JP3613619B2 - 水位追従型フロート式魚道ゲート - Google Patents

水位追従型フロート式魚道ゲート Download PDF

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    • Y02A40/00Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
    • Y02A40/60Ecological corridors or buffer zones

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は水位追従型フロート式魚道ゲート、更に詳しくは、構造が簡単で流水量や流水圧の変動の影響を受け難く、水位の変動に容易に自動的に追従し、その結果、魚道(ノルウェー式魚道)に適用した場合に、水位の変動にも係わらず、魚が遡上又は降下するための安定した水理の魚道を常に確保することができる水位追従型フロート式魚道ゲートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
昨今は、建設省、農林水産省の「魚の上り易い川作り推進」という行政指導の下で、魚道設備は、既設、新設を問わず魚の生態に一層合致し、水理的にも良好で、しかも経済的である形式に改善されるか、又は、この様な形式での新設が認められる方向に進みつつある。
【0003】
前述の如き現状の中で、近年、浮力を利用して上流側の水位変動に自動的に追従し、魚類の遡上や降下を効率よく行うことができる無動力の魚道ゲートを備えた種々の形式の魚道設備が提案され又は漸次実施されている。前記魚道ゲートの代表的なものとして、以下の二つの魚道ゲートが挙げられる。
イ)パワーシュート式魚道ゲート
ロ)フロート昇降式魚道ゲート
【0004】
図19にイ)のパワーシュート式魚道ゲートの一例の斜視図を示す。パワーシュート式魚道ゲート1は、一端を回転可能に軸支されて、固定式魚道2の上流側のフロート室3内に浮遊した形態で配置されている。制水ゲート4及び予備ゲート5は水量を調節するためのものである。
【0005】
図20は、図19のパワーシュート式魚道ゲート1の上面図である。パワーシュート式魚道ゲート1の内部は隔壁6によって区画されており、水流(全体流は太矢印、部分流は細矢印で表わす)は、魚道用入水堰7を越えてパワーシュート式魚道ゲート1内に流入し、又、フロート室入水用越流堰8を越えてフロート室3内に流入する。パワーシュート式魚道ゲート1は回転軸9を軸芯として回転可能である。パワーシュート式魚道ゲート1の前面には前面止水ゴム10が、又、後面には後面止水ゴム11が備えられている。
【0006】
図21は、図19のパワーシュート式魚道ゲート1を側方から見た説明図である。パワーシュート式魚道ゲート1内部の魚道部12の水位は、複数の隔壁6によって形成された堰により、ダム貯水位13から下方水位14まで段階的に低減される。他方、フロート室水位15は、前面止水ゴム10によって形成されたフロート室入水用越流堰8及び後面止水ゴム11によって所定水準に保持される。フロート室3の底部は、オリフィス16によって下流側と接続されている。
【0007】
以下、パワーシュート式魚道ゲートの特徴及び機能の概要を説明する。セクタ式ゲートのシュートを単純に水に浮かせただけでは、シュートの回転角度により浮力が変動し、浮きすぎ又は沈みすぎのため魚道の通水量が大きく変化してしまうこと、及び、止水ゴムによる摩擦のため、平滑で精度のよいシュート(傾斜水路)の動きが実現できないという欠点がある。この欠点を解決するために、パワーシュート式魚道ゲートにおいては、貯水池水位とシュートの喫水線を分離したことに特徴がある。
【0008】
パワーシュート式魚道ゲートの構造は、図20,21に示す様に、パワーシュート式魚道ゲート1(ゲート本体)が上流端脇にフロート室入水用越流堰8を有している外は従来のセクタ式ゲートとほぼ同様の構造で、下流端を回転軸9により軸支持されたパワーシュート式魚道ゲート1が浮体としてフロート室3内に収納されている。フロート室3は、前面止水ゴム10とゲート下流端に取り付けた後面止水ゴム11で、上流側貯水池と下流側水路とを仕切っており、下流側水路にフロート流入水を流出させるためのオリフィス16が設置されている。したがって、フロート室3の水面は、ゲート上流端に固定されたフロート室入水用越流堰8からの流入水と下流端に取り付けられているオリフィス16からの流出水とのバランスによって形成されるため、ダム貯水池水位13とシュート(この場合、パワーシュート式魚道ゲート1)の喫水線とを分離することができる。
【0009】
図22にロ)のフロート昇降式魚道ゲートの一例の破断斜視図を示す。逆T型で且つ中央部に潜口17が形成された隔壁18が水路19に所定間隔で配置されている。又、水路19内には、隔壁18と対をなす支柱20が所定間隔で配置されている。隔壁18と支柱20との間には、両側のゲート部21と中央のフロート部22とからなるフロート昇降式魚道ゲート23が位置し、両側のゲート部21は各々、魚道水路19の側壁に設けられて凹所24に上下方向に摺動可能に嵌合されている。
【0010】
図23は、図22のフロート昇降式魚道ゲート23の作動原理を示すための説明図である。ゲート部21とフロート部22とは気密で一体構造であり、且つ浮力を持たせてある。それ故、フロート昇降式魚道ゲート23は、ゲート部21及びフロート部22の自重とそれらの浮力とのバランスにより、水流方向と直交する方向に自動的に上下する。又、フロート部22は水と接触する面積(特に平面積)を大きくし、上流水位の変化に対して大きな駆動力(浮力)を持たせてあるので、作動遅れが小さい。
【0011】
図22に例示するフロート昇降式魚道ゲート23は、以下の如き特徴を有している。
▲1▼ アイスハーバー式魚道に適応させて考えられたものであり、左右のゲートの高さを変えることが可能で、この場合でもゲート全体のバランスを保つことが
できる。
▲2▼ 浮力を利用してフロートを作動させるので、動力が不要である。
▲3▼ 魚の遡上に適した昇降式である。
▲4▼ 操作機構が不要なので、設置場所の制限が少なくてすむ。
▲5▼ 魚道水路側壁にはローラ用の戸溝を設置するだけである。
▲6▼ 構造が簡単で、維持管理が容易である。
▲7▼ 潜口の設置が可能なので、底生魚の遡上も可能である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記イ)のパワーシュート式魚道ゲート及び前記ロ)のフロート昇降式魚道ゲートは何れも、以下に例示するような問題点を有している。
イ)のパワーシュート式魚道ゲートの場合
魚道ゲートの構造が複雑であり、設備費が高くなる。それ故、上流側の水位変動の小さい場合に適用しようとすれば魚道ゲートの制作費及び設置費が割高となり、不経済である。
ロ)のフロート昇降式魚道ゲートの場合
フロート部及びゲート部が直接流水に晒され、特にフロート部は両側で流水に接するので、流れによる動水圧を直接受ける。又、扉体を構成するゲート部は密閉構造のため、流れ方向で幅があり、底部で圧力変動を受け、左右のゲート部で受圧変動が異なる。これらの理由により、流水の流動状態の変化によって魚道ゲート本体は常に動揺する。この不具合を解消するためにショックアブソーバ等の吸振器を設ける方法も考えられるが、取り付けのスペースが必要であり、全体の容量や設置費用が増大する。更に、扉体(ゲート部)に流れ方向の幅が有るため、魚道水路に予想以上の堆砂が生じた場合には、扉体が堆砂に接触して円滑な移動が難しくなり、魚の遡上及び下降が困難となる。特に、両側のゲート部下端の澱み部分に堆砂が生じ易い。又、フロート部の上流側に土木構造物が存在するため、潜口を通した見通しが悪く、底生魚の視認性が悪いので、底生魚の遡上及び下降の効率が悪くなる。
【0013】
本発明は上記従来技術の問題点を解決するためのものであり、その目的とするところは、構造が簡単で製作及び設置が容易であり、水位の変動に容易に自動的に追従し、流水量や流水圧の変動の影響を受け難いため水位を正確に調整することができると共に耐久性に優れ、その結果、魚道に適用した場合に、河川上流側の水位の変動にも係わらず、魚が遡上又は降下するための安定した水理の魚道を常に確保することができる水位追従型フロート式魚道ゲートを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明は、上部に切欠き部が設けられた扉体及び該扉体の左右に各々連結された左右で一対となる浮体からなるゲート本体と、浮体が水に浮遊した状態で浮体を収納する左右で一対となる浮力室とが魚道水路内に備えられてなり、前記各浮力室は前記魚道水路の両側壁面に沿ってそれぞれ配置されており、その形状が水面下に底面を有する一端が閉塞された多角筒状に形成され、さらに、前記各浮力室の水面下部分に取水口が設けられ、前記左右の浮力室は連通管によって互いに連通され、且つ該連通管の開口部は前記左右の浮力室の水面下部分に設けられていることを特徴とする。
【0015】
また、請求項2に記載した発明は、請求項1に記載の発明において、前記切欠き部が、前記扉体の上部の中央から左右何れかに偏って設けられたことを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、請求項1に記載の発明において、前記切欠き部が、第一の切欠き部を設けた板状部材を予め前記扉体に設けた第二の切欠き部に装着することにより設けられたこと特徴とする。
請求項4に記載した発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記扉体が一枚の鋼板からなることを特徴とする。
請求項5に記載した発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、前記扉体の中央部が別の鋼板で補強されたことを特徴とする。
請求項6に記載した発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、前記浮体が鋼板からなり、該浮体の形状が、両端が閉鎖された多角筒状であることを特徴とする。
請求項7に記載した発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の発明において、前記浮体の上端面に蓋付きの開口部が設けられたことを特徴とする
請求項8に記載した発明は、請求項1〜7のいずれかに記載の発明において、前記浮体に、前記ゲート本体を位置決めし且つ上下方向に摺動させるためのローラが設けられたことを特徴とする
請求項9に記載した発明は、請求項1〜8のいずれかに記載の発明において、前記浮力室の底面が水流方向に沿って設けられており、該底面に前記取水口及び前記連通管の開口部が設けられたことを特徴とする
請求項10に記載した発明は、請求項1〜9のいずれかに記載の発明において、前記取水口に、水中の異物を除去し且つ流水の圧力変動を減衰又は吸収するための手段が設けられたことを特徴とする
請求項11に記載した発明は、請求項10に記載の発明において、前記水中の異物を除去し且つ流水の圧力変動を減衰又は吸収するための手段が、特殊スクリーン又は同種機能を有する金物であることを特徴とする
請求項12に記載した発明は、請求項1〜11のいずれかに記載の発明において、前記魚道水路が、水流方向に垂直な方向の断面がコ字型であり且つ水流を垂直に横切る形態で中央上部に切欠き部が設けられた隔壁を有し、前記扉体が、該隔壁の切欠き部に前記扉体の切欠き部が対向するように配置され、前記浮力室が、前記魚道水路の隔壁面と側壁面とを構成面の一部として利用して形成され、前記浮力室の底面が水面下に水流方向に沿って設けられており、該底面に前記取水口及び前記連通管の開口部が設けられ、該取水口は流水の澱み域に配置され、前記連通管が、水平部分が前記魚道水路の底壁下に埋設された形態で設けられている、ことを特徴とする
請求項13に記載した発明は、請求項12に記載の発明において、前記浮力室と前記扉体との間隙が弾性部材によって閉鎖されていることを特徴とする
請求項14に記載した発明は、請求項13に記載の発明において、前記弾性部材がゴム又は合成樹脂、或いはゴム又は合成樹脂で形成されたブラシ又は平板であることを特徴とする。
請求項15に記載した発明は、請求項12〜14のいずれかに記載の発明において、前記隔壁の中央下部に切欠き部が設けられたことを特徴とする。
請求項16に記載した発明は、請求項15に記載の発明において、前記切欠き部が、第一の切欠き部を設けた板状部材を予め隔壁の中央下部に設けた第二の切欠き部に装着することにより設けられたことを特徴とする。
請求項17に記載した発明は、請求項15または16に記載の発明において、前記浮力室の底面が前記切欠き部の上端近傍の位置に配置されたことを特徴とする。
【0016】
扉体の上部には、魚が遡上又は降下する水路を確保するために切欠き部を設ける。切欠き部の大きさ、形状、数は適宜選択する。切欠き部を設ける位置も本発明の目的を達成し得る範囲内で適宜選択してよい。切欠き部は扉体の上部の中央部(水路中心線)に設けてもよいし、又は、中央部から左右の何れかに偏って設けてもよい。切欠き部のエッジ部は、両側を削って鋭くすると水の切れがよくなる。この場合、エッジ部の中央は平面状で残して置くと、エッジ部による損傷を防止することができる。又、扉体の下端も削って鋭くすると水の切れがよくなって都合がよい。
【0017】
扉体の上部に設ける切欠き部は、扉体の上部を直接切り欠いて設けてもよいが、第一の切欠き部を設けた板状部材を予め扉体に設けた第二の切欠き部に装着することにより設けてもよい。
【0018】
扉体の素材としては金属板、特に鋼板が使用し易い。扉体を一枚の鋼板から製作すると、極めて薄い扉体を得ることができる。又この場合、強度を向上させるために、例えば部分的に二枚の鋼板を貼り合わせた構造を採用してもよい。扉体の大きさ、形状、厚さ等の性状は適宜選択する。扉体は通常は平面状であるが、目的を達成し得る範囲内で屈曲していてもよく、又は、平面部と屈曲部とを組み合わせて使用してもよい。
【0019】
浮体は金属板、例えば鋼板から製造することができる。浮体の大きさや形状は浮力室内に収納され且つ本発明の目的を達成し得る範囲内であれば特に限定されず、製造の容易さや性能等を考慮して適宜選択すればよい。浮体の形状としては、例えば両端が閉鎖された多角筒(具体的には、例えば三角筒、四角筒)が製造し易くてよい。又、前記多角筒状の浮体の上端面に蓋付きの開口部を設けると、この開口部を通じて人や機材を浮体内に入れることができる。
【0020】
本発明の魚道ゲートは、水位の変動によって水流方向と直交する方向に浮体が自動的に上下するが、この場合、浮体の適当な位置に適当な方向を向けて、ゲート本体を位置決めし且つ上下方向に摺動させるための左右で一対となるローラを適当数設けると、ゲート本体のガタツキが無くなると共に、移動時の抵抗が少ないのでゲート全体が上下方向に滑らかに摺動できてよい。ローラの構造は、建造物などに慣用されるものを使用することができる。
【0021】
浮力室は、浮体と同様に多角筒状で且つ金属板、例えば鋼板から製造することができる。浮力室は、浮体に流水の衝撃が直接伝わらないように、例えば浮体全体を取り巻くように設けるとよい。浮力室の大きさ、形状、材質、数は、本発明の魚道ゲートを適用する魚道(水路)の大きさや形状によって適宜選択し得る。浮力室の特に好ましい形状はほぼ三角柱状(直角部を有する三角柱状)、又はそれらの変形体である。この場合、三角柱状である浮力室の斜面部が水流と接するため、水流から大きな抵抗を受けることがない。なお、所望により、浮力室を構成する面又は面の一部に曲面を採用する、即ち、例えば角部を丸めても勿論よい。多角筒状の浮力室の水面下に底面を設けることができる。
【0022】
前記底面は水流方向に沿って設けることが好ましい。又、底面には取水口及び連通管の開口部を設けることができる。浮体は浮力室によって流水から保護されているため、取水口を浮力室の底面に設けると、相まって、流水の動圧の影響を排除し得る。取水口の大きさや形状は適宜選択する。取水口を設ける位置は、なるべく静圧のみの影響を受けるように、例えば、流水の澱み域にするとよい。又、流水中には魚、藻、流木等の異物が種々混在しているため、これらの異物が取水口から浮力室内に入らないように、又、流水の圧力変動を更に減衰させるために、取水口に水中の異物の除去手段(流水の圧力変動の減衰手段でもある)、具体的には例えば特殊スクリーン(例えば、入口から出口に向かって径が徐々に減少する貫通孔が多数設けられたスクリーンなど)又は同種機能を有する金物を設けることが好ましい。
【0023】
連通管は、左右の浮力室を連通して左右の浮力室を同一静水圧とし得るものであればよい。連通管の大きさ(外径,内径,長さ)、形状(例えば、円形チューブ,多角形チューブ)、材質(例えば、鋼,プラスチック)、数は、浮力室の大きさ、形状、材質、数によって最適に選択する。
【0024】
本発明の魚道ゲートは、ノルウェー式魚道(魚道水路を横切る形態で設けられた隔壁の上部に形成された切欠き部の真下に潜口が形成されている魚道)に適応させて考えられたものである。本発明の魚道ゲートを適用するための好ましい魚道水路としては、例えば、水流方向に垂直な方向の断面がコ字型であり且つ水流を垂直に横切る形態で中央上部に切欠き部が設けられた隔壁を有する魚道水路が挙げられる。この場合例えば、扉体を、前記隔壁の切欠き部に扉体の切欠き部が対向するように配置し、浮力室を、魚道水路の隔壁面と側壁面とを構成面の一部として利用して形成し、浮力室の底面を水面下に水流方向に沿って設け、該底面に取水口及び連通管の開口部を設け、該取水口を、魚道水路の隔壁面と側壁面とがなす角部の近傍に配置し、連通管を、水平部分が魚道水路の底壁下に埋設された形態で設けた魚道ゲートが、実用上都合がよい。
【0025】
前記の魚道ゲートにおいて、浮力室と扉体との間隙は、適当な部材によって閉鎖しないと浮力室内の水位を所定位置に保つことができないので、例えば弾性部材によって閉鎖するとよい。弾性部材としては、シール機能を有するゴム(天然ゴム及び合成ゴム)又は合成樹脂(例えば、ポリウレタン樹脂や軟質ポリ塩化ビニル樹脂等)が好ましく、これらを単独又は組み合わせて使用してよい。或いはシール材として好適なように特定形状に形成されたもの、例えば前記のゴム又は合成樹脂で形成されたブラシ又は平板も好ましい。弾性部材の大きさや数は適宜選択してよい。
【0026】
前記の魚道ゲートにおいて、隔壁の中央下部に切欠き部を設けると、例えば底生魚のための潜口を形成することができる。潜口の大きさ、形状、数、位置は、扉体の上部に設ける前記切欠き部と同様、適宜選択することができる。扉体の上部に設ける切欠き部と同様に、扉体の下部に設ける切欠き部(潜口)においても、切欠き部は扉体の下部の中央部(水路中心線)に設けてもよいし、又は、中央部から左右の何れかに偏って設けてもよい。潜口は、隔壁の中央下部に切欠き部を設けることによって直接形成してもよいし、又は、所定の大きさ及び形状の切欠き部を設けた板状部材(例えば、鋼板)を予め形成した隔壁の中央下部の切欠き部に装着することによって形成してもよい。後者の場合、切欠き部のエッジ部の両側を削って鋭くすると水の切れがよくなる。浮力室の底面を前記切欠き部の上端近傍の位置に配置すると、潜口を通過する魚が浮力室によって妨げられなくてよい。
【0027】
前述の事柄以外に、必要に応じて又は所望により、本発明の目的を達成し得る範囲内で、本発明の魚道ゲート及びそれを適用する魚道装置には慣用の種々の付帯設備又は付帯器具を装着させることができる。
【0028】
【作用】
本発明の魚道ゲートにおいて、浮体は扉体を左右から均等に支え、水位の変動に従って扉体を自動的に上下させる。浮体は、浮力室によって水流の流量変動や圧力変動による衝撃から保護されている。又、浮力室には水の取入口から水が自然に適量導入されて浮体が浮遊している水面の水位の調節がなされ、且つ左右の浮力室は連通管によって互いに連通されているので、左右の浮力室の水位のバランスが常に保たれている。
【0029】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を添付図面に基づいて詳述する。なお、下記実施例は単に本発明を説明するためのみのものであり、何等の限定的な意味を有するものではない。
【0030】
実施例1
図1に、本発明の実施例1の水位追従型フロート式魚道ゲートのゲート本体26を示す。図1は前記ゲート本体26を上方から見た図である。扉体27は一枚の鋼板から形成されており、水流方向に見て中央部からやや右側(図面下側)に切欠き部28が設けられている。切欠き部28の幅Lは適宜選択する。扉体27の前面(図面右側)には、上部に切欠き部が設けられた水密板29が装着されている。扉体27の両側には左右で一対となる浮体30,31が形成されている。図1において、浮体30,31を上方から見た構成を一方の浮体30により図示する。また、内部横断面形状を他方の浮体31により図示する。
図1及び図2に示すように、浮体30,31の上面にはマンホール32が形成されている。また、内部には、図2中破線で一部示す厚さを有する補強用鋼板35が補強材36によって取り付けられ、両端が閉鎖された四角筒状に形成されている。切欠き部28の高さHは適宜選択する。
【0031】
図1及び図2に示すように、ゲート本体26の水路側壁側の側面(浮体30,31の側面)の下流側の上部と下部には、それぞれ水流と直交する方向の回転軸を有するローラ33、および水流方向の回転軸を有するローラ37が取り付けられ、水路壁面42に設けられた溝65(図10参照)の内面に各々当接して、ゲート本体26を位置決めし、且つ、ゲート本体26を上下方向に滑らかに摺動させるようになっている。
また、ゲート本体26の水路側壁側の側面(浮体30,31の側面)の上流側の上部と下部には、水流方向の回転軸を有するローラ38が水路壁面42に当接し、ゲート本体26を上下方向に滑らかに摺動させるようになっている。
また、ゲート本体26の上流側面(浮体30,31の上流側面)の上部と下部には、ローラ34が配設され、上部と下部のローラ34の間にも、水流方向の回転軸を有するローラ39(図11参照)が内側面(浮体30,31の上流側の内側面)の上部と下部に配置されており、図11に示す戸当たり66に支持されてゲート本体26を位置決めし且つゲート本体26を上下方向に滑らかに摺動させる役割を担っている。
【0032】
図3は、図1をB方向から見た説明図である。水密板29を斜線で示す。水路中心線40と切欠き部中心線41(切欠き部28の中心線)との間の距離Mは適宜選択する。図4は、図1をC方向から見た説明図である。浮体30,31の傾斜した側面を、図中多数の縦線を記して示す。図4において斜線を付した箇所は、後述の間隙閉鎖用ブラシの当接箇所である。
【0033】
図5は、図1のゲート本体26を含む本発明の魚道ゲート43をノルウェー式魚道に適用した状態を示す説明図である。図5は、魚道水路44を上方から見た状態を示す。魚道水路44は、水流方向に垂直な方向の断面がコ字型であり且つ水流を垂直に横切る形態で中央上部に切欠き部45が設けられた隔壁46(所定間隔で配置されている)を有している。ほぼ各隔壁46毎に、魚道ゲート43が配置されている。魚道ゲート43において、扉体27は、隔壁46の切欠き部4に扉体の切欠き部28が対向するように配置されている。
【0034】
図3の如く水路中心線40と切欠き部中心線41とは距離Mだけ隔たっているので、図5においては、水流(その中心)は図中矢印の如く、各隔壁46の切欠き部45を通過する場合に、水路中心線40に対して左右(図中上下)に交互に変移する。それ故、多数の隔壁46を通過しても、水流(表面流)が漸次加速されることはない。
【0035】
図6は、図5をD方向から見た説明図である。説明の都合上、隔壁46に上流側から順にI,II,III ,IV,Vと番号を付けた。Iの隔壁46からVの隔壁46に至るまでの間に、水流の水位は、上限水位47から下限水位48まで低減される。各隔壁46の中央下部にも切欠き部49が設けられており、魚のための潜口を形成している。
【0036】
図7は、図6のIの隔壁46を下流側から見た説明図である。切欠き部49には、所望の切欠き部50を設けた潜口用鋼板51が取り付け具52によって取り付けられている。この場合、切欠き部50は水路中心線40に対して図中右側に偏って設けられている。図8は、図6のIII の隔壁46を下流側から見た説明図である。隔壁46の高さが図7に比べて低くなっている(上限水位47と下限水位48との差が小さくなっている)外は、基本的に図7と同様である。III の隔壁46においても、切欠き部50は水路中心線40に対して図中右側に偏って設けられている。図示しないが、IIの隔壁46においては、切欠き部50は水路中心線40に対して図中左側に偏って設けられている(すなわち、潜口用鋼板51は交互に、180°向きを変えて隔壁46の切欠き部49に取り付けられている)。このため、切欠き部50を通過する水流も、水路中心線40に対して左右に交互に変移するので、多数の隔壁46を通過しても、水流(底流)が漸次加速されることはない。
【0037】
実施例2
図9は、本発明の実施例2の水位追従型フロート式魚道ゲート53の説明図であり、実施例1における図6の部分拡大図に相当する図である。実施例2は、扉体の切欠き部が、第一の切欠き部を設けた板状部材を予め扉体に設けた第二の切欠き部に装着することにより設けられたこと以外は、実施例1の魚道ゲート43と同じである。それ故、まだ説明していない部材及び実施例1の魚道ゲートとの相違点のみを説明する。
【0038】
魚道ゲート53において、扉体54には切欠き部を設けた板状部材55が装着されている。隔壁46の上端部には、上限ストッパー56が取り付け具57によって取り付けられており、ゲート本体58の上限を規制している。浮力室59内に収納されたゲート本体58の下限は、下限ストッパー60によって規制されている。浮力室59はその底部が補強材61によって支持されており、浮力室59の底板には取水口62、及び左右の浮力室59を連通する連通管63の開口部が設けられている。
【0039】
図10は、図9をE方向から見た図である。取水口62には、水中の異物を除去し且つ流水の圧力変動を減衰又は吸収するための手段として、特殊スクリーン64(又は同種機能を有する金物)が装着されている。溝65には、ローラ(図2におけるローラ33,37:図示せず)が嵌合される。溝65内のローラの当接部には戸当たり66(例えば鋼板製,一箇所のみ図示する)が設けられている。
【0040】
図10の一点鎖線で囲んだVI部を拡大した説明図を図11に示す。ローラ39は戸当たり66の一部に当接して摺動する。又、戸当たり66の曲面部分は、浮力室59への流水の衝撃を緩和する。
【0041】
図12は、図10の一点鎖線で囲んだVII 部を拡大した説明図である。図12(1−a)は、間隙閉鎖用のゴムブラシ67(水密ゴムを用いてもよい)が扉体54に当接している箇所の状態を示す。ゴムブラシ67は、ゴム抑え68と取り付け具69を用いて浮力室側鋼板70に取り付けられている。この場合、扉体54と隔壁46との間には、水密板29及び水密ゴム71が存在する。水密ゴム71は、ゴム抑え72と取り付け具73を用いて水密ゴム取り付け鋼板74に取り付けられている。図12(1−b)は、図12(1−a)をJ方向から見た図である。図12(2−a)は、間隙閉鎖用のゴムブラシ67が扉体54に当接していない箇所の状態を示す。この場合、ゲート本体58(図中、一点鎖線で示す)は上方に位置し、ゴムブラシ67は水密ゴム取り付け鋼板74に当接している。図12(2−b)は、図12(2−a)をK方向から見た図である。扉体54の下端部は、ゴムブラシ67と水密ゴム取り付け鋼板74との間に容易に割り込めるように斜めに切欠いてある。
【0042】
図13は、図10の一点鎖線で囲んだVIII部を拡大した説明図である。潜口用鋼板51のエッジ部(端面)は、例えば図13の如く端面を三つの部分に分けた場合に、その両側の部分を水路中心線(又は、これに平行な線)とθの角度をなすように削ると、水の切れがよくなる。角度θは、0°〜90°の範囲内で適宜選択するとよい。
【0043】
図14は、図10をF点で上流側から見た説明図である。連通管63の水平部分は魚道水路44の底壁下(コンクリート内)に埋設されている。図14の一点鎖線で囲んだIX部分に対応する実施例1の部分の拡大した説明図を図15に示す。この場合の扉体27についても、図13の場合と同様のことが言える。
【0044】
図16は図14の扉体54の切欠き部周辺を拡大した説明図である。図16は、実施例2において、第一の切欠き部を設けた板状部材75を扉体54に溶接することにより装着した例を示す。図17は、図16の一点鎖線で囲んだX部を拡大した説明図である。板状部材75と扉体54とは、溶接部76で溶接により接合されている。この場合の板状部材75についても、図13の場合と同様のことが言える。
【0045】
図18は、図10をG点で上流側から見た説明図である。水密ゴム71は、隔壁46の切欠き部45の周囲にコ字型に設けられている。又、水密ゴム取り付け鋼板74は、水密ゴム71の下方の隔壁46上に二列に並んで設けられている。
【0046】
【発明の効果】
本発明の水位追従型フロート式魚道ゲートは、前述の如き構成を有するため、構造が簡単であり、製造や魚道への設置を容易に行うことができる。又、水位の変動に容易に自動的に追従するため、特に駆動源を必要としない。更に、流水量や流水圧の変動の影響を受け難いため、魚のための水路を自動的且つ正確に調整することができると共に、扉体を上昇又は下降させるための重要部品である浮体が浮力室によって流水から保護されているので、流水中の流木などの異物によって浮体が損傷することがない。それ故、本発明の魚道ゲートを魚道に適用した場合には、河川上流側の水位が季節的又は人為的に変動した場合でも、魚が遡上又は降下するための安定した水理の魚道を常に確保することができるので、河川の自然環境が保護される。
【0047】
本発明の魚道ゲートにおいては流れ部分での堆砂は少なく、又、例え澱み部分で堆砂があっても、浮体が浮力室で保護されているため、従来の魚道ゲートに比べて、堆砂の状態に影響されることは少ない。
【0048】
本発明の魚道ゲートにおいて、切欠き部を、扉体の上部の中央から左右何れかに偏って設けると、切欠き部を通過する流れが魚道ゲート毎に左右に振れ、その結果、扉体の上部の中央に切欠き部を設けた場合のように、下流に行くに従って切欠き部を通過する流れが加速されることがないので、魚が遡上又は降下し易い。
【0049】
切欠き部を、第一の切欠き部を設けた板状部材を扉体の第二の切欠き部に装着することにより設けると、第二の切欠き部を設けた単一規格の扉体を使用することができると共に、第一の切欠き部を設けた板状部材の性状(第一の切欠き部の位置、大きさ、形状等)を適宜変化させ得るので、扉体の上部の所望の位置(例えば、水路中心から左右何れかに偏っている)に種々の大きさや形状を持った切欠き部を容易に得ることができる。
【0050】
扉体を一枚の鋼板から形成すると、扉体の製造が容易になると共に、軽量な扉体を製造することができるので、水位の変動に伴うゲートの上下の移動が滑らかである。又、扉体の厚さを薄くすることができる(流れ方向の幅を薄くすることができる)ので、扉体の上部に設けられた切欠き部を通過する水の切れがよくなる。又、流水からの扉体の受圧幅は中央部の一枚の鋼板の厚さのみであるため、流水の流動状態の変化(例えば、水位変動、流量変動、圧力変動)を受け難く、ガタツキが少ない。更に、扉体の厚さを薄くすることができるので、扉体の厚さ方向に流木などのゴミが溜まり難い。
【0051】
扉体の中央部を別の鋼板で補強すると、扉体の重量をあまり増大させることなく、流れの圧力に対する扉体の剛性を増大させることができる。
【0052】
浮体を鋼板から形成し、該浮体の形状を、両端が閉鎖された多角筒状とすると製造が容易であり、耐久性に優れ且つ比較的軽量な浮体を容易に製造することができる。
【0053】
浮体の上端面に蓋付きの開口部を設けると、開口部から人が浮体内に出入りしたり又は開口部から内部の様子を見ることができるので、浮体の保守・点検が容易となる。
【0054】
浮体に、ゲート本体を位置決めし且つ上下方向に摺動させるためのローラを設けると、ゲート本体が正確に位置決めされるので、ゲート本体の上下移動に伴うガタツキがなくなり、又、ゲート全体の上下方向の移動に伴う抵抗が低減されるため、浮力のみでゲート全体を上下方向に滑らかに摺動させることができる。
【0055】
浮力室が鋼板からなり、該浮力室の形状が、水面下に底面を有する一端が閉鎖された多角筒状であると、浮体の形状に合わせて浮力室を容易に形成することができる。又、水面下の底面の取水口から、静水圧のみにて水を浮力室内に導入することができる。
【0056】
更に、前記浮力室において、底面が水流方向に沿って設けられており、該底面に取水口及び連通管の開口部が設けられていると、左右の浮力室内に導入された水が連通管によって均衡されるので、左右の浮力室の位置のズレが自動的に補正される。
【0057】
取水口に、水中の異物を除去し且つ流水の圧力変動を減衰又は吸収するための手段を設けると、水中の異物が浮力室内に入ることがないので、水中の異物による浮力室内の閉塞などの不具合がない。又、取水口から水が浮力室内に導入される際に水の動圧が減衰又は吸収される。
【0058】
水中の異物を除去し且つ流水の圧力変動を減衰又は吸収するための手段として特殊スクリーン又は同種機能を有する金物を使用すると、これらを取水口に単に装着するのみでよいので、保守・点検が容易である。又、市販品をそのまま使用することができる。
【0059】
魚道水路が、水流方向に垂直な方向の断面がコ字型であり且つ水流を垂直に横切る形態で中央上部に切欠き部が設けられた隔壁を有し、扉体が、該隔壁の切欠き部に扉体の切欠き部が対向するように配置され、浮力室が、魚道水路の隔壁面と側壁面とを構成面の一部として利用して形成され、浮力室の底面が水面下に水流方向に沿って設けられており、該底面に取水口及び連通管の開口部が設けられ、該取水口は魚道水路の流水の澱み域に配置され、連通管が、水平部分が魚道水路の底壁下に埋設された形態で設けられている、本発明の水位追従型フロート式魚道ゲートは、前記各部の長所を兼ね備えているので、総合的に見て好ましい。
【0060】
浮力室と扉体との間隙を弾性部材によって閉鎖すると、扉体が上下動した場合でも浮力室と扉体とを充分に密閉することができる。
【0061】
弾性部材がゴム又は合成樹脂、或いはゴム又は合成樹脂で形成されたブラシ又は平板であると、間隙の種々の大きさや形状に合致したシール部材として容易に使用することができる。
【0062】
本発明の水位追従型フロート式魚道ゲートをノルウェー式魚道に適用した場合には、ノルウェー式魚道の利点をそのまま残すことができる。すなわち、魚道水路の隔壁の中央下部に切欠き部を設けると、これは魚の潜口として役立ち、扉体の上部に設けられた切欠き部と相まって、魚が遡上又は降下するための良好な通路が形成される。又、潜口を通じて上流又は下流まで見通せるので、底生魚の方向視認性がよく、例えば従来のフロート昇降式魚道ゲートよりも有利であり、底生魚の遡上及び降下の効率がよい。
【0063】
魚道水路の隔壁の中央下部の切欠き部を、第一の切欠き部を設けた板状部材を予め隔壁の中央下部に設けた第二の切欠き部に装着することにより設けると、前記切欠き部の位置、大きさ及び形状を所望に選択することができる。例えば、前記切欠き部を、隔壁の中央から左右何れかに偏って設けることができ、この場合、切欠き部を通過する流れが魚道ゲート毎に左右に振れ、その結果、下流に行くに従って切欠き部を通過する流れが加速されることがないので、魚が遡上又は降下し易い。又、前記板状部材の厚さを薄くすることができるので、板状部材の厚さ方向に流木などのゴミが溜まり難い。
【0064】
魚道水路の隔壁の中央下部に切欠き部を設け、且つ浮力室の底面を前記切欠き部の上端近傍の位置に配置すると、浮力室の底面の下方に水の澱み部分が形成され、これが魚の休息場所となるので好ましい。又、この場合、隔壁の中央下部の切欠き部(潜口)の周辺に水路の幅方向に部分的な堆砂が生じても、扉体を例えば一枚鋼板で下端のエッジ部を鋭く形成することができるので、上下水位差により生じる水流(水路の表面近傍から扉体の下端をすり抜けて潜口を通って流れる水流)によって排砂することができ、底生魚の遡上又は降下が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の水位追従型フロート式魚道ゲートのゲート本体を上方から見た説明図である。
【図2】図1をA方向から見た説明図である。
【図3】図1をB方向から見た説明図である。
【図4】図1をC方向から見た説明図である。
【図5】図1のゲート本体を含む本発明の魚道ゲートをノルウェー式魚道に適用した状態を示す説明図である。
【図6】図5をD方向から見た説明図である。
【図7】図6のIの隔壁を下流側から見た説明図である。
【図8】図6のIII の隔壁を下流側から見た説明図である。
【図9】本発明の実施例2の水位追従型フロート式魚道ゲートの説明図である。
【図10】図9をE方向から見た図である。
【図11】図10の一点鎖線で囲んだVI部を拡大した説明図である。
【図12】図10の一点鎖線で囲んだVII 部を拡大した説明図である。
【図13】図10の一点鎖線で囲んだVIII部を拡大した説明図である。
【図14】図10をF点で上流側から見た説明図である。
【図15】図14の一点鎖線で囲んだIX部分に対応する実施例1の部分の拡大した説明図である。
【図16】図14の扉体の切欠き部周辺を拡大した説明図である。
【図17】図16の一点鎖線で囲んだX部を拡大した説明図である。
【図18】図10をG点で上流側から見た説明図である。
【図19】パワーシュート式魚道ゲートの一例の斜視図である。
【図20】図19のパワーシュート式魚道ゲートの上面図である。
【図21】図19のパワーシュート式魚道ゲートを側方から見た説明図である。
【図22】フロート昇降式魚道ゲートの一例の破断斜視図である。
【図23】図22のフロート昇降式魚道ゲートの作動原理を示すための説明図である。
【符号の説明】
1:パワーシュート式魚道ゲート 2:固定式魚道
3:フロート室 4:制水ゲート
5:予備ゲート 6,18,46:隔壁
7:魚道用入水堰 8:フロート室入水用越流堰
9:回転軸 10:前面止水ゴム
11:後面止水ゴム 12:魚道部
13:ダム貯水位 14:下流側水位
15:フロート室水位 16:オリフィス
17:潜口 19,44:魚道水路
20:支柱 21:ゲート部
22:フロート部 23:フロート昇降式魚道ゲート
24:凹所 25:魚道水位
26,58:ゲート本体 27,54:扉体
28,45,49,50:切欠き部 29:水密板
30,31:浮体 32:マンホール
33,34,37,38,39:ローラ 35:補強用鋼板
36,61:補強材 40:水路中心線
41:切欠き部中心線 42:水路壁面
43,53:魚道ゲート 47:上限水位
48:下限水位 51:潜口用鋼板
52,57,69,73:取り付け具 55:板状部材
56:上限ストッパー 59:浮力室
60:下限ストッパー 62:取水口
63:連通管 64:特殊スクリーン
65:溝 66:戸当たり
67:ゴムブラシ 68,72:ゴム抑え
70:浮力室側鋼板 71:水密ゴム
74:水密ゴム取り付け鋼板 75:板状部材
76:溶接部

Claims (17)

  1. 上部に切欠き部が設けられた扉体及び該扉体の左右に各々連結された左右で一対となる浮体からなるゲート本体と、浮体が水に浮遊した状態で浮体を収納する左右で一対となる浮力室とが魚道水路内に備えられてなり、前記各浮力室は前記魚道水路の両側壁面に沿ってそれぞれ配置されており、その形状が水面下に底面を有する一端が閉塞された多角筒状に形成され、さらに、前記各浮力室の水面下部分に取水口が設けられ、前記左右の浮力室は連通管によって互いに連通され、且つ該連通管の開口部は前記左右の浮力室の水面下部分に設けられていることを特徴とする水位追従型フロート式魚道ゲート。
  2. 前記切欠き部が、前記扉体の上部の中央から左右何れかに偏って設けられたことを特徴とする請求項1記載の水位追従型フロート式魚道ゲート。
  3. 前記切欠き部が、第一の切欠き部を設けた板状部材を予め前記扉体に設けた第二の切欠き部に装着することにより設けられたことを特徴とする請求項1記載の水位追従型フロート式魚道ゲート。
  4. 前記扉体が一枚の鋼板からなることを特徴とする請求項1または2に記載の水位追従型フロート式魚道ゲート。
  5. 前記扉体の中央部が別の鋼板で補強されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の水位追従型フロート式魚道ゲート。
  6. 前記浮体が鋼板からなり、該浮体の形状が、両端が閉鎖された多角筒状であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の水位追従型フロート式魚道ゲート。
  7. 前記浮体の上端面に蓋付きの開口部が設けられたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の水位追従型フロート式魚道ゲート。
  8. 前記浮体に、前記ゲート本体を位置決めし且つ上下方向に摺動させるためのローラが設けられたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の水位追従型フロート式魚道ゲート。
  9. 前記浮力室の底面が水流方向に沿って設けられており、該底面に前記取水口及び前記連通管の開口部が設けられたことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の水位追従型フロート式魚道ゲート。
  10. 前記取水口に、水中の異物を除去し且つ流水の圧力変動を減衰又は吸収するための手段が設けられたことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の水位追従型フロート式魚道ゲート。
  11. 前記水中の異物を除去し且つ流水の圧力変動を減衰又は吸収するための手段が、特殊スクリーン又は同種機能を有する金物であることを特徴とする請求項10記載の水位追従型フロート式魚道ゲート。
  12. 前記魚道水路が、水流方向に垂直な方向の断面がコ字型であり且つ水流を垂直に横切る形態で中央上部に切欠き部が設けられた隔壁を有し、
    前記扉体が、該隔壁の切欠き部に前記扉体の切欠き部が対向するように配置され、
    前記浮力室が、前記魚道水路の隔壁面と側壁面とを構成面の一部として利用して形成され、前記浮力室の底面が水面下に水流方向に沿って設けられており、該底面に前記取水口及び前記連通管の開口部が設けられ、該取水口は流水の澱み域に配置され、前記連通管が、水平部分が前記魚道水路の底壁下に埋設された形態で設けられている、ことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の水位追従型フロート式魚道ゲート。
  13. 前記浮力室と前記扉体との間隙が弾性部材によって閉鎖されていることを特徴とする請求項12記載の水位追従型フロート式魚道ゲート。
  14. 前記弾性部材がゴム又は合成樹脂、或いはゴム又は合成樹脂で形成されたブラシ又は平板であることを特徴とする請求項13記載の水位追従型フロート式魚道ゲート。
  15. 前記隔壁の中央下部に切欠き部が設けられたことを特徴とする請求項12〜14のいずれかに記載の水位追従型フロート式魚道ゲート。
  16. 前記切欠き部が、第一の切欠き部を設けた板状部材を予め隔壁の中央下部に設けた第二の切欠き部に装着することにより設けられたことを特徴とする請求項15記載の水位追従型フロート式魚道ゲート。
  17. 前記浮力室の底面が前記切欠き部の上端近傍の位置に配置されたことを特徴とする請求項15または16に記載の水位追従型フロート式魚道ゲート。
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