JP3621179B2 - クランク角センサ信号周期計測装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用エンジンに装備されるクランク角センサからのクランク角信号の周期を計測してエンジン回転情報として提供するクランク角センサ信号周期計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のクランク角センサ信号周期計測装置は、エンジン回転に同期して所定クランク角毎にクランク角信号を発生するクランク角センサと、クランク角信号の周期を計測するタイマとを備えて、クランク角信号の周期をエンジン回転情報として提供しており、この情報はエンジン回転数の算出やクランク角信号間での時間制御に用いられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のクランク角信号周期計測装置にあっては、クランク角センサにより、エンジン回転に同期して回転するシグナルディスクプレート上に設けた信号発生用の突起又はスリット等を磁気的に又は光学的に検出して、クランク角信号を発生しているが、その出力ラインでのノイズや信号抜け等の要因により、エンジン回転情報として必要なクランク角信号の正しい周期を計測できない場合があり、誤った周期に基づいて制御がなされてしまうことがあるという問題点があった。
【0004】
具体的には、図5のクランク角信号(1)の場合のように、ノイズが発生した場合は、計測周期が短くなってしまい、この値を用いて制御することで、誤動作してしまう。図5のクランク角信号(2)の場合のように、信号が抜けた場合は、計測周期が長くなってしまい、上記同様、誤動作を起こす。
また、エンジン制御用のコントロールユニットは、初回の電源投入時にRAMクリアがなされて、動作を開始するが、エンジンキーオフ後には、冷却系等の制御のため、コントロールユニット電源を所定時間確保すべく、セルフシャットオフ期間が設けられていて、このセルフシャットオフ期間の終了後に、コントロールユニット電源が自動的に切れるようになっているので、セルフシャットオフ期間が終了する前に、エンジンキーオンして再始動すると、コントロールユニット電源が一度も切られることがないので、RAMクリアがなされず、特にエンジンの停止過程での極低回転域ではエンジンがわずかながら逆転している可能性があり、正常な動作を保証できない。
【0005】
そこで、極低回転域( 200〜300rpm未満)でセルフシャットオフ期間中にエンジンキーオンして再始動した場合には、強制的にRAMクリアするようにすることが考えられているが、当該回転域であることを検出するためにも、エンジン回転情報としてクランク角信号の周期を正しく計測することが求められている。
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、クランク角センサ信号周期計測装置にフェイルセーフ機能を持たせることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1に係る発明では、図1に示すように、エンジン回転に同期して所定クランク角毎にクランク角信号を発生するクランク角センサと、クランク角信号の周期を計測するタイマとを備えて、クランク角信号の周期をエンジン回転情報として提供するクランク角センサ信号周期計測装置において、前記タイマにより計測された周期を最新のものから過去n個分(但しn≧3)記憶する周期記憶手段と、n個分の周期記憶値を大小順に並べたときの中央値を算出する中央値算出手段と、前記タイマにより計測された周期の最新の値の前回の値からの変化割合を算出する変化割合算出手段と、変化割合を所定のしきい値と比較して、変化割合が所定のしきい値より大きいときのみ、前記中央値をエンジン回転情報として提供し、それ以外は最新の値をエンジン回転情報として提供する切換手段とを設けたことを特徴とする。
【0007】
すなわち、計測した周期をそのまま提供するのではなく、過去n個分の周期記憶値についての中央値を算出し、これを提供することで、間違った計測値を排除するのである。
また、変化割合が大きいときのみ、間違った計測値が含まれる恐れがあるとして、中央値算出の処理を行い、それ以外のときは計測した周期をそのまま提供するのである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
図2は本発明の実施の形態のシステム図である。
クランク角センサ1は、エンジン回転に同期して回転するシグナルディスクプレート上に設けた信号発生用の突起又はスリット等を磁気的に又は光学的に検出して、所定クランク角(例えば10°CA)毎にパルス状のクランク角信号を発生する。
【0009】
クランク角センサ1からのクランク角信号は、マイクロコンピュータ内蔵のエンジン制御用コントロールユニット2に入力される。
コントロールユニット2は、クランク角信号の周期を計測し、処理して、エンジン回転情報とする。更に、コントロールユニット2は、この情報に基づいて、エンジン回転数の算出やクランク角信号間での時間制御を行い、各種アクチュエータへの制御出力を発する。
【0010】
尚、コントロールユニット2には、クランク角信号の周期の計測・処理のため、スロットルセンサにより検出されるスロットル開度情報(TVO)や、Gセンサにより検出される加速度情報(G)なども入力されるようになっている。
コントロールユニット2におけるクランク角信号の周期の計測・処理は、タイマ処理ルーチン(図3)と周期計測処理ルーチン(図4)とによってなされる。
【0011】
図3はタイマ処理ルーチンのフローチャートである。
本タイマ処理ルーチンは、所定の時間隔(Δt)毎に実行され、タイマTMをその時間隔分カウントアップする(TM=TM+Δt)。
図4は周期計測処理ルーチンのフローチャートである。
本周期計測処理ルーチンはクランク角信号の発生に同期して実行される。
【0012】
ステップ1(図にはS1と記してある。以下同様)では、タイマTMの値を読込むことにより、クランク角信号の周期T0 =TMを計測する。
ステップ2では、次の周期の計測を開始するため、タイマTMをクリアする(TM=0)。
ステップ3では、計測された周期の最新の値T0 の前回の値T−1からの変化割合(絶対値)ΔT0 =|T0 −T−1|を算出する。この部分が変化割合算出手段に相当する。
【0013】
ステップ4では、スロットル開度情報(TVO)や加速度情報(G)等より、テーブルあるいはマップを参照して、しきい値xを算出する。
ステップ5では、変化割合ΔT0 をしきい値xと比較する。
比較の結果、変化割合ΔT0 ≦しきい値xのときは、ステップ6へ進み、エンジン回転情報として出力する周期Tを計測された最新の値T0 とする(T=T0 )。この部分が切換手段に相当する。
【0014】
変化割合ΔT0 >しきい値xのときは、ステップ7へ進む。
ステップ7では、計測された周期を最新のものから過去3個分記憶している周期記憶値T0 ,T−1,T−2を大小順に並べ換え、最大の値をTH 、中間の値(中央値)をTM 、最小の値をTL とする。これにより、大小順に並べたときの中央値TM が算出される。この部分が中央値算出手段に相当する。
【0015】
そして、ステップ8では、エンジン回転情報として出力する周期Tを大小順に並べたときの中央値TM とする(T=TM )。
そして、必要により、ステップ9では、T0 =Tとする。
これらの後、ステップ10では、計測された周期を最新のものから過去3個分記憶するため、T−2=T−1、T−1=T0 と処理する。この部分が周期記憶手段に相当する。
【0016】
尚、以上の実施例は、計測された周期を最新のものから過去3個分記憶するようにしたが、3個以上であれば、任意のn個でよい。また、中央値を算出する場合は、奇数の方が便利であるが、偶数であっても、中央の2つの値の平均値をとるなどすればよい。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、計測した周期をそのまま提供するのではなく、過去n個分の周期記憶値についての中央値を算出し、これを提供することで、間違った計測値を排除することができ、エンジン回転情報の適正化を図ることができるという効果が得られる。
【0018】
また、変化割合が大きいときのみ、間違った計測値が含まれる恐れがあるとして、中央値算出の処理を行い、それ以外のときは計測した周期をそのまま提供することで、正常時には可及的に最新情報を提供することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成を示す機能ブロック図
【図2】本発明の実施の形態のシステム図
【図3】タイマ処理ルーチンのフローチャート
【図4】周期計測処理ルーチンのフローチャート
【図5】 従来の問題点を示す図
【符号の説明】
1 クランク角センサ
2 コントロールユニット
Claims (1)
- エンジン回転に同期して所定クランク角毎にクランク角信号を発生するクランク角センサと、クランク角信号の周期を計測するタイマとを備えて、クランク角信号の周期をエンジン回転情報として提供するクランク角センサ信号周期計測装置において、
前記タイマにより計測された周期を最新のものから過去n個分(但しn≧3)記憶する周期記憶手段と、
n個分の周期記憶値を大小順に並べたときの中央値を算出する中央値算出手段と、
前記タイマにより計測された周期の最新の値の前回の値からの変化割合を算出する変化割合算出手段と、
変化割合を所定のしきい値と比較して、変化割合が所定のしきい値より大きいときのみ、前記中央値をエンジン回転情報として提供し、それ以外は最新の値をエンジン回転情報として提供する切換手段と、
を設けたことを特徴とするクランク角センサ信号周期計測装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02716396A JP3621179B2 (ja) | 1996-02-14 | 1996-02-14 | クランク角センサ信号周期計測装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02716396A JP3621179B2 (ja) | 1996-02-14 | 1996-02-14 | クランク角センサ信号周期計測装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09217646A JPH09217646A (ja) | 1997-08-19 |
JP3621179B2 true JP3621179B2 (ja) | 2005-02-16 |
Family
ID=12213398
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP02716396A Expired - Fee Related JP3621179B2 (ja) | 1996-02-14 | 1996-02-14 | クランク角センサ信号周期計測装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3621179B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009053873A (ja) * | 2007-08-24 | 2009-03-12 | Fujitsu Ten Ltd | 制御装置、車輌制御装置、処理方法、及び制御プログラム |
-
1996
- 1996-02-14 JP JP02716396A patent/JP3621179B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
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JPH09217646A (ja) | 1997-08-19 |
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