JP3617793B2 - はんだ付け方法およびはんだ付け装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、はんだ付け方法およびはんだ付け装置に係り、特に無鉛はんだによるフローはんだ付けに最適なはんだ付け方法およびはんだ付け装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
VLSIの高集積化が限りなく進み現在では、集積度64Mバイトから125MバイトVLSIの量産化が間近である。このように高集積化されることは、VLSIの電極パッドまたは電極リードの本数が、限られた面積に著しく増加することであり、1本の電極リードから見ると、例えば回路基板にCSP実装した場合、実装面積やはんだ付け部の容積が著しく減少することを意味している。
【0003】
すなわち、高集積化される都度、より強固なはんだ付け技術が要求されることになる。このはんだ付け部に対してはさらに、VLSI素子の高集積化により、動作時VLSIパッケージ内の温度上昇も大きく、この熱伝達径路構成部品のX−Y面内熱膨張係数が大きく異なり、その応力がはんだ付け部に集中する。さらに、回路基板などに物理的応力がかかると、この物理的応力もはんだ付け部に集中する。
【0004】
他方、はんだ付けのはんだ材料は、鉛による地下水汚染の問題がクローズアップされている。これら公害対策から電子部品の実装に用いるはんだもこれまでの有鉛はんだから無鉛はんだへの切り替えが要求されている。
【0005】
しかし、無鉛はんだは、有鉛はんだたとえばSn−Pb共晶はんだよりも液相点が高く、はんだ付け温度も上昇する傾向にある。したがって、はんだ付け後の冷却時間も従来より長時間となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように形成されたはんだ付け法ではこのはんだ付け部にクラックが入り、強固なはんだ付けが出来ていない場合があった。即ち、接続信頼性が悪い課題があった。
【0007】
この発明者は無鉛はんだの接続信頼性の高いはんだ付けの実用化について開発している。無鉛はんだの一例として、たとえばSnに第3添加物以上を入れた多元合金無鉛はんだにおいては、はんだ付け後の冷却時間が長いと、例えば、Biを添加した無鉛はんだの場合、Biが例えば1%でもあれば、序冷工程において、SnとBiで冷却速度が異なるため、はんだが凝固する時にリフトオフ現象(フィレットリフテイング)を起こし、はんだにクラックが入ったような離れる症状が発生することを見出した。
【0008】
Biのような添加元素は、偏析や、租化しやすく、スルーホール部品におけるリフトオフ現象の発生原因となっていると思われる。このようなリフトオフ現象は、フローはんだ付けプロセスのように、はんだ付け面が片面のみの場合、顕著に現れる。すなわち、回路基板の片面のみに、高温の溶融はんだ液に接触する。他方面は、はんだ液に対接せず、高温度のはんだ付け部を有してないため、表裏両面間非対象な温度状態となる。このため、フロー型はんだ付けにおいて、リフトオフ現象が顕著に発生することが判った。
【0009】
このように無鉛はんだの実用は、上記した高集積化されるVLSI素子実装の上記課題とも重なり、はんだ付け実装において重要な課題である。
【0010】
この発明は上記点に鑑みなされたもので、リフトオフ現象の発生を防止した強固なはんだ付け方法およびはんだ付け装置を提供するものである。すなわち、すなわち、はんだ付け後の冷却プロセスを強制的に急冷することにより、冷却速度の異なる材料からなる無鉛はんだでも、強固なはんだ付けのできるはんだ付け方法およびはんだ付け装置を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明のはんだ付け方法は、請求項1に記載されているように、回路基板のはんだ付け面をそれぞれ冷却速度の異なる多元合金材料から構成されたはんだ液に対接させて、230℃乃至260℃のはんだ付け温度ではんだ付け処理する工程と、このはんだ付け処理された上記回路基板の両面を温度が20℃乃至120℃のHFC(ハイドロフルオロカーボン)系、PFC(パーフルオロカーボン)系のうち少なくとも1種の冷媒への浸漬により冷却する工程と を具備してなることを特徴としている。
【0014】
この発明のはんだ付け方法は、請求項2に記載されているように、請求項1のはんだ付け方法において、はんだ付けは無鉛はんだによるフローはんだ付けであることを特徴としている。
【0016】
この発明のはんだ付け装置は、請求項3に記載されているように、回路基板のはんだ付け面をそれぞれ冷却速度の異なる多合金材料から構成されたはんだ液に対接させて、230℃乃至260℃のはんだ付け温度ではんだ付け処理するはんだ付け部と、このはんだ付け部ではんだ付け処理された上記回路基板の両面を温度が20℃乃至120℃のHFC(ハイドロフルオロカーボン)系、PFC(パーフルオロカーボン)系のうち少なくとも1種の冷媒への浸漬により冷却する冷却部とを具備してなることを特徴としている。
【0021】
【発明の実施の形態】
実施形態1
次に、図1を参照して本発明のはんだ付け方法をフロー型はんだ付け方法に適用した実施形態を説明する。図1は、フローはんだ付け方法を工程順に示すフローチャートである。被加工体たとえば回路基板はフラックス塗布工程1でこの基板のはんだ付け面にはんだ付けのためのフラックスを均一に塗布する。フラックスの塗布が終了した回路基板はプレヒート工程2で、はんだ付けのための準備温度例えばはんだ付け温度より100℃程度低温度にプレヒートされて、はんだ付け工程3へ搬送する。
【0022】
この工程3は無鉛はんだたとえばSn−Bi系無鉛はんだが溶融されたはんだ槽でフローはんだ付け例えば多段フロー方式はんだ付けを温度たとえば250℃ではんだ付けをする。フローはんだ付けの終了した回路基板を冷却工程4に搬送して、20℃〜120℃のうち予め選択された温度に温調された冷媒液中に浸漬させて、回路基板の表裏面同時に急速に冷却する。冷却された回路基板を洗浄工程へ搬送してフラックスなどの残さがあれば回路基板を洗浄する。このようにしてフローはんだ付けプロセスを終了する。このように、フローはんだ付け後、急冷したはんだ付けはリフトオフ現象の発生を防止できる。
【0023】
次に、図2乃至図4のフローはんだ付け装置を参照してはんだ付け方法をさらに具体的に説明する。図2はフロー型はんだ付け装置の一実施形態を説明するための図で、はんだ付け後冷媒の液槽に浸漬して冷却する実施形態の説明図である。図3は、フロー型はんだ付け装置の一実施形態を説明するための図で、はんだ付け後冷媒をスプレーして冷却する実施形態の説明図である。図4は、フロー型はんだ付け装置の一実施形態を説明するための図で、はんだ付け後冷媒を噴流させて冷却する実施形態の説明図である。
【0024】
実施形態2
先ず、図2の実施形態について説明する。クローズされた雰囲気を形成する囲い11内には、被処理体たとえば回路基板を搬送する環状コンベアベルト12が設けられている。このコンベアベルト12は周知のもので図示しない回転ローラ間に張設されている。コンベア角度は水平型と傾斜型がありこの実施形態では、はんだの切れのよい傾斜型コンベアの例で傾斜角度は4度乃至8度の角度である。 水平型コンベアの場合は回路基板13をローデイングし易く、比較的接続信頼性がよいメリットがある。このコンベアベルト12上に、はんだ付け工程を実行するための回路基板13をオートロデイング例えばロボットハンドリングにより予め定められたプログラムにより順次載置する。すなわち、回路基板13にマウンタによりVLSI素子、コンデンサなど電子部品が装着され、接着剤により仮固定された状態で、上記ロボットハンドリングにより上記ベルト12上に搬入される。搬入された回路基板13は、フラクサ工程部14にて、回路基板3の片面即ち、はんだ付け面上に液状フラックスを均一に塗布する。この塗布法は例えば噴霧法で均一に塗布する。即ち、フラクサ14は、噴霧式フラックス塗布装置が均一塗布に良好である。
【0025】
この塗布プロセスはベルト12を停止して実行してもよいが、ベルト12を停止させず走行状態で塗布してもよい。次に、ベルト12により回路基板13は搬送されて、プレヒート工程部15に搬送される。このヒート工程部15では、はんだ付け前の加熱を実行する。この温度は、はんだ付け温度のたとえば1/2程度の温度を選択する。この加熱手段は、たとえば表裏面側に面状ヒータ16,17を配置して、加熱する。
【0026】
この加熱プロセスもベルト2を停止させて実行させてもよいし、走行状態で実施してもよい。ベルト12を停止させた場合には、ヒータ16,17が上記基板3のサイズで処理できる。ベルト12を停止させず。走行中に加熱する場合には、ヒータ16,17の長さを、所望する温度になる長さにする必要がある。または、ベルト12の走行速度を選択して解決することもできる。準備加熱された回路基板13は、はんだ付け工程部18に搬入される。
【0027】
即ち、無鉛はんだの溶融液19で満たされたはんだ槽20がベルト12の位置より下方に設けられる。すなわち、搬送された回路基板13下面に対してはんだ液が上方へ噴流する状態即ちフロー方式で、回路基板13の下面が無鉛はんだの溶融液19に対接する。このはんだ付け法は何れでも良く、多段フロー方式、ウエーブ方式、その他何れでもよい。勿論、回路基板13への電子部品のはんだ付けリードの長さが充分な場合には、静止式はんだ付け法が最適である。
【0028】
無鉛はんだの溶融液19に対接した回路基板13はコンベアベルト12の走行により冷却工程部25に搬入される。冷却工程部25には冷媒液27で満たされた冷媒槽26が設けられている。この実施形態では、冷媒液27中に回路基板13を浸漬して急冷するプロセスの例である。この浸漬型冷却を可能にするよう
にベルト12が敷設されている。冷媒槽26中の冷媒液27はパイプ28を介して熱交換器29に循環されている。
【0029】
この熱交換器29はたとえば加熱冷却機能を有し、循環する冷媒液27を予め設定した温度に温度制御して、冷媒槽26に返還する温度調整システムが構成されている。この冷却プロセスもベルト12を停止させて冷却してもよいし、ベルト12は走行状態で冷却してもよい。
【0030】
回路基板13を所望する温度に降温する。この冷却プロセス終了後必要に応じて洗浄した後、搬出する構成になっている。このようにしてフローはんだ付け装置20が構成されている。このフローはんだ付け装置20には温度センサ(図示せず)がセットされている。すなわち、プレヒート部5により加熱される回路基板12の上昇温度を検知する感温センサたとえば熱電対が基板13の設定位置に設けられる。基板12の温度が設定温度になるのを検出し、コンピュータ(図示せず)に報知する。所定温度以上にならないようコンピュータにより制御し管理する。
【0031】
さらに、はんだ付け工程部18には、はんだ槽10に温度センサがはんだ槽20に設けられる。この温度センサの感知温度を上記コンピュータに報知する。無鉛はんだの溶融液19の温度が予め設定された温度以上にならないよう、常に設定温度に上記コンピュータにより管理する。この温度管理は、適切な無鉛はんだ付けを可能とし、溶融液9の表面酸化を管理する面でも重要である。
【0032】
さらにまた、冷却工程部25に収容されている冷媒液27の温度を感知するために冷媒槽26に温度センサが設けられている。この温度センサの感知温度は上記コンピュータに常時入力され、20℃〜100℃内の予め設定した温度に管理している。たとえば、設定温度より高温になった場合には冷媒の循環速度が早くなるよう制御し、温度が設定温度より低温になった場合には、冷媒の循環速度を遅く制御して、常に設定温度に上記コンピュータにより制御、管理する。
【0033】
実施形態3
次に、はんだ付けプロセスの実施形態を説明する。常時予め設定された速度で走行しているコンベアベルト12に、被加工体たとえば電子部品が装着され接着剤例えばアクリル系接着剤により仮固定した回路基板13を搬入する。上記ベルト12の走行速度は0.5m/分乃至2m/分で最適実施例では0.7m/分乃至1m/分である。上記基板13の搬入は上記コンピュータの制御によりロボットハンドリングにより自動的に、予め定められた位置に載置する。
【0034】
ベルト12によりローデイングされた回路基板13はフラクサ工程部14において、はんだのフラックスをたとえば噴霧法により、はんだ付け面に均一に塗布する。このフラックスは、温度15℃乃至30℃に予め温調することが均一塗布に適当である。即ち、回路基板13のはんだ付け面たとえば下面にフラックス液を噴霧する。この噴霧は、ベルト12を停止させることなく回路基板13の走行中に塗布する。この塗布時間は1秒間乃至3・5秒間が適当である。
【0035】
したがって、回路基板13がフレクサ工程部14にローデイングされたのを感知するセンサたとえばホトカプラにより感知し、この情報を上記コンピュータに入力して、このコンピュータによりフレクサ工程部14を自動的に制御する。フラックスは、たとえばロジン系フラックス、水溶性フラックスなどである。フラックス塗布の目的は、化学的に活性の母材およびはんだ表面酸化の除去、母材に対する濡れ性のよいことなどである。
【0036】
フラックスの塗布された回路基板13はベルト12によりローデイングされてプレヒート工程部15に搬入する。このヒート工程部15において、予め加熱されているヒータ16、17により表裏面同時に加熱する。一方面のみに熱線を照射しない。この加熱期間はベルト13の通過期間である。
【0037】
この期間に予め設定したプレヒート温度たとえば150℃に上昇するようにヒータ16、17の長さが設定されている。プレヒート温度ははんだ付け温度より100℃程度低温度が望ましい。プレヒートに遠赤外線と温風併用にするとフラックス性能を向上させる効果がある。プレヒート時間は、35秒間乃至100秒間が適当である。
【0038】
プレヒート温度に加熱された回路基板13は、ベルト12によりローデイングされて、はんだ付け工程部18に搬入する。この搬入をセンサたとえばホトカプラにより検知すると、はんだ槽20に満たされている無鉛はんだの溶融液19に回路基板13のはんだ付け面に対接する。このはんだ付けは、この実施形態ではフローはんだ付けで、片面のはんだ付けであるため、噴流はんだにより供給している。この他、ダブルウエーブ方式、スイングウエーブ方式、トリプルウエーブ方式などである。このはんだ付け工程は、ベルト12を停止することなく、ベルト12の走行期間内で実施する。無鉛はんだとしては、たとえば、Sn−Bi−Ag系合金にCu、Inを添加したSn−Bi−Ag−Cu−In系合金無鉛はんだである。
【0039】
また、他の例として、Sn−Ag系合金無鉛はんだで添加物として、1重量%〜5重量%のAgと、それぞれ0.1重量%〜14重量%および0.1重量%〜10重量%で両者の合計が15重量%以下のBiおよびInと、0.1重量%〜2重量%のCuとを含み残部がSnと不可避不純物からなる合金である。その他Sn−Sb系無鉛はんだなどである。無鉛はんだの溶融液19の温度は、はんだ付け温度を選択するか、又は多少高温度を選択する。はんだ付け温度は、230℃乃至260℃たとえば250℃である。このはんだの凝固点は205℃である。このようにして、はんだ付け工程を終了した回路基板13はベルト12によりローデイングされて冷却工程部25に搬入する。この冷却工程部25に搬入されると、この搬入を感知たとえばホトカプラにより検知し、これを上記コンピュータに報知する。このコンピュータの管理により冷媒液27の液温度を確認し、温度制御する。この温度はリフトオフ現象を回避する急冷温度としてはんだ付け温度の1/2以下の温度で望ましくは25℃〜120℃の冷却温度が選択される。たとえば80℃である。すなわち、250℃でのはんだ付けが終了した回路基板13は、たとえば80℃の冷媒液27中にベルトハンドリングする。即ち、250℃から80℃の冷媒液温に一気に急冷する。したがって、回路基板13が冷媒液27中に進入した時、回路基板13はんだ付け面は、はんだ溶融温度の250℃またはそれ以下近傍の温度にあり、他面側は常温より高温となった状態である。
【0040】
このような2面の温度差を持つ、基板13の両面は一気に80℃に冷却される。この冷却プロセスの終点検出は、処理時間でもよいが、回路基板13の表裏面の温度が、冷媒の設定温度に到達した時を検知し、終点として、次工程へ搬送するようにしてもよい。このような冷却の熱交換は回路基板13が進入した時、冷媒液27の温度上昇となる。この温度上昇を出来る限り小さくするように、上記コンピュータは、予め定められたプログラムで冷媒液27の循環速度を高速化制御する。このようにして、表裏温度差のある回路基板13を冷却することにより、リフトオフ現象のない、はんだ付けを実現する。
【0041】
この冷媒液27はたとえばHF(ハイドロフルオロカーボン)系冷媒液、PFC(パーフルオロカーボン)系冷媒液、グリコールエーテル系冷媒液、高級アルコール系冷媒液などである。主としてPFC(パーフルオロカーボン)系冷媒液が適当である。冷媒としては、地球環境に配慮し、オゾン層破壊係数が小さく、地球温暖化係数が小さく、大気寿命の短い、高沸点フッ素系不活性液体が望ましい。この実施形態におけるリフトオフ現象の発生率の一例は表1のとおりである。 回路基板13に設けられているはんだ付け部たとえばランド部でのはんだ付け状態の評価結果である。
【0042】
【表1】
図1には記載されていないが、グリコールエーテル系冷媒液、高級アルコール系冷媒液などのように、冷却後回路基板13の表面がべとつくような冷媒や、フラクサ工程で洗浄が必要な処理液の場合にははんだ付け工程後、洗浄工程を増設することが、望ましい。洗浄液は、水または溶剤による洗浄例えばCFC(クロロフロロカーボン),HCFC(ハイドロクロロカーボン),アルコールによる洗浄である。
【0043】
この実施形態のように、Snに第3添加物以上をいれた多元合金において、はんだ付け後の冷却時間を短くすることにより、たとえばBiのような添加元素の偏析や、租化を防ぎ、スルーホールにおけるリフトオフ現象の発生を防止できる。上記実施形態では、はんだ付け後の冷却手段として冷媒液中に基板を浸漬させて冷却した実施形態を説明したが、急速冷却であれば何れでもよく、冷媒をスプレー状に噴霧する冷却法や、冷媒を基板13に噴流させて冷却する方法など何れでもよい。
【0044】
実施形態4
次に、図3を参照して、冷媒液をスプレー状に噴霧する法について説明する。実施形態2と実施形態4とは、はんだ付け工程後の冷却手段および冷却手段のみが隔離した処理室に分割した2点が相違するものであるから、冷却工程のみ説明する。後者のはんだ後処理室を分離したのは、スプレーにより噴霧するため、その飛散を考慮して処理室を独立させたものである。はんだ付け工程部8までの工程は、図2と同様であるため、その詳細な説明は省略し、図3に図2と同一番号を付与してその詳細な説明を省略する。
【0045】
すなわち、冷却工程部31は囲い32内に設けられている。コンベアベルト12が囲い32まで延長して設けられている。このベルト12の走行路近傍には冷媒液33をスプレーするスプレー装置34が設けられている。このスプレーは噴霧でもよいが、単位時間当たりの冷媒液供給量を多量にすることが望ましい。
【0046】
このようなスプレー、噴霧により噴流したことにより回路基板13のはんだ付け面を濡らしこの基板13から流れ落ちる冷媒液33を捕集するように受け容器35が設けられている。この容器35に溜まった冷媒液33はドレイン用パイプ36により熱交換器37に流入するように設けられている。
【0047】
この熱交換器37では冷却プロセスを経た冷媒液を冷却のための設定温度に冷却した後、再びソース用パイプ38を介してスプレー用として使用する。循環系を構成している。この循環系にはフィルタを設け、スプレープロセスによりはんだ残さ等が入っている場合には、除去することが望ましい。このプロセスでの冷媒液33の温度管理は実施形態1の要領で設定温度を冷却液としてスプレーする。 この実施形態では、はんだ付け面のみにスプレーしている急冷である。
【0048】
実施形態5
次に、図4を参照して冷却手段の他の実施形態を説明する。この実施形態も図2と相違する装置は冷却装置のみであるため、実施形態2と同様にはんだ付け工程部18までは、実施形態1と同一番号を図4に付与してその説明を省略する。即ち、コンベアベルト12の走行路に沿って冷媒液41を滞留する冷媒槽42が設けられている。この冷媒槽42に貯留されている冷媒液41を噴流して、回路基板13のはんだ付け面に放射し濡らすノズル43が設けられている。上記冷媒槽42には冷媒液41の温度を冷却のための設定温度にするために熱交換器44との間に冷媒液41の循環パイプ45、46が配管されて、冷却工程部47が構成されている。この実施形態も実施形態2と同様に、回路基板13のはんだ付け面に冷媒液41を噴流し冷却する実施形態である。
【0049】
上記実施形態4、5は被加工体の回路基板13のはんだ付け面のみに冷媒液を放射した実施形態であるが、急冷するため表裏両面同時に冷却操作をしたい場合には、いずれの実施形態も図5乃至図8のように構成することにより、回路基板11の表裏面同時に冷却できる。
【0050】
すなわち、回路基板13の表裏両面同時に冷媒液51をスプレー(噴流、噴霧)するには、回路基板13を図5、6に示すように垂直に立てて、左右それぞれにノズル52、53を設け、左右のノズル52、53から同時にスプレーすればよい。
【0051】
図5は表裏面各一個のノズル52、53からスプレーするため周縁部の冷媒液温度と中央部の冷媒液温度に温度差が発生する。また、基板13から見ると、基板13の周縁部と中央部とでは冷媒液51の供給量に大きく密度差があり、冷却速度に変化が発生する場合がある。この場合には図6乃至図8のようにノズル52、53を配列すればよい。
【0052】
すなわち、図6に示すように左右何れにもスプレーノズル52、53を複数個配列し、回路基板13の全面に均一な密度で冷媒液を供給できるように構成してもよい。回路基板13の表面裏面何れも図7に示すように、ノズル52、53の配列を面状に配設するとよい。これらノズル52,53群を同時に開バルブし、放射すればよい。また、図8に示すように回路基板13の表裏面共に直線状1列にノズル52、53配設することにより、同様に、表裏面同時に冷却できる。この場合はノズル列と回路基板13を相対的に移動させることにより、回路基板13の全面を急速に冷却できる。
【0053】
図5乃至図8の実施形態いずれも図2の実施形態と同様なプロセス条件で実施できる。例えば、冷媒液の温度は20℃〜120℃間で選択、実施する。さらに冷媒の種類も上記実施形態と同様である。
【0054】
上記実施形態では、無鉛はんだによるはんだ付けの実施形態について説明したが、有鉛はんだでも同様な作用効果が得られることは説明すまでもないことである。
【0055】
上記実施形態では、フローはんだ付けの実施形態について説明したが、はんだ付けであれば、リフローはんだ付けでも、デイップはんだ付けでも、同様な作用効果が得られることは説明すまでもないことである。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したようにこの発明によれば、はんだ付け終了後急冷するので、リフトオフ現象の発生を防止し、強固なはんだ付けができる。特に、無鉛はんだ付けやフローはんだ付けにおいてもリフトオフ現象のないはんだ付けができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のはんだ付け方法の1実施形態を説明するためのフローチャートである。
【図2】この発明のはんだ付け装置の1実施形態を説明するための図である。
【図3】図2の他の実施形態を説明するため図である。
【図4】図2の他の実施形態を説明するため図である。
【図5】図3および図4の冷媒液噴流ノズルの配列の実施形態を説明するための図である。
【図6】図3および図4の冷媒液噴流ノズルの配列の実施形態を説明するための図である。
【図7】図3および図4の冷媒液噴流ノズルの配列の実施形態を説明するための図である。
【図8】図3および図4の冷媒液噴流ノズルの配列の実施形態を説明するための図である。
【符号の説明】
1……フラックス塗布工程
2……プレヒート工程
3……はんだ付け工程
4……急冷工程
5……洗浄工程
11、32……囲い
12……コンベアベルト
13……回路基板
14……フラクサ工程部
15……ヒート工程部
16、17……ヒータ
18……はんだ付け工程部
19……溶融液
20……はんだ槽
25、31、47……冷却工程部
26……冷却槽
27、33、41……冷媒液
28、36、38、45、46……パイプ
29、37、44……熱交換器
30……フローはんだ付け装置
34、34、43……ノズル
35……受け容器
Claims (4)
- 回路基板のはんだ付け面をそれぞれ冷却速度の異なる多元合金材料から構成されたはんだ液に対接させて、230℃乃至260℃のはんだ付け温度ではんだ付け処理する工程と、
このはんだ付け処理された上記回路基板の両面を温度が20℃乃至120℃のHFC(ハイドロフルオロカーボン)系、PFC(パーフルオロカーボン)系のうち少なくとも1種の冷媒への浸漬により冷却する工程と
を具備してなることを特徴とするはんだ付け方法。 - 請求項1記載のはんだ付け方法において、はんだ付けは無鉛はんだによるフローはんだ付けであることを特徴とするはんだ付け方法。
- 回路基板のはんだ付け面をそれぞれ冷却速度の異なる多合金材料から構成されたはんだ液に対接させて、230℃乃至260℃のはんだ付け温度ではんだ付け処理するはんだ付け部と、
このはんだ付け部ではんだ付け処理された上記回路基板の両面を温度が20℃乃至120℃のHFC(ハイドロフルオロカーボン)系、PFC(パーフルオロカーボン)系のうち少なくとも1種の冷媒への浸漬により冷却する冷却部と
を具備してなることを特徴とするはんだ付け装置。 - 請求項3記載のはんだ付け装置において、はんだが無鉛はんだであることを特徴とするはんだ付け装置。
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