁性板の主面に当接して隣り合う薄板磁性板間に楔状の空間を形成させるようにしたので、生産性に優れたほぼ完全な円筒面を有する円筒型積層コアが得られる。
【0057】
この発明によれば、少なくとも1つのスロットを有する外形形状をなし、かつ、主面上に突設したスペーサを有する薄板磁性板を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程と、上記薄板磁性板を、上記スロットの開口を内周側もしくは外周側に一致させて、かつ、上記スペーサを隣り合う薄板磁性板の主面に当接させつつ周方向に順次重ね合わせ、隣り合う薄板磁性板間に楔状の空間を形成させて、薄板磁性板の円筒状の積層体を形成する工程とを備えたので、ほぼ完全な円筒面を有する円筒型積層コアを生産性よく製造できる円筒型積層コアの製造方法が得られる。
【0058】
この発明によれば、貫通穴及び突起を有する姿勢保持部が、少なくとも1つのスロットを有する外形形状をなし、かつ、主面上にスペーサが突設された薄板磁性板に薄肉連結片を介して連結されてなる薄板磁性片を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程と、保持部材を上記貫通穴に挿通させながら上記薄板磁性片を順次所定枚数スタックする工程と、上記保持部材にスタックされた上記薄板磁性片を上記薄肉連結片で上記姿勢保持部から切り離して上記薄板磁性板を形成する工程と、上記薄板磁性板を、上記スロットの開口を内周側もしくは外周側に一致させて、かつ、上記スペーサを隣り合う薄板磁性板の主面に当接させつつ周方向に順次重ね合わせ、隣り合う薄板磁性板間に楔状の空間を形成させて、薄板磁性板の円筒状の積層体を形成する工程とを備えたので、薄板磁性片の取り扱い及び枚数管理が容易となり、ほぼ完全な円筒面を有する円筒型積層コアを生産性よく製造できる円筒型積層コアの製造方法が得られる。
【0059】
この発明によれば、貫通穴を有する姿勢保持部が、少なくとも1つのスロットを有する外形形状をなし、かつ、主面上にスペーサが突設された薄板磁性板に薄肉連結片を介して連結されてなる薄板磁性片を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程と、保持部材を上記貫通穴に挿通させながら、上記スロットの開口を内周側もしくは外周側に一致させて、かつ、上記スペーサを隣り合う薄板磁性片の主面に当接させつつ周方向に重ね合わせ、隣り合う薄板磁性片間に楔状の空間を形成させて、上記薄板磁性片が順次積層された円筒状にスタックする工程と、スタックされた薄板磁性片の円筒状の積層体を一体化する工程と、一体化された薄板磁性片の円筒状の積層体を上記薄肉連結片で上記姿勢保持部から切り離し、一体化された薄板磁性板の円筒状の積層体を形成する工程とを備えたので、薄板磁性片の取り扱い及び枚数管理が容易となり、さらに薄板磁性片を円筒状に積層保持した状態で一体化が可能となり、ほぼ完全な円筒面を有する円筒型積層コアを生産性よく製造できる円筒型積層コアの製造方法が得られる。
【0060】
また、姿勢保持部が、薄板磁性板のスロット内周に連結片を介して連結されているので、高価な磁性材料の利用効率が上がり、低コスト化が図られる。
【0061】
この発明によれば、少なくとも1つのスロットを有する外形形状をなし、かつ、主面に打ち出し成形されたスペーサが設けられた複数の薄板磁性板を、それぞれのスロットの開口を内周側もしくは外周側に一致させ、該スペーサを隣り合う薄板磁性板の主面に当接させて隣り合う薄板磁性板間に楔状の空間を形成させるように周方向に積層して円筒に構成された円筒型積層コアと、この円筒型積層コアに上記薄板磁性板のスロットにより構成された環状スロット内に巻き線されたコイルとから構成された電機子を備えたので、電機子をほぼ完全な円筒面を有する円筒型に構成でき、可動子の成形時及び組立時に、軸方向精度を過度に高める必要がなくなるとともに、電機子を構成する薄板磁性板間の絶縁性が高められ、量産性にすぐれ、かつ、高効率のリニアモータが得られる。
【0062】
また、少なくとも1つのスロットを有する外形形状をなし、かつ、主面に打ち出し成形されたスペーサが設けられた複数の薄板磁性板を、それぞれのスロットの開口を外周側もしくは内周側に一致させ、該スペーサを隣り合う薄板磁性板の主面に当接させて隣り合う薄板磁性板間に楔状の空間を形成させるように周方向に積層して円筒に構成された円筒型積層コアと、この円筒型積層コアに上記薄板磁性板のスロットにより構成された環状スロット内に接合された永久磁石とから構成された可動子を備え、該可動子を電機子に同軸的に配設したので、可動子をほぼ完全な円筒面を有する円筒型に構成でき、組立性が向上されるとともに、可動子と電機子との環状の空隙を狭くでき、高量産性及び高効率化が図られる。
【0063】
この発明によれば、複数の薄板磁性板がそれぞれの主面を相対するように周方向に積層されて円筒に構成された円筒型積層コアにおいて、上記薄板磁性板は、主面に打ち出し成形されたスペーサが設けられ、周方向に積層される際に、該スペーサが隣り合う薄板磁性板の主面に当接して隣り合う薄板磁性板間に楔状の空間を形成させるようにしたので、生産性に優れたほぼ完全な円筒面を有する円筒型積層コアが得られる。
【0064】
また、磁性粉を含有する絶縁性樹脂が隣り合う薄板磁性板間に形成された楔状の空間に充填されているので、鉄心占積率が高まり、十分な磁束を生じさせることができる。
【0065】
この発明によれば、主面上に突設したスペーサを有する薄板磁性板を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程と、上記薄板磁性板を、上記スペーサを隣り合う薄板磁性板の主面に当接させつつ周方向に順次重ね合わせ、隣り合う薄板磁性板間に楔状の空間を形成させて、薄板磁性板の円筒状の積層体を形成する工程とを備えたので、ほぼ完全な円筒面を有する円筒型積層コアを生産性よく製造できる円筒型積層コアの製造方法が得られる。
【0066】
この発明によれば、貫通穴及び突起を有する姿勢保持部が、主面上にスペーサが突設された薄板磁性板に薄肉連結片を介して連結されてなる薄板磁性片を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程と、保持部材を上記貫通穴に挿通させながら上記薄板磁性片を順次所定枚数スタックする工程と、上記保持部材にスタックされた上記薄板磁性片を上記薄肉連結片で上記姿勢保持部から切り離して上記薄板磁性板を形成する工程と、上記薄板磁性板を、上記スペーサを隣り合う薄板磁性板の主面に当接させつつ周方向に順次重ね合わせ、隣り合う薄板磁性板間に楔状の空間を形成させて、薄板磁性板の円筒状の積層体を形成する工程とを備えたので、薄板磁性片の取り扱い及び枚数管理が容易となり、ほぼ完全な円筒面を有する円筒型積層コアを生産性よく製造できる円筒型積層コアの製造方法が得られる。
【0067】
この発明によれば、貫通穴を有する姿勢保持部が、主面上にスペーサが突設された薄板磁性板に薄肉連結片を介して連結されてなる薄板磁性片を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程と、保持部材を上記貫通穴に挿通させながら、上記スペーサを隣り合う薄板磁性片の主面に当接させつつ周方向に重ね合わせ、隣り合う薄板磁性片間に楔状の空間を形成させて、上記薄板磁性片が順次積層された円筒状にスタックする工程と、スタックされた薄板磁性片の円筒状の積層体を一体化する工程と、一体化された薄板磁性片の円筒状の積層体を上記薄肉連結片で上記姿勢保持部から切り離し、一体化された薄板磁性板の円筒状の積層体を形成する工程とを備えたので、薄板磁性片の取り扱い及び枚数管理が容易となり、さらに薄板磁性片を円筒状に積層保持した状態で一体化が可能となり、ほぼ完全な円筒面を有する円筒型積層コアを生産性よく製造できる円筒型積層コアの製造方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1に係る円筒型積層コアを示す斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る円筒型積層コアの構造を説明する斜視図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る円筒型積層コアに用いられる薄板磁性板を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る円筒型積層コアの製造方法を説明する平面図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る円筒型積層コアに用いられる薄板磁性板の実施態様を示す図である。
【図6】この発明の実施の形態2に係る円筒型積層コアの製造方法で成形された薄板磁性片を示す平面図である。
【図7】この発明の実施の形態2に係る円筒型積層コアの製造方法における薄板磁性片のスタック方法を示す斜視図である。
【図8】この発明の実施の形態2に係る円筒型積層コアの製造方法における薄板磁性片から薄板磁性板を得る方法を説明する図である。
【図9】この発明の実施の形態2に係る円筒型積層コアに用いられる薄板磁性片の実施態様を示す図である。
【図10】この発明の実施の形態3に係る円筒型積層コアの製造方法における薄板磁性片のスタック方法を示す斜視図である。
【図11】この発明の実施の形態3に係る円筒型積層コアの製造方法における薄板磁性片のスタック状態を示す斜視図である。
【図12】この発明の実施の形態3に係る円筒型積層コアの製造方法における薄板磁性片の積層体の一体化方法を説明する図である。
【図13】この発明の実施の形態4に係る円筒型積層コアを示す要部平面図である。
【図14】この発明の実施の形態5に係る円筒型積層コアの製造方法における打ち抜きプレス工程を説明する図である。
【図15】この発明の実施の形態6に係る円筒型積層コアの製造方法における打ち抜きプレス工程を説明する図である。
【図16】この発明の実施の形態7に係るリニアモータの構成を説明する斜視図である。
【図17】この発明の実施の形態7に係る円筒型積層コアの製造方法における打ち抜きプレス工程を説明する図である。
【図18】この発明の実施の形態7の実施態様に係るリニアモータの構成を説明する斜視図である。
【図19】この発明の実施の形態8に係るリニアモータの構成を説明する斜視図である。
【図20】この発明の実施の形態9に係るリニアモータの構成を説明する斜視図である。
【図21】この発明の実施の形態9の実施態様に係るリニアモータの構成を説明する斜視図である。
【図22】従来のリニアモータの構造を説明する図である。
【図23】従来の円筒型積層コアを示す斜視図である。
【符号の説明】
10、30 薄板磁性板、10a、30a 切欠(スロット)、10b、10c、30b 突起(スペーサ)、11 楔状の空間、12、17 薄板磁性片、13、18 姿勢保持部、13a 突起、14 連結片(薄肉連結片)、15 貫通穴、16、19 保持部材、25 絶縁性樹脂、26 磁性板、100 円筒型積層コア、100a、200a、202a、402 環状スロット、200、300 円筒型積層コア(電機子)、201、301 可動子、202、401 円筒型積層コア、203、303 永久磁石、204 コイル(電機子)、300a−v、300a−v’、300a−w、300a−w’、300a−u、300a−u’ 環状スロット、302 バックヨーク。
Claims (16)
- 少なくとも1つのスロットを有する複数の薄板磁性板がそれぞれのスロットの開口を内周側もしくは外周側に一致させて、かつ、それぞれの主面を相対するように周方向に積層されて円筒に構成された円筒型積層コアにおいて、
前記薄板磁性板は、主面に打ち出し成形されたスペーサが設けられ、周方向に積層される際に、該スペーサが隣り合う薄板磁性板の主面に当接して隣り合う薄板磁性板間に楔状の空間を形成させるようにしたことを特徴とする円筒型積層コア。 - 少なくとも1つのスロットを有する外形形状をなし、かつ、主面上に突設したスペーサを有する薄板磁性板を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程と、
前記薄板磁性板を、前記スロットの開口を内周側もしくは外周側に一致させて、かつ、前記スペーサを隣り合う薄板磁性板の主面に当接させつつ周方向に順次重ね合わせ、隣り合う薄板磁性板間に楔状の空間を形成させて、薄板磁性板の円筒状の積層体を形成する工程と
を備えたことを特徴とする円筒型積層コアの製造方法。 - 薄板磁性板を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程において、スペーサの突設位置が異なる少なくとも2種類の薄板磁性板が成形されることを特徴とする請求項2記載の円筒型積層コアの製造方法。
- 貫通穴及び突起を有する姿勢保持部が、少なくとも1つのスロットを有する外形形状をなし、かつ、主面上にスペーサが突設された薄板磁性板に薄肉連結片を介して連結されてなる薄板磁性片を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程と、
保持部材を前記貫通穴に挿通させながら前記薄板磁性片を順次所定枚数スタックする工程と、
前記保持部材にスタックされた前記薄板磁性片を前記薄肉連結片で前記姿勢保持部から切り離して前記薄板磁性板を形成する工程と、
前記薄板磁性板を、前記スロットの開口を内周側もしくは外周側に一致させて、かつ、前記スペーサを隣り合う薄板磁性板の主面に当接させつつ周方向に順次重ね合わせ、隣り合う薄板磁性板間に楔状の空間を形成させて、薄板磁性板の円筒状の積層体を形成する工程と
を備えたことを特徴とする円筒型積層コアの製造方法。 - 貫通穴を有する姿勢保持部が、少なくとも1つのスロットを有する外形形状をなし、かつ、主面上にスペーサが突設された薄板磁性板に薄肉連結片を介して連結されてなる薄板磁性片を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程と、
保持部材を前記貫通穴に挿通させながら、前記スロットの開口を内周側もしくは外周側に一致させて、かつ、前記スペーサを隣り合う薄板磁性片の主面に当接させつつ周方向に重ね合わせ、隣り合う薄板磁性片間に楔状の空間を形成させて、前記薄板磁性片が順次積層された円筒状にスタックする工程と、
スタックされた薄板磁性片の円筒状の積層体を一体化する工程と、
一体化された薄板磁性片の円筒状の積層体を前記薄肉連結片で前記姿勢保持部から切り離し、一体化された薄板磁性板の円筒状の積層体を形成する工程と
を備えたことを特徴とする円筒型積層コアの製造方法。 - 姿勢保持部が、薄板磁性板のスロット内周に連結片を介して連結されていることを特徴とする請求項4または請求項5記載の円筒型積層コアの製造方法。
- 薄板磁性片を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程において、スペーサの突設位置が異なる少なくとも2種類の薄板磁性片が成形されることを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれか1項に記載の円筒型積層コアの製造方法。
- 少なくとも1つのスロットを有する外形形状をなし、かつ、主面に打ち出し成形されたスペーサが設けられた複数の薄板磁性板を、それぞれのスロットの開口を内周側もしくは外周側に一致させ、該スペーサを隣り合う薄板磁性板の主面に当接させて隣り合う薄板磁性板間に楔状の空間を形成させるように周方向に積層して円筒に構成された円筒型積層コアと、この円筒型積層コアに前記薄板磁性板のスロットにより構成された環状スロット内に巻き線されたコイルとから構成された電機子を備えたことを特徴とするリニアモータ。
- 少なくとも1つのスロットを有する外形形状をなし、かつ、主面に打ち出し成形されたスペーサが設けられた複数の薄板磁性板を、それぞれのスロットの開口を外周側もしくは内周側に一致させ、該スペーサを隣り合う薄板磁性板の主面に当接させて隣り合う薄板磁性板間に楔状の空間を形成させるように周方向に積層して円筒に構成された円筒型積層コアと、この円筒型積層コアに前記薄板磁性板のスロットにより構成された環状スロット内に接合された永久磁石とから構成された可動子を備え、該可動子を電機子に同軸的に配設したことを特徴とする請求項8記載のリニアモータ。
- 複数の薄板磁性板がそれぞれの主面を相対するように周方向に積層されて円筒に構成された円筒型積層コアにおいて、
前記薄板磁性板は、主面に打ち出し成形されたスペーサが設けられ、周方向に積層される際に、該スペーサが隣り合う薄板磁性板の主面に当接して隣り合う薄板磁性板間に楔状の空間を形成させるようにしたことを特徴とする円筒型積層コア。 - 磁性粉を含有する絶縁性樹脂が隣り合う薄板磁性板間に形成された楔状の空間に充填されていることを特徴とする請求項1または請求項10記載の円筒型積層コア。
- 主面上に突設したスペーサを有する薄板磁性板を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程と、
前記薄板磁性板を、前記スペーサを隣り合う薄板磁性板の主面に当接させつつ周方向に順次重ね合わせ、隣り合う薄板磁性板間に楔状の空間を形成させて、薄板磁性板の円筒状の積層体を形成する工程と
を備えたことを特徴とする円筒型積層コアの製造方法。 - 薄板磁性板を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程において、スペーサの突設位置が異なる少なくとも2種類の薄板磁性板が成形されることを特徴とする請求項12記載の円筒型積層コアの製造方法。
- 貫通穴及び突起を有する姿勢保持部が、主面上にスペーサが突設された薄板磁性板に薄肉連結片を介して連結されてなる薄板磁性片を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程と、
保持部材を前記貫通穴に挿通させながら前記薄板磁性片を順次所定枚数スタックする工程と、
前記保持部材にスタックされた前記薄板磁性片を前記薄肉連結片で前記姿勢保持部から切り離して前記薄板磁性板を形成する工程と、
前記薄板磁性板を、前記スペーサを隣り合う薄板磁性板の主面に当接させつつ周方向に順次重ね合わせ、隣り合う薄板磁性板間に楔状の空間を形成させて、薄板磁性板の円筒状の積層体を形成する工程と
を備えたことを特徴とする円筒型積層コアの製造方法。 - 貫通穴を有する姿勢保持部が、主面上にスペーサが突設された薄板磁性板に薄肉連結片を介して連結されてなる薄板磁性片を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程と、
保持部材を前記貫通穴に挿通させながら、前記スペーサを隣り合う薄板磁性片の主面に当接させつつ周方向に重ね合わせ、隣り合う薄板磁性片間に楔状の空間を形成させて、前記薄板磁性片が順次積層された円筒状にスタックする工程と、
スタックされた薄板磁性片の円筒状の積層体を一体化する工程と、
一体化された薄板磁性片の円筒状の積層体を前記薄肉連結片で前記姿勢保持部から切り離し、一体化された薄板磁性板の円筒状の積層体を形成する工程と
を備えたことを特徴とする円筒型積層コアの製造方法。 - 薄板磁性片を長尺の磁性板からプレス打ち抜きにより成形する工程 において、スペーサの突設位置が異なる少なくとも2種類の薄板磁性片が成形されることを特徴とする請求項14または請求項15記載の円筒型積層コアの製造方法。
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