JP3620886B2 - ガスセンサを備えた自律型移動体 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は自ら所定の経路を走行する能力を有する、所謂、自律型移動体(以下、単に「移動体」という)に係り、特にガスセンサを備えた警備用の自律型移動体に関する。
【0002】
【従来の技術】
警備対称施設内を巡回移動して警備を行う移動体において、赤外線センサや炎センサ、差動式/定温式火災感知器や煙感知器等の火災検知手段を搭載し、移動体が巡回移動する際、火災による熱源や炎、煙等を検知し、移動体を火災発生源に接近させて所定の消火活動を行うものが提案されている。
【0003】
また、火災が発生する危険性の高い箇所に、燃焼に伴って発生するガスを検知するガスセンサを設置し、燃焼に伴って発生するCO、CO等のガスを検知することにより、火災を発生を検知することも行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の消火活動を行う警備用移動体にあっては、▲1▼火災発生から相当時間が経過して所定の温度や炎、煙が出現しないと火災を発見することができないこと、▲2▼移動体から熱源まで見通せないとき、熱源の発見に時間がかかること、▲3▼熱源が見通せたとしても、所定の距離まで熱源に近付かないと熱源を認識できなかったこと、▲4▼例えば熱源が通路に面する部屋内にあり、その扉が閉鎖されていると、早期に火災の発生を検知できない、という問題があった。
【0005】
また、ガスセンサを設置するものにおいては、ガスセンサが設置された付近で火災が発生すれば、燃焼に伴って発生するガスを検知することにより、火災を早期に発見することができるが、▲1▼火災の発生位置がガスセンサが設置された位置より遠い場合、ガスがガスセンサ近傍に拡散してくるまで相当時間を要し、迅速にその異常を検知できないこと、▲2▼空調や窓開放等により、ガス発生源やガスセンサ付近の空気が流されていると、所定のガス濃度になるまで時間がかり、迅速にその異常が検知できず、火災の早期発見ができない、という問題あった。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みなされたもので、移動体にガスセンサを搭載し、火災初期に発生するガスを迅速に検知できるようにして、火災等の異常を早期に発見できるようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明によれば、自律して移動する自律型移動体にガスセンサを搭載することにより、自律型移動体が巡回する過程でガスの発生或いは漏洩を早期に発見することができる。
【0008】
また、ガスセンサを水平方向に360度回転させ、回転角度に対応したガスセンサの出力を収集して、その出力の最大値を示す回転角度の方向をガス発生源がある方向と判断する機能を持たせたことにより、自律型移動体がガス発生源に接近することを可能にし、その後の適切な処理を行わせることができる。
【0009】
【実施例】
図1は本発明の実施例に係る移動体10の基本構成を示すブロック図である。1は制御部で、各種信号の演算処理と移動体10の全体を制御するものである。2は記憶部で、移動体10が走行する経路に関する地図情報、移動体自身が走行の過程で認識した位置情報、各種センサーを作動させるための所定のプログラム等を記憶している。3は位置認識部で、自己の位置を認識すると共に地図情報における自己の位置を絶えず補正する位置補正手段を備えている。
【0010】
この位置補正手段の具体的構成としては、例えば、▲1▼移動体に搭載され、自ら送波する超音波を受信するまでの時間を計測して対象物や障害物からの距離を測定する超音波センサ、▲2▼巡回路近傍に配置した超音波送波器からの超音波を受波して自らの位置を確認する超音波受波器、▲3▼巡回経路上の特定箇所に所定のマーク(標識)を記しておくと共に移動体にそのマークを認識するマーク認識部を設け、地図情報上のマーク位置と移動体が認識したマーク位置とを比較しつつ自己位置を補正するマーク認識部、▲4▼機械式ジャイロや光ファイバ式ジャイロによる移動体の方位の変更と移動体の移動量の測定による移動体変位計測手段、等からなるものである。
【0011】
4は移動体10の走行部(車輪、クローラ等)の走行を制御する走行制御部である。
5はガスセンサで、酸化スズ(SnO)を含む半導体からなる検知部(ディテクタ)を備えるものが使用されている。このガスセンサは、検知部を摂氏300〜500度に加熱し、そこにガス分子が吸着したときの電気抵抗の減少を検出してガスを検出するもので、ガスの濃度に応じた出力を得ることができるものである。
【0012】
尚、本実施例による移動体10は、図示していないが、上記構成の他、警備用の移動体として必要な、赤外線センサや炎センサ等各種センサ、監視センター等に異常を通報するための通報システム、火災の際に消火作業を行う消火器等を備えるものである。
【0013】
図2は移動体10を模式的に示す平面図で、移動体10は矢印X方向に進行するもので、その本体表面の前面にガスセンサ5をその検知部を露出して取り付けられている。
次に、本実施例による移動体10の動作について図3及び図4に基づいて説明する。
【0014】
本実施例による移動体10は、バッテリーにより駆動されるもので、巡回待機中は充電ポートにおいてバッテリーを充電しながら待機し、予め設定された巡回開始時間になったとき或いは機械警備システム(図示せず)における防犯設備、防災設備等のセンサが異常を検知したとき、充電ポートより出て巡回を開始するものである。その後は、巡回を終了すると、図3に示すように、充電ポートに戻り、待機状態となる。
【0015】
そこで、移動体10が警備区域を巡回中に、移動体10のガスセンサ5が例えば火災にともなうガスを検知し、その出力が記憶部2に予め記憶された閾値を超えたとき、異常処理行程に移行する。
図4は移動体10の制御部1が行う異常処理行程のフローを示すものである。
【0016】
移動体10の巡回中にはガスセンサ5の出力レベルは常に監視され(ステップ20;S20)、出力が所定の閾値を越えた場合は移動体を停止する(S21)。
次に、移動体10自身をその場において360度回転させることにより、ガスセンサ5の検知部5aを水平方向に360度回転させ、回転角度に対応したガスセンサ5の出力値のデータを収集する(S22)。
【0017】
次に、回転角度に対応したガスセンサの出力値のうち、最大値を示す角度の方向にガス発生源があると判断する(S23)。
次に、移動体10は、ガス発生源に接近し、消火処理あるいは外部への通報処理を行うガス発生源接近処理を行う(S24)。
【0018】
ここで、移動体10が行うガス発生源接近処理の内容について更に詳述する。
先ず、移動体10がガス発生源に接近するに当たっては、制御部1は、地図情報及び位置認識部の情報に基づいて、障害物や標識となるべき物体等を確認しつつ、最初に特定したガス発生源に接近する方向に経路を進ませ、経路の分岐点において、再度ガスセンサ5の出力を監視してガス発生源の方向を確認する。この処理を繰り返しつつガス発生源に接近していく。
【0019】
移動体10がガス発生現場に近づき、ガス発生検出ごとに移動体に装備されている赤外センサや炎センサ等を利用しガス発生源を確認し、ガス発生源であると判断したときは、消火活動を行うか、或いは、監視センター等への通報を行う等、状況に応じた処理を行う。
【0020】
移動体10がガス発生源接近処理を終了し、または、ガス発生源を発見できず、ガス発生源に接近できなかったとき、巡回処理が終了しているか途上であるかを判断し(S25)、巡回処理が終了していない場合は、再度、スタートに戻り、所定の巡回処理を行う。そして、所定の巡回が完了した段階で巡回処理を終了する。
【0021】
図5は、本実施例による移動体10のガスセンサ5が所定の閾値を越える出力でガスを検知し、移動体10の走行を停止してその位置で360度回転して各角度に対応するガスセンサ出力を得た一例を示すものである。図5(a)は、移動体10が回転している状態を示し、図5(b)は、回転角度に対応したガスセンサの出力(電気抵抗の変化率(%))を示している。
【0022】
この例では、進行方向に対し、図示の回転方向で45度の方向で最大出力を記録しており、進行方向前方の45度の方向にガス発生源があるものと判断するものである。
以上のように、本実施例の移動体によれば、ガスセンサを搭載した移動体を巡回させることで、ガス発生源の位置にかかわらず、ガスの発生を検知することができる。また、固定式ガスセンサの位置からガス発生源が遠い場合や、空気の流れがあって、ガス発生源より風上にある場合でも、ガスセンサを搭載した移動体を巡回させることでガス発生源に近づけ、またガス発生源より風下に移動できる可能性があり、火災の初期段階で発生するガスを検知できるので、異常を早期に発見することが可能となる。
【0023】
尚、本実施例においては、ガスセンサを移動体の表面に一個取付け、移動体自体を360度回転させることによりガスセンサを360度回転させるものであるが、これに限ることなく、ガスセンサを移動体に垂直方向に伸長する回転可能の軸を設け、これにガスセンサを取付け、ガスセンサを360度回転する際には、移動体は固定し、ガスセンサを取り付けた軸のみを回転するようにしてもよい。
【0024】
このような構成により、一つのガスセンサでガス発生源の方向を検知することが可能となる。
上記実施例では、被検知ガスを火災により発生したガスとしたが、火災のガスに限ることなく、▲1▼都市ガスやプロパンガス、▲2▼CO、CO、Oあるいは毒ガス等、その濃度によっては人体に害を及ぼすようなガス、▲3▼例えば化学工場が扱う原材料、中間材料、最終生成物によるガスのガス漏れの検知にも容易に適用することができる。
【0025】
また、建物内に設けられた、例えば、禁煙コーナーにおいて、タバコから出るガスを検知し、既知の音声発生手段を利用して、喫煙者に注意を促すようなことにも適用できる。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、ガスセンサを搭載した移動体を巡回させることで、ガス発生源の位置にかかわらず、ガスの発生を検知することができる。また、固定式ガスセンサの位置からガス発生源が遠い場合や、空気の流れがあって、ガス発生源より風上にある場合でも、ガスセンサを搭載した移動体により、火災の初期段階で発生するガスを検知することで、異常を早期に発見することが可能となる。さらに、移動体を巡回させることで、移動体がガス発生源に近づける可能性が高くなり、警備用の移動体としての機能を高めることができる。
【0027】
また、一つのガスセンサでガス発生源の方向を把握するこが可能となり、移動体のガス発生源への接近を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る移動体の基本構成を示す図である。
【図2】本発明の実施例に係る移動体を模式的に示す平面図である。
【図3】本発明の実施例に係る移動体が行う巡回処理のフローチャートである。
【図4】本発明の実施例に係る移動体が行う異常処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施例に係る移動体のガスセンサからの出力に一例を示す図である。
【符号の説明】
1 制御部
2 記憶部
3 位置認識部
4 走行制御部
5 ガスセンンサ
10 移動体

Claims (1)

  1. 走行する経路に関する情報と移動体自身が走行の過程で認識した位置情報に基づき、警備対象施設内の所定の経路を巡回移動して警備を行う自律型移動体において、
    ガスを検知し、ガスの濃度に比例した信号を出力するガスセンサと、
    車輪、クローラ等の走行部と
    前記走行部の走行を制御する走行制御部と
    巡回中に前記ガスセンサの出力が所定の閾値を超えたとき、前記走行部を停止するよう前記走行制御部を制御した後、ガスセンサを水平方向に回転させ、回転角度に対応したガスセンサの出力を収集し、ガスセンサの出力が最大値を示す回転角度の方向をガス発生源がある方向と判断する制御部を有することを特徴とするガスセンサを備えた自律型移動体。
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