JP3616783B2 - 周期パターン中の欠陥検出方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示素子やICの製造に用いられるフォトマスクのような周期パターン中の欠陥を光学的に検出する方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ワープロ、パソコン、ビデオカメラ等に広く用いられている液晶表示素子の製造には、一定の周期をもった微細な構造を持つフォトマスクが用いられている。このフォトマスクには、図3(a)に例示するように、部分的に欠陥が生じやすく、製品の品質を高めるためには、これを確実に検出する必要がある。
【0003】
従来、かかるフォトマスクの欠陥を検出するには、フォトマスクの一部をCCDカメラを用いて、画像として取り込み、コンピュータを用いた画像処理により、完全なフォトマスクと取り込んだ画像とを比較して、欠陥部分を検出していた。しかし、かかるコンピュータ処理による欠陥検出方法は、複雑な画像処理を必要とし、欠陥検出に時間がかかる問題点があった。
【0004】
この問題を解決するために、実時間olography", APPLIED OPTICS/ Vol.33,No.5,P4497/ 10 February 1994)。
図6は、ヘセリンク等による光学的検出方法の原理図である。この方法は、欠陥を有する被験パターン1の透過光を用いて非線形光学素子5(フォトリフラクティブ結晶)にホログラムを書き込み、これを実時間(リアルタイム)で別の読出光7を用いて読み出し、非線形光学素子5の非線形特性を利用して、欠陥成分による像を強調して取り出し、CCDカメラ8でこれを画像化するものである。
【0005】
すなわち、図6において、フォトマスクなどの被験パターン1を書込光束(信号光2)中に挿入し、フーリエ変換レンズ3によるそのフーリエ変換像と参照光4との干渉によるホログラムを非線形光学素子5に書き込む。被験パターン1のフーリエ変換像は、周期パターンによる比較的強い強度Ipをもつスポット群と欠陥部分による低強度Idで広がった成分との和で表される。従って、書き込まれたホログラムもこれらの成分の和で表される。一方、非線形光学素子5に書き込まれたホログラムのこの素子5による回折効率は書き込んだ2光束の強度比I1/I2によって決まり、強度比が1のときに最大になる。そこで、参照光4の強度I1を、信号光2中の欠陥成分によるフーリエ変換像の強度Idと等しくなるように調節すると、欠陥成分によるホログラムの回折効率が最大となり、周期パターンによるホログラムの回折効率を低く抑えることができる。この状態で回折光6を再びフーリエ変換レンズ3を用いて、光学的に逆フーリエ変換すると、元の被験パターン1中の欠陥成分だけが大きな強度を持ち、欠陥成分による像を強調して取り出し、CCDカメラ8でこれを画像化することができる。以上が、ヘセリンク等による光学的検出方法の原理である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したヘセリンク等の方法は、原理的には実時間(リアルタイム)に光学的に欠陥を検出することができる。しかし、この方法では、ホログラムを非線形光学素子5に書き込むために、通常、数10msecから数secの時間を必要とする問題点があった。すなわち、比較的大きい液晶表示装置(例えば10インチ)のフォトマスクを検査するには、CCDカメラの解像度の制約から液晶を多数の小部分に分けて順次検査する必要があるが、ヘセリンク等の方法ではその各部分の書き込みに一定時間を必要とし、全体のフォトマスクを検査し欠陥を検出するには、相当長い時間(例えば数10秒から数分)を必要とした。
【0007】
言い換えれば、この方法では欠陥成分のフーリエ変換像と参照光4とで書かれたホログラムを読み出しているが、処理速度を決めているのは、ホログラムを書き込むときの非線形光学素子5の応答速度であり、現在得られている素子の応答速度は数10msecから数secで比較的遅い問題点があった。
【0008】
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、コンピュータ処理による複雑な画像処理を用いることなく、周期パターン中の欠陥を光学的に検出することができ、かつ非線形光学素子の応答速度による影響が少なく、実質的に実時間(リアルタイム)に欠陥の検出ができる、周期パターン中の欠陥検出方法及び装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、光誘起異方性を有する非線形光学素子に第1の直線偏光を一様に照射して偏光方向に一致した分極軸を有する分子を選択的に励起し、同時に、第1直線偏光と異なる偏光方向を有する第2の直線偏光を、周期パターンを有する被験パターンに照射し、その通過光または反射光を光学的にフーリエ変換して前記非線形光学素子に照射し、該非線形光学素子により、その透過光のうち周期パターン中の欠陥に起因して生じた欠陥成分を楕円偏光に変換し、非線形光学素子の透過光を光学的に逆フーリエ変換し、該逆フーリエ変換像から第2直線偏光の偏光方向に直交する成分を分離して結像させ、前記第2直線偏光の強度を周期パターン中の欠陥成分のみが最も強く結像されるように設定する、ことを特徴とする周期パターン中の欠陥検出方法が提供される。
【0010】
本発明のこの方法によれば、第1の直線偏光(書込光)により、光誘起異方性を有する非線形光学素子に書込光の偏光方向に一致した分極軸を有する分子を選択的に励起して、この素子に偏光方向と同じ方向の軸を持つ異方性(特に複屈折性)が設定される。この状態で、周期パターンを有する被験パターンを通過または反射した第2の直線偏光(読出光)を光学的にフーリエ変換して非線形光学素子に照射すると、フーリエ変換像の周期パターンによるスポット群の位置では、読出光の強度が書込先のそれに比べて強いため、読出光により読出光の偏光方向と同じ軸を持つ新たな異方性が誘起される。
【0011】
その結果、読出光のフーリエ変換像のうち周期パターンによるスポット群は、直線偏光のまま非線形光学素子を透過し、読出光の偏光面に直交する成分(以下、単に直交成分という)が生じない。一方、読出光のうち欠陥成分(透過光のうち周期パターン中の欠陥に起因して生じた欠陥成分)のフーリエ変換像は微弱であるため、書込光により誘起された異方性により楕円偏光になり、その元の偏光と直交する成分が生じる。従って、欠陥成分のフーリエ変換像が主に楕円偏光になるため、その元の偏光と直交する成分を分離して光学的に逆フーリエ変換し結像することにより、主として欠陥成分を例えばCCDカメラで撮像し、画像処理を行うことなく、CRT等を介して目視等により容易に周期パターン中の欠陥を検出することができる。以下、検出された直交成分を検出光と呼ぶ。
【0012】
また、本発明によれば、周期パターンによるスポット群のフーリエ変換像の位置(すなわち読出光により異方性が誘起された非線形光学素子上の位置)は、周期パターンの部分を平行に移動しても変化しないので、比較的大きい周期パターンを多数の小部分に分けて順次検査するような場合でも、スポット群のフーリエ変換像の偏光が変調を受けないように保持したままで、新たな周期パターンの欠陥成分のフーリエ変換像のみを非線形光学素子により楕円偏光に変調させてその直交成分を分離して結像させることができ、異方性の誘起/消去が不要であり、非線形光学素子の応答速度による影響がほとんどなく、実質的に実時間(リアルタイム)に欠陥の検出ができる。
【0013】
また、本発明によれば、光誘起異方性を有する非線形光学素子に第1の直線偏光を一様に照射して偏光方向に一致した分極軸を有する分子を選択的に励起する書込光学系と、これと同時に、第1直線偏光と異なる偏光面を有する第2の直線偏光を、周期パターンを有する被験パターンに照射し、その通過光または反射光を光学的にフーリエ変換して前記非線形光学素子に照射し、該非線形光学素子により、透過光のうち周期パターン中の欠陥に起因して生じた欠陥成分を楕円偏光に変調し、非線形光学素子の透過光を光学的に逆フーリエ変換し、該逆フーリエ変換像から第2直線偏光の偏光面に直交する成分を分離して結像させる読出光学系とを備え、第2直線偏光の強度を周期パターン中の欠陥成分のみが強く結像される強度に設定する、ことを特徴とする周期パターン中の欠陥検出装置が提供される。
【0014】
本発明のこの構成により、書込光学系により非線形光学素子に第1直線偏光の方向に合った異方性を書き込み、読出光学系により、スポット群のフーリエ変換像の偏光が変化しないように保持したままで、欠陥成分のフーリエ変換像のみを非線形光学素子により偏光を変調させてその直交成分(検出光)を分離して結像させることができ、実質的に実時間(リアルタイム)に欠陥の検出ができる。
【0015】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記読出光学系は、被験パターンを通過または反射した読出光を光学的にフーリエ変換して前記非線形光学素子に照射し、かつ非線形光学素子を透過しその反対面で反射したフーリエ変換像を光学的に逆フーリエ変換するフーリエ変換レンズと、該逆フーリエ変換像から第2直線偏光の偏光面に直交する成分を分離する偏光ビームスプリッターとを有する。この構成により、同一のフーリエ変換レンズで読出光のフーリエ変換とその反射光の逆フーリエ変換ができ、装置の光学系をシンプルにすることができる。
【0016】
また、前記非線形光学素子は、被験パターンと平行に配置されており、前記書込光学系は、読出光学系の同じ側または反対側から非線形光学素子に斜めに第1直線偏光を照射するようになっている、ことが好ましい。この構成により、被験パターンの広い領域を非線形光学素子に結像させることができ、像の周辺部でのボケを防止することができ、かつ第1直線偏光の光軸と反射光の光軸が相違するため、第1直線偏光のCCD等検出器に与える影響を大幅に低減することができる。
【0017】
更に、前記第1直線偏光と第2直線偏光の偏光方向は、45°ずれていることが好ましい。この構成により、第2直線偏は最も効率よく第1直線偏光により偏光変調される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の基本原理と本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。
先ず、レンズのフーリエ変換作用について説明する。レンズのようにその位相シフト量が中心からの距離の2乗に比例している素子は、一般にフーリエ変換作用をもつことが知られている。すなわち、図4において、eなる複素振幅をもった照明光が左側から入射してきて、z1面にあるt(x1,y1)なる複素振幅透過率をもった情報マスク板を透過する。このとき、z1面直後の光波分布U1がレンズの直前まで伝播した光波分布U2となり、そこでレンズの影響を受けて新しい分布U2′になる。これが再び伝播してz3面上で分布U3になる。
【0019】
照明光が単色平面波の場合、d1=f及びd2=fのとき、U1の位相誤差のない完全なフーリエ変換がz3面上で得られる。また、単に光強度分布パターンにだけ関心がある場合、特にそれを肉眼で観察する場合などは、観察できるのはU3ではなく、|U3|2であるので、d1≠fの場合でも、またフラウンホーファ回折パターンの場合でも、フーリエ変換パターンと同じパターンが観察できる。
【0020】
次に、周期構造をもつ開口からの光学的フーリエ変換について説明する。図5(A)に示すようなスリット状の1次元開口において、幅aのスリットがy1軸に平行に距離dだけ離れてN個ある場合、x2面上の強度分布は、図5(B)に示すようになる。このx2面上の強度分布は、2次元の周期パターンを有する開口の場合でも同様である。また、この開口を、x1面内で回転させずに横移動しても、図5(B)に示すx2面上の強度分布は変化しない。すなわち、周期パターンを有する被験パターンを開口の位置を完全に一致させることなく、x1面内で横移動させても、x2面上の同一位置に同一の強度分布が得られる。
【0021】
次に、本発明に用いる非線形光学素子について説明する。光誘起異方性を有する非線形光学素子とは、この発明では、光の強度によって二色性および複屈折特性が変化する光学素子を意味する。かかる非線形光学素子としては、例えばバクテリオロドプシン膜やアゾ色素膜(メチルオレンジなどのアゾ色素とポリビニルアルコールなどの膜媒体からなる)が知られている。以下、バクテリオロドプシン膜を用いた場合について説明する。
【0022】
バクテリオロドプシン(以下、BRと略す)の非線形性は、B状態と呼ばれる基底状態(570nmに吸収極大をもつ)から、光吸収により410nmに吸収極大をもつM状態と呼ばれる準安定状態へ遷移することによって起こるものである。従って、BRはM状態の密度分布という形で光情報を記録することができる。BRでは比較的長い寿命をもつ準安定状態が容易に得られ、低出力のレーザーで情報の書き込みができる特徴がある。
【0023】
次に本発明の原理を説明する。欠陥を有する周期パターンのフーリエ変換像は、2つの要素からなる。その1つは、周期パターンにより形成された強いスポット群であり、もう1つは、欠陥から生じるハロ(halo:低い強度で広がった光)である。一般的に、ハロの強度は、スポット群の強度よりも微弱である。しかし仮に、透過率が強度に反比例する二次元非線形フィルターをフーリエ変換面に挿入すれば、透過像におけるスポット群の強度を低減し、欠陥要素を増幅することができる。
【0024】
この二次元非線形フィルターを実現するために、本発明の発明者等は、BR膜の光誘起異方性を利用した。BR膜に直線偏光(書込光)を照射すると、BR分子はB状態(基底状態)から準安定のM状態に励起される。この際、直線偏光の偏光方向に一致した分極軸を有するBR分子が最も効率良く励起されるためBR膜に異方性(複屈折性)が生じる。この状態で、書込光から例えば45°回転した偏光面を有する直線偏光(読出光)をBR膜に照射する。読出光の強度が書込光の強度よりも十分弱い場合には、透過した偏光は一般に楕円偏光に変わる。従って、読出光に直交する成分のみを通す光学素子を透過光の一部が通過する。一方、読出光の強度が書込光の強度よりも十分高い場合には、BR膜は読出光によって支配され、読出光の偏光と同じ方向をもつ異方性に変化する。従って、BR膜の透過光の偏光状態は変化せずに読出光の方向に一致し、読出光に直交する成分のみを通す光学素子を透過しなくなる。本発明はかかるBR膜の光誘起異方性を利用するものである。
【0025】
図1は、本発明による欠陥検出装置の構成図である。この図において、本発明の欠陥検出装置は、書込光学系10と読出光学系20とからなる。書込光学系10は、読出光学系20の反対側から非線形光学素子11に斜めに第1の直線偏光12(以下、書込光という)を照射するようになっている。非線形光学素子11は、上述した光誘起異方性を有する非線形光学素子であり、例えばバクテリオロドプシン膜、アゾ色素膜である。また、第1直線偏光12(書込光)は、例えば515nmのAr+レーザがよい。この構成により、光誘起異方性を有する非線形光学素子11に書込光12を照射して偏光方向に一致した分極軸を有する分子を選択的に励起することができ、この励起により非線形光学素子11に書込光12の偏光方向に合った異方性を書き込むことができる。
【0026】
読出光学系20は、フーリエ変換レンズ22と偏光ビームスプリッター24を有する。また、偏光ビームスプリッター24により分離された像を撮像するCCDカメラ26と、第2直線偏光14(以下、読出光という)以外の光をカットする干渉フィルタ26aを備えている。フーリエ変換レンズ22は、周期パターンを有する被験パターン1を通過した読出光14を光学的にフーリエ変換して非線形光学素子11に照射し、かつ非線形光学素子11を透過しその反対面で反射したフーリエ変換像を光学的に逆フーリエ変換するようになっている。また、偏光ビームスプリッター24は、逆フーリエ変換像17から読出光14の偏光面に直交する成分18(検出光)を読出光14に直交する方向に反射して分離するように配置されている。
【0027】
読出光14は、例えばHe Neレーザ(633nm)であり、書込光12と異なる偏光面を有している。またこの読出光14の強度はフーリエ変換像中の欠陥成分のみが最も偏光変調を受ける強度に設定されている。
書込偏光12と読出光14の偏光面は、互いに45°ずれていることが好ましいが、本発明はこれに限定されず、任意の角度であってもよい。なお、この検出光18に、書込光12が影響しないように、読出光12と書込光14の波長は相違することが好ましい。また、干渉フィルタ26aは、読出光14(この例では633nm)以外の波長の光をカットするのがよい。
【0028】
上述した構成により、書込光12による異方性の書き込みと同時に、書込光12と例えば45°異なる偏光面を有する読出光14を、周期パターンを有する被験パターン1に照射し、その通過光15を光学的にフーリエ変換して非線形光学素子11に照射し、非線形光学素子11によりその透過光(この例では反対面での反射光16)の一部を楕円偏光に変換させ、この透過光(反射光)から読出光14の偏光面に直交する成分18(検出光)を分離して光学的に逆フーリエ変換し、この逆フーリエ変換像17をCCDカメラ26で直接撮像することができる。
【0029】
本発明の方法は、欠陥パターンの情報を読出光14に載せる点で、従来の方法(ヘセリンク等の方法)と大きく相違する。以下、詳しく説明する。
図1の欠陥検出装置において、非線形光学素子11としてBR膜や有機色素膜などの非線形光学媒質を用いる。この素子11に第1直線偏光12(書込光)でその偏光方向に一致した軸を持つ異方性を書き込むが、情報は書き込まれない。この異方性により別の光束(読出光14)が実時間(リアルタイム)で偏光変調を受ける。第2直線偏光14(読出光)が十分弱いときは、直交成分18の強度は読出光14の強度に比例して強くなっていく。更に読出光14を強くしていくと、読出光14がその偏光方向に一致した異方性を非線形光学素子に強く書き込み、結果として元の(書込光による)異方性を実質的に消去する。読出光14の強度が十分強くなれば、書込光による異方性はすべて消去され、読出光による異方性に支配され、直交成分18の強度は0となる。すなわち、読出光14がその中間のある強度のときに直交成分18の強度は最大となる。そこで、被験パターン1とフーリエ変換レンズ24を読出光14の光束中に挿入し、その通過光15をフーリエ変換して非線形光学素子11に照射し、非線形光学素子11によりその透過光(透過後の反射光)の一部を楕円偏光に変換させ、その光16を逆フーリエ変換し、逆フーリエ変換像17から読出光14の偏光面に直交する成分18(検出光)を分離して結像させる。
【0030】
このとき、周期パターン中の欠陥成分が最も強く結像されるように読出光14の強度を決定する。周期成分によるスポット群の強度は欠陥成分のフーリエ変換像より十分強いため、スポット群の位置ではスポット群自身によって新たな異方性が誘起され、スポット群はほとんど偏光状態が変調されなくなる。従って偏光変調された反射光16を再びフーリエ変換レンズ22を用いて光学的に逆フーリエ変換し、偏光ビームスプリッター24により、逆フーリエ変換像17から書込光14の偏光面に直交する成分18を書込光14に直交する方向に反射して分離すれば、被験パターン1に含まれた欠陥部分だけが結像され、これをCCDカメラ26等で撮像することができる。
【0031】
すなわち、図1の装置を使用し、光誘起異方性を有する非線形光学素子11に第1直線偏光12を照射して偏光方向に一致した分極軸を有する分子を選択的に励起し、同時に、第1直線偏光11と45°異なる偏光方向を有する第2直線偏光14を、周期パターンを有する被験パターン1に照射し、その通過光を光学的にフーリエ変換して非線形光学素子11に照射し、非線形光学素子11によりその透過光の一部を楕円偏光に変調させ、非線形光学素子11の透過光を光学的に逆フーリエ変換し、逆フーリエ変換像17から第2直線偏光14の偏光面に直交する成分18を分離して結像させ、第2直線偏光14の強度を周期パターン中の欠陥成分が強く結像する強度に設定する、ことにより、コンピュータ処理による複雑な画像処理を用いることなく、容易に周期パターン中の欠陥を検出することができる。
【0032】
また、この方法によれば、非線形光学素子11に書き込まれる空間的に一様な異方性を書き換える周期パターンによるスポット群のフーリエ変換像は、被験パターンを平行移動しても変化しないので、比較的大きいフォトマスクを多数の小部分に分けて順次検査するような場合でも、スポット群のフーリエ変換像を回転しないように保持したままで、新たなフォトマスク部分の欠陥成分のフーリエ変換像のみを非線形光学素子11により偏光変調させて結像させることができる。従って、異方性の再度の書き換えが不要であり、非線形光学素子11の応答速度による影響がほとんどなく、実質的に実時間(リアルタイム)に欠陥の検出ができる。
【0033】
従来のヘセリンク等の方法では、非線形光学素子に欠陥成分のフーリエ変換像のみが記録され、それが読出光で読み出される。読み出しは実時間で行われるが、系の応答時間は記録に要する時間に支配される。非線形光学素子の応答速度は、例えば数10msecから数secであり、非常に遅い。これに対して本発明の方法では信号の載っていない空間的に一様な書込光12で書き込まれた異方性により、欠陥成分のフーリエ変換像のみが偏光変調される。同時に、周期パターンのフーリエ変換像の部分で別の異方性が書き込まれて元の異方性が消去され、その部分からの直交する成分18は減衰する。周期パターンのフーリエ変換像を書き換えするのにかかる時間はヘセリンク等の方法と同程度であるが、一度書き換えが完了すれば、残りの処理は実時間で実行される。その結果、毎回周期パターンの異なるフォトマスクを検査する場合は、ヘセリンク等の方法と同じ時間を要するが、同じ周期パターンを持つマスクを検査する場合は、2枚目以降は実時間(リアルタイム)で検査できる。また、フーリエ変換が物体の平行移動に対して不変である性質を持つことから、マスクを走査しながら実時間で検査することも可能である。
【0034】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
図2は、図1で示した装置を用いた試験結果であり、読出光(第2直線偏光14)の強度と、検出光(直交成分18)の強度との関係を示している。使用した書込光(Ar+レーザ)の出力は64mW/cm2、読出光(He Neレーザ)の出力は73mW/cm2であり、光誘起異方性を有する非線形光学素子11として30μm厚のバクテリオロドプシン膜を使用した。
【0035】
図2から、読出光14の強度が約20mW/cm2の場合に検出光(直交成分18)の強度が最大になっていることがわかる。従って、この図から、周期パターン中の欠陥成分のフーリエ変換像の強度が約20mW/cm2になるように第2直線偏光14(読出光)の強度を設定することにより、被験パターン1に含まれた欠陥部分だけを最も強く結像し、これをCCDカメラ26等で撮像することができることがわかる。
【0036】
図3は、図1で示した装置による入力パターンと欠陥のディスプレー上に表示した中間調画像である。周期パターンを有する被験パターンとしては欠陥部分のあるフォトマスクを用いた。図3(a)において矢印部が欠陥部分であり、この部分が図3(b)で白く表示されている。従って、この図から、本発明の方法及び装置により、コンピュータ処理による複雑な画像処理を用いることなく、周期パターン中の欠陥を光学的に検出することができることがわかる。
【0037】
上述したように、本発明の特徴は、読出光14に情報を載せるところにある。従来の非線形素子を用いた欠陥検出法では、欠陥成分のホログラムを生成するのに対して、本発明では、欠陥成分は単に書込光12で書き込まれた異方性により偏光変調されるだけである。従って、最初のフォトマスクに対しては、その周期成分によるスポット群の位置でスポット群自身によって書込光12による異方性を書き換えるまで、多少の時間を要するが、同じ周期パターンをもつ2枚目以降のマスクでは、周期成分の位置ではすでに書込光による異方性が書き換えられており、欠陥成分のみが実時間で偏光変調される。その結果、同一の周期パターンをもつマスクの欠陥検査では、全く時間遅れなしで検査することができる。
【0038】
なお、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【0039】
【発明の効果】
上述したように、本発明による周期パターン中の欠陥検出方法及び装置は、コンピュータ処理による複雑な画像処理を用いることなく、周期パターン中の欠陥を光学的に検出することができ、かつ非線形光学素子の応答速度による影響が少なく、実質的に実時間(リアルタイム)に欠陥の検出ができ、更に、装置の光学系をシンプルにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による欠陥検出装置の構成図である。
【図2】読出光の強度と検出光の強度との関係図である。
【図3】入力パターンと欠陥のディスプレー上に表示した中間調画像である。
【図4】レンズのフーリエ変換作用の説明図である。
【図5】周期構造をもつ開口からの回折強度の説明図である。
【図6】従来の欠陥検出方法の原理図である。
【符号の説明】
1 被験パターン
2 信号光
3 フーリエ変換レンズ
4 参照光
5 非線形光学素子(フォトリフラクティブ結晶)
6 回折光
7 読出光
8 CCDカメラ
10 書込光学系
11 非線形光学素子(BR膜)
12 第1直線偏光(書込光)
14 第2直線偏光(読出光)
15 読出光の透過光
16 反対面での反射光
17 逆フーリエ変換像
18 直交成分(検出光)
20 読出光学系
22 フーリエ変換レンズ
24 偏光ビームスプリッター
26 CCDカメラ
26a 干渉フィルタ
Claims (5)
- 光誘起異方性を有する非線形光学素子に第1の直線偏光を一様に照射して偏光方向に一致した分極軸を有する分子を選択的に励起し、同時に、第1直線偏光と異なる偏光方向を有する第2の直線偏光を、周期パターンを有する被験パターンに照射し、その通過光または反射光を光学的にフーリエ変換して前記非線形光学素子に照射し、該非線形光学素子により、その透過光のうち周期パターン中の欠陥に起因して生じた欠陥成分を楕円偏光に変換させ、非線形光学素子の透過光を光学的に逆フーリエ変換し、該逆フーリエ変換像から第2直線偏光の偏光方向に直交する成分を分離して結像させ、前記第2直線偏光の強度を周期パターン中の欠陥成分のみが最も強く結像されるように設定する、ことを特徴とする周期パターン中の欠陥検出方法。
- 光誘起異方性を有する非線形光学素子に第1の直線偏光を一様に照射して偏光方向に一致した分極軸を有する分子を選択的に励起する書込光学系と、これと同時に、第1直線偏光と異なる偏光面を有する第2の直線偏光を、周期パターンを有する被験パターンに照射し、その通過光または反射光を光学的にフーリエ変換して前記非線形光学素子に照射し、該非線形光学素子により、その透過光のうち周期パターン中の欠陥に起因して生じた欠陥成分を楕円偏光に変換させ、非線形光学素子の透過光を光学的に逆フーリエ変換し、該逆フーリエ変換像から第2直線偏光の偏光方向に直交する成分を分離して結像させる読出光学系とを備え、第2直線偏光の強度を周期パターン中の欠陥成分のみが最も強く結像されるように設定する、ことを特徴とする周期パターン中の欠陥検出装置。
- 前記読出光学系は、被験パターンを通過または反射した読出光を光学的にフーリエ変換して前記非線形光学素子に照射し、かつ非線形光学素子を透過しその裏面で反射したフーリエ変換像を光学的に逆フーリエ変換するフーリエ変換レンズと、該逆フーリエ変換像から第2直線偏光の偏光面に直交する成分を分離する偏光ビームスプリッターとを有する、ことを特徴とする請求項2に記載の周期パターン中の欠陥検出装置。
- 前記非線形光学素子は、被験パターンと平行に配置されており、前記書込光学系は、読出光学系の同じ側または反対側から非線形光学素子に斜めに第1直線偏光を照射するようになっている、ことを特徴とする請求項2に記載の周期パターン中の欠陥検出装置。
- 前記第1直線偏光と第2直線偏光の偏光面は、互いに約45°ずれている、ことを特徴とする請求項2乃至4に記載の周期パターン中の欠陥検出装置。
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