JP3614594B2 - 液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光の散乱膜を設けて視野角を拡大するとともに表示品位を向上させた、反射型の液晶表示装置に係わり、特に、PDA、個人携帯情報機器向けの液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置は、一般に、透明電極を備える二枚の電極板の間に液晶を挟持させて構成されるもので、この透明電極間に電圧を印加して液晶を駆動させてこの液晶を透過する光の偏光面を制御し、偏光膜によってその透過または不透過を制御して画面表示するものである。
【0003】
そして、このような液晶表示装置の表示に充分な明るさを得るため、液晶表示装置の面ないし側面に光源(ランプ)を配置したバックライト型やライトガイド型のランプ内蔵式の透過型液晶表示装置が広く利用されている。
【0004】
この透過型液晶表示装置は、ランプによる電力の消費が大きく、液晶表示装置以外の他の表示装置(CRT、PDP等)と大差ない消費電力となっており、低消費電力でしかも携帯可能であるという液晶表示装置本来の特徴を損なっている。
【0005】
一方、反射型液晶表示装置は、液晶表示装置の透過光として室内光や外光を使用するもので、ランプを内蔵しておらず、低消費電力の理想的な表示装置となっており、軽量で携帯用としても便利なものである。
【0006】
このような反射型液晶表示装置においては、この表示装置を観察する観察者の位置とは反対側の電極板(走査側電極板)の基板上の全面に一様に上記室内光や外光を反射する金属薄膜を備えるか、あるいは反射膜を別の基板上の全面に一様に設けて上記基板裏面に配置することが普通である。例えば、カラー表示液晶ディスプレイにおいては、上記走査側電極板の基材上に金属反射膜を設け、この金属反射膜上に、透過光を着色するカラーフィルター層を介して透明電極を設けて上記走査側電極板としていた。
【0007】
また、金属反射膜を、液晶駆動のための上記電極と同一パターンに構成し、この液晶駆動用電極として利用する方法も提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
図3に示す従来の技術、すなわち散乱膜25を反射性金属薄膜22上に形成する技術では、液晶23を駆動するための透明電極29が必要である。また、図4に示す従来の技術、すなわち、例えば樹脂ビーズを含めること等で表面を粗した塗膜30の上に反射性金属薄膜32を形成する技術においても、平坦化膜36を形成した上にさらに液晶33を駆動するための透明電極39が必要になる。
【0009】
そこで本発明者らは、観察基板側に光の散乱層を配設する技術を、特開平7−28055号公報にて提案したものである(図2を参照)。図2に示す、本発明者らの技術は、反射性金属薄膜を反射電極2として使うため、図3、図4に示した透明電極29および透明電極39は不必要となり、コスト的メリットが大きいといえる。
【0010】
すなわち、本発明者らが、既に提案した技術によると、図2に示すごとく、透明電極4が観察者側基板7のみで良く、背面側基板1に形成する必要がない。なぜならば、反射電極2が反射板を兼用し、対向側の透明電極を形成しなくてよいためである。また、散乱膜5を、液晶セルの内面に形成することにより、光のスイッチである液晶3との位置ズレが小さくなり、高精細表示に向く構成となっているものである。
【0011】
しかし、本発明者らの技術は、図2に示すように、散乱膜5からの反射光である後方散乱光9が大きいと白っぽくなり、表示品位を大きく低下させる問題があった。後方散乱光9は、液晶3という光のスイッチを介さないため、表示においてノイズ光となり、液晶表示のコントラストを低下させてしまう。
【0012】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、本発明の課題とするところは、コスト的に有利な単純な構成でありながら、前方散乱光を大きく、後方散乱光を小さくして、最適な表示効果をもつ反射型液晶表示装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
一般に、紙に印刷された印刷物のコントラスト値は、およそ10〜20程度である。ちなみに、新聞紙の文字のコントラスト値は、およそ5程度である。透過型のカラーTFT液晶表示装置は、暗室下でのコントラスト値は 100〜 200程度と高いが、明るい室内では、蛍光灯等の外光の影響を受け、そのコントラスト値は10〜20程度に低下してしまう。
【0014】
本発明者らは、こうした分析により、液晶表示装置の広視野角化、あるいは、反射型液晶表示装置のペーパーライクな表示のため用いる散乱膜は、その散乱膜に入射した光の〔前方散乱光/後方散乱光〕の比が少なくとも20より大きいことが必要であることを見いだした。換言すれば、散乱膜起因のノイズ光である後方散乱光は20分の1、すなわち5%より小さいことが望ましいことになる。
【0015】
逆に、これが5%より大きいと、これを用いた液晶表示装置は、20のコントラスト値が散乱膜により確保ができなくなってしまう。なお、前方散乱光、後方散乱光は、本発明者らが提案する構成の液晶表示装置の一例を示す断面図、すなわち図2でいえば、散乱膜5を通過する有効光が前方散乱光10であり、不必要に戻ってくる光が、後方散乱光9となる。
【0016】
一般に、前方散乱光は、図8に示す透過散乱光88の積分値を、また、後方散乱光は、図8に示す、戻ってくる反射散乱光87の積分値を意味する。本発明者らは、図2に示す実際の反射型液晶表示装置の構成を考慮して、入射光93が光スイッチである液晶3を介して戻ってくる、表示に有効な光を有効散乱光95と定義し、かつ、散乱材料のみからの不必要な散乱光をノイズ散乱光(後方散乱光9)と定義する。但し、ノイズ散乱光(後方散乱光9)には、基板表面からの反射光成分94を含めないものである。
【0017】
反射型液晶表示装置では、液晶、偏光フィルム、およびパネル表面等からのノイズ光があるため、20のコントラスト値を確保するためには、以下の(数1)に示すように、〔有効散乱光/ノイズ散乱光〕の比が20より大きいことが少なくとも必要となる。
【0018】
【数1】
【0019】
【0020】
なお、本発明では、〔有効散乱光/ノイズ散乱光〕の強度比を計算するにあたって、樹脂表面(塗膜状態のair媒質での表面)の反射光成分94を除いて、散乱膜中に含まれる散乱材料起因のノイズ散乱光のみを考慮の対象とした。この理由は、本発明者らが提案する液晶表示装置の構成では、散乱膜が、ガラス等の基板、カラーフィルター、あるいは液晶といった屈折率1.5〜 1.6程度の材料と接する液晶セル内填型の構成であり、樹脂表面の反射光をほとんど無視して良いためである。
【0021】
光の散乱材として、光学的に等方でない透明顔料を用いると、偏光フィルムを通過して偏光のそろった光が偏光くずれを起こし、光モレを生じ、さらにコントラストの低下を起こしてしまう。
【0022】
このため、本発明者らが提唱する構成の液晶表示装置において、散乱材として用いる透明顔料は、光学的に等方性であることが必要である。
すなわち、本発明は、光の散乱膜と液晶を駆動するための透明電極とをこの順で透明基板上に配設した観察者側基板と、液晶を駆動するための反射電極を配設した背面側基板との間に液晶を挟持せしめた反射型液晶表示装置において、散乱膜が、光学的に等方性の結晶構造をもつか、あるいは、非晶質の透明顔料を、樹脂中に分散せしめた散乱膜としたことを特徴とする液晶表示装置である。
【0023】
等方性の材料として、等軸晶(立方晶)のように、a軸、b軸、c軸の長さが等しいもの、また、非晶質で結晶構造をもたないものがある。等軸晶の代表的なものに、金属酸化物の中では酸化セリウムがある。
また、酸化チタンや酸化ジルコニウム等も、非晶質の酸化物として造粒すれば使用可能である。次いで、非晶質材料としては、樹脂の粉末、マイクロカプセル、酸化珪素、あるいは各種ガラス粉末などが使用可能である。また、金属酸化物の他、フッ化物、硫化物、窒化物等の透明無機物を使用しても良い。
【0024】
散乱膜は、透明樹脂中に、この透明樹脂と屈折率の差のある無機や有機の透明顔料を分散させて光を散乱させることが簡便である。この場合に、透明顔料は、透明樹脂より屈折率の低いもの、または屈折率の高いもの両方が使用できる。
【0025】
しかし、透過型、反射型に限らず、液晶表示装置においては、パネルの中央方向に光が集まり、観察者の目に明るく見えることが好ましいといえる。このため、散乱膜に含まれる透明顔料は高屈折率とし、かつ、可視光の波長より少し大きめの粒径とすることにより、効果的な散乱効果と若干の集光効果とをともに付与できることを、本発明者らは見いだした。
【0026】
可視光の青の波長は約 0.4μmであり、緑は約0.55μm、赤の可視域の最長波長は約 0.7μmである。従って、透明顔料の最小の平均粒径は 0.4μmとなる。これより大きい粒径の透明顔料であっても、散乱膜の中に、厚み方向に1個ないし10個入れることにより散乱効果を出すことはできる。しかし、透明顔料の粒径が4μmより大きくなると、以下の問題をもたらすものである。
すなわち、
(1)散乱膜の表面の凹凸が大きくなり、平坦化しづらくなる。すなわち、液晶の配向不良をもたらす。
(2)また、透明顔料の粒径が4μmより大きいと、散乱膜自体を10μm以上とかなり厚く形成せざるを得ず、不経済である。
(3)液晶のギャップが4μm前後であるので、これより大きな粒子が含まれると、液晶パネルの対向ショート(電気的短絡)の不良原因となる可能性がでてくる、等の問題である。
【0027】
上記(1)〜(3)の理由により、4μm以上の粒径の粒子が散乱膜に多く含まれることは好ましくない。また、高屈折率の透明顔料の粒度分布が単分散に近い方が、後方散乱が低くなることも、本発明者らは見いだしている。さらに、透明樹脂の屈折率は、 1.3〜1.7の範囲内にあり、高屈折率透明顔料は 1.8より高屈折率であることが必要である。
【0028】
すなわち、本発明は、さらに散乱膜が、平均粒径 0.4〜4μmの範囲にあり、かつ、屈折率が 1.8より高い高屈折率の透明顔料を、屈折率1.3〜1.7の透明樹脂中に分散せしめた散乱膜であることを特徴とする。
【0029】
次いで、適度な光散乱性と、小さいノイズ散乱光を得るためには、高屈折率の透明顔料の粒子間距離を若干量とった方が良いといえる。なぜならば、高屈折率の透明顔料を高密度につめると、ノイズ散乱光が増加するためである。このため、例えば、分散させる樹脂に近い屈折率をもち、かつ、光の波長レベルの粒径をもつ透明顔料を、高屈折率透明顔料とともに分散させることは、高屈折率透明顔料の粒子間距離を確保するために有効である。
【0030】
したがって、本発明は、散乱膜が、樹脂に近い屈折率を有する透明顔料と樹脂より高い屈折率を有する透明顔料とを透明樹脂中に分散せしめた散乱膜であることを特徴とする。
【0031】
散乱膜は、これに分散される透明顔料の粒形、粒度分布、表面性状、添加割合によっては、その膜の表面に、液晶配向に支障がでるような凹凸を形成することがある。したがって、液晶配向に問題がでないよう、散乱膜表面を平坦化する必要がある。
【0032】
【0033】
次いで、光を散乱させるためには、前述したようにその散乱材の径としては、光の波長レベルの大きさがある方が好ましく、また、光学的に等方性であることが必要である。また、同様に、分散させるマトリックス(母材)である樹脂との屈折率差は、ある程度必要である。例えば、SiO2 (酸化珪素)は光学的に等方性の材料として1μm〜 0.4μm径のパウダー(粉末)で入手できるが、樹脂との屈折率差が小さく、散乱材の主材料として用いることが難しい。このため、本発明者らは鋭意検討し調査、開発したところ、酸化セリウム(セリア)のパウダーが入手および調整可能であり、良好な光学特性を得ることが可能であることを見いだした。
【0034】
すなわち、本発明は、散乱膜が、散乱効果を付与するための透明顔料として少なくとも酸化セリウムのパウダーを含有することを特徴とする。
【0035】
本発明において、背面側基板の電極を、アルミニウムないしアルミニウム合金の薄膜、あるいは、金属酸化物で挟持した銀合金の薄膜(例えば、1500Åの膜厚)とすると、これらは光の反射率の高い反射電極となる。これらの電極は、反射型液晶表示装置として使用できる。
【0036】
【0037】
本発明の液晶表示装置は、背面側基板の電極を、ITOと呼ばれる酸化インジウムと酸化スズの混合酸化物の他、〔透明薄膜/金属薄膜/透明薄膜〕とした3層構成の電極を用いても良い。また、この3層構成において、金属薄膜を膜厚 500Å〜2000Å(あるいは2000Å以上)とすれば反射電極として用いることができる。
【0038】
【0039】
上記3層構成での電極の金属薄膜は、銀ないし、銀合金とすることが高透過率を確保する上で好ましい。透明電極もしくは電極の信頼性を得るための合金元素は、Cu(銅)、Au(金)が好ましい。また、この他に、Ni(ニッケル)、Ti(チタン)、Mg(マグネシウム)、Al(アルミ)等を少量添加しても良い。
【0040】
電極を光の反射電極として用いる場合も同様、これらの金属を合金元素と添加することが良い。特に、AuはAgと、その添加量によらず全域で溶け合うため、銀合金薄膜の光学特性を低下させることが少ない。この意味で、添加元素としては、Auが最も好ましい。
【0041】
上記3層構成での電極の透明薄膜を、高屈折率材料で形成した場合、光学特性(透過率もしくは反射率)を最適化するための膜厚は、低屈折率の材料である場合よりも薄くてすむ。このため、上記3層構成での電極の透明薄膜は、高屈折率材料である方が好ましい。高屈折率材料には、TiO2 、CeO2 、ZnS、ZrO2 、HfO2 、Ta2 O5 等がある。これらの1種あるいは2種以上を、導電性酸化物、例えばIn2 O3 、SnO2 、ZnO等と混ぜ混合酸化物とし、透明薄膜として形成すれば良い。また、これら金属薄膜や透明薄膜の形成の手法は、蒸着やスパッタリング等の真空成膜が好ましい。
【0042】
本発明に用いることの可能な基板は、観察者側基板であれば、透明なもので、かつ、液晶封入に問題のない材料であれば良く、ガラス、樹脂フィルム等材質を限定しない。また、TFT(薄膜トランジスタ)等のアクティブ素子、カラーフィルター、光の散乱膜、AG(アンチグレアー)膜、AR(反射防止)膜等を形成した基板であっても良い。位相差フィルム、λ/4板、ディスコティック液晶フィルム、XY波合成フィルム、調光フィルム、または、回折格子等を積層した偏光フィルムそのものを基板としてもよい。
【0043】
同様に、本発明による背面側基板は、上記観察者側基板と同様、透明な基板を用いることができる。また、反射型の液晶表示装置であれば、白色、黒色、メタリック色調、その他に着色した基板を用いることが可能であり、観察者側基板と同様、TFT、MIM等のアクティブ素子を形成しても良い。さらにまた、電極に接する形で、λ/4板等の位相差フィルムを形成しても良い。
【0044】
本発明に用いることの可能な液晶は、TN、STN、HAN、BTN、GH、強誘電、反強誘電、ディスコティック、ゲストホスト、高分子分散型、
および壁構造型の液晶であり、いずれも使用可能である。
【0045】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態の一例を、以下の実施例に記す。
<実施例1>
実施例に係わる液晶表示装置は、図1に示すように、光の散乱膜15と透明電極14とが積層された観察者側基板16と、透明基板11の上に光の反射電極12が配設された背面側基板19とによって、液晶13が挟持された構成である。透明基板17の上には、AR兼用AG膜、偏光板、および旋光補償位相差フィルム等からなる偏光フィルム18が形成されている。
【0046】
散乱膜15は、平均粒径 0.7μmのCeO2 (酸化セリウム、ニセリア)パウダーを固形比の重量比で25%、SiO2 (酸化珪素)パウダー(平均粒径 0.8μm)を固形比の重量比で25%、残りを透明樹脂(屈折率1.41のフッ素系樹脂)となるよう、膜厚約 1.5μmで、透明基板17上に形成したものである。散乱膜15上にはさらに、CeO2 、SiO2 パウダーを含まない透明樹脂(屈折率1.41)のみにて膜厚約 1.5μmの平坦化膜46を形成し、あわせて膜厚約3μmの散乱膜としてある。散乱膜は、スピンコーターにて塗布し、オーブンで硬膜したものである。
【0047】
そして、透明電極14は、膜厚 250nmのITO(酸化インジウムと酸化スズの混合酸化物)にて、幅 100μm、ピッチ 110μmのストライプパターン状に形成している。反射電極12は、幅 320μm、ピッチ 330μmのストライプパターン状とし、透明電極14と直交する方向にパターン形成されている。また、反射電極12は3層構成としている。すなわち、上側(液晶13と接する側)を膜厚75nmの透明酸化物薄膜、下側(基板11と接するする側)を膜厚20nmの透明酸化物薄膜としており、上下の透明酸化物薄膜にて、膜厚 150nmの銀合金薄膜を挟持した3層構成である。
【0048】
透明酸化物薄膜は、酸化セリウムを金属元素換算(酸素原子をノーカウントとする)の原子パーセント(at%)で20at%含む、酸化インジウムとの混合酸化物であり、その透明酸化物薄膜の屈折率は約 2.2であった。また、銀合金薄膜の組成は、Au(金)を 2at%、Cu(銅)を 0.5at%含む銀合金とした。
【0049】
上述した当実施例に記した液晶表示装置を、実際に駆動させて表示品位を確認したところ、コントラスト値は約8、反射率は20%を越え、目視レベルでは新聞紙に近い良好な表示品位が確認できた。当実施例の液晶表示素子の光の散乱カーブ91を図9に示した。前記散乱カーブ91は変角光度計により測定したもので、裏面にAl(アルミ)反射板を外付けタイプで貼付けした従来の液晶表示素子での散乱カーブ92とほぼ同等である。なお、正反射成分が入らないよう、パネルは5°傾けて測定した。また、図9のグラフ図の横軸は視野角(角度)を、縦軸は明るさ(光度)を対数で示している。
【0050】
<実施例2>
図5、図6、および図7は、有効散乱光およびノイズ散乱光の測定に用いた試料の構成を示す断面図である。なお、以下に記す測定には、積分球を用いた。図5に示すように、反射電極52上に、上記(実施例1)と同様に散乱膜55を直接形成した。すなわち、散乱膜55は、上記(実施例1)で形成した散乱膜15、平坦化膜46と同様に形成された散乱膜54、平坦化膜53にて構成されている。次いで入射光56を光照射し、積分球により、当試料面での反射光57を測定した。このとき、反射光57は、以下の(数2)となる。
【0051】
【数2】
【0052】
図6に示すように、有効散乱光成分をカットするため、黒色塩化ビニルテープ62(あるいは、偏光フィルムを直交させて貼り合わせたもの)を光吸収のため貼り付けした後、入射光56を光照射し、基板61(ガラス)上の反射光67を測定した。なお、図6の散乱膜65は、上記(実施例1)で形成した散乱膜15、平坦化膜46と同様に形成された散乱膜64、平坦化膜63にて構成されている。
このとき、反射光67は、以下の(数3)となる。
【0053】
【数3】
【0054】図7は、樹脂の膜の表面反射光を測定するための試料で、基板71上に樹脂膜73を形成し、裏面に黒色塩化ビニルテープ72(あるいは、偏光フィルムを直交させて貼り合わせたもの)を貼り付けした後、入射光56を光照射し反射光77を測定した。なお、樹脂膜73は、上記(実施例1)で形成した平坦化膜46と同様に形成した。このとき、反射光77は、以下の(数4)となる。
【0055】
【数4】
【0056】よって以上の、(数2)、(数3)および(数4)の式より、〔有効散乱光/ノイズ散乱光〕の比は以下の(数5)で求められる。
【0057】
【数5】
【0058】
当実施例においては、硫酸バリウム基準片の反射率を 100%として、光波長 550nmにて、上述した各測定値より、
〔有効散乱光〕 = 78.1 %
〔ノイズ散乱光〕= 1.5 %
〔表面反射光〕 = 3.8 %
が求まるものである。
【0059】よって、以下の(数6)に示すように、
〔有効散乱光/ノイズ散乱光〕の比は50.76となり、良好な値が得られた。
【0060】
【数6】
【0061】
つまり、本発明の散乱膜を使用することにより、液晶表示装置表面の反射や、液晶、偏光フィルムを起因とするその他のノイズ光を無視すれば、50以上のコントラスト値が可能となる。
【0062】
なお、本発明者らは、散乱材料の酸化セリウムパウダーによる偏光解消(偏光くずれ)も 0.2%以下で、ほぼ問題ないことも確認している。
【0063】
【発明の効果】
本発明によれば、後方散乱が小さく、高コントラストの確保が可能で、かつ、光の散乱性の良い散乱膜を、反射電極と別付けできるため、液晶配向に支障のない、広視野の表示特性に優れた液晶表示装置が提供できることになる。
【0064】
本発明によれば、偏光を用いる液晶表示装置において、偏光解消を生じないため、コントラスト低下を防ぐ効果がある。
また、散乱材料や散乱材料の粒径等を最適化するために、散乱性の良い散乱膜をもつ液晶表示装置を提供することになる。
【0065】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示装置の一実施例の断面を示す説明図。
【図2】本発明の液晶表示装置の一実施例の要部を示す説明図。
【図3】散乱膜を反射電極上に積層した従来の反射型液晶表示装置の例を示す断面図。
【図4】凹凸による表面散乱を用いた従来の反射型液晶表示装置の例を示す断面図。
【図5】本発明の実施例に用いた試料の断面図。
【図6】本発明の実施例に用いた試料の断面図。
【図7】本発明の実施例に用いた試料の断面図。
【図8】本発明の実施例に用いた試料の断面図。
【図9】本発明による散乱膜を用いた液晶セル構成での光散乱性を、液晶表示装置の裏面にAl反射板を貼り付けた液晶セル構成の光散乱性と比較した例を示すグラフ図。
【符号の説明】
1、11、21、31、51、61、71、81 基板
17、27、37 基板
2、12、52 反射電極
3、13、23、33 液晶
4、14、24、29、34、39 透明電極
5、15、25、54、55、64、65、84、85 散乱膜
26、36、46、53、63、83 平坦化膜
7、16 観察者側基板
18、28、38 偏光フィルム
19 背面側基板
9 後方散乱光
10 前方散乱光
22、32 反射性金属薄膜
30 塗膜
56、93 入射光
57、67、77 反射光
62、72 黒色塩化ビニルテープ
73 樹脂膜
91、92 散乱カーブ
87 反射散乱光
88 透過散乱光
94 反射光成分
95 有効散乱光
Claims (2)
- 光の散乱膜と液晶を駆動するための透明電極とをこの順で透明基板上に配設した観察者側基板と、液晶を駆動するための反射電極を配設した背面側基板との間に液晶を挟持せしめた反射型液晶表示装置において、
散乱膜が、光学的に等方性の結晶構造をもつか、あるいは、非晶質の透明な粉末を樹脂中に分散せしめた散乱膜であり、前記樹脂を屈折率1.3〜1.7とし、前記粉末を平均粒径0.7μmの酸化セリウムおよび平均粒径0.8μmの酸化珪素とした散乱膜であることを特徴とする反射型液晶表示装置。 - 前記樹脂を屈折率1.41のフッ素系樹脂としたことを特徴とする請求項1に記載の反射型液晶表示装置。
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