JP3621283B2 - 高分子固体中における微小領域への有機分子注入法 - Google Patents
高分子固体中における微小領域への有機分子注入法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザー駆動分子注入法を使用して有機分子を高分子固体中における微小領域へ注入する方法である。
【0002】
【従来の技術】
ナノスケールオーダーの領域で原子または分子を操作または制御することにより新規機能を兼ね備えたデバイスの製作が注目されつつある。そのほとんどが無機材料を用いたものであり、有機材料を能動的に制御する技術は未だ行われていない。もし、これが実現すれば有機分子自体が優れた電気的、磁気的および光学的特性を持っているため、より複雑で優れた機能を兼ね備えたデバイス作製(例えは光制御素子、微小センサー等)が可能となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
最近、レーザー光を用いて有機分子を駆動し、高分子固体中へ注入を行う技術が見つけられた。ところが、分子駆動源にレーザー光を用いているため非常にレーザー光を絞ってもレーザー光波長以下の微小領域に注入することは出来なかった。また、より狭い領域に注入するためにレーザー光の波長を短くすると分子の分解が起こる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は、レーザー光を用いて有機分子を駆動し、ガラスマイクロピペット等の分子導入管先端部の微小開口から有機分子を射出することにより、高分子固体中の極微小領域に位置選択的に有機分子を注入することができるものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明を図面に基づいて説明する。図1に示されるように、注入されるべき有機分子はセラミック振動子及びピエゾ素子を備えたマイクロピペットに入れられる。セラミック振動子は、半導体レーザー、検出器、位相検波器及びファンクションジェネレータに組み合わされてマイクロピペット先端部と高分子薄膜と間の距離を一定に保つために使用され、又ピエゾ素子は、マイクロピペット先端部と高分子薄膜との間の距離を20〜50nm程度に制御するために使用される。
【0006】
マイクロピペットに入れられた有機分子には、波長可変短パルスレーザー装置から光ファイバーを通して分子注入駆動力が付与される。有機分子は、図2に示されるように、このレーザー駆動力によりマイクロピペット先端部の50〜5000nm程度の微小開口から高分子薄膜の50〜5000nm2程度の極微小領域に注入される。この微小領域注入はピペットの開口の大きさによるので、最小のものではレーザー波長以下になり、現在のところでは直径が500nmの円形注入領域が行われている。
【0007】
また、レーザー光により射出される有機分子としては、クマリン、テトラフェニルポルフィナイト亜鉛、アントラセン類、ジシアノアントラセン、又はクマリン類等の光を吸収するものであれば制限はなく、この有機分子が注入される高分子としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチルメタクリレート(PEMA)、ポリブチルメタクリレート(PBMA)又はポリスチレン(PSt)等の約1000℃以下にガラス転移点があり、軟化するものであれば制限がない。
【0008】
更にまた、図3に示されるように、光ファイバーのコアを構成する高分子中に予め分散された有機分子、または光ファイバーの中空部に存在する溶液中に分散もしくは溶解された有機分子を、生体組織中に注入出来るので、ガン組織周辺のみ光増感分子を注入し、それと組み合わせたレーザー光により生ずる一重項酸素によりガン組織を破壊することが可能である。その際に、光ファイバーのコアが高分子でできている場合には、その作製時に注入されるべき有機分子を予めその高分子コアに分散させておき、レーザーを照射して有機分子を駆動して注入することができる。また中空の光ファイバーを使用する場合には、その中空部の内部に溶液に分散または溶解させた有機分子を流し込みならがらレーザー照射して有機分子を駆動して注入することができる。以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
【0009】
【実施例】
クマリン545分子及び/又はテトラフェニルポルフィナト亜鉛(ZnTPP)分子を注入有機分子として選び、それを開口100から1000nmのマイクロピペット中に導入し、有機分子注入の注入源とした。一方、被注入膜には、スピンコート法により石英基板上に作製したポリメチルメタクリレート(PMMA)を使用した。その装置の概略を図1に示す。
【0010】
マイクロピペットはセラミックス振動子により共振され、それが被注入膜極近傍に接近することによる共振の変化を半導体レーザーおよび四分割ダイオードの組み合わせで検出し、マイクロピペットと被注入膜間の距離を約35nmに保った。又、高さの位置制御にはピエゾ素子を使用した,さらに、マイクロピベツト中に光ファイバーを用いてパルスレーザー光(波長500nm、パルス幅3ns、全照射エネルギー270μJ)を照射し、有機分子を駆動して被注入膜中に注入を行った。
【0011】
その結果、レーザー照射後、被注入膜を蛍光顕微鏡で観察し、極微小領域に有機分子(クマリン545)が注入されていることが分かった。図4及び図5に示されるように、注入領域はマイクロピペットの開口径及びレーザー照射回数により変化することが分かった。図4は、100nmの開口のマイクロピペットを用いたものであるが、高分子薄膜に注入された有機分子の注入領域は1μm以下であったことを示している。図5は、1μmの開口マイクロピペットを用いたものであるが、高分子薄膜に注入された有機分子の注入領域は1回のレーザー照射で1μm、10回のレーザー照射で5μmであったことを示している。これらみて、開口が大きいほど、またレーザー照射回数が増えるほど注入領域は大きくなる。
【0012】
図6は、ZnTPP分子を注入したものであり、1μmの開口のマイクロピペットを用いたものであるが、高分子薄膜に注入された有機分子の注入領域は1μmであったことを示している。このように分子量の大きな分子も注入が可能であることが分かった。
【0013】
【発明の効果】
本発明は、次の本発明に特有の顕著な効果を有するものである。
(1)ガラスマイクロピペットを用いるため極微小領域(光の波長以下の領域)に有機分子を注入することができる。
【0014】
(2)注入する場所を選択できるため自在に注入パターンを作製することが出来る。
(3)光ファイバー中の有機分子を生体組織中に注入出来るので、ガン組織周辺のみ光増感分子を注入し、それと組み合わせたレーザー光により生ずる一重項酸素によりガン組織を破壊することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を実施する装置を示す図である。
【図2】ピペット先端部から有機分子が高分子薄膜に注入する状態を示す図である。
【図3】本発明の方法を人体の治療に用いた場合を示す図である。
【図4】高分子薄膜に注入された有機分子の大きさを示す図である。
【図5】高分子薄膜に注入された有機分子の大きさを示す図である。
【図6】高分子薄膜に注入された有機分子の大きさを示す図である。
Claims (3)
- レーザー光を用いて有機分子を駆動し、分子導入管先端部の微小開口から有機分子を射出することにより、高分子固体中の極微小領域に位置選択的に有機分子を注入することを特徴とする、高分子固体中における微小領域への有機分子注入法。
- 有機分子が、クマリン、テトラフェニルポルフィナイト亜鉛、アントラセン類、ジシアノアントラセン、又はクマリン類であり、高分子が、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチルメタクリレート(PEMA)、ポリブチルメタクリレート(PBMA)又はポリスチレン(PSt)である請求項1に記載の方法。
- 分子導入管先端部の微小開口径が5000nm以下であり、高分子固体中の極微小領域が5000nm2である請求項1に記載の方法。
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