JP3614255B2 - 光電子増倍管 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光電子増倍管に係り、特に、電子増倍部に入射した電子を多段に積層させたダイノードで増倍させる大型の光電子増倍管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の光電子増倍管として、特開昭59−151741号公報に記載したものが知られている。この光電子増倍管は、有底円筒状の真空容器の一端に形成された光電面と、入射した光電子を増倍させて複数のダイノードを積層した電子増倍部と、電子増倍部で増倍された電子を出力信号として収集する網状のアノード(陽極)と、平板状の最終段ダイノード(反転型ダイノード)とを備えている。従って、光電面から放出された光電子は、電子増倍部で増倍し、最終段ダイノードで反射した後、出力信号としてアノードで収集される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の光電子増倍管は、上述したように構成されているため、次のような課題が存在していた。
【0004】
すなわち、光電子増倍管の電子増倍部は多段のダイノードからなるため、光電子増倍管のサイズが小さい場合、例えば密封容器の直径が2インチ以下の場合には、各ダイノード自体の直径もあまり大きくならず、それ自体で所望の剛性を持たせることができ、各ダイノードを組み上げて電子増倍部にした場合でも、所望の剛性が得られる。しかし、密封容器の直径が3インチ以上になると、各ダイノードが大型化すると、各ダイノード自体が捩れたり撓んだり変形し易く、しかも、各ダイノードを組み上げて電子増倍部にした場合でも、所望の剛性が得られ難い。従って、この状態のままでは、光電子増倍管を製造する際の熱に対して変形が起こり易く、一定の特性を確保し難いといった問題点があった。
【0005】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、電子増倍部の変形を防止すると同時に、陽極でのユニフォミティを良好にすることができる光電子増倍管を提供することをその目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る本発明の光電子増倍管は、密封容器内で複数段に積層された電子増倍部のダイノードにより増倍させた電子を、最終段ダイノードで反射させた後、出力信号として陽極で収集する光電子増倍管において、各段のダイノードは、電子を収束させるメッシュ状の収束メッシュ電極と、2次電子面を有すると共に各ダイノードの最外郭に形成した縁部に架け渡した第1の補強バーを有するコースメッシュ電極と、収束メッシュ電極とコースメッシュ電極との間に配置されると共にコースメッシュ電極の第1の補強バーと重なり合う第2の補強バーを有するスペーサ電極との組からなり、収束メッシュ電極には、第1の補強バーと第2の補強バーとからなるダイノード補強バーにより形成される不感領域に対応させて、2次電子放出部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
この光電子増倍管においては、収束メッシュ電極とコースメッシュ電極とスペーサ電極とで一組をなすダイノードを、第1の補強バーと第2の補強バーとからなるダイノード補強バーにより補強することで、熱によるダイノードの捩れや撓み変形に強く耐震性の良い構造が確保される。また、ダイノード補強バーを各ダイノードに設けることで、このダイノード補強バー近傍で2次電子が発生せず、不感領域となってしまい、これが原因で陽極でのユニフォミティが悪くなり、陽極での出力の落ち込みを生じさせる。そこで、ダイノード補強バーによる不感領域に対応して、収束メッシュ電極に2次電子放出部を設ける。その結果、収束メッシュ電極でも2次電極を発生させることができ、陽極での出力の落ち込みを補うだけの増倍電子を発生させることが可能になる。
【0008】
この場合、スペーサ電極の第2の補強バーに2次電子面が形成されると好ましい。このような構成を採用した場合、スペーサ電極の第2の補強バーで2次電極が消失することがなく、効率よく電子を増倍させることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面と共に本発明による光電子増倍管の好適な一実施形態について詳細に説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る光電子増倍管を示す断面図である。同図に示す光電子増倍管1は密封容器2を有し、この密封容器2は、コバール金属からなる円筒状の側管3を有している。この側管3の頂部には、側管3の上側開放端を塞ぐように、略8インチの直径をもつ大型のガラス製受光面板4が高周波溶接により固定されている。更に、側管3の下部には、側管3の下側開放端を塞ぐように、ガラス製のステム5が高周波溶接により固定されている。そして、受光面板4の内面には、入射光により光電子を発生させるための光電面4aが形成され、ステム5の中央には、密封容器2内にアルカリ金属蒸気を注入するためのガラス製チューブ6がステム5と一体に形成されている。
【0011】
この密封容器2内には、光電面4aからの電子を多段増倍させるための電子増倍部7が配置され、電子増倍部7は、11段に積層された11枚の円板状のダイノード8と、11段目のダイノード8の下方に設けらた最終段ダイノード(反転型ダイノード)9とからなる。そして、各段のダイノード8及び最終段ダイノード9は、ステム5を貫通して環状に配列された複数のピン33aにより所定の電圧が印加される。最終段ダイノード9と11段目のダイノード8との間には、マトリックス状に配列された複数本のXアノード10aと複数本のYアノード10bとからなるクロスワイヤ型アノード(陽極)10が配置されている。各Xアノード10a及び各Yアノード10bは、ステム5を貫通して環状に配列された複数のピン33bに接続され、各ピン33bを利用することで、アノード出力が外部に送出される。なお、符号34は、光電面4aからの光電子を収束させるためのリング状収束電極である。
【0012】
図2に示すように、各段のダイノード8は、電子を収束させるメッシュ状の収束メッシュ電極11と、2次電子面を有するコースメッシュ電極12と、収束メッシュ電極11とコースメッシュ電極12との間に配置されて、これらの間隔を保持するためのスペーサ電極13との組からなる。図3に示すように、収束メッシュ電極11は、最外郭に直径約200mmで厚み0.15mm程度のリング状縁部11aを有し、この縁部11aには、8個の位置決め用耳部11bが等間隔に形成されている。更に、縁部11a内はハニカム状のメッシュ11cとなっている。図4に示すように、コースメッシュ電極12は、収束メッシュ電極11と同じ大きさの直径で厚み0.2mm程度のリング状縁部12aを有し、この縁部12aには、8個の位置決め用耳部12bが等間隔に形成されている。更に、縁部12a内には等間隔に配列された平行メッシュ12cが張られている。
【0013】
図5に示すように、スペーサ電極13は、収束メッシュ電極11及びコースメッシュ電極12と同じ大きさの直径で厚み0.6mm程度のリング状縁部13aを有し、この縁部13aには、8個の位置決め用耳部13bが等間隔に形成されている。なお、厚み0.3mmのスペーサ電極13を2枚重ねる場合もある。
【0014】
そして、収束メッシュ電極11とコースメッシュ電極12とでスペーサ電極13を挟み込み、これら電極11,12及び13を導電状態にすることで、同電位を可能にした一組のダイノード8が作り出される。このとき、ダイノード8は薄くて大きなリング体をなしているので、捩れや撓みに弱く、変形を起こし易い構造になる。そこで、コースメッシュ電極12に4本の第1補強バー12dを設け、各第1補強バー12dは、縁部12aの内側において、平行メッシュ12cに対して直交する方向に等間隔で張られている。更に、ダイノード8の強度をアップさせるために、スペーサ電極13にも4本の第2補強バー13dが設けられ、各第2補強バー13dは、コースメッシュ電極12の各第1補強バー12dに重なるように配列されると共に、ダイノード8の組立てに際して、各第1補強バー12dに溶接される。
【0015】
このように、収束メッシュ電極11とコースメッシュ電極12とスペーサ電極13とからなる3枚一組のダイノード8は、図6に示すように、それぞれの耳部11b,12b,13bを揃えるようにして組付けられ、各ダイノード8は、図1に示すように、アノード10の上方で11段に重ねられている。この場合、図示しない連結ピンを、各ダイノード8のそれぞれの耳部11b,12b,13bに通すことで、各ダイノード8は位置決めされつつ多段に積層される。そして、各ダイノード8間にセラミック製の円筒形スペーサ14を介在させることで、各ダイノード8間を電気的に絶縁する。
【0016】
更に、各ダイノード8を11段に積層させる場合、各ダイノード8は、コスト低減のため、同じ形状のものが利用されるが、90度ずつ位相させるように積み上げられる。その結果、第1補強バー12dと第2補強バー13dとからなる4本のダイノード補強バー15は、隣接する段同士において、90度の位相角をもって配列され、電子増倍部7において、各ダイノード補強バー15は、上方(受光面板4側)から見てマトリックス状に配列されることになる。また、ダイノード補強バー15は、図4及び図5に示すように、同一間隔で配置されているが全体的に片側に僅かに寄せられている。従って、電子増倍部7において、各ダイノード8の90度位相配列を行った場合、各ダイノード補強バー15は、隣接する上下の段同士の関係においては直交するが、一段飛ばして比較すると平行になっており、しかも、一段飛ばしの関係においては、上方(受光面板4側)から見て所定の間隔で離間している。
【0017】
ここで、前述したダイノード補強バー15は、各ダイノード8が薄くて大型になることで付加されたものであり、この部分で2次電子が消失すると、ダイノード補強バー15の周辺で、図7に示すように、アノード10の出力が落ち込み、この不感領域Sによりユニフォミティが悪くなる。そこで、ダイノード補強バー15によるアノード出力の低下を阻止するために、ダイノード補強バー15の長手方向に沿った周辺部分に形成される4つの不感領域S(図5参照)に対応させて、収束メッシュ電極11に2次電子放出部20を設ける(図3参照)。この2次電子放出部20を作り出す方法としては、先ず、図6に示すように、2次電子放出部20に対応する部分を幅5mmで切り欠かいた開口部21を有するマスク体22を利用し、このマスク体22を、一組のダイノード8の収束メッシュ電極11上に位置決めするように載せ、開口部21を通して、ダイノード8にアンチモンを外部蒸着する。これにより、収束メッシュ電極11の2次電子放出部20及びダイノード補強バー15にアンチモンが蒸着される。このようにして蒸着されたアンチモンは、光電子増倍管1の組立て後にチューブ6から導入されるアルカリ金属蒸気と反応して2次電子面を作り出す。
【0018】
なお、第1段のダイノード8の真上において、2次電子放出部20に対応する領域にアンチモンが予め蒸着させられている補助電極(図示せず)を配置させてもよい。この場合、光電子増倍管1の組立て後の通電により、補助電極のアンチモンを飛散させ、第1段目の収束メッシュ電極11の2次電子放出部20にアンチモンを付着させるようなアンチモン内部蒸着も可能である。
【0019】
また、2次電子放出部20をもった収束メッシュ電極11は、ダイノード8のどの段に適用してもよく、例えば、受光面板4に最も近い第1段目と第2段目に適用させ、第1段目と第2段目とで2次電子放出部20をクロスさせるように配置させてもよく、また、第1〜第3段目に2次電子放出部20を適用させてもよい。このように、何段目の収束メッシュ電極11に2次電子放出部20を設けるかは、光電子増倍部1の特性に応じて適宜選択されるものであるが、図8に示すように、アノード10の出力にユニフォミティが確保されることが肝要である。すなわち、アノード10での出力の落ち込みを補うだけの2次電子を、2次電子放出部20で発生させることが必要となる。
【0020】
図1及び図9に示すように、密封容器2の内部には、直径約200mmで厚み0.7mm程度の円板からなる熱シールド性の補強板23が設けられている。この補強板23は、最終段ダイノード9とステム5との間に配置されると共に、8個の位置決め用耳部23aにより、図示しない連結ピン及びセラミック製の円筒形スペーサ14を介して電子増倍部7に固定される。そして、補強板23は、ステム5から立ち上がる複数のリードピン33cと、補強板23に一端が固定されたステンレス製支柱パイプ25とを溶接することで、密封容器2に固定される。従って、支柱パイプ25で支えられた補強板23により電子増倍部7を確実に補強することができ、熱による電子増倍部7の捩れや撓み変形に強く耐震性の良い構造が確保される。
【0021】
更に、図9及び図10に示すように、補強板23には、ステム5の中央に設けられたアルカリ金属蒸気注入用チューブ6のアルカリ金属蒸気出口6aに対峙する円板状のアルカリ金属蒸気衝突部23bが形成されている。このアルカリ金属蒸気衝突部23bは、アルカリ金属蒸気出口6aの開口面積にほぼ相応した大きさをもっている。また、アルカリ金属蒸気衝突部23bの周囲には、電子増倍部7に向けてアルカリ金属蒸気を均一に流出させるアルカリ金属蒸気分散孔24が形成されている。アルカリ金属蒸気分散孔24は、アルカリ金属蒸気衝突部23bを取り囲むようにして配列された第1のアルカリ金属蒸気分散孔24aと、第1のアルカリ金属蒸気分散孔24aの外方で放射状に配列された第2のアルカリ金属蒸気分散孔24bとからなる。
【0022】
また、第1のアルカリ金属蒸気分散孔24aは、6等分割されてそれぞれが扇形に形成され、第2のアルカリ金属蒸気分散孔24bは、それぞれが同じ大きさの円孔をなしている。そして、各第2のアルカリ金属蒸気分散孔24bに対して各第1のアルカリ金属蒸気分散孔24aは大きな開口面積を有する。これは、密封容器2内において、側管3と補強板23及び電子増倍部7との間に環状の隙間Bが形成されていることに起因する。すなわち、補強板23のアルカリ金属蒸気分散孔24から均一なアルカリ金属蒸気を噴出させるために、真空の密封容器2内に注入されたアルカリ金属蒸気が、環状の隙間Bを通過することを考慮した結果である。
【0023】
そこで、電子増倍部7に2次電子面を形成する際、アルカリ金属蒸気がチューブ6を介して、真空の密封容器2内に矢印方向Cに注入されるが、このとき、チューブ6を介して注入されたアルカリ金属蒸気の直進性に起因して、アルカリ金属蒸気は、補強板23のアルカリ金属蒸気衝突部23bに一旦当ることで、補強板23の面に沿って外側に分散するように広がっていく。そして、アルカリ金属蒸気が、補強板23の面に沿って広がって行くうちに、第1及び第2のアルカリ金属蒸気分散孔24a,24bから電子増倍部7に向けてアルカリ金属蒸気が分散するように均一に噴出し、後述する最終段ダイノード9のアルカリ金属蒸気通過孔30b,31b(図11参照)との協働により、電子増倍部7内にアルカリ金属蒸気が均一に回る。その結果、電子増倍部7に予め蒸着されたアンチモンとアルカリ金属蒸気とが反応することで、電子増倍部7に、均一な2次電子面が形成され、受光面板4に均一な光電面4aが形成されることになる。
【0024】
すなわち、このような補強板23は、チューブ6を利用して密封容器2内にアルカリ金属蒸気を注入する際の邪魔板となっているが、この補強板23にアルカリ金属蒸気分散孔24a,24bを設けることで、アルカリ金属蒸気の均一分散を達成している。このような構造の光電子増倍管1は、5インチや8インチといった大型の光電子増倍管に最適であり、大型の光電子増倍管1を、医療用のガンマカメラに利用することで、小さな光電子増倍管を多数並べることなく、一個の大型光電子増倍管1で心臓等の臓器を一度に撮像することができ。
【0025】
また、補強板23を、金属製側管3との組み合わせて利用する場合、密封容器2を組み立てるに際し、金属製側管3とステム5との接合を高周波溶接で達成することができ、溶接作業中に高熱が発生することがなく、ステム5と補強板23とを近づけても、密封容器2内の電子増倍部7に悪影響を与えることがない。従って、ステム5と補強板23とを近づけることができる分だけ、側管3を短くすることができ、光電子増倍管1のコンパクト化を促進させることができる。更に、補強板23に熱シールド性をもたせることで、金属製側管3とステム5との接合時に発生する熱を、補強板23で遮断することができ、電子増倍部7に伝わる熱を効率良く遮断することができる。
【0026】
次に、最終段ダイノード9について説明する。
【0027】
図11及び図12に示すように、最終段ダイノード9は、上層(第1層)の最終段ダイノード9Aと下層(第2層)の最終段ダイノード9Bとの2層からなり、セラミック製の円筒形スペーサ14により離間させられている(図1参照)。上層の最終段ダイノード9Aは、図13に示すように、収束メッシュ電極11とほぼ同じ大きさの直径で厚み0.3mm程度のリング状縁部9Aaを有し、この縁部9Aaには、8個の位置決め用耳部9Abが等間隔に形成されている。更に、縁部9Aa内には、断面矩形で棒状の平行メッシュ30が等間隔に張られている。また、上層の最終段ダイノード9Aは薄くて大きなリング体をなしているので、捩れや撓みに弱く、変形を起こし易い構造になっている。そこで、最終段ダイノード9Aに4本の補強バー9Adを設け、各補強バー9Adは、縁部9Aaの内側において、平行メッシュ30に対して直交する方向に等間隔で張られている。
【0028】
同様に、下層の最終段ダイノード9Bは、上層の最終段ダイノード9Aと同じ形状を有すると共に、縁部9Ba,位置決め用耳部9Bb,平行メッシュ31及び補強バー9Bdを有している。
【0029】
そこで、図11及び図12に示すように、上側に位置する平行メッシュ30の上面には、アノード10に向けて2次電子を反射させる電子反射面30aが形成され、平行メッシュ30間には2次電子及びアルカリ金属蒸気を通過させるためのアルカリ金属蒸気通過孔30bが形成されている。同様に、下側に位置する平行メッシュ31の上面には、アノード10に向けて2次電子を反射させる電子反射面31aが形成され、平行メッシュ31間にはアルカリ金属蒸気を通過させるためのアルカリ金属蒸気通過孔31bが形成されている。そして、上層の最終段ダイノード9Aのアルカリ金属蒸気通過孔30bと、下層の最終段ダイノード9Bの電子反射面31aとを対峙させる。
【0030】
また、上層の最終段ダイノード9Aに形成された隣接する電子反射面30a間のピッチと、下層の最終段ダイノード9Bに形成された隣接する電子反射面31a間のピッチとは同一になっており、しかも、電子反射面30a,31aの幅Wに対して、アルカリ金属蒸気通過孔30b,31bの幅Zを僅かに小さくしている。従って、上層の最終段ダイノード9Aに対して下層の最終段ダイノード9Bを半ピッチ分ずらすことで、電子増倍部7のダイノード8で増倍された2次電子を漏らすことなく、アノード10に向けて反射させることができる。
【0031】
更に、上層の最終段ダイノード9Aと下層の最終段ダイノード9Bとをスペーサ14で離間させることで、アルカリ金属蒸気通過孔30bと31bとが塞がれることがなく連通し、均一なアルカリ金属蒸気流通孔が形成されることになる。その結果、補強板23の第1及び第2のアルカリ金属蒸気分散孔24a,24bから噴出するアルカリ金属蒸気を11段のダイノード8に向けて均一に送り込むことができる。
【0032】
なお、下層の最終段ダイノード9Bの電子反射面31aは、上層の最終段ダイノード9Aのアルカリ金属蒸気通過孔30bを通過する電子を捕捉する幅Zを少なくとも有していればよく、上層の最終段ダイノード9Aに形成された隣接する電子反射面30a間のピッチと、下層の最終段ダイノード9Bに形成された隣接する電子反射面31a間のピッチとは必ずしも一致する必要はない。更に、平行メッシュ30及び31の断面形状は、台形でも三角形でもよいが、電子反射面30a,31aがアノード10に対して平行になるように配置されることが必要である。
【0033】
【発明の効果】
本発明による光電子増倍管は、以上のように構成されているため、次のような効果を得る。すなわち、各段のダイノードは、電子を収束させるメッシュ状の収束メッシュ電極と、2次電子面を有すると共に各ダイノードの最外郭に形成した縁部に架け渡した第1の補強バーを有するコースメッシュ電極と、収束メッシュ電極とコースメッシュ電極との間に配置されると共にコースメッシュ電極の第1の補強バーと重なり合う第2の補強バーを有するスペーサ電極との組からなり、収束メッシュ電極には、第1の補強バーと第2の補強バーとからなるダイノード補強バーにより形成される不感領域に対応させて、2次電子放出部が設けられることにより、電子増倍部の変形を防止すると同時に、陽極でのユニフォミティを良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光電子増倍管の一実施例を示す断面図である。
【図2】3枚一組のダイノードを示す斜視図である。
【図3】収束メッシュ電極を示す平面図である。
【図4】コースメッシュ電極を示す平面図である。
【図5】スペーサ電極を示す平面図である。
【図6】収束メッシュ電極に2次電子放出部を形成するためのマスク体を示す斜視図である。
【図7】収束メッシュ電極に2次電子放出部を形成してない状態で実験した際のアノード出力図である。
【図8】収束メッシュ電極に2次電子放出部を形成した状態で実験した際のアノード出力図である。
【図9】補強板を示す斜視図である。
【図10】補強板を示す平面図である。
【図11】2層からなる最終段ダイノードを示す斜視図である。
【図12】2層からなる最終段ダイノードを示す断面図である。
【図13】最終段ダイノードの平面図である。
【符号の説明】
S…不感領域、1…光電子増倍管、2…密封容器、7…電子増倍部、8…ダイノード、9…最終段ダイノード、10…アノード(陽極)11a,12a,13a…縁部、11…収束メッシュ電極、12…コースメッシュ電極、12d…第1の補強バー、13…スペーサ電極、13d…第2の補強バー、15…ダイノード補強バー、20…2次電子放出部。
Claims (2)
- 密封容器内で複数段に積層された電子増倍部のダイノードにより増倍させた電子を、最終段ダイノードで反射させた後、出力信号として陽極で収集する光電子増倍管において、
各段の前記ダイノードは、電子を収束させるメッシュ状の収束メッシュ電極と、2次電子面を有すると共に前記各ダイノードの最外郭に形成した縁部に架け渡した第1の補強バーを有するコースメッシュ電極と、前記収束メッシュ電極と前記コースメッシュ電極との間に配置されると共に前記コースメッシュ電極の前記第1の補強バーと重なり合う第2の補強バーを有するスペーサ電極との組からなり、前記収束メッシュ電極には、前記第1の補強バーと第2の補強バーとからなるダイノード補強バーにより形成される不感領域に対応させて、2次電子放出部が設けられていることを特徴とする光電子増倍管。 - 前記スペーサ電極の前記第2の補強バーに2次電子面が形成されていることを特徴とする請求項1記載の光電子増倍管。
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1996
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