JP3619325B2 - エンジンのバランサー装置 - Google Patents

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JP3619325B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バランサーウエイトの両端に設けた一対のスラストワッシャを、バランサーウエイトが架設される一対の支持面に当接させたエンジンのバランサー装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
かかるエンジンのバランサー装置は、特開平4−277349号公報により既に知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで上記従来のものは、作業者の手が狭隘なケーシングの奥部まで届き難いため、両端に一対のスラストワッシャを仮組みしたバランサーウエイトを、それらスラストワッシャをバランサーウエイトから脱落させることなく一対の支持面間に挿入することが困難であり、その作業に熟練を必要とする問題があった。
【0004】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、両端に一対のスラストワッシャを仮組みしたバランサーウエイトの組付作業を、特別な治具や熟練を要することなく容易に行えるようにすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、両端に一対のスラストワッシャを仮組みしたバランサーウエイトをケーシングの開口部から挿入し、ケーシングの内面に相対向して形成した一対の支持面に前記一対のスラストワッシャを当接させた後、バランサーウエイトにバランサーシャフトを挿通して前記一対の支持面間に前記バランサーウエイトを回転自在に支持するエンジンのバランサー装置において、前記一対の支持面と同一平面上に連なる一対のガイド面を、前記ケーシングの開口部から前記一対の支持面に達するように、前記ケーシングの内面に相対向して突設したことを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0007】
図1〜図8は本発明の一実施例を示すもので、図1は自動二輪車に搭載されたエンジンの全体側面、図2は図1の2−2線断面図、図3は図2の3−3線断面図、図4は図3の4−4線断面図、図5は図4の5方向矢視図、図6は図4の6−6線断面図、図7は図4の要部拡大図、図8は作用の説明図である。
【0008】
図1に示すように、自動二輪車の車体フレーム1に3本のボルト2…によって支持された直列4気筒エンジンEは、そのクランクシャフト3が車体左右方向に配置され、且つシリンダ軸線Lが車体前上方に傾斜して配置される。エンジンEのケーシングは、クランクケースの上半部、ミッションケースの上半部及びシリンダブロックとを構成するアッパーケーシング4と、クランクケースの下半部及びミッションケースの下半部を構成するロアケーシング5と、アッパーケーシング4のシリンダブロックの上端に結合されたシリンダヘッド6と、シリンダヘッド6の上端に結合されたヘッドカバー7と、ロアケーシング5の下面に結合されたオイルパン8とからなる。
【0009】
エンジンEは二次振動を低減するための二次バランサー装置を備える。二次バランサー装置はフロントバランサーBf及びリヤバランサーBrからなり、フロントバランサーBfはクランクシャフト3の下方且つ僅かに車体前方寄りの位置に配置されたフロントバランサーシャフト9を備え、リヤバランサーBrはクランクシャフト3の上方且つ僅かに車体後方寄りの位置に配置されたリヤバランサーシャフト10と、リヤバランサーシャフト10の後下方に配置されたアイドルシャフト11とを備える。フロントバランサーシャフト9とリヤバランサーシャフト10とは、クランクシャフト3に関して略対称な位置に配置される。またアッパーケーシング4及びロアケーシング5の後部に収納されたトランスミッションは、クランクシャフト3の後方に位置するメインシャフト12と、メインシャフト12の後方に配置されたカウンタシャフト13とを備える。
【0010】
図2及び図3に示すように、アッパーケーシング4に形成した第1〜第4シリンダ21〜21に、それぞれ第1〜第4ピストン22〜22が摺動自在に嵌合する。クランクシャフト3は第1〜第5ジャーナル部23〜23と、これら第1〜第5ジャーナル部23〜23間に設けられた第1〜第4ピン部24〜24とを備える。第1〜第5ジャーナル部23〜23は、アッパーケーシング4に形成した第1〜第5ジャーナル支持部25〜25とロアケーシング5に形成した第1〜第5ジャーナル支持部26〜26とにより回転自在に支持され、また第1〜第4ピン部24〜24と前記第1〜第4ピストン22〜22とが第1〜第4コネクティングロッド27〜27で接続される。
【0011】
ロアケーシング5の第1〜第5ジャーナル支持部26〜26と、アッパーケーシング4の第1〜第5ジャーナル支持部25〜25とは、クランクシャフト3の前方に配置された5本の前部ケーシング締付ボルト14…と、クランクシャフト3の後方に配置された5本の後部ケーシング締付ボルト15…とによって一体に結合され、その際の締結力により剛性が高められる。
【0012】
即ち、フロントバランサーシャフト9を支持するロアケーシング5を、該ロアケーシング5の材質であるアルミニューム合金よりも縦弾性率(ヤング率)が高いスチール製の前部ケーシング締付ボルト14…及び後部ケーシング締付ボルト15…で締結したので、ロアケーシング5のフロントバランサー支持部の剛性が高められる。
【0013】
シリンダヘッド6には各シリンダ21〜21に対応して燃焼室28が形成されており、その燃焼室28に連なる吸気ポート6,6及び排気ポート6,6に吸気弁29,29及び排気弁30,30が設けられる。吸気弁29,29及び排気弁30,30はシリンダヘッド6及びカムシャフトホルダー(図示せず)の結合面に支持された吸気カムシャフト31及び排気カムシャフト32により駆動される。
【0014】
エンジンEの右端面には、クランクシャフト3の右端に設けた駆動スプロケット33と、この駆動スプロケット33の回転を前記吸気カムシャフト31及び排気カムシャフト32に伝達するタイミングチェーン34とを収納するタイミングチェーン室35が設けられており、その一部の外側への開口部がタイミングチェーン室カバー36により覆われる。またクランクシャフト3の左端には交流発電機37が設けられており、その外側が交流発電機カバー38により覆われる。
【0015】
図3〜図5に示すように、クランクシャフト3の第3ジャーナル部23及び第4ジャーナル部23を支持すべくアッパーケーシング4に形成した第3ジャーナル支持部25及び第4ジャーナル支持部25間に、リヤバランサーBrのアイドルシャフト11の左右両端が架設される。またシリンダブロックの後面からアッパーケーシング4の上面にかけて、前記第3ジャーナル支持部25及び第4ジャーナル支持部25をアッパーケーシング4の外壁から外側に延出させることによりケーシング隆起部41が設けられる。
【0016】
ケーシング隆起部41はその上面及び後面を覆う天井壁部41dと、天井壁部41dの前方に連なって第3シリンダ21の側壁を構成するシリンダ側壁部41eとを備えており、第3ジャーナル支持部25、第4ジャーナル支持部25、天井壁部41d及びシリンダ側壁部41eによって下面だけが開放した高剛性のボックス構造が構成される。そしてケーシング隆起部41の左右の側壁を構成する前記第3ジャーナル支持部25及び第4ジャーナル支持部25に、リヤバランサーBrのリヤバランサーシャフト10の左右両端が架設される。
【0017】
リヤバランサーシャフト10は、第4ジャーナル支持部25に形成した貫通孔よりなる支持孔41bと第3ジャーナル支持部25に形成した盲孔よりなる支持孔41aとに前記支持孔41b側から挿入され、第4ジャーナル支持部25から外部に突出する端部において固定部材42により固定される。後述するように、リヤバランサーシャフト10は偏心シャフトから構成されており、その右端に形成した溝10aに工具を係合させて回転させることにより、偏心部10bの位相を調整できるようになっている。そして調整完了後にリヤバランサーシャフト10を回転不能且つ軸方向移動不能に固定する固定部材42は略J字状に形成されており、その割り溝42aにリヤバランサーシャフト10の右端を挟持してボルト43で締め付けた後、ボルト44でケーシング隆起部41の第4ジャーナル支持部25に固定される。
【0018】
アイドルシャフト11は、第4ジャーナル支持部25に形成した貫通孔よりなる支持孔25bと第3ジャーナル支持部25に形成した貫通孔よりなる支持孔25aとに第4ジャーナル支持部25側から挿入され、第3ジャーナル支持部25を貫通する端部において固定部材45及びボルト46,47により固定される。アイドルシャフト11の右端は、ボルト48で第4ジャーナル支持部25に固定されるワッシャ49により軸方向に位置決めされる。アイドルシャフト11も偏心シャフトから構成されており、その固定前に右端に形成した溝11aに工具を係合させて回転させることにより、偏心部11bの位相を調節できるようになっている。
【0019】
クランクシャフト3の第4ジャーナル部23の左側に隣接するバランサー部50の外周に、バランサー駆動ギヤ51が一体に形成される。アイドルシャフト11の偏心部11bの外周にカラー52を介してボールベアリング53,53が軸方向に位置決めされており、このボールベアリング53,53にクリップ54を介して着脱自在に支持されたアイドルギヤ55が前記バランサー駆動ギヤ51に噛合する。
【0020】
図7を併せて参照すると明らかなように、リヤバランサーシャフト10の偏心部10bの外周に第1ニードルベアリング56及び第2ニードルベアリング57を介してリヤバランサーウエイト58が回転自在に支持される。リヤバランサーウエイト58はウエイト部58aと筒軸部58bとから構成されており、筒軸部58bの外周に複数のダンパーラバー59…を介して支持されたリヤバランサーギヤ60が前記アイドルギヤ55に噛合する。リヤバランサーウエイト58の左右両端部と、ケーシング隆起部41の第3ジャーナル支持部25及び第4ジャーナル支持部25との間に、第1スラストワッシャ61及び第2スラストワッシャ62がそれぞれ配置される。リヤバランサーウエイト58のウエイト部58aは、第3コネクティングロッド27の大端部との干渉を避けるべく、ケーシング隆起部41の第3ジャーナル支持部25に隣接して配置される。
【0021】
ケーシング隆起部41の第3ジャーナル支持部25との間に配置される第1スラストワッシャ61は、その本体部61aの外周にリヤバランサーウエイト58側に延びる環状の筒状保持部61bを備えており、本体部61aの左側面で第3ジャーナル支持部25のスラストワッシャ支持面fとの間のスラスト力を支持するとともに、本体部61aの右側面でリヤバランサーウエイト58の左端部及び第1ニードルベアリング56のリテーナ56aとの間のスラスト力を支持し、更に筒状保持部61bの内周面がリヤバランサーウエイト58の左端外周面に係合することにより、第1スラストワッシャ61自体をリヤバランサーウエイト58に対して半径方向に位置決めするようになっている。
【0022】
一方、ケーシング隆起部41の第4ジャーナル支持部25との間に配置される第2スラストワッシャ62は、その本体部62aの内周にリヤバランサーウエイト58側に延びる環状の筒状保持部62bを備えており、本体部62aの右側面で第4ジャーナル支持部25のスラストワッシャ支持面fとの間のスラスト力を支持し、本体部62aの左側面でリヤバランサーウエイト58の右端部及びリヤバランサーギヤ60の右端との間のスラスト力を支持し、筒状保持部62bの左端面で第2ニードルベアリング57のリテーナ57aとの間のスラスト力を支持し、更に筒状保持部62bの外周面がリヤバランサーウエイト58の右端内周面に係合することにより、第2スラストワッシャ62自体をリヤバランサーウエイト58に対して半径方向に位置決めするようになっている。
【0023】
第1スラストワッシャ61及び第2スラストワッシャ62の形状を比較すると明らかなように、第1スラストワッシャ61の筒状保持部61bを本体部61aの外周に形成したことにより、その筒状保持部61bと干渉することなく第1ニードルベアリング56を本体部61a側に移動させることができる。その結果、第1ニードルベアリング56の軸方向中心線Aをリヤバランサーウエイト58のウエイト部58aの重心位置を通る中心線Bに接近させ、両中心線A,B間のオフセット量αを最小限に抑えることができる。これにより第1ニードルベアリング56に作用する偏荷重が減少するため、該第1ニードルベアリング56に容量の小さなものを使用することができ、しかも耐久性を向上させることができる。
【0024】
リヤバランサーウエイト58をケーシング隆起部41内に組み付けるとき、該リヤバランサーウエイト58、リヤバランサーギヤ60、ダンパーラバー59…、第1ニードルベアリング56、第2ニードルベアリング57、第1スラストワッシャ61及び第2スラストワッシャ62をサブアセンブリ化したものを一括して組み付けるようになっている。前記サブアセンブリを図4に示す正規の組付位置に組み付けた状態では、第1スラストワッシャ61及び第2スラストワッシャ62をケーシング隆起部41の第3ジャーナル支持部25及び第4ジャーナル支持部25に当接させて脱落を防止している。しかしながら、サブアセンブリをアッパーケーシング4の開口部から前記正規の組付位置まで挿入する間、図6に示すように、その両側に位置する第3ジャーナル支持部25及び第4ジャーナル支持部25の対向面間の距離Dは、軽量化のために前記正規の組付位置における第3ジャーナル支持部25及第4ジャーナル支持部25間の距離D(f,f間の距離)よりも大きく設定されているため、第1スラストワッシャ61及び第2スラストワッシャ62がリヤバランサーウエイト58から脱落し易く、作業性が低下する問題がある。特に、サブアセンブリはケーシング隆起部41の最も奥まった部分に組み付けられるので、作業者の手が入り難く作業が困難である。
【0025】
そこで本実施例では、図3、図4及び図6に示すように、第3ジャーナル支持部25及び第4ジャーナル支持部25の対向面に、アッパーケーシング4の開口部から前記スラストワッシャ支持面f,fに連なるスラストワッシャガイド面f,fが突設される。左側のスラストワッシャ支持面f及びスライドガイド面fは面一に形成され、また右側のスラストワッシャ支持面f及びスラストワッシャガイド面fは面一に形成されているため、対向する一対のスラストワッシャ支持面f,f間の距離と、対向する一対のスラストガイド面f,f間の距離とは、何れもDに等しくなる。
【0026】
而して、リヤバランサーウエイト58のサブアセンブリをケーシング隆起部41内の組付位置に挿入する際に、アッパーケーシング4の開口部から始まる一対のスラストワッシャガイド面f,fにサブアセンブリの両端の第1スラストワッシャ61及び第2スラストワッシャ62を当接させた状態で、サブアセンブリをスライドさせながらケーシング隆起部41内の組付位置に挿入する。これにより、第1スラストワッシャ61及び第2スラストワッシャ62は、リヤバランサーウエイト58から脱落することなく左右のスラストワッシャ支持面f,fに当接する組付位置まで案内されるため、組付作業性が大幅に向上する。
【0027】
図3〜図6から明らかなように、ケーシング隆起部41の底部に円弧状のリブ63が突設されており、このリブ63を目視し得るように、第4ジャーナル支持部25にプラグ64(図4参照)で閉塞可能な円形の開口41cが形成される。開口41cを通してリヤバランサーギヤ60の一部とリブ63の位相合わせマーク63aとが目視可能であり、開口41cから指を入れてリヤバランサーギヤ60を回転させ、1枚の歯に刻設した位相合わせマーク60a(図5参照)を前記リブ63の位相合わせマーク63aに対向させることにより、後述するリヤバランサーBrの組付時にリヤバランサーギヤ60の位相合わせを行うことができる。
【0028】
またサブアセンブリを組み付けるべくケーシング隆起部41内に挿入したとき、図3及び図6に示すようにリヤバランサーギヤ60がリブ63に当接してラフに位置決めされるため、リヤバランサーウエイト58がケーシング隆起部41の底部に脱落することが防止されて組付作業が容易になる。
【0029】
図3及び図4に示すように、フロントバランサーBfのフロントバランサーシャフト9は、ロアケーシング5の第3ジャーナル支持部26及び第4ジャーナル支持部26間に架設されるものであり、その外周に第1ニードルベアリング65と、第2ニードルベアリング66と、ウエイト部67aと筒軸部67bとを備えたフロントバランサーウエイト67と、第1スラストワッシャ68と、第2スラストワッシャ69と、ダンパーラバー70及びバランサー駆動ギヤ51に噛合するフロントバランサーギヤ71とが支持される。そしてフロントバランサーシャフト9は固定部材72及びボルト73,74によってロアケーシング5に固定される。
【0030】
図4から明らかなようにフロントバランサーBfは、前記アイドルシャフト11及びアイドルギヤ55に相当する部材を備えていない点を除いて、クランクシャフト3に関して前記リヤバランサーBrと対称な構造を備えているため、その重複する構造の説明は省略する。但し、フロントバランサーBfはロアケーシング5の開口部から比較的に浅い位置に配置されており、しかも前記アイドルギヤ55に相当する部材を持たないために組み付けや位相合わせが容易であり、従ってリヤバランサーBrのスラストワッシャガイド面f,fに相当するもの、或いはリブ63に相当するものが不要となっている。
【0031】
図4において、フロントバランサーBfの第1スラストワッシャ68の筒状保持部68bを本体部68aの外周に形成したことにより、その筒状保持部68bと干渉することなく第1ニードルベアリング65を本体部68a側に移動させ、第1ニードルベアリング65の中心線をフロントバランサーウエイト67のウエイト部67aの中心線に接近させることができる。これにより、前述したリヤバランサーBrと同様にして、フロントバランサーBfの第1ニードルベアリング65に作用する偏荷重による負荷を軽減することができる。
【0032】
而して、クランクシャフト3に設けたバランサー駆動ギヤ51の歯数に対して、リヤバランサーギヤ60の歯数及びフロントバランサーギヤ71の歯数は何れも2分の1に設定されているため、リヤバランサーギヤ60はクランクシャフト3の2倍の回転数で該クランクシャフト3と同方向に回転するとともに、フロントバランサーギヤ71はクランクシャフト3の2倍の回転数で該クランクシャフト3と逆方向に回転し、周知のようにエンジンEの二次振動を軽減する。
【0033】
図3において、エンジンEの振動を効果的に低減するために、フロントバランサーシャフト9及びリヤバランサーシャフト10はクランクシャフト3を中心として対称的に配置することが望ましい。またシリンダ軸線Lとフロントバランサーシャフト9との距離をdとし、シリンダ軸線Lとリヤバランサーシャフト10との距離をdとし、フロントバランサーシャフト9及びリヤバランサーシャフト10のシリンダ軸線Lに沿う方向の距離をdとすると、距離d及び距離dを等しく設定し、且つ距離dをコネクティングロッド27〜27の長さに略等しく設定することが望ましい。
【0034】
フロントバランサーシャフト9をクランクシャフト3の前下方に配置し、リヤバランサーシャフト10をクランクシャフト3の後上方に配置することにより前記条件を比較的に容易に満足させることができるが、車体前上方に傾斜するシリンダ21〜21の後方には種々の補器類(例えば、図1に示すエアクリーナ16や燃料タンク17)の配置スペースとして利用されるため、リヤバランサーシャフト10が前記補器類と干渉する虞がある。しかしながら、本実施例ではアッパーケーシング4の上面に最小限のケーシング隆起部41を突設し、その内部にリヤバランサーシャフト10を収納したので、シリンダ21〜21の後方のスペースを最大限に確保して補器類との干渉を回避することができる。またアイドルシャフト11をリヤバランサーシャフト10の前方ではなく後方に配置したことにより、シリンダ21〜21の後方に一層大きなスペースを確保することが可能となる。
【0035】
図4から明らかなように、クランクシャフト3の第3ジャーナル部23及び第4ジャーナル部23を支持するアッパーケーシング4の第3ジャーナル支持部25及び第4ジャーナル支持部25にリヤバランサーシャフト10が支持され、また前記第3ジャーナル部23及び第4ジャーナル部23を支持するロアケーシング5の第3ジャーナル支持部26及び第4ジャーナル支持部26にフロントバランサーシャフト9が支持される。仮に、バランサーシャフト9,10をケーシング4,5の外壁部に支持すると、バランサーシャフト9,10に作用する遠心力に対抗するためにケーシング4,5の補強が必要になって重量が増加するが、本実施例の如くクランクシャフト3を支持すべく高い剛性を備えたジャーナル支持部25,25,26,26を利用してバランサーシャフト9,10を支持すれば、ケーシング4,5の補強が不要になって重量が削減される。
【0036】
特に、アッパーケーシング4のジャーナル支持部25〜25とロアケーシング5のジャーナル支持部26〜26とは、アッパーケーシング4の材質であるアルミニューム合金よりも縦弾性率(ヤング率)が高いスチール製の前部締付ボルト14…及び後部締付ボルト15…の締結力により結合剛性が高められているため、そこに支持されるフロントバランサーシャフト9及びリヤバランサーシャフト10の支持剛性も向上する。これにより、フロントバランサーシャフト9及びリヤバランサーシャフト10の起振力(クランクシャフト9の振動を抑える制振力)が有効に作用し、エンジンE全体の振動を最小限に抑えることができる。特に、リヤバランサーシャフト10は下面だけが開放したボックス構造のケーシング隆起部41に支持されており、しかもリヤバランサー支持部は後部締付ボルト15…の締結部の近傍に位置しているため、所望の剛性を確保することができる。
【0037】
次に、前述の構造を備えたリヤバランサーBr及びフロントバランサーBfの組み付けとバックラッシュの除去とについて説明する。
【0038】
リヤバランサーBrの組み付けは、アッパーケーシング4をその開口部を上向きにして固定した状態で、リヤバランサーウエイト58、リヤバランサーギヤ60、ダンパーラバー59…、第1ニードルベアリング56、第2ニードルベアリング57、第1スラストワッシャ61及び第2スラストワッシャ62を仮組みしたサブアセンブリを、前述したようにアッパーケーシング4の開口部から第1スラストワッシャ61及び第2スラストワッシャ62をスラストワッシャガイド面f,fに案内させながらケーシング隆起部41内に挿入する。続いて、リヤバランサーシャフト10の先端をケーシング隆起部41の第4ジャーナル支持部25の支持孔41bから挿入し、サブアセンブリの内部を貫通させて第3ジャーナル支持部25の支持孔41aに係止する。
【0039】
次に、予め内周にボールベアリング53,53を組み付けたアイドルギヤ55をアッパーケーシング4の開口部から挿入してリヤバランサーギヤ60に噛合させ、その状態でアイドルシャフト11の先端をアッパーケーシング4の第4ジャーナル支持部25の支持孔25bから挿入し、前記ボールベアリング53,53及びカラー52を貫通させる。このとき、アイドルギヤ55は図4に鎖線で示す位置に退避させておく。アイドルギヤ55が前記退避位置にあるとき、該アイドルギヤ55とリヤバランサーギヤ60との噛合関係は維持される。
【0040】
次に、ケーシング隆起部41の開口41cから指を挿入してリヤバランサーギヤ60を回転させ、その位相合わせマーク60aをリブ63の位相合わせマーク63aに対向させる。この状態でアッパーケーシング4のジャーナル支持部25〜25にクランクシャフト3のジャーナル部23〜23を嵌合させるが、前述したようにアイドルギヤ55が鎖線位置に退避しているため、クランクシャフト3のバランサー駆動ギヤ51はアイドルギヤ55に噛合することはない。続いてクランクシャフト3を回転させて例えば第1ピン部24及び第4ピン部24を上死点位置に位置決めし、この状態からアイドルギヤ55を図4の実線位置にスライドさせてバランサー駆動ギヤ51に噛合させた後、アイドルシャフト11を支持孔25aに係止する。
【0041】
以上の手順により、クランクシャフト3の位相に対してリヤバランサーギヤ60が所定の位相を持つように、該リヤバランサーギヤ60を組み付けることができる。
【0042】
フロントバランサーBfの組み付けは、ロアケーシング5にフロントバランサーシャフト9及びフロントバランサーウエイト67を組み付けてフロントバランサーギヤ71を所定の位相となるように仮固定しておき、クランクシャフト3を所定の位相となるように仮固定したアッパーケーシング4に前記ロアケーシング5を結合すれば良い。このフロントバランサーBfの組み付けは、フロントバランサーBfがロアケーシング5の開口部から浅い位置に配置されていることから容易に行うことができる。
【0043】
リヤバランサーBrのバックラッシュ調整は、偏心シャフトよりなるリヤバランサーシャフト10及びアイドルシャフト11の回転位置を調整することにより行われる。図8(A)に示すように、ケーシング隆起部41の第3ジャーナル支持部25及び第4ジャーナル支持部25に支持されるリヤバランサーシャフト10の両端部の軸線Pに対して、第1ニードルベアリング56及び第2ニードルベアリング57を支持する偏心部10bの軸線P′は距離βだけ偏心しており、またアッパーケーシング4の第3ジャーナル部25及び第4ジャーナル部25に支持されるアイドルシャフト11の両端部の軸線Qに対して、アイドルギヤ55を支持する偏心部11bの軸線Q′は距離γだけ偏心している。またクランクシャフト3の軸線Oとすると、線分QOと線分QPとの成す角度θは略90°に設定されている。
【0044】
先ず、図8(A)に示すように、リヤバランサーシャフト10の偏心部10b(斜線部)を、線分QPの方向と略平行な矢印aに偏心させて仮止めしておき、且つアイドルシャフト11の偏心部11b(斜線部)を、線分OQの方向と略平行な矢印b方向に偏心させて仮止めしておく。このとき、リヤバランサーギヤ60とアイドルギヤ55との噛合はルーズな状態にあり、且つアイドルギヤ55とバランサー駆動ギヤ51との噛合もルーズな状態にある。
【0045】
この状態から、アイドルシャフト11を図8(A)のc方向に所定角度(例えば120°程度)回転させて固定すると、アイドルシャフト11の偏心部11bの軸線Q′がクランクシャフト3に接近するように図8(B)の矢印e方向に移動し、バランサー駆動ギヤ51とアイドルギヤ55とのバックラッシュが適切な大きさに調整される。このとき、アイドルギヤ55とリヤバランサーギヤ60との距離は若干減少するが、アイドルギヤ55とリヤバランサーギヤ60との噛合はルーズな状態に維持されるため、アイドルギヤ55の前記矢印e方向への移動をスムーズに行わせることができる。
【0046】
上述のようにしてバランサー駆動ギヤ51とアイドルギヤ55とのバックラッシュが調整されると、続いてリヤバランサーシャフト10を図8(A)の矢印d方向に所定角度(例えば90°程度)回転させて固定する。これにより、リヤバランサーギヤ60が図8(B)の矢印f方向に移動し、リヤバランサーギヤ60とアイドルギヤ55とのバックラッシュが適切な大きさに調整される。このとき、前工程でアイドルギヤ55とリヤバランサーギヤ60との距離が若干減少しているため、リヤバランサーギヤ60の矢印f方向への移動量はその分だけ少なくて済む。このリヤバランサーギヤ60の矢印f方向の移動により、既に調整済のバランサー駆動ギヤ51とアイドルギヤ55とのバックラッシュが影響を受けないことは勿論である。
【0047】
フロントバランサーBfのバックラッシュの調整は偏心部9bを備えたフロントバランサーシャフト9を回転させるだけで容易に行うことができる。即ち、ロアケーシング5の第3ジャーナル部26及び第4ジャーナル部26に支持されるフロントバランサーシャフト9の両端部の軸線に対して、フロントバランサーギヤ71を支持する偏心部9bの軸線は所定距離だけ偏心しているため、フロントバランサーシャフト9を回転させると、フロントバランサーギヤ71がクランクシャフト3のバランサー駆動ギヤ51に対して接近/離間してバックラッシュが調整される。
【0048】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0049】
例えば、実施例では本発明をリヤバランサーBrに対して適用しているが、それをフロントバランサーBfに対して適用することも可能である。また実施例では二次バランサー装置を例示したが、本発明は一次バランサー装置に対しても適用することができる。
【0050】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に記載された発明によれば、一対の支持面と同一平面上に連なる一対のガイド面を、ケーシングの開口部から前記一対の支持面に達するように、前記ケーシングの内面に相対向して突設したので、特別な治具や熟練を要することなく、バランサーウエイトの両端に仮組みした一対のスラストワッシャをガイド面に案内させながら支持面まで容易且つ確実に挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動二輪車に搭載されたエンジンの全体側面
【図2】図1の2−2線断面図
【図3】図2の3−3線断面図
【図4】図3の4−4線断面図
【図5】図4の5方向矢視図
【図6】図4の6−6線断面図
【図7】図4の要部拡大図
【図8】作用の説明図
【符号の説明】
4 アッパーケーシング(ケーシング)
10 リヤバランサーシャフト(バランサーシャフト)
58 リヤバランサーウエイト(バランサーウエイト)
61 第1スラストワッシャ(スラストワッシャ)
62 第2スラストワッシャ(スラストワッシャ)
,f スラストワッシャ支持面(支持面)
,f スラストワッシャガイド面(ガイド面)

Claims (1)

  1. 両端に一対のスラストワッシャ(61,62)を仮組みしたバランサーウエイト(58)をケーシング(4)の開口部から挿入し、ケーシング(4)の内面に相対向して形成した一対の支持面(f1 ,f2 )に前記一対のスラストワッシャ(61,62)を当接させた後、バランサーウエイト(58)にバランサーシャフト(10)を挿通して前記一対の支持面(f1 ,f2 )間に前記バランサーウエイト(58)を回転自在に支持するエンジンのバランサー装置において、
    前記一対の支持面(f1 ,f2 )と同一平面上に連なる一対のガイド面(f3 ,f4 )を、前記ケーシング(4)の開口部から前記一対の支持面(f1 ,f2 )に達するように、前記ケーシング(4)の内面に相対向して突設したことを特徴とするエンジンのバランサー装置。
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