JP3613393B2 - 可動物品の盗難防止装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動二輪車、自動車、金庫等の可動物品が、本来置かれている位置から移動される前に警報を発する可動物品の盗難防止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動二輪車や自動車等の車両を盗難から守るために、振動センサを用いて、車両を不正に移動しようとした際の振動を検知して、車両が窃盗されるのを未然に防止するように警報を発する盗難防止装置が知られている。また、このような盗難防止装置では、振動を検知する制御部と、警報を発する警報部とがケーブルで接続してあり、振動を検知する前に制御部の動作を停止させるべくケーブルを切断すると、不正に装置構成に手が加えられたことにより、警報を発するものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
通常、盗難防止装置は、それ自体が容易に取り外しできないように、車両内に取り付けられることが多い。したがって、上記した構成のものにあっては、例えば自動車に適用される場合には、制御部が車両室内に取り付けられ、警報部がエンジンルームに取り付けられ、その間がケーブルで接続してあるものである。このようなものでは、制御部の動作を停止させようと勘違いしてケーブルを切断することなく、振動しないように窃盗する車両をトラックに積み込んでしまえば、盗難防止装置が作動する前に車両を移動させてしまうことが可能である。それゆえ、特に、自動二輪車のような比較的軽量な車両では、容易に窃盗されるものであった。
【0004】
本発明は、このような不具合を解消することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。すなわち、本発明に係る可動物品の盗難防止装置は、可動物品に取り付けられている間は存在を示す進相存在信号を出力する信号出力手段と、信号出力手段から離れた位置に設置されて固定長の固体伝達媒体を介して電気的に接続された信号出力手段からの進相存在信号が受信不能となった場合に警報信号を出力する警報手段とからなり、警報手段が、存在信号を発振して出力する発振回路と、信号出力手段から出力された進相存在信号を反転する反転回路と、存在信号の位相を進相するコンデンサと、コンデンサにより進相された内部進相存在信号に反転回路から出力された反転存在信号を加算する加算回路と、加算回路から出力される信号に応じて警報信号を出力する警報回路とを備えてなり、信号出力手段が、固体伝達媒体を介して入力される存在信号の位相を進相するコンデンサを備えてなることを特徴とする。
【0006】
本発明における可動物品とは、自動二輪車、自動車、金庫、仏像、美術品、展示品等、通常は固定されることなく、移動を希望する場合に容易に移動し得る物品を指すものである。
【0007】
このような構成のものであれば、信号出力手段が取り付けられた可動物品を窃盗を目的として移動させようとすると、固体伝達媒体が固定長であるので、固体伝達媒体を切断するか、固体伝達媒体の信号出力手段との接続を解除するか、あるいは信号出力手段を可動物品から取り外す必要がある。固体伝達媒体を切断あるいは接続解除を行うと、固体伝達媒体を介して信号出力手段から進相存在信号が警報手段に伝達されない、つまり警報手段は進相存在信号を受信できない受信不能な状態となる。このため、警報手段は、警報信号を出力する。したがって、この警報信号に基づいて可動物品の不正な移動を阻止することにより、盗難を防ぐことが可能になる。
【0008】
また、本発明に係る可動物品の盗難防止装置は、可動物品に取り付けられている間は存在を示す進相存在信号を出力する信号出力手段と、信号出力手段から離れた位置に設置されて固定長の固体伝達媒体を介して電気的に接続された信号出力手段からの進相存在信号が受信不能となった場合に警報メッセージを送信する警報手段とからなり、警報手段が、存在信号を発振して出力する発振回路と、信号出力手段から出力された進相存在信号を反転する反転回路と、存在信号の位相を進相するコンデンサと、コンデンサにより進相された内部進相存在信号に反転回路から出力された反転存在信号を加算する加算回路と、加算回路から出力される信号に応じて設定された電話番号をダイヤルして警報メッセージを送信する通信制御手段とを備えてなり、信号出力手段が、固体伝達媒体を介して入力される存在信号の位相を進相するコンデンサを備えてなることを特徴とする。
【0009】
加えて、例えば自動二輪車等においては、信号出力手段が、可動物品から取り外される時に存在信号の出力を停止する信号停止回路を備えてなるものが好ましい。
【0010】
固体伝達媒体としては、導電体が挙げられる。導電体を使用する場合にあっては、存在信号を単なる電源電圧信号とするのではなく、例えば低周波信号として単に電圧を印加したのみではその信号と認識できないようにすることにより、信号の安全性を高くするようにすればよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を、図1〜3を参照して説明する。
【0012】
この実施の形態の盗難防止装置は、可動物品としての自動二輪車(以下、バイクと称する)に適用している。盗難防止装置は、バイク1に取り付けられている間は存在を示す存在信号Sを出力する信号出力手段2と、バイク1の駐車してあるガレージから離れた室内に設置される警報手段3と、信号出力手段2と警報手段3とを電気的に接続して存在信号Sを伝達する固体伝達媒体たる導電体(以下、ケーブルと称する)4とを備えている。なお、可動物品としては、自動車、金庫、店頭に陳列される電気商品や鞄等の展示品、美術品等、固定されることなく容易に移動させることができる物品が挙げられる。
【0013】
信号出力手段2は、窃盗された場合に走行に支障をきたすような部品、あるいはその部品を取り外すことにより全体の価値が著しく低下するような部品、例えばハンドル、燃料タンク、フレーム本体やエンジン等に取り付けておく。この信号出力手段2は、乗車に際してその都度取り外すのではなく、一旦バイク1に取り付けた後は、乗車、駐車のいかんを問わずバイク1に取り付けておくものである。この信号出力手段2は、例えば1つのコネクタ21により実現される入力端子21aと出力端子21bと、コンデンサ22と、信号停止回路を形成する押しボタン型スイッチ23とを備えている。コンデンサ22は、入力された存在信号Sの位相を90°進ませるもので、位相を進ませることにより、切断したケーブル4を短絡して存在信号Sが警報手段3に入力されるようにしても、警報手段3に入力される存在信号Sの位相が異なるので容易に切断を判断できるようにするものである。押しボタン型スイッチ23は、信号出力手段2をバイク1に取り付けた場合にバイク1と接触することによりその内部の接点が閉じ、信号出力手段2をバイク1から取り外した場合にその接点が開くものである。この押しボタン式スイッチ23は、コンデンサ22に直列に接続してあるので、信号出力手段2がバイク1から取り外されて接点が開くことにより進相された進相存在信号S1の出力を停止するものである。
【0014】
警報手段3は、例えば可聴周波数の存在信号Sを発振して出力する発振回路31と、信号出力手段2から出力された進相存在信号S1を反転する反転回路32と、発振回路31に接続されて存在信号Sの位相を90°進相するコンデンサ33と、コンデンサ33により進相された内部進相存在信号S2に反転回路32から出力された反転存在信号S3を加算する加算回路34と、加算回路34から出力される警報信号S4を増幅して警報音信号S5をスピーカ35に出力する警報回路36と、例えば1つのコネクタ37により実現される出力端子37aと入力端子37bとを備えている。発振回路31は、可聴周波数の存在信号Sを連続して出力するものである。反転回路32は、発振回路31から出力された存在信号Sの位相を180°反転して出力する。出力端子37aは発振回路31と接続されて存在信号Sを信号出力手段2に出力し、入力端子37bは反転回路32と接続されて信号出力手段2からの進相存在信号S1を受信する。警報回路36は、存在信号Sを可聴周波数のアナログ信号により設定しているので、異常時には加算回路34からの警報信号S4が可聴周波数の信号となるため、電力増幅回路を含む音声増幅回路であってよい。なお、存在信号Sの周波数は、可聴周波数以外であってよい。可聴周波数以外の周波数の存在信号Sである場合は、警報回路36が警報信号S4を受信して、可聴周波数の信号を発振するように構成すればよい。
【0015】
ケーブル4は、例えば2芯のもので、その両端に信号出力手段2と警報手段3とに接続するためのコネクタ41を備えている。このケーブル4の長さは、固定長で、バイク1を通常の駐車位置に駐車した場合に、信号出力手段2から警報手段3に達するに十分な長さであればよい。
【0016】
このような構成において、ガレージに駐車中のバイク1に取り付けられた信号出力手段2にケーブル4の一方のコネクタ41を接続し、ケーブル4の他方のコネクタ41を屋内に設置してある警報手段3に接続する。なお、警報手段3と信号出力手段2との間に、中継用の接続手段があってもよい。ケーブル4は、バイク1と警報手段3との間に、ガレージの床部分や壁等に沿って敷設する。このケーブル4は、車輪の中央部分を通し、さらに車輪に巻き付けるようにして敷設し、車輪のみを窃盗しようとする場合に、かならずケーブル4を切断しないと車輪を窃盗し得ないようにするものであってもよい。このようにケーブル4を敷設することにより、車輪等のバイク1の主要な部品毎の窃盗を未然に防止することができる。そして、信号出力手段2と警報手段3とにケーブル4を接続した状態で警報手段3の電源を入れると、警報手段3から信号出力手段2に存在信号Sが出力される。存在信号Sは、信号出力手段2によりその位相が進相されて、信号出力手段2から警報手段3に転送される。
【0017】
信号出力手段2と警報手段3とがケーブル4により接続されている間は、信号出力手段2により進相存在信号S1が警報手段3に入力されるので、警報音は出力されない。すなわち、警報手段3は、信号出力手段2から進相存在信号S1が入力されると、受信した進相存在信号S1を反転回路32にて反転して、発振回路31から出力されてコンデンサ33で進相された内部進相存在信号S2と加算回路34により演算する。加算回路34は、入力される反転存在信号S3と内部進相存在信号S2とのそれぞれの位相が180°異なっているので、図3の(a)に示すように、両者を加算することにより、信号出力手段2からの進相存在信号S1を受信している間は、演算結果が0となり、警報信号S4を出力しない。したがって、警報回路36は、警報音信号S5をスピーカ35に対して出力しない。
【0018】
一方、信号出力手段2がバイク1から取り外されること、ケーブル4が切断されること、あるいはケーブル4を信号出力手段2から引き抜いて信号出力手段2とケーブル4との接続が不正に解消されていることにより、信号出力手段2からの進相存在信号S1が受信されない場合は、図3の(b)に示すように、コンデンサ33を介して発振回路31から出力された内部進相存在信号S2のみが加算回路34に入力されるので、加算回路34からは内部進相存在信号S2を増幅した警報信号S4が出力される。そして、警報回路36が加算回路34から出力される警報信号S4を増幅してスピーカ35を駆動するので、警報音が発せられる。したがって、反転回路32、コンデンサ33及び加算回路34が、信号出力手段2からの進相存在信号S1の有無を判定する判定回路として機能するものである。
【0019】
このように、信号出力手段2をバイク1から取り外したり、ケーブル4のコネクタを信号出力手段2のコネクタから抜いて、あるいはケーブル4を切断して、ケーブル4と信号出力手段2との接続を解除すると、信号出力手段2から転送される進相存在信号S1が警報手段3に入力されなくなり、警報音が発せられるので、バイク1を窃盗しようとしているものがいることをバイク1から離れた位置で知ることができる。しかも、警報手段3は、バイク1から離れた所に設置してあるので、窃盗をしようとするものに気付かれることなく窃盗の開始の事実を掌握することができる。それゆえ、バイク1を駐車位置から移動させてしまうまでに窃盗をしようとするものを捕まえて、未然に盗難を防止することができる。
【0020】
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではない。
【0021】
本発明は、バイク1等の可動物品に取り付けた信号出力手段2からケーブル4を介して警報手段3に入力される存在信号Sが、警報手段3において受信不能になった場合に警報信号を発するように構成されるものであり、存在信号Sは上記実施の形態において説明したアナログ信号以外に、デジタル信号も用いることができる。デジタル信号にあっては、信号出力手段から出力される存在信号を各個別に設定することにより、より高い安全性を確保することができる。
【0022】
上記実施の形態にあっては、屋内に警報手段3を設置したものを説明したが、例えば道路の路側帯部分を利用した駐車スペースに対応して設置されるパーキングメータに、図4に示す警報手段103を組み込んで、駐車中の車両がその位置から不当に移動させられた場合に、その車両の所有者の加入電話、携帯電話、PDA(携帯情報端末)や携帯型パーソナルコンピュータ等に窃盗が開始されたことを通知するように構成するものであってもよい。すなわち、パーキングメータに警報手段103を組み込み、警報手段103の加算回路34から出力される警報信号S4に基づいて、駐車する際に設定された電話番号をダイヤルして、通知するものである。この例の場合、警報手段103は、上記実施の形態における警報回路36に代えて、電話番号を入力する番号入力手段361と、入力された電話番号及び通話した際に送信される警報メッセージを記憶する記憶手段362と、加算回路34から警報信号S4が入力された時に記憶手段362に記憶された電話番号の機器に警報メッセージを送信する通信制御手段363とを具備するものである。なお、図4において、上記実施の形態と同じ構成については、同じ符号を付して、説明を省略した。
【0023】
このような構成であれば、所有者が遠隔地にいる場合であっても、その出先で窃盗されそうな状況をいち早く把握することができ、盗難を未然に防止することができる。
【0024】
また、自動二輪車や自動車等の駐車スペースすなわちガレージのある集合住宅にあっては、各戸に警報手段3を設置し、ガレージと各戸との間にケーブル4の中継装置を設置することにより、上記した実施の形態と同様に盗難防止装置を設置することができる。
【0025】
加えて、信号出力手段が、可聴周波数の存在信号やその他の周波数の存在信号を発振する発振回路を備えるものであってもよい。この場合は、警報手段は、信号出力手段が出力する存在信号を検出する検出回路と、検出回路が存在信号を検出した際に出力する警報信号に基づいて警報を出力する警報回路とを備える構成にすればよい。
【0026】
さらに、警報手段において、警報信号を使用して、例えばビデオカメラを作動させて、窃盗を行おうとしている人物を撮影するようにするものであってもよい。このように、窃盗者を撮影する構成にあっては、警報音を聞いた時に捕まえることができなくても、窃盗者の特徴を把握できるので、早期に窃盗者を逮捕することができる。
【0029】
その他、各部の構成は図示例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0030】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、信号出力手段が取り付けられた可動物品を窃盗を目的として移動させようとする場合に、固体伝達媒体を介して信号出力手段から進相存在信号が警報手段に伝達されない、つまり警報手段は進相存在信号を受信できない受信不能状な態となることにより、警報手段が出力する警報信号に基づいて可動物品の不正な移動を検出することができ、盗難を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の使用状態を示す構成説明図。
【図2】同実施の形態の構成を示すブロック図。
【図3】同実施の形態の動作を説明するための波形図。
【図4】本発明の他の実施の形態のブロック図。
【符号の説明】
1…バイク
2…信号出力手段
3…警報手段
4…ケーブル

Claims (5)

  1. 可動物品に取り付けられている間は存在を示す進相存在信号を出力する信号出力手段と、
    信号出力手段から離れた位置に設置されて固定長の固体伝達媒体を介して電気的に接続された信号出力手段からの進相存在信号が受信不能となった場合に警報信号を出力する警報手段とからなり、
    警報手段が、存在信号を発振して出力する発振回路と、信号出力手段から出力された進相存在信号を反転する反転回路と、存在信号の位相を進相するコンデンサと、コンデンサにより進相された内部進相存在信号に反転回路から出力された反転存在信号を加算する加算回路と、加算回路から出力される信号に応じて警報信号を出力する警報回路とを備えてなり、
    信号出力手段が、固体伝達媒体を介して入力される存在信号の位相を進相するコンデンサを備えてなることを特徴とする可動物品の盗難防止装置。
  2. 可動物品に取り付けられている間は存在を示す進相存在信号を出力する信号出力手段と、
    信号出力手段から離れた位置に設置されて固定長の固体伝達媒体を介して電気的に接続された信号出力手段からの進相存在信号が受信不能となった場合に警報メッセージを送信する警報手段とからなり、
    警報手段が、存在信号を発振して出力する発振回路と、信号出力手段から出力された進相存在信号を反転する反転回路と、存在信号の位相を進相するコンデンサと、コンデンサにより進相された内部進相存在信号に反転回路から出力された反転存在信号を加算する加算回路と、加算回路から出力される信号に応じて設定された電話番号をダイヤルして警報メッセージを送信する通信制御手段とを備えてなり、
    信号出力手段が、固体伝達媒体を介して入力される存在信号の位相を進相するコンデンサを備えてなることを特徴とする可動物品の盗難防止装置。
  3. 信号出力手段が、可動物品から取り外される時に存在信号の出力を停止する信号停止回路を備えてなることを特徴とする請求項1又は2記載の可動物品の盗難防止装置。
  4. 固体伝達媒体が、導電体であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の可動物品の盗難防止装置。
  5. 存在信号が、可聴周波数の信号であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の可動物品の盗難防止装置。
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