[A]従来技術1
本体と、重力方向に重畳的な配列で前記本体に着脱可能に装着される複数の作像カートリッジとを有しこれらの作像カートリッジが前記本体に装着された状態のもとで作像手段により感光体に画像形成を行う画像形成装置であって、前記作像カートリッジに前記感光体が予め支持されている構成又は、前記本体に感光体が予め支持されていて前記作像カートリッジを前記本体に装着したときに前記感光体に対し前記作像カートリッジに予め支持されている前記作像手段が前記感光体に当接した状態となる構成を有する画像形成装置がある。
かかる画像形成装置では、各作像カートリッジが本体に対して着脱自在であることから、装着状態において本体に対して安定的に支持するための手段が必要であり、この取付け状態が不安定であると、駆動系からの振動の影響を受けて作成された画像に所謂バンディングが発生してしまう。
そこで、バンディングが発生してしまう公知でない画像形成装置について、説明する。
図44〜図46に複数の作像カートリッジを備えたフルカラー画像形成が可能な画像形成装置の例を示す。図44において、転写ベルト1は上下方向に支持ローラ2、3により支持されて回転可能に張設されている。画像の作成に際して転写ベルト1は転写シートを吸着させる面が矢印で示すように下から上に移動する向きに移動するように回転させられる。
下から上に向かう転写ベルト1の面に対向して、4つの作像カートリッジ4、5、6、7(以下、4〜7と表示する。)が上下方向に重畳的に配列されている。上から作像カートリッジ4はブラック(色符号K)、作像カートリッジ5はシアン(色符号C)、作像カートリッジ6はマゼンタ(色符号M)、作像カートリッジ7はイエロー(色符号Y)のトナーにより感光体上の潜像を可視像化するものである。
これら作像カートリッジ4〜7は、機械的な構成が共通である。よって、これら作像カートリッジを構成する部材の構成も共通している。そこで、各作像カートリッジを構成している部材を示す符号の末尾に上記色符号のY、M、C、Kを付すこととし、主として作像カートリッジ5の構成を説明することとして、他の作像カートリッジの構成の説明に代える。
各作像カートリッジ5は感光体8Cを備え、かつ、この感光体に画像形成を行う作像手段を備えている。上記作像手段は、ドラム状の感光体8Cのまわりに設けられた帯電手段としての帯電ローラ9C、感光体8Cにトナーを供給する現像手段としての現像ローラ10C、転写後における感光体8C上の残留トナーを除去するクリーニングブレード12C等を含む。
現像ローラ10Cには該現像ローラ10Cに現像剤を補給する補給ローラ11Cが付帯して設けられ、また、この補給ローラ11Cに向けて回転体13C、14C等により現像剤が撹拌されつつ搬送されるようになっている。感光体9C上であって帯電ローラ9Cと現像ローラ10Cとの間に位置する画像書き込み位置には、後述する光書き込み手段104Cから出射される光ビームLbが照射されるようになっている。
上記画像形成用の諸部材が寿命を有することから、各作像カートリッジ4〜7は部材の交換やメンテナンス等の便に供するため、図45に示すように画像形成装置本体(以下、単に本体という。)22に対して着脱自在に設けられている。
着脱可能としたことに伴い、着脱方向、つまり、図44における紙面と垂直な方向に長さを有する、位置決め支持手段としての固定ピン16C、17Cが設けられている。また、図46〜図48に示すように、上記作像手段等に駆動力を与えるための駆動力入力手段としての駆動ジョイント5Cが設けられている。
図45において、本体22は箱形のフレームに構成されている。該フレームは6面体であって箱形をした構造体からなる。この構造体は、作像カートリッジ5が着脱される側の面を構成する前側板22a、前側板22aに対向する側の面を構成する後側板22b、前側板22aに向かって右側の面を構成する右側板22c、前側板22aに向かって左側の面を構成する左側板22d、天井の面を構成する天板22e、底の面を構成する底板22f等からなる。本体22は、これら前側板22a、後側板22b、右側板22c、左側板22d、天板22e、底板22f等からなる箱状の構造体を骨格としたものに組立てられている。これらの各板は、図面上は簡単な形状で示されているが、実際は部品取り付けのための切り欠きや曲げ部、穴等を有し、複雑な形状をしている。
作像カートリッジ4〜7は前側板22aに上下方向にわたり大きく開口した装着口から感光体の軸方向に向きを合わせて着脱方向に挿入されるようになっている。一方、図47、図48において、作像カートリッジ5の側部には矩形の窓が形成されていて、この窓から感光体8Cの一部が露出している。感光体8Cと一体的な軸は作像カートリッジ5のケースに軸支されていて該軸の先端部にはテーパ状をした駆動ジョイント15Cが設けられている。
本体22を構成する前側板22aには、図49に示すように、固定ピン16C、17Cに嵌合する取付け穴16C'、17C'が形成され、また、図46、図49に示すように、後側板22bには駆動ジョイント15Cに嵌合する形状の原動ジョイント15C'が設けられている。
作像カートリッジ5の本体22への装着について説明すると、図45、図47、図48において作像カートリッジ5を着脱方向に移動させて、図46、図49に示すように固定ピン16C、17Cを取付け穴16C',17C'に嵌合させるとき、同時に、駆動ジョイント15Cが原動ジョイント15Cのテーパ穴に動力伝達可能な状態に嵌合する。このように、後側板22bの背面に備えられた原動ジョイント15C'と駆動ジョイント15Cが嵌合し、かつ、前側板22aに用意された取付け穴に固定ピン16C,17Cが嵌合することによって本体22に対する作像カートリッジ5の主な固定が行われる。なお、原動ジョイント15c'は不図示の駆動装置に連結されている。こうして、作像カートリッジ5は本体22に対して、3点を主な支点として固定される。他の作像カートリッジについてもこれに準ずる。
図44において、転写ベルト1の下方近傍には一対のレジストローラ18が設けられている。フルカラー画像の形成に際しては、各作像カートリッジ4〜7において、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローのそれぞれの色で各感光体にトナー像が形成され、これと同期して矢印で示すシート入路に沿って転写シートが転写ベルト1上に向けて、レジストローラ18により送り出され、転写ベルト1と共に上方に移動する間に、各感光体からトナー像が転写され、色符号でいえば、Y、M、C、Kの順にカラートナー像が転写シート上に重ね転写されて排出される。排出された転写シートは、図示しない定着装置を経て上記重ね転写トナー像が定着され、排紙される。
こうして、作像が行われ、作像カートリッジ4〜7のうち、何れかの作像カートリッジについて、トナーが無くなり、あるいは、所要のメンテナンスを要する時期に達すると交換或いはメンテナンスのために、該当する作像カートリッジのみが本体22から抜脱され、所要のメンテナンスが行われた後、装着される。或いは、新規な作像カートリッジに交換され、新しい作像カートリッジが装着される。
例えば作像カートリッジ5は、本体22に対して着脱可能にするため、前記したように固定ピン16C、17C、駆動ジョイント15Cの3点で支持固定されている。帯電ローラ9C、現像ローラ10C等は軸状をしており、これら軸状をした長手方向上の両端の軸部が作像カートリッジ5に支持されるので精度の要求から、本体22に対する作像カートリッジ5の支持点であるこれら固定ピン16C、17C、駆動ジョイント15C等は、帯電ローラ9C、現像ローラ10C等軸端部となる作像カートリッジ5の側面部に設けられている。
このように、作像カートリッジ5は本体22に対して所謂橋げた状構造で長手方向の両端部で支持されることとなり、転写ベルト1の駆動や、転写シートの駆動、その他、定着装置の駆動等のために本体22に生じる振動が作像カートリッジ5に及び、該作像カートリッジ5を振動させてしまう。
基本的な振動モードとして図53(a)に矢印で示すような上下方向の振動を生ずる上下振動モード或いは、図53(b)に向きの異なる矢印で示すようなねじれ方向の振動を生ずるねじれ振動モードが存在する。このように作像カートリッジ5全体が振動を起こすと、感光体8Cは作像カートリッジ5に支持されているため作像カートリッジ5の振動が直接感光体8Cに伝わり、また、作像カートリッジ5から帯電ローラ9C、現像ローラ10C、クリーニングブレード12C等の作像手段を介して感光体8Cに振動が伝わり、主に感光体8C自体の振動による変位が画像書込み位置および画像転写位置のずれを引き起こし、共振周波数に応じた副走査方向(転写ベルト1の移動方向=上下方向)の走査ピッチムラが発生する。このような走査ピッチむらは、画像上では副走査方向の周期的な濃度ムラとなり、バンディングと呼ばれる。他の他の作像カートリッジ4、6、7についても同様のことがいえる。
一方、他の画像形成装置の構成として、作像カートリッジ側に感光体を具備せず、本体側に予め感光体が軸支されているタイプのものがある。このようなタイプの画像形成装置では、作像カートリッジには、現像ローラと、この現像ローラにトナーを補給するトナーホッパが備えられていて、当該作像カートリッジは本体に対して着脱可能であり、前記図46〜図49に示した固定ピンや駆動ジョイントに準じた構成により本体に支持されるようになっている。
かかる構成の作像カートリッジにおいては、例えばシアンの作像カートリッジ5について例示すれば、該作像カートリッジ5が本体22に装着されたとき、現像ローラ10Cが、本体側に予め設けられている感光体8Cに当接する。
或いは、図50、図51、図52(b)において、例えばシアンの作像カートリッジの場合、本体22に作像カートリッジ5"を装着するとき、本体22側に予め設けられている感光体8C"に対して作像カートリッジ5"に設けられた現像ローラ10C"が感光体8C"と微小な一定間隔をおいて配置される。この場合、微小な一定間隔を保持するための手段として図50に示すように、作像カートリッジ5"側には作像手段の一部としての現像ローラ10C"の軸方向両端部に該現像ローラ10C"の直径よりも上記一定間隔をあけることのできる大径のリング10C"−1、10C"−2が設けられ、一方、本体22には予め感光体8C"が支持されていて、作像カートリッジ5"が本体22に装着されたときに、上記リング10C"−1、10C"−2が感光体8C"の軸方向の両端部に当接することで現像ローラ10C"と感光体8C'とが一定の間隔を保持するようになっている。
かかる関係は他の作像カートリッジ4"、6"、7"についても同じである。つまり、図51に示すように本体22には予め感光体8K"、8M"、8Y"が軸支されている。一方、図52(a)、図52(c)、図52(d)に示すように作像カートリッジ4"、6"、7"には上記リング10C"−1、10"−2に相当するリングを備えた現像ローラ10K"、10M"、10Y"が軸支されている。これら作像カートリッジ4"、6"、7"を本体に装着することにより、現像ローラ10K"、10M"、10Y"は感光体8K"、8M"、8Y"と一定の間隔を保持されるようになる。
このような構成の画像形成装置では、作像カートリッジに支持されることにより該作像カートリッジと一体的な現像ローラ10C"或いは間隔規制部材としてのリング10C"−1,10"−2が、本体に予め支持された感光体8C"に当接するために、当該作像カートリッジが振動すると、これら現像手段としての現像ローラ10C"或いは上記リング10C"−1,10C"−2を介して感光体8C"が振動し、前記感光体8Cを具備した作像カートリッジ5におけると同じように、バンディングを生じてしまう。
すなわち、例えば、
(イ).作像カートリッジ5(より正確には作像カートリッジのケース)に感光体8Cが予め支持されている構成では、該作像カートリッジ5が本体22に装着されて画像形成が行われるときに、作像カートリッジ5が振動するとこの振動が、帯電ローラ9C、現像ローラ10C,クリーニングブレード12Cなどによる作像手段を介して感光体8Cに伝達されてバンディングを生ずる。
かかる構成では、感光体8Cと現像ローラ10Cとを同一の被支持部(作像カートリッジ5)に支持しているので図7に示したような間隔規制部材としてのリング10"−1、10"−2を設けなくても、感光体8Cと現像ローラ10Cとの間隔を高精度に保持できるが、その場合でも作像カートリッジ5の振動が感光体8Cに伝わるし、また、帯電ローラ9C、クリーニングブレード12C等が作像カートリッジ5に設けられていることから、作像カートリッジ5が振動することにより、これらの帯電ローラ9C、クリーニングブレード12Cなどの作像手段を介しても感光体8Cが振動するのでバンディングが生じる。
また、
(ロ).図50〜図53で説明したように、本体に感光体8C"が予め支持されていて、作像カートリッジを本体に装着したときにこの本体側の感光体8C"に対し作像カートリッジに予め支持されている作像手段としての現像手段(現像ローラ10C"或いは間隔規制部材としてのリング10"−1、10"−2)が感光体8C"に当接した状態となる構成、或は作像手段としての帯電手段、クリーニングブレードの何れか又はこれらの複数が当接する構成でも、これら作像手段を介して、作像カートリッジの振動が感光体8C"に伝わるので、バンディングを生じてしまう。
これらの作像カートリッジの振動に起因するバンディングは0.5mmピッチ付近では視覚的に非常に判別されやすいが、振動が高周波数になり画像上のピッチが狭まると視覚的には判別しにくくなるという特徴がある。このため前述の振動モードでの共振周波数が低い場合には視覚的に判別されやすく、はなはだしく画像品質を損なう場合がある。また、複数の作像カートリッジを備えた画像形成装置では各作像カートリッジの駆動装置が複雑化するので振動によるバンディングの発生が顕著となる。
従来、画像形成装置において、本体に対して着脱自在に構成された作像ユニットを支持するための公知の手段としては、次に示すような技術がある。
a.4つの並置される現像器を、感光体ベルトと共に一体的に装着したプロセスカートリッジを画像形成装置本体に着脱する構成において、プロセスカートリッジを画像形成装置本体と一体的な押し上げ部材に固定された弾性部材で支持する構成(例えば、特許文献1参照)。
b.潜像担持体に対向して設けられた現像装置に対して着脱自在な複数のトナーカートリッジのそれぞれについて、現像装置の回転時にトナーカートリッジ間にガタが生じないようにするため、隣接するトナーカートリッジについて着脱可能な凹凸状の溝を設けた構成(例えば、特許文献2参照)。
b.画像形成装置に着脱自在で感光体ドラムを具備したプロセスカートリッジに取り付けてトナーを補給するトナーカートリッジについて、プロセスカートリッジのトナー収納手段に押し込まれるトナーカートリッジの位置を規制するガイド部材を有する構成(例えば、特許文献3参照)。
[B]従来技術2
図44において、4つの作像カートリッジ4、5、6、7に対応して4つの光書き込み手段104K、104C、104M、104Yが重力方向に重畳的に配列されている。これら光書き込み手段104K、104C、104M、104Yは、機械的な構成が共通である。よって、これら光書き込み手段を構成する部材の構成も共通している。そこで、各光書き込み手段を構成している部材を示す符号の末尾に上記色符号のY、M、C、Kを付すこととし、主として光書き込み手段104Cの構成を説明することで、他の光書き込み手段の構成の説明に代える。また、動作内容も出射される光ビームLbが各色画像に対応しているだけの差にすぎず、他は共通であるので動作についても主として光書き込み手段104Cとこれに対応する作像カートリッジ5についての説明を以って他の光書き込み手段及び作像カートリッジの説明に代える。
光書き込み手段104Cにより感光体8C上に光ビームLbがスキャンされることで感光体8C上に静電潜像が形成される。光書き込み手段104Cでは、図示しないレーザーダイオードで生成された光ビームがポリゴンミラー106Cの作用でスキャンされ、第1のfθレンズ108C、折り返しミラー110C、111Cや第2のfθレンズ112Cを介して目的のビームスポットが感光体8C上に照射される。
作像カートリッジ5内には、感光体8Cの他、前記したようにクリーニング手段、帯電手段、現像手段、トナー等、作像に必要で且つ交換寿命を有する部品群が備えられている。
このような画像形成装置では、作像カートリッジ4、5、6、7が上下方向に短い間隔で配置されているので、作像カートリッジ4、5、6、7間に光書き込み手段104K、104C、104M、104Yを設置することができない。このため、これらの光書き込み手段は感光体8K、8C、8M、8Yから水平方向に比較的離れた位置に配置されることになる。
例えば、光書き込み手段104Cについては、これに振動が生じた場合には感光体8C上のビーム変位が大きくなり、後述するバンディングと呼ばれる現象を生じ易くなる。
本体22は、図45で説明したように、前側板22a、後側板22b、右側板22c、左側板22d、天板22e、底板22fから基本的に構成されている。
図54、図55において、光書き込み手段104Cについて、前側板22aと後側板22bとの間には板状のベース部材328Cが架けられており、光書き込み手段104Cはこのベース部材328C上に設置されている。
ベース部材328Cの後端部は後側板22bに固定され、前端部は調整手段330Cを介して前側板22aに支持されている。ベース部材328Cと調整手段330Cとで橋梁構造が形成されている。
調整手段330Cはベース部材328Cの前端部を上下方向に変位させる機構を有しており、光書き込み手段104Cから出射される光ビームLbの副走査方向での走査線の傾きを調整できるようになっている。各光書き込み手段におけるかかる調整により、4色の画像が異なる傾きで重ね合わされることを防止することができる。
調整によるベース部材328Cの変位を可能にすべく、ベース部材328Cの後端部には図54に示すようにスリット状の切り欠き128aが形成されており、ヒンジ機能が容易に発現するようになっている。ここでは、4色全てにそれぞれ対応して調整手段330K、330C、330M、330Yを設けているが、基準とする1色に対応する光書き込み手段のベース部材は調整手段を介することなく直接、前側板22aと後側板22bとの間に固定して調整手段を一つ省略する構成であってもよい。
上記構成の他に、光書き込み手段の位置調整又は位置ずれ防止に関する技術としては、以下の公報に記載のものがある。
第1の技術は、光書き込み手段を装置構造体に、ばねや、ねじ等を介して調整可能に取り付けたもの(例えば、特許文献4参照)、第2の技術は、熱膨張による色ずれを防止するためにセラミックなどの熱膨張係数の小さな材料で装置構造体を形成するもの(例えば、特許文献5参照)、第3の技術は、光書き込み手段のハウジングとカバー間に弾性部材を使用し、カバーの振動を抑制して光書き込みへの影響を防止するもの(例えば、特許文献6参照)である。
上述のように作像カートリッジ4、5、6、7及び光書き込み手段104K、104C、104M、104Yを重力方向に重畳的に配列する構成では装置の小型化を図れるが、ベース部材328K、328C、328M、328Yと調整手段330K、330C、330M、330Yが橋梁構造となっているので、基本的な振動モードとして、例えば光書き込み手段104Cについては、図56(a)に示す上下振動モード、図56(b)に示すねじれ振動モードが存在する。他の光書き込み手段104K,104M、104Yについても同様である。
このため、駆動装置などの振動が前側板22c、後側板22bを経由して伝わり、光書き込み手段104C全体が振動を起こすと、感光体8C上の光ビーム位置の周期的な変位が引き起こされ、共振周波数に応じた副走査方向の走査ピッチムラが発生し、画像上では副走査方向の周期的な濃度ムラとなり、バンディングを生じる。
このバンディングも、0.5mmピッチ付近では視覚的に非常に判別され易いが、振動がより高周波数になり、画像上のピッチが狭まると視覚的には判別しにくくなるという特徴がある。このため上記振動モードでの共振周波数が低い場合には視覚的に判別され易く、著しく画像品質を損なっていた。
さらに複数の光書き込み手段を備えた画像形成装置では、第1に、駆動装置が複雑化しその振動発生レベルが高くなりがちであること、第2に、装置の小型化の要請から光書き込み手段の断面積を小さくする必要があり、振動し易くなる傾向にあること、第3に、光書き込み手段周辺にはスペースの都合で十分な強度を持った構造体を構築することが困難であることから、1つの光書き込み手段を使用する単色対応の画像形成装置よりもバンディングの問題は深刻となる。
上記[A]従来技術1では、作像カートリッジが振動することに起因するバンディングが問題となり、上記[B]従来技術2では光書き込み手段が振動することに起因するバンディングが問題となっている。
特開平5−313425号公報
特開平6−148968号公報
特開平10−20647号公報
特開平5−6071号公報
特開平7−104545号公報
特開平6−34901号公報
以下、本発明の実施の形態を説明する。
[1]第1の実施の形態
以下に説明する例は、前記[A]従来技術1の項で図44〜図52により説明した主として作像カートリッジに係る構成を基本にして、改良した構成を付加したものである。
本発明は、作像カートリッジの振動に起因する感光体の振動によるバンディングを防止するためのものであるから、前記した(イ).作像カートリッジ(より正確には作像カートリッジのケース)に感光体が予め支持されている構成、(ロ)本体に感光体が予め支持されていて作像カートリッジを本体に装着したときにこの本体側の感光体に対し作像カートリッジに予め支持されている作像手段としての、帯電ローラ、現像ローラ或いは間隔規制部材を備えた現像手段、クリーニングブレードの何れか又は複数が感光体に当接した状態となる構成の何れに対しても適用可能である。
以下では、図44〜図49、図53により説明した構成、つまり、作像カートリッジ側に感光体が具備されていて、本体側には感光体が具備されていないタイプの画像形成装置について説明するが、このような構成を採らない画像形成装置、つまり、図50〜図52で説明したように、作像カートリッジには感光体が設けられておらず、該作像カートリッジには本体側に設けられた感光体に対して当接する現像ローラ或いは本体側に設けられた感光体に当接する間隔規制部材としてのリング10C"−1,10C"−2が設けれらていて、該作像カートリッジを本体に装着することによりこれら作像カートリッジに設けられている感光体当接手段(現像ローラ或いは間隔規制部材としてのリング10C"−1,10C"−2)が本体側に設けれられた感光体に当接するタイプの画像形成装置に対しても、以下に説明する各例を適用することができるものとする(請求項6、7)。
(一)請求項1、2、8、9に関連する例
図1により請求項1、2、8,9に関連する例を説明する。図1(a)は作像カートリッジが装着された画像形成装置の要部を正面から見た図、図1(b)は画像形成装置の要部を側面から見た図である。
画像形成装置の小型化のために、重力方向に重畳的に配列される複数の作像カートリッジは上下方向の間隔が狭いピッチで装着される構成とすることが望ましい。本例では狭いピッチで配列された複数の作像カートリッジ4〜7のうち、隣接する作像カートリッジについてこれら作像カートリッジ間を仕切る構造部材(以下、水平ステーという。)25をこれら隣接するそれぞれの作像カートリッジ4、5、6、7間に備えられている。つまり、水平ステー25が作像カートリッジ4と作像カートリッジ5との間、作像カートリッジ5と作像カートリッジ6との間、作像カートリッジ6と作像カートリッジ7との間にそれぞれ設けられている。また、上記と同様な水平ステー25が作像カートリッジ4の上面と対向する部位及び作像カートリッジ7の下面と対向するようにして設けられている。
これらの水平ステー25は、各作像カートリッジの着脱方向と直交する方向での両端部が上方に折曲された板状部材からなり、前側板22aに形成された作像カートリッジの装着口の近傍部と後側板22bに対して不図示の締結手段により固定されている。
各作像カートリッジ4、5、6、7は、水平ステー25の上面にそれぞれ支持される。水平ステー25は前側板22aの作像カートリッジの装着口の端部近傍部と後側板22bに対してそれぞれ締結手段で固定されるので、前側板22a、後側板22bが水平ステー25によって作像カートリッジのすぐ近傍で締結されることとなる。
作像カートリッジ5については、前側板22a、後側板22bを足場にしている固定ピン16C、17Cや駆動ジョイント15C等の振動を効果的に抑制することができる。他の作像カートリッジについても同様である。特に前側板22a、後側板22bが面振動する振動モードに対して水平ステー25は丁度、面を分割する構造となるので、バンディングに不利な低周波数の共振モードを解消し、高い周波数の共振モードのみとなり、効果的である。
図1に示すように隣接する作像カートリッジの無い最上部に位置する作像カートリッジ4の上方や、最下部に位置する作像カートリッジ7の下方にも同様の水平ステー25を設けた構成では、作像カートリッジの支持構造全体の剛性が高まるので、バンディングの防止に好適である。
なお、水平ステー25は冷却路の確保、取り付け形状の形成などの目的で強度を損なわない程度に開口、切り欠きを設けることができる。また、作像カートリッジの装着口では水平ステー25のエッジが露出するので、安全と強度向上のため、曲げや折返しを設けるのが好適である。
作像カートリッジ4、5、6、7はほぼ同一の断面形状を例えば感光体8K、8C、8M、8Yの軸方向にそれぞれ延伸したような形状を持っているので、本例のように感光体軸方向に着脱するならば、水平ステー25についてもこれら作像カートリッジの断面形状に沿う凹凸を形成しても、着脱時の干渉を引き起こさないので構造体の強度を増し、スペースの無駄も無くすことができる。
さらに、各作像カートリッジ4、5、6、7は収納する現像剤の色が異なるだけで、機械的な構成が全く同じになるので、同一仕様で製作することができ量産化する上でも効率的となる。
なお本例の実施するにあたり、本体22に対して精密な位置決め精度の要求される、例えば、感光体8Y、8M、8C、8Kなどについては、これら感光体の駆動軸の軸受を、対応する作像カートリッジに対して軸直角方向に遊び(ゆとり)を以って支持される支持構造にするのがよい。さらにその上で、作像カートリッジを水平ステー25上の所定部位に位置決め固定する。そのようにすれば、本体に対して作像カートリッジを固定したとき、該作像カートリッジに遊びをもたせて支持された感光体の駆動軸は前記遊びの範囲内で移動して図49で示したような駆動ジョイント15Cが本体側に設けられた原動ジョイント15C'と接合され、動力伝達状態を得ることができる。
このように、感光体を作像カートリッジに対していわばフロート状に支持した構造にすれば、作像カートリッジを水平ステー25を介して本体22に対して位置決め支持したときに、感光体の駆動軸と一体の駆動ジョイントは駆動系の原動ジョイントと接合される。これにより感光体は精密に本体に位置決めされることとなるし、また、作像カートリッジについては感光体を作像カートリッジに対して精密に位置決め支持した支持構造を採る必要がなくなる。しかも作像カートリッジは水平ステー25に対して支持される構成とすることで、振動の抑制を図ることができる。よって、本体に対する感光体の取付けの精度維持と作像カートリッジの振動抑制とを両立する事が可能となる。重力方向に重畳的に配列された複数の作像カートリッジに対応して複数の水平ステーを重力方向に重畳的に配列しているので、上下方向の振動を効果的に抑えることができバンディング防止上、有効である。
(二)請求項3に対応する例
図2に請求項3対応する例を示す。図2(a)は作像カートリッジが装着された画像形成装置の要部を正面から見た図、図2(b)は画像形成装置の要部を側面から見た図である。例えば、作像カートリッジ5の下面部は、隣り合う回転体13C、14Cの曲面に沿うように、W字状の曲面が形成されていて、下に凸の2つの曲面の境界部分が着脱方向に長さを有する凹状に形成されている。
本例では、前記(一)記載の水平ステー25の上面に、作像カートリッジ5の下面に形成された着脱方向に長さを有する前記凹状の部位を被ガイド部26Cとして、この被ガイド部26Cに係合して作像カートリッジ5を案内する板状の部材からなるガイド部27Cを、水平ステー25の面に直立するように設けた。他の作像カートリッジについても同様である。作像カートリッジ4の上方に位置する水平ステー25については、ガイドする対象がないので、設けない。
本例では、このように被ガイド部26Cは、回転体13C、14C、被ガイド部26Kは回転体13K、14K、被ガイド部26Mは回転体13M、14M、被ガイド部26Yは回転体13Y、14Yの輪郭に沿う作像カートリッジのケーシングのw字状の形状を利用している。
このように、各作像カートリッジ4、5、6、7の上記被ガイド部を構成する凹部に沿って上記ガイド部を設けたので、各作像カートリッジを装着する時に作像カートリッジが着脱方向と直交する左右方向にずれたり、回動して不要な衝突や破損を招くのを防止できる。
本例では各ガイド部27K、27C、27M、27Yの高さを図2(b)に示すように途中から高くするようにしている。このようにすることで、作像カートリッジを装着する動作の後半で各ガイド部と各被ガイド部との隙間が小さくなり精度よく案内することができ、着脱動作の操作性と装着時の精度維持が良好になされる。
またガイドレール機能を有する各ガイド部27K、27C、27M、27Yを構造部材たる水平ステー25と一体に形成してもよいし、或は別部品として作製したものを締結手段により一体的に固定した構成とすることもできる。また上記各ガイド部27K、27C、27M、27Yを本例のように垂直な板状に形成することにより水平ステー25の上下方向の曲げ剛性を高めることができるので機械的な強度向上並びにバンディング防止上、好適である。
(三)請求項4に対応する例
図3に請求項4に対応する例を示す。図3(a)は作像カートリッジが装着された画像形成装置の要部を正面から見た図、図3(b)は画像形成装置の要部を側面から見た図である。
本例では、前記(一)記載の各水平ステー25のうち、作像カートリッジ4と作像カートリッジ5の間、作像カートリッジ5と作像カートリッジ6の間、作像カートリッジ6と作像カートリッジ7の間の各水平ステー25について、隣接するそれぞれの作像カートリッジを押圧する押圧手段を設けた。これらの押圧手段は、隣接するそれぞれの作像カートリッジと水平ステー間に弾性的な押圧力を発生する。
図3、図6に示すように、押圧手段は板ばね28U、28Dを以って構成されている。板ばね28U、28Dはそれぞれ固定部28aと湾曲部28bとを有していて、板ばね28Uは湾曲部28bの凸部が上になるようにして固定部28aが水平ステー25の上面に固定されており、板ばね28Dは湾曲部28bの凸部が下になるようにして固定部28aが水平ステー25の下面に固定されている。
これら板ばね28U、28Dの固定箇所は水平ステー25の略中央付近の上面、下面であり、板ばね28Uは水平ステー25上に装着された作像カートリッジ4に上方向の弾性的な押圧力を、板ばね28Dは水平ステー25の下に装着された作像カートリッジ5に下方向の弾性的な押圧力を、それぞれ加えるように構成されている。作像カートリッジ4と作像カートリッジ5との間の水平ステー25に設けられらた板ばねに着目すると、板ばね28Uは湾曲部28bが上方の作像カートリッジ4を弾性的に押し上げ、板ばね28Dは下方の作像カートリッジ5を弾性的に押し下げる作用をする。
作像カートリッジ5と作像カートリッジ6との間の水平ステー25、作像カートリッジ6と作像カートリッジ7との間の水平ステー25にそれぞれ設けられた板ばね28U,28Dについてもこれに準ずる。これら各板ばね28U,28Dによる弾性的な押圧支持により、橋げた状に支持されている各作像カートリッジ4〜7は振動の振幅の腹部を押さえるので、効果的な振動の抑制効果を得ることができる。
本例と図2に示したガイド部27K、27C、27M、27Yの例と合わせて適用する場合、各板ばね28Uについては、各作像カートリッジの下面部に図2(a)に示すようにガイド部27K、27C、27M、27Yが構成されるが、その場合には、これらのガイド部27K、27C、27M、27Yに対して各板ばね28Uが干渉しないように、例えば、後述する図4(a)における例のように、各作像カートリッジについてその凹部を間にして位置している2つの凸部に当接するように2点位置にそれぞれ板ばね28Uを設け干渉を避けるようにする。
なお、任意の作像カートリッジについてその上面を押さえる板ばね28Dと下面を押さえる板ばね28Uの各弾性力を略同一にして対向位置に備えるならば弾性力は相殺されて作像カートリッジ全体を屈曲させることがないので好適である。隣接する作像カートリッジのない重畳的な配列の上端部、下端部の各作像カートリッジ端面にも前記理由により、板バネまたは同等の部品を設けると好適である。
また、作像カートリッジを正規の装着位置に装着したときに各板ばね28U、28Dが該作像カートリッジに形成したクリック用の凹部に係合してクリック感を発生するようにすれば、操作感の向上とバンディング防止の効果が同時に得られ好適である。
さらに弾性力により装着方向の固定を補助するように、例えば、前記クリック用の凹部の係合を強化した構成にすれば、ロックレバーなどの特別な装着方向の固定手段を設ける必要がなく、コストダウンを図ることができる。本例の板ばねは、前記した(二)の例におけるようにガイドを設けた構成と併用すれば、作像カートリッジの着脱時の操作性をも向上できる。なお、板ばね28U、28Dに代えて弾性を有する部材からなる他の手段により押圧手段を構成することができる。
(四)請求項5に対応する例
図4に請求項5に対応する例を示す。図4(a)は作像カートリッジが装着された画像形成装置の要部を正面から見た図、図4(b)は画像形成装置の要部を側面から見た図である。
作像カートリッジ4の直上に位置する水平ステー25の下面に、該作像カートリッジ4の上面に接してこれらの間で粘弾性的な押圧力を発生するように防振手段として防振ゴム29を設けた。同様に、作像カートリッジ5、6、7の各直上に位置する水平ステー25の下面にも同様に防振ゴム29を設けた。これらの防振ゴム29は、図7に示すような矩形板状をしたもので、これを水平ステー25に貼り付けている。
また、作像カートリッジ4と作像カートリッジ5との間の水平ステー25の上面であって、防振ゴム29の設けられた位置と対向する位置の近傍に、前記図6で説明した板ばね28Uを設けた。同様に、作像カートリッジ5と作像カートリッジ6との間の水平ステー25の上面であって、防振ゴム29の設けられた位置と対向する位置の近傍、作像カートリッジ6と作像カートリッジ7との間の水平ステー25の上面であって、防振ゴム29の設けられた位置と対向位置の近傍にもそれぞれ、板ばね28Uを設けた。
ここで、図4(a)に示すように、防振ゴム29が設けられた位置の対向部には作像カートリッジのケーシングが凹状に形成されているので、該凹状の部位を避けるための該凹部を間にした凸状の2点に板ばね28Uを設けた構成としている。これら板ばね28U、防振ゴム29は、本発明における防振手段を構成する。
各板ばね28Uはそれぞれ作像カートリッジを弾性的に上方に押し上げる。このように弾性的に押し上げられた作像カートリッジは、上面に当接する防振ゴム29により粘弾性的な押圧力が発生するように押し当てられている。このように防振ゴムを使用したので、粘弾性特性を活用した振動エネルギーの熱変換による防振効果が顕著になる。
本例では、板ばねの弾性力を低く設定しても防振ゴム29の粘性による防振効果を得る事が可能なので、作像カートリッジに作用する力を小さくできる。つまり、板ばね支持による変形を小さくおさえることができるので精度維持の点でも効果的である。
本例のように板ばねと防振ゴムを併用する構成を採用することにより、防振ゴムに対する作像カートリッジの押付け力を効果的に発生することができる。また前記(二)で説明したガイド部、被ガイド部にかかる構成を併用し、ガイド形状を工夫して、作像カートリッジの装着の完了直前で防振ゴム29の摩擦力が強くなるように構成することにより防振ゴム29に対して作像カートリッジが摺動する際の操作力の増加を適度に低減することができる。
(五)請求項1に関連する例
図5に請求項1に関連する例を示す。図5(a)は作像カートリッジが装着された画像形成装置の要部を正面から見た図、図5(b)は画像形成装置の要部を側面から見た図である。
本例では、図45における左側板22dと対向するようにして、図5(a)及び図8に符号30で示すように、水平ステー25の左端面に第2の構造部材として平板状の垂直ステー30を設けた。この垂直ステー30は、光ビームLbの走査方向上に対向して位置する取付片30b、30bを前側板22a、後側板22bにそれぞれ固定されている。また、垂直ステー30の上端は天板22eに、下端は底板22fにそれぞれ固定してある。そして、垂直な平面部分が各水平ステー25に対してねじ210による締結部材によって固定されている。
このように、各水平ステー25は垂直ステー30を介して本体に強固に固定保持されるので、前側板22a,後側板22bの面振動モードの抑制は更に強化され、しかも各水平ステー25と垂直ステー30とが略直交した構成となるので断面モーメントが非常に大きくなり曲げ剛性に優れ、極めて剛性の高い構造体となる。
特に曲げ剛性の向上は前記(三)、(四)で説明した例におけるように、振動抑制を行う際に水平ステー25自体の振動を低減、軽減するので、本例における構成と組合せて実施すると非常に効果的である。
また、本例において、図5(a)における各作像カートリッジ4、5、6、7の左方であって図示省略された位置に、それぞれの感光体8K、8C、8M、8Yに対して光ビームを照射する画像書き込み装置を配置し、これらの画像書き込み装置についても、垂直ステー30を利用した構造体25に準じた構造体で支持するようにすれば、垂直ステー30は鉛直方向に、各作像カートリッジや画像書き込み装置の自重による圧縮応力(座屈荷重)を受ける状態となる。この圧縮応力を受ける状態は、水平に差し渡した板上にのみ、4色分の作像カートリッジや画像書き込み装置を構成するような構成と比べて、強度の増加、変形量の減少、共振の抑制など点で有利である。この点については、[3]第3の実施の形態(一)の項で詳細に説明する。
なお、各作像カートリッジ4〜7の左側には感光体8K、8C、8M、8Yに書込みを行うための光ビームLbを導く必要が有るので、図8に示すように、垂直ステー30には光ビームLbの走査方向に見合う長さと光ビームの径に見合う幅の開口30dを設けている。
このように、垂直ステー30には光ビームLbを通過させる最小限の幅と長さの開口30dを形成したので、垂直ステーの構造体としての剛性の低下が最小限におさえられ、バンディング防止上、有効である。
この開口30dを経て各感光体8K、8C、8M、8Yに導かれる光ビームLbを図5(a)に1点鎖線で示した。上記した光路用の開口30a以外にも冷却通路の確保、取り付け穴の形成などの目的で強度を損なわない程度に開口、切り欠きが必要に応じて設けられる。
例えば、図8において、開口30dの上下に示した穴30cは、水平ステー25を取り付けるための固定用のものである。なお、これらの各穴30cは単なる例示であり、必要に応じた個数、適宜形成されるものとする。本例ではねじ210による締結手段を用いて本構成を実現しているが、金属材を用いたときには溶接、樹脂材を使用したときには射出成形により一体形成とするなど実現方法を限定するものではない。
以上、(一)、(二)、(三)、(四)、(五)の5つの構成例について分けて実施の形態を説明したが、これらの構成を組み合わせて実施するならば、バンディングの防止と副次的に得られる操作性改善やコストダウンが相乗効果を伴って実現できるので更に好適である。
なお、図3、図4において、板ばね28U、28D等の配置構成は、模視的に概略を示したものであり、実際には、図6に示したものに準じて構成されているものとする。また、板ばね28U、28Dに代えて弾性を有する部材からなる他の手段により押圧手段を構成することができる。
[2]第2の実施の形態
以下に説明する例は、前記[B]従来技術2の項で図54、図55により説明した主として光書き込み手段に係る構成を基本にして、改良した構成を付加したものである。従来技術と同一部分は同一符号で示し、構造上又は機能上の重複説明は特に必要がない限り省略する。
(一)実施の形態例
図9〜図11に示すように、本実施例における画像形成装置はフルカラー画像形成装置
であり、前記[B]従来技術2で述べたのと同様、4つの作像カートリッジ4、5、6、
7が重力方向に重畳的に配列されているとともに、これらの作像カートリッジに対応して
4つの光書き込み手段104K、104C、104M、104Yが重力方向に重畳的に配
列されている。これらの光書き込み手段104K、104C、104M、104Yは従来
技術において既に説明したように、それぞれが他の光書き込み手段との走査線のずれを調
整するための調整手段330K、330C、330M、330Yを備えている。
上下方向に隣合う各光書き込み手段104K、104C、104M、104Yの間、厳密には図11に示すようにベース部材328Kとその下方の光書き込み手段104Cとの間には、平板状をした光書き込み手段仕切り用の構造部材202が配置されていて光書き込み手段間を仕切っている。この構造部材202は前側板22aと後側板22bにそれぞれの端部を図示しない締結手段によって固定されている。
光書き込み手段104Cと光書き込み手段104Mとの間及び光書き込み手段104Mと光書き込み手段104Yとの間に同様に設けられた構造部材202についても同様である。なお、図9では光書き込み手段104Kのベース部材328K、光書き込み手段104Cのベース部材328C、光書き込み手段104Mのベース部材328M、光書き込み手段104Yのベース部材328Y等は省略している。
各光書き込み手段間に設けられた構造部材202の存在によって特に前側板22aと後側板22bの構造強度が高まり、その結果、光書き込み手段104K、104C、104M、104Yの固定部周辺、すなわち前側板22aと後側板22bに対する固定部周辺の振動が抑制される。
特に、前側板22aと後側板22bが面振動する振動モードに対して、構造部材202がその面を分割する構造となるので、バンディングを生じ易い低周波数の共振モードを解消し、高い周波数の共振モードのみとなり、効果的である。
図11に二点鎖線P1、P2で示すように、隣接する光書き込み手段が存在しない光書き込み手段104Kの上方及び光書き込み手段104Yの下方にも同様に構造部材202を設けてもよい。この場合には装置構造体の全体強度をさらに高めることができ、バンディング抑制機能を高めることができる。
構造部材202は、冷却路の確保、取り付け形状の形成などの目的で、強度(上記バンディング抑制機能が発現する強度)を損なわない程度に開口、切り欠きを設けてもよい。また、強度向上のため曲げや折り返しを設けてもよい。
また、装置のより小型化を実現するために、作像カートリッジ4、5、6、7と光書き込み手段104K、104C、104M、104Yは狭いピッチで並置するのが望ましい。
(二)請求項4に対応する例
図6、図12、図13に基づいて説明する。
本例では、構造部材202に加えて、例えば光書き込み手段104Cと光書き込み手段
104Mとの間の構造部材202については、該構造部材202の下面に、光書き込み手
段104Mに対して弾性的な押圧力を発生する押圧手段としての板ばね280Dを設けて
おり、該構造部材202の上面に、光書き込み手段104Cに対して弾性的な押圧力を発
生する押圧手段としての板ばね280Uを設けている。他の構造部材202についてもこ
れに準ずる。
これら押圧手段としての板ばね280U、280Dはそれぞれ図6で既に説明した板ばね28U、28Dと形状、材質など全く同じものからなり、構造部材202の略中央部における上下面に取り付けられている。図13に示した例では板ばね280Uの湾曲部28bと板ばね280Dの湾曲部28bとで湾曲の膨らみの大きさが違うが、これは押圧対象に対する距離の相違によるものであり、構造部材202のベース部材、328K、328C、328M、328Y等に対する位置と光書き込み手段104K、104C、104M、104Y等に対する位置が異なるからである。なお、図12ではベース部材328K、328C、328M、328Yを省略している。このように、板ばね280U、280Dは、組付けたときにそれぞれ光書き込み手段104K、104C、104M、104Yに対して上下方向に押圧力を与える大きさに設定されている。
例えば、光書き込み手段104Cはベース部材328Cと共に調整手段330Cによって変位させられる部材(可動部材)であるので、これを構造部材202に直接固定することはできない。他の光書き込み手段104K、104M、104Yについても同様である。
光書き込み手段104Cの可動構成を維持しながら構造部材202による光書き込み手段104Cの支持機能を得るべく、上記押圧手段としての板ばね280U、280Dが設けられている。これら板ばね280U、280Dによる押圧力は、橋梁構造上に位置する例えば光書き込み手段104Cの両端部を節とし、中央部を振幅の腹とする振動モード(図56(a)参照。)の振幅の腹部を抑えるように作用するので、構造部材202の存在による振動抑制機能に加えてさらに振動抑制機能が得られることになる。他の光書き込み手段104K、104M、104Yについても同様である。
280U、280Dの押圧力を同じにすれば、各光書き込み手段104K、104C、104M、104Yの上下における押圧力(弾性力)は相殺され、これら光書き込み手段を屈曲させることがないので好適である。
本例では、最上部の構造部材202の上面と最下部の構造部材202の下面にも板ばね280U、280Dを取り付けている。これらは実際には押圧対象部材が存在しないので押圧機能は発揮できないが、板ばね280U、280Dを有する構造部材202の部品としての画一化、すなわち、汎用化の観点から意義があり、光書き込み手段の数がさらに増える構成において同一の構造部材202ですぐに対応できる利点がある。また、板ばね280U、280Dが存在すること自体によって構造部材202の機械的強度が向上するという観点からも、全ての構造部材202の上下面に板ばね280U、280Dを取り付けることは望ましい。なお、板ばね280U、280Dは押圧手段の一例であり、他の弾性手段により構成することもできる。
(三)請求項5に対応する例
図7、図14、図15により説明する。
本例は、構造部材202に加えて、例えば、光書き込み手段104Cと光書き込み手段
104Mとの間の構造部材202については、該構造部材202とその下方の光書き込み
手段104Mとの間に粘弾性的な力を発生する防振手段としての防振ゴム29Dを設け、
同様に該構造部材202とその上方の光書き込み手段104Cとの間に防振ゴム29Dと
同様の防振ゴム29Uを設けている。他の構造部材202の上下にそれぞれ位置する光書
き込み手段との間でも同様に防振ゴム29U、29Dが設けられている。
これらの防振ゴム29U、29Dは図7において説明した粘弾性特性を有する矩形板状の防振ゴム29と同じ材質形状のものを適宜の大きさで用い、構造部材202の略中央部であって上下面にそれぞれ貼り付けて固定する。なお、図14ではベース部材328K、328C、328M、328Yを省略している。本例によれば、防振ゴム29U、29Dからなる防振手段による振動エネルギーの熱変換による防振作用によって、前述の振動モードの抑制が効果的になされる。
上記防振手段としての防振ゴム29U、29Dは、押圧手段としての板ばね280U、280Dによる弾性的な抑制に比較して、弾性力を低く設定しても粘性による防振効果を得ることが可能であるので、光書き込み手段104K、104C、104M、104Y104に作用する力を小さくでき、防振支持による変形を小さく抑えることができるので、精度維持の点でも効果的である。
本例においても、図6、図12、図13で示した例の場合と同様の理由で、最上方の構造部材202の上面と最下方の構造部材202の下面にも防振ゴム29U、29Dを取り付けている。
また、板ばね等の弾性部材を介して防振手段としての防振ゴム29U、29Dをベース部材328K、328C、328M、328Y又は光書き込み手段104K、104C、104M、104Yに当接させる構成とすれば、防振ゴムの大変形を必要とせずに調整手段130K、130C、130M、130Yを機能させることができ、好適である。
(四)実施の形態例
図8、図16、図17に基づいて説明する。
図16に示すように、本例における複数の各構造部材202はその左右端に垂直に立ち
上がる垂直片202a、202bを有しており、左側の垂直片202aは左側板22dに
締結手段で固定されている。右側(作像カートリッジ側)の垂直片202bは、重畳的に
配列された複数の光書き込み手段の配列方向と平行に設けられていてかつ各構造部材20
2に略直交する態様の構造部材である垂直ステー300に連接固定されている。
垂直ステー300としては、図8に示した垂直ステー30と同じ形状、大きさを有するものを使用することができる。よって、垂直ステー300の構成部分は垂直ステー30と同じ符号で示され、天板22e、底板22fに固定するための取付片30aと、前側板22a、後側板22bに固定するための取付片30bを一体に有し、かつ、構造部材202に固定するための固定用穴30cが開口30dのまわりに形成されているとともに、光ビームLbの光路としてのスリット状の開口30dが光書き込み手段104K、104C、104M、104Yの数に対応して4つ形成されている。
図17に示すように、構造部材202の右側の垂直片202bには、垂直ステー300の固定用穴30cに対応する位置をもってねじ穴202cが形成されており、構造部材202と垂直ステー300とは図8に示す締結手段としてのねじ210'で一体的に固定される。
本例では、前側板22aと後側板22bの面振動モードの抑制は、構造部材202のみの構成に比べ、垂直ステー300の存在によってさらに強化されることになる。しかも水平の構造部材202と垂直ステー300が略直交した構成となるので、断面モーメントが非常に大きくなり、曲げ剛性に優れた剛性の高い構造体となる。この曲げ剛性の向上は、押圧手段としての板ばね280U,280Dや、防振手段としての防振ゴム29U、29Dによる振動抑制構成における構造部材2自体に振動による効果低減を軽減するので、これらの防振構成を組み合わせることによって防振機能をさらに高めることができる。
また、本例の場合、各光書き込み手段104K、104C、104M、104Yは重力方向に重畳的に配列され、これに対応する構成であるので、垂直ステー300はその自重及び構造部材202の重さによる圧縮力を、厚み方向と直交する方向(平面平行方向)に受ける状態となり、光書き込み手段が水平方向に並置された構成に比べて、強度向上、変形量の低減、共振モードの解消ができ有利である。
垂直ステー300には上述のようにスリット状の開口30dが形成されているが、これ以外にも、冷却路の確保、取り付け形状の形成などの目的で、強度を損なわない程度に開口、切り欠きを設けてもよい。また、本例では締結手段としてのねじ210を用いて構造部材202と垂直ステー300とを固定したが、これに限定されるものではなく、金属材なら溶接により一体的に或はモールド材を使用して射出成形により一体形成することもできる。
[3]第3の実施の形態
以下に説明する実施の形態は、これまでに述べた例に係る構成の全部又は一部を利用し
てバンディングを防止するようにしたものである。
(一)実施の形態例
図18に基づいて説明する。前記[1]第1の実施の形態(五)の項では図5、図8に
より水平ステー25が垂直ステー30と連接される構成を説明した。また、前記[2]第
2の実施の形態(四)の項では図8、図17により構造部材202が垂直ステー300と
連接される構成を説明した。これらの例において、垂直ステー30と垂直ステー300と
は同じ形状、大きさを有する別部材として説明されている。
本例は、図5に示されるように複数の作像カートリッジ間を仕切る水平ステー25が連接される垂直ステー30と、図16に示されるように複数の光書き込み手段間を仕切る構造部材202が連接される垂直ステー300とが同一の部材で共用されることとしたものである。具体的には図18、図19に示すように、水平ステー25が連接される対象と、構造部材202が連接される対象とを同一の垂直ステー30として示している。従って、垂直ステー30がこの発明における共通構造部材に相当する。
本例では、作像カートリッジ仕切り用の複数の水平ステー25と、光書き込み手段仕切り用の複数の構造部材202とが共に共通の垂直ステー30に連接されることにより、水平ステー25、垂直ステー30、構造部材202及び本体22が相互に組み合わされて一体的な構造体となり相乗的に全体の剛性が増し、バンディングの防止を図ることができる。また、垂直ステー30が複数の構造部材202の補強手段及び複数の水平ステー25の補強手段として共用されるので構成の簡易化、小型化を図ることができる。
なお、図19に示した例では、構造部材202の左端部が左側板22dに達していないが、これは、左側板22dと構造部材202の左端部との間に、電装部品など画像形成用の部品を配置するというレイアウト上の都合によるものである。かかる構成でも構造部材202の前後方向については前側板22a及び後側板22bにそれぞれ固定されているので、バンディング防止上有効である。レイアウトによっては、図18に示すように左側板22dと構造部材202の左端部とを固定する構成もあり得る。なお、図19では水平ステー25、垂直ステー30、構造部材202が一体的な構造体であることを模視的に示すためこれらの構造体を太い線で示している。
(二)実施の形態例
第1図を参照すると、各作像カートリッジ4、5、6、7はこれら作像カートリッジ間を仕切る構造部材25によって仕切られている。これに対して、本例では作像カートリッジとは別体なケーシングに作像手段を収め、このように作像手段を覆うケーシングを以って構造部材25と同様の機能を果たす作像カートリッジ間の仕切り部材とした。
具体的には図20に符号35で示したのが作像手段のケーシングであり、太い線で模視的に示している。本例では、ケーシング35内に構成される作像手段を、例えば作像カートリッジ4まわりについては、現像ローラ10K、補給ローラ11K、回転体13K、14K等からなる現像手段とした。
ここで、回転体13K、14Kはトナーやキャリアからなる現像剤を攪拌する手段であり、補給ローラ11Kは回転体13K,14K等により攪拌された現像剤を感光体8Kに供給するローラであり、現像ローラ10Kは感光体8Kにトナーを供給するローラである。
これら現像ローラ10K、補給ローラ11K、回転体13K、14K等からなる現像手段は作像手段の一部であり、作像カートリッジ4側に設けられる作像手段としての、帯電ローラ9Kやクリーニングブレード12Kの下方に位置するので現像手段を覆うケーシング35は作像カートリッジ4と作像カートリッジ5との間を効果的に仕切る機能を果たす。他の作像カートリッジについてもこれに準じ、各作像カートリッジ間は各ケーシング35により仕切られる。
作像カートリッジ4に設けられる帯電ローラ9K、クリーニングブレード12K等は比較的短期に交換を要する消耗部品を含むので作像カートリッジとしてユニット化し、本体22に対して着脱可能としている。これに対して、感光体8Kにトナーを供給し現像機能を果たす現像手段としての現像ローラ10K、補給ローラ11K、回転体13K、14K等の部材は比較的長期にわたり繰返し使用に耐え得るので、トナーを外部から補給する手段を別途設ければ、これらをケーシング35に収めてケーシング35を本体22に対して固定的に強固に取り付けても格別の支障はない。よって、ケーシング35は本体22に対して強固に固定することができる。他の作像カートリッジ5、6、7に付帯されるケーシングについても同様のことがいえる。よって、これらのケーシング35を作像カートリッジ間の仕切り部材として兼用することで、構造体を強化させ作像カートリッジの振動を防止することができる。
さらに、ケーシング35は現像手段としての例えば、現像ローラ10K、補給ローラ11K、回転体13K、14K等を包囲するロール状の形状をしていてかつ、前後方向に奥行きを有し、長手方向の前端部を前側板22aに、後端部を後側板22bにそれぞれ固定されているので、本体22との一体的な構造体としての強度を増し作像カートリッジの振動防止が強化される。
これらのケーシング35は各作像カートリッジ4、5、6、7間に介在して、各作像カートリッジ間を構造部材25と同様に仕切る機能を果たすと共に作像手段を覆うというケーシング本来の機能も果たしている。このように、本例では作像手段のケーシングを、作像カートリッジ間を仕切る構造部材に兼用させたので、作像カートリッジ間を構造部材25で仕切る場合に比べて構成の簡易化、小型化を図つつバンディングの発生を防止することができる。
本例の変形例として、図21に示すように、各ケーシング35の一部を延長してその延長部分35aを図5或は図19で説明した垂直ステー30に連接する構成とすれば更に強度を増すことができる。
以上の例では、作像カートリッジ間を仕切るケーシングには現像手段を収めたが、これに限定されず、作像カートリッジ間を仕切るケーシングには他の作像手段を収めるように構成することもできる。
(三)実施の形態例
前記図9〜図18により説明した例では、各光書き込み手段104K、104C、10
4M、104Yには、走査線のずれを調整するための調整手段330K、330C、33
0M、330Yが設けられていた。しかし、これらの調整手段330K、330C、33
0M、330Yは光書き込み手段を収めたケースである各ハウジングの外部に設けられて
いて、該各ハウジングを揺動させる構成であるためこれらのハウジングそのものを構造部
材202と兼用させることができないという難点があった。
本例は、走査線のずれを調整するための調整手段を上記ハウジング内に収め得る構成のものを採用することにより、ハウジングそのものを以って、光書き込み手段仕切り用の構造部材202に代えることとしたものである。以下に、上記ハウジング内に収め得る調整手段の例を説明する。
上記ハウジング内に収め得る調整手段を具備し各光書き込み手段を104K'、104C'、104M'、104Y'で表すものとすると、これらは構成が共通であるので、代表として、光書き込み手段104Kについての調整手段を説明する。
図22において、光書き込み手段104Kのハウジングは符号104Kがさし示している矩形の枠で模視的に示されている。このハウジング内には既に説明したように、ポリゴンミラー106K、第1のfθレンズ108K、折り返しミラー110K、111K等が設けられている。
これらの部材のうち、本例では図23、図24に示すように、折り返しミラー111Kを光ビームLbの主走査方向に相当する方向である該ミラーの長手方向での一端36側を支点として他端37側を任意の量自在に回動させ得るようにした。このように回動させることにより、光ビームLbの感光体8K上での走査ラインは主走査方向上での他端37に対応する位置で副走査方向にずれ、走査ライン全体として例えば角度θの傾きを得る。さらにこの回動後の位置で位置保持されるようにして回動保持手段を構成し、これをもって調整手段とした。
図25(a)において、折り返しミラー111Kの一端36側の面は、ナイフエッジ38によりミラーによる光ビームの折り返しの角度を保持しながら回動できるように支持されている。他端37側の面は弾性手段である伸張性のばね40で押圧され、反対面を移動部材41で押圧されている。移動部材41まわりの構成を説明した図25(b)において、移動部材41はモーター42の軸と一体的に回転するねじ43に螺合された一種のナットである。移動部材41の即部には軸方向に長い溝45が形成されていて、この溝45には回り止め44が軸方向への移動が可能な状態となるように嵌合している。
本例では、このようなナイフエッジ38、ばね40、移動部材41、モーター42、ねじ43、まわり止め44等により回動保持手段が構成されていて、このような回動保持手段を以って調整手段としている。かかる調整手段において、モーター42を駆動することで、折り返しミラー111Kを、ナイフエッジ38を支点として回動させ、かつ回動後の位置も保持することができる。
本例におけるような調整手段であれば、折り返しミラー111Kに付帯して設ける構成であることから、光書き込み手段104K'のハウジング内に収めることができる。調整手段が光書き込み手段104K'内に構成されれば、該光書き込み手段104K'のハウジングは全体として本体22に対して静的な取り付け状態をとることができるので、このハウジングを以って光書き込み手段仕切り用の構造部材202におき代えることができる。
図26に示す光書き込み手段104K'、104C'、104M'、104Y'、図22〜図25により説明したような調整手段を各ハウジング内に構成したものである。これらの光書き込み手段104K'、104C'、104M'、104Y'は、各ハウジングの各底板47を通常のものよりも適宜大きく、或は剛性を大きく構成し、前端部を前側板22a、後端部を後側板22bにそれぞれ固定している。このように、ハウジングの一部が光書き込み手段仕切り用の構造部材となるので、ハウジングと別個に構造部材202を設けた前記図9〜図19の例と比較して部材の兼用による構成の簡易化、小型化を図ることができる。
図27に示す例は光書き込み手段104K'、104C'、104M'、104Y'を構成するハウジングの一部であって光書き込み手段を仕切る部材としての各底板47を図8、図16で説明した例に準じて垂直ステー300に連接したものである。垂直ステー300は上端部を天板22eに、下端部を底板22fに、前端部を前側板22a、後端部を後側板22bにそれぞれ固定されている。さらに、変形例として、この垂直ステー300に図18で示す構造部材25を連接した構成にすることもできる。
(四)実施の形態例
本例は前記図1〜図6で説明した水平ステー25を有する構成を前提としている。図28と共に説明する。図28において、画像形成装置の本体22が構成されている箱形のフレームは、前側板22a、後側板22b、右側板22c、左側板22d、天板e、底板22fにより構成されている。この箱形のフレーム中には作像カートリッジ4、5、6、7間を仕切るための仕切り部材としての複数の水平ステー25が重畳的に配設されている。これらの水平ステー25により仕切られるようにして上から作像カートリッジ4、5、6、7が設けられる。
これらの作像カートリッジ4、5、6、7中の感光体8K、8C、8M、8Yの軸方向は前側板22aと直交する関係にあり、作像カートリッジを該感光体の軸方向に沿って着脱可能にするため、各作像カートリッジ4、5、6、7が通過できる大きさの上下方向に長い矩形の1つの開口部50が形成されている。この開口部50を各水平ステー25の前端部が左右方向に横断する態様で該前端部と前側板22aとが締結手段であるねじ51により固定されている。
本例では、箱形フレームの面を構成する前側板22aに形成された作像カートリッジ着脱用の開口部50を作像カートリッジ仕切り用の構造部材たる水平ステー25を以って横断するように補強したので、開口部50の形成による前側板22aひいては箱形フレーム全体の剛性の低下を免れることができ、バンディングの防止になる。
本例の変形例を説明する。図28に示した例では、開口部50は各作像カートリッジ4、5、6、7着脱用として連通した1つの開口であった。この例では、開口部50のように1つの連通した開口としてでなく、1つの作像カートリッジに対して1つの開口ずつを対応させて作製している。図29において、作像カートリッジ4の着脱用として形成された開口部を符号54で示す。同様に作像カートリッジ5、6、7用として形成された開口部をそれぞれ符号55,56,57で示す。
この例では、隣接する各開口部54、55、56、57間には前側板22aの一部がリブ状に残っている。このリブ状に残っている部位に各水平ステー25の前端部を重ね合わせた上で、左右方向の各位置で締結手段としてのねじ51により、前側板22dに水平ステー25の前端部を固定している。この構成では1つの開口部の大きさが小さいし、各開口部の間がリブ状に残っているので、開口部を形成したことによる剛性の低下は図30により説明した例の場合よりも小さいい。その上、各水平ステー25により補強されているので、箱形フレームの剛性の低下、バンディングの防止効果が一層顕著である。
(五)実施の形態例
本例は前記図1〜図6で説明した水平ステー25を有する構成を前提としている。図30と共に説明する。図30において、画像形成装置の本体22が構成されている箱形のフレームは、前側板22a、後側板22b、右側板22c、左側板22d、天板e、底板22fにより構成されている。この箱形のフレーム中には作像カートリッジ4、5、6、7間を仕切るための仕切り部材としての複数の水平ステー25が重畳的に配設されている。これらの水平ステー25により仕切られるようにして上から作像カートリッジ4、5、6、7が設けられる。
本例では、これらの作像カートリッジ4、5、6、7内に位置する感光体8K、8C、8M、8Yの軸方向と水平面内で直交する方向上には右側板22cが位置している。この右側板22cは、その内側に図9で説明した転写ベルト1が設けれらている。そこで、右側板22c全体を、この転写ベルト1を包囲する蓋58で構成し、転写ベルト1を保持した状態で該右側板22c全体が蓋状体として開閉可能にしてある。
かかる開閉可能な構成とするため、蓋58の下部と下側板22fとは図示しないヒンジ或は支点軸により連結した構成にされている。図30に示すように蓋58を開いた状態のもとでは、右側板22cの部位がそっくり開口となるので、作像カートリッジを右側板側の開口を利用して容易に着脱することができる。図30では作像カートリッジ4を取り出した状態を例示している。
図31は変形例を示している。この例では、作像カートリッジ4、5、6、7は左側板22d側から着脱される。これまで説明した例では、作像カートリッジ4、5、6、7の左側には光書き込み手段104K、104C、104M、104Yや光書き込み手段104K'、104C'、104M'、104Y'、垂直ステー30、300等が配置されているので、これらが障害となって左側板22d側から作像カートリッジを着脱することはできない。
本例はこれらの光書き込み手段104K、104C、104M、104Yや光書き込み手段104K'、104C'、104M'、104Y'に代えて後述する1つの扁平な箱形をした光書き込みユニットを以って構成した。この光書き込みユニットを図31に符号100で示す。図31に示すように、書き込みユニット100は左側板22dを主体として構成した蓋59内に収められている。蓋59は回動軸60を支点として開閉可能である。図31に2点鎖線で示すように蓋59を開いた状態では、左側板22dに相当する開口が形成される。この開口を介して作像カートリッジ4、5、6、7を容易に着脱することができる。
これらの各例のいずれについても、箱形フレームのうち、感光体の軸方向と水平面内で直交する方向上の側板がそっくり開閉可能な蓋で構成されるので、作像カートリッジの着脱用の開口を前記図28、図29に示した例のように作像カートリッジを直接支持する前側板22aの部位には開口を形成する必要がなく、構造体の剛性維持が図れ、バンディング防止上有効である。
(六)実施の形態例
本例は、前記図31で説明した例のように、光書き込み手段を1つの箱形をした書き込みユニット100として構成したものにかかる。図32、図33に示す例では、書き込みユニット100は構造体102に固定され、構造体102の前後方向端部は前側板22aと後側板22bとに固定されている。前記した例におけると同じに、作像カートリッジ4、5、6、7は上下方向に重畳的に配列された上、本体22に固定されている。
書き込みユニット100は作像カートリッジ4、5、6、7に設けられた感光体8K、8C、8M、8Yと対応して、光ビームLbを出射するための開口100K、100C、100M、100Yを有している。書き込みユニット100は、感光体8K、8C、8M、8Yと一定の距離に保持され、光ビームLbにより画像の書き込みが行われる。
このように、光書き込み手段を1つの書き込みユニット100で構成した場合には、前記図9で説明したような4つの光書き込み手段104K、104C、104M、104Yで構成した場合と比べて位置決めが容易となり、画像形成装置全体を小型にできる。さらに、書き込みユニット100が単一のまとまりを有する構成となっているので、剛性を高めるための補強部材の付加も容易となるなど、強度的に強くすることができる。また、書き込みユニットを扁平な構成とすれば、画像形成装置の設置面積を小さくすることができる。
(七)実施の形態例
この例は、前記図31〜図33で説明した書き込みユニット100の構成に係る。図34(a)は1つの箱形をした書き込みユニット100を画像形成装置に取り付けたときの態様で示している。中央部にはモーター72により回転駆動されるポリゴンミラー70が備えられポリゴンスキャナを構成している。ポリゴンミラー70の回転軸方向は感光体8K、8C、8M、8Y等の軸方向と直交する関係にある。
書き込みユニット100の図示しない位置には4つの光源が設けられていて、各光源がシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの画像用信号で変調され、書き込み用の光ビームとなって、ポリゴンミラー70のミラー面上で4つの箇所に入射されるようになっている。書き込みユニット100内でのポリゴンミラー70による光ビームの走査方向はポリゴンミラー70の回転軸方向と直交する方向であり、この走査方向と同じ方向に感光体8K、8C、8M、8Yが配列されている。
ブラック用の光ビームはポリゴンミラー70より出射されると、fθレンズ73、ミラー74、75、長尺レンズ76、ミラー77を経て開口100Kより感光体8Kに向け出射される。シアン用の光ビームはポリゴンミラー70より出射されると、fθレンズ73、ミラー78、79、長尺レンズ80、ミラー81を経て開口100Cより感光体8Cに向け出射される。マゼンタ用の光ビームはポリゴンミラー70より出射されると、fθレンズ83、ミラー84、85、長尺レンズ86、ミラー871を経て開口100Mより感光体8Mに向け出射される。イエロー用の光ビームはポリゴンミラー70より出射されると、fθレンズ83、ミラー88、89、長尺レンズ90、ミラー91を経て開口100Yより感光体8Yに向け出射される。各開口100K、100C、100M、100Yは図34(b)に示すように防塵用のガラスで覆われている。
このように、書き込みユニット内での走査方向を感光体の配列方向と同じにした構成としたので、図9に示した光書き込み手段104K、104C、104M、104Yのように4つのユニットを配列する構成に比べて、水平方向に扁平な1つの箱形に構成でき、画像形成装置の設置面積を小さくすることができる。また、発熱源となるポリゴンスキャナーの数を4つから1つに減少できるので、画像形成装置内部の温度上昇を低く抑えることができる。
(八)実施の形態例
本例は、図34で示した構成の書き込みユニット100の画像形成装置への取り付方に関する。
本例では、図35、図36に示すように、上下方向に重畳的に配列された作像カートリッジ4、5、6、7の配列方向、つまり上下方向に合わせて、平板状をした書き込みユニット支持用の構造部材92を配置している。この構造部材92は前側板22a、後側板22b、天板22e、底板22fにそれぞれ固定されている。
この構造部材90には書き込みユニット100を取り付けるための4つの台座90aが形成されている。書き込みユニット100は、これらの台座92aを利用して取り付け手段としてのボルト94により取り付けられている。このような取り付け態様により、書き込みユニット100と感光体8K、8C、8M、8Yとの距離を一定に保持される。なお、台座92aを設けない構成とすることもできる。
本例では、構造部材92が前側板22a、後側板22b、天板22e、底板22f等と一体的に固定されているので本体22全体の剛性が増し、また書き込みユニット100は構造部材92に取り付けられているので、またバンディングの防止上有効である。
(九)実施の形態例
図35、図36に示した例において、通常、構造体92は金属、書き込みユニット100のフレームは樹脂材で構成される。書き込みユニット100は発熱源としてのポリゴンスキャナを内蔵しているので、走査に伴い温度が上昇することにより熱膨張する。書き込みユニット100は端部を構造体92に取り付けられている。書き込みユニット100が熱膨張するとき構造体92も熱膨張するが書き込みユニットのフレームと構造体92とは材質の相違から熱膨張率も異なるため、書き込みユニット92は取り付け箇所である端部の位置を変えずに中間部が湾曲状に歪んで変形するおそれがある。
例えば、図34において、構造体に対する取り付け箇所である上端部と下端部とが抑えられた状態で書き込みユニットが上下方向に伸びようとすると、書き込みユニット100は上下方向の中央部が感光体側から離れる向きに湾曲する。すると、例えば、ミラー77もこの湾曲状の変形の影響を受けて変位し、光ビームLbの進路が角度βずれてしまう。この角度βのずれは僅かな角度であっても、感光体の位置では拡大されて大きなずれとなる。このような光ビームLbのずれ量は各感光体毎に異なるので、フルカラー画像の形成に際しての各色の重ね状態が乱れて画質を損なってしまう。このような画質の乱れを防止するため、本例では書き込みユニット100の変位が極力小さくなるように対策を施した。
本例では、書き込みユニット100を上下方向の両端部で構造部材92に弾性部材を介して押圧保持し、かつ、該押圧保持部では上下方向について書き込みユニット100の移動のゆとりを持たせた。
具体的には図37に示すように、書き込みユニット100の上端部に形成した取り付け座100aの部分に穴140を形成し、この穴140に弾性部材からなるワッシャ96を介してボルト94を通し、該ボルトの先端部を構造部材92に螺合させている。また、構造部材92と取り付け座100a間には伸張性のばね95を介在させている。穴140の径Dはボルト94の径dよりも大きくしてあり、書き込みユニット100が上下方向へ移動できるようにゆとりをもたせてある。書き込みユニット100のか端部についても同じ構成により構造部材92に取り付けてある。
かかる構成により、弾性部材であるばね光書き込みユニット100が熱膨張したとき、光書き込みユニット100は径Dと径dとの差分のゆとりの範囲で上下方向に変位することができる。よって、熱膨張があっても、光書き込みユニット100は図37に2点鎖線で示すように湾曲状に歪むことはなく、上下方向に伸びることができるので、光ビームLbの変位量は小さく抑えられる。
図38は変形例を示したもので、この例では構造部材92に形成した台座92aにボルト97を螺合し、取り付け座100aとボルト94の頭との間に弾性部材としてのばね98を介在させている。この例も穴140をボルトの径より大きくして書き込みユニット100の熱膨張時における上下方向の移動のゆとりをもたせている。
これらの例によれば、構造部材92と書き込みユニット100が弾性的に締結されかつ、書き込みユニット100の熱膨張時のにげが確保されるので、歪による光ビームの変位が小さくなり、歪に起因する色むらなどが生じなくなる。
(十)実施の形態例
前記図35、図38などで説明したように、書き込みユニット100をその上下端部の位置だけで弾性部材を介してボルト94で構造部材92に上下方向のゆとりを以って取り付けた場合、熱膨張した分の長さは上下方向に吸収されるので、湾曲状の歪みはなくなる。しかし、上下方向の変位がなくなったわけではない。本例は、上下方向の変位量をさらに小さくしようとすることを狙いとしている。
本例では、図38、図39に示すように、書き込みユニット100の上下方向での中間位置を構造部材92に対して水平方向に2箇所でピン99によりポイント支持した。
このようにすることにより、熱膨張による書き込みユニット100の上下方向の変位量は上半分と下半分に二分される。よって、熱膨張による色むらをさらに小さいものにすることができる。
(十一)実施の形態例
本例は、前記図19に示した例に類するもので、前記図35〜図39などで説明した構造部材92に、前記図1〜図6で説明した作像カートリッジ4、5、6、7仕切り用の水平ステー25を連接したものである。本例では、作像カートリッジの振動防止に効果的な水平ステー25を、該水平ステー25と直交する方向に配置されている書き込みユニット100支持用の構造部材92と連接したので、これらを含む本体22全体の剛性が向上し、バンディング防止に効果的である。
(十二)実施の形態例
本例は、前記図40、41で説明した例の変形例で、前記図51,52で説明したタイプの画像形成装置への適用例である。このような画像形成装置では、図42に示すように予め感光体8K"、8C"、8M"、8Y"が支持されている。一方、図43(a)、(b)、(c)、(d)に示すように各作像カートリッジ4"、5"、6"、7"には感光体が支持されていない。このような作像カートリッジを本体22に装着すると作像手段の一部、例えば、図50に示したようにリング10C"−1、10C"−2などが感光体8C"に当接した状態となる。
このようなタイプの画像形成装置であっても、図42に示すように前記図35〜図39などで説明した構造部材92に、作像カートリッジ4"、5"、6"、7"仕切り用の水平ステー25を連接することで、本体22の剛性を高めてバンディング防止を図ることができる。
(十三)実施の形態例
図2で説明したガイド部27K、27C、27M、27Yを、図41〜図43で説明した作像カートリッジに適用するものである。
(十四)実施の形態例
図3、図4、図6で説明した押圧手段としての板ばね28U,28Dを図41〜図43で説明した作像カートリッジに適用するものである。
(十五)実施の形態例
図4、図7で説明したように、水平ステー25と作像カートリッジ間に粘弾性的な押圧力を発生する防振手段としての防振ゴム29を図41〜図43で説明した水平ステー25に設けるものである。
以上説明した各例では、その特徴となる構成中心に説明したが、これらの特徴となる構成を他の例に可能な限り組み合わせることによって、さらに防振機能を相乗的に高めることができる。