JP3616692B2 - アルミ材の交流プラズマ溶接方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマアーク溶接に関し、特に、アルミニウム又はアルミウム合金であるアルミ材の交流プラズマア−ク溶接に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルミ材は、溶接開始時までにあるいは溶接中に表面が外気にさらされていると、酸化されて酸化被膜(アルミナ)の層を形成する。アルミ材のプラズマ溶接を行う場合、溶接部表面にアルミの酸化物であるアルミナの層が形成されていると、アルミの融点が700度程度であるのに対し、アルミナの融点は3000度程度と高温であるので、プラズマアークの熱によりアルミは溶融しても、その溶融したアルミを覆うアルミナの層は溶融しないことがある。ところで、逆極性ア−クはアルミナに陰極点を形成しアルミナを溶融除去する。そこで、アルミ材の溶接では、交流プラズマア−ク溶接が適用される。しかも、溶融プール(溶接中の溶融金属の溜り)全体を外気と遮断する目的でアルゴン等の不活性ガスを、シ―ルドガスとして溶接中にプラズマアーク及び溶接部の周囲に噴射し、溶接部の酸化又は窒化を防ぐ。
【0003】
また、やはりアルミ材のプラズマ溶接を行う場合、溶接部の溶融金属(溶融アルミ)に主に水素ガスが原因の微細なブローホール(空孔)が多数発生することがある。これは、空気中の水蒸気がアーク中に混入し、熱で解離し、水素を発生したり、アルミ材表面のアルミナ中の結晶水が解離して水素となりこれが溶融金属に取り込まれたものである。アルミナ中には微かに水分(結晶水)が含まれることや、溶融アルミが水素を取り込み易い性質を持つことに起因する。しかも、溶融アルミは熱伝導性が高く凝固速度が速いので、溶融プール中からブローホールを外気に放出することができずに内部にとじ込めたままの状態で凝固してしまい、溶接終了後の溶接ビード中にはブローホールが残り、溶接欠陥となる。溶接ビードのブローホールは、ビードの外観を美麗とする上で望ましくない。このブローホールの発生を抑制するために、一般的には下記の対策が取られている。
【0004】
1.溶接予定箇所の表面をアセトン等の洗浄液で拭き、表面のゴミや油分を除去しておく;
2.溶接直前に溶接予定箇所の表面の酸化被膜をグラインダー等で除去する;
3.溶接速度を十分に遅くするかあるいは、溶接予定箇所を予め予熱しておくことで水素H2の気泡が十分浮上するための冷速以下の条件を設定して溶接を施工する。
【0005】
これらの対策により、溶接中の水素の発生量が少く、溶融アルミ中に生じた水素が該溶融アルミの凝固前に外気に放出されるので、溶接後の溶接ビードにブロ―ホールが現われる確率が低減する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、溶接予定箇所の表面に生じている酸化被膜の水分もしくは酸化被膜自身を予め除去する前述の1.および2.の方法においては、溶接作業前の前処理工程が増えると共に、除去効果(作業効果)が低い。また、3.の溶接速度を遅くしたり、溶接予定部を予め予熱する方法も生産効率が低下する。その上、溶接予定部を予め予熱する場合は、予熱装置が別途必要となるので溶接装置の規模が大きくなり、高価となる。
【0007】
本発明は、アルミ材のプラズマ溶接の溶接品質向上を第1の目的とし、酸化被膜による融合不良およびブローホールを抑制しかつ表面が平坦で美麗なビードを得ることを第2の目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、アルゴンArに他の1つの気体を混合したシールドガスを用いたプラズマ溶接を行い、その混合の割合を変化しつつ溶接ビード100mmあたりのブローホールの数及び溶接ビードの状態を調べた。その結果を図5に示す。
【0009】
図5の(a)は、アルゴンArに窒素N2を混合したシールドガスを用いて溶接した場合の、窒素N2に対するブローホール発生個数を示すグラフであり、(b)はアルゴンArに酸素を混合したシールドガスを用いて溶接した場合の同様なグラフであり、(c)はアルゴンArに2酸化炭素CO2を混合したシールドガスを用いて溶接した場合の同様なグラフである。アルゴンArに混合した各気体のパーセンテージは、シールドガス全体100%に対する体積%である。なお本明細書において気体混合のパーセンテージはすべて、体積%である。
(a)〜(c)のグラフによれば、窒素N2,酸素O2,2酸化炭素CO2をそれぞれ単独でアルゴンArに混合したシールドガスを用いて溶接を行うと、溶接ビード中のブローホールの数が減少することがわかった。これは、各気体をアルゴンArにそれぞれ混合することにより、溶接中の溶融アルミの粘度が低下し、溶融アルミの対流が促進されることから、溶融アルミ中の気体(水素)が外気に逃げる確率が高くなったことによるものと推察する。
【0010】
また、窒素N2および酸素O2には、溶融金属中の水素の活量[H]を低下させる効果があり、2酸化炭素CO2もアーク中で、CO+Oと解離し、そしてCOがC+Oと解離して酸素源となるので、酸素O2と同様の効果が得られる。この水素活量[H]の低下もブローホールの低下に影響していると考えられる。
【0011】
しかし、アルゴンArに窒素N2を混合したシールドガスを用いて溶接した場合(図5の(a))、ブローホールが減少し溶接ビードの表面が光沢のある美麗なビードとなる反面、陰極点が広く動き回らずアークを硬直させてしまう為に、溶接アークも1点に集中し易く、溶接部中央が凸形状で溶接の止端部は凹形状となり、溶接部強度を低下させる欠点がある。
【0012】
また、アルゴンArに酸素O2を混合したシールドガスを用いて溶接した場合(図5の(b))には、混入の割合が約4%を越えるまではブローホールが減少し、アークの陰極点が広い範囲に分布するので溶接ビードがムラなく平滑となる反面、酸化アルミナの発生によりビード表面の光沢が無くなる欠点がある。特に、酸素O2の混入の割合が約4%を越えると、濃度に比例して溶接部の表面に酸化被膜が厚く形成されてゆくので、溶融アルミ中に発生した水素の気泡が空気中に放出されにくくなり、ブローホールの発生を抑制する効果が低下する上、ビードがシワ状となる。
【0013】
更に、アルゴンArに2酸化炭素CO2を混合したシールドガスを用いて溶接した場合(図5の(c))には、アルゴンArに酸素O2を混合したものをシールドガスとして使用した場合と同レベルまでブローホールの数を減少させるには、酸素O2を直接混合する場合に比べて数倍の量の2酸化炭素CO2をアルゴンArに混入しなければならない。
【0014】
上述のように、シ−ルドガスへの窒素N2,酸素O2又は2酸化炭素CO2の混入は、いずれもブロ−ホ−ルを低減する効果があるが、窒素N2の場合と、酸素O2又は2酸化炭素CO2の場合とでは、溶接ビ−ド外観ならびに不良ビ−ドの性格が異なる。すなわち、溶接中の溶融アルミに対して非酸化性の窒素N2がシ−ルドガスに混入すると、それが低濃度のときにはビ−ドが滑らかに光沢があるものとなるが、高濃度になると溶接部中央が凸形状(溶接の止端部は凹形状)になり易くまた分離ビ−ド(溶接不良)になり易い。これに対して、溶接中の溶融アルミに対して酸化性の酸素O2又は2酸化炭素CO2がシ−ルドガスに混入すると、ビ−ドの光沢が無くなり、低濃度のときには、ビ−ド形状が良いが、高濃度になるに従がい、酸化膜が厚くなってしわ状ビ−ドとなり、凹凸が大きくなる。
【0015】
そこで本発明では、シ−ルドガスに非酸化性の窒素N2と、酸化性の酸素O2又は2酸化炭素CO2とを同時に混入して、それらの濃度を、両者の利点が現われしかも両者の欠点が実質上現われないかもしくは相殺されるものとした。
【0016】
すなわち本発明の第1態様は、電極(8),これを包囲するプラズマノズル(5)および該プラズマノズル(5)を包囲するシールドガスノズル(10)を備える溶接トーチ(1)の、前記プラズマノズル(5)にプラズマガスを供給し、前記シールドガスノズル(10)にシールドガスを供給し、前記電極(8)とアルミニウム又はアルミニウム合金であるアルミ材(2)との間に交流アークを生起してアルミ材(2)を溶接するプラズマアーク溶接に於て、
シールドガスは、酸素0.3〜6%および窒素1〜10%を混入した、アルゴンまたはヘリュームの不活性ガスとする。なお、理解を容易にするためにカッコ内には、図面に示し後述する実施例の対応要素又は相当部分の符号を、参考までに付記した。
【0017】
これによれば、窒素および酸素の混入により、溶融アルミ中の水素活量[H]の抑制効果が上がるとともに、溶融アルミの対流が活発になり、ブローホールが低減する。さらに、窒素1〜10%の混入によるビ−ド光沢作用が、酸素0.3〜6%の混入での酸化膜による光沢低下に勝り、光沢があるビ−ドが得られる。また、窒素1〜10%の混入によるビ−ドの凸形状(溶接の止端部は凹形状)傾向が、酸素0.3〜6%の混入によるビ−ト表面の平担化効果により相殺されて、平坦(止端部が平ら)な溶接ビードが得られる。すなわち、ブローホールが少く、比較的に光沢のある比較的に平坦な溶接ビードが得られる。
【0018】
本発明の第2態様は、電極(8),これを包囲するプラズマノズル(5)および該プラズマノズル(5)を包囲するシールドガスノズル(10)を備える溶接トーチ(1)の、前記プラズマノズル(5)にプラズマガスを供給し、前記シールドガスノズル(10)にシールドガスを供給し、前記電極(8)とアルミニウム又はアルミニウム合金であるアルミ材(2)との間に交流アークを生起してアルミ材(2)を溶接するプラズマアーク溶接に於て、
シールドガスは、二酸化炭素5〜40%および窒素1〜10%を混入した、アルゴンまたはヘリュームの不活性ガスとする。
【0019】
これによっても、窒素および二酸化炭素の、溶融アルミ中の水素活量[H]の抑制効果が上がるとともに、溶融アルミの対流が活発になり、ブローホールが低減する。さらに、窒素1〜10%の混入によるビ−ド光沢作用が、二酸化炭素5〜40%の混入での酸化膜による光沢低下に勝り、光沢があるビ−ドが得られる。また、窒素1〜10%の混入によるビ−ドの凸形状(溶接の止端部は凹形状)傾向が、二酸化炭素5〜40%の混入によるビ−ト表面の平担化効果により相殺されて、平坦(止端部が平ら)な溶接ビードが得られる。すなわち、ブローホールが少く、比較的に光沢のある比較的に平坦な溶接ビードが得られる。
【0020】
【発明の実施の形態】
【実施例】
−第1実施例−
図1に本発明の第1実施例で用いたト−チ部(トーチ1)の外観を示し、図2に、図1に示すトーチ1の先端部(図1で2点鎖線2Aで囲まれた部分)の縦断面を拡大して示す。これらの図面を参照すると、トーチ1は、下端(先端)が円錐形の大略で円筒体であり、その内部の中心位置に放電電極8がある。放電電極8の側面にはガス流路があり、放電電極8の下端部(先端部)を取り囲むように配置されるチップ5との間の空間にプラズマガスを噴出する。チップ5との間の空間に噴出されたプラズマガスは、チップ5の中心開口すなわちガス噴射口5Aよりトーチ1外部に出る。チップ5の水路11には冷却水が供給される。チップ5の外周面はシ−ルドキャップ10で覆われ、チップ5とシ−ルドキャップ10の間にシ−ルドガスが供給され、チップ5の先端縁周りの、チップ5と同軸のリング状の噴出口よりシ−ルドガスが、アルミ材2に向けて出る。
【0021】
図1および図2において、トーチ1にガスを供給する制御回路及びガス供給系統は従来公知の、移行式プラズマア−ク溶接トーチのものと同様であるので、それらの図示は省略した。
【0022】
放電電極8/チップ5間にはパイロット電源55及びカップリングコイルが直列に接続されており、高周波発生器3がカップリングコイルに接続されている。また、放電電極8/アルミ材2間には、メイン電源58が直列に接続されている。
【0023】
メインアーク発生の過程の概略を説明する。以下の説明において、高周波発生器3,パイロット電源55及びメイン電源58の通電制御及び、プラズマガスとシールドガスの供給制御は、図示しない外部の制御機構が行うものである。まず、パイロット電源55が放電電極8/チップ5間に電圧を印加する。さらにガス供給系統が、放電電極8と、放電電極8の下端部(先端部)を取り囲むように配置されるチップ5との間の空間にプラズマガスを噴出する。この状態で高周波発生器3が高周波を発生すると、放電電極8の先端部とそれを取り囲むチップ5の内側面との間の空間に絶縁破壊が起こり、パイロットアークが発生する。パイロットアークが発生すると、パイロットアークを介してパイロット電源55/放電電極8/チップ5間にパイロットアーク電流が流れる。高周波電源3は、パイロットアークが発生すると高周波の発生を停止する。しかし、パイロット電源55の印加する電圧によりパイロットアーク電流は維持される。
【0024】
パイロットアークが発生した後、メイン電源58が、作業者のメイン電源投入操作に対応して、放電電極8/アルミ材2間に主プラズマ放電電圧を印加する。すなわち、作業者がパイロットアークの発生を確認し、図示しない外部の制御機構に備えられた主アークのスタートスイッチを押すと、それに応じて制御機構がメイン電源58内の出力スイッチをオン(接)にする。これにより、放電電極8/アルミ材2間に主プラズマアークが発生する。さらにガス供給系統が、チップ5とシ−ルドキャップ10の間の空間にシ−ルドガスを供給する。
【0025】
本第1実施例では、シールドガスは、アルゴンArに、窒素N2および酸素O2を混合したものである。表1には、窒素N2と酸素O2をアルゴンArにそれぞれ単独で混合し、シールドガスとして用いた比較例での、溶接ビードに与える影響の長所と短所を示す。
【0026】
【表1】
【0027】
この比較例によれば、アルゴンArに窒素N2を混合してシールドガスとして用いた場合の溶接ビード表面は光沢のある美麗なものとなる反面、平坦となりにくい。また、アルゴンArに酸素O2を混合してシールドガスとして用いた場合の溶接ビード表面は平滑であるが、混合の割合に比例してその上に形成される酸化被膜が厚くなることがわかる。
【0028】
図3には、アルゴンAr,窒素N2および酸素O2の3種類の気体を異る比率で混合したシールドガスを使用して交流プラズマ溶接を行った時のブローホールの発生個数および、ビードの状態をグラフで示す。ここで、ブローホールの個数とは、溶接ビード100mmあたりの、直径が0.3mm以上のブローホールの数である。また、各パーセンテージは、シールドガス全体100%に対するものであり、図3のグラフ中の四角の枠内に示したパーセンテージは、酸素O2の混合率である。
【0029】
ただし、図3中に点線で示すグラフは、図5の(a)に示したアルゴンArに窒素N2のみを混合した場合(比較例)のグラフを比較の為に上書きしたものであり、窒素N2の混合比率のうち、光沢のあるビードが得られる2%以下の範囲ではブローホールが10個より少くならないことが分かる。すなわち、アルゴンArと窒素N2よりなるシールドガスを用いた溶接においては、光沢があり、しかもブローホールが少い溶接ビードを得ることは困難であることを表している。
【0030】
そこで第1実施例においては、アルゴンArに窒素N2および酸素O2を混合し、その気体をシールドガスとして用いて前述の過程でプラズマ溶接を行った。その混合の割合は、シールドガス全体100%のうち、酸素O2を0.3%として窒素N2を1%,2%および5%とした3点、酸素O2を2%として窒素N2を1%,2%,5%および8%とした4点、ならびに、酸素O2を6%として窒素N2を5%,8%,10%および13%とした4点、計11点とした。これらの溶接結果の評価を図3上に示す。これより、図3中において斜線で塗りつぶした領域Aで、ブロ−ホ−ルが少く、しかもビ−ド光沢が良く、ビ−ドの平担度が高い。すなわち、アルゴンに酸素0.3〜6%および窒素1〜7%を混入したシ−ルドガスを用いることにより、ブロ−ホ−ルが少く、光沢が比較的にあり、しかもビ−ド止端部が比較的に平担な溶接ビ−ドが得られる。窒素7〜10%の範囲では、ビ−ド止端部が多少凹となるが、中間部では平担であり、止端部の多少の凹が格別に問題にならない用途において、十分な溶接品質が得られ、実用性が高い。すなわち酸素0.3〜6%および窒素1〜10%の範囲であれば、ブロ−ホ−ルが少く、比較的に光沢があり、分離(不良ビード:分離ビード)のない溶接ビ−ドが得られる。なお、シ−ルドガスの主成分をアルゴンに代えてヘリュ−ムにしても同様な効果を期待できる。
【0031】
−第2実施例−
第2実施例は、図1及び図2に示したトーチ1を用いて第1実施例とは異るシ―ルドガスを使用したものである。すなわち第2実施例では、シールドガスを、アルゴンArに窒素N2および2酸化炭素O2を混合したものを使用した。シールドガス以外は第1実施例に準じるものであるので、説明を省略する。
【0032】
図4には、アルゴンAr,窒素N2および2酸化炭素CO2の3種類の気体を異る比率で混合したシールドガスを使用して交流プラズマ溶接を行った時のブローホールの発生個数および、ビードの状態をグラフで示す。ここでも、ブローホールの個数とは、溶接ビード100mmあたりの直径が0.3mm以上のブローホールの数である。また、各パーセンテージは、シールドガス全体100%に対するものであり、図4のグラフ中の四角の枠内に示したパーセンテージは、2酸化炭素CO2の混合率である。
【0033】
ただし、図4中に点線で示すグラフは、図5の(a)に示したアルゴンArに窒素N2のみを混合した場合のグラフを、比較の為に上書きしたものであり、アルゴンArと窒素N2よりなるシールドガスを用いた溶接においては、光沢がありしかもブローホールが少い溶接ビードを得ることは困難であることを表している。
【0034】
そこで第2実施例においては、アルゴンArに窒素N2および2酸化炭素CO2を混合し、第1実施例と同じ過程でアルミ材のプラズマ溶接を行った。その混合の割合は、シールドガス全体100%のうち、二酸化炭素CO2を5%として窒素N2を1%,2%および5%とした3点、二酸化炭素CO2を20%として窒素N2を1%,2%,5%および8%とした4点、ならびに、二酸化炭素CO2を40%として窒素N2を5%,8%,10%および13%とした4点、計11点とした。これらの溶接結果の評価を図4上に示す。これより、図4中において斜線で塗りつぶした領域Aで、ブロ−ホ−ルが少く、しかもビ−ド光沢が良く、ビ−ドの平担度が高い。すなわち、アルゴンに二酸化炭素5〜40%および窒素1〜7%を混入したシ−ルドガスを用いることにより、ブロ−ホ−ルが少く、光沢が比較的にあり、しかもビ−ド止端部が比較的に平担な溶接ビ−ドが得られる。窒素7〜10%の範囲では、ビ−ド止端部が多少凹となるが、中間部では平担であり、止端部の多少の凹が格別に問題にならない用途において、十分な溶接品質が得られ、実用性が高い。すなわち二酸化炭素5〜40%および窒素1〜10%の範囲であれば、ブロ−ホ−ルが少く、比較的に光沢があり、分離(不良ビード:分離ビード)のない溶接ビ−ドが得られる。なお、シ−ルドガスの主成分をアルゴンに代えてヘリュ−ムにしても同様な効果を期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用する1つのプラズマト−チ1の外観を示す平面図である。
【図2】図1に示すトーチ1の先端部(2点鎖線2Aで囲まれた部分)の拡大縦断面図である。
【図3】本発明の第1実施例のアルゴンAr,窒素N2および酸素O2の3種類の気体を異る比率で混合したシールドガスを用いて溶接を行った時のブローホ―ルの発生個数および、ビードの状態を表すグラフである。
【図4】本発明の第2実施例のアルゴンAr,窒素N2および2酸化炭素CO2の3種類の気体を異る比率で混合したシールドガスを用いて溶接を行った時のブローホールの発生個数および、ビードの状態を表すグラフである。
【図5】(a)はアルゴンArに窒素N2を異る比率で混合した時のブローホールの発生個数および、ビードの状態を表すグラフ、(b)はアルゴンAr,に酸素O2を異る比率で混合した時のブローホールの発生個数および、ビードの状態を表すグラフ、(c)はアルゴンArに2酸化炭素CO2を異る比率で混合した時のブローホールの発生個数および、ビードの状態を表すグラフである。
【符号の説明】
1:トーチ 2:アルミ材
5:チップ 5A:噴射口
8:放電電極 10:シールドキャップ
55:パイロット電源 58:メイン電源
Claims (2)
- 電極,これを包囲するプラズマノズルおよび該プラズマノズルを包囲するシールドガスノズルを備える溶接トーチの、前記プラズマノズルにプラズマガスを供給し、前記シールドガスノズルにシールドガスを供給し、前記電極とアルミニウム又はアルミニウム合金であるアルミ材との間に交流ア−クを生成してアルミ材を溶接するプラズマアーク溶接に於て、
シールドガスは、溶融アルミ中の水素活量を抑制し溶融アルミの対流を活発にししかも窒素の混入によるビードの凸形状傾向を相殺して平坦なビードを得る酸素0.3〜6体積%と、溶融アルミ中の水素活量を抑制し溶融アルミの対流を活発にししかも酸素の混入による光沢低下に勝り光沢があるビードを得る窒素1〜10体積%とを混入した、アルゴンまたはヘリュームの不活性ガスであることを特徴とするアルミ材の交流プラズマ溶接方法。 - 電極,これを包囲するプラズマノズルおよび該プラズマノズルを包囲するシールドガスノズルを備える溶接トーチの、前記プラズマノズルにプラズマガスを供給し、前記シールドガスノズルにシールドガスを供給し、前記電極とアルミニウム又はアルミニウム合金であるアルミ材との間に交流ア−クを生成してアルミ材を溶接するプラズマアーク溶接に於て、
シールドガスは、溶融アルミ中の水素活量を抑制し溶融アルミの対流を活発にししかも窒素の混入によるビードの凸形状傾向を相殺して平坦なビードを得る二酸化炭素5〜40体積%と、溶融アルミ中の水素活量を抑制し溶融アルミの対流を活発にししかも二酸化炭素の混入による光沢低下に勝り光沢があるビードを得る窒素1〜10体積%とを混入した、アルゴンまたはヘリュームの不活性ガスであることを特徴とするアルミ材の交流プラズマ溶接方法。
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