JP3619908B2

JP3619908B2 - 椎茸の栄養素増強機構

Info

Publication number: JP3619908B2
Application number: JP15498795A
Authority: JP
Inventors: 幹雄古田
Original assignee: Fulta Electric Machinery Co Ltd
Current assignee: Fulta Electric Machinery Co Ltd
Priority date: 1995-06-21
Filing date: 1995-06-21
Publication date: 2005-02-16
Anticipated expiration: 2020-02-16
Also published as: JPH09195A

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、椎茸の栄養素増強を目的とする椎茸の栄養素増強機構に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、椎茸の栄養素（栄養価）を高める方法、装置が提案されており、次のような技術文献が挙げられる。（１）特開昭５９−２１３６７号公報記載の椎茸用ビタミンＤ誘発装置がある。この発明は、台枠にベルトコンベヤー又は上面板を設置し、該ベルトコンベヤー等の上方に設けた遮蔽室に紫外線ランプを吊下し、遮蔽室を遮蔽布で囲繞する構成であり、紫外線を照射して椎茸内のエルゴステロールをビタミンＤに転換させてその栄養価値を高め、人々の健康保持に貢献し得ることを特徴とする。（２）特開平２−８９９８４号公報記載の遠赤外線式の乾燥機がある。この発明は、乾燥室に複数の乾燥対象物を載架しえる棚を内装し、また前記乾燥室に熱風送風手段を内装してなる乾燥機であって、この乾燥機に加熱により赤外線を放射する遠赤外線材を装置する構成であり、万遍なく乾燥対象物に遠赤外線を照射すること、及び早期乾燥を意図する構造である。（３）特開平６−９８７４０号公報記載の乾燥用農水産物への遠赤外線照射による乾燥用農水産物の乾燥装置と遠赤外線照射による乾燥用農水産物の乾燥方法がある。この発明は、前記（２）と同様であり、遠赤外線照射装置を利用する構造である。（４）特開平２−１４０５８７号公報記載の循環式箱型乾燥機がある。この発明は、上下動する多数の被乾燥物収納箱を上下段においてシフターを利用し、横移動させて循環移動可能とし、乾燥の均一化、効率化を意図する構造である。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
前述した先行技術文献では、従来の天日乾燥を人工乾燥に変換し、乾燥の均一化、効率化を達成できる利点、又は椎茸の旨味成分、ビタミンＤの増強を図り得る利点、等を有する。
【０００４】
しかしながら、前述の（１）〜（３）の発明は、乾燥目的又はビタミンＤ誘発目的等の如く、単独目的を意図していることから、効率的な乾燥並びに栄養素の増強、具体的には、ビタミンＤ 2の増強において十分と云えない処である。殊に（１）の先行技術文献の如く、わずかな照射時間ではビタミンＤ 2 への変換が達成されない。殊に、従来の人工照射装置は、乾燥か、ビタミンＤ誘発か、等の如く単独目的に利用されており、乾燥及びビタミンＤ 2の増強を意図していない。したがって、昨今問題となっている成長期における骨の成長又は老年期における骨の維持、回復等を達成する身近な食品として活用するには、十分でない課題がある。即ち、紫外線の照射時間が短時間であることから、旨味成分、ビタミンＤ 2の増強が十分でないこと、及び栄養素増強の面で改良の余地があること、等の課題が考えられる。
【０００５】
一方、従来の人工照射装置は、乾燥か、ビタミンＤ誘発か、等の如く単独目的に利用されており、乾燥及びビタミンＤ 2の増強を意図していない。したがって作業効率が悪いこと、機械の効率的な稼働が達成されないこと、等の課題がある。更に前記技術文献による紫外線方式の各種乾燥機は、当該乾燥機を単独で使用することを意図しているので、既設の乾燥機又は他の乾燥機等への組込みができず、機械の有効利用が図られていないのが現況である。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
上記に鑑み、本発明は、椎茸のビタミンＤ 2への変換を促進し、栄養素の増強及び旨味成分の増強を図ること、乾燥と紫外線照射との組合せにより、乾燥、照射等の作業の効率化及び椎茸の潜在栄養素の有効利用を図ること、等を目的に、下記の構成を採用する。
【０００７】
即ち、本発明の椎茸の栄養素増強を目的とする栄養素増強機構は、椎茸を人工乾燥する過程において、ランプにより紫外線又は近紫外線を１８分以上かつ連続的又は断続的に人工照射し、前記椎茸に含まれるエルゴステロールをビタミンＤ2に変換することを特徴とする構成である。
【０００８】
また本発明は、既設乾燥機又は他の乾燥機等への組入れ（組み付け）を図り、機械の有効利用と汎用性の向上を目的に、下記の構成を採用する。
【０００９】
即ち、本発明の椎茸の栄養素増強機構は、水平方向両側が解放された箱形のケ−シングと、この箱形のケーシングに設けた上下動する移動棚と、この移動棚に載架される多数のえびら等の容器と、前記ケ−シングに設けた人工照射機構と、このケーシングに設けたファンとで構成する乾燥機に組入れ可能とした栄養素増強装置と、この栄養素増強装置に付設されるファンを備えた熱源装置とで構成されており、この栄養素増強機構が、前記容器に載せた前記椎茸に紫外線又は近紫外線を１８分以上かつ連続的又は断続的に人工照射するランプを備えたことを特徴とする構造である。
【００１０】
【作用】
熱源を備えた乾燥機には栄養素増強装置（以下、装置とする。）が設けられており（一体型又は組込型の何れでもよい。）、当該乾燥機に収容された多数のえびらには椎茸を載架する。通常椎茸の傘の襞面をランプ側として各えびらに載架する。この各えびらは移動棚の上方移動に伴って、ランプ下に位置した後、ここでほぼ１５分〜ほぼ４０分程度停止され、当該えびらに載架されている椎茸には、ランプより発せられる紫外線又は近紫外線が照射される。この結果、ビタミンＤ2が誘発されるとともに、グラニル酸等旨味成分の増加並びに香り向上等が期待できる。そして、通常は乾燥と同時になされるので、効率的な乾燥及び栄養素増強処理が図られる。尚、移動棚の上、下方位置に達したえびらは横送り装置により隣接する移動棚列に横送りされる。その後、移動した移動棚列において上下動する構造となっている。また装置及び乾燥機には熱源装置で生成された熱風が供給される。通常３５℃〜５５℃温度の雰囲気下で、６時間〜２４時間をかけて乾燥かつ栄養素増強処理が図られる。
【００１１】
【実施例】
本発明の装置及び乾燥機につき説明する。
【００１２】
装置Ａを図３、図４に示すが、図３の装置Ａは、吸気口及び排気口を有する箱形のケーシング１と、このケーシング１内に設けられた多数の移動棚２を有する移動棚列２００と、この移動棚２の移動を司るチェーン、モータ等の移動装置３と、えびらＢを横送りする移動棚列２００の上下位置に設けた横送り装置４と、えびらＢ上の椎茸Ｃに紫外線又は近紫外線を照射するランプ５（当該ランプ５は人工照射用の器具で、人工照射機構の一例である。）と、で構成される。また図４の装置Ａは、単独使用の場合であり、熱源装置Ｄ及びファンＥ１が設けられる。
【００１３】
乾燥機Ｆを図２に示すが、この乾燥機Ｆは、吸気口及び排気口を有する箱形のケーシング１１と、このケーシング１１内に設けられた多数の棚２０（棚２０は移動棚、固定棚等自由である。）と、前記ケーシング１１を開閉する扉（図示せず）と、熱源装置Ｄと、一基又は数基のファンＥ１、Ｅ２、Ｅ３〜Ｅｎと、で構成されている。尚、当該乾燥機Ｆの棚２０が移動棚（図示せず）の場合は、前記装置Ａと同様に移動装置（図示せず）、横送り装置（図示せず）等が設けられる。図中６は煙突を示す。
【００１４】
前記装置Ａの使用の一例を図１、図２に示すと、図１に示す例は、装置ＡにファンＥ１〜Ｅ２（Ｅｎ）を付設し、当該装置Ａを人工照射と乾燥とに併用する構成であり、この装置Ａを数基連設した構造である。また図２に示す例は、装置Ａと乾燥機Ｆとを組み付けた構成であり、工場、現場の乾燥機Ｆ又は既設乾燥機（図示せず）との組み付け等の方法が採用される。
【００１５】
尚、前記装置Ａ又は乾燥機Ｆを利用する本発明の椎茸の栄養素増強を目的とする乾燥方法については、既に作用で詳述したので省略する。
【００１６】
一例として、分析試験データーを説明すると、次のような結果が判明した。
（１）乾燥椎茸を無紫外線処理で１２時間乾燥した結果水分９．４％ビタミンＤ６２０ＩＵ／１００ｇ（２）乾燥椎茸を紫外線処理で１２時間乾燥した結果水分９．４％ビタミンＤ１８，３００ＩＵ／１００ｇ（３）乾燥椎茸を天日４日間乾燥した結果水分９．９％ビタミンＤ６，９６０ＩＵ／１００ｇ
【００１７】
【発明の効果】
本発明は、ユニット形式の栄養素増強機構であるので、新設乾燥機を始めとして既設乾燥機又は他の乾燥機等への組入れが可能となり、装置及び機械の有効利用、省設備化、コスト低減化等に役立つ実用面での効果を有する。
【００１８】
また本発明は、椎茸の人工乾燥過程で、紫外線を１８分以上かつ連続的又は断続的に人工照射するランプを備えた栄養素増強機構であるので、人工乾燥工程を有効利用して椎茸の旨味成分、ビタミンＤ2の増強が図れること、また人工乾燥と成分の光化学的変換による栄養素増強とが同時に達成されること、及び潜在的成分を光化学的に栄養素へ変換できること、等の効果がある。また前記所定時間の人工照射であるので、品質の一定性及び殺菌効果が達成される。更に乾燥時間又は人工照射時間の短縮化が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の全体の構成を一部欠截して示す模式図である。
【図２】本発明の他の構成を示す模式図である。
【図３】装置の一例を示す模式図である。
【図４】装置の他の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
１ケーシング
２移動棚
２００移動棚列
３移動装置
４横送り装置
５ランプ
６煙突
１１ケーシング
２０棚
Ａ栄養素増強装置
Ｂえびら
Ｃ椎茸
Ｄ熱源装置
Ｅ1〜Ｅｎファン
Ｆ乾燥機

Claims

椎茸の栄養素増強機構は、水平方向両側が解放された箱形のケ−シングと、この箱形のケーシングに設けた上下動する移動棚と、この移動棚に載架される多数のえびら等の容器と、前記ケ−シングに設けた人工照射機構と、このケーシングに設けたファンとで構成する乾燥機に組入れ可能とした栄養素増強装置と、この栄養素増強装置に付設されるファンを備えた熱源装置とで構成されており、この栄養素増強機構が、前記容器に載せた前記椎茸に紫外線又は近紫外線を１８分以上かつ連続的又は断続的に人工照射するランプを備えたことを特徴とする椎茸の栄養素増強機構。
吸気口及び排気口を有する箱形のケ−シングと、このケ−シングに設けたファンを備えた熱風生成装置及び熱風供給装置と、前記ケ−シングに設けた上下動する移動棚と、この移動棚を移動させるモータ、チェーン等の移動装置と、前記移動棚に載架される多数のえびら等の容器と、前記ケ−シングに設けた人工照射機構と、ファン及び / 又はファンを備えた乾燥機とで構成する栄養素増強装置と、前記容器に載せた椎茸に紫外線又は近紫外線を１８分以上かつ連続的又は断続的に人工照射するランプを備えたことを特徴とする椎茸の栄養素増強機構。