JP3619374B2 - 写真測量用ターゲット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、写真測量におけるカメラ位置の算出に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、交通事故調査等の写真測量では、ステレオ写真による測量が知られている。ステレオ写真による測量では、所定の距離をおいた2つのカメラで同時に現場が撮影され、それにより得られるステレオ画像を光学式の機械で立体視しながら立体化された画像内の点を測量点として指定し、各測量点の座標が算出される。測量点を算出するためには、撮影画像を撮影した2つカメラの位置情報、すなわちカメラから被写体までの距離や、被写体に対するカメラの角度等の情報が必要である。そのため、撮影現場において、担当者がカメラの位置情報を常に計測し記録しなければならない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、撮影する度に被写体に対するカメラの距離や角度を計測するのは煩わしく、また時間と労力を要するため、迅速な処理が求められる事故調査等の現場では、常に正確なカメラの位置情報を得ることは困難であった。さらに、ステレオ画像を光学式の機械で立体視したり、立体化された画像内の点を指定するといった作業は担当者の熟練度に左右されるため、測量の作業効率や測量精度の点においても問題があった。
【0004】
本発明は、以上の問題を解決するものであり、被写体と共にカメラで撮影するだけで撮影画像からカメラ位置が算出できる写真測量用ターゲットを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる写真測量用ターゲットは、写真測量において被写体と共にカメラにより写し込まれ、撮影画像内での視覚による識別が容易な基準点を有し、撮影画像に設定される座標系における基準点の位置を特定することによりカメラの撮影位置が算出される写真測量用ターゲットであって、
基準点として、互いの間隔が既知の第1、第2、第3の3つの基準点が設けられており、第1の基準点と第2の基準点を結ぶ第1の直線と第2の基準点と第3の基準点を結ぶ第2の直線とが所定の角度を有し、かつ第1の直線上、及び第2の直線上に、基準点と同様に撮影画像内での視覚による識別が容易な補助点が設けられ、第1の直線上において、第1の基準点、第2の基準点及び補助点が等間隔で位置決めされ、かつ第2の直線上において、第2の基準点、第3の基準点及び補助点が等間隔で位置決めされ、さらに第1の直線上に設けられた補助点の数と、第2の直線上に設けられた補助点の数が異なるよう、補助点は設けられ、以上の補助点の配置の態様により第1乃至第3の基準点の撮影画像内における相対的位置関係の把握を容易ならしめることを特徴とする。
【0006】
好ましくは、第1の基準点と第2の基準点の間の距離と、第2の基準点と第3の基準点の間の距離が等しい。
【0007】
好ましくは、第1の基準点と第2の基準点を結ぶ第1の直線と、第2の基準点と第3の基準点を結ぶ第2の直線の所定の角度が直角である。
【0008】
好ましくは、第1の直線上において、第1の基準点、第2の基準点、および補助点が等間隔で位置決めされ、かつ第2の直線上において、第2の基準点、第3の基準点、および補助点が等間隔で位置決めされている。
【0009】
好ましくは、第1の直線上に設けられた補助点の数と、第2の直線上に設けられた補助点の数が異なる。
【0010】
補助点が、例えば第1の直線上に1点、第2の直線上に2点設けられている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による写真測量用ターゲットの実施形態について添付図面を参照して説明するが、その前に本発明による写真測量用ターゲットを用いる写真測量の一例について簡単に説明する。
【0012】
図1には、本発明による写真測量用ターゲット(以下、ターゲットと記載する)10と、被写体である立方体102と、カメラ100との位置関係が示される。立方体102およびターゲット10は、カメラ100によって第1のカメラ位置M1 および第2のカメラ位置M2 の双方の箇所で撮影される。第1のカメラ位置M1 および第2のカメラ位置M2 は、それぞれカメラ100の撮影レンズの後側主点位置として定義される。第1のカメラ位置M1 は実線で示され、第2のカメラ位置M2 は破線で示される。それぞれのカメラ位置M1 、M2 での光軸は一点鎖線O1 およびO2 で示される。
【0013】
ターゲット10は2本の柱状部材が連結されたL字型を呈している。ターゲット10上には3個の基準点部材と3個の補助点部材が設けられるが、図の複雑化を避けるために頂点である3個の基準点部材のみが説明に用いられる。これら3個の頂点は基準点部材P1 、P2 およびP3 とされる。基準点部材P1 、P2 およびP3 によって決定される平面は基準平面とされ、基準点部材P1 と基準点部材P2 との間の距離が基準尺Lとして示される。なお、基準点部材P1 およびP2 間の距離と、基準点部材P2 およびP3 間の距離とは等しく、辺P1 P2 と辺P1 P2 とがなす角は90度である。
【0014】
図2(a)には第1のカメラ位置M1 で撮影された画像、即ち第1の画像が示され、図2(b)には第2のカメラ位置M2 で撮影された画像、即ち第2の画像が示される。第1の画像には第1の2次元直交座標系(x1 , y1 )が設定され、その座標原点は第1の画像の撮像中心c1 とされる。図2(a)から明らかなように、第1の画像では、基準点部材P1 、P2 およびP3 の像点はそれぞれ座標p11(px11, py11)、p12(px12, py12)、p13(px13, py13)で示される。
【0015】
第2の画像に対しても第2の2次元直交座標系(x2 , y2 )が設定され、その座標原点も第2の画像の撮像中心c2 とされる。図2(b)から明らかなように、第2の画像では、基準点部材P1 、P2 およびP3 の像点はそれぞれ座標p21(px21, py21)、p22(px22, py22)、p23(px23, py23)で示される。
【0016】
第1および第2の画像上での基準点部材P1 、P2 およびP3 のそれぞれの座標については、pij(pxij,pyij)として表すことができる。ここで、変数iは画像の枚数を示し、i=1は図2(a)の第1の画像に対応し、i=2は図2(b)の第2の画像に対応する。また、変数jは基準点部材Pj の数に一致し、本実施形態ではj=1,2,3である。
【0017】
図3には、カメラ100による撮影時の第1および第2の画像と、ターゲット10との間の位置関係が相対的に示される。このとき、ターゲット10上の基準点部材P1 と基準点部材P2 との間の距離も相対的な長さとなっており、この長さはL’として示されている。なお、基準点部材P1 、P2 およびP3 により規定される基準平面は、図中ハッチング領域で示される。
【0018】
ここで、第1および第2の画像に基づいて立方体102の3次元位置を特定するために、3次元直交座標系(X,Y,Z)が適宜設定される。図3においては、この3次元直交座標系は右手系であり、その座標原点は第1のカメラ位置M1 に一致させられ、またそのZ軸は第1のカメラ位置M1 における光軸O1 に一致させられる。
【0019】
このとき、第2のカメラ位置M2 の3次元座標は(Xo,Yo,Zo)で示され、この3次元座標は第1のカメラ位置M1 に対する第2のカメラ位置M2 の変位量を示す。また、第2のカメラ位置M2 での光軸O2 の3次元角度座標が(α,β,γ)で示され、この3次元角度座標は光軸O1 に対する光軸O2 の回転角度を表す。即ち、αは3次元直交座標系のX軸と成す角度を示し、βは3次元直交座標系のY軸と成す角度を示し、γは3次元直交座標系のZ軸と成す角度を示す。
【0020】
また、図3では3次元直交座標系(X,Y,Z)における3個の基準点部材P1 、P2 およびP3 の3次元座標のそれぞれについては、P1 (PX1 ,PY1 ,PZ1 )、P2 (PX2 ,PY2 ,PZ2 )およびP3 (PX3 ,PY3 ,PZ3 )で示され、これら3次元座標についてはPj (PXj ,PYj ,PZj )(j=1,2,3)として表すことができる。
【0021】
図3から明らかなように、各基準点部材Pj と、その第1または第2の画像上の像点pijと、第1および第2のカメラ位置M1 、M2 とは一直線上にある。従って、3次元座標Pj (PXj ,PYj ,PZj )については、以下の(1)式に示す共線方程式を用いて求めることができる。
【0022】
【数1】
【0023】
なお、上記(1)式中のCは、カメラ100の撮影レンズの主点距離(焦点距離)であり、第1および第2の画像において同じである。即ち、主点距離Cは第1のカメラ位置(後側主点位置)M1 と撮像中心c1 との距離、あるいは第2のカメラ位置(後側主点位置)M2 と撮像中心c2 との距離である。
【0024】
図4のフローチャートを参照して、第1および第2の画像に基づいて測量図を作成するための測量図作成ルーチンについて説明する。この測量図作成ルーチンは、第1および第2の画像をビデオデータとして取り込んだコンピュータによって実行され、このときこのコンピュータに接続されたモニタ装置の表示画面上には第1および第2の画像(図2(a)および図2(b))が表示される。
【0025】
まず、ステップS101では、上述した共線方程式(1)における未知変量、即ち第1のカメラ位置M1 に対する第2のカメラ位置M2 の変位量(Xo,Yo,Zo)並びに光軸O1 に対する光軸O2 の回転角(α,β,γ)に対して、0を除く適当な値が初期値としてコンピュータに入力される。コンピュータへの入力は例えばキーボードの操作により行われる。
【0026】
ステップS102では、モニタ装置に表示された第1および第2の画像上における基準点部材Pj の像点の互いに対応した2次元座標p1j(px1j,py1j)およびp2j(px2j,py2j)が順次コンピュータに入力される。なお、2次元座標p1j(px1j,py1j)およびp2j(px2j,py2j)の入力については、例えばマウスを操作して、モニタ装置の第1および第2の画像上のそれぞれの基準点部材Pj の像点をカーソルで指定してクリックすることにより行われる。
【0027】
ステップS103では、カウンタkに初期値として1が与えられる。次にステップS104では、被写体である立方体102上の任意の物点Qk=1 (図1)が選択され、モニタ装置に表示された第1および第2の画像上における物点Qk=1 の像点の互いに対応した2次元座標q1k(qx1k,qy1k)およびq2k(qx2k,qy2k)が順次コンピュータに入力される。なお、2次元座標q1k(qx1k,qy1k)およびq2k(qx2k,qy2k)の入力についても、マウスを操作して、モニタ装置の第1および第2の画像上におけるそれぞれの物点Qk=1 の像点をカーソルで指定してクリックすることにより行われる。
【0028】
物点Qk=1 と、第1および第2の画像上における物点Qj の像点と、第1および第2のカメラ位置M1 、M2 との間の位置関係は、図3に示す各基準点部材Pj と、その第1または第2の画像上の像点pijと、第1および第2のカメラ位置M1 、M2 との位置関係と同様であり、物点Qk=1 と物点Qj の像点と、第1および第2のカメラ位置M1 、M2 とは一直線上にある。従って、物点Qk=1 の3次元座標Q1 (QX1 ,QY1 ,QZ1 )は、(1)式を用いて求めることができる。
【0029】
ステップS105では、2次元座標p1j(px1j,py1j)およびp2j(px2j,py2j)と2次元座標q1k(qx1k,qy1k)およびq2k(qx2k,qy2k)の入力データに基づいて、上述した共線方程式(1)が逐次近似解法により解かれる。これにより、各基準点部材Pj (j=1,2,3)の3次元座標Pj (PXj ,PYj ,PZj )と、物点Qk=1 の3次元座標Q1 (QX1 ,QY1 ,QZ1 )と、未知変量(Xo,Yo,Zo)および(α,β,γ)とが近似的に求められる。
【0030】
逐次近似解法とは、前述の共線方程式において未知変量(Xo,Yo,Zo)および(α,β,γ)に初期値を与え、この初期値の周りにテーラー展開して線形化し、最小二乗法により未知変量の補正量を求める手法である。このような近似演算を繰り返すことにより、未知変量の一層誤差の少ない近似値が求められる。
【0031】
要するに基準点部材Pj (j=1,2,3)の3次元座標Pj (PXj ,PYj ,PZj )を、第1の画像における基準点部材Pj の2次元座標p1j(px1j,py1j)と、第2の画像における基準点部材Pj の2次元座標p2j(px2j,py2j)とに基づいて求め、かつ物点Qk=1 の3次元座標Q1 (QX1 ,QY1 ,QZ1 )を、第1の画像における物点Qk=1 の2次元座標q1k(qx1k,qy1k)と、第2の画像における物点Qk=1 の2次元座標q2k(qx2k,qy2k)とに基づいて求めることにより、第2のカメラ位置M2 の変位量(Xo,Yo,Zo)および光軸O2 の回転角(α,β,γ)についての近似値が求められる。
【0032】
ステップS106では、座標値による相対的な距離を実際の距離に補正するための補正倍率mが求められる。この演算には既知の長さ、例えば基準点部材P1 と基準点部材P2 との間の距離が用いられる。基準点部材P1 と基準点部材P2 との間の実際の距離はL(図1参照)であることから、3次元直交座標系(X,Y,Z)における基準点部材P1 と基準点部材P2 との距離L’(図3参照)と実際の距離Lとの間には次の関係式が成り立つ。
【0033】
L=L’×m (m:補正倍率)
【0034】
ステップS107では、上述の補正倍率を用いてスケーリングが行われ、これにより基準点部材Pj の3次元座標Pj (PXj ,PYj ,PZj )および物点Qk=1 の3次元座標Q1 (QX1 ,QY1 ,QZ1 )間で、実測値に基づく配置関係が得られることになる。
【0035】
ステップS108では、3次元直交座標系(X,Y,Z)が、図5に示すような3次元直交座標系(X’,Y’,Z’)に座標変換される。同図から明らかなように、3次元直交座標系(X’,Y’,Z’)の座標原点は基準点部材P1 に一致させられ、そのX’軸は基準点部材P1 およびP2 を結ぶ直線に一致させられ、さらにX’−Z’平面が基準平面(図中、ハッチング領域として示される)を含む平面Psに一致させられる。なお、3次元直交座標系(X’,Y’,Z’)の座標原点として基準点部材P1 が選ばれたが、平面Ps上の任意の点であれば、3次元直交座標系(X’,Y’,Z’)の座標原点とし得る。
【0036】
ステップS109では、X’−Z’平面が測量図としてモニタ装置に表示され、このときX’−Z’平面即ち測量図には、基準点部材P1 、P2 およびP3 と共に物点Qk=1 の投影点が表示される。なお、測量図はX’−Z’平面に限定されることはなく、X’−Y’平面あるいはY’−Z’平面とすることもできるし、さらには3次元直交座標系(X’,Y’,Z’)に基づく立体斜視図とすることもできる。
【0037】
ステップS110では、立方体102に対して他の物点が選択されるか否かが判定され、他の物点が更に選択される場合には、ステップS111に進み、そこでカウンタkのカウンタ値が“1”だけカウントアップされる。その後ステップS104に進み、そこでモニタ装置に表示された第1および第2の画像上における物点Qk=2 (図示せず)の像点の互いに対応した2次元座標q1k(qx1k,qy1k)およびq2k(qx2k,qy2k)がコンピュータに入力される。
【0038】
ステップS105では2次元座標p1j(px1j,py1j)およびp2j(px2j,py2j)と、2次元座標q1k(qx1k,qy1k)およびq2k(qx2k,qy2k)との入力データに基づいて、上述した共線方程式(1)が逐次近似解法により解かれる。これにより、各基準点部材Pj (j=1,2,3)の3次元座標Pj (PXj ,PYj ,PZj )と、物点Qk (k=1,2)の3次元座標Qk (QXk ,QYk ,QZk )と、未知変量(Xo,Yo,Zo)および(α,β,γ)とが近似的に求められる。このとき得られる未知変量(Xo,Yo,Zo)および(α,β,γ)の近似値は、前回より一層近似されたものとなる。
【0039】
要するに、物点Qk の数を増やせば増やすほど、未知変量(Xo,Yo,Zo)および(α,β,γ)の近似値は実際の値に近づくこととなる。ある程度の近似値を得るためには基準点部材P1 、P2 およびP3 を含めて少なくとも5点必要である。
【0040】
図6には、本発明による写真測量用ターゲットの実施形態が一部破断して示される。図7には、写真測量用ターゲットの側面図が示される。ターゲット10はL字型を呈しており、2本の柱状部材12、14を備える。第1の柱状部材12および第2の柱状部材14は金属材料から形成され、内部が中空の四角柱形状を呈しており、それらの全外周面には無反射シートが貼付される。第1の柱状部材12および第2の柱状部材14の幅は概略同じ長さLw であり、またそれぞれの厚みは共に同じ長さLH である。
【0041】
無反射シートは第1および第2の柱状部材12、14に密着する面には接着剤が塗布され、反対側の面は黒色であり、表面に細かい凹凸が形成される。この凹凸面において入射光が吸収拡散されることにより、反射光量が極めて減少させられる。なお、無反射シートの代わりに、例えばつや消しの黒色塗料等の無反射塗料を第1および第2の柱状部材12、14の表面に塗布してもよい。
【0042】
第1の柱状部材12の一方の端部12aには、直方体の制御部筐体20が一体的に固定される。制御部筐体20は金属材料から形成され、その全外周面には無反射シートが貼付される。制御部筐体20において、その厚みは第1の柱状部材12の厚みと同じ長さLH であり、またその幅は第1の柱状部材12の幅Lw の約2倍である。制御部筐体20はその側面20bが第1の柱状部材12の側面12bと同一平面上に位置するように設けられており、制御部筐体20の側面20cは第1の柱状部材12の側面12cから突出している。
【0043】
制御部筐体20の側面20cには、第2の柱状部材14の一方の端部14aがヒンジ15により回動可能に取付けられる。第2の柱状部材14の側面14bは、制御部筐体20の第1の柱状部材12が設けられる面の反対側の端面20dと同一平面上に位置する。
【0044】
第2の柱状部材14の側面14cと制御部筐体20の側面20cとが成す角α、即ち2本の柱状部材12および14の軸心AおよびB(図中、二点鎖線で示す)が成す鋭角側には固定部材であるステー16が連結され、これにより2本の柱状部材12および14は互いに固定される。ステー16はその幅および厚みは第1および第2の柱状部材12、14の幅Lw および厚みLH より小さい。またステー16の長手方向長さは第1の柱状部材12の長手方向長さより短い。
【0045】
ステー16は2本の柱状部材12、14に対してそれぞれ傾斜して設けられ、このとき第2の柱状部材14の第1の柱状部材12に対して成す角度αは90度である。ステー16はステー用ヒンジ92により第1の柱状部材12に回動可能に固定され、ロックヒンジ94により第2の柱状部材14に対して着脱自在である。
【0046】
ターゲット10の上面、即ち2本の柱状部材12、14および制御部筐体20の上面には3個の基準点部材31、34、36、および3個の補助点部材32、33、35が同一平面上に設けられる。基準点部材31(第1の基準点)、補助点部材32、33は第1の柱状部材12の上面12eに設けられ、基準点部材34(第2の基準点)は制御部筐体20の上面20eに設けられ、補助点部材35、基準点部材36(第3の基準点)は第2の柱状部材14の上面14eに設けられる。すなわち、基準点部材31と基準点部材34を結ぶ直線(第1の直線)上に2個の補助点部材32、33が設けられ、基準点部材34と基準点部材36を結ぶ直線(第2の直線)上に1個の補助点部材35が設けられている。
【0047】
各基準点部材31、34、36、および各補助点部材32、33、35は円板状を呈しており、それらの直径は全て同じであり、かつ柱状部材12、14の幅Lw より小さい。
【0048】
基準点部材31、34、補助点部材32、33は、軸心A方向に平行な基準点部材31と基準点部材34を結ぶ直線(第1の直線)上に設けられ、基準点部材34、36および補助点部材35は、軸心B方向に平行な基準点部材34と基準点部材36を結ぶ直線(第2の直線)上に設けられる。すなわち、基準点部材31と基準点部材34を結ぶ直線上に2個の補助点部材32、33が設けられ、基準点部材34と基準点部材36を結ぶ直線上に1個の補助点部材35が設けられており、各直線上に配設される補助点部材の数は異なる。基準点部材31と補助点部材32の間、補助点部材32と補助点部材33の間、補助点部材33と基準点部材34の間の距離はそれぞれ等しく、基準点部材34と補助点部材35の間、補助点部材35と基準点部材36の間の距離はそれぞれ等しい。また、基準点部材31から基準点部材34までの距離と、基準点部材34から基準点部材36までの距離は等しい。
【0049】
基準点部材31、34、36、および補助点部材32、33、35によって、写真測量の基準平面が定められ、同時に基準点部材31、34、36を頂点とする二等辺三角形の辺長さが基準尺として定められる。即ち、基準点部材31から基準点部材34までの距離(図1に示す長さL)、あるいは基準点部材34から基準点部材36までの距離、あるいは基準点部材36から基準点部材31までの距離が既知であり、これらが基準尺として写真測量に用いられる。
【0050】
なお、角度αは90度に限定されず、また基準点部材31および34間の距離と、基準点部材34および36間の距離とは、等しくなくてもよい。角度αと、基準点部材31および34間の距離と、基準点部材34および36間の距離とは、既知の数値であればよいが、計算処理の簡便さを考慮した場合、上述のように角度αが90度で、基準点部材31および34間の距離と、基準点部材34および36間の距離とが等しいことが好ましい。
【0051】
図6から明らかなように、二等辺三角形の長さの等しい2辺において補助点部材の数が異なっているため、ターゲット10の向きが容易に判別でき、被写体が同一の撮影画像が多数ある場合に、そのカメラ位置が容易に想定できる。
【0052】
また、ステー16により第1および第2の柱状部材12、14の中間が互いに連結固定されるので、角度αが正確に規定され、写真測量の精度が向上する。
【0053】
さらに、ヒンジ15の取付によって生じる制御部筐体20の側面20cと第2の柱状部材14の端面14aとの間隙にはシート状の弾性部材19(図10参照)が設けられ、これにより第2の柱状部材14のガタつきが防止される。弾性部材19はゴムやスポンジ等から形成され、第2の柱状部材14の端面14aまたは側面20cに密着固定される。なお、シート状の弾性部材19の代わりにバネ部材を設けてもよい。
【0054】
基準点部材31、34、36および補助点部材32、33、35には反射シートが貼付される。反射シートの表面は滑らかに加工され、白色を呈している。これにより光の反射量が増加する。さらに各基準点部材31、34、36および補助点部材32、33、35の周りには、無反射シートが貼付された円板部材である無反射部材41、42、43、44、45、46がそれぞれ設けられる。これにより、撮影画像における基準点部材31、34、36および補助点部材32、33、35の識別が容易になり、写真測量の精度を向上させることができる。
【0055】
ターゲット10は、基準点部材31、34、36および補助点部材32、33、35が設けられる面の反対側の面に3本の脚18を備える。脚18は基準点部材31、34、36に対応して設けられる。ターゲット10は道路面に対して脚18の長さ分だけ離れて載置され、これにより道路上の凹凸の影響を受けずに道路面に対して平行に設置される。
【0056】
図8および図9を参照して、補助点部材35および無反射部材45の構成について説明する。図8は、図6のVIII−VIII線断面におけるターゲット10の断面図である。図9は無反射部材45の第2の柱状部材14側の面を示す平面図である。他の基準点部材31、34、36、補助点部材32、33および無反射部材41、42、43、44、46は、補助点部材35および無反射部材45と同様の構成であるのでここでは説明を省略する。
【0057】
第2の柱状部材14の上面14eには磁石保持部材62が設けられ、この磁石保持部材62の内部には環状の磁石64が収納される。磁石保持部材62の外径は第2の柱状部材14の幅Lw と略同じ長さである。磁石64は磁石保持部材62とともに、ネジ部材66により第2の柱状部材14に一体的に固定される。ネジ部材66の頭部67には反射シート68が貼付される。これら磁石保持部材62、磁石64、ネジ部材66および反射シート68により、補助点部材35が構成される。
【0058】
無反射部材45は、電波が透過できる材料、例えば樹脂あるいはゴムから形成された円板72を備える。円板72の材料がゴムの場合、無反射部材45の落下による破損が防止される。円板72の一方の面には無反射シート74が貼付される。無反射部材45の直径はこの実施形態においては、補助点部材35、即ちネジ部材頭部67の直径の約7倍である。また、無反射部材45の厚みはネジ部材66の頭部67の厚みよりわずかに小さい。
【0059】
無反射部材45の中央には、ネジ部材66の頭部67と略同径の嵌合穴76が形成される。無反射部材45の無反射シート74が設けられていない面において、嵌合穴76の周囲には環状の鉄板78が埋込まれている。鉄板78の内径は嵌合穴76の直径と略等しく、その外径は磁石保持部材62の外径と略等しい。
【0060】
無反射部材45は補助点部材35に対して着脱自在である。ターゲット10の使用時には、ネジ部材66の頭部67と嵌合穴76とが嵌合させられ、このとき磁石64の磁力により鉄板78がネジ部材66の頭部67あるいは磁石保持部材62に密着固定される。図8から明らかなように、無反射部材45が補助点部材35に取付けられた状態において、反射シート68と無反射シート74とは略同一平面上にある。ターゲット10の非使用時には、人手により無反射部材45が補助点部材35から取外される。
【0061】
このように、無反射部材45を補助点部材35に対して着脱自在にすることにより、ターゲット10の携帯性が向上する。さらに、反射シート68の周囲に無反射シート74が設けられることにより、補助点部材35の領域が明確になり、夜間や雨によって周囲が暗い現場での撮影、あるいは道路面が反射しやすい現場での撮影等の撮影条件が悪い場合でも、撮影画像における補助点部材35の識別が容易になる。
【0062】
なお、補助点部材35と無反射部材45との直径の比率、即ち反射シート68および無反射シート74の領域の大きさは、特にこの実施形態に限定されず、ターゲット10の撮影画像において反射シート68が十分認識できる大きさであればよい。また補助点部材35および無反射部材45の形状も円形に限定されない。
【0063】
図10は、図6における制御部筐体20の近傍を拡大して示す平面図であり、一部破断して示す図である。図11は図10のXI−XI線における断面図であり、制御部筐体20の構成を簡略化して示す図である。
【0064】
制御部筐体20の端面20d側には電池収納室83が設けられる。電池収納室83には電源である電池87が収納され、ターゲット10に電力を供給している。電池収納室83は端面20d側に開口を有し、蓋部83aにより閉密される。制御部筐体20の端面20dにはスイッチ85が一体的に設けられ、このスイッチ85の手動操作により電源のオン、オフが切換えられる。電源がオンされると、傾斜角センサや方位センサ等(図示せず)の各種のセンサが作動し、ターゲット10の位置情報が得られる。
【0065】
制御部筐体20の上面20eは開口81を有しており、この開口81はカバー82により閉密される。カバー82は電波が透過可能な材料、例えば樹脂から形成される。
【0066】
図12はターゲット10を折り畳んだ状態を示す平面図である。図13は図6に示す組立状態から図12に示す折畳み状態へ移行する途中経過を示すターゲット10の平面図である。
【0067】
ターゲット10は、写真測量時には図6に示すようにL字型に組立てられて用いられるが、非使用時、例えば運搬時等には図12に示すようにI字型に折り畳まれる。まず無反射部材41、42、43、44、45、46が取外され、次いでステー16が第2の柱状部材14のロックヒンジ94から取外される。これにより、ステー16は第1の柱状部材12のステー用ヒンジ92周りに回動自在となり、第2の柱状部材14はヒンジ15周りに回動自在となる。
【0068】
さらに、ステー16および第2の柱状部材14を時計周り、即ち図13の矢印で示す方向に回動させ、ステー16および第2の柱状部材14を第1の柱状部材12に略平行にさせる。第2の柱状部材14は制御部筐体20に取付けられるため、制御部筐体20が第1の柱状部材12からターゲット10の内側(図12の左方)に突出していることにより、第1の柱状部材12と第2の柱状部材14との間には間隙Dが生じる。ステー16はこの間隙D内に収められており、これにより折畳み時に生じる間隙Dが有効に活用される。また、この折畳み時においてロックヒンジ94は、ステー用ヒンジ92より制御部筐体20側に位置し、ステー用ヒンジ92およびステー16に干渉しない。
【0069】
しかし、I字型に折り畳むだけでは運搬時にステー16や第2の柱状部材14が第1の柱状部材12に対して回動自在なために不用意に開くことがあり、故障や破損等を招く恐れがある。このため、ステー16および第2の柱状部材14は、それぞれの端部において第1の柱状部材12に固定される。
【0070】
第1の柱状部材12の側面12cにおいて、基準点部材31の近傍には第1のボールプランジャ96が設けられる。一方、第2の柱状部材14の側面14cにおいて、基準点部材36の近傍にはキーパー98が設けられる。この第1のボールプランジャ96とキーパー98とが係合することにより、第1の柱状部材12と第2の柱状部材14とが互いに固定される。
【0071】
図14は第1および第2の柱状部材12、14の固定機構を示す図であり、図12のXIV−XIV線における断面図である。
【0072】
第1のボールプランジャ96は凹部104が形成されており、この凹部104にはキーパー98に形成された凸部106が係合する。凸部106は先端が隆起しており、隆起部106aの最も厚い部分の厚みは凹部104の厚みよりわずかに小さい。凸部106の基端部106bの厚みは隆起部106aより小さい。図14において凹部104の上下にはボール108と、このボール108を凹部104に向かって付勢するバネ110とがそれぞれ設けられる。
【0073】
キーパー98の凸部106が凹部104に押込められると、2つのボール108は隆起部106aとの当接によりバネ110の付勢力に抗して凹部104から離間する方向に移動する。凸部106が凹部104内へさらに押込められると、2つのボール108はバネ110の付勢力により再び凹部104側へ移動し、基端部106bと当接し、これにより凸部106は2つのボール108に挟持される。
【0074】
このようにキーパー98が第1のボールプランジャ96に係合することにより、第2の柱状部材14は第1の柱状部材12に固定される。なお、キーパー98を第1のボールプランジャ96から取外す場合には、上述と逆の操作、即ち第2の柱状部材14を第1の柱状部材12から離れる方向に引張ればよい。
【0075】
図15はステー16の固定機構を示す図であり、図12のXV−XV線における断面図である。ステー16の固定機構は、図14に示す固定機構と略同じ構成を備えており、同じ構成については同符号を付す。
【0076】
第1の柱状部材12の側面12cにおいて、第1のボールプランジャ96の制御部筐体20側には第2のボールプランジャ100が設けられる。ステー16の厚みは第2のボールプランジャ100に形成された凹部104より小さく、ステー16の先端には収納用固定穴102が形成される。
【0077】
ステー16が凹部104に挿入されると、2つのボール108はバネ110の付勢力に抗して凹部104から離間する方向に移動する。ステー16がさらに挿入されると、収納用固定穴102の両端に各ボール108の一部がそれぞれ収容されて係合する。即ち、バネ110の付勢力によりステー16は2つのボール108に挟持され、第1の柱状部材12に固定される。なお逆の操作を行えば、ステー16は第1の柱状部材12から取外される。
【0078】
以上のように、ターゲット10は折畳み時に第2の柱状部材14およびステー16を第1の柱状部材12に固定する固定機構を備えているので、第2の柱状部材14およびステー16が不用意に開くことが防止され、運搬時の故障および破損が防止される。
【0079】
図12に示す折畳み状態から図6に示す組立状態へ移行するには、上述したように、まず第1のボールプランジャ96とキーパー98との係合、および第2のボールプランジャ100とステー16との係合を解除する。次に第2の柱状部材14をヒンジ15を中心に約90度回動させ、端面14aに設けられた弾性部材19を制御部筐体20の側面20cに当接させる(図10参照)。次いで、ステー16をステー用ヒンジ92を中心に回動させ、端部をロックヒンジ94に係合させて第1および第2の柱状部材12、14を連結させる。
【0080】
図16はステー用ヒンジ92近傍の構成を一部破断して示す平面図であり、図6の部分拡大図である。図17は、図16のXVII−XVII線における断面図である。
【0081】
ステー用ヒンジ92は補助点部材33と補助点部材32(図6参照)との間に設けられ、ネジ120により第1の柱状部材12の側面12cに固定される。ステー用ヒンジ92にはステー収容溝部122が形成され、このステー収容溝部122内にステー16の端部16aが嵌合している。ステー収容溝部122の厚みはステー16の厚みよりわずかに大きい。
【0082】
ステー用ヒンジ92およびステー16には、それぞれ支点ピン124を通すための支点穴126、128が形成される。支点ピン124はステー用ヒンジ92の支点穴126に対して圧入固定され、ステー16の支点穴128に対して貫通している。以上の構成により、ステー16がステー収容溝部122内で回動可能となる。
【0083】
図18はロックヒンジ94近傍の構成を一部破断して示す平面図であり、図6の部分拡大図である。図19はロックヒンジ94にステー16を係合させる前の状態を示す断面図である。図20はロックヒンジ94にステー16を係合させた状態を示す断面図であり、図18のXX−XX線断面図である。
【0084】
ロックヒンジ94は補助点部材35と第2の基準点部材34(図6参照)との間に設けられ、ネジ130により第2の柱状部材14の側面14cに固定される。ロックヒンジ94にはステー収容溝部132が形成され、さらに側面14cに平行なステー収容溝部132の側面132aにはシート状のゴムあるいはスポンジ等の弾性体であるガイド部材134が密着固定される。なおガイド部材134は、ゴムまたはスポンジの他、側面132aに平行に設けた板部材を側面132aから離間する方向にバネで付勢する構成にしてもよい。ステー収容溝部132内にステー16の端部16bが着脱可能である。ステー収容溝部132の厚みはステー16の厚みよりわずかに大きい。
【0085】
図19においてステー収容溝部132の下方にはロックピン136が貫通するための嵌合穴138が形成される。ステー収容溝部132の上方にはロックピン136を収容するためのピン収容部137が形成され、ピン収容部137内には嵌合穴138と略同径、かつ同軸を有する嵌合穴140が形成される。ピン収容部137の上壁137aには嵌合穴140より直径の小さい開口141が形成される。
【0086】
ロックピン136は頭部142と、嵌合穴138および140と略同径を有する係合部144と、頭部142および係合部144の間に設けられ、開口141と略同径の中間部146とを備える。嵌合穴140内において中間部146の周囲にはバネ148が設けられる。バネ148は一端がピン収容部137の上壁137aに当接し、その他端が係合部144の上面144aに当接する。バネ148は係合部144、即ちロックピン136を鉛直下方に向かって付勢する。
【0087】
ロックピン136は鉛直方向に沿って相対移動可能であり、人手により頭部142を持ち上げると、上面144aの上昇に伴ってバネ148が圧縮し、図19に示す位置にまで移動する。このとき係合部144の下端はステー収容溝部132の上方に位置し、ステー16をステー収容溝部132へ挿入できる。
【0088】
ステー16の端部16bには係合部144の直径よりわずかに大きい直径を有するロック穴150が形成される。端部16bの角部には長手方向の側面に対して傾斜している傾斜面16cが形成される。この傾斜面16cは、ステー収容溝部132内にステー16を挿入する際に、ガイド部材134を押圧しながらガイド部材134に対して摺動する。
【0089】
ロックピン136を図19に示す位置に持ち上げた状態で、ステー16をステー収容溝部132内で摺動させて、ロック穴150の位置を嵌合穴138および140に一致させる。一致後、持ち上げていた頭部142を離すと、図20に示すようにロックピン136はバネ148の付勢力によりロック穴150を貫通して嵌合穴138に係合する。このとき頭部142はピン収容部137の上壁137aにより係止され、ロックピン136の下方への抜落ちが防止される。
【0090】
このように、ロックピン136とロック穴150とを嵌合させて、ステー16を第2の柱状部材14に固定させることにより、第1および第2の柱状部材12、14をステー16により一体的に連結させることができる。
【0091】
制御部筐体20と第2の柱状部材14との間に弾性部材19を、またステー16と第2の柱状部材14との間にガイド部材134をそれぞれ設けているので、第1および第2の柱状部材12、14のステー16による連結が安定し、ターゲット10の寸法精度が向上する。
【0092】
第1および第2の柱状部材12、14がステー16によって連結された後、基準点部材31、34、36および補助点部材32、33、35に無反射部材41、42、43、44、45、46がそれぞれ取付けられて、ターゲット10は図6に示す組立状態となり、写真測量に用いられる。
【0093】
以上のように、本実施形態によれば組立状態において、基準点部材31と基準点部材34を結ぶ直線上に2個の補助点部材32、33が配設され、基準点部材34と基準点部材36を結ぶ直線上に1個の補助点部材35が配設されている。すなわち、各直線上の補助点部材の数が異なる。従って、写真画像内における第1および第2の柱状部材12、14が不鮮明で確認が困難であっても、基準点部材31、34、35の相対的な位置関係が容易に把握できる。
【0094】
さらに、基準点部材31と基準点部材34を結ぶ直線上および基準点部材34と基準点部材36を結ぶ直線上において、基準点部材および補助点部材は等間隔で位置決めされているため、写真測量における基準点の自動抽出が容易であり、画像を撮影した際のカメラ位置の算出が自動的に行われる。
【0095】
組立状態において、ヒンジ15、ステー用ヒンジ92、ロックヒンジ94、第1および第2のボールプランジャ96、100、キーパー98の各部品は撮影画像に写らないように、無反射部材41、42、43、44、45、46により覆われる。これにより基準点部材31、34、36および補助点部材32、33、35がより識別し易くなり、写真測量の精度が向上する。
【0096】
以上述べたように、本実施形態のターゲット10は基準点部材31、34、36および補助点部材32、33、35に反射シートを設け、さらにそれらの周囲に無反射部材41、42、43、44、45、46を設けることにより、基準点部材31、34、36および補助点部材32、33、35が強調される。従って、撮影画像における基準点部材の識別が容易になり、写真測量の精度が向上する。
【0097】
さらに、無反射部材41、42、43、44、45、46が着脱自在であり、またターゲット10がL字型からI字型に折畳み可能であることから、操作性や携帯性が向上する。ターゲット10がL字型の場合、ステー16によって第1および第2の柱状部材12、14を固定することにより、精密なターゲットの寸法精度が確実に得られる。またターゲット10がI字型の場合、ステー16および第2の柱状部材14を、第1および第2のボールプランジャ96、100によって第1の柱状部材12に固定するため、携帯性が向上する。
【0098】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、写真測量において被写体と共にカメラで撮影するだけで撮影画像からカメラ位置が算出できる写真測量用ターゲットが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である写真測量用ターゲットと、被写体と、カメラとの位置関係を示す斜視図である。
【図2】図1のカメラで撮影した画像を模式的に示す図であって、図2(a)は図1のカメラにより第1のカメラ位置で撮影したときの第1の画像であり、図2(b)は図1のカメラにより第2のカメラ位置で撮影したときの第2の画像である。
【図3】基準点部材と、その像点と、カメラの撮影レンズの後側主点位置との位置関係を3次元座標で示す図である。
【図4】図2の2枚の画像から被写体の測量図を作成するためのルーチンを示すフローチャートである。
【図5】基準形状を含む平面に基づく3次元座標を示す図である。
【図6】本発明による写真測量用ターゲットの実施形態を示す平面図である。
【図7】図6に示す写真測量用ターゲットの側面図である。
【図8】図6のVIII−VIII線断面におけるターゲットの断面図である。
【図9】図6に示すターゲットの無反射部材の第2の柱状部材側の面を示す平面図である。
【図10】図6に示すターゲットの制御部筐体の近傍を拡大して示す平面図であり、一部破断して示す図である。
【図11】図10のXI−XI線における断面図であり、制御部筐体の構成を簡略化して示す図である。
【図12】図6に示すターゲットを折り畳んだ状態を示す平面図である。
【図13】図6に示す組立状態から図12に示す折畳み状態へ移行する途中経過を示すターゲットの平面図である。
【図14】図6に示すターゲットの第1および第2の柱状部材の固定機構を示す図であり、図12のXIV−XIV線における断面図である。
【図15】図6に示すターゲットのステーの固定機構を示す図であり、図12のXV−XV線における断面図である。
【図16】図6に示すターゲットのステー用ヒンジ近傍の構成を一部破断して示す平面図であり、図6の部分拡大図である。
【図17】図16のXVII−XVII線における断面図である。
【図18】図6に示すターゲットのロックヒンジ近傍の構成を一部破断して示す平面図であり、図6の部分拡大図である。
【図19】図6に示すターゲットのロックヒンジにステーを係合させる前の状態を示す断面図である。
【図20】図6に示すターゲットのロックヒンジにステーを係合させた状態を示す断面図であり、図18のXX−XX線断面図である。
【符号の説明】
10 ターゲット
12 第1の柱状部材
14 第2の柱状部材
15 ヒンジ
16 ステー
20 制御部筐体
31、32、33、34、35、36 基準点部材
41、42、43、44、45、46 無反射部材
92 ステー用ヒンジ
94 ロックヒンジ
Claims (4)
- 写真測量において被写体と共にカメラにより写し込まれ、撮影画像内での視覚による識別が容易な基準点を有し、前記撮影画像に設定される座標系における前記基準点の位置を特定することにより前記カメラの撮影位置が算出される写真測量用ターゲットであって、
前記基準点として、互いの間隔が既知の第1、第2、第3の3つの基準点が設けられており、前記第1の基準点と前記第2の基準点を結ぶ第1の直線と前記第2の基準点と前記第3の基準点を結ぶ第2の直線とが所定の角度を有し、かつ前記第1の直線上、及び前記第2の直線上に、前記基準点と同様に撮影画像内での視覚による識別が容易な補助点が設けられ、
前記第1の直線上において、前記第1の基準点、前記第2の基準点及び前記補助点が等間隔で位置決めされ、かつ前記第2の直線上において、前記第2の基準点、前記第3の基準点及び前記補助点が等間隔で位置決めされ、さらに前記第1の直線上に設けられた前記補助点の数と、前記第2の直線上に設けられた前記補助点の数が異なるよう、前記補助点は設けられ、
以上の前記補助点の配置の態様により前記第1乃至第3の基準点の撮影画像内における相対的位置関係の把握を容易ならしめることを特徴とする写真測量用ターゲット。 - 前記第1の基準点と前記第2の基準点の間の距離と、前記第2の基準点と前記第3の基準点の間の距離とが等しいことを特徴とする請求項1に記載の写真測量用ターゲット。
- 前記所定の角度が直角であることを特徴とする請求項1に記載の写真測量用ターゲット。
- 前記補助点が、前記第1の直線上に2点、前記第2の直線上に1点設けられていることを特徴とする請求項1に記載の写真測量用ターゲット。
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